专利摘要:
基板(例えば、半導体基板)を加工する方法および装置を開示し、該方法は、基板表面の少なくとも一部分をドーパント化合物にさらしつつ、該表面部分を複数の短放射パルスで照射することを含む。前記パルスは、前記基板表面において、溶融フルエンス閾値(基板を溶解させるために放射パルスに必要な最小フルエンス)より大きく、かつ、アブレーションフルエンス閾値(基板をアブレーションさせるために放射パルスに必要な最小フルエンス)より小さいフルエンスをもつように選択する。これにより、十分な量のドーパントを基板に注入できるとともに、基板表面の粗さを確実に付与した放射パルスの波長より顕著に小さくできる。
公开号:JP2011514664A
申请号:JP2010545249
申请日:2009-02-02
公开日:2011-05-06
发明作者:マズール エリック;ウィンクラー マーク
申请人:プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ;
IPC主号:H01L21-22
专利说明:

[0001] 関連出願
本発明は、2008年1月31日付で出願された「Engineering Flat Surfaces On Materials Doped Via Pulsed Laser Irradiation」と題する米国仮出願第61/025,101号の優先権を主張するものであり、参照によりその開示全体をここに取り込むものとする。]
[0002] 本発明は一般に、放射パルスを利用することにより基板を加工する方法、特に、そのようにして基板の表面層にドーパントを導入することが可能な方法、およびその結果として得られる基板に関する。]
背景技術

[0003] 半導体基板をドーピングするのには種々の技術が用いられている。例えば、結晶シリコンは、シリコンウェーハにドーパント含有の化合物の存在下で、一連のフェムト秒放射パルスを照射することで約1%原子濃度にドープすることができる。例えば、シリコンウェーハは、ウェーハをSF6のような硫黄供与体(硫黄ドナー)にさらしながら、フェムト秒放射パルスで照射することにより、硫黄を約1%原子濃度にドープすることができる。その結果のドープされたシリコンは、いくつかの非常に望ましい光電子光学特性を示す。例えば、該シリコンは、約1100nmより長い放射波長の有意な吸収を示す。実際、このようなドープしたシリコンは、赤外線域で好適に作動するシリコンフォトダイオードを製造するのに用いることができる。]
発明が解決しようとする課題

[0004] しかしながら、このようなドーピングをもたらす公知の方法は、シリコンウェーハに対して顕著な損傷をも与えうる。例えば、これらの方法によれば、シリコン表面上にスパイクおよびリッジの準周期な配列が形成される可能性がある。このような表面構造では、ドープしたウェーハを種々の応用例で用いるに際して困難が生じる。例えば、光検出器を製造する場合、このような表面構造では、製造工程のみならず、多くの従来の測定方法や取扱い技術を用いることが難しくなる。]
[0005] したがって、改良された基板の放射加工方法が望まれており、特に、改良された基板のドーピング方法が望まれている。改良された表面モルホロジーを示すドープ基板も望まれている。]
課題を解決するための手段

[0006] 一特徴において、本発明は基板(例えば、半導体基板)を加工する方法を提供し、該方法は、基板表面の少なくとも一部分をドーパント化合物と接触させながら、該表面部分を複数の短放射パルスで照射することを含む。前記パルスは、前記基板表面において、溶融フルエンス閾値(基板を溶解させる上で放射パルスに必要な最小フルエンス)より大きく、かつ、アブレーションフルエンス閾値(基板をアブレーションする上で放射パルスに必要な最小フルエンス)より小さいフルエンスと、材料および(例えば中心波長、パルス時間幅などの)レーザのパラメータの種類によって変化してよい照射量と、を有する。以下でさらに説明するように、これにより、十分な量のドーパントを基板に注入することができるとともに、基板表面の粗さを、確実に付加した放射パルスの波長より顕著に小さくできる。]
[0007] 前記放射パルスは、例えば約100フェムト秒〜約数十または数百ナノ秒(例えば20ナノ秒)の範囲内、または、約100フェムト秒〜約1ピコ秒の範囲内、例えば、約100フェムト秒〜約500フェムト秒の範囲内の時間幅を有するが、他のパルス幅を用いることもできる。パルスエネルギーは、例えば約100μJ〜約100mJの範囲内とすることができるが、他のパルスエネルギーを用いることもできる。パルスエネルギーおよびスポット寸法は、表面において所望の放射フルエンスを得るために選択することができる。]
[0008] 関連する特徴において、ドーパント化合物は、気体、流体、または固体のいずれかでありうる。このドーパント化合物の例としては、SF6,N2,Cl2,空気、水、アルコール、H2S,Sb,Se,Te,Pなどが含まれる。]
[0009] 他の特徴において、基板(例えば、半導体基板)に対してドーパントを導入する方法が開示され、該方法は、基板表面の少なくとも一部をドーパント成分を含む材料に露出する工程を含む。前記表面部分を複数の時間的に短いレーザパルスで照射して、前記基板の表面層に対する前記ドーパントの注入を引き起こす。前記照射の後に、照射された前記基板表面が付与した放射波長(例えば、前記パルスの中心波長)の約1/8未満、好ましくは約1/32未満、より好ましくは約1/50未満の二乗平均平方根粗さ(RMS粗さ)を呈するように、前記短レーザパルスを構成する。]
[0010] 他の特徴において、本発明は基板に対してドーパントを注入する方法を提供し、該方法が、前記基板表面の少なくとも一部をドーパント化合物にさらすとともに、複数の短放射パルスを前記表面部分の複数の位置に与えて、前記基板の表面層をアブレーションを伴わずに溶解させて、前記表面層に十分な量の前記ドーパントを注入することと、を含み、この十分な量のドーパントとは、例えば、約1013cm−3〜約1021cm−3の範囲内、または、約1014cm−3〜約1021cm−3の範囲内、または、約1015cm−3〜約1021cm−3の範囲内の密度である。]
[0011] 関連する特徴において、上記方法において、各パルスのフルエンスおよび前記表面上におけるパルスの分布を、前記パルスの付与後に、前記表面部分が約λ/50未満の二乗平均平方根粗さ(RMS粗さ)を示すように選択し、ここでλは前記レーザパルスの中心波長である。]
[0012] 他の特徴において、本発明は基板(例えば、半導体基板)を提供し、該基板は、ドーパントを含む表面層を有し、該表面層が、約200nm未満、または約100nm未満、または約50nm未満、または好ましくは約20nm未満、または約10nm未満、例えば、約10nm〜約20nmの範囲内の二乗平均平方根(RMS)粗さを呈する最上層面をもつ。ある場合には、RMS粗さが、約1nmより大きく約10nmより小さい。ある場合には、前記表面層内のドーパント密度は、約1013cm−3〜約1021cm−3の範囲内、または、約1014cm−3〜約1021cm−3の範囲内、または、約1015cm−3〜約1021cm−3の範囲内である。ある実施形態では、前記表面は高度の鏡面反射を示す。例えば、前記表面から反射された光の高い割合(例えば、反射光の約80%または約90%)が鏡面反射によるものである。]
[0013] 例えば、前記基板は、平坦な最上層面の硫黄ドーパント層をもつシリコンウェーハである。]
[0014] また他の特徴において、基板(例えば、半導体基板)を加工する方法が開示され、該方法は、複数のレーザパルスを基板表面の複数の異なる位置に与える工程を含み、前記パルスのフルエンスおよび空間分布を、約λ/50未満の二乗平均平方根粗さ(RMS粗さ)をもつ表面構造を作り出すように選択し、ここで、λは前記レーザパルスの中心波長であり、例えば、800nmの中心波長から約5nm〜約15nmの範囲内である。]
[0015] 以下に簡潔に説明する関連図面とともに、以下の詳細な説明を参照することで、本発明の種々の特徴をさらに理解しうるであろう。]
図面の簡単な説明

[0016] 図1Aは、本発明の一実施形態による基板表面上のレーザパルスの典型的な分布を概略的に示す。
図1Bは、放射パルスを付与することにより基板を加工する従来の方法による、基板表面上のレーザパルスの分布を示す。
図2Aは、基板に付与される、空間的に隣接する2つのパルスを概略的に示す。
図2Bは、基板に付与される、空間的に隣接する2つのパルスを概略的に示し、これらパルスは重複した溶解領域を生成するとともに、それぞれ個別にアブレーションを引き起こす。
図2Cは、基板に付与される、空間的に隣接する2つのパルスを概略的に示し、これらパルスは重複したアブレーション領域および溶解領域を生成する。
図2Dは、本発明の一実施形態により基板に付与される、空間的に隣接し、部分的に重複する2つのパルスを概略的に示し、各パルスは、溶融フルエンス閾値とアブレーションフルエンス閾値との間にピークフルエンスをもつ。
図3は、本発明の基板加工方法を行うのに適した装置を概略的に示す。
図4Aは、本発明の一実施形態による方法の典型的な実施における、レーザパルスの(光速)ビームに対して基板を動かすことによる、基板上へのパルスの付与を概略的に示す。
図4Bは、本発明の一実施形態による方法の典型的な実施における、レーザパルスの(光速)ビームに対して基板を動かすことによる、基板上へのパルスの付与を概略的に示す。
図5は、本発明の一実施形態による方法の典型的な実施における、シリコン基板に付与される隣接パルスの重複を、2つの空間次元のうち1つに沿って示す。
図6は、本発明の方法の一実施形態に基づき加工されたシリコン基板のSEM画像である。
図7は、本発明の方法の一実施形態に基づき加工されたシリコン基板のTEM画像である。
図8は、本発明の方法の一実施形態に基づき加工された試作のシリコンサンプルの正規化された吸収率を示す。] 図1A 図1B 図2A 図2B 図2C 図2D 図3 図4A 図4B 図5
[0017] 本発明は、一般に、基板(例えば半導体基板)の表面をドーパントに接触させつつ該基板の表面に放射パルスを付与して該基板を加工し、これにより表面の最上部から基板の所定の深さまで延在するドープされた層を形成し、該最上部の表面が、付与された放射の波長より著しく小さい粗さを確実に呈する方法に関する。例えば、ある実施形態では、二乗平均平方根(RMS)粗さ(加工表面における高さ変動の二乗平均平方根)は、約200nm未満、または好ましくは約100nm未満、または約50nm未満、または約20nm未満、または約10nm未満、例えば、約10nm〜約20nmの範囲内である。つまり、本発明の加工方法によれば、放射(レーザ)加工によって、平坦な表面をもつドープ基板を作り出すことができる。本明細書で用いる「平坦な表面」との用語は、約200nm未満、または約100nm未満、または約50nm未満、または好ましくは約20nm未満、例えば、約10nm〜約20nmの範囲内、または約1nmより大きく約10nmより小さいRMS粗さを呈する表面を意味する。ある実施形態では、本発明のレーザ加工方法は、基板の表面をドーパントと接触させながら(または、より一般的には、ドーパント成分を含む材料と接触させながら)、基板表面に放射パルスを照射し、前記パルスが、該表面において、溶解を起こすのに十分高いがアブレーションに必要な閾値フルエンスよりも小さいフルエンスをもつようにする。(例えば放射パルスに対して基板表面を動かすことによって)基板表面の種々の部分をこのように処理して、基板の最上部の平坦な面の下に肉眼視可能なドーピング層を作成する。以下でさらに説明するように、いくつかの例においては、加工された各表面領域が溶解は起こすがアブレーションは起こさないように、放射パルスを基板表面に分配する。本発明の種々の特徴が、基板をドープすることに関して説明される一方で、放射パルスのフルエンスに関する本発明の教示は、ドープせずに基板を加工するために用いることもできる。さらに、多くの実施形態が半導体基板に関連して説明されるが、本発明の教示は他のタイプの基板、例えばガラス、金属、合金、または有機化合物にも適用しうる。]
[0018] 基板(例えば、シリコンのような半導体基板)を加工する本発明の一実施形態に基づく典型的な方法は、1つ以上の短放射パルスで基板表面の1つ以上の部分を照射することを含む。本明細書で用いる「短放射パルス」との表現は、約10フェムト秒(1フェムト秒は10−15秒と定義される)〜数百ナノ秒(1ナノ秒は10−9秒と定義される)の範囲内、例えば、約10フェムト秒〜1ピコ秒の範囲内、または、約100フェムト秒〜約500フェムト秒の範囲内の時間幅を有する電磁放射のパルスを意味しうる。多くの実施形態において、基板表面(または少なくとも放射にさらされる部分)をドーパント化合物(例えば、ドーパント成分を含む材料)と接触させながら該表面の照射を行い、基板の表面層(例えば、約10nm〜約1000nmの範囲内、もしくは約10nm〜約500nmの範囲内の厚さをもつ表面層)に任意の量のドーパントの導入を生じさせる。そのようなドーパント材料は、気体、流体、または固体でありうる。例として、ある場合には、SF6と接触させながら表面を照射して、最上部の表面層に任意の量の硫黄を注入し、他の場合には、水またはアルコールのような液体、または、固体と接触させながら表面を照射する。]
[0019] 多くの例において、基板表面における各放射パルスのフルエンス(ここではFで示され、単位面積あたりの放射エネルギーと定義される)は、溶融フルエンス閾値(溶融を起こすのに必要な最小フルエンス)を上回るがアブレーションフルエンス閾値(アブレーションを起こすのに必要な最小フルエンス)未満に留まる最大(ピーク)値をもつように選択される。つまり、各放射パルスのエネルギーおよび基板上におけるスポット寸法を制御して、放射パルスを付与する各表面部分を、溶融閾値を上回るがアブレーション閾値未満に留まるフルエンスをもつレーザ放射に確実に露出するようにする。多くの実施形態では、放射フルエンスに関するこの要求は、照射工程の全体を通して維持される。他の例では、基板に与えるパルスの少なくとも約60%、または70%、または80%、または好ましくは90%が、そのようなフルエンスを示す。]
[0020] 「溶融」および「アブレーション」なる用語は、当業者において既知である。さらに必要とされるかもしれない説明を補うと、「溶融」は一般に、例えば加熱によって基板の内部エネルギーが増加させるなどして、固相から液相に基板の相変化をもたらすプロセスを意味し、「アブレーション」は一般に、蒸発、チッピングまたはその他の浸食性プロセスによる基板の表面からの材料の除去を意味する。]
[0021] 放射フルエンスに課される上記要求を数学的に説明するべく、関数Fpeak(x,y)を、任意の表面点(x,y)が露出される放射パルスからの最大放射フルエンスを示すものと定義し、ここでFpeak(x,y)は以下の関係を満たす。
Fmelt<Fpeak(x,y)<Fablation 式(1)
ここで、Fmeltは、放射にさらされる基板部分の溶融の放射フルエンス閾値を示し、Fablationは、放射にさらされる基板部分のアブレーションを起こす放射フルエンス閾値を示す。]
[0022] 放射フルエンスに関する上記要求を考察する他の方法は、以下の区分を定義することである。




多くの実施形態において、基板表面上のパルス分配は、全ての照射点においてU(x,y)=1である。例えば、U(x,y)=2の点(x,y)はアブレーションするので好ましくなく、U(x,y)=0となる任意の点(x,y)は溶融しないので、これも好ましくない。]
[0023] 所与の材料におけるアブレーションおよび/または溶融の放射フルエンス閾値は、付与した放射パルスの時間幅と同様に、付与した放射パルスの波長にも依存する。よって、溶融およびアブレーション閾値に対する付与した放射のフルエンスに関する上記要求は、例えば式(1)および(2)に具現化されるが、所与の放射の波長および時間幅に適用される。例として、約800nmの中心波長をもつ100fsの放射パルスを基板表面(例えばシリコン)に付与する本発明の一実施形態では、各パルスのピークフルエンスを、基板に800nmの中心波長をもつ100fsの放射パルスを付与することで、基板の溶融を起こすのに必要なフルエンスを超えるように選択する。さらに、パルスのピークフルエンスを、基板に800nmの中心波長をもつ100fsの放射パルスを付与することで、基板をアブレーションするのに必要なフルエンスより小さくなるように選択できる。]
[0024] ある材料の溶融および/またはアブレーションフルエンス閾値の決定には、測定上の不確実性を伴うと理解すべきである。よって、多くの場合、そのような測定上の不確実性は、放射パルスのフルエンスが上記関係を満たすかを検討する際に考慮すべきである。]
[0025] ある実施形態では、複数の放射パルスを種々の異なる基板位置(スポット)に付与し、表面の肉眼視可能な領域上に分配して、全体領域を処理する。いくつかの例において、空間的に隣接するパルス間の重複と同様に、パルスのピークフルエンスを、処理した各基板位置において溶融を起こすがアブレーションを起こさないように選択する。ある実施形態では、各表面スポット(位置)に付与する放射パルスの数は、1〜数千まで、例えば約10〜約200パルスの範囲内まで、変化しうる。上述のとおり、表面のそのような照射は、表面をドーパント(例えば、ドーパント成分を含む材料)と接触させながら行い、基板に対する十分なある量のドーパントの注入を生じさせる。実質的に均一なドープを保証すべく、多くの実施形態では、表面上の種々の異なる位置に与えられる総エネルギーの変化は、例えばパルス波形および基板表面に対するパルスの分配方法を適切に選択することによって、最小限にすることができる。]
[0026] 例として、ある場合には、表面に対してパルスを空間的に分配して、「目標点(target points)」の四角形または三角形の格子(レーザスポットの中心に相当する格子)を形成する。例えば、図1Aは四角形の格子10を概念的に示し、レーザパルスの中心が表面にあたる基板表面上の点を表している(場合によっては三角形の格子がより好ましいが、ここでは単純にするため矩形の格子を示した)。格子10では、ある次元において空間的に隣接するパルスの中心間距離(例えば、横寸法のd1)は、他の次元におけるパルスの中心間距離(例えば、縦寸法のd2)と実質的に同じである。つまり、この場合にはd1=d2である。] 図1A
[0027] そのような矩形のパターンに基づく表面上のパルス分布は、基板表面を構造化するための従来のパルス分布パターンから顕著に脱却している。そのような従来のパターンは、一般に、基板表面上で最も効率的にラスタースキャンを行うように設計されている。例えば、図1Bは、そのような目標点の従来パターン12を概略的に示し、放射パルスがある次元において他の次元よりも空間的に互いに顕著に近い。例えば、図1Bの場合には、d1>>d2であり、典型的な比d1/d2は、約10〜約100の範囲内にある。] 図1B
[0028] 図2A〜2Dを参照して、本発明の顕著な特徴をさらに説明すると、ある典型的な実施形態における、空間的に隣接する2つの放射パルスの配置ならびにそのフルエンスが、基板表面を加工する(例えば、構造化および/またはドープする)従来方法における、隣接する2つのパルスの配置ならびにフルエンスと比較されている。図2Aは、隣接する2つのパルスに付随の、本発明に関係する各種のパラメータを単に示したものであり、該パラメータは、例えば、dmelt(パルスに関連した溶融領域の線形空間広がり)、dabl(パルスに関連したアブレーション領域の線形空間広がり)、およびdpulse(パルスの中心間距離)である。] 図2A 図2B 図2C 図2D
[0029] 図2Bは、それぞれがアブレーションフルエンス閾値より大きいピークフルエンスをもつ2つのパルスを概略的に示す。これらのパルスは、重複した溶融領域をもつが、離れた(重複しない)アブレーション領域をもつ。図2Cは、それぞれがアブレーションフルエンス閾値より大きいピークフルエンスをもち、互いに溶融領域およびアブレーション領域が重複するように配置された2つのパルスを概略的に示す。多くの従来のレーザ加工技術では、試料表面の1つの次元に沿って、図2Bに示すフルエンスおよびパルス分布を用い、表面の別の次元(例えば、直行する次元)に沿って、図2Cに示すフルエンスおよびパルス分布を用いる。対照的に、図2Dは、基板を加工(例えばドープ)する本発明の一実施形態で採用されるフルエンスおよびパルス分布を示し、各パルスのピークフルエンスが、溶融を起こすのに必要なフルエンスとアブレーションを起こすのに必要なフルエンスとの間の範囲に位置する。さらに、パルスの分配を調節することにより、レーザ加工される各表面領域が溶融を起こすがアブレーションは起こさないように隣接するパルスが重複している。図2Dに示された条件は、xとy両方の次元に適用する。] 図2B 図2C 図2D
[0030] 以下でさらに説明するように、基板(例えば、半導体基板)を加工する本発明の方法によれば、ドープされた表面層を有し、その表面の二乗平均平方根粗さが、約200nm未満、または約100nm未満、または約50nm未満、または約20nm未満、または約10nm未満、例えば、約10nm〜約20nmの範囲内基板を得ることができる。ある場合には、上記の表面は、約1nmより大きく約10nmより小さい二乗平均平方根粗さを含んでもよい。つまり、最上層面は平坦であり、かつ、最上層面から基板の所与の深さまで延在するドープされた表面層を有する。ある場合には、ドープされた表面層は、例えば、約10nm〜約1000nmの範囲内、または約10nm〜約500nmの範囲内の厚さをもつ。さらに、そのような表面層に注入されるドーパント濃度は、用いられる条件によって変化し、例えば、約1015cm−3〜約1021cm−3の範囲内となる。]
[0031] 本発明の教示に基づいて形成されるそのような基板について、さまざまな応用例を見出すことができる。例えば、そうした基板を、光検出器、太陽電池、半導体レーザ、CCD、発光ダイオード、または他の光電子デバイスに用いることができる。例えば、以下の例は、本発明の方法を用いて、かなり多量の硫黄をドープした表面層をもつ平坦なシリコン基板を作り出すことができることを示す。そのようなドープされた平坦なシリコンは、加工しないシリコンと比較して赤外線の吸収がかなり増加する。それ自体は、可視放射光用の光検出器のみならず、赤外放射を検出する光検出器に用いることができる。]
[0032] 本発明の教示に基づく基板加工を行うための例示的な装置14を、図3に概略的に示す。装置14は、内部に移動ステージ18を配置した試料加工チャンバ16を含む。加工中の試料は、移動ステージに載置される。再生増幅のフェムト秒チタン−サファイアレーザシステム(不図示)が、1kHzのくり返し率で800nmの中心波長を有する約100fsレーザパルスをもたらす。シャッタ20は、くり返し率を異なる値に調整するのに用いることができる。集束レンズ22は、レーザパルスを受け、ビームスプリッタ24を介してチャンバの放射透過窓26(例えば石英窓)へとパルスを方向づける。放射エネルギーの一部は、スポット寸法測定のため、ビームスプリッタからCCD28へと反射される。試料におけるパルスのスポット寸法は、レンズを移動させることで(例えば、約10ミクロン〜約1000ミクロンのスポット寸法径まで)変化させることができる。レーザシステムにより生成されるパルスのエネルギーは、例えば最大で約2.5ミリジュールである。パルスのエネルギーは、例えば1以上の減光フィルタ、または半波長板および偏光板を用いることにより、所望の範囲内に調整することができる。試料におけるパルスエネルギーおよび/またはスポット寸法の変化を利用して、試料における放射フルエンスを選択された値に調節することができる。ドーパント化合物は、ドーパント源11から真空チャンバへと導入され、その結果、試料の表面をドーパント化合物にさらしながら、該表面をパルス放射で照射することができる。本発明を実行する上で使用に適した装置に関するさらなる詳細は、「Silicon-Based Visible and Near-Infrared Optoelectric Device」と題する米国特許第7,057,256号に見出すことができ、参照によりその開示をここに取り込む。] 図3
[0033] 上記の実施形態は基板をドープすることに関連して説明したが、本発明の教示、例えば、基板表面に付与されるレーザパルスを重複させる様々な方法などは、より一般的に、種々の基板を種々のレーザ加工応用例で加工するのに用いることができる。そのようなレーザ加工応用例の例としては、制限はないが、パルスレーザアニール、パルスレーザ溶融および再結晶が挙げられる。例えば、基板表面(例えば半導体表面)を複数の短放射パルスで照射することができ、このパルスは、少なくともいくつかのパルス、ある場合には各パルスが、基板表面において溶融フルエンス閾値より大きくアブレーションフルエンス閾値より小さいフルエンスをもつ。ある応用例では、基板溶融に続いて、再固化を生じさせ、基板をアニールする。]
[0034] 以下の実施例は、本発明の種々の特徴をさらに説明するものである。この実施例は、説明の目的でのみ提供され、本発明を行うことで達成しうる最良の結果を示すことを必ずしも意図しない。]
[0035] リンでn型にドープされ、抵抗率ρ=800〜900Ω‐cmの(111)Siウェーハを用意した。アセトン、メタノール、イソプロパノールおよび脱イオン水で超音波洗浄して、シリコン表面を洗浄した。5%HFに60秒浸漬させて、自然酸化物を除去した。]
[0036] その後、再生増幅レーザシステムであるチタン−サファイアから放射された、一連の800nm、100フェムト秒のレーザパルスをウェーハにあてた。レーザシステムからのパルス列は、1kHzのくり返し率をもつ。]
[0037] ウェーハを加工する(ドープする)フェムト秒レーザの実験配置を、上記の図3に示す。シリコンウェーハを真空チャンバ内に配置した。チャンバを10−3torr未満まで減圧し、(硫黄ドープのための)SF6を500torr再充填した。機械的シャッタ20を用いて、1kHzのパルス列くり返し率を周波数f=11Hzに減少させた。シリコンウェーハをx方向に速度ν(この場合約640μm/秒)でレーザビームの前を移動させ、レーザパルス間のx間隔をd=ν/f(この場合約58μm)とした。いくらかの距離(この場合約3cm)移動させた後、試料はdと同等の距離だけy方向にステップし、その後x方向の逆方向に移動させた。この工程をくり返すことで、シリコンウェーハ表面の意図した領域に、パルスを正方形の格子に分配した(図4Aおよび4B参照)。] 図3 図4A
[0038] レーザビームをシリコンウェーハ表面上でスポット寸法wに集束させた。ここで、wは、最大強度の半分におけるビーム幅を意味し、この寸法は、CCDカメラを用いて測定でき、フルエンスを計算するのに用いる。フルエンスは、相変化を誘起するレーザの重要な閾値を表すのに従来から用いられている物理量である。平均フルエンスは、あるパルスのエネルギーを、パルス強度が最大のl/eを超える領域で除することで計算される。このようにしてパルスに対してガウシアン強度プロファイルにより計算された平均フルエンスは、ピークフルエンスと同じ値をもつという便利な特性を有する。フェムト秒レーザパルスの場合、シリコンの溶融フルエンス閾値は、約1.5kJ/m2であり、アブレーションフルエンス閾値は、約3kJ/m2である。平坦な表面を作り出すための上記で説明した要求を満たすべく、約2kJ/m2の平均フルエンスを選択した。パルス寸法はw=250μmとし、パルスは、xおよびy方向に58μm離して配置した(これは、ラスター速度をν=640μm/秒、パルスくり返し率をf=11Hzとすることで達成した)。図5は、パラメータのこの選択が、本発明の典型的な実施形態に関連する、上記図2Dに示したパルスフルエンスおよび配置のタイプに相当することを概略的に示す。] 図2D 図5
[0039] レーザ加工後、試料は、元の試料の非常につるつるした外観を保っていた。走査型電子顕微鏡による近接観察では、表面高さに若干の軽微な変化があったものの、肉眼で観察可能な粗さは全くなかった(図6)。また、図7に示すように、断面の明視野TEM画像は、明確に画定されたレーザにより変化した領域が、表面から約50nm延在して形成されたことを示した。TEM画像におけるコントラストは、溶融および再固化による結晶構造の変化によるものであり、高倍率のTEM観察と同様に、選択された領域を回折することにより確認できる。] 図6 図7
[0040] 実例として、図8は、平坦に加工された試作のシリコン試料のいくつかの光学特性を示し、約1100nmより大きい光波長(λ>1100)における赤外吸収率の増加が観察された。特に、加工された試作試料は、未加工の結晶シリコンに対して赤外吸収率の顕著な増加を示した。赤外吸収率のこの増加は、加工試料の最上層面層に高レベルの硫黄がドープされたことを示す。加工された試作試料が示す赤外吸収率の増加は、いくつかの従来技術により作られたレーザドープされたシリコンが示す増加より小さい。これは、試作試料における硫黄が注入された最上層面層(例えば、約40nmの厚さの層)が、従来技術により形成された最上層面層(例えば、約200nmの厚さの層)に対して薄いためである。] 図8
実施例

[0041] この技術における当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更をなしうることを理解するであろう。]
权利要求:

請求項1
基板を加工する方法であって、基板表面の少なくとも一部分をドーパント材料にさらしながら、該表面部分を複数の短放射パルスで照射する工程を含み、前記パルスは、前記基板表面において、溶融フルエンス閾値より大きく、かつ、アブレーションフルエンス閾値より小さいフルエンスをもつことを特徴とする方法。
請求項2
前記ドーパント材料は、気体、流体、または固体のいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記放射パルスは、約100フェムト秒〜約数十ナノ秒の範囲内の時間幅を有する、請求項1に記載の方法。
請求項4
前記基板は、半導体、ガラス、金属、合金、または有機化合物のいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
請求項5
基板を加工する方法であって、ドーパント成分を含む材料と接触させて基板表面を配置する工程と、前記基板表面の複数の表面領域を1以上の短レーザパルスで照射する工程であり、各レーザパルスは、前記表面において、溶融フルエンス閾値より大きく、かつ、アブレーションフルエンス閾値より小さいフルエンスをもつ工程と、を含むことを特徴とする方法。
請求項6
前記ドーパント成分を含む材料は、SF6を含む、請求項5に記載の方法。
請求項7
基板に対してドーパントを導入する方法であって、ドーパント成分を含む材料と接触させて基板表面の少なくとも一部を配置する工程と、前記表面部分を複数の短レーザパルスで照射して、前記ドーパント成分を前記基板の表面層に注入する工程と、を含み、前記照射工程の後に、照射された前記基板表面が前記パルスの中心波長の約1/30未満の二乗平均平方根粗さ(RMS粗さ)を呈するように、前記短レーザパルスを構成することを特徴とする方法。
請求項8
基板に対してドーパントを注入する方法であって、ドーパント材料と接触させて基板表面の少なくとも一部を配置する工程と、複数の短放射パルスを前記表面部分の複数の位置に与えて、前記基板の表面層をアブレーションさせずに溶解させて、前記表面層にある量の前記ドーパントを注入する工程と、を含むことを特徴とする方法。
請求項9
前記パルスの付与の後、前記表面部分が前記パルスの中心波長の約1/30未満の二乗平均平方根粗さ(RMS粗さ)を呈するように、各パルスのフルエンスおよび前記表面上におけるパルスの分布を選択する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
請求項10
注入された前記ドーパントが、約1013cm−3〜約1021cm−3の範囲内の密度を有する、請求項8に記載の方法。
請求項11
基板であって、ドーパントを含む表面層を有し、該表面層が、約50nm未満の二乗平均平方根(RMS)粗さを呈する最上層面をもつことを特徴とする基板。
請求項12
前記RMS粗さが、約10nm〜約20nmの範囲内に位置する、請求項11に記載の基板。
請求項13
前記RMS粗さが、約1nmより大きく約10nmより小さい、請求項11に記載の基板。
請求項14
ドープされた前記表面層は、約10nm〜約1000nmの範囲内の厚さを有する、請求項11に記載の基板。
請求項15
ドープされた前記表面層は、約10nm〜約500nmの範囲内の厚さを有する、請求項14に記載の基板。
請求項16
前記基板は、半導体、ガラス、金属、合金、または有機化合物のいずれかを含む、請求項11に記載の基板。
請求項17
前記ドーパントの濃度が、約1013cm−3〜1021cm−3の範囲内である、請求項11に記載の基板。
請求項18
請求項1の工程によって製造された基板。
請求項19
基板を加工する方法であって、基板表面の少なくとも一部分を複数の短放射パルスで照射する工程を有し、前記パルスは、前記基板表面において、溶融フルエンス閾値より大きく、かつ、アブレーションフルエンス閾値より小さいフルエンスをもつことを特徴とする方法。
請求項20
前記基板表面上におけるパルスの空間分布を、約λ/50未満の二乗平均平方根粗さ(RMS粗さ)を備えた表面構造を提供するように選択し、λは前記レーザパルスの中心波長である、請求項19に記載の方法。
請求項21
基板を加工する装置であって、電磁放射のパルスを発生させる放射線源と、該放射線源に接続され、前記パルスを基板の表面に方向付ける光学システムと、を有し、前記パルスが、前記表面において、溶融フルエンス閾値より大きく、かつ、アブレーションフルエンス閾値より小さい放射フルエンスをもつことを特徴とする装置。
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引用文献:
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