专利摘要:
a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置し、かつ粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の少なくとも75パーセントがその塩形態で存在するポリマー粉体は、水中での優れた再分散性を有する。なし
公开号:JP2011514405A
申请号:JP2010545915
申请日:2009-01-13
公开日:2011-05-06
发明作者:カサーティ,フランソワ・エム.;キューン,ハートムート;ドムブロウスキー,ジュエルゲン;ペレロ,マルガリータ;ラザラス,エティエン;ロームラー,ゲーロルド
申请人:ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー;
IPC主号:C08F236-00
专利说明:

[0001] 本発明は水に再分散可能なポリマー粉体、特に、ポリマーがビニル芳香族コモノマーと1,3−ジエンコモノマーとの共重合した形態のカルボキシル化コポリマーを含む、水に再分散可能な粉体に関する。]
背景技術

[0002] 上記ポリマーから製造された水に再分散可能な粉体および建築産業におけるその使用は概して知られている。カルボキシル化ビニル芳香族−1,3−ジエンコポリマーは、「硬質」コモノマーと「軟質」コモノマー、すなわち、ビニル芳香族コモノマーと1,3−ジエンコモノマーとの間の比率を変えることにより、高い柔軟性、極性基体への高い接着性、および具体的な最終用途に対するコポリマーの高い適合性などの多くの利点を有する。]
[0003] 米国特許第6,632,861号(特許文献1)は、ビニル芳香族−1,3−ジエンコポリマーをベースにした粉体分散物組成物を含む自己平坦化スクリード(self−leveling screeds)およびコテで適用される床用組成物を開示する。]
[0004] このポリマー粉体は、ポリマーの水性分散物を、例えば、噴霧乾燥または凍結乾燥の手段によってその揮発性成分が蒸発させられる乾燥操作にかけることにより典型的に製造される。水性分散物の媒体の蒸発は、その水性分散物のポリマー粒子の互いに不可逆的な凝集を伴い、2次粒子を形成する場合がある。2次粒子の形成は結果的に、より劣った再分散性をもたらし、これは一般的に、その粉体のより劣った性能特性を伴う。よって、水中での良好な再分散性は、水に再分散可能なポリマー粉体の最も重要な特性の1つである。]
[0005] ポリマー粉体の水への再分散性を向上させるために、ポリマー粉体を製造する既知のプロセスにおいて、非常に様々な噴霧乾燥助剤が使用されている。]
[0006] 国際公開第97/38042号(特許文献2)は上記ポリマーベースの再分散可能な粉体に関する。ポリマーの水中での良好な再分散性を達成するために、噴霧乾燥前にポリマー懸濁物に噴霧乾燥助剤が添加される。噴霧乾燥助剤は、アルキル化ジフェニルエーテルジスルホン酸の塩、カゼイン酸塩および/またはN−アルキルスルホスクシンアミド、および/またはポリビニルアルコールと混合されたマレイン酸とのN−アルキル−スルホスクシナマート付加生成物のジ−もしくはテトラ−ナトリウムもしくはカリウム塩のブレンドである。]
[0007] 欧州特許出願公開第1,065,226号(特許文献3)は、ヒドロキシカルボン酸もしくはその塩が、ポリマーの量を基準にして3〜40重量%のヒドロキシカルボン酸もしくはその塩の量で、上記コポリマーの水性分散物に添加されており、その分散物が乾燥させられる、上記ポリマーをベースにした再分散可能な粉体を製造する方法に関する。]
[0008] 米国特許出願公開第2007/0004834号(特許文献4)は、水に再分散可能なポリマー粉体の製造における既知の噴霧乾燥助剤、並びにその欠点、特に、そのポリマーから生じる亀裂の入った膜の形成、または製造されたポリマー粉体の強い臭気を論述する。この公開第「834」号は、臭気もしくは色がなく、有効な再分散性および膜形成性を示すポリマー粉体を生じさせる噴霧乾燥助剤としてのポリビニルホルムアミドの使用を開示する。]
先行技術

[0009] 米国特許第6,632,861号明細書
国際公開第97/38042号パンフレット
欧州特許出願公開第1,065,226号明細書
米国特許出願公開第2007/0004834号明細書]
発明が解決しようとする課題

[0010] 水に再分散可能なポリマーの広範囲の最終用途の観点から、明らかに1つの単一製造方法または1つの単一噴霧乾燥助剤はその産業の全ての必要性を満足させることができない。よって、本発明の目的の1つは、ビニル芳香族コモノマーと1,3−ジエンコモノマーとのカルボキシル化コポリマーを含む水に再分散可能な新規のポリマー粉体、およびその製造方法を提供することである。本発明の好ましい目的は、良好な水への再分散性を示す、このような水に再分散可能なポリマー粉体を提供することである。本発明の別の好ましい目的は、強い臭気を有しない、このような水に再分散可能なポリマー粉体を提供することである。]
課題を解決するための手段

[0011] 驚くべきことに、ビニル芳香族コモノマーと1,3−ジエンコモノマーとのカルボキシル化コポリマーを含み、そのカルボキシル基の制御された分布および中和の程度を有する新規の水に再分散可能なポリマー粉体によって上記目的が達成されることが見いだされた。
本発明の第1の形態は、
a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、
b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、
c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びに
d)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;
を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置し、かつ粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の少なくとも75パーセントがその塩形態で存在する、水に再分散可能なポリマー粉体である。
本発明の別の形態は、
i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマー、並びに
ii)ポリマー中のカルボキシル基のモルあたり、少なくとも0.4モルの塩基性化合物;
を含む水性ポリマー分散物の乾燥残留物である、水に再分散可能なポリマー粉体である。
本発明のさらに他の形態は、
i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマー、並びに
ii)分散物のpHを少なくとも8.5に調節するのに充分な塩基性化合物;を含む、ポリマーの水性ポリマー分散物の乾燥残留物である、水に再分散可能なポリマー粉体である。
本発明のさらに他の形態は、
i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマーの水性分散物を提供する工程;
ii)分散物のpHを少なくとも8.5に調節する工程;並びに
iii)分散物を乾燥させる工程;を含む水に再分散可能な粉体を製造する方法。
本発明のさらに他の形態は、
i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマーの水性分散物を提供する工程;
ii)重合前、重合中または重合後に、ポリマー中のカルボキシル基のモルあたり少なくとも0.4モルの塩基性化合物を添加する工程;並びに
iii)分散物を乾燥させる工程;を含む、水に再分散可能な粉体を製造する方法である。
本発明のさらに他の形態は、ポリウレタン発泡体の製造における、この水に再分散可能なポリマー粉体の使用である。
本発明のさらに他の形態は、本発明の水に再分散可能なポリマー粉体をポリウレタン配合物に組み込むことを含む、ポリウレタン発泡体を製造する方法である。
本発明のさらに他の形態は、
A)ポリイソシアナート、
B)ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール、
C)発泡剤、
D)1種以上の任意の添加剤または補助化合物、並びに
E)前記水に再分散可能なポリマー粉体;
から製造されるポリウレタン発泡体である。
本発明のさらに他の形態は、建築産業用製品における、無機バインダーと組み合わせた前記水に再分散可能なポリマー粉体の使用である。
本発明のさらに他の形態は、無機バインダーと本発明の水に再分散可能なポリマー粉体とを含む組成物である。
本発明のさらに他の形態は、紙製品、板紙製品、カーペット裏当て、塗料もしくはコーティング、または木材、紙もしくは織物コーティングもしくは含浸組成物用バインダーにおける、前記水に再分散可能なポリマー粉体の使用である。]
[0012] 発明の詳細な記載
好適なビニル芳香族コモノマーa)の例には、スチレン、アルファ−メチルスチレン、C1−C4アルキルスチレン、例えば、o−ビニルトルエンおよびtetr−ブチルスチレンがある。スチレンが好ましい。1,3−ジエンb)の例には1,3−ブタジエンおよびイソプレンがあり、1,3−ブタジエンが好ましい。]
[0013] 好適なコモノマーc)の例には、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、およびその塩、特にアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸および/またはイタコン酸がある。ジカルボン酸またはその塩、特にイタコン酸、フマル酸、その塩およびこれらの組み合わせが好ましい。コモノマーc)がジカルボン酸もしくはその塩、特にイタコン酸、フマル酸、イタコン酸塩もしくはフマル酸塩、またはこれらの組み合わせである再分散可能なポリマー粉体は、同じ方法で製造されたがコモノマーc)がモノカルボン酸である類似の再分散可能なポリマー粉体よりも良好な再分散性を有することが見いだされた。]
[0014] 粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマー中のカルボキシル基の量を制御すること、およびポリマー粉体中に塩形態で存在するカルボキシル基の量を制御することが、ポリマー粉体の良好な水再分散性および良好な臭気制御を達成するために重要であることが見いだされた。ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセント、好ましくは少なくとも85パーセント、より好ましくは少なくとも95パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置し、かつ粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の少なくとも75パーセント、好ましくは少なくとも85パーセント、より好ましくは少なくとも90パーセント、もっとも好ましくは少なくとも95パーセントがその塩形態で存在する。]
[0015] ポリマー粉体中のカルボキシル基の全量はポリマー粒子の水性分散物中で決定される。カルボキシル基の全モル量は、水酸化ナトリウムのような強塩基性化合物が全ての存在する酸基を中和するのを可能にする溶媒でポリマー粒子を膨潤させることにより測定される。電位差滴定を用いて全酸滴定が行われる。2gの湿潤ポリマーが水で合計体積20mlに希釈される。pH範囲でこのポリマーの水性分散物を安定化させるために、7.5mlの油溶性界面活性剤溶液、例えば、オクチルフェノールエトキシラートのエタノール中の溶液が添加される。このポリマー粒子を膨潤させるために、滴定前に7.5mlのエチルメチルケトンが添加される。HCl(0.5M)を用いて、このサンプルのpHがpH2.5に調節される。滴定は0.5MのNaOHで行われる。滴定中のpH変化は記録され、重合に使用されたエチレン性不飽和モノ−もしくはジカルボン酸の中和当量点の決定を可能にする。水性分散物中に潜在的に存在する何らかの強酸基およびあらかじめ添加されたHClが中和される場合に、第1の中和点が記録される。エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸c)を起源とする全てのカルボキシル基が中和される場合に、最後の中和点が記録される。サンプルの全酸含量は、第1の当量点および最後の当量点のためのNaOH添加体積の差に基づいて計算されうる。]
[0016] i)固体ポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基のモル量と、ii)水性分散物の液相中のカルボキシル基、例えば、水相に溶解している低分子量ポリマー中に存在するカルボキシル基のモル量との合計は、別々に測定可能である。水性ポリマー分散物の液相は、当業者によって典型的には「セラム」と称される。水性ポリマー分散物の乾燥時に、セラムに位置するカルボキシル基はポリマー粒子の表面に堆積する。よって、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数を基準にした、粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基のパーセンテージは、固体ポリマー粒子の表面に位置するおよび水性分散物の液相に位置するカルボキシル基の量を包含する。ポリマー粒子の表面に位置するおよびセラム中のカルボキシル基のモル量は、水酸化ナトリウムのような強塩基性化合物が容易に到達可能な酸基のみを中和することを可能にする溶媒を用いて、ポリマー粒子を膨潤させることなく測定される。この表面およびセラム酸滴定は電位差滴定を用いて行われる。2gの湿潤ポリマーが水で20mlの総体積に希釈される。サンプルのpHは、HCl(0.5M)を用いてpH2.5に調節される。滴定は0.5MのNaOHを用いて行われる。滴定中のpHの変化が記録され、セラム層に位置するおよびポリマー粒子の表面上に位置するカルボン酸基の中和当量点の決定を可能にする。水性分散物中に潜在的に存在する何らかの強酸基およびあらかじめ添加されたHClが中和される場合に、第1の中和点が記録される。エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸c)を起源とする全てのカルボキシル基が中和される場合に、最後の中和点が記録される。サンプルの全酸含量は、第1および最後の当量点のためのNaOH添加体積の差に基づいて計算されうる。]
[0017] 固体ポリマー粒子の表面に位置する、および水性分散物の液相中のカルボキシル基の測定されたモル量を、ポリマー粒子の水性分散物中のカルボキシル基の測定された全量で割って、ポリマー粉体の表面に位置するカルボキシル基のパーセンテージを計算する。]
[0018] 粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の高いパーセンテージは、i)コモノマーc)として1種以上のエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えば、フマル酸もしくはイタコン酸またはこれらの組合わせの単独での使用によって、またはii)さらに後述される重合の進行した段階でのコモノマーc)の添加をはじめとする段階的なモノマー供給によって、またはiii)さらに後述されるpHで重合を行うことにより;得られうる。]
[0019] 粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の数を基準にした、粉体中のポリマー粒子の表面に位置し、かつ塩形態で存在するカルボキシル基のパーセンテージは、第1の当量点および目標のpHに到達するのに必要なNaOH量の差を計算することにより決定される。この差は、次いで、上述のように、ポリマー粒子の表面に位置する全ての酸基を中和するのに必要とされるNaOH量で割られる。この比率は所定のpHで中和された酸基の程度を表す。
V1=第1の中和点に到達するためのNaOHの体積
V2=最終の中和点に到達するためのNaOHの体積
V3=所定のpHに到達するためのNaOHの体積
中和パーセント:(V3−V1)/(V2−V1)*100]
[0020] カルボン酸塩に有用なカチオンはアンモニウム、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンである。好ましいカチオンはアルカリ金属イオン、より好ましくは、ナトリウムもしくはカリウム、またはアルカリ土類金属イオン、より好ましくはカルシウムもしくはマグネシウムである。]
[0021] 任意のコモノマーd)の例はエチレン性不飽和カルボキサミドおよびカルボニトリル、好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリルもしくはメタクリロニトリル;アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸もしくはマレイン酸のジエステル、例えば、ジエチルもしくはジイソプロピルエステル、アクリル酸もしくはメタクリル酸ヒドロキシアルキル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル;官能性モノマー、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウム、スルホエチルメタクリラート、およびスルホプロピルメタクリラートである。任意のコモノマーd)の他の例は、架橋性コモノマー、例えば、2以上のエチレン性不飽和を有するコモノマー、例えば、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジアリル、メタクリル酸アリル、もしくはシアヌル酸トリアリル、または後架橋性(postcrosslinking)コモノマー、例えば、アクリルアミドグリコール酸(AGA)、メチルメチルアクリルアミドグリコラート(MAGME)、N−メチロール−アクリルアミド(NMA)、N−メチロールメタクリルアミド、アリルN−メチロールカルバマート、アルキルエーテル、例えば、N−メチロールアクリルアミドの、N−メチロールメタクリルアミドの、またはアリルN−メチロールカルバマートのイソブトキシエーテルもしくはエステルである。他の好適なコモノマーはエポキシ官能性コモノマー、例えば、メタクリル酸グリシジル、およびアクリル酸グリシジルである。コモノマーの他の例はケイ素官能性コモノマー、例えば、アクリルオキシプロピル−トリ(アルコキシ)シランおよびメタクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、ビニルトリアルコキシシラン、およびビニルメチルジアルコキシシランであり、存在しうるアルコキシ基の例にはエトキシ基およびエトキシ(プロピレングリコール)エーテル基がある。]
[0022] ポリマーは好ましくは、コポリマーの全重量を基準にして、20〜79.9パーセントのコモノマーa)、20〜79.9パーセントのコモノマーb)、0.1〜15パーセントのコモノマーc)および0〜40パーセントのコモノマーd)を含む。より好ましくは、ポリマーは、コポリマーの全重量を基準にして、30〜70パーセントのコモノマーa)、20〜60パーセントのコモノマーb)、0.5〜10パーセントのコモノマーc)および0〜20パーセントのコモノマーd)を含む。最も好ましくは、ポリマーは、50〜70パーセントのコモノマーa)、25〜49パーセントのコモノマーb)、および1〜5パーセントのコモノマーc)を含む。]
[0023] 本発明の別の形態においては、水に再分散可能なポリマー粉体は、i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマー、並びに
iia)ポリマー中のカルボキシル基のモルあたり、少なくとも0.4モル、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.6〜1.8モル、最も好ましくは0.7〜1.5モルの塩基性化合物、またはiib)分散物のpHを少なくとも9.5、好ましくは少なくとも10.0、より好ましくは少なくとも10.5、かつ好ましくは12.5以下、より好ましくは12.0以下、最も好ましくは11.5以下に調節するのに充分な塩基性化合物;を含むポリマーの水性ポリマー分散物の乾燥残留物である。]
[0024] 塩基性化合物は好ましくは無機塩基性化合物、より好ましくは無機強塩基性化合物、特にアルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物、例えば、NaOH、KOH、LiOH、Mg(OH)2またはCa(OH)2である。最も好ましくは、塩基性化合物はアルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。]
[0025] 好ましいコモノマーa)、b)c)および任意のコモノマーd)は上述のものである。]
[0026] 理論に拘束されるのを望まないが、水性ポリマー分散物における上記塩基性化合物の上記量での存在が、ポリマー中の大部分のカルボン酸基もしくはカルボン酸無水物基を酸基の塩形態に変換すると出願人は考える。水性分散物中のコポリマーに存在するカルボン酸基もしくはカルボン酸無水物基の少なくとも75パーセント、より好ましくは少なくとも85パーセント、最も好ましくは少なくとも95パーセントが酸基の塩形態に変換され、水性ポリマー分散物の乾燥残留物中で塩形態のままであると出願人は考える。]
[0027] モノマー、およびコモノマー重量比率は、概して、ガラス転移温度Tgが−60℃〜+80℃、好ましくは−20℃〜+50℃、より好ましくは−10℃〜+30℃となるように一般的に選択される。ポリマーのガラス転移温度Tgは示差走査熱量計(DSC)の手段によって公知の方法で決定されうる。]
[0028] コポリマーは乳化重合プロセスまたは懸濁重合プロセスによって、好ましくは乳化重合プロセスによって製造されうる。重合温度は一般的に、40℃〜105℃、好ましくは60℃〜95℃である。重合は典型的には、乳化重合または懸濁重合にとって普通の、水可溶性もしくはモノマー可溶性開始剤、またはレドックス開始剤組み合わせの手段によって開始される。水可溶性開始剤の例には、ペルオキソ二硫酸のナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩、過酸化水素、t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ペルオキソ二リン酸カリウム、tert−ブチルペルオキソピバラート、クメンヒドロペルオキシド、イソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、およびアゾビスイソブチロニトリルがある。モノマー可溶性開始剤の例には、ジセチルペルオキシジカルボナート、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボナートおよびジベンゾイルペルオキシドがある。言及された開始剤は、それぞれの場合で、モノマーの全重量を基準にして、概して、0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%の量で使用される。]
[0029] レドックス開始剤として、還元剤を伴った上記開始剤が有用である。好適な還元剤は、アルカリ金属のおよびアンモニウムの亜硫酸塩および重亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、スルホキシル酸誘導体、例えば、亜鉛もしくはアルカリ金属ホルムアルデヒドスルホキシラート、例えば、ナトリウムヒドロキシメタンスルフィナート、およびアスコルビン酸である。還元剤の量は、それぞれの場合において、モノマーの全重量を基準にして、一般的に、0.1〜3重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。]
[0030] 分子量を制御するために、調節物質(連鎖移動剤)が重合中に使用されうる。調節剤が使用される場合には、それは、重合されるモノマーを基準にして、通常、0.01〜5.0重量%の量で使用され、そして、調節剤は反応成分とは別に、または反応成分とあらかじめ混合した後で計量される。このような物質の例には、n−ドデシルメルカプタン、tetr−ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸、メチルメルカプトプロピオナート、イソプロパノール、アセトアルデヒドまたはダイマーアルファメチルスチレンがある。]
[0031] 重合プロセスは好ましくは1種以上の乳化剤の存在下で起こる。例外的な場合には、乳化剤の非存在下で重合するのも有利であり得る。乳化剤の好適な量は、モノマーの量を基準にして、概して、0.1〜5重量%である。好適な乳化剤には、アニオン性、カチオン性および非イオン性乳化剤、例えば、アニオン性界面活性剤、例えば、8〜18炭素原子の鎖長を有するアルキル硫酸塩、疎水性基に8〜18の炭素原子を有しかつ40以下のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド単位を有するアルキルもしくはアルキルアリールエーテル硫酸塩、8〜18の炭素原子を有するアルキルスルホン酸塩またはアルキルアリールスルホン酸塩、アルキル化ジフェニルオキシドスルホン酸塩、スルホコハク酸の一価アルコールもしくはアルキルフェノールでのエステルおよびモノエステル、または非イオン性界面活性剤、例えば、8〜40のエチレンオキシド単位を有するアルキルポリグリコールエーテルもしくはアルキルアリールポリグリコールエーテルがある。]
[0032] 反応混合物を安定化させるために、1種以上の界面活性剤の代わりに、または1種以上の界面活性剤に加えて、保護コロイドが使用されうる。好適な保護コロイドはポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;ポリビニルピロリドン;水可溶性形態の多糖、例えば、デンプン(アミロースおよびアミロペクチン)、セルロースおよびそのカルボキシメチル、メチル、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピル誘導体;タンパク質、例えば、カゼインもしくはカゼイン酸塩、大豆タンパク質、ゼラチン;リグニンスルホン酸塩;合成ポリマー、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリラートとカルボキシル官能性コモノマー単位とのコポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルスルホン酸、およびその水可溶性コポリマー;メラミンホルムアルデヒドスルホン酸塩、ナフタレンホルムアルデヒドスルホン酸塩、およびスチレンマレイン酸およびビニルエーテルマレイン酸コポリマーである。]
[0033] モノマーの全てが初期チャージを形成することができるか、またはモノマーの全てがフィードを形成することができるか、またはモノマーのある部分が初期チャージを形成することができ、かつ重合が開始した後で残部がフィードを形成することができる。この手順は好ましくは、モノマーの全重量を基準にして0〜50重量%が初期チャージを形成し、残部がフィードを形成するものである。フィードは(空間的におよび時間的に)分けられることができ、または供給される成分の全部もしくは幾分かはあらかじめ乳化した後に供給されうる。エチレン性不飽和モノカルボン酸またはその塩が、重合プロセスにおいて、モノマーc)として使用される場合には、それは好ましくは重合が進んだ段階、好ましくはモノマーの60パーセント超、好ましくは75パーセント超が重合された段階で添加される。エチレン性不飽和モノカルボン酸またはその塩が、重合プロセスにおいてモノマーc)として使用される場合には、好ましくは水性分散物のpHは3〜9、より好ましくは4〜8、最も好ましくは6〜7である。このpHはモノマーc)の重合が進んだ段階での添加の代わりに、またはその添加に加えて適用されうる。]
[0034] 重合の完了後に、残留するモノマーを除去するために、既知の方法を用いて、一般的に、レドックス触媒により開始される重合後の手段によって、重合後処理が行われうる。揮発性の残留モノマーは、蒸留、好ましくは減圧下での蒸留の手段によって、所望の場合には重合混合物中またはその上を空気、窒素または水蒸気のような不活性同伴ガスを通過させつつ、除去されることもできる。この方法で得られうる水性分散物は、概して、30〜75重量%、好ましくは40〜60重量%の固形分量を有する。]
[0035] 上記乳化重合プロセスもしくは懸濁重合プロセスによって、a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマーの水性分散物が調製される。]
[0036] 上記塩基性化合物は重合前、重合中または重合後に、水性ポリマー分散物のための出発組成物に、または水性ポリマー分散物に、ポリマー中のカルボキシル基のモルあたり少なくとも0.4モル、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.6〜1.8モル、最も好ましくは0.7〜1.5モルの塩基性化合物量で添加される。あるいは、上記塩基性化合物は水性ポリマー分散物のpHを少なくとも9.5、好ましくは少なくとも10.0、より好ましくは少なくとも10.5、および好ましくは12.5以下、より好ましくは12.0以下、最も好ましくは11.5以下に調節する様な量で添加される。]
[0037] 驚くべきことに、水性ポリマー分散物を乾燥させる前に塩基性化合物を添加することが、水性ポリマー分散物を乾燥させて得られるポリマー粉体の水への再分散性を実質的に増加させることが見いだされた。さらに、驚くべきことに、水性ポリマー分散物を乾燥することにより得られるカルボキシル化ビニル芳香族−1,3−ジエンを含むポリマー粉体は、上述のように塩基性化合物が添加された場合には、乾燥前に塩基性化合物が添加されない比較のポリマー粉体よりも著しく低い臭いを示すことが見いだされた。本発明のある実施形態においては、驚くべきことに、カルボキシル化ビニル芳香族−1,3−ジエンを含む再分散可能なポリマー粉体は、揮発性有機化合物をより少ない量で、例えば、重合プロセスに使用される添加剤、例えば、ドデシルメルカプタンのような連鎖移動剤の臭気性分解生成物をより少ない量でしか含まないことが見いだされた。理論に拘束されるのを望まないが、出願人は、上記塩基性化合物の種類および量の存在が、噴霧乾燥プロセスに適用される条件、例えば、高温における安定化効果を有することを見いだしたと考える。]
[0038] 水性分散物を乾燥させる前に、塩基性化合物に加えて、噴霧乾燥助剤および/または消泡剤のような任意の添加剤が添加されうる。噴霧乾燥助剤は、一般的に、分散物のポリマー構成要素を基準にして、全量3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%で使用される。好ましい噴霧乾燥助剤は、部分加水分解ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;水に可溶性の形態の多糖、例えば、デンプン(アミロースおよびアミロペクチン)、セルロースおよびそのカルボキシメチル、メチル、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピル誘導体;タンパク質、例えば、カゼインもしくはカゼイン酸塩、大豆タンパク質、ゼラチン;リグニンスルホン酸塩;合成ポリマー、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリラートとカルボキシル官能性コモノマー単位とのコポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルスルホン酸、およびその水可溶性コポリマー;メラミンホルムアルデヒドスルホン酸塩、ナフタレンホルムアルデヒドスルホン酸塩、スチレンマレイン酸およびビニルエーテルマレイン酸コポリマー、好ましくはアルキル化ジフェニルエーテルジスルホン酸の塩、N−アルキルスルホスクシンアミド、並びに/またはN−アルキルスルホスクシナマートとマレイン酸との付加生成物の二もしくは三ナトリウムもしくはカリウム塩である。]
[0039] ポリマー粒子の重量を基準にして1.5重量%以下の含有量の消泡剤が、噴霧乾燥中に有利であり得る。]
[0040] 噴霧乾燥されるフィードの粘度は、好ましくは、1000mPas未満、好ましくは250mPas未満の値(20回転および23℃でのブルックフィールド粘度)が得られるように、固形分含量で調節される。噴霧乾燥される分散物のこの固形分量は、分散物の全重量を基準にして一般的に30〜75重量%、好ましくは40〜60重量%である。]
[0041] 水に再分散可能なポリマー粉体を製造するために、水性分散物は、例えば、流動床乾燥、凍結乾燥または噴霧乾燥の手段によって、乾燥させられる。分散物は好ましくは噴霧乾燥させられる。噴霧乾燥は、霧化が単一流体、2流体もしくは複数流体ノズルまたはロータリーディスク霧化器の手段によって行われうる通常の噴霧乾燥プラントで行われることができる。一般に、空気、窒素もしくは窒素富化空気が乾燥用ガスとして使用され、乾燥用ガスの入口温度は典型的には200℃を超えない。この入口温度は、好ましくは110〜180℃、より好ましくは140〜170℃である。出口温度は、プラント、樹脂のTgおよび望まれる乾燥の程度に応じて、一般的に、45℃〜120℃、好ましくは60℃〜90℃の範囲で設定される。]
[0042] 貯蔵安定性を高めるために、例えば、固結およびブロッキングを防止するために、並びに/または粉体の流動性を向上するために、固結防止剤(ブロッキング防止剤)がポリマー粉体に添加されることができる。粉体が依然として微細に分散されている限りは、例えば、依然として乾燥用ガス中に懸濁されている限りは、好ましくは、この添加は行われる。固結防止剤は好ましくは無機物質由来のものである。好ましくは、ポリマー系構成要素の全重量を基準にして30重量%以下の量で添加される。固結防止剤の例には、これに限定されないが、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、石膏、シリカおよびシリケートが挙げられる。固結防止剤の粒子サイズは、好ましくは10nm〜10μmの範囲である。好ましい固結防止剤はカオリンである。固結防止剤の量は、全粉体量を基準にして、好ましくは3〜20パーセントであり、より好ましくは10〜15パーセントである。]
[0043] 本発明の好ましい実施形態においては、再分散可能なポリマー粉体は、保護コロイドもしくは固結防止剤をさらに含み、より好ましくは再分散可能なポリマー粉体はこれら双方を含む。1種より多い保護コロイドおよび1種より多い固結防止剤が使用されうることが理解される。]
[0044] 再分散可能な粉体の粒子サイズ分布のX50サイズは乾燥条件および乾燥装置に依存する。X50はmmでのメジアン直径を表し、これは粒子の50重量%がこの直径よりも小さいことを意味する。生産された水に再分散可能なポリマー粉体は、好ましくは、5〜100マイクロメートル、好ましくは20〜90マイクロメートル、最も好ましくは50〜80マイクロメートルのX50粒子サイズ直径を有する。粉体の粒子サイズ分布は、圧縮空気によって粉体を分散させ、測定範囲1,8−350μmで粒子サイズ分析機「シンパテック へロス(Sympatec Helos)」を用いるレーザー回折によって測定されうる。粉体中のポリマー粒子、すなわち、本明細書において記載される粉体中のビニル芳香族コモノマーと1,3−ジエンコモノマーとのカルボキシル化コポリマーの重量は、一般的に、水に再分散可能なポリマー粉体の全重量の少なくとも50パーセント、より好ましくは少なくとも70パーセントであり、かつ一般的に、水に再分散可能なポリマー粉体の95パーセント以下、好ましくは85パーセント以下、より好ましくは80パーセント以下である。]
[0045] 本発明の水に再分散可能なポリマー粉体は様々な用途を有する。好ましい用途は、ポリウレタン発泡体の製造に関する。ポリウレタン発泡体の硬さおよび柔軟性が、本発明の再分散可能なポリマー粉体をポリウレタン配合物に組み込むことにより調節されうることが見いだされた。ポリウレタン配合物中での本発明の水に再分散可能なポリマー粉体の存在は、この配合物から生じるポリウレタン発泡体に対する軟化効果を有することが見いだされた。この粉体は取り扱うのが容易であり、かつ袋に入れて容易に輸送されうる。ラテックス中の水の量がポリウレタン発泡体配合物におけるラテックスの組み込みのための限定要因である、ラテックスの場合におけるように、その量は限定されない。再分散可能なポリマー粉体がポリウレタン発泡体の生産において補助触媒として機能しうることも驚くべきことに見いだされた。これはポリウレタン発泡体の生産に使用される触媒量の低減を可能にする。多くの有機金属触媒、例えば、オクタン酸第1スズなどは発泡体の加齢によってその酸を遊離することにより揮発性有機化合物を放出する傾向がある。よって、触媒使用の低減は環境的理由のために有利である。]
[0046] よって、本発明の別の形態は
A)ポリイソシアナート、
B)ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール、
C)発泡剤、
D)1種以上の任意の添加剤または補助化合物、並びに
E)本発明のまたは本発明の方法に従って製造された、水に再分散可能なポリマー粉体;
から製造されたポリウレタン発泡体である。
本発明のポリウレタン発泡体についての用途は当該産業界で知られているものである。軟質のおよび半軟質の発泡体には、寝具、家具、自動車シート、サンバイザー、肘掛け、ドアパネル、防音材および断熱材のような用途における使用が見いだされる。]
[0047] 本発明において使用されうるポリイソシアナートA)には、少なくとも2つのイソシアナート基を有する脂肪族、環式脂肪族、アリール脂肪族および芳香族ポリイソシアナートが挙げられる。軟質スラブストック発泡体の製造のためには、芳香族ポリイソシアナートが好ましい。好適な芳香族ポリイソシアナートの例には、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の4,4’−、2,4’および2,2’−異性体、これらのブレンド、並びに、ポリマーMDIブレンド、モノマーMDIブレンド、トルエン−2,4−および2,6−ジイソシアナート(TDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアナート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアナート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアナート、およびジフェニルエーテルジイソシアナート、および2,4,6−トリイソシアナトトルエン、並びに2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。市販のトルエンジイソシアナートの2,4−および2,6−異性体の混合物のような、異性体の混合物が使用されることができる。クルードのポリイソシアナート、例えば、トルエンジアミンの混合物のホスゲン化によって得られるクルードのトルエンジイソシアナート、またはクルードのメチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られるクルードのジフェニルメタンジイソシアナートも本発明の実施において使用されることができる。TDI/MDIブレンドも使用されうる。ポリオールを用いて製造されるMDIまたはTDIベースのプレポリマーも使用されうる。過剰のポリイソシアナートをポリオール、例えばアミノ化ポリオール、もしくはそのイミン/エナミンまたはポリアミンと反応させることによって、イソシアナート末端化プレポリマーが製造される。脂肪族ポリイソシアナートの例としては、エチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(H12MDI)、上記芳香族イソシアナートの飽和類似体、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましいポリイソシアナートはトルエン−2,4−および2,6−ジイソシアナート、もしくはMDI、もしくはTDI/MDIの組み合わせ、もしくはそれらから製造されるプレポリマーである。]
[0048] ポリエーテルまたはポリエステルポリオールB)は、イソシアナートとの反応を受けうる活性水素原子を含む少なくとも1つの基を有する物質である。このような化合物の中で好ましいのは、分子あたり少なくとも2つの第一級もしくは第二級のヒドロキシル、または少なくとも2つの第一級もしくは第二級のアミン、カルボン酸またはチオール基を有する物質である。ポリイソシアナートに対するその望ましい反応性のために、分子あたり少なくとも2つのヒドロキシル基または少なくとも2つのアミン基を有する化合物が特に好ましい。アルキレンオキシドおよび/またはポリエステルポリオールの重合に基づくポリエーテルポリオールはイソシアナートと共にポリウレタンシステムの主要な構成要素である。ポリオールは、SAN(スチレン/アクリロニトリル)、PIPA(ポリイソシアナートポリ付加)またはPHD(ポリウレア)ポリオールのようなフィルドポリオール(filled polyols)であることもできる。]
[0049] 本発明のポリウレタン発泡体を製造するのに使用されうる好適なポリオール(B)は当該技術分野で周知であり、本明細書において記載されるもの、および他の市販のポリオール、並びに/またはSAN、PIPAもしくはPHDコポリマーポリオールが挙げられる。このようなポリオールはHanser publisher、G.Oertel(ハンセル出版社、ジー.オーター)による「Polyurethane Handbook(ポリウレタンハンドブック)」に記載されている。本発明に従ってポリウレタン製品を生産するために、1種以上のポリオールおよび/または1種以上のコポリマーポリオールの混合物も使用されうる。]
[0050] 代表的なポリオールには、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端化アセタール樹脂、ヒドロキシ末端化アミンおよびポリアミンが挙げられる。天然オイルベースのポリオールも使用されうる。これらのおよび他の好適なイソシアナート反応性物質の例は米国特許第4,394,491号により充分に記載されている。使用されうる代替的なポリオールには、ポリアルキレンカーボナートベースのポリオール、およびポリホスファートベースのポリオールが挙げられる。好ましいのは、2〜8、好ましくは2〜6、より好ましくは2.1〜4の活性水素原子を有する名目官能性を最終ポリオールに付与するための開始剤もしくは開始剤のブレンドへの、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこの組み合わせのようなアルキレンオキシドの付加により製造されるポリオールである。この重合のための触媒はアニオン性もしくはカチオン性であることができ、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素、またはダブルシアニド錯体(double cyanide complex;DMC)触媒、例えば、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛、または第四級ホスファゼニウム化合物のような触媒でありうる。アルカリ触媒の場合には、製造の終わりに、融合(coalescence)、ケイ酸マグネシウム(マグシル;magsil)分離、イオン交換のような適切な仕上げ工程によって、または好適さはより低いものの酸中和によって、アルカリ触媒はポリオールから除去される。DMC触媒製造されたポリオールのの場合には、仕上げ工程は回避されうる。]
[0051] 使用されるポリオールまたはそのブレンドは、製造されるポリウレタン発泡体の最終用途に依存する。よって、使用される単一種または複数種のポリオールのヒドロキシル価および分子量は広範囲にわたって変化しうる。一般に、発泡体の製造に使用するために使用されるポリオールのヒドロキシル価は15〜400の範囲であり得る。]
[0052] 軟質ポリウレタン発泡体の製造において、ポリオールは好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール、またはポリエーテルエステルポリオールである。このポリオールは、一般的に、平均で、2〜5、好ましくは2〜4の範囲の官能基を有し、かつ15〜300mgKOH/g、好ましくは20〜200,より好ましくは20〜100mgKOH/gの範囲の平均ヒドロキシル価を有する。さらなる改良として、具体的な発泡体用途は同様にベースポリオールの選択に影響を及ぼしうる。例えば、軟質成形発泡体については、ベースポリオールのヒドロキシル価は、エチレンオキシド(EO)キャッピングを伴って約20〜60であることができ、軟質スラブストック発泡体については、ヒドロキシル価は約25〜75であることができ、かつ混合フィードEO/PO(プロピレンオキシド)であるか、またはEOでわずかにのみキャップされるか、または100パーセントPOベースである。]
[0053] 高反発性軟質スラブストック(HRスラブストック)発泡体は、従来の軟質スラブストック発泡体を製造するのに使用されるのと類似するが、より高い当量重量ポリオールを使用する方法で製造される。HR軟質スラブストック発泡体は、ASTM3574.93の手順に従って測定して、少なくとも40パーセントのボール反発スコアを示すものとして特徴づけられる。水の量は、概して、ポリオールの100重量部あたり、約2〜約6部、特に、約3〜約5部である。]
[0054] ポリオール(B)の製造のための開始剤は、一般的に、アルキレンオキシドと反応することができ、かつ窒素を含まない官能基を2〜8つ有する。好適な開始剤分子の例は、水、有機ジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、フタル酸およびテレフタル酸、並びに多価、特に2価〜8価のアルコールまたはジアルキレングリコール、例えば、エタンジオール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよびスクロース、またはこれらのブレンドである。]
[0055] (B)のポリオールの全部もしくは一部分は、天然のおよび/または遺伝的に改変された(GMO)植物種子油および/または動物起源の脂肪のような再生可能な資源に基づくもしくは由来することもできる。好ましい植物油の例には、例えば、ひまし油、大豆油、オリーブ油、ピーナッツ油、菜種油、トウモロコシ油、ごま油、綿実油、キャノーラ油、サフラワー油、亜麻仁油、ヤシ油、ヒマワリ種子油またはこれらの組み合わせからのものが挙げられる。好ましいソースまたは再生可能なポリオールは、大豆油および/またはひまし油および/またはキャノーラ油に由来する。]
[0056] 軟質ポリウレタン発泡体の製造に使用するために、天然の物質にイソシアナート基を付与するように、または天然の物質におけるイソシアナート反応性基の数を増大させるように、天然の物質を改変することが一般的に望ましい。好ましくは、このような反応性基はヒドロキシル基である。再生可能な資源のこのような改変には、例えば、米国特許第6,107,433号または米国特許第6,121,398号に記載されるようなエポキシ化;国際公開第2003/029182号に記載されるようなヒドロキシル化;米国特許第6,897,283号、第6,962,636号、または第6,979,477号に記載されるようなエステル化;国際公開第2004/096744号に記載されるようなヒドロホルミル化;米国特許第4,640,801号に記載されるようなグラフト化;または米国特許第4,534,907号もしくは国際公開第2004/020497号に記載されるようなアルコキシル化が挙げられる。天然産物を改変するための上記引用文献は参照によって本明細書に組み込まれる。天然油の改変によるこのようなポリオールの製造後、改変された生産物はさらにアルコキシ化されうる。EOもしくはEOと他のオキシドとの混合物の使用は、ポリオールに親水性部分を導入する。]
[0057] 天然油ベースのポリオールは、国際公開第2004/096882号、および第2004/096883号、および出願人の係属中の米国出願第60/676,348号、タイトル「第2級アルコール基を含むポリエステルポリオール、およびポリウレタン、例えば、軟質ポリウレタン発泡体の製造におけるその使用」に開示されるような上記改変技術の組み合わせによって得られることもでき、これらの開示は参照によって本明細書に組み込まれる。]
[0058] ポリイソシアナートとあらかじめ反応させられたポリオールもポリウレタン形成において使用されうる。標準的な装置を用い、従来の方法、例えば、反応器中でポリオールを加熱し、イソシアナートを攪拌下でゆっくりと添加する方法を用いて、イソシアナートプレポリマーが製造されうる。]
[0059] ポリウレタンベースの発泡体を製造するために、発泡剤C)が一般的に必要とされる。軟質ポリウレタン発泡体の製造においては、水は発泡剤として好ましい。水の量は、ポリオール100重量部を基準にして、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部の範囲であり、さらにより好ましくは、水はポリオール100部あたり2〜5部である。ある用途においては、水は好ましくはポリオールの3重量部以上で存在する。ある好ましい実施形態においては、水はポリオールの6重量部以下で存在する。好ましくはないが、他の発泡剤は液体または気体の二酸化炭素、塩化メチレン、アセトン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、メチラールまたはジメトキシメタン、炭酸ジメチルであり得る。米国特許第5,194,453号に開示されるような、人工的に低くしたもしくは高くした気圧の使用、または泡立たせることも、本発明に関して意図されうる。]
[0060] 本発明のポリウレタン発泡体を製造するための必須成分は、先に詳述した再分散可能なポリマー粉体(E)である。水に再分散可能なポリマー粉体は好ましくは、ポリエーテルポリオールもしくはポリエステルポリオールの100部あたり、約0.1〜約40重量部、好ましくは約0.5〜約20重量部、より好ましくは約1〜約15重量部の量で、本発明のポリウレタン発泡体を製造するための反応混合物に組み込まれる。]
[0061] ポリウレタンポリマーの製造において、上記必須成分に加えて、1種以上の任意の添加剤または補助化合物D)を使用することが多くの場合望ましい。これら任意の添加剤または補助化合物D)の中には、触媒、架橋剤、鎖延長剤(chain extenders)、セル調節剤(cell regulators)、安定化剤、難燃添加剤界面活性剤、保存剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、強化剤、安定化剤および充填剤、または再利用されるポリウレタン粉体がある。このような補助化合物D)は当該技術分野において知られている。架橋剤または鎖延長剤の使用は、例えば、米国特許第4,863,979号、第4,883,825号および第4,963,399号、並びに欧州特許出願公開第549,120号において知られている。]
[0062] ポリオールとポリイソシアナートとの反応のための1種以上の触媒が使用されうる。第三級アミン化合物、イソシアナート反応性基を有するアミン、および有機金属化合物をはじめとする、任意の好適なウレタン触媒が使用されることができる。典型的な第三級アミン触媒には、トリエチレンジアミン、;N−メチルモルホリン;N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン;ペンタメチルジエチレントリアミン;テトラメチルエチレンジアミン;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル;1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン;3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン;N−エチルモルホリン;ジメチルエタノールアミン;N−ココモルホリン;N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン;N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノ−プロピルアミン;およびジメチルベンジルアミンが挙げられる。典型的な有機金属触媒には、有機ビスマス触媒、有機水銀触媒、有機鉛触媒、有機鉄触媒および有機スズ触媒が挙げられ、この中では有機スズ触媒が好ましい。好適なスズ触媒には、塩化第1スズ、カルボン酸のスズ塩、例えば、ジブチルスズジラウラート、およびオクタン酸第1スズ、並びに米国特許第2,846,408号に開示されるような他の有機金属化合物が挙げられる。好ましい有機ビスマス触媒は、エアプロダクツ(Air Products)によりダブコ(Dabco商標)MB20として販売されているネオデカン酸ビスマスである。結果的にポリイソシアヌラートを生じさせるポリイソシアナートのトリマー化のための触媒、例えば、アルカリ金属アルコキシドなども場合によってここで使用されうる。アミン触媒の量は、一般的には、配合物中の0.02〜5パーセントで変換することができる。有機金属触媒の量は、一般的には、配合物中の0.001〜1パーセントで変化することができる。国際公開第01/58976号または米国特許第5,476,969号で特許請求の範囲に特定されているもののような自己触媒的ポリオールが本発明のポリウレタン発泡体において使用されうる。]
[0063] 驚くべきことに、再分散可能なポリマー粉体がポリウレタン発泡体の製造における補助触媒として機能しうることが見いだされた。このことは、一般的に、再分散可能なポリマー粉体が存在しないポリウレタン発泡体の製造において典型的に使用される触媒の量の低減を可能にする。オクタン酸第1スズのような多くの有機金属触媒は揮発性有機化合物を放出させる傾向がある。これらの使用の低減は環境保護的な理由のために有利であり得る。]
[0064] ポリウレタン製品を製造する方法は当該技術分野において周知である。一般に、ポリウレタン形成性の反応混合物の成分は任意の都合のよい方法で、例えば、ハンセル出版社、ジー.オーターによる「ポリウレタンハンドブック」に記載されるような、この目的のための先行技術に記載される任意の混合装置を使用することによって、一緒に混合されることができる。再分散可能なポリマー粉体は、粉体として、A)ポリイソシアナート、B)ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール、C)発泡剤、およびD)任意に1種以上の添加剤または補助化合物を含む反応混合物に、当該反応混合物が軟質ポリウレタン発泡体に処理される前に、添加されることができる。しかし、好ましくは、再分散可能なポリマー粉体は、成分A)、B)、C)および任意にD)が混合される前に、成分A)〜D)の少なくとも1つにあらかじめ分散される。より好ましくは、再分散可能なポリマー粉体E)はポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールにあらかじめ分散される。得られる発泡体は典型的には約10kg/m3から最大80kg/m3である。好ましい範囲は、密度が約10kg/m3〜60kg/m3、より好ましくは約10kg/m3〜50kg/m3である。さらにより好ましい実施形態においては、軟質スラブストック発泡体は40kg/m3以下の密度を有する。]
[0065] 本発明の別の好ましい形態にいては、本発明の水に再分散可能なポリマー粉体は建築産業用製品において無機バインダーと組み合わせて使用される。より好ましくは、水に再分散可能なポリマー粉体は、無機水硬(inorganic hydraulic)バインダーをさらに含む硬化性組成物中に添加剤として使用される。無機バインダーの例としては、セメント、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント、ポゾランセメント、スラグセメント、マグネシアセメントおよびホスファートセメント;半水石膏および水ガラスが挙げられる。本発明に従ったポリマー組成物の具体的な用途はタイル接着剤、建築用接着剤、レンダー(renders)、目地モルタル、プラスター、コテ塗り用組成物、充填用組成物、例えば、床用充填用組成物(例えば、自己平坦化床用組成物)、コンクリート補修用接合剤(concrete repair joint)、および目地モルタルにおいてである。特に、本明細書において記載される水に再分散可能なポリマー粉体の、硬化性組成物、例えば、セメントベースのタイル接着剤もしくは外断熱複合材料システムにおける使用は、結果として、高い初期接着強度、水に浸積した後での高い接着強度(耐水性)、および水和した硬化性組成物の最終適用前に特定の「オープンタイム(open time)」を可能にした後での高い接着強度をもたらす。水に再分散可能なポリマー粉体の好ましい用途はタイル接着剤であり、より好ましくはセメントベースのタイル接着剤である。セメントベースのタイル接着剤は、典型的には、水硬性バインダーとして5〜50重量部のセメント、好ましくは、ポルトランドセメント;主充填剤として40〜70重量部の珪砂、好ましくは0.1〜0.5mmの粒子サイズを有する珪砂;および0.1〜10重量%、好ましくは1〜6重量%(タイル接着剤の乾燥重量を基準にして)の本発明に従った再分散可能なポリマー粉体を含む。さらなる任意成分には、レオロジー、水保持性、耐スリップ性および向上した作業性を制御するための、1種以上のセルロースエーテル(好ましくは、タイル接着剤の乾燥重量を基準にして0.05〜1重量%、より好ましくは0.2〜0.5重量%の全量で);コンシステンシーおよび作業性を向上させるための、微細補助充填剤として、30〜60μmの粒子サイズを有する石英もしくは石灰石粉体;並びに耐スリップ性を向上させるためのセルロールまたは鉱物繊維が挙げられる。]
[0066] 水に再分散可能なポリマー粉体の別の好ましい用途は外断熱システムETICSにおいて、特に断熱板層上の接着剤としてであり、水の吸収を低減し、外断熱システムの耐衝撃性を向上させる。ETICSは、建物の外側に固定される断熱パネルを含む多成分系である。水に再分散可能なポリマー粉体は、典型的には発泡ポリスチレン(EPS)から製造される断熱パネルの表面に、鉱物ベースのモルタルが結合するのを確実にする、乾燥混合モルタル配合物中のバインダーである。]
[0067] 水に再分散可能なポリマー粉体の別の好ましい用途は自己平坦化床用コンパウンドSLFCである。この粉体は、基体への接着、柔軟性、耐摩擦性および老化特性を向上させるために添加される。]
[0068] さらに、本発明に従った水に再分散可能なポリマー粉体は紙製品、板紙製品、カーペット裏当て、塗料もしくはコーティングにおいて、または木材、紙もしくは織物コーティングもしくは含浸用組成物のためのバインダーにおいて、好ましくは、実質的な量の無機水硬結合剤の非存在下で、より好ましくは、あらゆる量の無機水硬結合剤の非存在下で使用されうる。例えば、水に再分散可能なポリマー粉体はコーティング組成物および接着剤における単独のバインダーとして使用されうる。]
[0069] その最終用途に応じて、1〜15の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15の炭素原子を有するアルコールのメタクリルエステルおよびアクリルエステル、オレフィンおよびハロゲン化ビニルからなる群からの1種以上の「主」モノマーのホモポリマーもしくはコポリマーのような1種以上の既知の水に再分散可能なポリマー粉体と組み合わせて、水に再分散可能なポリマー粉体を使用することが有利であり得る。]
[0070] 本発明の原理は様々な変更および別の形態を受け入れやすいが、特定の種のものが記載される。この記載の意図は、記載される具体的な実施形態に本発明を限定することではなく、本開示の意図および範囲内に該当する全ての変更、等価物および代替物を含むものと理解されるべきである。用語「含む」およびその変形は非限定的であることを意図する。よって、明示的に列挙されもしくは記載されていない要素、工程または特徴は除外されない。]
[0071] 次の実施例は例示目的のためだけに提供され、特許請求の範囲を限定することを意図しない。他に示されない限りは、全ての部およびパーセンテージは重量基準である。]
[0072] 水性分散物の製造
カルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーの水性分散物が、概して、上記手順に従って製造される。カルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーの水性分散物の製造は当該技術分野において知られている。100部のコモノマー(スチレン、1,3−ブタジエンおよびエチレン性不飽和カルボン酸)、約100部の水、0.8部のペルオキソ二硫酸ナトリウム(開始剤)、0.02部のN−(ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩(キレート化剤、40%活性)、0.5部のアルキルジフェニルオキシドジスルホナート界面活性剤(45%活性)、0.07部の水酸化ナトリウム、および0.67部のt−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)が重合混合物中に含まれる。
カルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーの組成は下記表1に示される。パーセンテージは全コモノマー含量基準である。]
[0073] *比較
**ポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の総数のパーセンテージ、ポリマー分散物の液相中のカルボキシル基を含む。]
[0074] ポリマー分散物の噴霧乾燥
それぞれのポリマー分散物に、以下の表2に示された量の水酸化ナトリウムが添加される。水性分散物のpHが測定される。水性ポリマー分散物のそれぞれに、水中のポリビニルアルコールの水溶液が噴霧乾燥助剤として、ポリビニルアルコールの量がポリマー重量を基準にして10重量%となるように添加される。このポリビニルアルコールは88モル%の加水分解率、およびDIN53015に従って20℃で4重量%水溶液として測定して4mPa・sのへプラー(Hoeppler)粘度を有する。アエロソル(Aerosol(登録商標))22界面活性剤の商標で市販されている、N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホスクシナミン酸(sulfosuccinamate)四ナトリウムが、表2に示されるように、分散物のいくつかに添加される。ポリマー分散物、水酸化ナトリウム、ポリビニルアルコールおよび任意のAerosol(登録商標)22界面活性剤のブレンドは次いで噴霧乾燥される。乾燥温度は130℃である。生成物出口温度は55℃である。乾燥プロセス中に、ポリマーの重量を基準にして12重量%のカオリンが固結防止剤として添加される。その粉体および乾燥空気がサイクロンにおいて分離される。]
[0075] 再分散性の測定
粉体の再分散性は水とポリマー粉体との1:1混合物を製造し、それを室温で30分間激しく攪拌することにより測定される。最終再分散物の5gが45gの水と混合され、直径1cmの目盛り付きガラス管に充填される。希釈された再分散物の大きくかつ再分散されない粒子の沈降によって、再分散性は特徴づけられる。ガラス管内での沈降物の高さは1時間および24時間後にそれぞれミリメートル単位で測定される。沈降物の高さが低くなるほど、粉体の再分散性はより良好である。結果は以下の表2に示される。]
[0076] *粉体中のポリマー粒子の表面に位置し、塩形態で存在するカルボキシル基のパーセント
**比較のデータ]
[0077] 表2は、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置する、ビニル芳香族コモノマーおよび1,3−ジエンコモノマーのカルボキシル化コポリマーをベースにした、本発明の水に再分散可能なポリマー粉体が、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の75パーセント未満しか粉体中のポリマー粒子の表面に位置しない、ビニル芳香族コモノマーおよび1,3−ジエンコモノマーの比較のカルボキシル化コポリマーをベースにした水に再分散可能なポリマーよりも、かなり良好な再分散性、すなわち、かなり低い沈降を示す。]
[0078] 揮発性有機化合物(VOC)の測定
サンプルは、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC)/フレームイオン化検出器(FID)で、120℃のヘッドスペース温度および2時間の平衡化時間で分析される。サンプル調製:150mgの再分散可能なポリマー粉体が22mLヘッドスペースバイアルに秤量される。このバイアルは密封され、記載された条件下で操作される。標準物質の調製:942mg/Lのn−ドデカンおよび4−シアノシクロヘキセン(イソオクタン中)を含む標準物質が調製される。この溶液の2マイクロリットルがヘッドスペースバイアルに入れられ、記載された条件下で操作される(120℃、2時間)。キャリブレーション:n−ドデカンについて得られた応答が、アルカン/アルケン分解生成物の計算に使用される。サンプルクロマトグラムにおける4−シアノシクロヘキセンとn−ドデカンとの間に現れるピークの合計面積が、アルカン/アルケン分解生成物として定義される。]
[0079] 以下の表3は、粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の少なくとも75パーセントが塩形態で存在する、ビニル芳香族コモノマーおよび1,3−ジエンコモノマーのカルボキシル化コポリマーをベースにした、本発明の水に再分散可能なポリマー粉体が、粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の75パーセント未満しか塩形態で存在しない、ビニル芳香族コモノマーおよび1,3−ジエンコモノマーの比較のカルボキシル化コポリマーよりも、かなり少ない揮発性有機化合物しか放出せずおよび/またはかなり少ない臭気性化合物しか放出しないことを示す。]
[0080] **比較データ]
[0081] ポリウレタン発泡体の製造における水に再分散可能なポリマー粉体の使用
この実施例で使用される原料の説明は次の通りである。
ボラノール(Voranol)CP3322はダウケミカルカンパニーから入手可能なトリオールポリオールである。
ニアクス(Niax)A−1はモメンティブパフォーマンスマテリアルズ(Momentive Performance Materials)から入手可能な第三級アミン触媒である。
ダブコ(Dabco)33LVはエアプロダクツアンドケミカルズインク(Air Products and Chemicals Inc.)から入手可能な第三級アミン触媒である。
コスモス(Kosmos)29はエボニクインダストリーズ(Evonik Industries)から入手可能なオクタン酸第1スズである。
テゴスタブ(Tegostab)B−2370はエボニクインダストリーズから入手可能なシリコーンベースの界面活性剤である。
ボラナテ(Voranate)T−80はダウケミカルカンパニーから入手可能な2,4−および2,6−トルエンジイソシアナートの80/20混合物である。]
[0082] 以下の表4に示される全ての発泡体の特性は、他に報告されない限りは、ASTMD−3574−95試験方法に従って試験される。エアフローはcfm(立方フィート/分)または立方メートル/分の単位である。圧縮力たわみ(Compression Force Deflection;CFD)は発泡体の負荷に耐える能力を測定する。
CFD硬度は50%圧縮でのKPaで測定される。この圧縮力たわみ(CFD)のためにプジョー方法D−41−1003−86が使用される。]
[0083] すべてのフリーライズ(free rise)発泡体はプラスチックカップ中で、約25℃に調整した、水に再分散可能なポリマー粉体、ポリオール、界面活性剤、触媒および水をあらかじめブレンドすることによって実験室で製造される。成分は約2000RPMで30秒間攪拌され、その後、イソシアナート(これも約25℃に調整される)が添加され、さらに5秒間混合される。反応物質は、次いで、20×20×20cmの板紙の箱に注がれ、自由にライズさせる。室温で24時間冷却および硬化させた後、発泡体は板紙の箱から取り出され、切断および試験の前1週間の間、25℃、50%RHで調整した。]
[0084] ]
[0085] 本発明の全ての発泡体は良好なセル構造(cell structure)を有する。表4の実施例は本発明の水に再分散可能なポリマー粉体のポリウレタン配合物への組み込みは、その配合物から生産されるポリウレタン発泡体の軟化効果を有する。これらの発泡体が密である、すなわち低いエアフロー値を有することを考慮すると、弾性値は良好である。表4の実施例は、本発明の水に再分散可能なポリマー粉体が補助触媒として機能しうることをさらに示す。水に再分散可能なポリマー粉体を使用しないが、同じ量の触媒(コスモス29として市販されているオクタン酸第1スズを0.10部)を含む対照の発泡体は、適切なゲル化を欠くことによる内部空隙を示す。]
[0086] セメントベースのタイル接着剤における、水に再分散可能なポリマー粉体の使用
以下の表5に示される固体成分を乾燥ブレンドし、次いで水を添加することにより、3種の異なるセメントベースのタイル接着剤組成物が準備された。タイル接着剤の性能のために必須であるタイル接着剤の様々な特性が試験され、結果も表5に示される。]
[0087] 試験方法
初期強度、水に浸積した後の強度、および熱老化後の強度が欧州標準EN1348に従って測定される。タイル接着剤はコンクリートスラブ上に適用され、非吸収性セラミックタイル(ウインケルマン(Winckelmann)、50×50mm)がタイル接着剤上に置かれ、異なる条件下で貯蔵された後の引っ張り強さを測定する:室温での初期強度(14日)、水に浸積した後の強度(標準気候で7日間+水への浸積7日間)、および加熱貯蔵後の強度(標準気候7日間+70℃で7日間)。
欧州標準EN1346に従って、20分のオープンタイム後の強度が測定される。タイル接着剤はコンクリートスラブ上に適用され、20分の特定の「オープンタイム」後に、セラミック吸収タイルがそのタイル接着剤上に置かれ、14日間の貯蔵後にその強度を測定する。
EN12002に従って力および歪みが測定される。欧州標準EN1066に従って、少なくとも2kgの接着剤のサンプルが調製される。全ての試験物質は標準条件(23±2℃、50±5%部屋湿度)で少なくとも24時間調整される。このサンプルは14日間ポリエチレン袋に入れられ、さらに14日間調整される。下面に最初の亀裂が確認されるまで、2mm/分の速度でトニーマシーン(Toni machine)を移動させることにより、横切る力を適用することにより、このサンプルは変形させられる。この点における力がニュートン単位で、および歪みがmm単位で記録される。]
[0088] リブ歪み:上述のようにスライディング試験が行われる。この試験が完了し、スライディングが測定されたときに、タイルは手で引っ張って取られる(できるだけまっすぐに)。次いで、この試験から、物質で覆われたタイルのパーセンテージが目視で判断され記録される。
コンシステンシー:ブルックフィールドヘリパス(Brookfield Helipath)スタンドと組み合わせたブルックフィールド粘度計を用いて、コンシステンシーが得られる。13分の熟成時間後、タイル接着剤はカップに満たされ、粘度計のスピンドル(F−T)が2分間0.5rpmで、さらに2分間5rpmで、さらに2分間50rpmで回転する。5rpmおよび50rpmの回転中に、その回転しているスピンドルがサンプル中でらせん状の経路を描くように粘度計は上下に動かされる。0.5rpm、5rpmおよび50rpmでのコンシステンシー(動的粘弾性)が表5に示される。
作業性:作業性は、主観的に評価され、1(非常に劣悪)から5(非常に良好)のスケールで評定される。]
[0089] *ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel 10−0148;米国ミッドランドのダウケミカルカンパニーから入手可能)]
[0090] 外断熱システム(ETICS)における水に再分散可能なポリマー粉体の使用
以下の表6に示される固体成分を乾燥ブレンドし、次いで水を添加することにより、6種類の異なる、水に再分散可能なポリマー粉体組成物が調製される。外断熱システムにおいてその性能に必須の組成物の様々な特性、例えば、水の取り込み、および耐衝撃性が試験され、結果も表6に示される。この組成物は、ETAG004に記載されるように断熱板をコーティングするのに使用される。ETAG004は、外断熱複合材料システム(ETICS)についてのEOTA(欧州技術認証機構)ワーキンググループによって作成されたガイドラインである。]
[0091] 試験方法
全ての試験はETAG004に従ってなされる。
コンシステンシー:ブルックフィールドヘリパススタンドと組み合わせたブルックフィールド粘度計を用いて、コンシステンシーが測定される。13分の熟成時間後、組成物はカップに満たされ、粘度計のスピンドル(F−T)が2分間0.5rpmで、さらに2分間5rpmで、さらに2分間50rpmで回転する。5rpmおよび50rpmの回転中に、その回転しているスピンドルがサンプル中でらせん状の経路を描くように粘度計は上下に動かされる。0.5rpm、5rpmおよび50rpmでのコンシステンシー(動的粘弾性)が表6に示される。
水の取り込み:24時間後に、kg/m2単位で、水の取り込みが重量測定される。
耐衝撃性:0.61mの高さから、重さ1kgの鋼鉄球を用いて、硬質体衝撃(hard body impact)測定(3ジュール)が行われる。コーティングされた断熱板上の損傷が1(非常に劣悪)から5(非常に良好)までのスケールで評定される。試験方法、並びに板の寸法および塗膜の厚みはETAG004に記載される。]
実施例

[0092] 1ポルトランドセメントノルモ(Normo)4,42,5
2ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商標:Methocel(メトセル)F75Mで、米国、ミッドランドのダウケミカルカンパニーから入手可能)。]
权利要求:

請求項1
a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置し、かつ粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の少なくとも75パーセントがその塩形態で存在する、水に再分散可能なポリマー粉体。
請求項2
ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも85パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置する、請求項1に記載の水に再分散可能なポリマー粉体。
請求項3
粉体中のポリマー粒子の表面に位置するカルボキシル基の少なくとも85パーセントがその塩形態で存在する、請求項1または2に記載の水に再分散可能なポリマー粉体。
請求項4
i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマー、並びにii)ポリマー中のカルボキシル基のモルあたり、少なくとも0.4モルの塩基性化合物;を含む水性ポリマー分散物の乾燥残留物である、水に再分散可能なポリマー粉体。
請求項5
i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマー、並びにii)分散物のpHを少なくとも8.5に調節するのに充分な塩基性化合物;を含む、ポリマーの水性ポリマー分散物の乾燥残留物である、水に再分散可能なポリマー粉体。
請求項6
ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも85パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置する、請求項4または5に記載の水に再分散可能なポリマー粉体。
請求項7
コモノマーc)がイタコン酸、フマル酸、その塩、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の水に再分散可能なポリマー粉体。
請求項8
i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマーの水性分散物を提供する工程;ii)前記分散物のpHを少なくとも8.5に調節する工程;並びにiii)前記分散物を乾燥させる工程;を含む水に再分散可能なポリマー粉体を製造する方法。
請求項9
前記分散物を乾燥させる前に、前記分散物のpHが少なくとも9.5に調節される、請求項8に記載の方法。
請求項10
i)a)1種以上のビニル芳香族コモノマー、b)1種以上の1,3−ジエンコモノマー、c)全コモノマー重量を基準にして0.1〜15パーセントの、エチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、その無水物、並びにその塩からなる群から選択される1種以上のコモノマー、並びにd)全コモノマー重量を基準にして0〜40パーセントの、1種以上の追加のコモノマー;を共重合した形態で含み、ポリマー中に存在するカルボキシル基の総数の少なくとも75パーセントが粉体中のポリマー粒子の表面に位置するポリマーの水性分散物を提供する工程;ii)重合前、重合中または重合後に、ポリマー中のカルボキシル基のモルあたり少なくとも0.4モルの塩基性化合物を添加する工程;並びにiii)分散物を乾燥させる工程;を含む、水に再分散可能なポリマー粉体を製造する方法。
請求項11
重合前、重合中または重合後に、ポリマー中のカルボキシル基のモルあたり0.5〜2.0モルのアルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物が添加される、請求項10に記載の方法。
請求項12
請求項1〜7のいずれか1項に記載の、または請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法に従って製造された、水に再分散可能なポリマー粉体の、ポリウレタン発泡体の製造における使用。
請求項13
A)ポリイソシアナート、B)ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール、C)発泡剤、D)1種以上の任意の添加剤または補助化合物、並びにE)請求項1〜7のいずれか1項に記載の、または請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法に従って製造された、水に再分散可能なポリマー粉体;から製造されるポリウレタン発泡体。
請求項14
無機バインダーと組み合わせた、請求項1〜7のいずれか1項に記載の、または請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法に従って製造された、水に再分散可能なポリマー粉体の、建築産業用製品における使用。
請求項15
水に再分散可能なポリマー粉体が、タイル接着剤、建築用接着剤、レンダー、目地モルタル、プラスター、コテ塗り用組成物、充填用組成物、コンクリート補修用接合剤、目地モルタル、または自己平坦化床用コンパウンドにおける添加剤として、セメント、半水石膏および水ガラスからなる群から選択される結合剤と組み合わせて使用される、請求項14の使用。
請求項16
請求項1〜7のいずれか1項に記載の、または請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法に従って製造された、水に再分散可能なポリマー粉体と、無機バインダーとを含む組成物。
請求項17
無機バインダーがセメント、半水石膏または水ガラスである、請求項16に記載の組成物。
請求項18
セメントベースのタイル接着剤または外断熱複合材料システムである、請求項16または17に記載の組成物。
請求項19
請求項1〜7のいずれか1項に記載の、または請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法に従って製造された、水に再分散可能なポリマー粉体の、紙製品、板紙製品、カーペット裏当て、塗料もしくはコーティング、または木材、紙もしくは織物コーティングもしくは含浸組成物用バインダーにおける使用。
請求項20
実質的な量の無機バインダーの非存在下で、水に再分散可能なポリマー粉体が使用される、請求項19に記載の使用。
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