专利摘要:
グルカゴン放出の調節および低血糖症の治療のための方法、ならびに低血糖症の治療のための薬物候補をスクリーニングする方法。該方法は、糖尿病を治療し、薬物候補を潜在的な有効性に関してスクリーニングするのに有用である。
公开号:JP2011513500A
申请号:JP2010550875
申请日:2009-03-12
公开日:2011-04-28
发明作者:カイセド、アレハンドロ;カブレラ、オーバー;ベルグレン、ペーア−オーロフ
申请人:ユニバーシティー・オブ・マイアミUniversity Of Miami;
IPC主号:A61K31-401
专利说明:

[0001] 本発明は、低血糖症を検出および治療するための方法およびアッセイに関する。]
背景技術

[0002] 血中グルコースホメオスタシスは、膵臓の内分泌部であるランゲルハンス島の様々な種類の細胞から膵臓ホルモンが協奏的に分泌されることにより制御されている。インスリンおよびグルカゴンの、それぞれ膵臓のβ細胞およびα細胞からの分泌は、栄養分によって調節されるほかにオートクリン・シグナル、パラクリン・シグナルおよび神経シグナルによっても調節される。インスリン分泌に関与する分子メカニズムは比較的よく理解されているが、グルカゴン分泌を調節する分子メカニズムはそれほど明らかではない。例えば、研究者らは現在、正常状態において見られる血中グルコース濃度の比較的緩やかな変化の後に、いかにしてこれほど有効にグルカゴンが放出されうるかを探索している。]
[0003] α細胞からのグルカゴンの分泌は、血中グルコース濃度が低下すると増大する(アンガー(Unger)、1985年;チヨウ(Zhou)ら、2004年)が、α細胞に作用してグルカゴン放出を引き起こす根本的な分子メカニズムは分かっていない。提唱されてきたのは、高いグルコースレベルがα細胞に直接作用することによりグルカゴン放出を抑制することである(ゴペル(Gopel)ら、2000年;アンガー、1985年)。これは、メカニズム的には、細胞膜脱分極の延長によって不活性化されるニューロン様活動電位の生成に寄与する電位感受性Na+チャネルが、α細胞において選択的に発現されることによって説明されてきた(ゴペルら、2000年)。このモデルによれば、グルコースレベルが高いときは上記Na+チャネルの不活性化がα細胞の活動を抑制する。]
[0004] しかしながら、他の研究では、グルコースがβ細胞における刺激分泌連関を反映するメカニズムによりα細胞を活性化すること、すなわち、グルコースがα細胞およびβ細胞を同様に刺激することが示されている(オルセン(Olsen)ら、2005年;ベント(Wendt)ら、2004年)。したがって、グルコース濃度自体の変化よりもむしろ、β細胞から放出されているインスリン、GABA、およびZn2+のような抑制性のパラクリン・シグナルが、グルカゴン放出の直接的な調節に関与するものと示唆されてきた(フランクリン(Franklin)ら、2005年;グロマダ(Gromada)ら、2007年;イシハラ(Ishihara)ら、2003年;キサヌキ(Kisanuki)ら、1995年;ラビエ(Ravier)およびラター(Rutter)、2005年;ロスマン(Rorsman)ら、1989年)。]
[0005] しかしながら、抑制性のパラクリン・シグナルの解除では、比較的軽微なグルコース濃度低下がどのようにしてこれほど有効にグルカゴン放出を促進するかを完全には説明できない。中枢神経系における主な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸は、他のほとんどのシグナルとは異なり、膵島におけるグルカゴン分泌を刺激しうるが抑制しないので、興味深い(バートランド(Bertrand)ら、1993年;ハヤシ(Hayashi)ら、2003年c)。小胞内へのグルタミン酸の取込みを促進する小胞型グルタミン酸輸送体はα細胞によって発現され(ハヤシ(Hayashi)ら、2001年)、グルタミン酸はグルカゴンと一緒に分泌される(ハヤシら、2003年c)。]
[0006] げっ歯類のモデルでの研究から、膵島におけるグルタミン酸シグナル伝達の大規模な複雑性が示されている(モリヤマ(Moriyama)およびハヤシ(Hayashi)、2003年)。文献における結果には矛盾があり、グルタミン酸の役割はある程度まで不可解なままである。例えば、グルタミン酸がイオンチャネル型グルタミン酸受容体(iGluR)を介してグルカゴン分泌を刺激すること(バートランド(Bertrand)ら、1993年)、グルタミン酸が代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)を介してグルカゴン分泌を抑制すること(ウエハラ(Uehara)ら、2004年)、およびグルタミン酸がβ細胞のmGluRおよびiGluRを活性化してインスリン分泌を増大させること(バートランドら、1992年;バートランドら、1995年;ストルト(Storto)ら、2006年)が報告されている。]
[0007] 本発明者らは、グルタミン酸の役割を明確にし、この発見に基づいたアッセイおよび方法を開発した。さらに、本発明者らは、α細胞が十分なグルカゴン反応を生じるために正のフィードバックループを必要とすることを見出した。]
[0008] 本願は、2008年3月12日に出願された米国仮特許出願第61/064,564号の優先権を主張するものであり、前記出願は参照により本願に組込まれる。
政府権限に関する記述
本発明は、NIHによって与えられた認可番号第MO1RR16587号、同第1R01−DK55347−IU42RR016603号の国庫補助によってなされた。アメリカ合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。]
発明が解決しようとする課題

[0009] 本願は上記した懸案を鑑みてなされたものである。]
課題を解決するための手段

[0010] 本明細書中に記載の発明は、グルカゴン放出の検出および調節のための方法およびアッセイ、ならびに低血糖症の治療の方法およびアッセイに関する。いくつかの実施形態では、これらの方法は糖尿病の検出および治療に役立つ。]
[0011] 従って、1つの目的は、低血糖症を治療する方法であって、治療を必要とする対象者に、イオンチャネル型グルタミン酸受容体を活性化してグルカゴン放出を刺激する有効な量の化合物を投与することを含んでなる方法を提供することである。]
[0012] 1つの実施形態では、該化合物はグルタミン酸受容体サブユニットGluR6の活性化により上記の作用を達成する。
イオンチャネル型グルタミン酸受容体は例えばAMPA/カイニン酸型受容体であってよい。]
[0013] 該治療方法において有効であると予想される化合物の例は、カイニン酸、AMPA、および(2S,4R)−4−メチルグルタミン酸、(RS)−2−アミノ−3−(4−クロロ−3−ヒドロキシ−5−イソキサゾリル)プロピオン酸、4,6−ビス(ベンゾイルアミノ)−1,3−ベンゼンジカルボン酸、(±)−4−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−メチル−2−プロピルカルバモイル−6,7−メチレンジオキシフタラジン、1−(4’−アミノフェニル)−3,5−ジヒドロ−7,8−ジメトキシ−4H−2,3−ベンゾジアゼピン−4−オン、1,4−ジヒドロ−6−(1H−イミダゾール−1−イル)−7−ニトロ−2,3−キノキサリンジオン塩酸塩、GABA、ビククリン、インスリンである。]
[0014] 1つの好ましい実施形態では、化合物はグルタミン酸アナログである。
用語「グルタミン酸アナログ」は、例えば、グルタミン酸に対して十分な構造上の類似性を有するためグルタミン酸受容体に結合してグルタミン酸と類似の作用をもたらす任意の化合物を含むように意図されている。]
[0015] 一般に、投与すべき有効投与量は約5mg/kg/日〜約200mg/kg/日であると予想される。しかしながら、有効投与量は、当業者によって過度の実験を伴わずに決定可能である。]
[0016] 1つの好ましい実施形態では、低血糖症は糖尿病を合併している。したがって、1型または2型糖尿病を治療する方法が提供される。
さらに、低血糖症を治療する医薬品の製品の製造における、イオンチャネル型グルタミン酸受容体を活性化してグルカゴン放出を刺激する化合物の使用も提供される。]
[0017] さらなる目的は、グルカゴン放出を刺激する方法であって、イオンチャネル型グルタミン酸受容体のグルタミン酸受容体サブユニットGluR6を活性化してグルカゴン放出を刺激する化合物を投与することを含んでなる方法を提供することである。例えば、イオンチャネル型グルタミン酸受容体はAMPA/カイニン酸型受容体であってよい。有用であると予想される化合物の例には、カイニン酸、AMPA、GABAおよびインスリンが挙げられる。1つの好ましい実施形態では、化合物はグルタミン酸アナログである。約5mg/kg/日〜約200mg/kg/日の投与量が有効であると予想される。しかしながら、有効投与量は、当業者によって過度の実験を伴わずに決定可能である。]
[0018] 糖尿病の治療において有用なモジュレータをインビトロでスクリーニングするためのアッセイであって:2群の膵島細胞を提供するステップであって、第1群は対照であり、第2群は存在するβ細胞を破壊するのに十分な用量のストレプトゾトシンを投与されることを特徴とするステップと;第1群および第2群の両方に試験化合物を投与するステップと;試験化合物の作用を測定するために、第1群および第2群におけるグルカゴン放出の増強を計測するステップであって、細胞質内カルシウム動員またはグルカゴン放出のうち少なくともいずれか一方の減少がモジュレータとして有用な化合物の指標であることを特徴とするステップと、を含んでなるアッセイを提供することも目的である。当業者には当然のことであるが、この方法は、インビボでの使用に関する有効性および安全性に関してさらに試験すべき化合物の同定に有用である。]
図面の簡単な説明

[0019] ヒト膵島のイオンチャネル型グルタミン酸受容体の活性化がグルカゴン分泌を誘導する例を示す図。図1(A)は、グルタミン酸によって誘導されるグルカゴン反応および該反応がCNQX(10μM)によって遮断可能であることを示す。カイニン酸およびAMPA(いずれも100μM)も強いグルカゴン分泌を誘発した。図1(B)は、図1(A)に示された結果の定量化を示す(n=5(膵島調製物))。図1(C)は、代謝型グルタミン酸受容体アンタゴニストであるCPPG(100μM)がグルタミン酸によって誘導されるグルカゴン反応に影響を与えなかったことを示す。代謝型グルタミン酸受容体アゴニストであるtACPD(100μM)およびACPT−1(100μM)は、グルカゴン分泌の変化をもたらさなかった。図1(D)は、Cに示された結果の定量化を示す(n=3(膵島調製物))。図1(E)は、高グルコース(11mM、11G)によってインスリン放出が誘導されたが、カイニン酸では誘導されなかったことを示す(6つの膵島調製物のうちの典型)。図1(F)は、グルタミン酸がヒト膵島において濃度依存性の[Ca2+]i反応を誘発したことを示す(n=4(膵島調製物))。データはカーブフィッティングされた(ヒル式)。全ての図の結果が平均±s.e.m.として示されている。
ヒト膵島のα細胞がAMPA/カイニン酸型の機能的なイオンチャネル型グルタミン酸受容体(iGluR)を発現する例を示す図。図2(A)は、分散させたヒト膵島細胞における3G、11Gおよびグルタミン酸に対する[Ca2+]i反応を示す3つの連続画像(上)を示している(疑似カラースケール)。左下の画像はグルカゴン(緑色)およびインスリン(赤色)の免疫染色を示す。グルカゴン免疫反応性の細胞2および3はグルタミン酸に反応したが11Gには反応しなかった。インスリン免疫反応性の細胞1および4は11Gに反応したがグルタミン酸には反応しなかった。これらの細胞の[Ca2+]i反応のトレースが右下に示されている。矢印は、画像を得た時点を表す。トレースの下のバーは刺激の適用を表す。スケールバー=50μm。1mMグルコース(1G)、3mMグルコース(3G)、および11mMグルコース(11G)。結果は4つのヒト膵島調製物のうちの典型である。図2(B)は、ヒト膵島(赤色の記号)およびサル膵島(黒色の記号)由来の個々のα細胞(左)およびβ細胞(右)の遺伝子発現プロファイルを示す。各行は単一の細胞を表わし、各列は様々なグルタミン酸受容体遺伝子を表す。記号(黒色または赤色の中実円)は、RT−PCR産物が検出されたことを示す。
カイニン酸に対するα細胞の反応は、電位依存性Ca2+チャネルによるCa2+流入を必要とすることを示す図。図3(A)は、iGluRの活性化がヒト膵島細胞において内向き電流を誘発することを示す。カイニン酸(100μM)によって喚起された代表的な全細胞電流(左上パネル)。これらの電流の大きさは4個の細胞について平均される(右側パネル)。カイニン酸で喚起された電流は、AMPA/カイニン酸受容体アンタゴニストであるNBQX(10μM)を用いて遮断可能であった。保持電位=−70mV。電流トレースの上のバーはカイニン酸の適用を示す。図3(B)は灌流(perifusion)アッセイを示し、該アッセイは、カイニン酸(100μM)はグルカゴン分泌の大幅な増大を刺激する(左側の反応)が、このことは細胞外Ca2+の非存在下では消失し(0 Ca2++1mM EGTA)、Ca2+チャネル遮断薬であるLa3+(100μM)または特異的Ca2+チャネル阻害剤であるニモジピン(10μM)、コノトキシンGVIA(1μM)、アガトキシンIVA(0.1μM)、およびミベフラジル(1μM)の組み合わせの存在下では大きく低減されることを実証している。平均されたトレースが示されている(±s.e.m.、n=3(ヒト膵島調製物))。矢印は新しい溶液への切り替えを示す。図3(C)は、カイニン酸に対する[Ca2+]i反応が名目上のゼロCa2+で消失することを示す、平均されたトレース(±s.e.m.、n=9(細胞数);3つのサル膵島調製物)を示す。(D)カイニン酸に対する[Ca2+]i反応は、CNQX(10μM、n=7(細胞数))、ならびにCa2+チャネル遮断薬La3+(30μM、n=14(細胞数))およびニフェジピン(10μM、n=18(細胞数);スチューデントt検定、P<0.05)によって阻害された。カイニン酸に対する[Ca2+]i反応(340/380蛍光発光比の変化)の最大の大きさの平均±s.e.m.が示されている。データは3つの別個のサル膵島調製物に由来する。
刺激を受けた霊長類α細胞におけるグルタミン酸の放出の例を示す図。図4(A)は、膵島を含むサル膵臓切片の共焦点像を示している。同図はさらに、グルカゴン免疫染色とは共局在化するがインスリン免疫染色とは共局在化しない、小胞型グルタミン酸輸送体1(vGluT1)に対する免疫反応性も示している。結果は3つのヒト膵臓のうちの典型である。図4(B)は、グルタミン酸の放出を検出するための蛍光酵素アッセイを使用する実験における、膵島の代表的な画像を示す。このアッセイでは、放出されたグルタミン酸は、蛍光生成物レゾルフィンを生成する酵素連鎖反応の基質である。レゾルフィンの蛍光は色分けされている。すなわち、低値(青色;静止状態)から高値(黄色;カイニン酸)への増大は、カイニン酸に応答して増大したグルタミン酸放出を示す。酵素グルタミン酸オキシダーゼの非存在下では、蛍光の増大はほとんどまたは全くなかった(−GO;下側パネル)。図4(C)および(D)は、酵素グルタミン酸オキシダーゼの非存在下(−GO)ではカイニン酸およびKClを適用してもレゾルフィン蛍光が増大しなかったことを示している。低濃度のグルコース(1mM、1G;P=0.005)、カイニン酸(100μM、kain;P<0.001)、およびKCl(30mM;P<0.001)脱分極では、GO非存在下のカイニン酸(−GO)と比較して、膵島からの有意なグルタミン酸放出が誘導されたが、高濃度のグルコース(11mM、11G;P=0.289)では誘導されなかった(n=3(サル膵島調製物);一元配置分散分析およびこれに伴う多重比較手法、スチューデント・ニューマン・クールズ法(Student−Newman−Keuls method))。スケールバーは、Aでは20μm、Bでは50μmである。任意単位(a.u.)。
有効なグルカゴン放出に必要とされている促進性のオートクリン・グルタミン酸フィードバックループの例を示す図。図5(A)は、グルカゴン感受性のバイオセンサ細胞を使用してリアルタイムで膵島のグルカゴン分泌を計測するための実験手法の図解を示す。図5(B)は、外因性のグルタミン酸が、個々のグルカゴン・バイオセンサ細胞において[Ca2+]i反応によって計測されるようにヒト膵島からのグルカゴン分泌を誘発したことを示す(左側パネルのトレース)。ヒト膵島の非存在下ではグルカゴン・バイオセンサ細胞において反応は見られなかった(右側パネルのトレース)。図5(C)および(D)は、グルコース濃度を6mMから1mMに低下させると(矢印)バイオセンサ細胞において[Ca2+]i反応によって計測されるようにグルカゴン分泌が誘導されることを示している(n−6(対象領域))。すすぎによりバイオセンサ細胞における[Ca2+]iの急激な減少が引き起こされた。AMPA/カイニン酸iGluRアンタゴニストであるCNQX(10μM)は、グルカゴン放出に対するグルコース低下の作用を顕著に54%阻害した(グルコース濃度の低下後8分で計測;n=3(膵島調製物)、スチューデントt検定、P=0.042)。
霊長類の膵島に類似しているマウス膵島におけるグルタミン酸シグナル伝達の例を示す図。図6(A)は、マウス膵島の灌流アッセイから、グルタミン酸(100μM)はグルカゴン放出を刺激するがDNQX(10μM)によって遮断されることが示されたことを示す(左側;n=6(灌流))。カイニン酸およびAMPA(いずれも100μM)もグルカゴン分泌を刺激した(右側;n=3(灌流))。図6(B)は、代謝型グルタミン酸受容体アゴニストであるtACPD(100μM)およびACPT−1(100μM)はグルカゴン分泌の変化を誘発しなかったことを示している(左側)。代謝型グルタミン酸受容体アンタゴニストであるCPPG(100μM)はグルタミン酸で誘導されたグルカゴン反応に影響しなかった(右側;n=3(灌流))。図6(C)は、代謝型グルタミン酸受容体mGluR4を欠くマウス由来の膵島におけるグルタミン酸(100μM)に対するグルカゴン反応は、対照マウス由来の膵島の反応との違いがないことを示す(n=4(1群当たりの膵島調製物))。図6(D)は、インスリン放出は高濃度グルコース(11mM、11G)によって誘導されたが、カイニン酸(左側)、AMPAまたはグルタミン酸(右側)によっては誘導されなかったことを示す。図示された実験は3つの膵島調製物のうちの典型である。
グルカゴン分泌を刺激するiGluRのインビボ活性化の例を示す図。図7(A)は、グルタミン酸(30mg/kg;i.p.;n=7(マウス数))またはAMPA(15mg/kg、n=8(マウス数))による全身処理を受けたマウスが、血漿中グルカゴン濃度の増大を示したことを示す(左側;分散分析、P<0.05)。血漿中インスリン濃度は変化しなかった(中央)。AMPA注入の30分後、マウスは血漿中グルコース濃度の増大を示した(右側;中実の記号、n=8(マウス数)、スチューデントt検定、P<0.05)。中空の記号=PBSを注入されたマウス(n=4)。図7(B)は、〜3mMの血中グルコース濃度で一定の低血糖刺激を提供するための高インスリン−低血糖クランプ(左側)がインスリン注入で誘導された(中央)ことを示す。低血糖症に応答したグルカゴン分泌は、NBQX注入後のマウス(10mg/kg;赤色の記号、n=7)では、生理食塩水を注入されたマウス(黒色の記号;n=3)と比較して有意に減少した(反復測定分散分析、P<0.05)。バーは薬物の注入を示す。図7(C)は、薬物の注入後の血糖を維持するために必要とされるグルコース注入速度が、NBQXで処理されたマウス(赤色バー;n=7)においては、生理食塩水で処理されたマウス(黒色バー;n=3)よりも有意に大きかったことを示している(スチューデントt検定、P<0.05)。図7(D)は、グルカゴン分泌の調節に関して提唱されたモデルを示す。α細胞の活性化は、初期刺激のほか正のフィードバックにも依存する。グルコースレベルが低下するとき、β細胞由来のGABA、Zn2+、またはインスリンからの抑制は小さい(=初期刺激)。グルタミン酸による正のフィードバックはグルカゴン分泌を強く増幅する。一旦グルコースレベルが増大すれば、グルカゴン分泌は、インスリン、Zn2+、GABA、またはこれら3つの組み合わせによって抑制される。グルタミン酸フィードバックがないと、α細胞は完全には活性化されず、グルカゴン分泌は不十分である。
AMPA/カイニン酸受容体のサブユニット6(GluR6)を欠くマウスでグルコース逆調節を評価するために行なわれたインスリン負荷試験(ITT)の例を示す図。両群のマウスは、低血糖症を誘導するためにt=0:00でインスリンを注入された。GluR6を欠くマウスでは、野生型マウスよりもより速く進行してより重篤な低血糖症となり、このサブユニットの存在がグルコース逆調節の際に重要であることを示している。留意すべきは、GluR6を欠くマウスが拘束された時間(−2:00)からインスリンを注入された時間(0:00)まで、血中グルコースが増大したことである。この作用はグルコース逆調節には無関係と思われる、というのも、このレベルのグルコースではグルコース逆調節のメカニズムは作動し得ないからである。注目すべきは、GluR6を欠くマウスは、グルコース変動曲線の傾斜によって示されるようにより速く進行して低血糖症となることである。インスリン投与の45分後、マウスは明白な低血糖状態になり、ここで正常な血中グルコースレベルを回復するためにグルコース逆調節のメカニズムが作用し始める。GluR6を欠くマウスおよび野生型マウスにおいて、血中グルコースレベルは45分後には減少し続けるが、野生型マウスの血中グルコースは1:45後に急速に回復し、インスリン投与の3時間後にはGluR6を欠くマウスよりも有意に高いレベルに回復する。エラーバーは、n=8(野生型マウス)およびn=10(GluR6を欠くマウス)の平均値の標準誤差を表わす。
グルタミン酸によるグルカゴン放出の増強作用は、糖尿病をモデル化する状態であるβエル非存在下では低下するという例を示す図。この実験はマウス膵島を用いて行なわれた。2つの試料を並行して灌流した(「a」および「b」)。「a」(青色の曲線および青色バー)ではβ細胞をストレプトゾトシンで選択的に破壊し、「b」(赤色の曲線および赤色バー)ではβ細胞を破壊しなかった。このβ細胞の不在はインビトロで1型糖尿病様の状態を生じる。パネル「A」のグルカゴン放出プロファイルはこのモデルを使用して得られた。β細胞の非存在下では、カイニン酸はβ細胞の存在下と同じようにはグルカゴン放出を強化するのに有効ではない(パネル「B」において定量化)。留意すべきは、非特異的な刺激のアルギニンは、β細胞非存在下の機能低下したα細胞を識別することができないことである。これらのデータは、カイニン酸によるグルカゴン放出増強作用の低下を、1型糖尿病における低血糖症の際のグルカゴン放出の不足に関連づけることができることを示す。t=5分において、両方の試料が100μMのカイニン酸で5分間刺激された。グルコースは10分間11mMに増大され、灌流の間は再び3mMに低減された。t=45分では、両方の試料(v)が5mMアルギニンで刺激された。カイニン酸で誘導されたグルカゴン放出の反応の大きさは55%低減されている。アルギニンで誘導されたグルカゴン放出の反応の大きさには統計的な違いはなかった。カイニン酸は代謝されないグルタミン酸アナログであり、したがってAMPA/カイニン酸受容体の好ましいアゴニストである。エラーバーは、n=3の灌流の標準偏差を表わす。比較は対応なしのt検定によって実施された。] 図1 図2 図3 図4 図5 図6 図7
[0020] 膵臓α細胞からのグルカゴン分泌は、グルコースホメオスタシスにとって、また生命を脅かす低血糖症を回避するために、重要である。本発明者らは、グルタミン酸がグルカゴン放出の正のオートクリン・シグナルであることを実証した。本明細書中に示されるように、本発明者らはさらに、ヒトおよびマウスのα細胞がイオン透過性の膜チャネルを形成するグルタミン酸受容体(イオンチャネル型グルタミン酸受容体)を発現することも実証した。これらの受容体のグルタミン酸による活性化はグルカゴン分泌をもたらす。結果は、α細胞におけるグルタミン酸シグナル伝達の重要な構成要素のうちの1つがグルタミン酸受容体サブユニットGluR6であることをさらに示した。これらの研究は、グルタミン酸受容体サブユニットGluR6がグルコース逆調節に寄与することを示しており、GluR6を、低血糖症の治療または予防のための望ましい薬理学的標的とするものである。]
[0021] さらに、本方法は糖尿病の人の治療に適用可能である。糖尿病の患者では、グルコース逆調節が正常に機能しない。これは、血中グルコースの変化に対するα細胞の反応性の不足に起因すると考えられているが、メカニズムは未知のままである。しかしながら、本明細書中に開示されるように、(1型糖尿病の場合のような)機能的なβ細胞の非存在下では、グルタミン酸シグナル伝達が正常に機能せず、その結果グルカゴン分泌の効率が悪くなる。]
[0022] グルコースホメオスタシスの重要な特徴は、膵臓α細胞からの効率的なグルカゴン放出である。グルカゴン分泌を調節する分子メカニズムは未だよく理解されていない。本発明者らはここで、ヒトα細胞がグルカゴン放出に不可欠なイオンチャネル型グルタミン酸受容体(iGluR)を発現することを実証する。グルコース濃度が低下する結果、グルタミン酸がα細胞から放出される。その後、グルタミン酸がAMPA/カイニン酸型のiGluRに作用する結果として、膜脱分極が生じ、電位依存性Ca2+チャネルが開口し、細胞質の遊離Ca2+濃度が増大し、グルカゴン放出が増強される。iGluRのインビボにおける遮断は、マウスにおいてグルカゴン分泌を低減し、インスリン誘導型の低血糖症を増悪させる。従って、グルタミン酸のオートクリン・フィードバックループは、α細胞に、α細胞自身の分泌活性を有効に高める能力を与える。これは、生理学的条件下において血中グルコース濃度の比較的緩やかな変化にもかかわらず十分なグルカゴン放出を保証するための、必要条件である。]
[0023] 開示される結果は、グルタミン酸を、α細胞における真のオートクリン・シグナル伝達分子であってヒト膵島でのグルカゴン分泌に正のフィードバックを提供するものと立証している。例えば、グルタミン酸はα細胞によって分泌されること、β細胞ではなくα細胞がAMPA/カイニン酸型のiGluRを発現することが示される。これらの受容体の、α細胞由来のグルタミン酸による活性化は、α細胞の機能について正のフィードバックを生じ、かつグルカゴン分泌を増幅する。この新規なオートクリン・シグナル伝達経路は、血中グルコース濃度の緩やかな低下がどのようにして膵臓α細胞からのグルカゴン放出を有効に誘導するかを説明することができる。]
[0024] グルタミン酸がグルカゴン放出の正のフィードバックを提供することを実証する、本明細書中以下の結果は、グルタミン酸がグルカゴン分泌を刺激することを示す研究(バートランド(Bertrand)ら、1993年)と一致するが、グルタミン酸の作用が抑制性でありmGluR4受容体によって仲介されることを示唆するいくつかの報告(モリヤマ(Moriyama)およびハヤシ(Hayashi)、2003年)とは対照的である。グルタミン酸は、本発明者らのすべての生理学的実験(例えば[Ca2+]iの画像化、動的なホルモン分泌アッセイ、およびインビボでの血漿中グルカゴンの検出)において刺激性であり、かつ反応はAMPA/カイニン酸受容体アンタゴニストによって阻止可能であって、iGluRを介したグルカゴン放出の刺激がグルタミン酸のオートクリン・フィードバックループの主な作用であることが示唆された。代謝型グルタミン酸受容体のアゴニストおよびアンタゴニストがグルカゴン分泌に影響しなかったことを示す本発明者らの知見は、この受容体がヒトα細胞におけるグルタミン酸シグナル伝達に関与しないことを実証している。グルタミン酸に対するグルカゴン反応はmGluR4受容体を欠くマウスにおいて変化しなかったので、本発明者らはさらに、従来示唆されているように(ウエハラ(Uehara)ら、2004年)この受容体はグルタミン酸に対するα細胞の反応には寄与しないようであると結論付けた。]
[0025] AMPA受容体サブユニットGluR2およびGluR3を認識する抗体を用いた膵島細胞の免疫染色は特異的ではなかった、すなわち、該抗体のペプチド前吸着によって該受容体を遮断することは不可能であった。従来の研究における、インスリン分泌に対するグルタミン酸受容体リガンドの緩やかな作用およびグルタミン酸反応性のβ細胞の低い出現率から、著者らはインスリン分泌の調節においてグルタミン酸受容体に主要な機能的役割を帰するのには慎重であった(モルナール(Molnar)ら、1995年)。これは、β細胞がiGluRを発現しなかったことを示す本発明者らの単一細胞RT−PCRの結果に合致する。β細胞の活性およびインスリン分泌をグルタミン酸受容体アゴニストでは刺激できなかったことを示す本発明者らの知見から、グルタミン酸シグナル伝達および特にiGluRはインスリン分泌の調節に直接には関与しないことがさらに示唆される。]
[0026] パラクリンまたはオートクリン・シグナル伝達に当てはまるためには、生理的刺激に応じて膵島細胞からグルタミン酸が放出されなければならない。げっ歯動物の膵島を用いる研究から、α細胞は分泌小胞内へのグルタミン酸の取り込みを促進する小胞型グルタミン酸輸送体を発現すること(ハヤシ(Hayashi)ら、2001年)、およびグルタミン酸はグルカゴン分泌顆粒内に存在してグルカゴンとともに放出されることが示されている(ハヤシ(Hayashi)ら、2003年c)。本研究では、本発明者らはヒトおよびサルのα細胞が小胞型グルタミン酸輸送体vGluT1を発現することを見出した。本発明者らはα細胞の特異的刺激に応答したグルタミン酸分泌を検出し、α細胞が霊長類の膵島におけるグルタミン酸の主な供給源であることを確認した。ニューロンまたは神経終末がグルタミン酸を放出することも可能と思われるが、本発明者らの結果はニューロン成分を含まない培養された単離膵島を使用して得られた(カールッソン(Karlsson)ら、1997も参照のこと)。]
[0027] 本発明者らはα細胞がグルタミン酸を分泌することを見出したので、またiGluRは専らα細胞において発現されるので、グルタミン酸はオートクリン・シグナル伝達分子であると考えられる。iGluRの遮断がグルコース濃度の低下に対するグルカゴン反応を縮小することを示す本発明者らの結果(図5を参照)は、グルタミン酸が内生的に放出されることを示唆し、かつグルタミン酸シグナル伝達が正のオートクリン・フィードバックループを提供することの確証を与えている。] 図5
[0028] 正のフィードバックを伴うオートクリン・ループの概念はさらに、α細胞がどのようにして血漿中グルコース濃度の低下に適切に応答するかを説明する助けとなる。マウスにおける低血糖クランプを使用することによって、本発明者らはインビボでグルカゴン分泌を刺激し、グルカゴン反応がiGluRの薬理学的遮断によって著しく縮小されることを見出した。これらのマウスでは低血糖症が増悪し、グルコース逆調節という状況における十分なグルカゴン反応のためには、iGluRが活性化される必要があることが示唆された。α細胞に間接的に影響を及ぼす可能性のある中枢および末梢ニューロンに対してグルタミン酸が有する可能性のある何らかの付加的作用を、本発明者らは除外することができない一方で、本発明者らのインビトロのデータは、α細胞がグルタミン酸の主な直接的標的であること、および膵島内グルタミン酸シグナル伝達は神経の入力とは無関係に機能しうることを実証している。したがって、これらの結果は、グルタミン酸のオートクリン・フィードバックループがα細胞において活性化されてグルカゴン分泌を強化することを実証している。]
[0029] 本発明者らはここで、グルカゴン放出がヒト膵島においてどのようにして有効に調節されうるかを少なくとも部分的に説明するモデルを提案する(図7D)。血中グルコース濃度が低下すると、α細胞に対するβ細胞の負のパラクリン作用が減少する(「スイッチオフ」仮説;(クライア(Cryer)ら、2003年;ホープ(Hope)ら、2004年;チヨウ(Zhou)ら、2004年)。この段階では、グルコース濃度は、部分的なグルカゴン放出および並行するグルタミン酸放出を、阻害するには低すぎるが(マクドナルド(Macdonald)ら、2007年;マクドナルド(MacDonald)およびロースマン(Rorsman)、2007年)、駆動するには依然十分に高く(オルセン(Olsen)ら、2005年)、α細胞の分泌活性を強めるiGluRを介した正のフィードバックループが作られる。これは、iGluRの薬理学的遮断がインビボでインスリン誘導型の低血糖症を増悪させかつグルカゴン分泌を低減することを示す本発明者らの結果に合致している。] 図7D
[0030] 従って、一つの目的は、グルカゴン放出を検出および調節するための方法およびアッセイ、ならびに低血糖症を治療する方法を提供することである。いくつかの実施形態では、これらの方法は糖尿病の検出および治療のために使用することができる。しかしながら、該方法は、インスリンで誘導されるあらゆる低血糖症にも有用であるはずである。]
[0031] 用語「低血糖症」は、正常より低い血中グルコースレベルを指す。正常より低いレベルの正確な範囲は、年齢、健康状態および対象者の平均的な基準グルコースレベルのような要因が理由で、対象者に依存して決まることになる。いくつかの実施形態では、低血糖症の血中グルコースレベルには、70mg/dl未満または3.9mmol/L未満の濃度が挙げられる。]
[0032] 本明細書中に記載された方法は、1型糖尿病および2型糖尿病の両方を含むヒトの糖尿病の治療に特に有用であると予想される。
用語「対象者」は、糖尿病を伴う病気に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトを含むように意図され、かつ低血糖症を治療することが望ましい可能性のある任意の哺乳動物も含まれる。]
[0033] 本発明のいくつかの実施形態は、イオンチャネル型グルタミン酸受容体(iGluR)を直接的または間接的に活性化してグルカゴン放出を刺激する化合物を投与することにより、低血糖症を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、該化合物はグルタミン酸受容体サブユニットGluR6を活性化する。]
[0034] 投与される化合物は、例えば(2S,4R)−4−メチルグルタミン酸であってよい。化合物は、医師によって決定された有効投与量で投与可能である。投与量は、いくつかの実施形態では、患者の低血糖症の程度ならびにその他の患者固有の要因、例えば年齢、健康状態および他の疾病の存在に応じて、約5mg/kg/日から約200mg/kg/日に及ぶ可能性がある。]
[0035] 該方法の一部として投与される化合物はiGluRのアゴニストまたは部分アゴニストであってよい。いくつかの実施形態では、化合物は、グルタミン酸受容体サブユニットGluR6のアゴニストまたは部分アゴニストである。iGluRのアゴニストの一例はカイニン酸である。]
[0036] 本発明のいくつかの実施形態は、グルカゴン放出の調節を試験するためのアッセイに関する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、例えばストレプトゾトシンを用いてβ細胞を選択的に破壊することにより1型糖尿病を模倣する状況を作出する、インビトロのモデルに関する。処理を受けた膵島は、大部分がα細胞で構成されている。このα細胞が、グルカゴン分泌の非特異的刺激剤であるアルギニンで刺激された時、該細胞のグルカゴン反応は、対照の未処理の膵島のα細胞の反応と同様であった。β細胞を失った膵島のα細胞がグルタミン酸シグナル伝達の正常な機能を失ったかどうかを検査するために、本発明者らは、該細胞をイオンチャネル型グルタミン酸受容体のアゴニストであるカイニン酸で刺激した。β細胞を欠いた膵島のα細胞では、カイニン酸に対するグルカゴン反応が大きく低下していた。これらの結果は、α細胞におけるグルタミン酸シグナル伝達が、糖尿病のβ細胞集団が縮小された膵島では特異的にダウンレギュレートされるかまたは正常に機能しないことを示している。]
[0037] 以下の実施例は本発明のさらなる例証であり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。]
[0038] 材料および方法
膵島の単離および培養
他の文献(キャブレラ(Cabrera)ら、2006年)に記載されているようにして、ヒト(n=12、年齢=48±7歳)、サル(カニクイザル(Macacca fasciculctris);n=15;>4歳)、およびマウス(C57Bl/6;n=15)の膵島が単離および培養された。代謝型グルタミン酸受容体mGluR4を欠く突然変異マウス(バックグラウンドはC57Bl/6)は、ジャクソン研究所(Jackson Laboratories)(米国メイン州バーハーバー所在)から購入された。サルおよびマウスを使用する実験のプロトコールはすべて、マイアミ大学動物実験委員会(University of Miami Animal Care and Use Committee)によって承認された。]
[0039] 細胞質の遊離Ca2+の測定
[Ca2+]iの画像化は、他の文献(キャブレラ(Cabrera)ら、2006年)に記載されているようにして実施された。膵島または分散させた膵島細胞は、HEPES緩衝液(mM単位で:125 NaCl、5.9 KCl、2.56 CaCl2、1 MgCl2、25HEPES;0.1%BSA;pH7.4)の中に浸漬された。グルコースが終濃度3mMとなるように添加された。膵島または分散させた膵島細胞はFura−2 AM中でインキュベートされ(2μM;1時間)、閉鎖型少容量イメージングチャンバ(米国コネティカット州ハムデン所在のワーナー・インスツルメンツ(Warner Instruments))の中に入れられた。刺激は浴溶を用いて加えられた。Fura−2がロードされた膵島は、モノクロメータ光源(Cairn Research Optoscanモノクロメータ、英国ファヴァシャム所在のケアン・リサーチ株式会社(Cairn Research Ltd))を用いて340nmおよび380nmで交互に励起された。画像は、Zeiss Axiovert 200顕微鏡(ドイツ連邦共和国イェーナ所在のカール・ツァイス(Carl Zeiss))に取り付けられたハママツカメラ(日本国所在のハママツコーポレーション(Hamamatsu Corp))を用いて取得された。経時的な340/380蛍光発光比の変化は、Kinetic Imaging AQM Advanceソフトウェア(米国ノースカロライナ州所在のカイネティックイメージング社(Kinetic Imaging))を使用して個々の膵島および分散細胞において分析された。蛍光比における最大の変化が反応の大きさに相当した。]
[0040] グルカゴンおよびインスリン分泌の動的計測
高処理能の自動灌流システムが、膵島からのホルモン分泌を動的に計測するために開発された。低拍動ペリスタル型ポンプにより、HEPES緩衝液(mM単位で:125 NaCl、5.9 KCl、2.56 CaCl2、1 MgCl2、25HEPESおよび0.1%BSA;pH7.4;100μL/分の灌流速度)が、Bio−Gel P−4ゲル(米国カリフォルニア州ハーキュリーズ所在のバイオラッド(BioRad))の中に固定化された100個の膵島を含有するカラムを通して押し込まれた。別途記載がある場合を除き、グルコース濃度は全ての実験について3mMに調整された。刺激は灌流用バッファーを用いて加えられた。灌流液は、96ウェルプレート形式用に設計された自動区分捕集器に回収された。膵島および灌流用液を含んだカラムは37℃に維持され、捕集プレート内の灌流液は<4℃に維持された。灌流液は1分毎に回収された。灌流液中のホルモン放出は、ヒトまたはマウス用のEndocrine LINCOplex(R)キットを用いて製造業者の指示書(米国ミズーリ州セントチャールズ所在のリンコ・リサーチ(Linco research))に従って測定された。]
[0041] バイオセンサ細胞を用いたグルカゴン放出のリアルタイム測定
BDバイオサイエンシズ(BD Biosciences)(米国カリフォルニア州サンホセ)から入手したヒトのグルカゴン受容体を安定に発現するHEK293H−CNG細胞(グルカゴン・バイオセンサ細胞)を使用して、グルカゴン放出をリアルタイムで計測した。グルカゴン・バイオセンサ細胞は、ウシ胎児血清(10%)(インビトロジェン(Invitrogen))、ピューロマイシン(10mg/ml)(BDバイオサイエンシズ)、およびG418硫酸塩(500mg/ml)(米国バージニア州所在のメディアテック(Mediatech))が補足されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で増殖された。グルカゴン・バイオセンサ細胞にFura−2 AMがロードされた(2μM;37℃で30分間)。過剰なFura−2 AMを洗い流した後、該グルカゴン・バイオセンサ細胞の上に膵島が置かれ、上述のようにして[Ca2+]iを計測するために閉鎖型少容量イメージングチャンバ(ワーナー・インスツルメンツ)に取り付けられた。膵島分泌物が蓄積できるように膵島の灌流は刺激付加の後で停止され、次いで10分後に再開された。この技法で得られたグルカゴン反応のプロファイルは、灌流実験で得られたプロファイルに似ていたが、バイオセンサ細胞アッセイはより高感受性であり、より小さい変動を示した。]
[0042] 内因性グルタミン酸放出の顕微蛍光測定
膵島からの内因性グルタミン酸放出は、顕微鏡での顕微蛍光検出(アカギ(Akagi)ら、2003年)のために適合させたAmplex(R)Redグルタミン酸アッセイキット(モレキュラー・プローブス(Molecular Probes))を用いて計測された。このアッセイでは、放出されるグルタミン酸は酵素連鎖反応の基質であり、該反応は強い蛍光を発する生成物レゾルフィンを生成する(米国オレゴン州ユージーン所在のモレキュラー・プローブス)。L−グルタミン酸はグルタミン酸オキシダーゼによって酸化されてα−ケトグルタル酸、NH4およびH2O2を生じる。過酸化水素は、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼによって触媒される反応においてAmplex(R)Red試薬と反応してレゾルフィンを生成する。膵島は、予めポリD−リジンでコーティングされたカバーグラスに付着可能なようになされた。カバーガラスは閉鎖型少容量イメージングチャンバ(ワーナー・インスツルメンツ)に取り付けられ、刺激剤を含有するHEPES緩衝液で灌流された。レゾルフィンの蛍光は510nmで励起され、発光は[Ca2+]iを計測するために使用したのと同じ画像化システム(上記参照)を使用して590nmで記録された。]
[0043] パッチクランプ電気生理学
膜電流は、分散させたヒト膵島細胞の全細胞パッチクランプ記録を使用して計測された。記録はすべてEPC10パッチクランプ増幅器を使用して増幅され、Patchmasterソフトウェア(ドイツ連邦共和国ラムブレヒト所在のヘカ・エレクトロニク(Heka Elektronik))を使用してデジタル化されて分析された。ピペットは、ホウケイ酸ガラス毛細管から、水平型プログラム式プラー(DMZユニバーサルプラー(DMZ Universal Puller)、ドイツ連邦共和国アウクスブルク所在のツァイツ・インスツルメンテ(Zeitz−Instrumente))で引き伸ばした。5〜7MΩの抵抗を備えたピペットは、(mM単位で)150 NMG(N−メチル−D−グルカミン)、10 EGTA、1 MgCl2、2 CaCl2、5HEPESおよび3 Mg−ATP(pH7.15)を含有するピペット用溶液で充填された。浴液は、(mM単位で)138 NaCl、5.6 KCl、1.2 MgCl2、2.6 CaCl2、5 HEPESおよび10 TEA(pH7.4)を含有していた。細胞は−70mVに電位固定された。リガンド(例えばカイニン酸)は、パッチ電極に取り付けられた単離細胞または細胞膜のパッチを浸す溶液の迅速な交換が可能である、SF−77B Perfusion Fast−Stepシステム(米国コネティカット州ハムデン所在のワーナー・インスツルメンツ)を使用して適用された。本発明者らは電気生理学的特性に基づいた細胞種の識別を試みなかったが、これは本発明者らの[Ca2+]i画像化実験におけるカイニン酸応答性の細胞の>75%がグルカゴン免疫反応性の細胞であったからである。したがって、本発明者らの電気生理学的実験においてカイニン酸に応答する細胞はα細胞であった可能性が高い。]
[0044] RT−PCR
>90%の純粋なヒトおよびサルの膵島由来の全RNAは、キアゲン(Qiagen)(米国カリフォルニア州バレンシア)のRNA Easyキットを使用して単離された。cDNAは、SuperScriptTM First−Strand Synthesisシステム(インビトロジェン)を使用して500ngの全RNAから合成された。cDNA(2μl)は、それ以上は精製されずにLightCycler(R)およびロッシュ(Roche)の増幅キットを用いたPCR反応(35サイクル)に使用された。ヒトのAMPA/カイニン酸(GluR1〜7、Ka1およびKA2)および小胞型グルタミン酸輸送体(vGluT1〜3)のプライマーはキアゲンから購入され、該製造元が推奨する濃度で使用された。]
[0045] 単一細胞のRT−PCR
ヒトまたはサルの膵島は分散されて個別の細胞とされた。単一細胞はガラス製マイクロピペット(〜20μm)を使用して採取され、遠心分離用チューブ内に移された。SuperScript First−Strand Synthesisシステム(インビトロジェン)を使用してmRNAが逆転写された。リアルタイムPCRは、TaqMan(R)Fast Universal PCR Master Mixと、7500または7900HTFast Real−Time PCRシステム(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))とを使用して実施された。TaqMan(R)アッセイはエキソン連結部にわたるように選択され、したがってゲノムDNAは検出しなかった。本発明者らは最初に、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチンおよび膵臓ポリペプチドに特異的なTaqMan(R)プローブを用いて各cDNAを増幅した。膵臓ホルモンのうちの1つだけを発現する細胞がさらなるPCRに使用されて、グルタミン酸受容体ユニットGRIA1〜4(AMPA受容体サブユニット)およびGRIK1〜5(カイニン酸受容体サブユニット)、ならびに代謝型グルタミン酸受容体4および5(GRM4およびGRM5)の検出が行われた。]
[0046] 免疫蛍光法
免疫蛍光法の手順は他の文献(キャブレラ(Cabrera)ら、2006年)に記載の通りとした。ヒト、サル、またはマウスの膵臓のブロック(0.5cm3)または単離された膵島は、4%パラホルムアルデヒド中で固定(4〜6h)されて冷凍された。切片(14μm)は低温保持装置上で切断された。オプティマクス洗浄バッファー(OptiMax Wash Buffer(R))(米国カリフォルニア州サンラーモン所在のバイオジェネクス(Biogenex))を用いたすすぎの後、切片はユニバーサルブロッカー試薬(Universal Blocker Reagent;バイオジェネクス(Biogenex))中でインキュベートされ(5〜10分)、再度オプティマクス洗浄バッファーですすがれ、プロテイン・ブロック(Protein Block)中でインキュベートされた(20分、バイオジェネクス)。その後、切片は、抗インスリン抗体(1:500、米国ニューヨーク州所在のアキュレイト・ケミカル&サイエンティフィック社(Accurate Chemical and Scientific Corp.))、抗グルカゴン抗体(1:2000;米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ(Sigma))、抗ソマトスタチン抗体(1:500;米国ノースカロライナ州所在のセロテック(Serotec))、および抗膵臓ポリペプチド抗体(1:100、セロテック)とともに夜通しインキュベートされた。小胞型グルタミン酸輸送体(vGluT)を視覚化するために、切片は、インスリンおよびグルカゴンに対する抗血清に加えて抗vGluT1(1:20,000;ケミコン(Chemicon))、抗vGluT2(1:10,000;ケミコン)、または抗vGluT3(1:20,000;ケミコン)の中でインキュベートされた。ニューロン成分を視覚化するために、単離されたヒト膵島は、ウサギ抗シナプシン1/2(1:500;ドイツ連邦共和国ゲッチンゲン所在のシナプティック・システムズ(Synaptic Systems))、マウス抗ニューロン特異エノラーゼ(1:500、ケミコン)、ウサギ抗ニューロフィラメント200(1:100、シグマ)、またはトリ抗ニューロフィラメントH(1:200、ニューロミクス(Neuromix))において免疫染色された。免疫染色は、Alexaコンジュゲート型二次抗体(1:400;米国オレゴン州ユージーン所在のモレキュラー・プローブス)を使用して視覚化された。細胞核はDAPI(モレキュラー・プローブス)で染色された。スライドはProLong(R)AntiFade(モレキュラー・プローブス)を用いてマウントされ、カバーグラスがかけられた。陰性対照として、本発明者らは、一次抗体の代わりに該抗体の作製に使用した動物の血清を用いた。これらの条件下では染色は観察されなかった。膵島を含有する膵臓切片は、Zeiss LSM510走査型共焦点顕微鏡(ドイツ連邦共和国イェーナ所在のカール・ツァイス)を使用して、様々な内分泌腺マーカーおよびvGluTの発現について検査された。本発明者らは、すべての画像取得について1μmの光学切片を選択した。画像はすべてデジタル式で取得され、さらなる加工処理は為されなかった。切片は20×および40×の倍率で観察された。デジタル画像は、Adobe Photoshop7.0(米国カリフォルニア州サンホセ所在のアドビ・システムズ・インコーポレイテッド(Adobe Systems Inc.))を使用して編集された。明るさおよびコントラストのみが調整された。]
[0047] インビボでの検討
本発明者らは、C57BL/6マウスにPBS(n=4)、グルタミン酸一ナトリウム(30mg/kg;n=7)、またはAMPA(15mg/kg;n=8)をi.p.注射することにより、iGluRアゴニストに対するインビボでの反応を調べた。iGluRの遮断がインスリンで誘導された低血糖症を増悪させるかどうかを判断するために、本発明者らは、マウスに低血糖症を引き起こすためのインスリン処理を施す30分前に、AMPA/カイニン酸型iGluRのアンタゴニストであるNBQX(米国ミズーリ州エリスヴィル所在のトクリス(Tocris))を20mg/kgでi.p.注射した。]
[0048] 覚醒状態のマウスにおける高インスリン血症−低血糖クランプ
標準化された低血糖刺激を提供するために、本発明者らは高インスリン血症−低血糖クランプを使用してさらに検討を行なった。実験の少なくとも4日前に、マウスはイソフルランで麻酔され、留置カテーテルが左側頚静脈に挿入されて頭の後ろの皮膚弁の切り口を通じて体外に出された。マウスは4時間絶食処置を施され、尾部切断サンプリング用に個別のプラスティック容器の中に入れられた。基礎的な血漿中のグルカゴンおよびインスリン分泌の測定のために、実験開始前に尾部血液サンプル(20μl)が採取された。初回投与量のインスリン(100mU/kg)が投与され、その後は20mU/kg/分の一定注入速度で投与された(Actrapid(R)、ノボ・ノルディスク(Novo Nordisk))。血漿中グルコース濃度はOne Touch Ultra(R)グルコース計を使用して10分間隔で測定された。血漿中グルコース濃度を低血糖レベル(〜3mM)に維持するために、グルコース(30%)は様々な速度で注入された。50分の時点で、高インスリン血症−低血糖クランプが達成された。血中グルコースレベルは定常状態(3mM)に維持され、NBQXは60分の時点でボーラス投与され(10mg/kg)、その後実験終了時まで注入された(10mg/kg)。対照実験は、NBQXについて使用されたのと同じプロトコールに従って生理食塩水(0.9%NaCl)を使用して実施された。尾部血液サンプル(20μl)がいくつかの時点すなわち:0、50、75および90分の時点で、血漿中のグルカゴンおよびインスリン分泌の測定用に採取された。動物には過剰用量のペントバルビタールによる安楽死が施された。]
[0049] 統計学的解析
本明細書中に記載された統計比較については、スチューデントt検定、一元配置分散分析、または反復測定分散分析とその後のスチューデント・ニューマン・クールズ法を用いた多重比較手法が使用された。]
[0050] 実施例1:ヒト膵島におけるイオンチャネル型グルタミン酸受容体の活性化はグルカゴン分泌を誘導する。
単離されたヒトおよびサルの膵島についてRT−PCRを行なうことによって、本発明者らは、iGluRのサブユニットである、AMPA受容体型のGluR1、GluR2、GluR3、およびGluR4ならびにカイニン酸受容体型のGluR5、GluR6、GluR7およびKA2の転写物を検出することができた(図示せず)。これらの結果は、β細胞コンソーシアム・データベース(Beta Cell Consortium Database)(http://www.betacell.org/resources/data/epcondb/)に公表されたものと一致している。膵島におけるiGluRサブユニットの発現は、GluR2/3に対する抗体を用いたイムノブロット分析によって確認された(図示せず)。GluR1およびGluR4サブユニットは検出不可能であった。GluR2/3抗体があらかじめ吸着された場合はイムノブロットから正確なサイズのバンドが消失したが、膵臓切片での免疫染色は消失せず、GluR2/3抗体で得られた免疫蛍光シグナルは非特異的であることが示唆された。従って、iGluRの細胞特異的な発現について検討するために本発明者らは別の技術を使用することを決定した(以下を参照)。]
[0051] げっ歯動物の膵島における従来の結果(モリヤマ(Moriyama)およびハヤシ(Hayashi)、2003年)とは対照的に、本発明者らは、機能的なAMPA/カイニン酸型iGluRがもっぱらヒトおよびサルの膵島のα細胞にのみ存在することを見出した(図1および2)。ホルモン分泌を検出するためにインビトロの灌流技術を使用することによって、本発明者らは、グルタミン酸(1μM〜1mM)がグルカゴン放出の大規模で濃度依存性の増大を刺激することを見出した(図1A、B)。グルカゴン放出の増大は、iGluRアゴニストであるカイニン酸(100μM)およびAMPA(100μM)によっても誘発可能であった(図1A、B)。AMPA/カイニン酸型iGluRの2つのアンタゴニストであるCNQX(10μM)およびDNQX(10μM;図示せず)は、グルタミン酸で誘導されるグルカゴン放出を90%以上阻害した(図1A、B)。代謝調節型受容体は、ラット膵島におけるグルカゴン分泌に対する負のオートクリン作用を仲介すると報告されている(ウエハラ(Uehara)ら、2004年)。しかしながら、ヒトの膵島を使用して、本発明者らは、代謝調節型受容体アゴニストであるトランスACPD(100μM)およびACPT−1(100μM)、ならびに代謝調節型アンタゴニストであるCPPG(100μM)が、基礎的なグルカゴン分泌またはグルタミン酸に対するグルカゴン反応には影響しないことを見出した(図1C、D)。] 図1 図1A 図1C
[0052] カイニン酸(100μM)、グルタミン酸(100μM)、またはAMPA(100μM)のいずれも、ヒト(図1E)およびサルの膵島(図示せず)におけるインスリン放出の増大を刺激しなかった。iGluRアゴニストのこれらの作用は、試験したすべてのグルコース濃度(1mM、3mMおよび11mM)において同様であった。] 図1E
[0053] 実施例2:α細胞は機能的なAMPA/カイニン酸型iGluRを発現する。
Ca2+指示薬であるFura−2をロードされたヒトおよびサルの膵島および分散された単一膵島細胞は、グルタミン酸(100μM)に応答して細胞質の遊離Ca2+濃度([Ca2+]i)の増大を示した。グルタミン酸に対する[Ca2+]i反応は濃度依存的であり(図1F)、CNQX(10μM)によって遮断可能であった(以下を参照)。[Ca2+]i反応を誘発したグルタミン酸濃度範囲は、中枢神経系のニューロンについて報告されたものに類似していた(ホルマン(Hollmann)およびハイネマン(Heinemann)、1994年;シーバーグ(Seeburg)、1993年)。グルタミン酸に応答した細胞は、カイニン酸(100μM)にも応答して[Ca2+]iが顕著に増大した(細胞12個のうち12個)。[Ca2+]iの増大という観点でグルタミン酸に応答した細胞は、高いグルコース濃度には応答せず(11mM;n=43(細胞43個中)、図2A)、高濃度グルコースに応答した細胞はグルタミン酸に応答しなかった(n=64(細胞64個中)、図2A)。[Ca2+]i画像化の後に免疫蛍光検査法を使用して、本発明者らは、最もグルタミン酸応答性の高い細胞がグルカゴン免疫反応性であることを見出した(n=34(細胞37個中);n=4(ヒト調製物);図2A)。インスリン免疫反応性の細胞はいずれもカイニン酸に応答しなかった(n=8)が、グルカゴン免疫反応性の細胞のほとんどが応答した(9個のうち7個)。同様の結果がサルの膵島を用いて得られた(図示せず)。] 図1F 図2A
[0054] 単一細胞のRT−PCR実験から、AMPA/カイニン酸遺伝子GRIA2、GRIA3およびGRIK2の転写物(図2B)は、α細胞であると同定された細胞(グルカゴンについては陽性だがインスリン、ソマトスタチン、または膵臓ポリペプチドについては陽性ではない;n=7(ヒト細胞)、n=5(サル細胞))においては一貫して検出可能であることが示された。対照的に、同定されたβ細胞(インスリンのみについて陽性)においては、本発明者らはAMPA/カイニン酸遺伝子の転写物を検出することができなかった(図2B)。代謝型グルタミン酸受容体4遺伝子(GRM4)の転写物は7個のヒトα細胞のうち2個に見出されたが、サルのα細胞、または両生物種のβ細胞には見出されなかった(図2B)。調べた細胞はいずれも代謝型グルタミン酸受容体5遺伝子(GRM5)の転写物を含まなかった。これらのデータは、ヒトおよびサルのα細胞は機能的なAMPA/カイニン酸型iGluRを発現するが、β細胞は発現しないことを示している。] 図2B
[0055] 実施例3:AMPA/カイニン酸受容体の活性化は電位依存性Ca2+チャネルを通るCa2+の流入を介してグルカゴン分泌を誘発する。
本発明者らは、AMPA/カイニン酸型iGluRの活性化がどのようにしてグルカゴン分泌をもたらすことができるかについて調べた。単離されたヒト膵島細胞における全細胞パッチクランプ記録から、カイニン酸(100μM)の適用により、AMPA/カイニン酸型受容体アンタゴニストであるNBQX(10μM)によって遮断可能な内向き電流が誘発されることが示された(図3A)。カイニン酸に対する[Ca2+]i反応は、CNQX(10μM)によって遮断され、細胞外Ca2+の非存在下、および電位依存性Ca2+チャネルの強力な遮断薬であるLa3+(30μM)によって消失した(図3C、D)。L型Ca2+チャネル遮断薬であるニフェジピン(10μM)はカイニン酸で誘導される[Ca2+]i反応を〜60%低減した(図3D)。本発明者らは、これらのメカニズムがカイニン酸で誘導されるグルカゴン分泌に関与するかどうかをさらに調べた。ホルモン分泌を検出するための灌流アッセイを使用して、本発明者らは、カイニン酸で刺激されたグルカゴン分泌が細胞外Ca2+の非存在下では消失することを見出した(図3B)。La3+(30μM)、および選択的Ca2+チャネル阻害剤の組み合わせは、カイニン酸に対するグルカゴン反応を大幅に減じた(>90%)。これらの結果は、カイニン酸が、AMPA/カイニン酸型iGluRを介した内向き電流を活性化し(ホルマン(Hollmann)およびハイネマン(Heinemann)、1994年);マイヤー(Mayer)およびアームストロング(Armstrong)、2004年)、該内向き電流がα細胞の原形質膜を脱分極させ、その結果として電位依存性Ca2+チャネルを通るCa2+流入をもたらし、結果的に[Ca2+]iを増大させることによって、グルカゴン分泌を誘発したことを示している。] 図3A 図3B 図3C 図3D
[0056] 実施例4:霊長類のα細胞はグルタミン酸を分泌する。
膵島には、いくつかの想定されるグルタミン酸供給源、例えば神経終末および内分泌細胞がある。したがって、本発明者らは、グルタミン酸がグルカゴンを含有するα細胞から放出されるかどうかを調べた。グルタミン酸を小胞性放出することができる細胞は、小胞型グルタミン酸輸送体(vGluT)を発現している(フレモー(Fremeau)ら、2004年)。本発明者らのRT−PCRの結果は、霊長類の膵島がvGluT1およびvGluT2を発現することを示している(図示せず)。霊長類の膵島におけるvGluTの局在について調べるために、本発明者らは、ヒトおよびサルの膵臓切片で多重免疫染色を行なった(図4A)。ラットにおける従来の研究(ハヤシ(Hayashi)ら、2003年a;ハヤシ(Hayashi)ら、2003年b)と一致して、本発明者らは、α細胞はvGluT1に対して免疫反応性であるが、インスリンを含有するβ細胞は免疫反応性ではないことを見出した(図4A)。これらの結果は、α細胞が霊長類の膵島内におけるグルタミン酸の主な供給源であることを示している。] 図4A
[0057] グルタミン酸放出を直接視覚化するために、本発明者らは、酵素アッセイを細胞外グルタミン酸の顕微蛍光検出(アカギ(Akagi)ら、2003年)用に適合させ、単離された培養膵島を使用してこのアッセイを実施した(図4B)。グルコース濃度が6mMから1mMまで低下すると、蛍光強度は著しく増大し、グルタミン酸が放出されたことが示された(図4C、D)。対照的に、高濃度グルコース(11mM)を用いた刺激はグルタミン酸分泌を誘導しなかった(図4C、D)。α細胞に特異的な刺激剤である(上記参照)カイニン酸(100μM)で刺激されると、膵島はグルタミン酸を強力に放出した(図4B〜D)。KCl(30mM)での脱分極も、グルタミン酸放出の大幅な増大を誘発した(図4D)。グルタミン酸感受性の酵素であるグルタミン酸オキシダーゼの非存在下では蛍光シグナルは小さく(図4B〜D)、このアッセイにおける蛍光強度の大幅な増大はグルタミン酸の放出に依存することが示唆された。] 図4B 図4C 図4D
[0058] ニューロン成分がグルタミン酸シグナルに寄与しうるかどうかを判断するために、本発明者らは、単離された膵島について、ニューロンのマーカーであるシナプシン、ニューロン特異的エノラーゼ、ニューロフィラメント200、またはニューロフィラメントHの存在を調べた。本発明者らは、標識された線維、膿胞、または細胞を、あるとしてもごくわずかしか見出さなかった(図示しない)が、このことは、膵島の一夜培養物で残存する神経終末はほとんどないことを示す従来の研究(カールソン(Karlsson)ら、1997年)と一致している。培養された膵島を使用して実験を実施したので、本発明者らは、膵島内のグルタミン酸は主として刺激を受けた霊長類α細胞に由来するものであったと結論する。]
[0059] 実施例5:グルタミン酸シグナル伝達はグルカゴン分泌に正のフィードバックを提供する。
本明細書に開示された結果は、α細胞がiGluRを発現し、かつグルタミン酸を分泌することを示し、グルタミン酸がオートクリン・シグナルであることを示唆している。本発明者らは、グルコース濃度の減少が、グルカゴン分泌を強化するグルタミン酸フィードバックループを活性化すると仮定した。そうであれば、iGluRアンタゴニストの適用はグルカゴン反応を低減するはずである。この仮説について、低濃度のグルコースに対する反応を検出するには感度が低い可能性のある(ホープ(Hope)ら、2004年)灌流アッセイを用いて試験する代わりに、本発明者らは、より感度の高いアッセイ、すなわちバイオセンサ細胞によるグルカゴン放出の検出を使用することにした。本発明者らは、グルカゴン受容体を発現するバイオセンサ細胞の層の上にヒトの膵島を置いた(リョレンテ(Llorente)ら、2006年)(グルカゴンのEC50=30pM)(図5A)。バイオセンサ細胞は環状ヌクレオチド感受性チャネルを発現し、該チャネルは、グルカゴン受容体の刺激に続く細胞内cAMP濃度の上昇によって活性化され、その結果として膜脱分極およびCa2+流入をもたらす。膵島からのグルカゴン放出は、[Ca2+]i指示薬であるFura−2がロードされたバイオセンサ細胞からの[Ca2+]i反応を記録することにより、リアルタイムで観察された。膵島の非存在下では、バイオセンサ細胞は、グルタミン酸(100μM)(図5B)に、またはグルコース濃度の変化(図示せず)に、応答しなかった。ヒトの膵島がバイオセンサ細胞上に置かれると、バイオセンサ細胞はグルタミン酸の適用に対して大規模な[Ca2+]i反応を示し(図5B)、グルカゴン放出が誘導されたことを示唆した。6mMから1mMへのグルコース濃度の低下も、バイオセンサ細胞における[Ca2+]i反応によって計測されるように、グルカゴン放出を誘導した(図5C)。グルコース濃度の低減に対するグルカゴン反応は、CNQX(10μM)によって阻害された(54%の低減;図5D)。従って本発明者らは、α細胞上のiGluRの活性化はグルコース濃度が低下した場合の迅速なグルカゴン分泌に必要であると結論付けた。] 図5A 図5B 図5C 図5D
[0060] 実施例6:α細胞上のiGluRはインビボのグルコースホメオスタシスに寄与する。
例えば、本発明者らは、AMPA/カイニン酸受容体の活性化がインビトロでのグルカゴン分泌に対する最も強い刺激のうちの1つであることを見出した。α細胞上のiGluRの活性化がインビボのグルコースホメオスタシスに寄与するかどうかを判断するために、本発明者らはマウスで実験を行なった。マウス膵島はインビトロではAMPA/カイニン酸型iGluRの活性化に応答してグルカゴンを分泌したが、インスリンは分泌しなかった(図6A、D)。代謝調節型受容体アゴニストであるトランスACPD(100μM)およびACPT−1(100μM)、ならびに代謝調節型受容体アンタゴニストであるCPPG(100μM)は、基礎的なグルカゴン分泌またはグルタミン酸によって誘導されたグルカゴン分泌に影響を及ぼさなかった(図6B)。さらに、グルタミン酸に対するグルカゴン反応は、野生型マウスとmGluR4KOマウスとで区別がつかなかった(図6C)。したがって、マウスのβ細胞ではなくα細胞が、主としてiGluRの活性化を介してグルタミン酸に応答した。これらの結果は、マウス膵島におけるグルタミン酸シグナル伝達はヒト膵島におけるものと類似していることを示唆している。] 図6A 図6B 図6C
[0061] AMPA/カイニン酸受容体のインビボでの活性化がグルカゴン分泌に影響を及ぼすかどうかを判断するために、本発明者らはマウスにグルタミン酸およびAMPA受容体特異的アゴニストであるAMPAを注入した。グルタミン酸(30mg/kg;i.p.)およびAMPA(15mg/kg;i.p.)を注入されたマウスは、処置後30分で血漿中グルカゴン濃度の増大を示した(図7A)。血漿中インスリン濃度は影響を受けなかった。同時に、これらのマウスではグルコースレベルが増大したが(図7A)、これはグルカゴン分泌の増大の結果であるはずである。グルタミン酸は血液脳関門を通らず(ベイロイト(Beyreuther)ら、2007年)、また使用した濃度ではAMPAは中枢神経への侵入を示す痙攣(アント(Arnt)ら、1995年)を引き起こさなかったので、グルタミン酸およびAMPAが中枢作用を持たない可能性は高い。本発明者らは末梢ニューロンに対する影響を除外することはできないが、本発明者らの結果の総体的な解釈から、本発明者らがα細胞上のAMPA/カイニン酸受容体をまさに直接活性化することによってインビボでマウスにおいてグルカゴン分泌を刺激したことが強く示唆される。] 図7A
[0062] 膵臓内分泌部のα細胞からのグルカゴン分泌の増大は、グルコース逆調節において主要な役割を果たす(バナラ(Banarer)ら、2002年;リッツァ(Rizza)ら、1979年)。本発明者らは、α細胞がグルコース濃度の低下に対して十分なグルカゴン反応を生じるためにグルタミン酸の正のフィードバックループを必要とするかどうかという疑問を呈した。初期実験では、マウスは低血糖症を誘導するためにインスリン(1.5U/kg;i.p.)を注入された。これらのマウスでは、AMPA/カイニン酸型iGluRアンタゴニストであるNBQX(20mg/kg、i.p.)を用いた全身的処理が、インスリン誘導による血漿中グルコース濃度の低下を強めた(図示せず)。この濃度ではNBQXは鎮静作用を引き起こさず、該処理が自律機能に対する中枢作用を伴わずにグルコース逆調節を正常に機能させなかったことが示唆された(リーズ(Lees)、2000年)。]
[0063] AMPA/カイニン酸受容体の遮断が全身性の低血糖症に対する逆調節反応を低下させるかどうか調べるために、本発明者らは高インスリン血症−低血糖クランプ技術を使用した(図7B)。この技術は、血漿中グルコース濃度を所望の血糖レベル(本発明者らの研究では〜3mM)に保持することが可能な標準化された低血糖刺激を提供する。AMPA/カイニン酸型iGluRアンタゴニストであるNBQXで全身処理されたマウス(10mg/kg;iv;n=7)は、所望の血糖レベルを維持するために高いグルコース注入速度を必要とし、対照のPBS注入マウス(n=4)と比較して逆調節反応が縮小されたことが示唆された(図7C)。実際、本発明者らはグルカゴンの血漿中濃度がNBQXで処理されたマウスではより低いことを見出し、低血糖症に応答した効率的なグルカゴン分泌にはiGluRの活性化が必要であることが示唆された(図7B)。] 図7B 図7C
[0064] 以上の実施例は本発明の可能な実施形態を例証している。本発明について、本発明のいくつかの実施形態に関して具体的に表示かつ説明してきたが、当業者には当然のことながら該実施形態は限定ではなく単なる例として提示されており、形態および細部の様々な変更を、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく該実施形態において行なうことが可能である。したがって、本発明の広さおよび範囲は上記の典型的な実施形態のうちのいずれによっても制限されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびその等価物に従ってのみ定義されるべきである。本明細書において使用されるいかなる見出しも、単に構成上の目的で提示されるものであり、特に記載のない限り、本文書に対していかなる区分または意味を与えることも意図されていない。]
[0065] 本明細書中で引用されたすべての文献、例えばウェブサイト、雑誌の論文もしくは抄録、公開済みもしくは対応する米国もしくは外国特許出願、交付済み特許もしくは外国特許、またはその他任意の文献は、該引用文献中に提示された全てのデータ、表、図面、および本文を含めて、それぞれ参照により全体が本願に組み込まれる。]
[0066] 参照文献
以下の参照文献はそれぞれ全体が本願に組み込まれる。]
実施例

[0067] ]
权利要求:

請求項1
低血糖症を治療する方法であって、イオンチャネル型グルタミン酸受容体を活性化してグルカゴン放出を刺激する有効な量の化合物を投与することを含んでなる方法。
請求項2
化合物はグルタミン酸受容体サブユニットGluR6を活性化することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
請求項3
イオンチャネル型グルタミン酸受容体はAMPA/カイニン酸型受容体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
請求項4
化合物は、カイニン酸、AMPA、および(2S,4R)−4−メチルグルタミン酸、(RS)−2−アミノ−3−(4−クロロ−3−ヒドロキシ−5−イソキサゾリル)プロピオン酸、4,6−ビス(ベンゾイルアミノ)−1,3−ベンゼンジカルボン酸、(±)−4−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−メチル−2−プロピルカルバモイル−6,7−メチレンジオキシフタラジン、1−(4’−アミノフェニル)−3,5−ジヒドロ−7,8−ジメトキシ−4H−2,3−ベンゾジアゼピン−4−オン、1,4−ジヒドロ−6−(1H−イミダゾール−1−イル)−7−ニトロ−2,3−キノキサリンジオン塩酸塩、GABA、およびビククリンで構成されている群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
請求項5
化合物はグルタミン酸アナログであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
請求項6
化合物は約5mg/kg/日〜約200mg/kg/日の投与量で投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
請求項7
低血糖症は糖尿病を合併していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
請求項8
低血糖症を治療する医薬品の製品の製造における、イオンチャネル型グルタミン酸受容体を活性化してグルカゴン放出を刺激する化合物の使用。
請求項9
グルカゴン放出を刺激する方法であって、イオンチャネル型グルタミン酸受容体のグルタミン酸受容体サブユニットGluR6を活性化してグルカゴン放出を刺激する化合物を、投与することを含んでなる方法。
請求項10
イオンチャネル型グルタミン酸受容体はAMPA/カイニン酸型受容体であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
請求項11
化合物は、カイニン酸、AMPA、およびGABAで構成されている群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
請求項12
化合物はグルタミン酸アナログであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
請求項13
化合物は約5mg/kg/日〜約200mg/kg/日の投与量で投与されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
請求項14
糖尿病の治療において有用なモジュレータをインビトロでスクリーニングするためのアッセイであって:2群の膵島細胞を提供するステップであって、第1群は対照であり、第2群は存在するβ細胞を破壊するのに十分な用量のストレプトゾトシンを投与されることを特徴とするステップと;第1群および第2群の両方に試験化合物を投与するステップと;試験化合物の作用を測定するために、第1群および第2群におけるグルカゴン放出の増強を計測するステップであって、細胞質内カルシウム動員またはグルカゴン放出のうち少なくともいずれか一方の減少がモジュレータとして有用な化合物の指標であることを特徴とするステップと、を含んでなるアッセイ。
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同族专利:
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