![]() 翻訳プロファイリング及び分子表現型解析のための方法及び組成物
专利摘要:
特定の目的組織、細胞、及び細胞サブタイプの翻訳プロファイリング及び分子表現型解析の方法及び組成物が提供される。本明細書中で提供されている方法は、異質性試料内に存在する選択したサブセットでの遺伝子発現の解析を容易にする。1つの態様では、本明細書中に記載の発明は、ある機能に関して同時制御される遺伝子セットを特定する方法であって、その機能に関連する遺伝子を発現する複数の細胞タイプの翻訳プロファイルを決定すること、翻訳プロファイルを比較してどの追加的遺伝子が同様に制御されるかを決定し、それによりその機能に特異的に関与する同時制御された遺伝子セットを特定することを含む方法を提供する。 公开号:JP2011512871A 申请号:JP2010550699 申请日:2009-03-12 公开日:2011-04-28 发明作者:ポール グリーンガード,;アン シェイファー,;ジョセフ;ピー.エヌ ドイル,;ジョセフ;ディー. ドーハーティ,;ナタニエル ハインツ,;ミリアン ヘイマン, 申请人:ザ ロックフェラー ユニバーシティ; IPC主号:C12Q1-68
专利说明:
[0001] (相互参照) 本出願は、2008年3月12日に出願された米国特許仮出願第61/036,049号、2008年3月12日に出願された第61/036,058号、2008年3月21日に出願された61/070,327号、2008年11月12日に出願された第61/199,108号の利益を請求するものであり、これらの出願は参照によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる。 (連邦支援研究に関する記載) 本発明は、以下の助成金番号の米国政府支援下で行われた:国立老化研究所により授与されたAG09464、国立精神衛生研究所により授与されたMH074866、国立薬害研究所により授与されたDA10044及び5F32DA021487、国立衛生研究所/国立研究資源センターにより授与された5UL1RR024143、及び国立神経疾患脳卒中研究所により授与されたNS34696。米国政府は、本明細書中に提供されている内容に対して特定の権利を有する場合がある。] 背景技術 [0002] ヒト疾患及び障害に関する新しい診断法及び療法の開発における理論的枠組は、定義された細胞タイプでの遺伝子発現を特徴付けることである。多数の組織の細胞が複雑であることは、このレベルで遺伝子発現を特徴付けようと努力する者にとっての課題となる。神経系(ニューロン細胞を数で1桁圧倒する非ニューロンの細胞を有する数千のニューロン細胞タイプ)などの組織の膨大な異質性は、個々の細胞タイプに存在する遺伝子転写物の特定及び解析に対する障害である。細胞サブタイプは、高度に異質性であり、混合されていることが多い。単離された細胞での遺伝子発現研究は、細胞の単離手順中に導入されるストレス、細胞生理をin vivoで制御する組織内因性シグナルの喪失に際して生じる順応、及び固定組織からの再現性の良いmRNAの精製に関連する技術的な課題により制限を受けている。細胞単離を必要とせずに、定義された細胞タイプ及びサブタイプから翻訳されたmRNAを単離する方法は、以前は未定義だった細胞タイプを定義し、疾患及び障害の分子標的を特定し、特定の生物学的機能に関して同時制御される遺伝子セットを特定する方法を提供するために必要とされている。本発明をこれから記述する。 (参照による組み込み) 本明細書中で言及される出版物、特許、及び特許出願は全て、あたかも個々の出版物、特許、又は特許出願が具体的に及び個々に提示されて参照により組み込まれたのと同じ程度に、言及により本明細書中に組み込まれる。] 発明が解決しようとする課題 [0003] 本明細書中に記載の発明は、異なる細胞集団の生物学的特性を解明するのに有用な方法、組成物、及びキットを提供する。本明細書中に記載の実施形態は、任意の遺伝学的に定義された細胞タイプにおける、遺伝的変更、疾患、環境的、薬理学的、他の異常に応答した分子的変化の特定に有用な一般化可能な方法である翻訳中リボソーム親和性精製(TRAP、translating ribosome affinity purification)法を含む。] 課題を解決するための手段 [0004] 1つの態様では、本明細書中に記載の発明は、ある機能に関して同時制御される遺伝子セットを特定する方法であって、その機能に関連する遺伝子を発現する複数の細胞タイプの翻訳プロファイルを決定すること、翻訳プロファイルを比較してどの追加的遺伝子が同様に制御されるかを決定し、それによりその機能に特異的に関与する同時制御された遺伝子セットを特定することを含む方法を提供する。1つの実施形態では、本方法は、髄鞘形成に関与する同時制御された遺伝子セットを特定するために提供され、さらなる実施形態では、髄鞘形成に関連する遺伝子はMbpである。1つの実施形態では、同時制御された遺伝子セットは、表9に列挙されている少なくとも2つの遺伝子を含む。関連する実施形態では、遺伝子セットは、Plp1、Cnp、Mog、Mal、及びMobpからなる群から選択される少なくとも2つの遺伝子を含む。] [0005] 別の態様では、本明細書中に記載の発明は、全組織マイクロアレイ技術では検出不能である1つ又は複数の細胞タイプにおいて富化された遺伝子を検出するための方法であって、ある細胞タイプの翻訳プロファイルを評価することと、翻訳プロファイルを全組織マイクロアレイの結果と比較することと、全組織マイクロアレイの結果に存在しない翻訳プロファイル中の1つ又は複数の遺伝子の存在を決定することとを含み、それにより全組織マイクロアレイ技術では検出不能である1つ又は複数の細胞タイプで富化された遺伝子を検出する方法を提供する。特定の実施形態では、その細胞タイプにおいて富化された遺伝子の20%、30%、又は40%超は、全組織マイクロアレイ技術では検出不能である。これらの方法は、ニューロン及び非ニューロン細胞タイプを含む任意の目的の細胞タイプに適用することができる。例示的な実施形態では、細胞タイプは、線条体細胞、小脳細胞、皮質細胞、視床下部細胞、海馬細胞、脳幹細胞、及び脊髄細胞からなる群から選択される。] [0006] 別の態様では、本明細書中に記載の発明は、中型星状神経細胞において富化されたmRNAを特定する方法であって、中型星状神経細胞で発現される遺伝子に特異的な調節領域により制御されるリボソームタンパク質を生物中で発現させることと、mRNAに付随しているリボソームタンパク質を含む複合体を単離することと、複合体中のmRNAを特定することと、上記mRNAを参照試料から特定されたmRNAと比較することとを含む方法を提供する。1つの実施形態では、発現に使用される調節領域は、線条体黒質ニューロン又は線条体淡蒼球ニューロンで発現される遺伝子に特異的である。幾つかの実施形態では、中型星状神経細胞は、これらに限定されないが、パーキンソン病、依存症、注意欠陥過活動性障害、又はハンチントン病などの疾患又は障害と関連している。さらなる実施形態では、本方法は、疾患又は障害治療用の候補となる標的の選択を誘導し、候補となる標的の潜在的調節因子をさらにスクリーニングするために使用することができる。] [0007] さらに別の態様では、本明細書中に記載の発明は、運動ニューロンにおいて富化されたmRNAを特定する方法であって、運動ニューロンで発現される遺伝子に特異的な調節領域により制御されるリボソームタンパク質を発現させることと、mRNAに付随しているリボソームタンパク質を含む複合体を単離することと、複合体中のmRNAを特定することと、上記mRNAを参照試料から特定されたmRNAと比較することとを含む方法を提供する。特定の実施形態では、調節領域は、コリンアセチルトランスフェラーゼ(Chat)遺伝子座に由来する調節配列を含む。この方法は、これらに限定されないが、脳幹運動ニューロン、脊髄運動ニューロン、及び上位運動ニューロンなどの任意の運動ニューロンに由来するmRNAを特定するために使用することができる。] [0008] 別の態様では、本明細書中に記載の発明は、小脳細胞の翻訳プロファイルを評価するための方法であって、小脳遺伝子に特異的な調節領域により制御されるリボソームタンパク質を上記細胞中で発現させることと、mRNAに付随しているリボソームタンパク質を含む少なくとも1つの複合体を上記細胞から単離することと、複合体に由来するmRNAを特定し、それにより翻訳プロファイルを生成することとを含む方法を提供する。1つの実施形態では、小脳細胞は、運動失調症などの疾患又は障害に関連している。] [0009] 本発明は、内因性調節領域に作用可能に連結されたリボソームタンパク質及び検出可能なタグをコードする核酸配列を発現するように遺伝子操作された組換えベクターを含む、本明細書中に記載の方法を実施するのに有用なキットも提供する。] [0010] 本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において独自性をもって示されている。本発明の特徴及び利点に関するより良好な理解は、本発明の原理が使用されている例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明及び以下の添付の図面への言及により得られるだろう。] 図面の簡単な説明 [0011] 図1は、CNS疾患に関連するBACアレイコレクションを例示する図である。 図2は、翻訳中リボソーム親和性精製(TRAP)法を表す図である。(a)抗GFP抗体をコーティングしたビーズを使用したeGFPタグ化ポリソーム(標的細胞集団に由来する)の親和性精製の模式図。(b)空ベクター(左パネル)又はeGFP−L10a構築体(右パネル)で形質移入したHEK293T細胞から採取した抽出物と共にインキュベーションした後の抗GFPコーティング磁気ビーズの透過型電子顕微鏡写真;画像は50,000×の倍率で取得し、挿入部分は2.3×の倍率に拡大されている。 図3は、形質移入細胞に由来する翻訳されたmRNAの免疫沈降を例示する図である。 図4は、in vivoBACアレイ戦略を例示する図である。 図5は、BACベクター遺伝子操作を例示する図である。 図6は、BACアレイマウスの生成を例示する図である。 図7は、大脳皮質で特異的発現を示すBACアレイマウスを生成するために使用される駆動系の例を例示する図である。 図8は、視床下部で特異的発現を示すBACアレイマウスを生成するために使用される駆動系の例を例示する図である。 図9は、パネル1〜25は、BAC遺伝子導入が、特定のCNS細胞集団に対するeGFP−L10aを標的とすることを例示する図である。各マウス系統での抗eGFP抗体によるDAB免疫組織化学は、eGFP−L10a導入遺伝子の固有で特異的な発現パターンを明らかにする。パネル(10×)は導入遺伝子を発現する細胞タイプの形態及び局在化を示し、挿入部分は、小脳(1〜9)、脊髄(10)、線条体/基底前脳(11〜14)、脳幹(15)、及び皮質(16〜25)細胞タイプのパネルの部位を示している。破線(パネル16〜25)は脳梁を示す。細胞タイプの符号は全て図11Aにある。 図10は、GENSTATeGFP及びBACアレイ皮質錐体細胞系統が、同じ層分布を示すことを例示する図である。A)各錐体細胞BAC駆動系についてのBACアレイ及びGENSAT eGFP系統における、軟膜表面とeGFP+細胞体との距離のグラフ(平均値±標準誤差)。細胞の深さは、各駆動系について両方系統間で一致していた。B)100ミクロン範囲中の細胞のパーセンテージが、Aの各系統の細胞深度の分布ヒストグラムとして示されている。各駆動系についてのBACアレイ系統及びeGFP系統は、細胞深度の分布が重なり合っていた。 図11は、研究した細胞タイプ及び系統の特徴付けの要約を例示する図である。A)図9に対応する、BACアレイを用いて研究した全細胞集団の表。B)カルビンジン陽性プルキンエ細胞のPcp2 BAC制御下にあるeGFP−L10aの検出。C)NeuN陽性核を有する顆粒細胞のNeurod1 BAC制御下にあるeGFP−L10aの検出。D)パルブアルブミン陽性プルキンエ細胞線維ではなく、分子層のパルブアルブミン陽性外側星状及び深部星状(かご)ニューロンのLypd6 BAC制御下にあるeGFPL10aの検出(矢印)。E)Grm2/3陽性糸球体ではなく、顆粒細胞層のGrm2/3の陽性介在ニューロン(ゴルジ細胞)のGrm2 BAC制御下にあるeGFP−L10aの検出(矢印)。F)Grm1陽性刷毛を有する単極刷毛細胞のGrp BAC制御下で検出されたeGFP−L10a(矢印)。G)s100陽性ベルイマングリアのSept4 BAC制御下で検出されたeGFP−L10a。 図12は、導入遺伝子発現が高ければ高いほど、より良好な信号対雑音がもたらされることを示す図である。A)eGFP−L10aのDAB免疫組織化学は、同じ細胞集団を標的とする2つのBACアレイ系統での導入遺伝子発現の強度差を明らかにする。B)陽性及び陰性対照の平均IP/UB倍数変化により評価されたBACアレイデータの品質は、より高い導入遺伝子発現を有する系統でより良好である。 図13は、BACアレイ系統からのタンパク質及びmRNAの精製を例示する図である。(a)eGFPタグ化L10aの精製、及び野生型同腹仔からではなく、D1 BACアレイ動物からの非タグ化リボソームタンパク質L7の共精製(D1、D1 BACアレイマウスに由来する試料;WT、野生型同腹仔に由来する試料;In、1%投入(input)試料;UB、1%未結合試料;IP、6.5%免疫親和性精製試料)。eGFP−L10aシグナルは、IP試料がIn及びUBと比べてより富化されているため、D1 IPレーンにのみ存在する。(b)バイオアナライザーPicoChips(Agilent Technologies社製)で検出した、野生型同腹子(下段パネル)からではなく、D1 BACアレイトランスジェニック動物(上段パネル)からの18SrRNA及び28S rRNAの精製。28S rRNAは約47秒で検出され(run)、18S rRNAは約43秒で検出され、マーカーピークは約23秒で検出される。 図14は、免疫沈降したリボソーム複合体の電子顕微鏡写真を例示する図である。 図15は、マイクロアレイシグナル強度が、転写の長さと共に増加しないことを示す図である。A〜DD:より長いmRNAがより短い転写物より効率的に免疫沈降されたどうかを評価するために、30個の試料について、試料転写の長さ(Y軸、底が2の対数)を、GCRMA正規化シグナル強度(X軸、底が2の対数)対してプロットした。免疫沈降及び未結合(全組織RNA)の試料はどちらも、長さとシグナルとの間に正の相関性を示さない。 図16は、BACアレイが、希少な細胞タイプ及び一般的な細胞タイプから効率的に一貫してRNAを精製できることを例示する図である。A)S20画分、通過画分(UB)、並びに小脳の希少な細胞タイプ(単極刷毛細胞)、一般的な細胞タイプ(プルキンエ細胞)、及び非常に一般的な細胞タイプ(顆粒細胞)からの免疫沈降物に由来するeGFPのウエスタンブロット。タンパク質が検出不能の場合でさえ、マイクロアレイ増幅用に十分な良質のRNAが存在することに留意されたい。B)RNAの収率は、各系統内の反復試料にわたって一貫している。C)3つの細胞タイプ全ての全RNAは良質であり、完全18s及び28sバンド並びに標準的プロトコールに従って増幅及び断片化することができるmRNAを有する。 図17は、BACアレイデータは再現性があり、細胞タイプ特異的であることを例示する図である。 図18は、BACアレイが、公知のマーカーを特定することができ、様々な細胞タイプの新しいマーカーを発見することができることを示す図である。 図18は、BACアレイが、公知のマーカーを特定することができ、様々な細胞タイプの新しいマーカーを発見することができることを示す図である。 図19は、BACアレイが、細胞をタイプによりクラスター化し、全組織アレイより高い感度を提供することを示す図である。 図20は、細胞タイプ多様性が、受容体及びイオンチャネルなどの細胞表面上のタンパク質により推進されることを示す図である。 図20は、細胞タイプ多様性が、受容体及びイオンチャネルなどの細胞表面上のタンパク質により推進されることを示す図である。 図20は、細胞タイプ多様性が、受容体及びイオンチャネルなどの細胞表面上のタンパク質により推進されることを示す図である。 図21は、比較分析が、各細胞タイプの固有な翻訳プロファイルを明らかにすることを示す図である。 図21は、比較分析が、各細胞タイプの固有な翻訳プロファイルを明らかにすることを示す図である。 図22は、脊髄運動ニューロンの転写の略図を例示する図である。 図23は、Chat及びプルキンエ細胞BACアレイ系統でのeGFP−L10a発現を例示する図である。(A)Chat BACアレイ系統DW167に由来する成体矢状切片でのeGFPに対する免疫組織化学。(B)Chat BACアレイ系統DW167脳幹顔面運動核の間接免疫蛍光特徴付け:eGFP染色(左パネル);Chat染色(中央パネル)、及び重ね合わせ(右パネル、20μmスケールバーが示されている)。(C)Pcp2 BACアレイ系統DR166に由来する成体矢状切片でのeGFPに対する免疫組織化学。(D)Pcp2 BACアレイ系統DR166プルキンエ細胞ニューロンの間接免疫蛍光特徴付け:eGFP染色(左パネル);カルビンジン−D28K染色(中央パネル)、及び重ね合わせ(右パネル、20μmスケールバーが示されている)。 図24は、BACアレイプロファイルが、既知の細胞特異的マーカーを反復し、4つの異なる細胞タイプの新しいマーカーを明らかにすることを示す図である。参照mRNA試料と比較したD1、D2、Chat、及びPcp2 BACアレイデータの散布図は、各細胞タイプで富化された数百の遺伝子を明らかにする(A〜D)。対角線の両側の直線は、2倍の富化を示す。図軸は、発現を10の累乗で標示している。各細胞タイプにつき上位1,000の富化されたプローブセット(表17〜20)のベン図(発現値のカットオフは>100)は、各細胞タイプが、富化された遺伝子の固有なパターンを示すことを明らかにする(E〜H)。 図25は、D1及びD2 BACアレイ系統でのeGFP−L10a発現を例示する図である。(a)D2 BACアレイ系統CP101に由来する成体矢状切片でのeGFPに対する免疫組織化学。(b)D2 BACアレイ系統CP101線条体MSN細胞の特徴付け:直接eGFP蛍光(左パネル、高倍率画像が挿入されている);エンケファリン免疫組織化学的染色(中央パネル);重ね合わせ(右パネル、20μmスケールバーが示されている)。(C)D1 BACアレイ系統CP73に由来する成体矢状切片でのeGFPに対する免疫組織化学。(d)D1 BACアレイ系統CP73線条体MSN細胞の特徴付け:直接eGFP蛍光(左パネル);エンケファリン免疫組織化学的染色(中央パネル);重ね合わせ(右パネル)。 図26は、D2 BACアレイマウス線条体抽出物のポリソームプロファイルを例示する図である。 図27は、メッセージ存在量及び長さと比較した線条体MSN IP値の解析を例示する図である。転写の長さは、入手可能なマウスの管理された(curated)RefSeqRNA配列全てに基づいていた(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/genomes/M_musculus/RNA)。単一遺伝子の転写改変体が複数入手可能だった場合、最長の転写改変体を選択した。RefSeqの長さを、D1(a)又はD2(b)BACアレイIP標準化発現値に対してプロットした。転写の長さとIP値との間に相関性は観察されなかった。Affymetrix社製Genechipプローブセット全ての線条体発現値は、野生型線条体組織に由来する全RNAアレイにより取得した(データ非表示)。これらの値を、(c)D1 BACアレイ又は(d)D2 BACアレイのIP標準化値に対してプロットした。予想通り、線条体全体におけるより高い発現は(IP、野生型マウスでは発現しない)、より高いD1又はD2 BACアレイIP値と相関している。線条体全体で中程度の発現を示すが低IP値を示す少数の遺伝子には、公知の非ニューロン遺伝子が含まれる。 図28は、BACアレイ精製mRNAの遺伝子発現解析を示す図である。Affymetrix社製マウスゲノム430 2.0アレイからの正規化発現値を、D1及びD2 BACアレイ試料についてプロットする。中央の対角線は等しい発現を表し、両側の直線はいずれかの細胞集団での1.5倍の富化を表す。 図29は、中型星状神経細胞(MSN)で富化された遺伝子の発現解析を例示する図である。MSNで富化された本研究で特定された上位100(a)又は1,000〜1,100(b)の遺伝子中にあった遺伝子の矢状切片における発現解析を示しており、各遺伝子の順位序列が遺伝子名の下に記されている。重複したプローブセットを除外し、各遺伝子に対応する最高順位のプローブセットを使用して、非重複遺伝子順位を算出した。左パネル、Allen脳地図(Allen脳地図(Allen Brain Atlas)、[インターネット]。シアトル(米国ワシントン州):Allen脳科学研究所。(著作権)2006年。http://www.brain map.orgから入手可能)から取得したin situハイブリダイゼーション画像(3);右パネル、脳遺伝子発現地図(BGEM、Brain Gene Expression Map)データベース(http://www.stjudebgem.org/)から取得したin situハイブリダイゼーション画像(4)。Allen脳地図画像は全て成体脳に対応しており、BGEM画像は、最も年齢の高い利用可能なデータが生後7日目(P7)だった以下のものを除き全て成体脳に対応する:Drd2、Ppp1r1b、Dlx6、Gdnf、Bcl11b、Foxg1、Limd2、Fem1b、Dynll1、Atbf1、Foxo3a、Dnalc4、Mtmr7、Dnmt3a。 図29は、中型星状神経細胞(MSN)で富化された遺伝子の発現解析を例示する図である。MSNで富化された本研究で特定された上位100(a)又は1,000〜1,100(b)の遺伝子中にあった遺伝子の矢状切片における発現解析を示しており、各遺伝子の順位序列が遺伝子名の下に記されている。重複したプローブセットを除外し、各遺伝子に対応する最高順位のプローブセットを使用して、非重複遺伝子順位を算出した。左パネル、Allen脳地図(Allen脳地図(Allen Brain Atlas)、[インターネット]。シアトル(米国ワシントン州):Allen脳科学研究所。(著作権)2006年。http://www.brain map.orgから入手可能)から取得したin situハイブリダイゼーション画像(3);右パネル、脳遺伝子発現地図(BGEM、Brain Gene Expression Map)データベース(http://www.stjudebgem.org/)から取得したin situハイブリダイゼーション画像(4)。Allen脳地図画像は全て成体脳に対応しており、BGEM画像は、最も年齢の高い利用可能なデータが生後7日目(P7)だった以下のものを除き全て成体脳に対応する:Drd2、Ppp1r1b、Dlx6、Gdnf、Bcl11b、Foxg1、Limd2、Fem1b、Dynll1、Atbf1、Foxo3a、Dnalc4、Mtmr7、Dnmt3a。 図30は、機能的Gpr6受容体は、BAC D2線条体淡蒼球ニューロンには見出されるが、BAC D1線条体黒質中型星状神経細胞には見出されないことを例示する図である。(a)BAC D2マウスに由来するeGFP標識中型星状神経細胞の突起。視覚化用にAlexa594(50μM)を、及び細胞内Ca2+の変化を測定するためにFluo4(200μM)を含有するピペットで細胞をパッチした(右)。細胞を−70mVで電圧固定した。スフィンゴシン1リン酸塩(S1P、10μM)を含有するパフピペット(puffer pipette)を、細胞体から60 80μmの樹状突起付近に配置した(左/カーツーン)。(b)樹状突起セグメントの高倍率画像(対照、左パネル)は、S1P添加に伴うCa2+増加を示し(S1Pパフ、中央パネル)、この増加は洗浄により逆転した(洗浄、右パネル)。Ca2+の変化は、Alexa594の蛍光に対するFluo4の蛍光のパーセント変化(ΔG/R)を算出することにより決定した。(c)S1Pが、b(オレンジ色のトレース)からのROIにおける細胞内Ca2+増加を誘導したことを示す時間的経過;BAC D1中型星状神経細胞(黒色トレース)又はタプシガルジンを負荷したBAC D2中型星状神経細胞の同様の測定は、S1P添加による樹状突起Ca2+レベルにいかなる変化も明らかにしなかった。(d)S1P効果を要約するボックスプロット。BAC D2中型星状神経細胞(中央値=146%、範囲44〜294%、n=6);BAC D1中型星状神経細胞(中央値=17%、範囲13〜22%、n=4);及びタプシガルジンを負荷したBAC D2中型星状神経細胞(中央値=4%、範囲−9〜10%、n=4)における蛍光のパーセント増加(ΔG/R)。 図31は、コカイン処置が、BAC D1線条体黒質ニューロンにおける小振幅GABA作動性mIPSCの周波数を増加させることを例示する図である。(a)生理食塩水又は(b)コカイン(20mg/kg/日)で15日間処置したマウスから採取したBAC D1線条体黒質ニューロン(D1プロモーター下で可溶性eGFPを発現する)の代表的な自発性mIPSCトレース。(c)コカイン治療後のBAC D1線条体黒質ニューロンmIPSC周波数の増加を示す平均mIPSC周波数の要約的棒グラフ(マン−ホイットニー順位和検定、p<0.05、生理食塩水中央値=0.82Hz、n=22;コカイン中央値=1.03Hz、n=26)。(d)同じ長さの測定(7分間)での小振幅mIPSC(<75pA)の数が、コカイン処置後にBAC D1線条体黒質ニューロンで増加したことを示す要約的棒グラフ(t検定、p<0.05、生理食塩水=79.4±8.2、n=22;コカイン=104.2±6.3、n=26)。(e)生理食塩水で処置したBAC D1ニューロン及びコカインで処置したBAC D1ニューロンの代表的な分散−平均電流プロットであり、1シナプス当たりより少数のGABAA受容体(N)を有するが、単一受容体コンダクタンス(g)が不変である受容体を有するシナプスから、コカイン誘導性小振幅事象が生じることを示唆する(生理食塩水 N=33、g=31pS;コカイン N=27、g=30pS;平均は図S6c dを参照)。(f)生理食塩水で15日間処置した後のBAC D2線条体淡蒼球ニューロン、及び(g)コカインで15日間処置した後のBAC D2線条体淡蒼球ニューロンからの代表的な自発性mIPSCトレース。(h)生理食塩水で処置したニューロン及びコカインで処置したニューロンの平均mIPSC周波数の要約的棒グラフであり、処置条件の影響がなかったことを示す(t検定、p>0.05、生理食塩水=0.72±0.05Hz、n=12;コカイン=0.78±0.07Hz、n=16)。(i)同じ長さの測定(7分間)での小振幅mIPSC(<75pA)の数が、BAC D2ニューロンの処置条件により変化しなかったことを示す要約的棒グラフ(t検定、p>0.05、生理食塩水=68.1±9.7、n=12;コカイン=71.7±7.5、n=16)。(j)コカイン処置が、BAC D2ニューロンの1シナプス当たりの受容体の数又は単位受容体コンダクタンスを変化させなかったことを示す代表的な分散−平均電流プロット(生理食塩水 N=29、g=33pS;コカイン N=31、g=29pS)。 図32は、コカイン処置が、BAC D1線条体黒質ニューロンの1シナプス当たりのGABAAチャネルの数を減少させることを例示する図である。生理食塩水で処置した対照及び15日間処置したコカインBAC D1マウスから採取した個々の線条体黒質ニューロンの平均mIPSC動態及び非定常ノイズ解析測定を示すボックスプロット要約。(a)平均10−90%の立ち上がり時間(t検定、p>0.05、生理食塩水=0.64±0.008、n=22;コカイン=0.65±0.006、n=26)も(b)平均減衰時間(t検定、p>0.05、生理食塩水=17.3±0.5、n=22;コカイン=17.0±0.5、n=26)も、群間での差はなかった。mIPSCの非定常ノイズ解析は、(c)線条体黒質ニューロンのGABAA受容体の平均単位コンダクタンス(g)が群間で変化しないこと(t検定、p>0.05、生理食塩水 g=31.1±1.6、n=22;コカイン g=30.8±1.2、n=26)、及び(d)コカインで処置したBAC D1マウスから採取した線条体黒質ニューロンの1シナプス当たりの平均チャネル数が減少したこと(t検定、p<0.05、生理食塩水 N=33.1±1.4、n=22;コカイン N=29.3±1.0、n=26)を実証した。 図33は、コカイン処置が、BAC D2線条体淡蒼球ニューロンのGABA作動性mIPSC動態又は1シナプス当たりのGABAA受容体数又は単一受容体コンダクタンスを変化させないことを例示する図である。生理食塩水で処置した対照及び15日間処置したコカインBAC D2から採取した個々の線条体淡蒼球ニューロンの平均mIPSC動態及び非定常ノイズ解析測定を示すボックスプロット要約。(a)平均10−90%の立ち上がり時間(t検定、p>0.05、生理食塩水=0.65±0.007、n=12;コカイン=0.64±0.010、n=16)も(b)平均減衰時間(t検定、p>0.05、生理食塩水=18.0±1.0、n=12;コカイン=18.0±0.5、n=16)も、群間での差異はなかった。mIPSCの非定常ノイズ解析は、(c)線条体淡蒼球ニューロンのGABAA受容体の平均単位コンダクタンス(y軸でgと記されている)が群間で変化しないこと(t検定、p>0.05、生理食塩水 g=30.7±1.5、n=12;コカイン g=30.3±1.2、n=16)、又は(d)コカインで処置したBAC D2マウスから採取した線条体淡蒼球ニューロンの1シナプス当たりの平均チャネル数が変化しないこと(t検定、p>0.05、生理食塩水 N=33.8±2.7、n=12;コカイン N=33.0±1.6、n=16)を実証した。 図34は、ATMKOマウスの小脳細胞タイプのBACアレイ分子表現型解析を例示する図である。 図35は、Pcp2及びSept4 BACアレイトランスジェニックマウス系統の特徴付けを例示する図である。(A) Pcp2 BACアレイ系統の小脳にあるプルキンエ細胞でのeGFP L10a融合体の発現。抗eGFP抗血清を使用したPcp2 BACアレイ脳切片の免疫組織化学的染色(上段パネル)。プルキンエ細胞の共標識化を示す(重ね合わせ)、Pcp2 BACアレイマウスでのカルビンジン(Calb1)及びeGFP L10a発現の二重免疫蛍光分析(下段パネル)。(B) Sept4 BACアレイ系統の小脳にあるベルクマングリアでのeGFP L10a融合体の発現。抗eGFP抗血清を使用したSept4 BACアレイ脳切片の免疫組織化学的染色(上段パネル)。ベルクマングリア細胞の共標識化を示す(重ね合わせ)、Sept4 BACアレイマウスでのグルタミン合成酵素(Glns)及びeGFP L10a発現の二重免疫蛍光分析。 図36は、Septin4及びPcp2系統のBACアレイデータの散布図解析を例示する図である。Septin4(A、C)及びPcp2(B、D)BACトランスジェニック系統に由来する免疫沈降(IP)mRNAを、小脳全体に由来するmRNA試料と散布図解析で直接的に比較した。この解析は、数千の遺伝子が、小脳全体と比べて免疫沈降試料中で富化されていることを明白に実証する。散布図(C)及び(D)は、ベルクマングリア細胞及びプルキンエニューロンの既知の陽性対照遺伝子を用いた同じ実験を示す。ベルクマングリア陽性対照は、Septin4 IP試料(C)で明白に富化されている一方で、プルキンエ細胞陽性対照遺伝子は、Pcp2 IP試料(D)で富化されている。 図37は、Atm−/−小脳における遺伝子発現の細胞タイプ特異的な差次的制御を例示する図である。(A〜C)Atm−/−IPデータを、Atm+/+IPデータと、Septin4(A)、Pcp2(B)、及び小脳全体(C)実験の散布図解析で比較した。上方制御及び下方制御された遺伝子の両遺伝子のリストを、25を超える発現値、1.5を超える倍数変化値でフィルタリングし、一元配置ANOVA、p=0.05を実施することにより生成した。散布図は、各実験で制御された遺伝子の分布を表示する。色はベン図解析(D)を示す。ベルクマングリア及びプルキンエ細胞に共通する遺伝子は黄色に色付けされており、プルキンエ細胞及び小脳全体に共通する遺伝子は青緑色であり、ベルクマングリア及び小脳全体に共通の遺伝子は、深紅色に色付けされている。3つの条件全てで特定された遺伝子は白色としている。(D) 制御された遺伝子全てのベン図解析。小脳全体では、40/69個の遺伝子が排他的に小脳全体で差次的に制御されたことが見出され、Septin4実験では、94/116個の遺伝子がSeptin4データで特異的に制御され、Pcp2実験では、Pcp2データに特異的な62/89個の制御された遺伝子が特定された。 図38は、BACアレイにより明らかにされた腹側被蓋野及び黒質野特異的マーカーを例示する図である。 図39は、6−OHDAの使用によるげっ歯動物黒質中のドーパミン作動性細胞消失を例示する図である。 図40は、Gpr6のアンタゴニストを使用することで視床下核を刺激する新戦略を開発することによるパーキンソン病の治療機会を例示する図である。] 図1 図10 図11 図11A 図12 図13 図14 図15 図16 図17 [0012] 翻訳プロファイリング及び分子表現型解析 本開示は、異質性組織及び細胞タイプの翻訳プロファイリング及び分子表現型解析に有用な方法及び組成物を提供する。1つの実施形態では、本方法を使用して、以前は未定義だった細胞タイプを定義し、疾患及び障害の分子標的を特定し、特定の生物学的及び/又は医学的関連機能に関して同時制御された遺伝子セットを特定する方法を提供することができる。] [0013] 翻訳プロファイリングとは、翻訳されたmRNAのプロファイリング、特定、又は単離である。幾つかの実施形態では、そのようなプロファイリングは、発生プロテオームの尺度である。他の実施形態では、このプロファイリングにより、活発に翻訳されているか又はそうでなければ細胞翻訳機構に関連しているmRNAの特定が可能になる。分子表現型解析とは、器官、組織、及び細胞タイプの分子及び/又は遺伝子発現を記述することである。] [0014] 本開示は、翻訳中リボソーム親和性精製(TRAP)プロファイリング法を実施するための方法及び組成物を提供する。1つの実施形態では、これらのプロファイリング法は、形態学的に、解剖学的に、発生的に、又は他の点で区別不能な細胞を、細胞サブタイプにさらに区別し、細胞集団及び亜集団をさらに定義するために使用される。ある場合には、これらの他の点で区別不能な細胞は混合されている。他の場合では、これらの細胞は空間的に離れている。ある場合には、これらの細胞は、翻訳プロファイル及び分子表現型解析によってのみ区別可能な中枢又は末梢神経系の細胞、例えばニューロン又はグリアである。他の場合では、これらは神経系の外側にある細胞である。別の実施形態では、これらのプロファイリング法を使用して、全組織マイクロアレイなどの技術によっては達成できない可能性のある感度で、単一細胞タイプで翻訳されたmRNAを特定する。さらに他の実施形態では、これらのプロファイリング法を使用して、空間に離れているか若しくは混合されているか、形態学的に区別できるか若しくは区別できないか、異なる発生段階にあるか、異なる組織若しくは組織の領域に関連するか、又は同じ疾患、障害、若しくは状態を有する異なる個体に由来する細胞の特定の生物学的機能に関する同時制御された遺伝子セットを特定する。] [0015] 本明細書中に提供される方法は、リボソーム又はポリソーム(リボソームのクラスター)に付随しているmRNAを特定の細胞タイプから単離することを可能にし、細胞タイプ及びサブタイプの細胞翻訳プロファイリング及び分子表現型解析が可能になる。ある場合には、細胞が遺伝子的に標的とされる。] [0016] 本明細書中に記載の方法は、任意の目的細胞サブタイプで翻訳されたmRNAを特定することを可能にする。この方法には、mRNA精製用に特定の細胞集団中でポリソームのタグ化を可能にする機能的タグ化リボソームタンパク質の発現が伴う。幾つかの実施形態では、ポリソームの精製は、親和性又は免疫親和性精製による。幾つかの実施形態では、細胞サブタイプが遺伝子的に標的とされる。幾つかの実施形態では、タグ化リボソームをトランスジェニック動物中で発現させる。] [0017] 翻訳プロファイリング及び分子表現型解析用の翻訳中リボソーム親和性精製法(TRAP)には、親和性に基づく、場合によっては免疫親和性に基づくmRNA精製用に特定の細胞集団中でポリソームのタグ化を可能にするタグ化リボソームタンパク質の発現が伴う。ある場合には、動物又はトランスジェニック動物を使用してこれが達成され、動物全体の翻訳プロファイリング及び分子表現型解析が可能になる。本明細書中で提供されている方法は、密接に関連する又は重要な細胞タイプの特徴的な分子特性の区別を明確にすることを可能にする。複数の方法で、特定の細胞タイプの生理学的適応をin vitro、in vivo、ex vivo、又はin situで解析するために本明細書中に記載の方法を使用することができることも実証される。] [0018] リボソームの分子タグ化 本発明の実施形態では、細胞タイプ又は細胞サブタイプ特異的ポリソームmRNAを単離するための方法が提供される。上記方法は、翻訳を支援しポリソーム複合体を構築することができる機能的タグ化リボソーム又はリボソーム複合体に帰着する分子タグ化リボソームタンパク質を使用することを含む。リボソームは、分子的にタグ化することができ、1つ又は複数の目的の細胞タイプ又は細胞サブタイプで発現させることができる。本開示の目的のための分子タグ化リボソームタンパク質は、「融合タンパク質」又は「タグ化タンパク質」又は「分子タグ化融合タンパク質」又は「分子タグ化リボソームタンパク質」と置き換え可能に参照される。種々の実施形態では、これらの融合タンパク質は、リボソームタンパク質の全て又は部分を含有している。ある実施形態では、リボソームのタグ化は、タグ化タンパク質の天然機能又は分布の異常を引き起こすことはなく、したがってその結果として機能的リボソーム、機能的リボソーム複合体、又は機能的ポリソームがもたらされる。すなわち、分子的にタグ化されているが、天然リボソームタンパク質の生物活性を有する部分が保持されており、完全リボソーム中で機能してmRNAの翻訳又はmRNAとの結合を実行することができる。幾つかの実施形態では、分子タグ化リボソームは、選択した細胞タイプ又は細胞サブタイプでの発現を指図する調節エレメント又は転写ユニットの制御下にある分子タグ化リボソームタンパク質をコードする核酸を、細胞、培養物、切片、又は生物全体に導入することにより、目的の器官、組織、細胞タイプ、又は細胞サブタイプで発現される。幾つかの実施形態では、タグ化されるリボソームタンパク質は、分子タグ化タンパク質を発現する細胞と同一の種に由来してもよく又は異なる種に由来してもよい。] [0019] ある実施形態では、リボソーム又はリボソームタンパク質は、遺伝子操作されていないリボソーム又はリボソームタンパク質が結合しない低分子、タンパク質、又はペプチドに融合又は結合するようにリボソームタンパク質を遺伝子操作することにより、分子的にタグ化される。ある実施形態では、タグと融合したリボソームタンパク質をコードする核酸は、タグ配列のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が、リボソームタンパク質をコードするヌクレオチド配列とインフレームで遺伝子操作される日常的な遺伝子工学法により生成することができる。これは、当技術分野で公知である任意の方法により、例えばオリゴヌクレオチドを媒介とした部位特異的変異誘発又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び他の日常的な分子生物学のプロトコールにより達成することができる(例えば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y.;及びAusubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.を参照、これらは両方とも本明細書によりそれらの全体が参照により組み込まれる)。] [0020] 例示的な実施形態では、リボソームタンパク質はL10aであり、タグはeGFPである。] [0021] 1)リボソームタンパク質 タグ化タンパク質をコードする核酸は、当技術分野で周知の遺伝子工学法並びにクローニング及び発現ベクターを使用して生成することができる。幾つかの実施形態では、天然に存在するか又は合成的に生成された核酸又は遺伝子は、リボソームタンパク質として機能して、翻訳を支援するか又はポリソーム性の翻訳中リボソームmRNAとの結合(直接的又は間接的)若しくは付随を支援するように遺伝子操作することができる。分子的にタグ化されるリボソームタンパク質をコードする核酸は、当技術分野で公知である任意の方法を使用して取得することができる。核酸は、例えば、公表されている配列に基づくオリゴヌクレオチドプライマーを使用してPCRにより取得することができる。他の関連リボソーム(例えば、他の種に由来する)は、手持ちのリボソームをプローブとして使用して、適切な核酸ライブラリーを低度、中程度、又は高度なストリンジェンシーでハイブリダイゼーションすることにより取得することができる。] [0022] 本発明の種々の実施形態で使用される例示的なリボソームタンパク質は、表1に提供されているが、列挙されているものに限定されない。] [0023] 例示的な実施形態では、リボソームタンパク質はL10aである。幾つかの実施形態では、タグ化リボソームタンパク質は、リボソーム複合体に組み込まれており、1つ又は複数のmRNAに付随しているが、mRNAと直接的には結合していない。] [0024] ] [0025] ある実施形態では、分子タグ化リボソームタンパク質をコードする核酸は、特定の発現系を対象としており、そこでは、コドン頻度が、タンパク質が発現される宿主細胞又は生物のtRNA頻度を反映している。コドン最適化は、目的遺伝子の翻訳効率を増加させることにより最大限のタンパク質発現を可能にすることができる。他の実施形態では、分子タグ化リボソームタンパク質をコードする核酸は、それが産生される宿主細胞での発現を増加させるためにコドンが最適化されている合成核酸であってもよい。] [0026] 2)分子タグ 分子タグは、目的細胞(又はタグ化リボソームをそこから単離することになる細胞画分、又はタグに結合する試薬と接触することになる他の細胞)に存在しないか又は目的細胞に到達可能ではない任意のタンパク質(又はその断片、部分、類似体、又は誘導体)であってよく、タグを認識し、溶液に(それによりタグに)到達可能である試薬(抗体など)又は方法(光学的、蛍光的、又は磁気的な選別など)が分子タグのために存在する。] [0027] レポーター遺伝子として伝統的に使用されているタグによる分子タグ化は、当技術分野で周知である(Current Protocols in Molecular biology, Section 9.6.1, “Uses of Fusion Genes in mammalian Transfection” (2004))。エピトープによる分子タグ化も、当技術分野で周知である(Fritze C E, Anderson T R. Epitope tagging: general method for tracking recombinant proteins. MethodsEnzymol. 2000;327:3−16で概説されている「エピトープタグ化(epitope tagging)」;Jarvik J W, Telmer C A. Epitope tagging. Annu Rev Genet. 1998;32:601−18)。] [0028] タグには、タグ化タンパク質の容易な特定及び単離を可能にするが、タグ化タンパク質の機能を最小限に又は無視できる程度にしか阻害又は干渉しない方法/試薬/デバイスがそれらのタグに存在するものが含まれていてもよい。タグは、天然に存在するか又は合成的に生成された完全タンパク質であってもよく、対応する結合試薬/方法への結合を可能にする任意の長さのその断片、類似体、又は誘導体であってもよい。ある実施形態では、タグは、約8、10、12、15、18、又は20個のアミノ酸であり、15、20、25、30、40、又は50個未満のアミノ酸であるが、長さが100、150、200、250、300、400、500、1000個、又はそれを超えるアミノ酸であってもよい。タグは、タグがなければ以下のいずれの成分とも結合しない試薬と特異的に結合することができる:(1)目的細胞、又は(2)目的ポリソーム調製物、又は(3)タグと結合する試薬と接触しているあらゆる目的細胞画分。] [0029] ある実施形態では、タグをコードするヌクレオチド配列は、タンパク質のこれらの部分が検出用試薬、親和性試薬、免疫学用試薬、又は精製用試薬に到達可能である場合が多いため、タグは、好ましくはリボソームタンパク質のN末端又はC末端に配置されるようにインフレームで挿入される。或いは、タグは、融合タンパク質が完全リボソームに組み込まれる場合、リボソーム機能が損なわれず、タグが検出、単離、及び/又は精製に使用される試薬/方法に到達可能であるように、リボソームタンパク質の任意の部分に挿入することができる。すなわち、タグ化は、リボソームが依然として機能的であることを可能にする。他の実施形態では、リボソームタンパク質は、複数のタグで分子的にタグ化されていてもよい。] [0030] 幾つかの実施形態では、タグは緑色蛍光タンパク質(GFP)である。GFPは、光学的又は免疫親和性タグとして様々な応用のために使用することができ、それらは全て当技術分野で周知である。GFPは、238個のアミノ酸(26.9kDa)で構成された、青色光に曝露されると緑色蛍光を発するクラゲから最初に単離されたタンパク質である(Prendergast F, Mann K (1978).“Chemical and physical properties of aequorin and the green fluorescent protein isolated fromAequorea forskalea”. Biochemistry 17 (17):3448−53;Tsien R (1998). “The green fluorescent protein”. Annu Rev Biochem 67: 509−44)。オワンクラゲ(A.victoria)由来のGFPは、395nmの波長に主要な励起ピークを有し、475nmに小励起ピークを有する。その発光ピークは、可視スペクトルのより低い緑色部分である509nmである。ウミシイタケ(Renilla reniformis)由来のGFPは、498nmに単一の主要な励起ピークを有する。細胞及び分子生物学では、GFP遺伝子は、発現のリポーターとして頻繁に使用されている(Phillips G (2001). “Green fluorescent protein−−a bright idea for the study of bacterial protein localization”. FEMS Microbiol Lett 204 (1): 9−18.)。改変された形態のGFPを使用してバイオセンサーが作製されており、GFPを発現する多数の動物が作製されている。GFP遺伝子は、生物に導入して育種により生物のゲノム中で維持することができ、又は遺伝子を導入するためにウイルスベクターによる局所注射を使用することができる。現在まで、多数の細菌、酵母、及び他の真菌細胞、植物、ハエ、並びに哺乳動物細胞が、GFPをマーカーとして使用して作製されている。] [0031] 他の実施形態では、タグは、GFP変異体、その改変体、類似体、断片、又は誘導体である。様々なGFP変異体が人工的に作り出されている(Shaner N, Steinbach P, Tsien R (2005). "A guide to choosing fluorescent proteins". Nat Methods2 (12): 905−9)。1つの改良は、Roger Tsienにより1995年にNatureで報告されている単一点変異(S65T)であった(Heim R, Cubitt A, Tsien R (1995). "Improved green fluorescence". Nature 373 (6516): 663−4)。37℃フォールディング効率化(F64L)点変異をスキャフォールドに付加することにより、高感度GFP(eGFP)が産出された。eGFPは、9.13×10−21 m2/分子の吸光係数(εと示される)(その光学断面積としても知られている)を有し、それは55,000L/(mol×cm)としても引用される(Shelley R. McRae, Christopher L. Brown and Gillian R. Bushell (May 2005)). "Rapid purification of eGFP, EYFP, and ECFP with high yield and purity". Protein Expression and Purification 41 (1): 121−127.)。スーパーフォールダーGFP、すなわちGFPが完全にフォールディングしていないペプチドに融合されたとしても、迅速にフォールディング及び成熟化することを可能にする一連の変異が、2006年に報告された(Pedelacq J, Cabantous S, Tran T, Terwilliger T, Waldo G (2006). "Engineering and characterization of a superfolder green fluorescent protein". Nat Biotechnol 24 (1): 79−88)。例示的な実施形態では、タグは高感度GFP(eGFP)である。] [0032] 他の変異がなされており、それらには発色変異体、特に青色蛍光タンパク質(EBFP、EBFP2、Azurite、mKalama1)、シアン蛍光タンパク質(ECFP、Cerulean、CyPet)、及び黄色蛍光タンパク質誘導体(YFP、Citrine、Venus、YPet)が含まれる。BFP誘導体(mKalama1は除く)は、Y66H置換を含有している。シアン誘導体の変異は、Y66W置換である。YFP誘導体の赤方偏移波長は、T203Y変異により達成される(Tsien R (1998). "The green fluorescent protein". Annu Rev Biochem 67: 509−44)。] [0033] 分子タグには、両蛍光、磁性、エピトープ、放射性、又は他の検出可能なタグ、例としては、限定ではないが表2に列挙されているものが含まれていてもよい。] [0034] ] [0035] 表2に関する文献は以下に提供されており、これらは参照により本明細書中に組み込まれる:Evan et al., Mol. Cell Biol. 5(12):3610−3616;Wang et al., 1996, Gene 169(1):53−58;Bornhorst et al., 2000, Purification of proteins using polyhistidine affinity tags, MethodsEnzymol 326:245−54;Wilson I A, Niman H L, Houghten R A, Cherenson A R, Connolly M L, Lemer R A. The structure of an antigenic determinant in a protein. Cell. 1984 July;37(3):767−78;Evan G I, Lewis G K, Ramsay G, Bishop J M. Isolation of monoclonal antibodies specific for human c−myc proto−oncogene product. Mol Cell Biol. 1985 December;5(12):3610−6;Wang L F, Yu M, White J R, Eaton B T.BTag: a novel six−residue epitope tag for surveillance and purification of recombinant proteins. Gene. 1996 Feb. 22;169(1):53−8;1987年10月27に交付されたHoppらの「Synthesis of protein with an identification peptide」と題する米国特許第4,703,004号明細書;Brizzard B L, Chubet R G, Vizard D L. Immunoaffinity purification ofFLAG epitope−tagged bacterial alkaline phosphatase using a novel monoclonal antibody and peptide elution. Biotechniques. 1994 April;16(4):730−5;Knappik A, Pluckthun A. An improved affinity tag based on the FLAG peptide for the detection and purification of recombinant antibody fragments. Biotechniques. 1994 October; 17(4):754−761;1996年4月9日に交付されたSkerraらのFusion peptides with binding activity for streptavidinと題する米国特許第5,506,121号明細書;Skerra A, Schmidt T G. Applications of a peptide ligand for streptavidin: the Strep−tag. Biomol Eng. 1999 Dec. 31;16(1−4):79−86;Skerra A, Schnudt T G. Use of the Strep−Tag and streptavidin for detection and purification of recombinant proteins. Methods Enzymol. 2000;326:271−304;Shaner N, Steinbach P, Tsien R (2005). "A guide to choosing fluorescent proteins". Nat Methods 2 (12): 905−9. doi:10.1038/nmeth819.PMID 16299475.;;Shaner N, Steinbach P, Tsien R (2005). “A guide to choosing fluorescent proteins”. Nat Methods 2 (12): 905−9. PMID 16299475;Heim R, Cubitt A, Tsien R (1995). “Improved green fluorescence”. Nature 373 (6516): 663−4. PMID 7854443;Shelley R. McRae, Christopher L. Brown and Gillian R. Bushell (May 2005). “Rapid purification of eGFP, EYFP, and ECFP with high yield and purity”. Protein Expression and Purification 41 (1): 121−127;Pedelacq J, Cabantous S, Tran T, Terwilliger T, Waldo G (2006). “Engineering and characterization of a superfolder green fluorescent protein”. Nat Biotechnol 24 (1): 79−88. PMID 16369541;Miesenbock G, De Angelis D, Rothman J (1998). “Visualizing secretion and synaptic transmission with pH−sensitive green fluorescent proteins”. Nature 394 (6689): 192−5. PMID 9671304。] [0036] リボソーム、ポリソーム、mRNAの単離 1) リボソームの単離 細胞、培養細胞、及び組織から、リボソーム/タグ化リボソーム、特にポリソーム(mRNAと結合したリボソームのクラスター)/タグ化ポリソームを単離するための種々の方法が存在する(例えば、Bommer et al., 1997, Isolation and characterization of eukaryotic polysomes, in Subcellular Fractionation, Graham and Rickwood (eds.), IRL Press, Oxford, pp. 280−285を参照;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)。ポリソームは、ポリリボソーム、リボソーム複合体、又はリボソームクラスターと置き換え可能に参照される。好ましい実施形態では、単離されたポリソーム(リボソーム−mRNA複合体)は、翻訳を支援することができ、mRNAに付随することができ、及び/又は翻訳因子に付随することができる機能的リボソームを含有している。] [0037] ある実施形態では、使用される単離法は、以下の態様のうちの1つ以上を有する: a 単離中はリボソームサブユニットをmRNA上で維持すること:エメチン又はシクロヘキシミドなどの翻訳停止化合物を添加して翻訳を停止させることができ、それによりmRNAがリボソームから脱離することを低減又は防止する。好ましい実施形態では、単離は、架橋及び架橋試薬を用いずに達成される; b内因性RNAase活性を阻害すること:RNAase阻害剤を緩衝液に添加して、mRNAの完全性を維持することができる; cポリソームを単離すること:組織又は細胞均質化の後、全ポリソームを、少なくとも高塩濃度緩衝液、例えば約100〜150mM KClの存在下でポストミトコンドリア上清を調製することにより単離する; d非変性条件下で粗ER結合ポリソームを可溶化すること:表面活性剤を添加して小胞体膜から膜結合型ポリソームを放出することもでき、全ポリソームを、通常は例えばスクロースクッションによる遠心分離により収集する。] [0038] 他の実施形態では、上述の一般的方法の変法を使用して、ポリソームの全貯留から膜結合型ポリソームを単離する。これにより、分泌型又は膜貫通型タンパク質をコードするmRNAのさらなる富化が可能になる。種々の方法を使用して、培養細胞及び組織から膜結合型ポリゾームを単離することができ、例えば分画遠心法(differential centrifugation)(Hall C, Lim L. Developmental changes in the composition of polyadenylated RNA isolated from free and membrane−bound polyribosomes of the rat forebrain, analyzed by translation in vitro. Biochem J. 1981 Apr. 15;196(1):327−36)、レートゾーン遠心分離法(rate−zonal centrifugation)(Rademacher and Steele, 1986, Isolation of undegraded free and membrane−bound polysomal mRNA from rat brain, J. Neurochem. 47(3):953−957)、等密度遠心法(Mechler, 1987, Isolation of messenger RNA from membrane−bound polysomes, MethodsEnzymol. 152: 241−248)、及び微分抽出(Bommer et al., 1997, Isolation and characterization of eukaryotic polysomes, in Subcellular Fractionation, Graham and Rickwood (eds.), IRL Press, Oxford, pp. 280−285;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)を使用して膜結合型ポリソームを単離する方法を使用することができる(Heintz、米国特許公開第20050009028号明細書、その全体が組み込まれる)。] [0039] 他の実施形態では、親和性法が、クロマトグラフィー、固相クロマトグラフィー、析出、マトリックス、共免疫沈降などを含むがそれらに限定されない、当技術分野で周知の方法を使用してタグ化タンパク質を単離又は精製するために使用される。] [0040] 特定の実施形態では、mRNAに結合しており、分子タグ用の試薬に結合することができる分子タグ化機能的リボソームが提供される。他の実施形態では、分子タグ化リボソームは、ビーズ、レジン、又はクロマトグラフィーレジン、例えばアガロース及びセファロースなどの固体表面に共有結合又は非共有結合で結合されている特異的試薬又は親和性試薬と結合する。他の実施形態では、他の方法が、親和性精製と共に又はその代りに使用される。他の実施形態では、特定のポリソームは、光学的選別法及びデバイス、蛍光に基づく選別法及びデバイス、又は磁気に基づく選別法及びデバイスを使用して単離することができる。] [0041] ある実施形態では、ポリソームは、親和性精製にかけるまでは、ポストミトコンドリア上清から又は細胞若しくは組織の溶解産物からでさえ単離されない。] [0042] 図2aは、抗GFP抗体がコーティングされたビーズを使用したeGFPタグ化ポリソームの親和性精製を例示するための模式図を表示する。] 図2a [0043] 2)リボソームからのmRNAの単離 タグ化リボソームが単離されると、当技術分野で周知の化学的方法、機械的方法、又は他の方法を使用して、タンパク質と複合体化した付随mRNAを単離することができる。例えば、mRNAの溶出は、緩衝液にEDTAを添加することにより達成され、これによりポリソームが分断され、解析用の結合mRNAの単離が可能になる(Schutz, et al. (1977), Nucl. AcidsRes. 4:71−84; Kraus and Rosenberg (1982), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:4015−4019)。加えて、単離されたポリソーム(単離マトリックスに結合しているか又は単離マトリックスから分離されている)は、Tri試薬(Sigma社製)又はトリアゾール(Sigma社製)などの試薬を使用するRNA単離手順に直接投入することができる。特定の実施形態では、poly A.sup.+mRNAは、oligodTセルロースとのハイブリダイゼーションにより優先的に単離される。mRNA単離法は、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y.及びAusubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.に記載されており、本明細書によりそれらは両方とも参照によりそれらの全体が組み込まれる)。] [0044] タグ化リボソームのクローニング、発現、及び制御用の核酸配列 1) 一般 当業者に周知である方法を使用して、発現に必要である適切な転写及び翻訳制御シグナルに作用して結合されたタグ化リボソームタンパク質コード配列を含有するベクターを構築することができる。これらの方法には、例えばin vitro組換えDNA技術及びin vivo遺伝子換えが含まれる。例えば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y.及びAusubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.に記載されている技術を参照されたい。] [0045] 2)調節配列 本発明のある実施形態では、調節配列の制御下にあるタグ化リボソームタンパク質のコード配列を含む核酸構築体を含有するベクター、細胞系統、及び生物系統が提供される。本明細書中に記載の方法により、タグ化リボソームタンパク質を、天然に存在するか又は所望の発現パターンを反復するように遺伝子操作された調節エレメントを使用して、特定の選択された細胞タイプ、細胞サブタイプ、分子経路又は回路において選択的に発現させる。そのような発現は、選択した細胞タイプ、サブタイプ、経路、回路、及び/又は発生ポイントで発現された特徴的な又は内因性に制御された遺伝子に由来する調節配列又は転写ユニットを使用して、タグ化リボソームタンパク質の発現を駆動することにより達成される。ある実施形態では、特定の細胞タイプは、共通の特徴を共有する識別できる細胞群を含む混合細胞集団内に存在する細胞タイプである。この群は、形態学的に、解剖学的に、遺伝学的に、又は機能的に特定可能であってもよい。他の実施形態では、この群は、形態学的に、遺伝学的に、及び発生的に区別不能であるが、遺伝学的には区別可能であってもよい。この細胞集団は、選択的に発現されるため、内因性に制御された特徴的遺伝子(characterizing gene)の正の発現に基づいて特徴付け又は認識することができる。調節配列/エレメントの幾つか又は全てを核酸(導入遺伝子を含む)に組み込んで、タグ化リボソームタンパク質コード配列の発現を制御することができる。調節配列又はエレメントの例には、これらに限定されないが、エンハンサー配列、インスレーター配列、サイレンサー配列、又は前記配列の組み合わせが含まれる。ある実施形態では、構成的に発現されない(つまり、その発現パターンがある種の空間的又は時間的な制限を示す)遺伝子を、調節配列の供給源として使用する。他の実施形態では、構成的に発現される遺伝子を、調節配列の供給源として使用する。他の実施形態では、調節配列は、所望の発現特徴及びパターンを達成するように遺伝子操作又は改変されている。] [0046] 調節領域は、目的遺伝子の遺伝子座に由来する調節配列の全体又は部分であってもよい。例えば、中型星状神経細胞においてタグ化リボソームタンパク質(例えば、eGFPタグ化L10a)の特異的発現を駆動するためには、中型星状神経細胞特異的遺伝子座、例えばDrd1a又はDrd2に由来する調節配列を使用することができる。別の例では、運動ニューロンにおいてタグ化リボソームタンパク質(例えば、eGFPタグ化L10a)の特異的発現を駆動するためには、運動ニューロン特異的遺伝子座、例えばコリンアセチルトランスフェラーゼ(Chat)遺伝子座に由来する調節配列を使用することができる。同様に、小脳細胞においてタグ化リボソームタンパク質(例えば、eGFPタグ化L10a)の特異的発現を駆動するためには、小脳細胞特異的遺伝子座に由来する調節配列を使用することができる。例えば、Pcp2、Neurod1、Grm2、Grp、Septin4、又はAldh1l1に由来する遺伝子座を使用して、それぞれプルキンエ細胞、顆粒細胞、ゴルジニューロン、単極刷毛細胞、ベルクマングリア細胞、及び星状細胞での特異的発現を駆動することができる。遺伝子座全体、遺伝子座の非コード領域全体、遺伝子座の部分、又は改変遺伝子座を調節配列として使用して、遺伝学的に標的とされた細胞サブタイプに特異的な様式でタグ化ボソームタンパク質の発現を駆動することができる。] [0047] タグ化リボソーム遺伝子コード配列は、タグ化リボソームタンパク質遺伝子コード配列の発現により特徴付けられる細胞集団を含有する形質転換された生物又は少なくとも生物の解剖学的領域又は組織(例としては、動物の脳、脊髄、心臓、皮膚、骨、頭部、肢、血液、筋肉、末梢神経系など)において、タグ化リボソーム遺伝子が、その遺伝子座に見出される内因性に制御された遺伝子と実質的に同じ発現パターンで発現されるように、特定の遺伝子座に由来する調節配列の幾つか又は全ての転写制御下に配置されていてもよい。「実質的に同じ発現パターン」とは、タグ化リボソームタンパク質遺伝子コード配列が、in situハイブリダイゼーション、PCR、他の遺伝子発現検出法、又は当業者によく知られている機能的方法により内因性の特徴的遺伝子を発現することが示されている細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、及び約100%で発現されることを意味する。] [0048] 調節配列は、例えば、特徴的遺伝子のプロモーター若しくはエンハンサー、又は他のシス若しくはトランス活性化エレメント、又は転写ユニットである。幾つかの実施形態では、この特徴的遺伝子は、宿主細胞又は宿主生物に内因性であり(又は内因性遺伝子のオルソログである)、その生物の特定の選択された細胞集団で発現される。調節配列は、特定のニューロン経路、細胞経路、及び代謝経路に関連するヒト、ラット、若しくはマウス、又は任意の哺乳動物の遺伝子に由来していてもよい。ある実施形態では、非哺乳動物調節配列を使用することができる。幾つかの既知の経路に由来するシス及びトランス、5’及び3’調節配列及び転写ユニットは、細胞タイプ特異的、細胞サブタイプ特異的、発生段階特異的、時間特異的、組織特異的、経路特異的、又は回路特異的な導入遺伝子の発現に適用することができる。既知の経路の例には、これらに限定されないが、アドレナリン作働性若しくはノルアドレナリン作働性神経伝達物質経路、ドーパミン作働性神経伝達物質経路、GABA作働性神経伝達物質経路、グルタミン作働性神経伝達物質経路、グリシン作働性神経伝達物質経路、ヒスタミン作働性神経伝達物質経路、神経ペプチド作動性神経伝達物質経路、セロトニン作動性神経伝達物質経路、ヌクレオチド受容体特異的経路、イオンチャネル、転写因子、未分化又は不完全分化細胞のマーカー、ソニックヘッジホッグシグナル伝達経路、カルシウム結合、又は神経栄養因子受容体(米国特許出願公開第2005/0009028号明細書中の表、参照により本明細書中に組み込まれる)が含まれる。] [0049] ある実施形態では、発現を制御するために使用することができる調節配列は、これらを含むがこれらに限定されない、組織特異性を示し細胞培養及びトランスジェニック動物で使用されてきた以下の動物転写制御領域に由来してもよい。転写制御領域の例は、エラスターゼI遺伝子制御領域、エノラーゼプロモーター、インスリン遺伝子制御領域、免疫グロブリン遺伝子制御領域、マウス乳腺腫瘍ウィルス制御領域、アルブミン遺伝子制御領域、アルファ胎児タンパク質遺伝子制御領域、アルファ1抗トリプシン遺伝子制御領域、ベータグロビン遺伝子制御領域、ミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域、ミオシン軽鎖2遺伝子制御領域、及び性腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropic releasing hormone)遺伝子制御領域である。他の実施形態では、調節配列が由来する遺伝子配列は、プロテインキナーゼC、ガンマ、THエラスチン、Pax7、Eph受容体、islet−1、及びソニックヘッジホッグであってもよい。] [0050] 発現の制御に使用される核酸は、選択した遺伝子の天然に存在するか又は改変された遺伝子座に由来する上流及び/又は下流並びに5’及び/又は3’調節配列の全て又は部分を含んでいてもよい。調節配列は、好ましくは、トランスジェニック生物又はそれに由来する組織内で内因性の特徴的遺伝子と実質的に同じパターンで、タグ化リボソームタンパク質配列の発現を指図する。これにより、内因性の制御様式でタグ化リボソームタンパク質の発現を指図する可能性のある、ありとあらゆるシス及びトランス作用性調節配列及び転写ユニットが提供されることになる。調節配列は、長さが1kb、5kb、10kb、50kb、100kb、200kb、250kb、500kb、又は1Mbでさえあってもよい。] [0051] ある実施形態では、分子タグ化リボソームタンパク質をコードする核酸を、Fengら(2000, Imaging neuronal subsets in transgenic mice expressing multiple spectral variants of GFP, Neuron 28(1):41−51、本明細書によりその全体が参照により組み込まれる)に記載されているように、無作為だが識別可能な細胞のサブセット中で選択的に発現させることができる。そのような方法を使用して独立して生成されたトランスジェニック系統では、分子タグ化リボソームタンパク質をコードする核酸を、固有のパターンで恐らくは経路特異的又は回路特異的に発現することができ、空間的に離れているが、全て同一の調節エレメントが組み込むまれることになる。] [0052] 3)調節配列及び導入遺伝子の配置及び構築 ある実施形態では、タグ化リボソームタンパク質産物をコードするヌクレオチド配列で、特徴的遺伝子のゲノムクローン/遺伝子座にある特徴的遺伝子コード配列の全て又は部分を置換し、特徴的遺伝子非コード制御配列の全て又は一部のみを残してもよい。] [0053] 他の実施形態では、タグ化リボソーム遺伝子コード配列は、ゲノム特徴的遺伝子配列の転写コード配列又は非コード配列に挿入されるか又はそれらを置換し、例えば、特徴的遺伝子ゲノム配列のエキソン領域又は3’UTR領域に挿入されるか又はそれらを置換する。] [0054] 1つの実施形態では、タグ化リボソームタンパク質遺伝子コード配列は、特徴的遺伝子ゲノム配列の3’非翻訳領域(UTR)の部分に挿入されるか又はそれを置換する。別の実施形態では、特徴的遺伝子のコード配列は、タグ化融合タンパク質遺伝子の発現に影響を与えずに核酸構築体由来の特徴的遺伝子発現を消滅させるように変異又は分断される。ある実施形態では、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列は、それ自体の内部リボソーム進入部位(IRES)を有する。] [0055] 幾つかの実施形態では、特徴的遺伝子の先頭にあるATG配列に隣接して(又は特徴的遺伝子タンパク質産物の最初の2、3、4、5、6、7、又は8個のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列に隣接して)インフレームでタグ化リボソームタンパク質遺伝子コード配列が挿入される5’直接融合を使用して、タグ化リボソームタンパク質遺伝子コード配列が挿入され、その結果として挿入配列が翻訳されると、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子タンパク質に融合された特徴的遺伝子配列に由来する最初のメチオニン(又は最初の少数アミノ酸)の融合タンパク質が産生される。] [0056] 他の実施形態では、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子は、特徴的遺伝子ゲノム配列の5’領域にある別々のシストロンに挿入されており、独立したIRES配列を有する。ある実施形態では、IRESは、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列に作用可能に連結されており、タグ化融合タンパク質遺伝子の翻訳を指図する。IRESは、内因性転写調節配列の制御下で幾つかのタンパク質を合成することができる多シストロン性mRNAの作製を可能にする。そのような構築体は、内因性遺伝子を発現する同じ細胞でのマーカータンパク質の産生を可能にするため、有利である((Heintz, 2000, Hum. Mol. Genet. 9(6): 937−43;Heintzら、国際公開第98/59060号パンフレット;Heintzら、国際公開第01/05962号パンフレット;これらは参照によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる)。] [0057] ある実施形態では、例えばATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルは、特徴的遺伝子又は他の幾つかの異種性遺伝子により提供することができる。開始コドンは、インサート全体の翻訳を保証するために、通常は、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子の所望のコード配列のリーディングフレームと同相にある。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、由来が様々であってもよく、天然及び合成の両方であってもよい。発現効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの介在により増強することができる(Bittner et al., 1987, Methodsin Enzymol. 153: 516−44を参照)。] [0058] この構築体は、組換えベクターの特定及び/又は選択を可能にする1つ又は複数の選択可能なマーカーを含むこともできる。選択可能なマーカーは、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子産物自体又は特徴的遺伝子の発現に必ずしも結び付かない追加的な選択可能なマーカーであってもよい。] [0059] タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子が条件的に発現されるある実施形態では、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列は、特徴的遺伝子のゲノム配列に埋込まれており、トランス活性化因子又はリコンビナーゼで作用されない限り不活性であり、それによりその後タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子の発現を、特徴的遺伝子調節配列により駆動することができる。そのような系では、トランス活性化因子遺伝子の発現は、特徴的遺伝子調節配列により制御されると共に、タグ化融合タンパク質遺伝子の発現を活性化する。] [0060] 特定の実施形態では、本発明の核酸は、当技術分野で公知である遺伝子の条件的発現に利用可能な任意のタイプの誘導可能又は抑制可能な系、例えばテトラサイクリン(「tet系」);インターフェロン;エストロゲン、エクジソン、又は他のステロイド誘導可能な系;Lacオペレーター、プロゲステロンアンタゴニストRU486、又はラパマイシン(FK506)により誘導可能又は抑制可能な系を使用して条件的に発現される。例えば、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子(及び、随意にはさらに特徴的遺伝子)のコード領域が、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子の発現をさらに制御することができるように遺伝子スイッチに作用可能に連結されている、条件的に発現可能な本発明の核酸を生成することができる。このタイプのスイッチの一例は、テトラサイクリンに基づくスイッチである。] [0061] 幾つかの実施形態では、本発明の核酸は、特徴的遺伝子の内因性対応物と同じ発現パターン(時間的及び/又は空間的)で、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列の発現を指図するために、特徴的遺伝子座のゲノム配列の全て又は重要な部分、少なくとも特徴的な内因性に制御された遺伝子の5’及び/又は3’調節配列の全て又は部分、少なくとも特徴的遺伝子コード配列の十分な配列5’及び/又は3’を含む。ある実施形態では、本発明の核酸は、特徴的な内因性に制御された遺伝子の、少なくとも1つのエキソン、少なくとも2つのエキソン、少なくとも3つのエキソン、1つのエキソン以外の全て、又は2つのエキソン以外の全てを含む。] [0062] 4)バイナリー系を使用する発現 細胞内でのタグ化リボソームタンパク質の発現レベルが単離手順の効率化に必要である場合があるため、本発明のある実施形態では、プロモーターなどの内因性調節配列が、第2の発現構築体をその後に活性化するタンパク質の発現を駆動するバイナリー系を使用することができる。この第2の発現構築体は、プロモーターなどの強力な調節配列を使用して、内因性調節領域自体を使用して可能であるよりも高いレベルで、タグ化リボソーム融合タンパク質の発現を駆動する。] [0063] ある実施形態では、特定の集団特異的遺伝子が、集団特異的な様式で分子スイッチ(例えばリコンビナーゼ、トランス活性化因子)の発現を駆動する。その後、このスイッチは、タグ化リボソームタンパク質の発現を制御する第2の調節エレメントを介して、高レベル発現を活性化する。] [0064] 例えば、分子タグ化リボソームタンパク質コード配列を、遺伝子発現の活性化因子又は抑制因子である分子スイッチ遺伝子の活性を介して条件的に発現させることができる。この場合、第2の遺伝子は、その発現が特徴的遺伝子調節配列により制御されるトランス活性化因子、例えばtetR、リコンビナーゼ、又はFLPをコードする。分子タグ化リボソームタンパク質をコードする遺伝子は、条件的エレメント、例えばtetプロモーターに連結されているか、又はリコンビナーゼ部位、例えばFRT部位により隣接されており、ゲノム内のどこに位置していてもよい。そのような系では、分子スイッチ遺伝子の発現は、特徴的遺伝子調節配列により制御されて、分子タグ化リボゾームタンパク質の発現を活性化する。] [0065] 5)転写調節系 ある実施形態では、少なくともタグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子のコード領域を、特徴的遺伝子のゲノム遺伝子座に由来する調節配列の全て又は部分に作用可能に連結し、その後タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列及び特徴的遺伝子配列を、誘導可能又は抑制可能な転写調節系に作用可能に連結することにより、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子を条件的に発現させることができる。 これらの誘導可能又は抑制可能な転写調節系のトランス活性化因子は、ベクターに遺伝子操作された配列と特異的に相互作用するように設計されている。そのような系には、テトラサイクリン(「tet系」)、インターフェロン、エストロゲン、エクジソン、Lacオペレーター、プロゲステロンアンタゴニストRU486、及びラパマイシン(FK506)により制御される系が含まれており、tet系が特に好ましい(例えば、Gingrich and Roder, 1998, Annu. Rev. Neurosci. 21: 377−405を参照;その全体が参照により本明細書中に組み込まれる)。これらの薬物又はホルモン(又はそれらの類似体)は、天然又は変異体リガンド結合ドメイン、並びに内因性又は外因性のDNA結合ドメイン及び転写活性化ドメインで構成されるモジュール型トランス活性化因子に作用する。ある実施形態では、検出可能な又は選択可能なマーカーの発現は、in vitroでは培地中の、又はin vivoでは形質転換された生物の食餌中の薬物又はホルモンの濃度を変化させることにより制御することができる。] [0066] 誘導可能又は抑制可能な遺伝子系は、検出可能又は選択可能なマーカーの発現を時間的、空間的のいずれか、又は時間的及び空間的の両方で制限することができる。] [0067] 他の実施形態では、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子の発現は、マーカー遺伝子が挿入されているゲノムの適切な領域における組換えによりタグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子発現を開始する又は止めるために使用されるリコンビナーゼ系を使用することにより制御される。そのようなリコンビナーゼ系は、リコンビナーゼをコードする遺伝子を使用して、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子の発現を開始する又は止めることができる(リコンビナーゼを使用した時間的遺伝子スイッチ及び「組織ハサミ」の概説は、Hennighausen and Furth, 1999, Nature Biotechnol. 17: 1062−63を参照)。選択された細胞タイプにおける排他的な組換えは、Cre、FLP野生型(wt)、FLP−L、又はFLPeなどの部位特異的リコンビナーゼの使用により媒介することができる。組換えは、任意の当技術分野で公知の方法、例えば、Doetschmanらの方法(1987, Nature 330: 576−78;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる);Thomasらの方法(11986, Cell 44: 419−28; 参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる);Cre−loxP組換え系;(Stemberg and Hamilton, 1981, J. Mol. Biol. 150: 467−86;Lakso et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 6232−36;それらは参照によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる);サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のFLPリコンビナーゼ系(O’Gorman et al., 1991, Science 251: 1351−55);Cre−loxP−テトラサイクリン制御スイッチ(Gossen and Bujard, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5547−51);及びリガンド制御リコンビナーゼ系(Kellendonk et al., 1999, J. Mol. Biol. 285: 175−82;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)により達成することができる。好ましくは、リコンビナーゼは高度に活性であり、例えばCre−loxP又はFLPe系であり、熱安定性の強化を示す(Rodriguez et al, 2000, Nature Genetics 25: 139−40;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)。] [0068] ある実施形態では、リコンビナーゼ系を、第2の誘導可能又は抑制可能な転写調節系に連結することができる。例えば、細胞特異的Cre−loxP媒介性組換え系(Gossen and Bujard, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5547−51)を、上記で詳述されている細胞特異的テトラサイクリン依存性時間スイッチに結合することができる(Ewald et al., 1996, Science 273: 1384−1386;Furth et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91: 9302−06 (1994);St−Onge et al, 1996, Nucleic AcidsResearch 24(19): 3875−77;これらは参照によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる)。] [0069] 1つの実施形態では、哺乳動物細胞での発現を増強する改変cre遺伝子が使用される(Gorski and Jones, 1999, Nucleic AcidsResearch 27(9): 2059−61;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)。] [0070] 特定の実施形態では、Kellendonkら(1999, J. Mol. Biol. 285: 175−82;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)のリガンド制御リコンビナーゼ系を使用することができる。この系では、受容体(例えばプロゲステロン又はエストロゲン受容体)のリガンド結合ドメイン(LBD)は、リコンビナーゼの特異性を増加させるためにCreリコンビナーゼに融合されている。] [0071] 6)核酸の供給源 特徴的遺伝子配列及びタグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列を含む核酸は、任意の利用可能な供給源から取得することができる。ほとんどの場合、特徴的遺伝子配列及び/又はタグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列の全て又は部分は、例えば、GenBank、UniGene、及びマウスゲノムインフォマティクス(MGI、Mouse Genome Informatic)データベースなどの公表されている利用可能なデータベースにおいて公知である。ハイブリダイゼーションプローブは、手持ちの配列の部分を用いて、当技術分野で非常に日常的な方法(例えばフィルターハイブリダイゼーション又はPCR増幅)を使用して設計して、適切な配列を含有するクローンを例えば核酸のライブラリー又は他の供給源中で特定することができる。ある種に由来する目的遺伝子の配列が既知であり、別の種に由来する対応遺伝子が所望の場合、既知の配列に基づいてプローブを設計することは当技術分野で日常的である。プローブは、配列が所望な種に由来する核酸にハイブリダイズし、例えば、目的の種に由来するゲノム又はDNAライブラリーに由来する核酸にハイブリダイゼーションする。 限定ではなく例として、ゲノムクローンは、探索されているゲノムDNAとプローブとの関連性に依存して、適切なハイブリダイゼーション条件、例えば高ストリンジェンシー条件、低ストリンジェンシー条件、又は中程度のストリンジェンシー条件下でゲノムDNAライブラリーを探索することにより特定することができる。] [0072] 7)ベクター 手短に言えば、特徴的遺伝子ゲノム配列は、好ましくは、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、及び細菌人工染色体(BAC)などの配列の長さ(例えば10kbの配列)を収容することができ、特徴的遺伝子配列の全て又は部分を含む少なくとも50、70、80、100、120、150、200、250、300、400、500、又は1000kbの配列を包含することができるベクターに存在する。ベクターインサートが大型であればあるほど、目的の特徴的遺伝子シス及びトランス配列を含有するベクターを特定する可能性がより高くなる。幾つかの実施形態では、特徴的な内因性に制御された遺伝子のゲノム配列全体(つまりゲノム遺伝子座)を含有するベクターが存在する。他の実施形態では、ゲノム配列全体を単一ベクターに収容することができないか、又はそのようなクローンが利用可能ではない。これらの場合(又はクローンがゲノム配列全体を含有するかどうか判明していない場合)、ベクターは、ゲノム配列を含有するベクターインサートのほぼ中央にコード配列の開始部位、つまり最も5’側の末端を有する特徴的遺伝子配列を少なくとも含有しており、及び/又は特徴的遺伝子コード配列の開始部位のいずれかの側に、少なくとも20kb、30kb、40kb、50kb、60kb、80kb、100kb、又は200kbのゲノム配列を有する。これは、当技術分野で公知である任意の方法により、例えば限定ではないが、配列決定法、制限酵素マッピング法、PCR増幅アッセイ法などにより決定することができる。] [0073] 調節領域/調節遺伝子配列を含有する適切なベクターが作製されれば、DNAを操作するための当技術分野で公知である任意の方法により、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子を特徴的遺伝子配列に組み込むことができる。1つの実施形態では、細菌内での相同組換えを使用して、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子配列を、特徴的な内因性に制御された遺伝子をコードするゲノムDNA及びその内因性発現パターンの遺伝子発現を促進するのに十分な調節配列に標的指定的に挿入し、上記特徴的遺伝子配列はベクターに挿入されている。その後、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子及び調節遺伝子配列を含むベクターを、当技術分野で周知の方法、例えば本明細書中に記載の方法を使用して、形質転換生物の系統を生成するために潜在的創始体生物(potential founder organism)のゲノムに導入する。その後、そのような形質転換生物を、内因性の特徴的遺伝子の発現とよく似たタグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列の発現についてスクリーニングする。本発明の核酸を含有する幾つかの異なる構築体を、幾つかの潜在的創始体生物に導入してもよく、次いでその結果生じた形質転換生物を、タグ化リボソーム融合タンパク質遺伝子コード配列の最も良好で(例えば最高レベルの)最も正確な(内因性の特徴的遺伝子と最もよく似た発現)発現についてスクリーニングする。] [0074] 核酸構築体は、周知の方法、例えば本明細書中に記載の方法を使用して、宿主又は受容細胞若しくは生物を形質転換するために使用することができる。形質転換は、恒久な遺伝的変化又は一過性の遺伝的変化のいずれであってもよい。本発明の1つの態様では、細胞ゲノムへの核酸構築体の安定的組み込みにベクターを使用する。別の態様では、ベクターはエピゾームで維持される。] [0075] 8)細菌人工染色体(BAC)及び他のベクター 本明細書中に記載の方法は、選択した細胞タイプ内でタグ化リボソームタンパク質を発現する形質転換生物、例えばトランスジェニックマウスを提供する。幾つかの実施形態では、BAC媒介性組換え(Yang, et al., 1997, Nat. Biotechnol. 15(9):859−865)を使用して、形質転換生物を作製する。そのような発現は、特定の遺伝子の内因性調節配列及び転写ユニットを使用することにより達成され、この遺伝子の発現は、選択した細胞タイプの明確な特徴である(参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる、2002年8月22日に国際公開第02/064749号パンフレットとして公開された「Collections of Transgenic Animal Lines (Living Library)」と題する、SerafiniによるPCT/US02/04765にも記載されているように)。一組の選択した細胞タイプ内でタグ化リボソームタンパク質を発現するトランスジェニック動物のコレクションを収集し、多くの場合これをBACアレイコレクション(BACarray collection)と呼ぶ。] [0076] 別の実施形態では、本発明の核酸は、酵母人工染色体(YAC)(Burke et al., 1987 Science 236: 806−12;及びPeterson et al., 1997, TrendsGenet. 13: 61)に挿入されている。一組の選択した細胞タイプまたはサブタイプ内でタグ化リボソームタンパク質を発現するトランスジェニック動物のコレクションを収集し、多くの場合これをYACアレイコレクション(YACarray collection)と呼ぶ。] [0077] 他の実施形態では、本発明の核酸は、コスミド又はバクテリオファージP1(Sternberg et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 103−07)などの、哺乳動物DNAの大型セグメントのクローニング用に開発された別のベクターに挿入されている。おおよそのインサートサイズは、コスミドの場合は約30〜35kb、バクテリオファージP1の場合は100kbである。] [0078] 別の実施形態では、本発明の核酸は、P−1由来の人工染色体(PAC)(Mejia et al., 1997, Retrofitting vectors for Escherichia coli−based artificial chromosomes (PACs and BACs) with markers for transfection studies, Genome Res. 7(2):179−86)に挿入されている。最大インサートサイズは、約300kbである。] [0079] 本明細書に記載の方法で使用されるBAC及び他のベクターは、多くの場合、ゲノム配列などの異種性DNAの大型断片を収容でき、ある実施形態ではそれらを含むことができる。そのようなベクターは、ゲノム遺伝子座全体、又は内因性に制御された発現パターンを付与し、ゲノムの核酸の組み込み部位を取り囲む調節配列の影響からコード配列の発現を隔離して、より良好に野生型発現を模倣するのに十分な配列を少なくとも含有することができる。ゲノム遺伝子座全体又はその部分を使用する場合、より小型の配列に核酸を挿入する場合と異なり、部位特異的発現の問題に直面することは、あったとしても稀である。核酸の挿入があまりにも大型である場合、他の問題に直面する場合がある。幾つかの実施形態では、ベクターは、細菌中での部位指定相同組換え(directed homologous recombination)により、例えば参照によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれるHeintzの国際公開第98/59060号パンフレット;Heintzらの国際公開第01/05962号パンフレット;Yang et al., 1997, Nature Biotechnol. 15: 859−865;Yang et al., 1999, Nature Genetics 22: 327−35の方法により分子タグをコードする選択した配列が挿入されているゲノム配列を含有するBACである。] [0080] そのような方法を使用して、組換え欠損大腸菌(E. coli)宿主菌株、つまり相同組換えを独立して支援することができない細胞、例えばRec A.sup.−中での相同組換えにより、BACを直接改変することができる。1つの実施形態では、細菌中での相同組換えを使用して、特徴的遺伝子の内因性発現パターンにおけるタグ化リボソームタンパク質発現を促進するのに十分な調節配列(「特徴的遺伝子配列」称する)をコードするゲノムDNAに、分子タグ化リボソームタンパク質をコードする配列を標的指定的に挿入する。それらの配列はBACに挿入されている。その後、所望の特徴的遺伝子のゲノム遺伝子座に由来する配列を含む調節領域の制御/調節下にあるタグ化融合タンパク質配列を含むBACを回収し、形質転換生物の系統用の潜在的創始体生物のゲノムに導入する。1つの態様では、相同組換えを起こすように選択された特定のヌクレオチド配列は、宿主細胞内に導入又は含有された無関係の系統(independent origin)に基づくクローニングベクターに含有されており、無関係の系統に基づくクローニングベクター単独でも、宿主細胞と組み合わせた無関係の系統に基づくクローニングベクターでも、独立して相同組換えを支援することができない(例えば、RecAである)。タグ化リボソームタンパク質コード配列を導入し、RecA(又は他の適切な組換え酵素)を除去する(又はしない)ために使用される方法が厳密に何であるかは、使用されるBACライブラリーの性質(例えば、BACベクターに存在する選択マーカー)に依存することになり、そのような改変は当技術分野の技術内にある。] [0081] 特徴的遺伝子調節配列及び分子タグ化リボソームタンパク質コード配列を所望の配置で含有するBACは、いったん特定されれば、日常的な方法を使用して宿主大腸菌細胞から単離することができ、この中に記載されているような形質転換生物を作製するために使用することができる。] [0082] 或いは、BACを、Muyrersら(1999, Nucleic AcidsRes. 27(6): 1555−57、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)により記載されているように、「E−Tクローニング」により遺伝子操作又は改変することができる。これらの方法を使用して、特定のDNAを、好適な制限部位の存在とは無関係にBACへと遺伝子操作することができる。この方法は、recE及びrecTタンパク質により媒介される相同組換えに基づく(「ETクローニング」)(Zhang et al., 1998, Nat. Genet. 20(2): 123−28;参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)。] [0083] 分子タグ化リボソームを発現するように遺伝子操作された宿主細胞及び生物 1)宿主細胞へのベクターの導入 1つの態様では、調節配列及び分子タグ化融合タンパク質をコードする核酸を含有するベクターを、宿主細胞のゲノムに一過性に又は安定的に導入することができる。別の態様では、ベクターを一過性に形質移入することができ、その場合ベクターは組み込まれないがエピソームとして維持される。「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書中では置き換え可能に使用される。] [0084] そのような用語は、特定の対象細胞だけでなくそのような細胞の子孫又は潜在的な子孫も指すと理解される。ある改変は変異によって次世代に生じる場合もあり又は環境的影響によって生じる場合もあるため、そのような子孫は、実際のところ親細胞と同一でない場合があるが、本明細書中で使用される場合は、この用語の範囲内に依然として含まれる。] [0085] 宿主細胞は、少数の例を挙げれば、任意の原核細胞(例えば大腸菌などの細菌)であってもよく又は真核細胞(例えば、酵母、植物、昆虫(例えば、ショウジョウバエ(Drosophila))、両生動物、有羊膜類、又は哺乳動物に由来する細胞)であってもよい。ある実施形態では、宿主細胞は、ヒト細胞、げっ歯動物細胞、マウス細胞、ラット細胞、哺乳動物細胞、不死化培養細胞、又は初代ヒト若しくはげっ歯動物細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、ヒト又はげっ歯動物の胚性幹細胞、ニューロン幹細胞、海馬幹細胞、海馬前駆細胞、又は部分的に分化した多能性細胞、又は腫瘍細胞若しくは癌細胞(特に、白血病及び他の血液系癌から生ずるものなどの循環癌細胞)である。宿主細胞におけるコード配列の発現を指図する調節エレメント(好ましくは、上述のように特徴的遺伝子に由来する)に場合により作用して結合された先述のタグ化リボソームタンパク質コード配列のいずれかを含有する遺伝子操作された宿主細胞を、複数の方法で使用することができる。cDNA配列及びゲノム配列の両方をクローニング及び発現することができる。] [0086] 1つの態様では、宿主細胞は、組換え欠損、つまりRec.sup.−であり、BAC組換えに使用される。特定の実施形態では、宿主細胞は、複数のタイプのリボソーム融合体を含有していてもよく、その場合、異なるリボソームの融合は、同一又は異なるタグに対してである。或いは、単一のリボソームが、例えばN末端及びC末端端部の両方で、複数のタグに融合していてもよい。] [0087] ヌクレオチド配列を含有するベクターは、当技術分野で公知である方法、例えば形質移入、形質転換、形質導入、エレクトロポレーション、感染、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム、LIPOFECTIN(商標)、リソソーム融合、合成陽イオン性脂質、遺伝子銃の使用、又はDNAベクター輸送体により所望の宿主細胞に導入することができ、その結果ヌクレオチド配列は系統の子孫へと伝えられる。哺乳動物細胞の形質転換又は形質移入用の種々の技術については、Keown et al., 1990, MethodsEnzymol. 185: 527−37;Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y.を参照されたい。] [0088] ある実施形態では、ベクターは培養細胞に導入される。他の実施形態では、ベクターは、増殖細胞(又は細胞集団)、例えば、腫瘍細胞、幹細胞、血液細胞、骨髄細胞、組織生検に由来する細胞などに導入される。] [0089] 2)トランスジェニック動物を作製するベクターの導入 特定の実施形態は、マウス胚の単一核への前核マイクロインジェクション又は構築体を含むウイルスベクターによる感染を使用して、核酸を含有するベクターを導入する方法を包含する。マウス胚への前核インジェクション法は、当技術分野で周知であり、Hogan et al. 1986, Manipulating the Mouse Embryo, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, N.Y.及び1989年10月10日に交付されたWagnerらの米国特許第4,873,191号明細書に記載されており、それらの全体が参照により本明細書中に組み込まれる。核酸を挿入するウイルス法は、当技術分野で公知である。標的化送達には、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウィルス、アデノ随伴ウイルス、又は遺伝子送達に適用できる任意の別のウイルスを使用することができる。] [0090] 3)トランスジェニック生物 当技術分野で周知の方法を使用して、任意のモデル生物を遺伝子操作し、分子タグ化リボソームを発現させことができる。これらには、限定的ではないが、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生動物、魚類、ゼブラフィッシュ(ゼブラダニオ(Danio rerio))、ハエ(キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster))、蠕虫(線虫(Caenorhabditis elegans))、又は酵母(又は他の真菌)を含むことができる。トランスジェニック動物とは、動物の細胞の1つ又は複数が、非内因性(つまり異種性)であり、その細胞の部分にある染色体外エレメントとして存在するか、又はその生殖細胞系DNAに(つまり、その細胞の大部分又は全てのゲノムの配列に)安定的に組み込まれている核酸を含む非ヒト動物である。ある実施形態では、トランスジェニック動物は、生殖細胞系配列の安定的変化を含む。異種性核酸は、例えば宿主動物の胚又は胚性幹細胞の遺伝子操作により、そのようなトランスジェニック動物の生殖細胞系に導入される。] [0091] 異種性核酸は、ランダム組み込みにより創始体生物のゲノムに組み込むことができる。ランダムの場合、組み込みは、好ましくは、内因性遺伝子が発現されないか又は誤発現されるように内因性遺伝子(複数可)をノックアウト、例えば挿入しない。] [0092] 他の実施形態では、核酸は、部位指定法により、例えば部位指定相同組換え(「ノックイン」)により組み込むことができる(Chappel、米国特許第5,272,071号明細書;及び1991年5月16日に公開された国際公開第91/06667号パンフレット;米国特許5,464,764号明細書;Capecchiら、1995年11月7日に交付された;Capecchiら、1997年5月6日に交付された米国特許第5,627,059号明細書;Capecchiら、1996年1月30日に交付された米国特許第5,487,992号明細書)。] [0093] 形質転換生物、例えばトランスジェニック動物は、例えば上述のような動物接合体への前核インジェクションにより、ベクターを生物のゲノムにランダム組み込みすることにより生成することができる。他の方法には、当技術分野で周知のインジェクション法又はエレクトロポレーション法を使用して、培養胚細胞、例えばES細胞にベクターを導入し、その後形質転換細胞を動物胚盤胞に導入し、それにより細胞のサブセットのみが変更されたゲノムを有する「キメラ」又は「キメラ動物」を生成することが伴う。キメラは、所望のトランスジェニック動物を生成するために繁殖目的に使用されることが多い。ヘテロ接合性の変更を有する動物は、キメラの繁殖により生成される。典型的には雄雌ヘテロ接合体を繁殖させてホモ接合動物を生成する。] [0094] 胚操作及びマイクロインジェクションによりトランスジェニック動物、特にマウスなどの動物を生成するための方法は、当技術分野でありふれたものになっており、例えば、米国特許第4,736,866号明細書及び第4,870,009号明細書、米国特許第4,873,191号明細書、Hogan, Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)、及びWakayama et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:14984−89に記載されている。同様の方法が他のトランスジェニック動物の生成に使用される。] [0095] トランスジェニック創始体動物は、そのゲノムに導入された核酸の存在及び/又はその動物の組織又は細胞におけるmRNAの発現に基づいて特定することができる。その後、トランスジェニック創始体動物を使用して、その核酸を保持するさらなる動物を繁殖させることができる。これらのトランスジェニック動物は、他の異種性核酸を保持する他のトランスジェニック動物へとさらに繁殖させることができる。それらの生殖細胞系細胞に相同的に組換えられた又は組み込まれたDNAを保有する子孫を使用して、動物の全細胞が目的核酸の生殖細胞系伝達により相同的組換えDNAを含有する動物を繁殖させることができる。] [0096] 本明細書中に記載の非ヒトトランスジェニック動物のクローンは、Wilmut et al., 1997, Nature 385: 810−13及び国際公開第97/07668号パンフレット及び国際公開97/07669号パンフレットに記載の方法により生成することもできる。] [0097] トランスジェニックマウスは、いったん生成されれば、当技術分野で周知の方法を使用して繁殖及び維持することができる。例として、マウスは、10時間の暗期:14時間の明期の周期で維持されている、環境的に管理された施設に収容することができる。マウスは、性的に成熟した時(6〜8週齢)に交配させる。ある実施形態では、遺伝子導入創始体又はキメラを、未改変の動物と交配させる。1つの実施形態では、遺伝子導入創始体又はキメラを、C57BL/6マウス(Jackson Laboratories社製)と交配させる。核酸がES細胞に導入され、キメラマウスが生成される特定の実施形態では、キメラを、胚性幹細胞と同じ遺伝子型を有する129/Svマウスと交配させる。トランスジェニックマウスの作製及び繁殖を成功させるためのプロトコールは、当技術分野で公知である(Manipulating the Mouse Embryo. A Laboratory Manual, 2nd edition;B. Hogan, Beddington, R., Costantini, F. and Lacy, E., eds. 1994. Cold Spring Harbor Laboratory Press: Plainview, N.Y.)。] [0098] ヘテロ接合性又はホモ接合性を確立する方法は、当技術分野で周知であり、PCR及びサザンブロッティングを使用する。] [0099] 幾つかの実施形態では、トランスジェニックマウスは、非常に高度に同系であり、性差を除いて遺伝的に同一である。ホモ接合体は、ホモ接合性を保証するために戻し交配及び異種交配分析を使用して試験される。複数の組み込みを有する創始体の各組み込み部位に関するホモ接合型系統も確立される。20世代以上の兄弟/姉妹の交配が近交系を特徴付ける。別の好ましい実施形態では、トランスジェニック系統は、ヘミ接合体として維持される。] [0100] 代替的な実施形態では、個々の遺伝子改変マウス系を、繁殖ではなく凍結保存もする。創始体動物及びトランスジェニック系統を維持するために胚を凍結する方法は、当技術分野で公知である。凍結胚を再構成し、胚を満期(term)へと導くための方法は、当技術分野で公知である。] [0101] 分子タグ化リボソームタンパク質をコードする核酸は、当技術分野で公知の方法を使用して創始体植物(または創始体植物を生成する胚)のゲノムに導入することができる(Newell, 2000, Plant transformation technology. Developments and applications, Mol. Biotechnol. 16(1):53−65;Kumar and Fladung, 2001, Controlling transgene integration in plants, Trendsin Plant Science 6 (4): 155−159)。分子タグ化リボソームタンパク質をコードする核酸は、Ausubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.、それぞれ1章及び13章に記載の方法を使用して、細菌及び酵母のゲノムに導入することができる。] [0102] 4)トランスジェニック生物でのタグ化リボソームタンパク質発現のスクリーニング 形質転換生物系統の潜在的な創始体生物を、内因性の特徴的遺伝子の発現を特徴とする細胞の集団中でのリボソームによる分子タグ化融合タンパク質コード配列の発現についてスクリーニングすることができる。] [0103] 1つの実施形態では、それにより活性化又は抑制される分子タグ又はマーカーに特異的な抗体を使用する免疫組織化学法を使用して、分子タグの発現を検出する。別の実施形態では、光学に基づく選別又は磁気に基づく選別などの、他の方法及びデバイスを使用してタグを検出する。] [0104] 適切な発現(例えば、対応する非トランスジェニック生物又はその解剖学的領域で内因性の特徴的遺伝子と実質的に同じ発現パターンを有する検出可能な発現、つまりin situハイブリダイゼーションにより内因性遺伝子を発現することが示されている細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は好ましくは95%での検出可能な発現)を示す形質転換生物を、形質転換生物系統として選択する。] [0105] BACアレイ系統 幾つかの実施形態では、分子タグ化リボソームを発現する選択した細胞サブセット又は細胞集団を含有する形質転換生物系統のコレクションが提供される。幾つかの態様では、BACに関連する方法を使用して形質転換生物が作成された場合、これをBACアレイコレクションと呼ぶ。このコレクションは、少なくとも2つの個々の系統、好ましくは少なくとも5、10、25、50、100、500、1000、1500、2000、2500、5000、10,000、15,000、又は30,000の個々の系統を含む。個々の系統は各々、分子タグ化リボソームが発現される細胞サブセットの特定に基づいてコレクション用に選択される。] [0106] 1つの実施形態では、ニューロン疾患(神経変性疾患、神経精神疾患、行動疾患など)と関係するBACアレイ系統を作製することができる。これらには、限定的ではないが、うつ病、肥満、不安症、てんかん、睡眠、パーキンソン病、ADHD、ハンチントン病、依存症、認知症、アルツハイマー病、及びALSなどのような疾患プロセスに関与する細胞の発現に特異的なBACアレイ系統が含まれる。例えば、中枢神経系疾患に特異的な代表的BACアレイコレクションについては、図1を参照されたい。] 図1 [0107] 1つの実施形態では、組織のサブ領域、例えば中枢神経系の領域に関係するBACアレイコレクションを作製することができる。これらには、限定的ではないが、線条体細胞のみにおける発現(例えば、中型星状神経細胞、線条体黒質及び/又は線条体淡蒼球ニューロンにおける発現)、小脳細胞のみにおける発現(例えば、プルキンエニューロン、星状細胞、ベルクマングリア、顆粒細胞などにおける発現)、海馬細胞のみにおける発現(例えば、CA1ニューロン、CA2ニューロン、CA3/4ニューロン、グリア、星状細胞、DGニューロンにおける発現)、視床下部細胞のみにおける発現、脊髄細胞のみにおける発現、及び松果腺細胞のみにおける発現などに特異的なBACアレイ系統が含まれる。] [0108] 別の関連実施形態では、特定の生物学的機能に関係するBACアレイコレクションを作製することができる。これらには、限定的はないが、髄鞘形成、興奮性神経性伝達、運動機能、遊走、接着、浸潤、侵害刺激のプロセシング、感覚刺激のプロセシング、視覚プロセシング、聴覚プロセシング、嗅覚プロセシング、前庭制御、摂食及び満腹の制御、覚醒及び睡眠の制御、並びに報酬行動の制御(例えば、それがどのように常習行為に関連するかのような)などと関係する機能に特異的なBACアレイ系統が含まれる。] [0109] mRNA種の解析 本明細書中に記載の実施形態は、特定の細胞及び/又は組織の翻訳プロファイリング及び分子表現型解析を提供する。タグ化リボソームタンパク質を有するポリソーム中で複合体化したmRNAを単離し、当技術分野で公知である任意の方法により解析することができる。1つの態様では、タグ化リボソームタンパク質を発現する細胞の翻訳プロファイルは、mRNAを単離しcDNAライブラリーを構築することにより、又は遺伝子発現解析用にRNAを標識することにより、例えばマイクロアレイにmRNAを配置することにより解析することができる。本発明の実施形態では、その全体が本明細書中に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0009028号明細書に記載の技術が使用される。] [0110] 1つの態様では、タグ化リボソームタンパク質と結合したmRNAを使用して、cDNAライブラリーを生成することができ、実際そのような細胞タイプ特異的、細胞サブタイプ特異的、組織特異的、生物特異的、疾患特異的、機能特異的なcDNAライブラリーのコレクションを、単離された細胞の異なる集団から生成することができる。そのようなcDNAライブラリーは、遺伝子発現を解析し、細胞タイプ特異的遺伝子、スプライスバリアント、及び非コードRNAを単離し特定すると共に、機能又は疾患状態と関係する特定細胞の同時制御された遺伝子セットを特定するのに有用である。別の態様では、治療及び未治療の細胞/動物又はトランスジェニック又はそうでなければ操作された細胞/動物に由来するタグ化リボソームタンパク質と結合しており、それらから単離されたmRNAから調製されたそのような細胞タイプ特異的ライブラリーを、例えばサブトラクティブハイブリダイゼーション手順で使用して、未治療動物と比較して特定の治療に応じて又は疾患状態でより高いか又はより低レベルで発現された遺伝子を特定することができる。タグ化リボソームタンパク質から単離したmRNAは、当技術分野で周知の方法により作製及び解析された特定のマイクロアレイを使用して解析することもできる。マイクロアレイ技術を使用した遺伝子発現解析は、当技術分野で周知である。マイクロアレイを作製するための方法は、例えば、Southernによる米国特許第5,700,637号明細書、Fodorらによる米国特許第5,510,270号明細書、及びAlbrechtらによる国際公開第99/35293号パンフレットに教示されており、それらは参照によりそれらの全体が組み込まれる。mRNAの種々の集団を有するマイクロアレイを探索することにより、ある細胞集団の転写された遺伝子を特定することができる。さらに、異なる細胞タイプの細胞状態での遺伝子発現のパターンを、容易に比較することができる。] [0111] タグ化リボソームタンパク質に結合したmRNAは、例えば、ノーザンブロット解析、PCR、RNaseプロテクションなどにより、操作に依存してあるタンパク質産物をコードするmRNAの存在について及びこれらのmRNAの存在又はレベルの変化について解析することができる。] [0112] さらに別の実施形態では、潜在的な分子タグ化リボソームタンパク質を発現する特異的細胞又は細胞集団を、コレクションから単離し、当技術分野で公知のプロテオミクス法、例えばクロマトグラフィー、質量分析法、2Dゲル解析などを使用して、特定のタンパク質間相互作用又はタンパク質プロファイル全体について解析する。] [0113] 他のタイプのアッセイを使用して、in vivoで、外植片若しくは切片組織で、又は単離された細胞のいずれかで分子タグ化リボソームタンパク質を発現する細胞集団を分析し、例えば、ある操作/治療又は候補の作用剤(例えば小分子、抗体、ハイブリッド抗体、抗体断片、siRNA、アンチセンスRNA、アプタマー、タンパク質、又はペプチド)に対する細胞の応答をモニターし、又はその標的若しくは阻害剤の発現に対する動物、組織、若しくは細胞の応答を、その標的若しくは阻害剤を発現しない動物、その動物に由来する組織若しくは細胞と比較することができる。細胞を、例えば、限定ではないが、電気生理の変化、生理の変化(例えば、細胞内又は細胞外カルシウム又は他のイオン濃度、pHの変化、二次伝達物質の存在又は量の変化、細胞形態、細胞生存率、アポトーシスの指標、分泌因子の分泌、細胞複製、接触阻害などのような細胞の生理学的パラメータの変化)、形態の変化などについてモニターすることができる。] [0114] 特定の実施形態では、単離されたmRNAを使用して、包括的な発現ライブラリー(例えば2000年8月29日に交付されたSerafiniらの米国特許第6,110,711号明細書を参照、これは参照により本明細書中に組み込まれる)を探索する。ライブラリーは、マイクロアレイなどの高密度アレイで標準化し、提供することができる。] [0115] 特定の実施形態では、分子タグ化リボソームタンパク質を発現する細胞の亜集団を特定し、及び/又は本明細書によりその全体が参照により組み込まれる「Methodsfor defining cell types」と題するSerafiniらの国際公開第99/29877号パンフレットの方法を使用して遺伝子発現を解析する。] [0116] そのような解析からのデータを使用して、動物又は特定の組織若しくは解剖学的領域、例えば脳の様々な細胞集団に関する遺伝子発現解析のデータベースを生成することができる。階層的及び非階層的クラスター化分析及び主成分分析などのバイオインフォマティクスツールと一緒にそのようなデータベースを使用して、健常及び疾患モデル動物又は組織に由来する特定の示標及び特定の機能に関して同時制御された遺伝子セットなどについて、細胞を「フィンガープリンティング」する。] [0117] 応用及び考慮すべき事項 1)感度 本明細書中で提供される方法は、任意の細胞、組織、又は生物、並びに任意の疾患又は障害に応用可能である。複雑な異質性組織又は器官系の個々の細胞サブタイプを照合する(interrogate)能力によりもたらされる感度は、全組織マイクロアレイ及びin situハイブリダイゼーションなどの他の技術より高い可能性がある解像度を提供する。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の細胞サブタイプに特異的なmRNA/遺伝子を検出するTRAP法により、全組織マイクロアレイ又はin situハイブリダイゼーションなどの他の方法で検出不能な、その細胞タイプで富化されたmRNA/遺伝子の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、及び50%をさえ超える特定が可能になる。] [0118] 2)疾患及び障害 本明細書中で提供される方法は、任意の細胞、組織、又は生物、並びに任意の疾患又は障害に応用可能である。幾つかの疾患は、単に「メルクマニュアル」(2006年)と呼ばれることが多い「メルクマニュアル診断と治療」に引用されているが、それに見出されるものに限定されない。疾患及び障害は、中枢神経系障害、末梢神経系障害、及び非神経系障害であり得る。] [0119] 神経変性疾患/障害の例には、これらに限定されないが以下のものが含まれる:アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病(シュピールマイアー−フォークト−シェーグレン−バッテン病(Spielmeyer−Vogt−Sjogren−Batten disease)としても知られている)、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、コケーン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病(Kennedy's disease)、クラッベ病、レヴィー小体認知症、マシャド−ジョーゼフ病(脊髄小脳失調症3型)、多発性硬化症、多系統萎縮症、ナルコレプシー、神経ボレリア症、パーキンソン病、ペリツェウス−メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する脊髄亜急性連合変性、統合失調症、シュピールマイアー−フォークト−シェーグレン−バッテン病(またバッテン病としても知られている)、脊髄小脳失調症(様々な特徴を有する複数のタイプ)、脊髄性筋萎縮症、スティール−リチャードソン−オルシェフスキー疾患、及び脊髄ろう(Tables dorsalis)。] [0120] 神経精神疾患/障害の例には、これらに限定されないが、うつ病、双極性障害、躁病、強迫性障害、依存症、ADHD、統合失調症、幻聴、摂食障害、ヒステリー、自閉症スペクトラム障害、及び人格障害が含まれる。] [0121] 神経発達疾患/障害の例には、これらに限定されないが以下のものが含まれる:注意欠陥過活動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、統合失調症、強迫性障害(OCD)、精神遅滞、自閉症スペクトル障害(ASD)、脳性麻痺、脆弱X症候群、ダウン症候群、レット症候群、アスペルガー症候群、ウィリアムズ−ビューレン症候群、小児期崩壊性障害、構音障害、学習障害(つまり、読むこと又は算数)、失読症、表出性言語障害及び受容−表出混合性言語障害、言語又は行動適性。異常な神経発達プロセスに起因する場合のある疾患には、これらに限定されないが以下のものも含まれていてよい:双極性障害、食欲不振、一般うつ病、癲癇、強迫性障害(OCD)、不安症、歯ぎしり(bruixism)、アンジェルマン症候群(Angleman’s syndrome)、攻撃性、爆発性感情突発(explosive outburst)、自傷、心的外傷後ストレス、行為障害、トゥレット障害、常同性運動障害、気分障害、睡眠時無呼吸、不隠下肢症候群、睡眠異常(dysomnias)、妄想性人格障害、統合失調質人格障害、統合失調型人格障害、反社会的人格障害、境界人格障害、演技性人格障害、自己愛性人格障害、回避的人格障害、依存性人格障害、反応性愛着障害;分離不安障害;反抗挑戦性障害;性交疼痛症、放火癖、窃盗癖、抜毛癖、賭博、異食症、神経症性障害、アルコール関連障害、アンフェタミン関連障害、コカイン関連障害、マリファナ乱用、オピオイド関連障害、フェンシクリジン乱用、喫煙障害、神経性過食症、妄想性障害、性障害、恐怖症、身体化障害、遺尿症、遺糞症、書字表出障害、表出性言語障害、精神遅滞、算数障害、一過性チック障害、吃音、選択的無言症、クローン病、潰瘍性大腸炎、細菌過剰症候群、糖質不耐性、セリアックスプルー、感染及び寄生、腸リンパ管拡張症、短腸症候群、熱帯性スプルー、ホウィップル病、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、脊髄性筋萎縮症、及びハンチントン病。神経発達障害に関するさらなる例、考察、及び情報は、例えば国立精神衛生研究所(ワールドワイドウエブサイトアドレス、nihm.nih.gov/dptr/b2−nd.cfm)の神経発達障害部門に見出すことができる。] [0122] 3)mRNA種のプロファイリング 1つの実施形態では、本発明は、目的の細胞タイプの翻訳プロファイルを取得する方法を提供する。この方法は、目的の細胞タイプで発現される遺伝子に特異的な調節配列の制御下でタグ化リボソームタンパク質を発現させることと、リボソームタンパク質と複合体化したmRNAを細胞から単離することと、mRNAを特定して、それにより目的の細胞タイプの翻訳プロファイルを取得することとを含む。] [0123] 1つの例示的な実施形態では、目的の細胞タイプは、線条体黒質及び線条体淡蒼球細胞である。Drd1a又はDrd2特異的調節配列の制御下にあるeGFPに融合したL10aが発現され、翻訳プロファイルが取得される。表10、13、17、及び18には、線条体黒質及び線条体淡蒼球細胞で翻訳プロファイリングされる遺伝子が特定されている。] [0124] 別の例示的な実施形態では、目的の細胞タイプは、コリン作動性運動ニューロンである。コリンアセチルトランスフェラーゼ(chat)特異的調節配列の制御下にあるeGFPに融合したリボソームタンパク質L10aが発現され、翻訳プロファイルが取得される。表19には、コリン作動性運動ニューロンで翻訳プロファイルされる遺伝子が特定されている。この実施形態では、コリン作動性運動ニューロンは空間的に離れている。] [0125] 別の例示的な実施形態では、目的の細胞タイプは、小脳ニューロン及びグリア、具体的にはプルキンエニューロン及びベルクマングリアである。Pcp2又はSeptin4特異的調節配列のいずれかの制御下にあるeGFPに融合したリボソームタンパク質L10aが発現され、翻訳プロファイルが取得される。表20には、小脳プルキンエニューロン及びベルクマングリアで翻訳プロファイリングされる遺伝子が特定されている。] [0126] 別の実施形態では、細胞、組織、又は生物の操作後の遺伝子翻訳プロファイルが取得される。この方法は、細胞、組織、又は生物を操作する工程と、TRAP法を使用して翻訳プロファイルを取得する工程と、そのプロファイルを非操作細胞、組織、又は生物に由来する参照プロファイルと比較する工程とを含む。操作には、これらに限定されないが以下が含まれる: a)薬理学的:例えば、小分子アンタゴニスト又はアゴニストなどの候補作用剤の投与;動物モデル又は細胞培養物にMPTP又はOHDAを投与してパーキンソン病様状態を誘導するなど、疾患を再現する(recapitulate)薬理学的作用剤の投与;又は乱用薬物若しくは乱用物質、例えばコカイン又はアルコールの投与; b)遺伝子的:例えば、運動失調症、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び自閉症スペクトラム障害などの疾患又は障害の動物又は細胞モデルを再現するための、生殖細胞系若しくは非生殖細胞系変異又は導入遺伝子の導入; c)機械的:例えば、外科処置;及び/又は d)環境的:例えば、住居環境の変化、気候の変化、昼夜周期の逆転;例えば、うつ病様表現型の異常を再現するための、当技術分野において承認されている慢性軽度ストレスプロトコールの誘導。候補作用剤の例は、これらに限定的されないが、小分子、抗体、ハイブリッド抗体、抗体断片、siRNA、アンチセンスRNA、アプタマー、タンパク質、又はペプチドである。例示的な実施形態では、細胞は、ニューロン細胞又はグリア細胞、線条体細胞、小脳細胞、海馬細胞、視床下部細胞、皮質細胞、ドーパミン作動性細胞、脊髄細胞などの神経系の細胞である。他の実施形態では、細胞は、ドーパミン作動性ニューロン又は中型星状神経細胞などのニューロンである。] [0127] 例示的な実施形態では、ドーパミン作動性線条体黒質及び線条体淡蒼球細胞の翻訳プロファイルに対するコカインの影響が取得される。関連する実施形態では、コカイン急性投与の影響及びコカイン慢性投与の影響が取得される。特定の実施形態では、コカイン急性処置後の遺伝子翻訳の変化は、表15で特定されているものを含む。関連する特定の実施形態では、コカイン慢性処置後の遺伝子翻訳の変化は、表16で特定されているものを含む。]
权利要求:
請求項1 同時制御された遺伝子セットを特定する方法であって、(a)髄鞘形成に関連する遺伝子を発現する複数の細胞タイプの翻訳プロファイルを決定する工程、(b)前記翻訳プロファイルを比較して、どの追加的遺伝子が同様に制御されるかを決定し、それにより髄鞘形成に関与する同時制御された遺伝子セットを特定する工程を含む方法。 請求項2 髄鞘形成と関連する前記遺伝子がMbpである、請求項1に記載の方法。 請求項3 前記遺伝子セットが、Plp1、Cnp、Mog、Mal、及びMobpからなる群から選択される少なくとも2つの遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。 請求項4 表9に列挙されている少なくとも2つの遺伝子を含む、髄鞘形成に関与する同時制御された遺伝子セット。 請求項5 Plp1、Cnp、Mog、Mal、又はMobpの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の遺伝子セット。 請求項6 全組織マイクロアレイ技術では検出不能である、細胞タイプで富化された1つ又は複数の遺伝子を検出する方法であって、(a)細胞タイプについての翻訳プロファイルを評価する工程と、(b)前記翻訳プロファイルを全組織マイクロアレイの結果と比較する工程と、(c)前記全組織マイクロアレイの前記結果に存在しない、前記翻訳プロファイル中の1つ又は複数の遺伝子の存在を決定する工程を含み、それにより前記全組織マイクロアレイ技術では検出不能である、細胞タイプで富化された1つ又は複数の遺伝子を検出する方法。 請求項7 前記細胞タイプにおいて富化された前記遺伝子の20%、30%、又は40%超が、前記全組織マイクロアレイ技術で検出不能である、請求項6に記載の方法。 請求項8 前記細胞タイプが、線条体細胞、小脳細胞、皮質細胞、視床下部細胞、海馬細胞、脳幹細胞、及び脊髄細胞からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。 請求項9 前記翻訳プロファイルの評価がマイクロアレイの使用を伴う、請求項6に記載の方法。 請求項10 中型星状神経細胞で富化されたmRNAを特定する方法であって、(a)中型星状神経細胞で発現される遺伝子に特異的な調節領域により制御されるリボソームタンパク質を生物中で発現させる工程と、(b)mRNAに付随している前記リボソームタンパク質を含む複合体を単離する工程と(c)前記複合体中のmRNAを特定する工程と、(d)前記mRNAを、参照試料から特定されたmRNAと比較する工程とを含む方法。 請求項11 前記中型星状神経細胞で富化されたmRNAが差次的に発現される、請求項10に記載の方法。 請求項12 前記調節領域が、線条体黒質ニューロンで発現される遺伝子に特異的である、請求項10に記載の方法。 請求項13 前記調節領域が、線条体淡蒼球ニューロンで発現される遺伝子に特異的である、請求項10に記載の方法。 請求項14 前記発現が、細菌人工染色体により媒介される、請求項10に記載の方法。 請求項15 前記調節領域が、Drd1a又はDrd2遺伝子座に由来する調節配列を含む、請求項10に記載の方法。 請求項16 前記発現が、細菌人工染色体を生物に導入する工程を含む、請求項10に記載の方法。 請求項17 前記中型星状神経細胞が、疾患又は障害に関連している、請求項10に記載の方法。 請求項18 前記疾患又は障害が、パーキンソン病、依存症、注意欠陥過活動性障害、又はハンチントン病のいずれか1つである、請求項17に記載の方法。 請求項19 前記方法が、前記疾患又は障害を治療するための候補となる標的選択の誘導に使用される、請求項17に記載の方法。 請求項20 前記リボソームタンパク質がL10aである、請求項10に記載の方法。 請求項21 前記リボソームタンパク質がmRNAと直接的に結合しない、請求項10に記載のの方法。 請求項22 検出可能なタグを発現する工程をさらに含む請求項10に記載の方法。 請求項23 前記検出可能なタグがeGFPである、請求項22に記載の方法。 請求項24 前記単離する工程が架橋試薬を用いずに実施される、請求項10に記載の方法。 請求項25 小分子、薬物、抗体、ハイブリッド抗体、抗体断片、siRNA、アンチセンスRNA、アプタマー、タンパク質、又はペプチドを前記神経細胞に投与する工程をさらに含む請求項10に記載の方法。 請求項26 前記薬物がコカインである、請求項25に記載の方法。 請求項27 前記mRNAが、マイクロアレイにさらに配置されている、請求項10に記載の方法。 請求項28 前記調節領域が、Drd1a遺伝子座に由来する調節配列を含む、請求項10に記載の方法。 請求項29 翻訳プロファイルが、Tac1、Pdyn、Slc35d3、Zfp521、Ebf1、Stmn2、Gnb4、Nrxn1、Eya1、Isl1、Gng2、又はCrymを含む、請求項28に記載の方法。 請求項30 運動ニューロンで富化されたmRNAを特定する方法であって、(a)運動ニューロンで発現される遺伝子に特異的な調節領域により制御されるリボソームタンパク質を生物中で発現させる工程と、(b)mRNAに付随している前記リボソームタンパク質を含む複合体を単離する工程と(c)前記複合体中の前記mRNAを特定する工程と、(d)前記mRNAを、参照試料から特定されたmRNAと比較する工程とを含む方法。 請求項31 調節領域が、コリンアセチルトランスフェラーゼ(Chat)遺伝子座に由来する調節配列を含む、請求項16に記載の方法。 請求項32 運動ニューロンが脳幹運動ニューロンである、請求項16に記載の方法。 請求項33 運動ニューロンが脊髄運動ニューロンである、請求項16に記載の方法。 請求項34 運動ニューロンが上位運動ニューロンである、請求項16に記載の方法。 請求項35 富化されたmRNAが、表19に列挙されているmRNAの1つ又は複数を含む、請求項16に記載の方法。 請求項36 小脳細胞の翻訳プロファイルを評価するための方法であって、(a)小脳遺伝子に特異的な調節領域により制御されるリボソームタンパク質を前記細胞中で発現させる工程と、(b)mRNAに付随している前記リボソームタンパク質を含む少なくとも1つの複合体を前記細胞から単離する工程と、(c)前記複合体に由来する前記mRNAを特定し、それにより翻訳プロファイルを生成する工程を含む方法。 請求項37 前記発現させる工程が、細胞又は生物を細菌人工染色体で形質導入する工程を含む、請求項36に記載の方法。 請求項38 前記小脳細胞が、疾患又は障害を伴っている、請求項36に記載の方法。 請求項39 前記疾患又は障害が運動失調症である、請求項38に記載の方法。 請求項40 前記方法が、前記疾患又は障害を治療するための候補となる標的選択の誘導に使用される、請求項38に記載の方法。 請求項41 前記リボソームタンパク質がL10aである、請求項36に記載の方法。 請求項42 前記リボソームタンパク質がmRNAと直接的に結合しない、請求項36に記載のの方法。 請求項43 検出可能なタグを発現する工程をさらに含む請求項36に記載の方法。 請求項44 前記検出可能なタグがeGFPである、請求項43に記載の方法。 請求項45 前記単離する工程が架橋試薬を用いずに実施される、請求項36に記載の方法。 請求項46 前記小脳細胞がプルキンエ細胞である、請求項36に記載の方法。 請求項47 前記小脳細胞がベルクマングリアである、請求項36に記載の方法。 請求項48 小分子、薬物、抗体、ハイブリッド抗体、抗体断片、siRNA、アンチセンスRNA、アプタマー、タンパク質、又はペプチドをニューロンに投与する工程をさらに含む請求項36に記載の方法。 請求項49 前記mRNAが、マイクロアレイにさらに配置されている、請求項36に記載の方法。 請求項50 前記調節領域が、Pcp2遺伝子座に由来する調節配列を含む、請求項36に記載の方法。 請求項51 翻訳プロファイルが、表22に列挙されている任意の1つ又は複数の遺伝子を含む、請求項50に記載の方法。 請求項52 前記調節領域が、Septin4遺伝子座に由来する調節配列を含む、請求項36に記載の方法。 請求項53 翻訳プロファイルが、表23に列挙されている任意の1つ又は複数の遺伝子を含む、請求項52に記載の方法。 請求項54 内因性調節領域に作用可能に連結されたリボソームタンパク質及び検出可能なタグをコードする核酸配列を発現するように遺伝子操作された組換えベクターを含むキット。 請求項55 前記検出可能なタグがeGFPである、請求項54に記載のキット。 請求項56 前記リボソームタンパク質がL10aである、請求項54に記載のキット。 請求項57 前記リボソームタンパク質が、前記検出可能なタグとインフレームで融合されている、請求項54に記載のキット。 請求項58 前記組換えベクターが細菌人工染色体である、請求項54に記載のキット。 請求項59 前記内因性調節領域が、目的遺伝子の5’及び/又は3’非翻訳配列を含む、請求項54に記載のキット。 請求項60 前記目的遺伝子が、線条体細胞、小脳細胞、皮質細胞、視床下部細胞、海馬細胞、脳幹細胞、及び脊髄細胞からなる群から選択される細胞で発現される、請求項59に記載のキット。
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公开号 | 公开日 EP2265730A2|2010-12-29| JP5670755B2|2015-02-18| EP2265730B1|2018-06-06| EP3369827A1|2018-09-05| WO2009114185A3|2010-01-07| US9816096B2|2017-11-14| US20150082470A1|2015-03-19| US20180155728A1|2018-06-07| WO2009114185A2|2009-09-17| EP2265730A4|2012-03-21| US20110071049A1|2011-03-24|
引用文献:
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