![]() 非遺伝毒性発癌物質に関するスクリーニング
专利摘要:
本発明は、非遺伝毒性発癌物質を動物モデルにおける作用に関してスクリーニングするための方法に関する。また、本発明は、このような方法に用いるのに適した動物モデル、及びインビトロスクリーニング目的のためのこのような動物由来の細胞株にも関する。より詳細には、本発明は、核内転写因子CAR、PXR及びPPARαに関してヒト化されており、その内在性等価遺伝子が機能しないようにされているトランスジェニックげっ歯動物に関する。 公开号:JP2011512834A 申请号:JP2010549194 申请日:2009-03-09 公开日:2011-04-28 发明作者:ウォルフ,チャールズ,ローランド;エルコム,クリフォード,ロイ 申请人:アイティーアイ・スコットランド・リミテッド; IPC主号:A01K67-027
专利说明:
[0001] 本発明は、非遺伝毒性発癌物質の動物モデルにおける作用についてのスクリーニング方法に関する。また、本発明は、このような方法に用いるのに適した動物モデル、及びインビトロスクリーニング目的のためのこのような動物由来の細胞株にも関する。] 背景技術 [0002] 治療薬候補はそのかなりの割合が、治験時に見出された有害な代謝や毒性のために市場向けの薬物とはなり得ない。このような失敗は、多額の開発費が無駄になっていることを示しており、よって、候補薬のヒトにおける代謝特性や毒物学的特性を前臨床開発段階で、より確実に、迅速に且つ経済的に予測できる新しい技術が必要である。現在、候補薬の前臨床代謝試験や毒性試験の多くは、実験動物やヒト及び/又は哺乳動物の培養細胞株及び/又は組織を利用している。しかし、これらの方法はいずれも、被験者における代謝や毒性を予測する上で完全に信頼できるものではない。動物から得た代謝データや毒物学的データは、生化学的機序に関する種間差のため、被験者から得たものとは大きく異なる。また、インビトロでのヒト細胞培養物や単離ヒト組織の研究から得たデータの解釈は、このような系が全ての器官や組織について利用できるとは限らず、また、インビボで有するのと同じ代謝特性を保持できないため問題となり得る。] [0003] 我々が曝露される薬物や他の化学剤の安全性の評価に関連する主な因子は、該剤が肝成長の誘導によって後成的発癌を誘導する能力があることである。このように作用する剤の能力は、現在、実験用ラットやマウスにおいて試験されているが、このような試験が必ずしもヒトの状態を反映しないことが分かっている。] [0004] 先行技術においては、多くの薬物の代謝、分布及び毒性は、互いに明瞭に区別される次の4種類の主要タンパク質クラスと該薬物との相互作用に依存することが知られている。4種類のタンパク質クラスとは、即ち、第1相薬物代謝酵素(例えば、シトクロムP450)、第2相薬物代謝酵素(例えば、トランスフェラーゼ、特に、グルクロニルトランスフェラーゼやグルタチオントランスフェラーゼ、スルホニルトランスフェラーゼ、アセチルトランスフェラーゼ)、薬物輸送タンパク質(例えば、ATP結合カセットタンパク質)、そして最後に、転写因子(例えば、先のクラスのタンパク質(特に、シトクロムP450)をコードする遺伝子の転写を調節する、プレグナンX受容体(PXR)や構成的アンドロスタン受容体(CAR))である。] [0005] 特定の転写因子に関してヒト化したマウス株に関する報告は数多く存在する(Xie et al, Nature Vol 406, 435-9, 2000; or Zhang et al, Science Vol 298, 422-4, 2002参照)。このようなモデルの不利な点は、PXR遺伝子やCAR遺伝子自身が異種組織特異的プロモーター(アルブミンプロモーター)によって促進される導入遺伝子であるため、ヒトの場合と同様には調節されないことである。従って、異種遺伝子の過剰発現が生じ、その結果、正常な代謝経路が迂回される。また、PXR及びCAR導入遺伝子はゲノムクローンではなくcDNAに由来するため、トランスジェニック非ヒト動物においては、PXRやCAR発現の全ての転写調節及び転写後調節を正しく再現するのに必要な配列が欠如し、その発現は肝臓に限定され、生理学的レベルにはなり得ない。また、このようなモデルはヒト遺伝子のスプライスバリアントをコードしない。] 発明が解決しようとする課題 [0006] 本発明者ら自身のグループは、内在性発現のヌルバックグラウンドに対し、CAR及びPXRに関して二重ヒト化したマウスを得た。しかし、2種を超えるこのような受容体に関してヒト化され、特に内在性核内受容体が欠失したマウス株は未だ得られていない。本発明者らが知る限りでは、非遺伝毒性発癌物質のヒト安全性評価や危険性評価への関連性を解明する上でのこのようなマウスの有用性や、このような株に従ってより複雑なモデルが作出可能であることは提案されていない。] 課題を解決するための手段 [0007] 本発明は、その第1の様相において、核内転写因子CAR、PXR及びPPARαに関してヒト化され、その内在性等価遺伝子(endogenous equivalent genes)が機能しないようにされている(rendered inoperable)トランスジェニックげっ歯動物を提供する。このような動物は、非遺伝毒性発癌物質をスクリーニングする上で大きな可能性があると考えられる。] [0008] 一般に肝臓で生じる化学剤の過形成作用や肥大作用を仲介する多数の転写因子が確認されている。本発明者らは、このような転写因子の内、核内受容体PPARα、CAR及びPXRが非遺伝毒性発癌物質による細胞周期や細胞増殖の調節において特に重要であると考えている。従って、本発明のこの様相は、これら3種類の受容体全てに関してヒト化され、その内在性宿主動物遺伝子が付随して機能しないようにされているトランスジェニック動物の作出に基づく。] [0009] 本発明は、単一動物モデルにおいて、開発中の薬物や他の化学物質の潜在的に不利な点を評価するための予測アプローチを提供するが、これは、先行技術に記載のモデルに比べて多くの利益をもたらす。本発明に係る動物株の作出によって、ヒトにおける薬物応答や化学物質応答を決定する因子についての理解が顕著に高まる。このようなモデルは、多数の異なるスクリーニングシナリオ(例えば、有効性スクリーニングやPK/PDモデリング、薬物や化学物質の安全性試験等)に適用することができる。] [0010] 発癌物質は遺伝毒性又は非遺伝毒性に分類することができる。遺伝毒性物質は、DNAに直接(親分子又は親分子の代謝物)結合して不可逆的な遺伝損傷や変異を生じさせる(即ち、一般にこのような化合物の安全と考えられる全身的レベルは存在しない)。これに対し、非遺伝毒性物質は、DNAを直接損傷するのではなく、別の方法で作用して増殖を促進する。このような毒素は細胞毒性又は非細胞毒性(細胞壊死が生じない)に分類される。非遺伝毒性物質の例としては、ホルモンや一部の有機化合物が挙げられる。このような化合物全てにおいては、ヒトが危険を伴わずに接触することが可能な曝露閾値が存在する。] [0011] 現在の動物モデルは、非遺伝毒性発癌物質のスクリーニングについては理想から程遠いが、それは、このような化合物によって調節されるげっ歯類受容体が示すリガンド特異性が、マウスや他のげっ歯動物とヒトとの間で明確に異なるからである。従って、ある化合物がマウスにおいて毒性を示し得る場合でも、その等価な作用がヒトにおいては良性又は無関係となるであろう。例えば、最近のエビデンスによって、ネズミ及びヒトCARタンパク質のリガンド結合ドメインは他の核内ホルモン受容体に比べて分岐しており、これによって生体異物応答における種特異的差異がもたらされるという主張が支持されている(Huang et al., 2004, Molecular endocrinology 18(10):2402-2408)。この論文で報告された結果から、げっ歯動物及びヒトにおけるオルソロガスな受容体経由の相対する生体異物応答が単一の化合物によって誘導され得ることが分かる。同様な差異がハムスターとモルモットに存在する。] [0012] このような薬物の一例は、現在市場に出回っているフェノバルビタールである。ラットやマウスで試験した場合、過形成作用と肥大作用の両方が数日以内に見られ、約2年後には肝腫瘍が明らかになる。過形成とは、通常見られる増殖を超えた器官や組織内での細胞増殖として定義される。また、肥大は、器官サイズや組織面積の増大も伴うが、細胞の数を保ったままでそのサイズの増大を伴う。疫学的研究から、フェノバルビタールがヒトにおいては癌を引き起こさないことが分かっているが、ある規制当局では、他の製品の安全性を評価する際、遡及的疫学研究によってその安全性を実証するには時期尚早であるとしてげっ歯類発癌性データを無視しようとしない。その結果、ある薬物をヒトに実際に投与せずには該薬物に呼応する過形成を正確に試験することができないため、マウスにおいて過形成作用を示す薬物や他の化学物質を開発しようとしないのは当然である。この場合、薬物が安全であることが分かっていなければ、明らかに許容され得ない。] [0013] 他の例は、核内受容体であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)の作動薬として機能する脂質低下性フィブラート系薬物である。PPARαの持続活性化によって、ラットやマウスにおいて肝腫瘍が発生する(Cattley et al, 1998, 2004)。しかし、ヒトはペルオキシソーム増殖の誘導やフィブラート系薬物に呼応する肝臓癌の発生には耐性を示すように思われる。] [0014] 更なる例としては、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)のファミリーが挙げられるが、これに対しては過去、種々の薬物が脂質低下剤として開発された。これらの薬物はマウス及び、多くの場合ラットモデルにおいて非遺伝毒性(後成的とも称する)発癌物質であることが確認されたため、その開発は中止された。当初、このような差異は発現レベルの差に起因すると考えられた。しかし、理由は不明であるが、ヒト受容体は、リガンド結合の際にマウス受容体と同様には細胞増殖機構を活性化しないことが分かった。] [0015] 異種間の差異に伴う問題を克服するため、インビトロスクリーニングではヒト細胞を用いることが多い。しかし、インビトロ系では薬物代謝状況のごく一部しか組み込むことができず、全体的な視野が提示されない。従って、実際のインビボ作用は隠されることがある。例えば、インビトロでは有毒副産物が生成するために有害と思われる薬物が、インビボではその有毒副産物を代謝する二次酵素を活性化するため有害ではないように見えるというようなよくある状況を考えてみよう。殆どの化合物がある程度は特定の標的と相互作用することも真実であるが、薬物の安全性に関する重要な問題は、この相互作用が、組織が曝露されるであろう濃度において生理学的に関係するかどうかである。インビトロシナリオに特有の限界によって、この問題は適切に解決されない。] [0016] ヒトにおいては過形成応答が薬物曝露に呼応して生じないことを実証することができれば、非常に有用であろう。本発明者らは、非遺伝毒性発癌物質の安全性について忠実な試験を行うために有効な一方法は、非遺伝毒性発癌物質が主に相互作用する転写因子に関してヒト化したげっ歯動物を用いることであると結論づけた。同時に、導入されたヒトタンパク質の機能への非ヒト代謝経路からの干渉を確実に大幅に低下させるため、等価な内在性げっ歯類転写因子遺伝子の発現を無効化することも必須である。] [0017] 本発明者らは、一般に、非遺伝毒性発癌物質であって、げっ歯動物において肝腫瘍を引き起こす化合物がPXR、CAR及びPPARαリガンドであることに注目した。これらは、細胞増殖を刺激するか又はアポトーシスを阻害することによって、或いはその両方によって過形成を引き起こす。更に、滑面小胞体や酵素の誘導によってオルガネラ(例えば、滑面小胞体やペルオキシソーム)の増殖を刺激して肥大を引き起こす。バルビツール酸塩は主にP450酵素CYP2Bを誘導し、ステロイド類は主にCYP3Aを誘導し、ペルオキシソーム増殖因子は主にCYP4Aを誘導する。一部の化学物質は複数の受容体と実質的に相互作用して複数のシトクロムP450を誘導する。図1は、薬物化合物がどのように核内受容体と相互作用するか、そして、その後の薬物代謝、細胞周期調節及び増殖に関与する代謝経路について本発明者らが表したものである。] 図1 [0018] CAR、PXR又はPPARαに関して個々にヒト化したマウスは現在存在する。実際、Cheungらは2004年に、種々の生理学的作用(野生型及びPPARαノックアウトマウスにおける薬物に曝露した際の肝臓体重の増加等)をモニターし、この応答とヒト化マウスにおいて見られる応答とを比較した。ヒト化マウスにおいては肝臓体重の増加は抑制され、複製DNA合成の増大(即ち、過形成のマーカー)は見られなかった。] [0019] しかし、同じ遺伝子ファミリーのメンバー間での機能的冗長性のため、本発明の多重ヒト化モデルは個々の転写因子の欠失に比べて大きな利益をもたらす。] [0020] 本発明者らは、3種類の受容体全てを同時にヒト化した動物が現在の単一ヒト化モデルの適用に比べて大きな改善をもたらすのには多くの理由があると考える。 第1の例においては、非遺伝毒性発癌物質によって調節される過形成を主に仲介する転写因子が全てヒト化されているため、上述のリガンド特異性の差異に伴う問題が解決される。従って、ヒト化モデルの一利点は、リガンド特異性の問題を無くすることである。PPARα、CAR及びPXRの全ては、遺伝子発現をトランス活性化する外因性リガンドと相互作用し、これによって、本発明者らが非遺伝毒性発癌物質の代謝において潜在的に有害であると考えている経路を仲介する。] [0021] また、特定の薬物によって生じるタンパク質レベルの割合も非常に重要である。例えば、マウスPXRの作用によって、ヒトPXRの作用に比べて種々のタンパク質の発現が異なるレベルで刺激される。特定の薬物やその代謝物のレベルは、どのような薬物代謝酵素や輸送体が発現しているかに大きく依存するが、このことからも、本発明者らは、試験動物由来の内在性転写因子ではなく、ヒト転写因子を用いることが非常に重要であると考える。] [0022] 毒物学的観点からもヒト転写因子を用いることが重要である。例えば、PXRは胆汁酸や他の生理学的化合物によって自然に調節され、胆管壊死や胆汁うっ帯等の中毒症状は特定の薬物への曝露によって生じ得る。従って、ヒトと試験動物との薬物代謝の差異によって、ヒトの場合には明らかでなかった毒性作用が試験動物では顕著に見られることがあり得る。] [0023] 三重ヌルバックグラウンドに関するこのような三重ヒト化動物の主な一利点は、一化学剤が複数の受容体と相互作用し得るため、これらの転写因子間で化学物質に対する応答において冗長性が高いことである。従って、これらの受容体の1種のみに関してヒト化したマウスによってもたらされる応答の大きさは正確ではないであろう。] [0024] また、非遺伝毒性発癌物質の代謝に関与する異なる核内受容体間で複数のクロストーク経路が生じ得る。第1は、分子レベルでの受容体間のクロストークである。第2は、例えば、交差反応二次代謝物の生成や薬物の性質の変化による代謝インターフェイスでのクロストークである。第3は、核内受容体同士がクロストークし、互いの発現レベルや機能を調節し得ることである。特定のレベルの薬物が遺伝子を活性化し、その遺伝子が他の遺伝子をトランス活性化し得るため、複雑さのレベルが更に高まる。] [0025] 従って、ヒト化受容体の複合パネルを有することによってのみ、ヒトにおいて予測される真実の応答が得られるであろう。このようなクロストークは、原理的には多少の質的レベルで予測することが可能であるが、如何なるフィードバック機構の作用や程度の大きさも本質的に予測不可能であるため、生理学的に関連するレベルで必要な要素全てを組み込んでいない如何なる系の価値も低くする。] [0026] これらの受容体間のクロストークが最終結果を決める上で重要な鍵となり得る一例は、CAR、PXR及びPPARα転写因子が、その外因性リガンドによる活性化に加えて、脂肪酸ホメオスタシスの攪乱によって調節されるという事実である。従って、これらの受容体全てを同時にヒト化したマウスを有することは有利であろう。] [0027] また、3種類の遺伝子座全てにおいて動物を同時ヒト化することによって、個々のヒト化動物について複数の実験を行う必要が無くなるため、ある化学剤が過形成を誘導できるかどうか明確に立証するのに必要な動物の数が劇的に減少する。] [0028] 本発明者らは、プロモーターが酵素発現を誘導する能力が各種組織において異なることに注目した。これによって、宿主動物由来の内在性転写因子ではなく、ヒト転写因子を用いるべきであるという主張の重要性が大きく増す。従って、転写因子の調節配列やそれによって調節される遺伝子は、できるだけ天然の生理学的状態に酷似する必要がある。] [0029] 本発明に係る動物は、如何なる非ヒト種であってもよく、例えば、ラットやハムスター、モルモット等の他のげっ歯動物や、サルやブタ、ウサギ、イヌ、ネコ等の他種、或いはヒツジやヤギ、ウマ、ウシ等の有蹄動物であってもよく、非哺乳動物種であってもよい。より好ましくは、トランスジェニック非ヒト動物(哺乳動物)及び組織又は細胞はげっ歯動物(より好ましくはマウス)に由来する。] [0030] トランスジェニック動物の使用には倫理的な問題があるが、本明細書に記載した種類の研究から得られるヒトにとっての利益は、トランスジェニック動物の作出や試験に課せられるであろう如何なる苦労をも大きく上回ると考えられる。当業者には明らかなように、薬物療法の場合、ヒトにおいて治験を始める前に、現在の規制の下、現在入手可能なモデル系を用いて動物実験を行う必要があり、動物実験なしで済ますことはできない。いずれの新薬も少なくとも2種類の生きた哺乳動物に対して試験を行う必要があり、その内の1種類は大型の非げっ歯動物でなければならない。体内で非常に特異的に作用する現在開発中の新しいクラスの薬物の場合、今後においてより多くの動物を用い、また、より多くの霊長類を用いることになるであろうと専門家は考えている。例えば、「高齢者(greying population)」を悩ます神経疾患に科学が取り組もうとするに従って、次世代薬物の安全性や有効性を試験するためのサルを安定供給する必要があると考えられる。即ち、本明細書に記載のようなトランスジェニックモデルから得られるヒトにとっての利益は、一般には決してマウスやげっ歯動物に限られるものではなく、霊長類を含む他の哺乳動物をも網羅する。このような新規な薬物が特異的に作用するということは、脳構造が我々と非常に類似している点から霊長類のみが実験に適した動物となり得ることを意味する。] [0031] 本発明は、創薬における消耗(attrition)の程度を減少させることを目的としている。薬物が試験後期で失敗に終わる場合には、動物実験全てがある意味で無駄になる。よって、薬物の失敗を阻止することは実験動物の命を救うことになる。従って、本発明はトランスジェニック動物に関するものであるが、このような動物を用いれば、薬物試験プログラムで用いるのに必要な動物の数を減少させることになるであろう。] [0032] 転写因子の発現を支配する調節配列はヒトに由来するのが好ましいが、標的動物種(例えば、マウス)に由来してもよい。導入されたヒトタンパク質の発現の調節は、ヒトにおける発現パターンが再現されるように維持する必要がある。] [0033] 本発明の更なる利点は(特にヒト遺伝子が内在性遺伝子座に導入される場合)、遺伝子発現の予測パターンが維持されることである。従来、この分野の多くの研究者は、例えば、BAC遺伝子組換えを用いて標的遺伝子を宿主ゲノムにランダムに組み込んできた。この戦略の場合、置換遺伝子の上流又は下流に離れて位置するため、その遺伝子発現パターンに影響を及ぼし得るエンハンサー要素を同時に導入しないという制限がある。また、導入遺伝子の発現に対する位置効果が見られることも多い。従って、導入された因子の発現が真ではなくなり、この動物を用いたいずれの実験においても誤った結果がもたらされる。] [0034] 本発明は、下流エンハンサーの作用が現れたままである内在性遺伝子座内に転写因子をノックするという利点も示す。] [0035] 動物の「内在性等価遺伝子」とは、作動しないようにする機能を機能的に置換することが可能な遺伝子又は遺伝子クラスター(即ち、一又は複数の遺伝子であって、その発現産物がヒトカウンターパート遺伝子と同様、類似或いは同一の機能を保持する遺伝子)を包含することを意図する。] [0036] 例えば、PXR(NR1I2核内受容体サブファミリー1、グループI、メンバー2)として知られているヒト転写因子遺伝子(Entrez GeneID:8856)は、名称が同じでそのEntrez GeneIDが18171であるマウスカウンターパートを有する。これらの遺伝子によってコードされるタンパク質は、その由来源の生物内において等価な機能を有する。従って、他の生物内で認められたオルソロガスなカウンターパートが例として挙げられる。ラットオルソログはEntrez GeneID 84385を有する。] [0037] 本明細書でCARと記載されているヒト転写因子はNR1I3(核内受容体サブファミリー1、グループI、メンバー3)としても知られており、Entrez GeneID 9970を有する。ラット遺伝子はNr1i3として知られており、Entrez GeneID 65035を有する。マウス遺伝子もNr1i3として知られており、Entrez GeneID 12355を有する。] [0038] 本明細書でPPARαと記載されているヒト転写因子はEntrez GeneID 5465を有する。マウスオルソログはEntrez GeneID 19013を有する。ラットオルソログはEntrez GeneID 25747を有する。] [0039] 本発明のモデルは、核内受容体AhRに関してヒト化されているのも好ましい。同様に、その内在性等価遺伝子を機能しないようにする必要がある。従って、本発明のこの様相の一実施形態によると、少なくとも核内転写因子CAR、PXR及びAhRに関してヒト化され、その内在性等価遺伝子が機能しないようにされているトランスジェニックげっ歯動物が提供される。このような動物は、非遺伝毒性発癌物質をスクリーニングする上で大きな可能性があると考える。本発明のこの実施形態における動物の作出に関するエビデンスを本明細書に記載する。このような動物はPPARαに関してもトランスジェニックであり得る。] [0040] AhRは、上述の他の3種類の核内転写因子とは構造が異なるタンパク質を含むPASドメインであり、核内受容体との配列相同性は限られているか又は全く無い。リガンド応答性について大きな種差があり、マウス内においても多型が存在し、表現型の違いと成っている。AhRタンパク質は、前駆型変異原を変異原に変換する活性化電位を有する酵素の活性化を誘導する。例えば、ヒトの場合、そのAhR転写因子によってダイオキシンに対する感受性がかなり低い。厳重な規則として、製薬会社は、毒性を探し求める際に明らかな如何なる見掛けの毒性をも回避するため、AhRと相互作用するいずれの化合物をも十分に排除する。] [0041] AhRも上述の他の核内受容体と同様にクロストークに関与する。例えば、受容体AhRとNRF2との相互作用は明らかである。理想的には、適切な条件下でこの両方の要素を系に組み込む必要がある。] [0042] 本明細書でAhRと記載されているヒト転写因子はEntrez GeneID 196を有する。マウスオルソログはEntrez GeneID 11622を有する。ラットオルソログはEntrez GeneID 25690を有する。] [0043] 本発明の動物においてヒト化し、内在性遺伝子をノックアウトし得る転写因子の他の例としてはHNF1及びHNF4が挙げられる。] [0044] 一般に、核内転写因子のヒト及びマウスオルソログの例は当業者に知られている。] [0045] 一般に、導入された転写因子遺伝子は、それと等価の内在性遺伝子とある程度の相同性を有する。好ましくは、その相同度(the degree of homology)は30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超又は95%超である。] [0046] 本発明では、可能な場合には置換遺伝子の全体を提供することによってインビボでの状態を反映することを試みる。これは、スプライシング現象が自然の状態と全く同様に起こり得るように、イントロン−エクソン接合を自然系同様に保持することを意味する。遺伝子の長さによって、その遺伝子全体をトランスジェニック系に組み込むことが容易でない場合には、本発明は、スプライシングイベントの大部分が生じる重要なイントロン−エクソン境界が保持されるようにcDNAとゲノムDNAとの組合せをその構築物として用いようとするものである。] [0047] 従って、本発明によると、ある特定のイントロン内でのスプライシング変異によってスプライスバリアントの大部分が生じることが分かれば、このイントロンを構築物内にゲノムDNAとして組み込むことが好ましい一方で、影響力の小さいイントロン配列は保持しない。この結果、機能性mRNA及び機能性タンパク質のレベルが、特定の薬物又は薬物カクテルへの曝露に呼応してインビボで見出されるレベルを反映する。これが、生理学的関連モデルにとって理想的に必要なものである。] [0048] 従って、cDNA配列を用いてもよいが、この配列よりも好ましいものとして、本発明ではヒト化される遺伝子由来のcDNAとゲノム配列との組合せを用いることができる。例えば、ヒトPXR遺伝子を発現するトランスジェニック動物の場合、ヒトPXR遺伝子のサイズが35kb超と大きいため、エクソン4とエクソン6との間のイントロン−エクソン構造を保持するのが好ましい(WO2006/064197参照)が、それは、このゲノム領域がリガンド結合ドメイン内に位置するために、このゲノム領域で多くのスプライスバリアントが見られるからである。これによって、多くのスプライスバリアントが見られ、都合よくリガンド結合ドメイン内に位置する配列が有利に保持される。同様に、PPARαの場合、コードDNA配列はヒトPPARα遺伝子のイントロン5とイントロン6の少なくとも一部を含む(図4参照)。PPARαに関してヒト化したホモ接合体マウスを作出したが、それを本明細書に記載する。野生型の予測コード配列に加え、2種類のスプライスバリアント(SV1及びSV2)が得られることが分かる。バリアントSV1は公表されているが、これはヒト特異的な選択的スプライスバリアントである(Gervois et al, 1999)。バリアントSV2は、エクソン5の3’末端において4bp(GTAG)のアウト・オブ・フレームインサートが付加され、中途終止コドンとなった新しい型の転写物である。ヒト化マウスにおける切断型PPARαタンパク質の潜在的機能は不明である。] 図4 [0049] 全ゲノムDNA配列を用いるのが好ましい。例えば、ヒトCAR遺伝子を発現するトランスジェニック動物の場合、ヒトCARのサイズは比較的小さい(エクソン2〜9由来の約7kb)ため、ターゲティングベクター内で全ゲノム構造を保持することが容易となる。構築物は、エクソン2とエクソン9との間のイントロン−エクソン構造を保持するのが好ましい(WO2006/064197参照)。これによって、ターゲティングベクター内で全ゲノム構造が有利に保持され、ヒトCARの全てのスプライスバリアントをカバーすることができる。ゲノムヒトCAR配列はマウスCAR遺伝子の翻訳開始部位に融合するのが好ましい。その際、ヒトCAR配列はエクソン1〜9の全てのゲノム配列を含む。5’及び3’UTRはヒトであってもよく、マウスゲノムから保持されていてもよい。マウスCAR遺伝子のコード配列の他の全ての部分を欠失させることができる。] [0050] 本発明者らは、非遺伝毒性発癌物質をスクリーニングする際には、関連機能を有するタンパク質をコードする内在性遺伝子を試験動物においてできるだけ多く機能しないようにすることが非常に重要であると考える。この一理由としては、薬物代謝遺伝子(例えば、本発明が関係する種類の転写因子)間での冗長性の度合いが高いことが挙げられる。] [0051] 「機能しないようにする」とは、遺伝子又は遺伝子機能を無効化又は欠失させることを意味する。従って、この用語は、宿主動物の内在性等価遺伝子が(少なくとも薬物代謝プロセスに必要な如何なるレベルにおいても)遺伝子産物を発現できないように行う発現抑制、欠失又は非活性化を包含することを意図する。例えば、無効化した遺伝子の発現レベルは、野生型発現レベルの20%未満になり得るが、10%未満が好ましく、5%未満がより好ましく、2%未満がより好ましく、1%以下が更により好ましい。機能しないようにした遺伝子の発現は、検出不可能なポイントまで抑制されているのが好ましい。] [0052] 本発明の動物の全組織において内在性転写因子の機能性が欠失しているのが好ましい。肝臓が薬物代謝に関して真に重要な唯一の組織であるという間違った考えが広く受け入れられている。真実はこれとは程遠く、実際、転写因子の機能は、肝臓以外の種々の組織(特に、消化管や血液脳関門等が挙げられる)で発現される。従って、全組織での機能の完全抑止は、内在性遺伝子ノックアウトの作用を明らかにするために必要である。] [0053] 従って、本発明のモデルは、特定の転写因子系が(例えば、肝臓における条件的ノックアウトによって)不活性化された他の多くのモデルよりも利益をもたらす。これに対し、本発明のモデルにおいては、転写因子の欠失が全組織で生じるのが好ましい。] [0054] 本発明の動物モデルの有用性に関する非常に良い一理由は、従来用いられているマウスの場合、一般にP450代謝速度が遅いため、多くの薬物をヒトよりも遥かに速く(ほぼ10倍速く)代謝することである。従って、等価な薬物の半減期がヒトにおいて数時間である場合には、このような酵素を活性化するマウスでは半減期は恐らく30分間となるであろう。当然のことながら、マウスでは正常な処分経路がマスクされるという作用が得られるが、これは、該経路が実施される機会が無いためである。従って、非遺伝毒性薬物の代謝を支配する優性転写因子を欠失させることによって、このような薬物処分経路を論点から排除する効果が得られる。このようなノックアウトマウスを等価なヒト転写因子に関してヒト化することによって、ヒト薬物代謝経路を内在性マウス酵素からの干渉無しに評価することができる。] [0055] 標的動物において内在性等価遺伝子を機能しないようにするための方法の例はWO2006/064197に記載されている。即ち、当業者には明らかなように、内在性宿主遺伝子は、多くの種々の手段によって機能しないようにすることができる。例えば、これは、遺伝子のコード配列を宿主動物ゲノムから完全に欠失させることによって行うことができる。或いは、コード配列を他の配列の挿入、欠失又は置換によって変異させて欠失させることができる。例えば、一以上の変異(フレームシフト変異等)は、得られるRNA転写産物が非機能性タンパク質又は切断型タンパク質をコードするように生じさせることができる。或いは、染色体配列に挿入を行ってアミノ酸コードを分断することができる。] [0056] 同様に、欠失対象の転写因子配列をある配列(例えば、成功した欠失体をスクリーニングするための基準として用いることができる選択配列やマーカー配列)と交換することができる。このような一戦略はWallaceら(Cell 128, 197-209 2007)によって考案されており、遺伝子交換のコンテクスト内ではあるが、本発明の方法に適用可能である。この方法では、ベクターを用いた置換配列が内在性ゲノムマウス配列に取って代わるのに2種の分子間相同組換えイベントが必要となるような、マウス染色体とBAC又はYACベクターとの間での配列の交換が想定されている。] [0057] 好ましい一システムにおいては、相同組換えのメカニズムを用いて遺伝子をその遺伝子が存在しない他の配列と交換する。このような方法は、次の段階、即ち、a)置換対象の標的遺伝子が各々の端で組換え部位と隣接するように相同組換えによって宿主動物染色体に一対の部位特異的組換え部位を組込むことと、b)部位特異的組換え部位間で組換えを行い、標的遺伝子が染色体から除去され、残存部位特異的組換え部位で置換されるようにすることとを含むのが好ましい。] [0058] 相同組換えを行うための方法は当該技術分野では公知であり、外部から供給されたDNA分子と標的染色体との間で相同領域を用いてRT部位を導入する。この方法においては、置換配列内の5’及び3’相同アームによって置換配列と標的との間の組換えが促進され、遺伝子が欠失されるようになる。この戦略を用いた方法は、本出願人による2007年9月14日出願の同時係属特許出願第GB0718029.2号「発明の名称:二段階のクラスター欠失及びヒト化」及びPCT/GB2008/003084(発明の名称は同じ)に報告されている。この戦略は本発明の方法に完全に適用可能である。] [0059] この構成においては、置換配列の各々は、5’相同アームと3’相同アームとの間に選択マーカー及び少なくとも1種のリコンビナーゼ標的(RT)部位(例えば、loxPやlox5171、FRT、F3)があるように設計する。このように、両方の置換核酸をうまく組込んで、欠失対象遺伝子に隣接するように選択することが可能である。置換ヒト転写因子遺伝子配列がRT部位の外側にあるようにフランキング配列の1種を設計することできる。RT部位を認識する適切な部位特異的リコンビナーゼ(SSR)に細胞を曝露することによって遺伝子を除去するのは技術的に容易である。これによって、宿主動物転写因子遺伝子が完全に欠失すると同時に、該遺伝子がヒト等価物で置換される。上述の組換え段階は、当該技術分野でよく知られている方法に従って胚性幹細胞内で行うのが好ましい。] [0060] トランスジェニック株を作出するための好ましい戦略においては先ず、変化した胚性幹細胞の作出を行う。その後、変化した胚性幹細胞を胚盤胞に挿入することができる。従来、胚盤胞は雌性マウスから交配の約3日後に単離している。最大20個の変化した胚性幹細胞(好ましくは、約16個)をそのような胚盤胞に同時に挿入することができる。変化した胚性幹細胞を胚盤胞に挿入することにより、好ましくは、妊娠動物の特性を反映するように誘導された偽妊娠動物(例えば、マウス)に移植することによって、胚性幹細胞は発育初期胚に組込まれるようになる。この方法によると、変化した胚性幹細胞を含む胚盤胞は偽妊娠動物の子宮壁内に移植され、妊娠期間が終了するまで該動物内で発育し続ける。変化した胚性幹細胞は増殖し、分裂して発育トランスジェニック動物の全組織(生殖系列を含む)に定着するようになる。] [0061] 本発明の方法の一様相においては、作出したトランスジェニック動物は、各体細胞組織及び生殖系列内に変化した細胞と未変化の細胞を含むキメラとなり得る。] [0062] 大きいDNA断片(200kb〜数メガベース)の欠失に適したCre/lox介在欠失を仲介するための方法は以下の論文に記載されている(Li ZW, Stark G, Gotz J, Rulicke T, Gschwind M, Huber G, Muller U, Weissmann C. Generation of mice with a 200-kb amyloid precursor protein gene deletion by Cre recombinase-mediated site-specific recombination in embryonic stem cells Proc Natl Acad Sci U S A. 1996 Jun 11;93(12):6158-62. Erratum in: Proc Natl Acad Sci U S A 1996 Oct 15;93(21):12052; in Su H, Wang X, Bradley A. Nested chromosomal deletions induced with retroviral vectors in mice. Nat Genet. 2000 Jan;24(l):92-5); Call LM, Moore CS, Stetten G, Gearhart JD. A cre-lox recombination system for the targeted integration of circular yeast artificial chromosomes into embryonic stem cells. Hum Mol Genet. 2000 Jul 22;9(12):1745-51)。] [0063] 最終的には、上述の方法によって作出した2種のヘテロ接合体動物を交雑させて、着目遺伝子のヒト対立遺伝子に対してホモ接合性のトランスジェニック動物を作出することができる。2種のヘテロ接合体トランスジェニック動物の交雑によって、欠失に対してホモ接合性の後代の一部が産生するであろう。] [0064] 本発明の更なる実施形態においては、次に開示の方法によって、トランスジェニック非ヒト動物を上述の特徴を全て有するように新しく作出する。] [0065] 本発明の他の実施形態においては、本発明のマウスを交雑によって作出する。例えば、特定のクラスターの遺伝子の一部が欠失した部分欠失体を他の部分欠失体と交雑させて、特定のクラスター内の遺伝子機能が全て欠失した動物を作出することができるであろう。] [0066] ヒトCARに関するトランスジェニックマウスを作出したが、それについてはWO2006/064197及びWO2008/149080の実施例に記載されている。CARヒト化マウス及びノックアウトマウスにおける薬物代謝経路の誘導についての詳細な検討を行った。種々の実験的アプローチによって、CARに関してヒト化した(或いは、如何なるCARも発現しない(ノックアウト))非ヒトトランスジェニック動物が、本明細書に記載の方法及び戦略を用いて容易に得られることが確認された。] [0067] また、ヒトPXRに関するトランスジェニックマウスも作出したが、それについてもWO2006/064197及びWO2008/149080の実施例に記載されている。ヒトPXRは、予想されたように、内在性マウス遺伝子と等価なレベルでマウスの肝臓及びGI管の両方で発現することが分かる。こうして、この種の従来技術が直面する典型的な問題(過剰発現や低発現等)が回避される。このようなモデルにおいては、この経路による遺伝子発現を誘導することが知られている化合物(リファンピシンやデキサメタゾン等)にマウスが応答するため、PXRタンパク質が機能的であることも示されている。野生型とヒト化マウスとの系統差が示された。例えば、ヒト化マウスは、hPXRに対する活性が高いことが知られている化合物(リファンピシン等)に対して高い応答性を示す。このように、ヒト化PXR動物においては、野生型に比べてリファンピシンに対する感受性が変化したことが分かる。] [0068] また、野生型マウスとヒト化PXRマウスとの間には、テストステロンの16−β−ヒドロキシル化及び7−ベンジルオキシキノリンの脱ベンジル化から得られたバックグラウンドP450酵素活性について、一方が他方より明らかに高い活性が見られた。] [0069] 本発明に係るトランスジェニック動物(マウス等)及び細胞は、上述の及び本明細書の実施例に記載の機能特性を示すのが好ましい。例えば、このような細胞及び動物は、リファンピシンに応じたCyp2b10活性の誘導を示さないのが好ましい。しかし、このような細胞及び動物は、リファンピシンだけでなくTCPOBOPにも応じてCyp3a11に対する誘導作用を示す。] [0070] また、ヒトPXR及びヒトCARの両方に関するトランスジェニックマウスも作出したが、それについては本明細書の実施例にて説明する。これらの転写因子の組合せの活性について予備研究を行ったが、この活性はバルビツール酸塩誘導睡眠時間を測定することによって求めた。長年、睡眠時間は肝シトクロムP450活性に正比例することが知られており、この活性は、CAR及びPXRの機能によって決まる肝臓内のP450レベルに少なくとも一部起因し得る。麻酔量のペントバルビトンを投与した野生型マウスの睡眠時間は21分間であったが、CAR及びPXRに関して二重ヒト化したマウスの睡眠時間は34分間であった。従って、二重ヒト化マウスは野生型対照に対して有意差を示したが、この結果から、二重ヒト化マウスは野生型動物に比べて薬物に対する応答が顕著に異なることが分かる。] [0071] PXR及びCARの二重ヒト化マウス及び二重ノックアウトマウスにおける薬物代謝経路の誘導についての詳細な検討を行った。種々の実験的アプローチによって、PXR及びCARの両方に関してヒト化した(或いは、如何なるPXRもCARも発現しない(二重ノックアウト))非ヒトトランスジェニック動物が、本明細書に記載の方法及び戦略を用いて容易に得られることが確認された。] [0072] 本明細書に記載の結果を考慮すれば、PPARαに関してもトランスジェニックな動物の作出を妨げる技術的な障壁は無い。関連する構築物は既に作出され、本明細書に記載されている。PPARα及びAh受容体のノックイン(ヒト化)及びノックアウトに適したターゲティング戦略については本明細書により詳細に記載する(図4及び5参照)。本明細書を書いている時点で、CAR及びPPARαに関してホモ接合性であると共にPXRに関してヘテロ接合性のマウスが作出されたが、間もなく三重ホモ接合性マウスも得られ得るであろう。また、ヒト化PXR、CAR及びAhRに関してホモ接合性のマウスは既に得られており、それについては本明細書の実施例にて説明する。] 図4 [0073] 最終的には、本発明の動物モデルをバックグラウンドとして用い、げっ歯類酵素の機能に取って代わり得るヒト遺伝子を同一の染色体領域に直接組込む(即ち、内在性遺伝子の置換)か、又は他の部位に組込むことによって該遺伝子の導入を行うことができる。ヒト遺伝子を同一の染色体領域に組込むのが好ましいが、これは、染色体の完全性が保持されるため、発現や組織分布の生理学的パターンが同様に保持される可能性が高いからである。] [0074] 従って、上述の細胞や動物の調製に関する本発明の実施形態においては、該細胞や動物を更なる遺伝子組換えに付すことができるが、該遺伝子組換えは更なる遺伝子又はタンパク質コード核酸配列の導入である。該遺伝子組換えは、細胞又は細胞株の一過性又は安定トランスフェクション、細胞又は細胞株におけるエピソーム発現系、又は、前核マイクロインジェクションや非胚性幹(ES)細胞における組換えイベント、非ヒト胚性幹(ES)細胞におけるランダムな遺伝子組換え、又は核移植クローニング手続きにおいてドナー核として用いる核を有する細胞のトランスフェクションによるトランスジェニック非ヒト動物の調製であり得る。] [0075] 特に、本発明に係る動物は、一以上のヒト遺伝子(例えば、薬物輸送体や転写因子、第I相薬物代謝酵素、第II相薬物代謝酵素等)に関してヒト化され得ることが予想される。] [0076] 例えば、このような動物は、第1相薬物代謝酵素(即ち、P450酵素)に関してヒト化することができる。P450酵素の好ましい例としては、CYP3A4、CYP3A5、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP1A1、CYP1A2、CYP2C8及びCYP2B6の1種、2種、3種又はそれ以上が挙げられる。動物は遺伝子クラスター全体(例えば、CYP3Aクラスター、CYP2Dクラスター及び/又はCYP2Cクラスター)に関してヒト化することができる。] [0077] また、本発明に係る動物を第2相薬物代謝酵素に関してヒト化することもできる。このような酵素の例としては、グルクロニルトランスフェラーゼ(例えば、UGT1A遺伝子又は遺伝子クラスター)やグルタチオントランスフェラーゼ(例えば、GST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)(GST−m1及び/又はt1クラスターを含む))、スルホニルトランスフェラーゼ、アセチルトランスフェラーゼが挙げられる。] [0078] また、WO2006/064197に記載のように、内在性等価マウス遺伝子が無効化されたものも好ましい。薬物代謝酵素遺伝子の場合、遺伝子間の等価性(equivalence)は、基質特異性、調節様式(例えば、転写因子や外因性薬物による)、配列相同性及び組織分布の組合せによって評価することができる。正確に等価な遺伝子もあり、そのような遺伝子の例としては、CYP2E1やCYP1A1、CYP1A2が挙げられる。CYP2B6及びCYP2Dは、ヒトには1種類の遺伝子しか存在しないが、マウスには多数の等価な遺伝子が存在する例である。ヒトには4種類のCYP2C遺伝子が存在し、マウスには多数の等価な遺伝子が存在する。このような状況で、好ましくは、等価なマウス遺伝子の少なくとも1種、より好ましくは2種、3種、4種、5種以上、或いはその全てを無効化する。CYP3A4はマウスにおいて明らかなオルソログが存在しない例であるが、Cyp3a11は、その肝発現、調節様式及び配列相同性から、少なくとも1種の等価なマウス遺伝子と考えることができる。] [0079] また、本発明に係る動物を薬物輸送タンパク質に関してヒト化することもできるが、その例としては、多剤耐性タンパク質(例えば、mdr1やmdr3)や多剤耐性関連タンパク質(MRP)(例えば、MRP1及び/又はMRP2及び/又はMRP6)、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)由来のものが挙げられる。また、内在性等価マウス遺伝子が無効化されたものも好ましい。] [0080] 本発明の他の様相は、本発明の上述のいずれか一様相における特性を有するように改変された細胞に関する。本発明に係る好ましい細胞型は肝細胞及び神経細胞である。該細胞は、げっ歯類細胞(特にマウス細胞)であり得る。] [0081] 本発明のこの様相における細胞は、本発明の知見を十分体得した当業者には明らかなように、本発明に係るトランスジェニックマウスから標準的な技法を用いて作出することができる。好適な方法は多くの標準的な実験マニュアル、例えば、Davis et al., Basic Methodsin Molecular Biology (1986); Sambrook Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Third Edition (2000); Ausubel et al., 1991 [supra]; Spector, Goldman & Leinwald, 1998)に記載されている。] [0082] このような細胞を作出する好ましい一方法は、上述のようにヒト化マウスをSV40不死化マウス(例えば、不死マウス(タコニック))と交雑させることである。次に、当該技術分野でよく知られた技法によってこのような動物から細胞を単離することができる。肝臓でのみ活性であるため肝細胞しか産生することができないアルブミンプロモーターを用いる先行技術のトランスジェニック系とは対照的に、本発明において作出されるトランスジェニック動物由来の細胞は、薬物動態解析にかなり重要な細胞(例えば、肝細胞や神経細胞)等の種々の細胞型から選択することができる。] [0083] 上述の特性を有する、本発明に係るトランスジェニック動物から単離された幹細胞も本発明の有用な様相である。このような細胞は多能性であってもよく、部分的に分化していてもよい。幹細胞は成体幹細胞であってもよく、胚性幹細胞であってもよい。より一般には、用いる幹細胞は後胚発達段階(例えば、胎生期や新生期、幼若期、成体期)で得られることができる。このように単離された幹細胞を用いて特定の細胞型(例えば、肝細胞や神経細胞)を作出することができる。このような細胞も本発明の一様相を構成する。] [0084] 本発明の方法によって作出した細胞又は動物をモデル系として用いて、他の生体(特にヒト)における薬物や他の生体異物化合物の代謝を確認することができる。] [0085] 本発明の更なる様相においては、本発明に係るアッセイは、ヒトにおける安全性に関して非遺伝毒性発癌物質をスクリーニングするための方法であって、非ヒト動物を非遺伝毒性発癌物質に曝露することと、生理学的作用をモニターすることとを含む方法において、該動物はPXR、CAR及びPPARαから成る群、又はPXR、CAR、AhR及びPPARαから成る群から選択される少なくとも2種の核内転写因子に関してヒト化され、その内在性等価遺伝子は機能しないようにされている方法を用いる。上で詳述した本発明の条件に従い、該動物は、PXR及びCAR、PXR及びPPARα、CAR及びPPARα、PXR及びAHR、PPARα及びAHR、CAR及びAHR、又はこれらの核内受容体の3種又は4種全て(例えば、PXR、CAR及びPPARα、又はPXR、CAR及びAhR)に関してヒト化することができる。] [0086] 本発明に係るアッセイは、上述の動物よりも幅広い種類の動物に対して実施することができる。本発明者らの知る限り、この開示の前には、ヒトにおける安全使用について非遺伝毒性発癌物質をスクリーニングするために核内転写因子に関して二重ヒト化したマウスを用いる概念は提案されていない。このような二重ヒト化モデルは、単一遺伝子(PXR又はCARの一方)のみを組み込んでいるモデルに比べて有利であるが、それは、多くの薬物代謝酵素や薬物輸送体が、CAR及びPXRの両方の結合に応答する要素を有するからである。また、PXR応答性要素の数はCAR応答性要素の数と異なることが多いため、両方の転写因子による調節が一般に重要である。従って、両方の因子の作用を考慮したモデルは好ましく、インビボでの生理学的状態をより詳細に反映する。ヒトPXR及びヒトCARの両方に関するトランスジェニックマウスを作出したが、それについては本明細書の実施例にて説明する。種々の実験的アプローチによって、PXR及びCARの両方に関してヒト化した(或いは、如何なるPXRもCARも発現しない(二重ノックアウト))非ヒトトランスジェニック動物が、本明細書に記載の方法及び戦略を用いて容易に得られることが確認された。マウスモデルはヒト化遺伝子についてホモ接合性であるのが好ましい。] [0087] 本発明の動物、組織及び細胞を用いて、薬物化合物がどのように代謝されるか確認することができる。上述の本発明の様相に係る動物株の作出によって、ヒトにおける薬物応答や化学応答を決める因子、更にはこのような遺伝子と化学毒性の関連性についての我々の理解が顕著に増すであろう。このようなモデルは、有効性スクリーニングやPK/PDモデリング、薬物の安全性試験に適用することができる。] [0088] 動物における表現型の変化(例えば、生理学的作用)を測定することができる。このような生理学的作用としては、例えば、病態(胆管壊死等)や中毒性副作用を挙げることができる。好ましい表現型の変化としては、過形成、肝腫、P450誘導及び/又は肝細胞増殖が挙げられる。] [0089] 薬物化合物の代謝速度を調べることができる。この代謝速度は、該化合物の投与によって仲介される毒性や活性を測定するか、該化合物の半減期を測定するか、又は転写因子や薬物代謝酵素のレベルを測定することによって求めることができる。例えば、該化合物の代謝速度は、酸化生成物の生成速度や酸化中間体から次に産生される生成物の生成速度として測定することができる。或いは、この代謝速度は、最初の化合物の半減期や消失速度として、又は最初の化合物や最初の化合物から産生される代謝物の毒性や活性の変化として表わすことができる。半減期は、種々の時点で採取したサンプルに存在する薬物化合物の量を求めることによって測定することができる。薬物化合物の量は、標準的な方法(例えば、高速液体クロマトグラフィーや質量分析、化合物特異的抗体を用いたウェスタンブロット解析、他の適切な方法)によって測定することができる。] [0090] また、薬物化合物が特定の状況下で毒性代謝物や発癌性代謝物に代謝されるかどうかを、例えば、該化合物の組織やタンパク質、DNAへの共有結合を測定するか、又はグルタチオンの欠乏を測定することによって調べることもできる。] [0091] 上述の種類の測定は、薬物化合物投与後、1を越える時点、3時点、5時点又は10以上の時点で行うのが好ましい。] [0092] 従って、本発明の更なる様相は、転写因子や薬物代謝酵素、薬物輸送タンパク質の活性や発現レベルに対する薬物化合物の作用を確認するために提供されるスクリーニング方法に関する。このような方法は、本発明の上述のいずれか一様相におけるトランスジェニック動物、又は該動物由来の組織又は細胞に薬物化合物を投与することを含む。] [0093] スクリーニング段階は、転写因子や薬物代謝酵素、薬物輸送タンパク質をコードする遺伝子の誘導を測定することを含み得る。また、スクリーニング段階は、転写因子や薬物代謝酵素、薬物輸送タンパク質の発現のレベル、又はこのような発現の持続期間を測定することを含み得る。また、スクリーニング段階は、転写因子や薬物代謝酵素、薬物輸送タンパク質の発現の分布を測定することを含み得る。] [0094] 薬物化合物の存在下及び非存在下でアッセイを行って、分布や代謝、毒性の差を確認することができる。種々のトランスジェニック動物や細胞、組織に対する薬物化合物の作用を評価することによって、特定の遺伝子の存在下及び非存在下における薬物化合物の作用を確認することができる。] [0095] 従って、更なる様相において、本発明は、本明細書に記載の生体異物の代謝又は毒性を調べるための方法であって、本明細書に記載の非ヒト動物、組織又は細胞の2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上又は10種以上に対して薬物化合物を投与することを含む方法を提供する。このような方法は、種々の非ヒト動物、組織又は細胞に関して得られた実験結果を比較する段階を更に含むのが好ましい。] [0096] 一を超える薬物化合物を投与することができる。例えば、ある薬物化合物がCAR遺伝子の誘導を仲介する場合、該化合物はCAR転写因子を活性化すると考えられる。また、対照としてのヒトCAR受容体を発現する動物にCAR受容体インバースアゴニスト(例えば、クロトリマゾール)を投与することもできる。] [0097] 本発明の更なる様相におけるアッセイによって、第1の薬物化合物の代謝が第2の薬物化合物で調節されるかどうか確認するためのスクリーニング方法を提供することができる。この方法は、第2の化合物の存在下及び非存在下で第1の化合物を本発明の上述のいずれか一様相におけるトランスジェニック動物、又は該動物由来の組織又は細胞に投与することと、表現型効果をモニターすることとを含む。或いは、上述のように、スクリーニング段階は、遺伝子の誘導、転写因子や薬物代謝酵素、薬物輸送タンパク質の発現のレベルや持続期間、分布を測定することを含み得る。第2の化合物がこれらの試験因子のいずれか一因子の変化をもたらす場合、第2の化合物は第1の化合物の代謝を調節することが確認される。例えば、第1の化合物の投与によって仲介される毒性や活性を測定するか、又は第1の薬物化合物の半減期を測定することによって生理学的作用をアッセイすることができる。] [0098] このように、特定のタンパク質の発現を活性化又は誘導する能力が低いか又は検出できないために、副作用が少ないか又はインビボでの半減期が長いことが期待される薬物化合物の類似体を、アッセイを用いて容易に同定することができる。] [0099] 以下、本発明の種々の様相や実施形態を実施例によって更に詳細に説明する。本発明の範囲を逸脱することなく詳細な変更を実施し得ることは理解されよう。] 図面の簡単な説明 [0100] 図1は、細胞内の代謝経路における核内受容体の役割を示す。 図2は、非遺伝毒性発癌物質の代謝におけるPXR/CARの役割を示す。 図3は、huPXR/huCAR二重ヒト化マウス、野生型マウス、huPXRマウス及びhuCARマウスにおけるPXR及びCARmRNAのレベルを示す。二重ヒト化マウスではヒトPXR及びCARmRNAの発現が維持される。 図4は、二重ヒト化huPXR/huCARマウス、野生型マウス、huPXRマウス及びhuCARマウスにおけるリファンピシン及びフェノバルビタール処理の作用を示すと共に、huPXR/huCARマウス、野生型マウス、huPXRマウス及びhuCARマウスにおけるCyp2b10及びCyp3a11タンパク質の基礎レベルを示す。 図5は、マウスにおけるPPARαヒト化及びノックアウト(遺伝子型huPPARα及びkoPPARαのマウスの作出)のための可能なターゲティング戦略を示す。 図6は、マウスにおけるAhRヒト化及びノックアウト(遺伝子型huAhR及びkoAhRのマウスの作出)のための可能なターゲティング戦略を示す。 図7は、ヒト化マウス、ノックアウトマウス及び野生型マウスをPB処理に曝露する実験の結果を示す。モニターする生理学的作用としては、肝腫、P450誘導及び肝細胞増殖が挙げられる。 図8は、WTマウス、huPXR/huCARマウス及びPXRKO/CARKOマウスにおける肝臓/身体重量比を示す。値は平均±SD(%平均自身対照(mean own control)±%SD)(n=3)で表す。結果についてStudentt検定(両側)を行った(*及び**はそれぞれp<0.05、p<0.01で対照マウスとは統計的に有意差があることを示す)。 図9は、PB処理マウスにおける肝臓S期標識指数を示す。BrdU(15mg/mL/PBS)を含有する浸透圧ポンプをWTマウス、huPXR/huCARマウス及びPXRKO/CARKOマウスに埋め込んだ後、PB処理を行った(80mg/kg/4日/IP)。Brdu抗体(ダコ)を用いて肝臓切片を標識した。顕微鏡像は全て×40の倍率で得た。データは、Pat−0013−0014に従い、細胞(約18万個)/マウス群を含む葉(2)当り10個の像のランダムサンプリングを表す。値は平均±SD(n=9〜10(対照マウス)、n=8〜9(PB処理マウス))で表す。結果についてStudent t検定(両側)を行った(***はp<0.01で対照マウスとは統計的に有意差があることを示す)。 図10は、PB処理マウスにおける肝アポトーシス指数を示す。TUNELin situ細胞検出キット(ロシュ)を用いて肝臓切片を標識した。顕微鏡像は全て×40の倍率で得た。データは、細胞(約38万個)/マウス群を含む葉(2)当り20個の像のランダムサンプリングを表す。値は平均±SD(n=9〜10(対照マウス)、n=8〜9(PB処理マウス))で表す。結果についてStudent t検定(両側)を行ったが、統計的な有意差は見出されなかった。 図11は、対照マウス、及びPBで処理したWTマウス、huPXR/huCARマウス及びPXRKO/CARKOマウスから得た肝臓切片に対するH&E染色を示す。門脈(P)及び中心静脈(C)を標識する。×20の対物レンズを用いて像を得た。 図12は、a)MRODアッセイ、b)ERODアッセイ、c)BQアッセイ、d)PRODアッセイ及びe)BRODアッセイによる酵素活性測定値を示す。各アッセイは、個々の肝ミクロソームに対して行った。値は平均±SD(n=9/10)で表す。結果についてStudent t検定(両側)を行った(*、**及び***はそれぞれ、p<0.05、p<0.01、p0.001で自身対照マウスとは統計的な差がある)。 図13は、肝臓Cyp2b10及びCyp3a11タンパク質の発現に対するPBの作用を示す。野生型マウス、huPXR/huCARマウス及びPXRKO/CARKOマウスの各々から得た肝ミクロソーム(0.3ug)をプールし(n=9/10)、Cyp2b10及びCyp3a11に関する特徴付けにはそれぞれ、ウサギポリクローナルCH4(1:2000希釈)及びCH32抗体(1:2000希釈)(C. Henderson, University of Dundee, UK)を用いたイムノブロッティングを行った。+ve(対照)としては、精製組換えhisタグCyp3a11膜(0.1pmol/u.L)又は精製組換えhisタグCyp2b10膜(0.01pmol/u.L)を用いた。ブロットはECLを用いて展開し、30秒間曝露した。 図14は、フェノバルビタールに対する過形成応答におけるPXR/CAR依存的種差を示す。 図15は、クロルデンに対する過形成応答におけるPXR/CAR依存的種差を示す。 図16は、対照マウス、及びクロルデンで処理したWTマウス、hPXR_old/hCARマウス及びPXRKO/CARKOマウスから得た肝臓切片に対するH&E染色を示す。×20の対物レンズを用いて像を得た。この図から、クロルデンへ曝露した際にWTマウス及びhPXR_old/hCARマウスでは肥大が生じるが、PXRKO/CARKOマウスでは生じないことが分かる。 図17は、イムノブロッティングによるマウスCyp4aタンパク質の検出を示す。a)媒体処理マウス、Wy−14,643処理WTマウス、及びhPPARαマウスから得た個々の肝ミクロソーム(1μgタンパク質ロード)のCyp4aに関する特徴付けには、ポリクローナルヤギ抗CYP4A抗体(Dr. C. Henderson, University of Dundee, UK)を用いたイムノブロッティングを行った。標準物質にはAPFO誘導WTラット肝ミクロソーム(1μgタンパク質ロード)を用いた。 図18は、WTマウス及びhPPARαマウスにおけるシアン化物非感受性pCoA酸化を示す。粗ミトコンドリア画分におけるシアン化物非感受性pCoA酸化の測定は記載のように行った。値は、個々のマウスから得た還元NAD+(pmol/分/mg)を表す(hPPARa=hPPARα、Wy=Wy−14,643処理、Con=媒体処理)。 図19は、WTマウス及びhPPARαマウスにおけるラウリン酸ヒドロキシル化を示す。ラウリン酸ヒドロキシル化活性の測定は肝ミクロソームにおいて行った。値は、個々のマウスにおける(a)12−OHラウリン酸又は(b)11−OHラウリン酸の生成値(mmol/分/mg)を表す(hPPARα=hPPARα、Wy=Wy−14,643処理、Con=媒体処理)。 図20は、hPPARαmRNAの構造とプライマーの位置を示す(M:マウスエクソン、H:ヒトエクソン、pA:ポリAモチーフ)。 図21は、RT−PCRによるhPPARαマウスにおけるヒトPPARαの存在を示す。媒体処理WTマウスと媒体処理hPPARαマウスから肝RNAを単離し、プライマー対PPARα−F及びPPARα−Rを用いたRT−PCRによって解析した。WTマウス由来のRT−PCR産物を1個のウェル内にロードし(レーン1)、hPPARαマウス由来のRT−PCR産物を2個のウェル内にロードした(レーン2〜3)。hPPARαマウスにおいては1.4kbと1.2kbに2種のバンドが検出された(M=分子量マーカー、N.B.各サンプルにおける低いバンドは非特異的である)。 図22は、hPPARαマウスにおいて検出されたヒトPPARαの野生型転写物、スプライスバリアント1(SV1)転写物及びスプライスバリアント2(SV2)転写物を示す。SV1は、エクソン6が欠失してフレームシフトが中途終止コドンを導入した転写物である。SV2は、選択的イントロン3’スプライス部位を用いることによってエクソン5の3’末端に4bp(GTAG)のアウト・オブ・フレーム挿入が付加され、中途終止コドンとなった転写物である。 図23は、ヒトPPARαタンパク質の報告された全長、スプライスバリアント1(SV1)及びスプライスバリアント2(SV2)を示す。選択的にスプライスされたバリアントSV1及びSV2はそれぞれ、174個のアミノ酸及び180個のアミノ酸を含む切断型PPARαタンパク質をコードする。切断はリガンド結合ドメイン(LBD)内で生じる。両方の切断型タンパク質においてDNA結合ドメイン(DBD)は変化しないままである。 図24は、三重ホモ接合PXR/CAR/AhRヒト化マウスのPCR確認を示す。IDがf241998、f242001及びf242004のマウスは、PXR、CAR及びAHRに関して三重ホモ接合ヒト化されている。 図25は、二重ホモ接合CAR/PPARα及びヘテロ接合PXRヒト化マウスのPCR確認を示す。IDがm245218、f245221、f245226及びf245227のマウスは、CARに関してホモ接合ヒト化され、PXRに関してヘテロ接合ヒト化されている。 図26は、CARノックアウトマウスの肝臓又は小腸においてCARmRNAが発現されないことを示す。 図27は、CAR機能をモニターする方法を示すと共に、各方法の種特異性を示す。 図28は、TCPOBOP(マウスにおいて最も活性が高い)を用いて測定したCARノックアウトマウスにおけるCAR機能の喪失を示す。 図29は、CITCO(ヒトにおいて最も活性が高い)を用いて測定したCARノックアウトマウスにおけるCAR機能の喪失を示す。 図30は、CARヒト化マウスにおけるCARmRNAの発現を示す。CARヒト化マウスにおいては、マウスCAR転写物は発現されるが、ヒトCAR転写物は発現されない。CARヒト化マウスにおいては、CARの全長及び全てのヒトスプライスバリアントが発現される。 図31は、ヒトCARの他のスプライシングパターンを示す。2種のリガンド結合ドメインアイソフォームは新しい機能特性を示す。SV3は異なってトランス活性化された標的遺伝子プロモーターを有し、SV2はコアクチベーターとの構成的相互作用ではなくリガンド依存性を示す。選択的スプライシングはCARの発現及び機能の調節には非常に重要であると思われる。 図32は、野生型マウス及びCARヒト化マウスにおけるTCPOBOP(マウスにおいて最も活性が高い)によるマウスCAR依存的P450誘導を示す。 図33は、野生型マウス及びCARヒト化マウスにおけるTCPOBOP(ヒトにおいて最も活性が高い)によるヒトCAR依存的P450誘導を示す。 図34は、野生型マウスに比べて正常な血漿臨床化学を有するCARノックアウトマウス及びCARヒト化マウスを示す。 図35は、PXR/CARノックアウト及びヒト化マウスのパネルにおけるフェノバルビタールの誘導作用を示す。フェノバルビタールはインビトロではPXRアクチベーターとして説明されているが、インビボでのCyp3a11及びCyp2b10のフェノバルビタール介在活性化は主にCAR依存的である。 図36は、ヒトCARがフェノバルビタールに対する過形成応答ではなく、肥大応答を支持することを示す。A)BrDu肝細胞標識、B)肝臓切片についてのH&E解析。これによって、非遺伝毒性げっ歯類肝成長発癌物質のヒトに対する真の危険性を評価する上でのヒト化及びノックアウトPXR/CARマウスの有用性が強調される。] 図1 図10 図11 図12 図14 図15 図16 図17 図18 図19 [0101] 実施例 ヌルバックグラウンド上でPXR及びCARの両方に関してヒト化したマウスを作出するのに適した技法の説明はWO2006/064197に見出すことができる(実施例3及び4と対応する図面参照)。] [0102] 実施例1:二重ホモ接合PXR/CARヒト化マウスにおいてマウスPXR遺伝子がヒトカウンターパートと交換されたことのPCR確認 PXR及びCARに関してヒト化したマウス(「huPXR/huCAR」)の作出の際には、ヒト化PXRを含むマウスを用い、このマウスをヒト化CARを含むマウスと交雑し、ヒト化PXR及びヒト化CARの両方を含むマウスを作出した。該マウスは目視検査の結果、表現型が正常である。PCRを用いて該マウスをタイピングした(WO2006/064197の図28参照)が、PXR及びCARに関してホモ接合的にヒト化されている。その例としては、「42749」及び「42752」と称されるマウスが挙げられる。] 図28 [0103] huPXR/huCARマウスにおいてPXRmRNA及びCARmRNAの転写はRT−PCRによって定量し、野生型マウス、huPXRマウス及びhuCARマウスにおける対応するmRNA発現の相対レベルと比較した(図2)。これによって、huPXR/huCARマウスは、単一遺伝子に関してヒト化したマウスで見られるヒトPXR及びヒトCARの発現のレベルを維持することが確認された。] 図2 [0104] 野生型マウス、huPXRマウス及びhuCARマウスと同様に、二重ヒト化huPXR/huCARマウスを誘導剤リファンピシン及び/又はフェノバルビタールで処理した。これらの誘導剤処理マウスにおけるCyp2b10及びCyp3a11の発現は、対応する非処理マウスと同様に、SDS−PAGEとそれに続くウェスタンブロッティングによって可視化し、比較した(図3)。図3においては、huPXRマウス、huCARマウス及びhuPXR/huCARマウスにおけるCyp2b10とCyp3a11の基礎レベルを、野生型マウスで見られる基礎レベルと比較する。この相対的定量から、基礎Cyp2b10レベルは、huPXR→huCAR→huPXR/huCARの順で増加することが分かる。しかし、基礎Cyp3a11レベルはhuCARマウスではあまり顕著に増加しなかった。Cyp3a11レベルはhuPXRマウス及び二重ヒト化huPXR/huCARマウスの両方においてほぼ同程度(2倍超)に増加した。] 図3 [0105] ヒト特異的誘導剤リファンピシンによる処理によって、全てのマウスでCyp3a11のレベルが増加した。リファンピシンとフェノバルビタールを併用投与した場合、野生型マウスでは付加的作用は見られなかったが、huPXRマウスではCyp3a11が多少強く誘導された。] [0106] 実施例2:二重ホモ接合PXR/CARヒト化マウスにおけるペントバルビトン睡眠試験 この実験においては、バルビツール酸塩誘導睡眠時間を測定することによってこれらの転写因子の組合せの活性を求めた。長年、睡眠時間は肝シトクロムP450活性に正比例することが知られており、この活性は、CAR及びPXRの機能によって決まる肝臓内のP450レベルに少なくとも一部起因し得る。] [0107] マウスに対して、ナルコレン(ペントバルビトンナトリウム;ドイツ、メリアル社で販売、獣医コンサルタント経由で購入)を腹腔内単回投与した(25mg/kg体重)。マウスが正向反射を消失した後、回復するまでの時間を測定した。結果は下の表1に示す。] [0108] ] [0109] 麻酔量のペントバルビトンを投与した野生型マウスの睡眠時間は21分間であったが、CAR及びPXRに関する二重ヒト化マウスの睡眠時間は34分間であった。従って、二重ヒト化マウスは野生型対照に対して有意差を示したが、この結果から、二重ヒト化マウスは野生型マウスに比べて薬物に対する応答が顕著に異なることが分かる。] [0110] 上述の実施例1及び2における研究の概要 ヒトPXRが内在性遺伝子と等価なレベルで予測通りにマウスの肝臓及びGI管の両方において発現するモデルを開発した。この経路によって遺伝子発現を誘導することが知られている化合物にマウスが応答するため、PXRタンパク質は機能的であることが示された。] [0111] また、CAR遺伝子に関して等価なヒト化も成された(huCARマウス)。野生型マウスとヒト化マウスとの系統差が示され、ヒト化マウスは、マウスよりもヒトにおいて高い活性を示す(即ち、マウスPXRやマウスCARよりもヒトPXRやヒトCARに対する活性の高い)ことが知られている化合物に対する応答性が高いことが示された。ノックアウト株の構築はPXR遺伝子及びCAR遺伝子の両方についても確認された(koPXR及びkoCAR)。] [0112] 更に、ヒト化PXRを含んだマウスをヒト化CARを含んだマウスと交雑させて、ヒト化PXR及びヒト化CARの両方を含むマウスを作出した。] [0113] 実施例3:huPPARα及びkoPPARα 図4に示すように、ヒトPPARαをコードするDNA配列をマウスPPARα遺伝子座に挿入して、マウスPPARαプロモーターの制御下でヒトPPARαを発現させることができる。ヒトPPARαをコードするDNA配列は、ヒトPPARα遺伝子のイントロン5及びイントロン6の少なくとも一部を含む(図4)。ターゲティングベクターは、Cre介在PPARαノックアウトによってkoPPARαの産生を可能とする配列要素を含む(図4)。] 図4 [0114] 実施例4:huPPARα及びkoPPARαヒト化マウスの特徴付け 6匹の雄性C57BL/6Jマウスをハーラン(英国)から入手した。タコニック・アルテミス(ドイツ)により本明細書に記載のプロトコルに従って3匹の雄性ホモ接合hPPARαマウスを作出した。マウスは全て性的に成熟していた。MSRUに到着時には、マウスは底の硬いポリプロピレンケージ内のおがくず上に収容されていた。処理時には環境性を高める材料は用いなかった。] [0115] 動物飼育室においては、C57BL/6Jマウス株及びトランスジェニックマウス株に適した条件がもたらされるように環境を管理した。温度は19〜23℃の範囲内に維持し、相対湿度は40〜70%の範囲内に維持した。計画通りに1時間当り14〜15回換気を行った。12時間の点灯と12時間の消灯とを繰り返した。この研究においては、特別なケージ構成は用いなかった。試験施設に到着後最低5日間はマウスを環境に慣れさせた。] [0116] RM1ペレット飼料(スペシャルダイエットサービスリミテッド(英国エセックス州、ウィザム、ステップフィールド)より供給)を用いた。飼料の仕様はMSRU(ダンディー)が保持する。飲料水は現地で調達し、ボトルで提供した。ペレット飼料と飲料水は研究前及び研究中に自由に与えた。] [0117] 体重及び肝臓重量 表2に示すように、マウスの処理はWy−14,643/コーン油(50mg/kg、経口投与)の4日間投与又はコーン油のみの投与によって行った。最終投与から約24時間後、CO2濃度を上昇させて全てのマウスを殺した。肝臓及び血漿を採取して解析を行った。] [0118] ] [0119] Wy−14,643又は媒体(コーン油)で処理した後、マウスを殺し、肝臓を除去して計量した。全てのマウスの体重、肝臓重量及び肝臓/身体重量比を算出した(表3〜5)。] [0120] 投与溶液の調製は投与日に行い、必要量の誘導剤にコーン油を添加し撹拌して微細懸濁液(fine suspension)を得た。誘導剤の濃度は供給化学物質のものとし、純度の補正は行わなかった。表2に示すように、媒体又は誘導剤をマウスに経口投与した。投与量は10mL/kg体重であった。この投与経路は、既に公表された研究と一致するように選択した。] [0121] 終了日にマウスを計量し、体重を記録した後、検視に適した部屋へ移された。処理から約24時間後、濃度を上昇させたCO2にマウスを曝露して殺す。] [0122] ] [0123] ] [0124] ] [0125] 媒体処理WTマウスとhPPARαマウスとの間で絶対肝臓重量及び相対肝臓重量は同等であり、Wy−14,643による処理の後、両方の株において有意な増加が検出された。Wy−14,643による処理後の絶対肝臓重量に関しては、媒体処理マウスと比べて、WTマウスでは〜39%増加し、2匹のトランスジェニックマウスでは20%及び29%増加した。] [0126] 血漿臨床化学 死亡したマウスから心穿刺によって血液をリチウム/ヘパリンコートチューブ内に採取して血漿を処理した。血漿調製に適したチューブ内に取り除いた後、心穿刺によって得た最終血液サンプルをローラーにて10分間混合した後、氷上で冷却した。遠心分離(2000〜3000rpm、10分間、8〜10℃)によって赤血球を除去した。遠心分離直後に上清(血漿)をエッペンドルフに採取し、湿氷上で維持した。血漿を臨床化学用のクライオバイアル内に移し、直ちに液体窒素にて急速冷凍した後、約−70℃で保存した。] [0127] COBAS Integra400+(ロシュ)を用いてマウス血漿中で測定する臨床化学アナライトは全て、製造業者の指示に従ってヒト血漿サンプル用に最適化した。臨床化学アナライトについての広範囲な歴史的データベースが作成されており、これを用いてCOBAS Integra400+によってアッセイしたマウスサンプルを確認した。] [0128] Wy−14,643処理に起因する潜在的な肝毒性を調べるため、WTマウス及びhPPARαマウスにおいて肝障害のマーカー、即ち、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアルカリホスファターゼ(ALP)を測定した(表6〜8)。また、WTマウスに対するhPPARαマウスの基礎肝機能の特徴付けを行うため、得られる血漿サンプル全てにおいて肝臓関連血漿バイオマーカー、即ち、アルブミン(ALB)、抱合型ビリルビン及び総ビリルビン(それぞれBIL−D及びBIL−T)、コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL−C)、低密度リポタンパク質(LDL−C)及びトリグリセリドについても調べた(表9〜15)。] [0129] 肝毒性の血漿マーカーに関しては、Wy−14,643による処理の後、両方のマウス株においてALT、AST及びALPの濃度は変化しないように思われた。しかし、少数の処理グループ内でばらついたため、Wy−14,643介在による肝毒性に関する明確な結論を出すことはできなかった。] [0130] ] [0131] ] [0132] ] [0133] Wy−14,643による処理の後、両方のマウス株において血漿アルブミンレベルは変化しなかった。解析に利用できるマウスの数は限られているが、検出可能なビリルビン濃度はマウス間及び処理グループ間でばらついた。血漿LDLレベル、血漿HDLレベル及び血漿コレステロールレベルは、処理とは関係なく、WTマウスと比べてhPPARαマウスでは変化しなかった。しかし、Wy−14,643による処理の後、トリグリセリド濃度は、対応する対照マウスで見られるレベルと比べて、WTマウスでは有意に〜50%低下し(p<0.05)、2匹のhPPARαマウスでは有意に25%及び29%低下した。興味深いことには、単一媒体処理トランスジェニックマウスにおけるトリグリセリドレベルは媒体処理WTマウス(n=3)の場合に比べて80%高かった。] [0134] ] [0135] ] [0136] ] [0137] ] [0138] ] [0139] ] [0140] ] [0141] 肝臓の除去及び処理 肝臓は次のように処理した。胆嚢を除去した後、肝臓を取り除いて計量した。3個の肝臓小片(5mm3)を取り除いて別々のクライオバイアル内に入れた後、液体窒素にて約−70℃で急速冷凍し、Taqman(登録商標)解析及びDNA配列決定に用いた。] [0142] 2個の肝臓サンプル(約2mmの細片)を、一方は左葉から、もう一方は中葉から採取した。20mLの10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を含む同一のシンチレーションバイアル内にこれらのサンプルを入れて組織学解析に用いた。] [0143] 肝臓を再度計量した後、氷冷1.15%(w/v)KCl内に入れ、その後、均質化及び細胞成分分画を行った。] [0144] 新しく計量した肝臓をCXR Laboratory Method Sheet (LMS) Cent-001の修正バージョンに従って処理し、ホモジネート、核画分、ミトコンドリア画分(重ペレット)、細胞質画分及びミクロソーム画分を得た。この方法は核画分を採取することができるように修正した。新しい肝臓サンプルをCent-001に従って処理して10%(v/v)ホモジネートを得た。ホモジネートを15mLのFalconチューブに入れ、50g、4℃で5分間遠心分離を行い、細胞片を除去した。残った上清を10mLの遠心管内に移し、ペレットを廃棄した。上清に氷冷SETバッファーを注ぎ足して10mLとした後、700g、4℃で10分間遠心分離を行った。得られた上清を保持し、ミトコンドリア画分、細胞質画分及びミクロソーム画分に対する更なる分画を行った。] [0145] ペレット(未洗浄の粗核膜)を10mLの氷冷SETバッファーで再懸濁させ、2〜3回通過させて均質化した後、700g、4℃で10分間遠心分離を行った。得られた上清を廃棄し、ペレット(洗浄済粗核膜)を1mL/gの原組織氷冷SETバッファーで再懸濁させ、2回通過によって均質化した。全ての画分を約−70℃で保存した後、解析を行った。] [0146] 固定化後、各マウスから得た両方の肝臓切片を処理した後、パラフィン包埋した。ワックスブロックは室温で保存する。] [0147] Cyp4aタンパク質発現のイムノブロット解析 PPARα活性化の下流作用を調べるため、WTマウス及びhPPARαマウス由来の肝ミクロソームにおけるイムノブロット解析によってCyp4aタンパク質の発現を評価した。] [0148] 個々の肝ミクロソームサンプルは、Cyp4aに関するイムノブロッティングによって解析した。タンパク質濃度はCXRマイクロローリー法(microlowry method)を用いて測定した。マウス肝ミクロソームにおけるCyp4aタンパク質の定量を行った。マウスhisタグCyp4a組換え標準品をNU−PAGEゲル上にロードした。結果を図17に示す。正の対照サンプル(パーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)誘導ラット肝ミクロソーム)の約50kDにおけるシグナルの存在から、用いた抗体が正しい分子量のタンパク質を認識したことが分かった。] 図17 [0149] 媒体処理WTマウス及びhPPARαマウスの両方において、Cyp4aに特異的な免疫反応性バンドが50kDで検出可能であった。Wy−14,643による処理後、WTマウスにおいて顕著な誘導が見られたが、これはCyp4aタンパク質発現のアップレギュレーションと一致する。同様の作用がhPPARαマウスにおいても見られた。これは、ヒトPPARαとマウスPPARαがWy−14,643に対して同様の親和性を有するという仮説と一致する。] [0150] マウス肝臓におけるシアン化物非感受性パルミトイルCoA酸化の確認 利用可能なマウス肝臓の各々から得た重ペレット画分(粗ミトコンドリア)において、PPARαで調節されることが知られているペルオキシソーム酵素活性のマーカーとしてシアン化物非感受性パルミトイルCoA酸化に対するWy−14,643投与の作用を調べた。このアッセイを用いて、WTマウス及びhPPARαマウスにおける機能性PPARα遺伝子の存在を確認した。Wy−14,643は、両方のマウス株由来の粗ミトコンドリア画分においてシアン化物非感受性pCoA酸化を誘導したが、媒体対照と比べて約3倍の誘導を示した(図18、表16)。] 図18 [0151] ] [0152] ラウリン酸ヒドロキシル化 利用可能なマウスの各々から得た肝ミクロソームのCyp4a活性は、ラウリン酸ヒドロキシル化を測定することによって評価した(図19、表17〜18)。Wy−14,643による処理後、両方の代謝物(12−ヒドロキシ(12−OH)及び11−ヒドロキシ(11−OH))の生成における同様の増加が両方の株で見られた。興味深いことには、媒体処理hPPARαマウスにおける12−OHラウリン酸ヒドロキシル化活性は、WTマウスで見られる活性と比べて低かった。] 図19 [0153] ] [0154] ] [0155] hPPARαマウスモデルについての転写物の特徴付け 1匹の媒体処理WTマウス及び1匹のhPPARαマウスから得た肝臓サンプルについてRT−PCRを行い、全長ヒトPPARα転写物がhPPARαマウスに存在するかどうか評価した。] [0156] 1個の対照WTマウス肝臓組織サンプル及び1個のhPPARαマウス肝臓組織サンプルから全RNAを調製し、これらのRNAサンプルをRNeasyキット(キアゲン、カタログ番号:74104)を用いて精製した。Superscript III One-StepRT-PCRPlatinum Taq HiFi Kit(インビトロジェン社、カタログ番号:12574−030)を用い、製造業者のプロトコルに従ってRT−PCRを行った。RT−PCR産物は、アガロースゲル上の電気泳動によって分離した。] [0157] ヒトPPARα転写物が正しい翻訳開始部位を有することを確認するため、図20に示すように、プライマー(PPARα−F及びPPARα−R)をRT−PCRで用いた。分子量が1.4kbの予測されたRT−PCR産物が検出された(図21)。得られたcDNAをクローン化し、配列解析によって特徴付けを行った。] 図20 図21 [0158] ターゲティングベクターの設計は、ヒトPPARαのエクソン3〜5、イントロン5、エクソン6、イントロン6及びエクソン7〜8から成るゲノム及びcDNAのキメラ構築物がマウスゲノム内に導入され、マウスPPARα遺伝子のエクソン3のコード領域に取って代わるように行った。この構築物は、転写物がポリAモチーフによって終結するように設計した。ターゲティングベクターは、ヒトイントロン5内に挿入されたFRT隣接ネオマイシン耐性カセットを有するが、これはFLP介在組換えによって除去され、ヒト化PPARα対立遺伝子が産生するであろう。従って、構築物のポリA領域をアニールするようにプライマーを設計した。用いたプライマーは次の通りである。] [0159] 順方向プライマー:PPARα_F cgc tct gtg gcc tgc ctg gcc ac 逆方向プライマー:PPARα_R ccg cgc ctg gat ctc agg aat tcc] [0160] 用いたプライマーの特異性は正しい分子量において検出可能なバンドが無いことによって確認したが、これは予想通り、解析したWTマウスにヒトPPARαmRNAが存在しないことを示す(図21)。RT−PCRデータによって、hPPARαマウス肝臓RNAからは少なくとも2種の産物(1.2kb及び1.4kb)が得られたが、WTマウスRNAからは得られなかったことが分かった。両方の断片の発現は低かったが、続いて行ったクローニングと配列決定解析によって、後述するように3種の異なる転写物が示された。] 図21 [0161] Superscript III One-StepRT-PCRPlatinum Taq High Fidelity Kit(インビトロジェン社、カタログ番号:10574−030)を用い、製造業者のプロトコルに従ってRT−PCRを行った。媒体処理hPPARαマウス及び媒体処理WTマウスから全RNA(1μg)を調製し、プライマー対(PPARα−F及びPPARα−R)を使用するRT−PCRに直接用いた。] [0162] 複製50μL合成反応は各々について設定し、次の条件下で行った。 cDNA合成: 54℃、30分間、及び 94℃、2分間 を1サイクル PCR増幅: 94℃、20秒間、 58℃、30秒間、及び 68℃、2分間 を40サイクル 最終伸長: 68℃、5分間 を1サイクル] [0163] クローンの制限解析 同定された変異ヒトPPARαmRNA種がある(Gervois et al, 1999)。配列解析から、この変異体は203bpの欠失を含み、欠失断片はエクソン6の境界に正確に局在していることが示されたが、これはエクソン6をスキップした選択的スプライシングイベントによって生じることが分かる。この結果、中途終止コドンを導入するフレームシフトが生じた。短い転写物は、ヒンジ領域の一部とリガンド結合ドメインの全部が欠如した切断型hPPARαタンパク質の産生をもたらすことが予測された。RNAアーゼ保護解析から、変異ヒトPPARαmRNAは数種のヒト組織及び細胞において発現したことが分かったが、これは全PPARαmRNAの20〜50%である。一方、変異PPARαはげっ歯類組織では検出できなかった。こうして、PPARα変異転写物はヒトにおいて特異的に発現するように思われた。] [0164] hPPARαマウス肝臓RNAのRT−PCR後に見られた1.2kbの産物が報告されているヒトPPARαの選択的スプライスバリアントであることを確認するため、キアゲンゲル精製キットを用いたアガロースゲル電気泳動によってRT−PCR産物を分離した。1.2〜1.4kbの範囲の断片をゲルから抽出、精製し、配列決定用TOPO TAクローニングキット(インビトロジェン社、カタログ番号:K4575−01)を用いてpCR4−TOPOベクターのT/A部位内に連結させ、TOP10ウルトラコンピテント細胞に形質転換した。制限酵素BglIIを用いた消化によってコロニーをスクリーニングして、ベクター内のインサートの存在を確認した。1.2kbのインサートを含む1個のクローン(クローン#1)及び1.4kbのインサートを含む6個のクローン(クローン#2、6、7、9、24及び36)の配列を決定した。連結DNAはDH5αウルトラコンピテント細胞(アドバンテージ、ダンディー)に形質転換し、アンピシリンプレート上に置いて陽性クローンを選択した。] [0165] クローンの配列解析 各陽性クローンのプラスミドDNAは、Qiaprep Spin Miniprepキット(キアゲン、カタログ番号:27160)を用い、製造業者のプロトコルに従って調製し、50μLの溶出バッファーに溶出させた。] [0166] 約300ngのプラスミドDNAをBglIIで消化し、ベクター骨格からインサートを遊離させた。消化物を1%アガロースTAEゲル上にロードした。] [0167] 形質転換プレートから得たコロニーを採取し、20μLのPCRミックス: 2μLの10×バッファー(NEB) 0.4μLのdNTP(10mM) 0.4μLのM13Fセンスプライマー(10μM) 0.4μLのM13Rアンチセンスプライマー(10μM) 0.1μLのTaq(NEB) 16.7μLのdH2O に直接添加し、次の条件下で行った。 95℃、2分間を1サイクル 95℃、20秒間及び56℃、30秒間を40サイクル 72℃、100秒間を1サイクル] [0168] 配列解析は、Lark Technologies社、A Genaissance社(エセックス州、テイクリー、ホープエンドCM22 6TA)によって行った。アラインメントは、VectorNTI 8ソフトウェアを用い、Contig Express、Align-Xモジュール及びT-COFFEEアラインメントソフトウェア(http://www.ch.embnet.org/software/TCoffee.html)を利用して行った。] [0169] 配列比較によって、クローン#1の1.2kbのインサートはエクソン6が欠如したヒトPPARαのスプライスバリアントであることが確認された(SV1、図22参照)。1.4kbのインサートは2種類の転写物、即ち、正常スプライスバージョン(クローン#2、7、9及び24)とスプライスバリアントSV2を示す。バリアントSV2は、選択的イントロン3’スプライス部位を用いることによってエクソン5の3’末端に4bp(GTAG)のアウト・オブ・フレームが挿入されて中途終止コドンとなった、これまでに公表されていない転写物である(図22)。アガロースゲル電気泳動に基づき、1.2kb転写物に対する1.4kb転写物の比は約1:1であると思われた。しかし、選択的スプライスバリアントSV1及びSV2に対する正常スプライス転写物の比は、RT−PCR法を用いて求めることができなかった。] 図22 [0170] 選択的スプライスバリアントSV1及びSV2はそれぞれ、174個のアミノ酸及び180個のアミノ酸を含む切断型PPARαタンパク質をコードする。両方の切断型タンパク質においては、リガンド結合ドメイン(LBD)の大きい領域は欠如しているが、DNA結合ドメイン(DBD)はまだ含まれている(図23)。これらの2種の選択的スプライス転写物がhPPARαマウスに形質転換されて切断型タンパク質を生成し得るかどうか、また、これらがPPRE含有DNA断片に結合し得るかどうかはまだ分からない。ゲル遅延度アッセイにおいて切断型PPARα(PPARαtr)はPPRE要素に結合し得なかったが、核内hPPARαtrは強力なリプレッサーであり、インビトロにおいて全長hPPARαタンパク質の転写活性に影響を及ぼし得ることが報告されている(Gervois et al, 1999)。] 図23 [0171] 要約すると、ヒト化マウスに特異的な全長ヒトPPARα転写物が検出され、クローン化され、配列決定によって確認された。2種の選択的スプライスバリアント(SV1及びSV2)が本研究によって同定された。バリアントSV1は公表されているが、これはヒト特異的な選択的スプライスバリアントである(Gervois et al, 1999)。バリアントSV2は、エクソン5の3’末端において4bp(GTAG)のアウト・オブ・フレームインサートが付加され、中途終止コドンとなった新しい型の転写物である。ヒト化マウスにおける切断型PPARαタンパク質の潜在的機能は不明である。] [0172] mPPARα及びhPPARαmRNA発現のTaqMan(登録商標)解析 マウス肝臓サンプルを液体窒素にて急速冷凍してRNAの完全性を保持した。RNeasyミニキットを用い、媒体処理hPPARαマウス及び媒体処理WTマウスからTaqman(登録商標)定量RT−PCRによるRNA単離を行った。] [0173] マウスPPARα及びヒトPPARαに特異的なプライマー(アッセイ・オン・デマンド、カタログ番号はそれぞれ、Mm00440939_m1及びHs00947539_ml、アプライド・バイオシステムズ)を用い、WTマウス及びhPPARαマウス由来のマウス肝臓におけるPPARα発現のTaqMan(登録商標)解析を行った。マウスPPARαプライマーはマウスPPARα配列のエクソン7とエクソン8との間にアニールするように設計し、ヒトPPARαプライマーはマウス配列のエクソン7〜9を増幅するように設計した。] [0174] マウス及びヒトPPARαmRNAレベルの定量は、WTマウス及びhPPARαマウスの通常PPARα発現部位(肝臓)における定量RT−PCR(TaqMan(登録商標))によって行った(表19)。RNAはマウス肝臓から抽出した。cDNAは利用可能なRNAサンプル全てから合成し、TaqMan(登録商標)解析は、マウスPPARα及びヒトPPARα(アッセイ・オン・デマンドキット、アプライド・バイオシステムズ)に特異的なプライマーを用いて利用可能なサンプル全てにおいて行った。マウスα−アクチンを内部標準品として用いた(アッセイ・オン・デマンドキット、カタログ番号:43S2933E、アプライド・バイオシステムズ)。] [0175] ヒトPPARα転写物はhPPARαマウスでは見出されたが、WTマウスでは見出されなかった。マウスPPARαはWTマウスでは確認されたが、hPPARαマウスでは確認されなかった。検出されたPPARαmRNAのレベルは両方のモデルにおいて同等であった。] [0176] ] [0177] ヒトCAR及びPPARαに関して二重ホモ接合性であり、ヒトPXRに関してヘテロ接合性であるマウスを作出した。図25は、このような二重ホモ接合CAR/PPARα及びヘテロ接合PXRヒト化マウスのPCR確認を示す。IDがm245218、f245221、f245226及びf245227のマウスはCARに関してホモ接合ヒト化され、PXRに関してヘテロ接合ヒト化されている。三重ヒト化PXR/CAR/PPARαマウスは、TaconicArtemisの既存の繁殖プログラムで設定されたプロトコルに従って間もなく得られるであろう。] 図25 [0178] 実施例5:huAhR及びkoAhR 図5に示すように、ヒトAhRをコードするDNA配列をマウスAhR遺伝子座に挿入して(ノックイン)、マウスAhRプロモーターの制御下でヒトAhRを発現させることができる。ヒトAhRをコードするDNA配列は、ヒトAhR遺伝子のエクソン3〜11を含む(図5)。ターゲティングベクターは、Cre介在によるAhRノックアウトによってkoAhRの産生を可能とする配列要素を含む(図5)。] 図5 [0179] PXR、CAR及びAHRに関して三重ホモ接合ヒト化したマウスを作出した。図24は、三重ホモ接合PXR/CAR/AhRヒト化マウスのPCR確認を示す。IDがf241998、f242001及びf242004のマウスはPXR、CAR及びAHRに関して三重ホモ接合ヒト化されている。このようなマウスは、本明細書に記載のアッセイにおいて非常に重要である。] 図24 [0180] 実施例6:概念の証明:げっ歯動物における非遺伝毒性発癌物質(PB)の作用 フェノバルビタール(以下「PB」とする)は、マウスやラットにおいて肝臓癌を引き起こすことが知られているが、ヒトにおいてはそのようなことはない。PBに対して長期間処理を行った後、げっ歯動物では肝腫瘍が発生する。まず、PBによって過形成応答や細胞複製が引き起こされ、処理の最初の2週間で肝臓重量が増加する。しかし、約2年後、処理動物においては肝腫瘍が明らかになる。この種の解析から、PBをヒトにおいて用いるのは危険だと考えられるだろう。しかし、実際にはPBは安全であり、長年に亘って販売されており、処理患者において肝腫瘍が発生した記録も無い。このことは、ヒトにおける薬物の安全性を試験する上で現在の動物モデルが不十分であることを示しており、また、安全性試験プロセスのこの段階で不必要に薬物を削減していることを意味する。製薬会社が試験段階のできるだけ早期に答えるべき問題は、動物において見られる化学薬品に対する過形成応答が実際にヒトと関連するのか?ということである。] [0181] 転写因子CARは、PB様の誘導剤に対する応答に必須であることが知られている。Weiらは2000年(Nature)に、野生型マウスにおいて、細胞肥大や過形成応答を反映する肝臓質量がCARアクチベーターによって増加したことを示した。これに対し、CARKOマウスにおいては、CARアクチベーター処理後も肝臓質量の増加が見られなかった。また、CAR KOマウスにおいては、野生型マウスでBrdU取り込みの増加によって確認されるDNA合成の誘導も見られなかった。同様に、Cheungらは2004年に、野生型マウスにおいて種々の薬物による処理で生じる肝臓重量の増加が、マウスのPPARαに関するヒト化によって抑制されたことを示した。また、ヒト化マウスにおいては、野生型マウスで見られるような複製DNA合成の増加も欠如していることが分かった。] [0182] ヒトにおけるPBに対する応答をヒト化PXR/CARマウスが模倣するかどうか評価するため、huPXR/huCARマウスモデルとPXRKO/CARKOマウスモデルを用いた。変異マウス株はアルテミスから入手した。野生型(WT)マウス株C57BL/6Jはハーラン(英国)から入手した。マウスは全て10〜16週齢であった。次のパラメータについて研究した。 ・肝臓/身体重量比 ・細胞増殖の基準として解析したBrdU取り込み ・ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)肝臓病理組織学 ・肝ミクロソームにおけるSDS−PAGE及びウェスタンブロッティングによるP450類の発現及び活性 ・肝臓においてTUNELアッセイで解析されたアポトーシス指数] [0183] 研究には6グループのマウス(10匹のWTマウス/グループ、9〜10匹のPXRKO/CARKOマウス/グループ、及び9匹のhuPXR/huCARマウス/グループ)を用いた(表19)。ブロモデオキシウリジン(BrdU、15mg/mLリン酸緩衝生理食塩水[PBS]溶液、pH7.4)を含む浸透圧ポンプ(Alzet 2001)を全てのマウスに埋め込み(1日目)、5日後、全てのマウスについて埋め込みを終了させた。施術後、どのマウスにも異常は見られなかった。表19に詳述するように、埋め込み1日後から全てのマウスに80mg/kgのPB/生理食塩水又は生理食塩水のみを腹腔内注射によって4日間投与した。] [0184] ] [0185] PBによるPXR/CAR依存的肝腫 PB又は媒体によって処理した後、マウスを殺し、その肝臓を取り出して重量を測った。PB処理に呼応してWTマウス及び「ヒト化」マウスの両方で肝腫が見られた(肝臓/身体重量比がそれぞれ118%及び122%増加したことによって分かる)が、PXRKO/CARKOマウスでは見られなかった(表20、図7)。] 図7 [0186] ] [0187] 肝細胞増殖 全てのマウスの肝臓切片及び十二指腸切片に対し、細胞増殖の基準としてのBrdU取り込みについて解析した。方法としては間接BrdU標識アッセイを用いた。WTマウスではPBによって肝細胞標識指数(S期)が約5倍増加したが、huPXR/huCARマウスやPXRKO/CARKOマウスでは細胞増殖に対するPBの作用が見られなかった(図8、表21)。] 図8 [0188] 肝臓in situ細胞死 非遺伝毒性発癌物質による肝細胞アポトーシスの50%抑制については、ラットでは既に一貫して示されている。しかし、マウスではそのような一貫性が見られない。間接TUNEL標識アッセイを用いて、肝臓in situ死を解析した(図9/表21)。本研究によって、マウス肝臓におけるアポトーシス指数のマーカー変化(marker variation)が分かった。このように、低バックグラウンドにおける低い(例えば50%)化合物誘導による抑制は容易に実証できなかった。] 図9 [0189] H&E解析 2個の肝臓サンプル(一方は葉から、もう一方は中葉から)と1個の小腸サンプルを取り出し、4%中性緩衝ホルムアルデヒド(NBF)中で保存した。全グループの全てのマウスの保存肝臓サンプルを整え、処理し、パラフィンに包埋した。パラフィン包埋サンプルをProgenix社(英国、Inverkeithing)に送付した。そこでは、サンプルを約5aemの公称厚さで切断した後、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。各臓器サンプルの一切片は、Ortwin Vogel博士(顧問病理学者、ドイツ、キール)によって調べられた。H&Eで染色した全てのマウス肝臓及び小腸を病理組織学的に解析した後、Vogel博士は次の知見を報告した。] [0190] 微視的には、PBで処理したhuPXR/huCARマウス及びWTマウスにおいて軽度から中程度の小葉中心性肝細胞肥大が認められた(図10)。この知見はPB処理と関連すると考えられる。これに対し、PXRKO/CARKOマウスにおいては、PB処理後に肝細胞肥大の明らかなエビデンスは認められなかった。更に、肝細胞増殖を示す有糸分裂の様子がPB処理のWTマウスで主に認められたが、「ヒト化」マウスやヌルマウス株でも頻度は低いが認められた。] 図10 [0191] ] [0192] 肝臓において記録された他の全ての微視的知見からはPB処理マウスと対照マウスを有意に区別できず、これらの差はランダムな事象とみなされた。これらの知見は全て、本来自発的なものであり、マウスにおいて通常見られる正常なバックグラウンド病理学の範囲内であると考えられる。小腸においては微視的な知見は記録されなかった。この研究の条件下では、PB(80mg/kg/4日/IP)により、WT株マウス及びhuPXR/huCAR株マウスにおいて肝細胞肥大/過形成の病理学的エビデンスがもたらされた。PB処理のPXRKO/CARKO株マウスにおいては肝細胞過形成のエビデンスが見出された。] [0193] 肝P450誘導 肝ミクロソーム部分におけるP450の触媒活性を定量した。マウスCyp2b10及びCyp3a11の活性を定量化するために、ペントキシレゾフリン(PROD)の脱アルキル化活性及びベンジルオキシキノリン(BQ)の脱ベンジル化活性をそれぞれ求めた。更に、ベンジルオキシレゾルフィン−O−デメチラーゼ(BROD)活性、メトキシレゾルフィン−O−デメチラーゼ(MROD)活性及び7−エトキシレゾルフィン−)−デエチラーゼ(EROD)活性も測定し、評価した(図11参照)。] 図11 [0194] EROD活性はマウスにおいてはCyp1a1/1a2及びCyp1b1を示すが、MRODはCyp1a2の基質である。しかし、測定した活性に他のアイソフォームが寄与する場合もある。2種類の酵素アッセイから得た結果は、互いにある程度良く一致する(図11a〜b)。Cyp1a2遺伝子は構成的に発現するため、これによって、両方の活性アッセイにおいて見られる活性の基礎レベルを説明することができる。Cyp1a1はマウスにおいて誘導後にのみ発現し(Ikeya et al, 1989)、フェノバルビタールはこのP450をC57BL/6Jマウスで誘導しないことが報告されている(Sakuma et al, 1999)。MRODデータ及びERODデータから、酵素活性はWTマウス及びhuPXR/huCARマウスにおいてPB処理によって増加することが分かった。両方のアッセイにおいて、PXRKO/CARKO系におけるPB処理による増加は見られなかった。他のデータはこのような初期の知見と一致するが、PXR/CARマウスパネルを用いた初期のデータから、PB(40mg/kg/4日)がCAR介在経路によってCyo1a2を活性化し得ることが分かった。] [0195] PBで処理したhuPXR/huCARマウスではBQ活性の5倍増加が見られたが、WTマウスでは僅かな増加が認められた(図11c)。これらのデータからマウス株間の明らかな種差が分かるが、これによって、ヒトレポーターはそのマウスカウンターパートと比べてPBに対する感受性が高いことが示される。更に、PBで処理したPXRKO/CARKOマウスではCyp3a11の誘導が無いことからも実証されるように、このメカニズムはレポーターの存在に依存すると思われる。] 図11c [0196] BROD及びPRODはマウスにおけるCyp2b10活性のマーカーである。WTマウス株及びhuPXR/huCARマウス株の両方においては、PBで処理した後に同等レベルでマーカーCyp2b10誘導が見られた(図11d〜e)。しかし、PXRKO/CARKOマウスにおいては、PBに曝露した際、PROD活性やBROD活性は変化しなかった。概して、WTマウス株やhuPXR/huCARマウス株ではPBはP450触媒活性を誘導したが、このようなレセプターを欠いたマウスでは誘導しなかった。これによって、PB介在によるP450誘導がCAR/PXR依存的であることがはっきりと分かる。] [0197] P450活性データによると、プールされたマウス肝ミクロソーム中のCyp2b10及びCyp3a11タンパク質のウェスタンブロッティングによる定量から、両方のP450がWTマウス株やヒト化マウス株ではPBで誘導されるが、PXRKO/CARKOマウスでは誘導されないことが分かった(図12)。更に、Cyp3a11誘導の種差がタンパク質レベルで確認されるが、これによって、PBのヒト受容体に対する感受性がそのマウス等価物に比べて高いことが示唆される。] 図12 [0198] 結論として、肝腫はWTマウス及びhuPXR/huCARマウスにおいてのみ生じたということができる。KO PXR/KO CARでは作用が見られなかった。同じパターンがP450誘導についても見られた。しかし、最も印象的な結果は、肝細胞増殖(DNA前駆体であるBrdUの取り込みによって確認)についてマウスを試験した際に見出された。即ち、WTマウスにおいてのみ肝細胞増殖が示されることが見出された。KOマウス及びヒト化マウスの両方においては何の増殖作用も見られなかった。] [0199] 従って、重要な結論は次の通りである。 ・WTマウスにおいては、PBは肥大や過形成を誘導した。 ・PXRKO/CARKOマウスにおいては、PBは肝腫を誘導しなかった(肥大も過形成も誘導しなかった)。 ・huPXR/huCARマウスにおいては、PBは肥大を誘導したが、過形成を誘導しなかった。] [0200] これらのマウス及びhuPXR/huCAR/huPPARaは、ヒトに対する非遺伝毒性げっ歯類の「肝成長発癌物質」の真の危険性を評価する上で価値が高いであろう。また、これらは、生体異物誘導による肝成長や該成長における種差の複雑さを解明する上で有用なツールも提供するであろう。] 実施例 [0201] 参考文献 Cattley RC, DeLuca J, Elcombe CR, Fenner-Crisp P, Lake BG, Marsman DS, Pastoor TA, Popp JA, Robinson DE, Schwetz B, Tugwood J, Wahli W (1998). 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权利要求:
請求項1 ヒトにおける安全性に関して非遺伝毒性発癌物質をスクリーニングするための方法であって、非遺伝毒性発癌物質に細胞の調製物を曝露することと、生理学的作用をモニターすることとを含む方法において、その動物は、PXR、CAR、PPARα及びAHRから成る群から選択される少なくとも2種の核内転写因子に関してヒト化されており、その動物におけるその内在性等価遺伝子は機能しないようにされている方法。 請求項2 動物は、少なくともPXR及びCAR、PXR及びPPARα、CAR及びPPARα、PXR及びAHR、PPARα及びAHR、又はCAR及びAHRに関してヒト化されている、請求項1に記載の方法。 請求項3 前記動物は、核内転写因子CAR、PXR及びPPARαに関してヒト化されており、その内在性等価遺伝子が機能しないようにされているトランスジェニック非ヒト動物である、請求項1又は請求項2に記載の方法。 請求項4 前記動物はAHR受容体に関して更にヒト化されており、その内在性等価遺伝子は機能しないようにされている、請求項3に記載の方法。 請求項5 前記動物は、核内転写因子CAR、PXR及びAHRに関してヒト化されており、その内在性等価遺伝子が機能しないようにされているトランスジェニック非ヒト動物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 請求項6 前記動物の全ての内在性等価遺伝子は全ての組織において機能しないようにされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 請求項7 前記動物において機能しないようにされた遺伝子の発現レベルは野生型の発現レベルの10%未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 請求項8 ヒト転写因子遺伝子配列は宿主動物染色体内の内在性等価標的遺伝子が自然に生じる位置において挿入されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 請求項9 ヒト転写因子遺伝子は宿主動物染色体内の内在性等価標的遺伝子が自然に生じる位置において挿入され、宿主染色体内の内在性等価標的遺伝子に取って代わっている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 請求項10 前記動物における前記ヒト転写因子遺伝子の転写は宿主動物の一以上の内在性調節配列の制御下にある、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 請求項11 前記動物における前記ヒト置換遺伝子配列の転写は内在性ヒト調節配列の制御下にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。 請求項12 前記動物はCYP3A4、CYP2C9及びCYP2D6の内の1種、2種又は3種全てに関して更にヒト化されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。 請求項13 前記動物はMDR及び/又はMRPに関して更にヒト化されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。 請求項14 前記動物はUGT1Aに関して更にヒト化されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。 請求項15 前記動物はげっ歯動物、より好ましくはマウスである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。 請求項16 有効性スクリーニング、PK/PDモデリング又は薬物の安全性試験に用いられる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。 請求項17 非遺伝毒性発癌物質はPXR、CAR又はPPARαの少なくとも1種のリガンドである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。 請求項18 前記生理学的作用は非遺伝毒性発癌物質の代謝である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。 請求項19 前記生理学的作用は肝腫、P450誘導又は肝細胞増殖である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。 請求項20 ヒトにおける安全性に関して非遺伝毒性発癌物質をスクリーニングするための方法であって、インビトロで非遺伝毒性発癌物質に細胞の調製物を曝露することと、生理学的作用をモニターすることとを含む方法において、細胞は、PXR、CAR、PPARα及びAHRから成る群から選択される少なくとも2種の核内転写因子に関してヒト化された動物に由来し、動物におけるその内在性等価遺伝子は機能しないようにされている方法。 請求項21 核内転写因子CAR、PXR及びPPARαに関してヒト化されており、その内在性等価遺伝子が機能しないようにされているトランスジェニック非ヒト動物。 請求項22 核内転写因子CAR、PXR及びAHRに関してヒト化されており、その内在性等価遺伝子が機能しないようにされているトランスジェニック非ヒト動物。 請求項23 AHR受容体に関して更にヒト化されており、その内在性等価遺伝子が機能しないようにされている、請求項21に記載の動物。 請求項24 全ての内在性等価遺伝子は全ての組織において機能しないようにされている、請求項21〜23のいずれか1項に記載の動物。 請求項25 機能しないようにされた遺伝子の発現レベルは野生型の発現レベルの10%未満である、請求項21〜24のいずれか1項に記載の動物。 請求項26 ヒト転写因子遺伝子配列は宿主動物染色体内の内在性等価標的遺伝子が自然に生じる位置において挿入されている、請求項21〜25のいずれか1項に記載の動物。 請求項27 ヒト転写因子遺伝子は宿主動物染色体内の内在性等価標的遺伝子が自然に生じる位置において挿入され、宿主染色体内の内在性等価標的遺伝子に取って代わっている、請求項21〜26のいずれか1項に記載の動物。 請求項28 前記ヒト転写因子遺伝子の転写は宿主動物の一以上の内在性調節配列の制御下にある、請求項21〜27のいずれか1項に記載の動物。 請求項29 前記ヒト置換遺伝子配列の転写は内在性ヒト調節配列の制御下にある、請求項21〜28のいずれか1項に記載の動物。 請求項30 CYP3A4、CYP2C9及びCYP2D6の内の1種、2種又は3種全てに関して更にヒト化されている、請求項21〜29のいずれか1項に記載の動物。 請求項31 MDR及び/又はMRPに関して更にヒト化されている、請求項21〜30のいずれか1項に記載の動物。 請求項32 UGT1Aに関して更にヒト化されている、請求項21〜31のいずれか1項に記載の動物。 請求項33 げっ歯動物、より好ましくはマウスである、請求項21〜32のいずれか1項に記載の動物。 請求項34 請求項21〜33のいずれか1項に記載の動物から単離された細胞。 請求項35 幹細胞である、請求項34に記載の細胞。 請求項36 胚性幹細胞である、請求項35に記載の細胞。
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同族专利:
公开号 | 公开日 US20110119780A1|2011-05-19| GB0804310D0|2008-04-16| WO2009109769A3|2009-11-05| WO2009109769A2|2009-09-11| EP2268135A2|2011-01-05| CA2717705A1|2009-09-11|
引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
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2012-03-07| A621| Written request for application examination|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120306 | 2014-06-04| A02| Decision of refusal|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140603 |
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