专利摘要:
本発明は、遺伝子多型の解析を使って、抗血小板剤に対する対象の応答を予測または決定するための方法と、血小板凝集と関連する疾患のための処置レジームまたは介入に対する対象の適合性を決定するための方法とを提供する。本発明は抗血小板剤に対する対象の応答の評価における遺伝子多型の使用にも関する。そのような評価に適したヌクレオチドプローブおよびヌクレオチドプライマー、キット、ならびにマイクロアレイも提供する。
公开号:JP2011512788A
申请号:JP2010544255
申请日:2009-01-23
公开日:2011-04-28
发明作者:マーク ウェブスター;アールズ ギュネス;パトリック グラディング;マージャ−リーサ ダール
申请人:セラノスティクス ラボラトリー;
IPC主号:C12Q1-68
专利说明:

[0001] 分野
本発明の分野には、医薬に対する応答、薬物応答を評価するための方法、特定の薬物および薬物処置レジームに対する対象の応答を予測するための方法、ならびに遺伝子多型および変化した遺伝子発現の解析が含まれる。]
背景技術

[0002] 発明の背景
以下の記述には、本発明の理解に役立ち得る情報が含まれている。これは、本明細書において提供する情報のいずれかが、本明細書において記載しまたは主張する発明にとって先行技術であり、または関連技術であることを認めるものではなく、明示的または暗示的に言及した刊行物または文書のいずれかが先行技術であることを認めるものでもない。]
[0003] ヒトゲノミクスの分野における最近の技術的焦点の一つは薬理ゲノミクスであり、これには、薬物の開発および処方にヒトDNA配列の変動性を利用しようとする試みが含まれる。薬理ゲノミクスは、所与の遺伝子型とその結果生じる表現型との間の相関または関連に基づく。薬物有害応答を、2つの薬物代謝酵素(血漿コリンエステラーゼおよびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)におけるアミノ酸変異と結びつける、半世紀以上前の最初の相関研究以来、さまざまな研究が、薬物代謝酵素、薬物ターゲットおよび薬物トランスポーター内の配列多型、および薬物の効力または安全性のレベルの減損との相関について報告してきた。]
[0004] 薬理ゲノミクス情報は、薬物毒性を防止するためまたは処置レジームを開発するために相関情報を使用することができる臨床現場では、とりわけ有用であろう。例えば患者は、6-メルカプトプリンまたはアザチオプリンの代謝の減少を引き起こすチオプリンメチルトランスフェラーゼ遺伝子中の遺伝的差異について、しばしばスクリーニングされる。しかし、観察された薬物毒性のうち、現時点で利用できる薬理ゲノミクスマーカーのセットによって十分に説明できるものは、わずかなパーセンテージでしかない。]
[0005] また、「外れ値(outlier)」個体または(安全でありかつ有効であることが以前に実証されている薬物が投与された時に)臨床治験において予期せぬ効果を経験する個体は、FDA薬物承認取得の著しい遅れを引き起こす場合があり、さらには一定の薬物を、大半の受容者にとってはその薬物が有効であり得るにもかかわらず、市場から撤退させる原因にさえなり得る。]
[0006] ターゲットゲノム領域を同定するために今までに使用されてきたバイオテクノロジー的方法には、例えば、差次的遺伝子発現(これは、本質的に、対照試料と症例試料との間で遺伝子発現の差異を捜す方法である);薬物受容体とその直接的エフェクターとを同定するために使用されるタンパク質-タンパク質相互作用マップ;ならびに公知の疾患関連薬物動態調節因子または薬力学調節因子に似た配列についてヒト配列データベースをマイニングすることが含まれる。これに対し、ゲノム領域を特定の表現型形質と相関させ検証する関連研究は、集団遺伝学とロバスト統計的計量とに依拠している。関連研究は、より多くの情報をより短期間に得るための強力なツールになり、研究努力および開発努力のコストを低下させる。]
[0007] 全てのヒトはその遺伝子構成が99.9%同一であるから、どの2人をとっても、そのDNA配列は、ほぼ同一である。個体間の変異には、例えば、DNA配列の欠失または挿入、非コード領域中の反復DNA要素数の変異、および単一のヌクレオチド位置における変化、すなわち「一塩基多型」(SNP)が含まれる。]
[0008] SNPは関連研究の実施に役立ち、表現型形質に関する潜在的に有用な遺伝子マーカーであると同定されている。医学分野にとって特に興味深い表現型形質には、疾患素因、および特定の薬物または処置レジームに対する応答が含まれる。]
[0009] 例えば最近の研究により、抗血小板剤クロピドグレルに対する応答は多様であり、患者の20〜40%は、ADP誘発性の血小板凝集または血小板活性化の阻害が少ないために、クロピドグレルに対して低レスポンダー(poor responder)または抵抗性であると分類される(Angiolillo DJ et al. (2005);Gurbel PA et al. (2003);Gurbel PA et al. (2006);Gurbel PA, Bliden, KP, Hayes KM et al. (2005);Mobley, JE et al. (2004);およびMuller I et al. (2003))。代謝酵素(例えばシトクロムCYP450系)および腸管吸収機構(例えばp-糖タンパク質排出ポンプ)が、このばらつきの原因であり得る。放射標識エリスロマイシン呼気検査によって測定されるCYP3A4の活性は、クロピドグレルに対する応答との相関関係が立証されたと報告されている(Lau WC et al.)。CYP3A4は、大半の薬物の代謝を担うとされており、この経路は、クロピドグレルをその活性代謝産物へと生体内変換するための主要な制限因子であると考えられてきた。]
[0010] しかしクロピドグレルの代謝はCYP2C19、CYP2C9、そしておそらくはCYP3A5の影響も受け得る(Brandt JT, Close SL et al. (2007)およびSuh JH et al. (2006))。これらの酵素の遺伝子内には、個体を低代謝群(poor-metaboliser)または超高代謝群(ultra-metaboliser)のどちらかにする、詳述された遺伝子多型がいくつか存在する。例えば一般的なCYP2C19*2アレルはこの酵素の機能喪失を示し、保因者は、1日1回75mgのクロピドグレル(Hulot JS et al. (2006)およびFontana P, Senouf D et al. (2007))および300mgの負荷投与量(Brandt JT, Close SL et al (2007))に対して、低下した抗血小板応答を示すと報告されている。CYP3A4多型も、300mgのクロピドグレルに対する低下した応答と関連すると報告されている(Angiolillo DJ et al. (2006);およびFontana P, Hulot JS et al (2006))。CYP3A5機能喪失遺伝子型*3は、経皮的冠動脈介入術(PCI)後の個体における増加したアテローム血栓性事象と関連すると報告されている(Suh JH et al. (2006))。]
[0011] ISAR-CHOICE研究の薬物動態コンポーネントにより、クロピドグレル600mgによる天井効果は薬物の可飽和的腸吸収によるのかもしれないことが示唆された(von Beckerath N et al. (2005))。その後、このプロセスにはp-糖タンパク質排出ポンプが関係するのだろうと提唱された。さらにまた、p-糖タンパク質をコードするABCB1遺伝子の多型(C3435T)は、血漿中親薬物レベルを低下させると報告されている(Taubert D et al.)。しかしこの結果は薬力学的効果に結びつけて解釈されてはいない。]
[0012] 低い薬力学的応答は、いくつかの臨床研究において、有害心事象の高い相対的リスクに関連づけられたと報告されており、これは、クロピドグレルに対する低下した薬力学的応答が臨床上問題であることを示唆している(Ajzenberg,N et al. (2005);Barragan,P et al. (2003);Cuisset,T et al. (2006);Gurbel,PA, Bliden,KP, Samara,W et al. (2005);Gurbel,PA, Bliden,KP, Guyer,K et al. (2005)およびMatetzky,S et al. (2004))。]
[0013] クロピドグレルに対する応答は幅広い個体間変動を示し、多くの個体はこの薬物に対して応答を示さないか、ごくわずかな応答しか示さない。重要なことに、心血管医学における患者の薬理ゲノミクス的検査は、現在、臨床実務に取り入れられつつある。FDAは、最近、ワルファリン療法に先だって行われるVKORC1多型およびCYP2C9多型の薬理遺伝学的検査を承認した。低レスポンダーまたは標準的なナノグラム投薬で出血のリスクがある人々を同定することで、入院患者における罹病のかなりの割合を占める薬物関連合併症を防止し得る。]
[0014] 抗血小板剤に対する対象の応答を決定するために使用することができる、またはさまざまな投与量および投与レジメンを使った一つまたは複数の抗血小板剤による処置に対する対象の適合性を決定するために使用することができる、一つのバイオマーカーまたはバイオマーカーの組合せがあれば、望ましくかつ有利であるだろう。本発明は、そのようなバイオマーカーを提供すると共に、抗血小板薬および薬物処置レジメンに対する応答に関して、対象のこれらの表現型形質を決定するための方法におけるそれらの使用を提供する。]
[0015] 簡単な概要
本明細書において記載し主張する発明は、この簡単な概要において説明しまたは記載しまたは言及するものを含めて(ただしこれらに限るわけではない)、数多くの属性および態様を持つ。これは、包括的なものではなく、本明細書において記載し主張する発明は、制限ではなく例示を目的として記載されるにすぎないこの簡単な概要において特定される特徴または態様には限定されず、それらの特徴または態様によって限定されることもない。]
[0016] ある局面において、本発明は、遺伝子型と薬物応答および/または処置レジームに対する適合性との間の関連を対象において決定する工程に向けられる。]
[0017] したがって、ある局面によれば、抗血小板剤に対する対象の応答を予測または決定する方法であって、以下の工程を含む方法が提供される:
該対象由来の試料を、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の有無について解析する工程:
1. 「CYP2C19*4」「CYP2C19*4遺伝子型」または「CYP2C19*4保因者」ともいわれる、シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーC、ポリペプチド19(CYP2C19)をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);
2. 「CYP2C19*3」「CYP2C19*3遺伝子型」または「CYP2C19*3保因者」ともいわれる、CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A;
3. 「CYP2C19*17」ともいわれる、CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);および
4.核内受容体サブファミリー1、グループI、メンバー2(NR1I2)をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602)(BXR;PAR;PRR;PXR;SAR;SXR;ONR1;PAR1;PAR2;またはPARqともいう)。]
[0018] 本発明の一態様では、前記多型の一つまたは複数の有無が、抗血小板剤に対する対象の応答を示す。ある態様では、前記多型の一つまたは複数の存在が、一般に、抗血小板剤に対する対象の減少した応答を示す。]
[0019] 本発明のもう一つの態様では、以下の多型の一方または両方を、上に列挙した多型1〜5の一つまたは複数または全部と併せて利用することができる:
5. 「CYP3A5*1*1」「CYP3A5*1*1遺伝子型」または「CYP3A5*1*1保因者」ともいわれる、シトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA、ポリペプチド5(CYP3A5)をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);および
6.CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C。]
[0020] これらの多型は、合わせて、「CYP3A5*1」(ヘテロ接合体)または「CYP3A5*1*1」(ホモ接合体)ということができる。この態様では、前記多型の一つまたは複数の存在が、一般に、抗血小板剤に対する対象の減少した応答を示す。もう一つの態様では、前記多型の一つまたは複数の存在が、抗血小板剤に対する対象の増加した応答を示し得る。]
[0021] もう一つの態様では、対象における多型CYP2C19*2、CYP2C19*3およびCYP2C19*4の存在が、増加した投与量の、または増加する投与量の、抗血小板剤に対する、前記対象の強化された応答を示すであろう。ある局面では、前記対象が非レスポンダー(non-responder)または低レスポンダーである。]
[0022] ある態様では、抗血小板剤がチエノピリジンクラスの抗血小板剤から選択される。この態様の一局面では、抗血小板剤が、第2世代クラスのチエノピリジン抗血小板剤から選択される。好ましい一態様では、抗血小板剤がクロピドグレルである。]
[0023] もう一つの態様では、抗血小板剤が第3世代クラスのチエノピリジン抗血小板剤から選択される。好ましい一態様では、抗血小板剤がプラスグレルである。]
[0024] もう一つの好ましい態様では、抗血小板剤がクロピドグレルであり、個体の遺伝子型が、本明細書に記載するCYP2C19*2、CYP2C19*3、CYP2C19*4およびCYP2C9*3の一つまたは複数または全部を含む。さらにもう一つの好ましい態様では、対象の遺伝子型が、CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)TTまたはGTを、単独で、または上述した多型の一つまたは複数もしくは全部と一緒に含む。個体におけるこれらの多型の一つまたは複数の存在は、クロピドグレルに対する低下した応答を示す。]
[0025] 特に好ましい一態様では、抗血小板剤がクロピドグレルであり、個体の遺伝子型がCYP2C19*2およびCYP2C9*3を含む。この多型の組合せは、クロピドグレルによる処置(例えば1日あたり150mgによる処置)後に、対象において、より大きな血小板阻害の変化が起こることを示す。]
[0026] もう一つの好ましい態様では、抗血小板剤がクロピドグレルであり、個体の遺伝子型がCYP2C19*17を含む。この多型は、クロピドグレルによる処置後に、より大きな血小板阻害の変化が起こることを示す。]
[0027] 前記一つまたは複数の多型は、直接検出するか、または該一つもしくは複数の多型と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型の検出によって検出することができる。]
[0028] 本方法は、前記対象由来の試料を以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数のさらなる多型の存在について解析する工程を、さらに含むことができる:
7. 「CYP2C19*2」ともいわれる、CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);
8. 「CYP2C9*3」ともいわれる、シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーC、ポリペプチド9(CYP2C9)をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910);および
9. 「CYP2B6*9」ともいわれる、シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーB、ポリペプチド6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)。]
[0029] この態様において、前記多型の一つまたは複数の存在は、単独で、または上に挙げた多型の一つまたは複数もしくは全部と一緒に、一般に、抗血小板剤に対する対象の減少した応答を示す。ここでも、前記一つまたは複数のさらなる多型の検出は、直接行うか、または該一つもしくは複数のさらなる多型と連鎖不平衡にある多型の検出によって行うことができる。]
[0030] 以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の存在は、抗血小板剤に対する低応答(poor response)または抵抗性を示し得る:CYP3A5*1*1;CYP2C19*4;CYP2C19*3;CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560)TTまたはCT遺伝子型(本明細書ではCYP2C19*17遺伝子型またはCYP2C19*17保因者ともいう);CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285)AAまたはGA遺伝子型(本明細書ではCYP2C19*2遺伝子型またはCYP2C19*2保因者ともいう);CYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910)CCまたはCA遺伝子型(本明細書ではCYP2C9*3遺伝子型またはCYP2C9*3保因者ともいう);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602)GGまたはGA遺伝子型;CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)TTまたはGT。]
[0031] 以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の存在は、抗血小板剤に対する応答性を示し得る:CYP3A5*3*3;CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C TCまたはCC遺伝子型;CYP2C19をコードする遺伝子中の1G/A(rs28399504)AA遺伝子型;CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893)GG遺伝子型;CYP2C19をコードする遺伝子中の-806T>C(rs12248560)CC遺伝子型;CYP2C19をコードする遺伝子中の19154A>G(rs4244285)GG遺伝子型;CYP2C9をコードする遺伝子中の42614C>A(rs1057910)AA遺伝子型;またはNR1I2をコードする遺伝子中の275G>A(rs1464602)AA遺伝子型;CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)GG遺伝子型。]
[0032] 好ましくは、抗血小板剤はチエノピリジン類、より好ましくはクロピドグレルである。]
[0033] 本発明の方法は、冠状動脈疾患、急性冠症候群、末梢血管疾患、症候性アテローム性動脈硬化を含むアテローム性動脈硬化、脳血管疾患、血栓塞栓症を含む、血小板凝集と関連する疾患もしくは症状のリスクがある対象、またはそのような疾患もしくは症状を患っている対象、またはこれらの疾患もしくは症状の一つまたは複数について、ステントの設置、バイパス手術、弁置換を含む外科的処置を含む処置を受けている対象、またはそのような処置を受けたことがある対象において、特に有用である。]
[0034] 以下の議論が、一つまたは複数の抗血小板剤に対する対象の応答を予測または決定するのに有用な本発明の局面に言及する場合、本発明のこれらの局面が、処置レジームに関する対象の適合性の決定、好ましくは、(クロピドグレルを含む)第2世代チエノピリジン抗血小板剤および(プラスグレルを含む)第3世代チエノピリジン抗血小板剤)を含む、チエノピリジンクラスの抗血小板剤から選択される抗血小板剤を含む抗血小板剤による、予防的処置または治療的処置に対する対象の適合性の決定にも有用であることは、理解されるであろう。]
[0035] 本発明の方法では、多型または多型の組合せのいくつかのカテゴリー-すなわち、一つまたは複数の抗血小板剤に対する低応答または抵抗性と関連するもの(本明細書においては「抵抗性多型」という)、一つまたは複数の抗血小板剤に対する応答と関連するもの(本明細書においては「応答性多型」という)、一つまたは複数の抗血小板剤処置レジメンに対する応答と関連するもの、および一つまたは複数の抗血小板剤のさまざまな投与量(増加した投与量を含む)に対する応答と関連するものが同定されることは、理解されるであろう。]
[0036] これらのSNPは、個体をレスポンダーカテゴリー、すなわち、レスポンダー、軽度に低下した応答(mildly reduced response)、中等度に低下した応答(moderately reduced response)、または非レスポンダーに、層別化することを可能にするスコアリングシステムに集約することができる。同定された抵抗性多型のいずれか一つが存在しない場合、その個体は、レスポンダーカテゴリーに入れられる。]
[0037] したがって本発明はさらに、
抗血小板剤に対する低応答または抵抗性と関連する少なくとも一つの抵抗性多型の有無を決定する工程を含み、
少なくとも一つの抵抗性多型の存在が抗血小板剤に対する低応答または抵抗性を示す、抗血小板剤に対する対象の応答を予測または決定する方法を提供する。]
[0038] ここでも、処置レジームまたは投与量に関する対象の適合性を決定するために、好ましくは、ある抗血小板剤レジームまたは投与量による予防的または治療的処置に対する対象の適合性の決定に、上記の局面を使用できることは理解されるであろう。]
[0039] 本発明の好ましい一形態では、全ての応答性多型の存在が、抗血小板剤に対する応答を示す。]
[0040] 本発明のもう一つの好ましい形態では、2つ以上の抵抗性多型の存在が、抗血小板剤にた低応答または抵抗性を示す。]
[0041] もう一つの局面において、本発明は、抗血小板剤に対する対象の応答を予測または決定する方法であって、該対象由来の試料の一つまたは複数の遺伝子検査の結果を提供する工程、および該結果を、本明細書に記載する群から選択される一つまたは複数の多型(またはこれらの多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型)の有無、またはCYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);またはこれらの多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の有無について、解析する工程を含み、前記多型の一つまたは複数の有無を示す結果が抗血小板剤に対する対象の応答を示す方法を提供する。]
[0042] さらなる局面では、以下の多型からなる群より選択される2つ以上の多型の解析を含む、抗血小板剤に対する対象の応答を予測または決定する方法が提供される:CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);またはこれらの多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型。]
[0043] 本発明の一形態では、本明細書に記載する方法が、抗血小板剤に対する応答と関連する一つまたは複数のリスク因子(一つまたは複数の疫学的リスク因子を含む)の解析と併せて行われる。そのような疫学的リスク因子には、喫煙もしくはタバコの煙への曝露、年齢、性別、および、冠状動脈疾患、急性冠症候群、末梢血管疾患、症候性アテローム性動脈硬化を含むアテローム性動脈硬化、脳血管疾患、血栓塞栓症を含む血小板凝集と関連する疾患もしくは症状の家族歴、またはこれらの疾患もしくは症状の一つまたは複数についてステントの設置、バイパス手術、弁置換などを含む外科的処置を含む処置を受けている対象、もしくはそのような処置を受けたことがある対象が含まれるが、これらに限るわけではない。]
[0044] さらなる局面において、本発明は、抗血小板剤に対する対象の応答の評価における、以下の多型からなる群より選択される少なくとも一つの多型の使用を提供する:CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274);または前記多型の任意の一つと連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型。]
[0045] 任意で、前記の使用は、以下の多型からなる群より選択される少なくとも一つのさらなる多型の使用と併せて行うことができる:CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);CYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910);CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274);またはこれらの多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型。]
[0046] もう一つの局面において、本発明は、本明細書に記載する本発明の好ましい方法で使用するためのヌクレオチドプローブおよび/またはプライマーのセットを提供する。好ましくは、ヌクレオチドプローブおよび/またはプライマーは、遺伝子の多型領域をまたぐもの、または遺伝子の多型領域をまたぐように使用することができるものである。本明細書に記載するプローブおよび/またはプライマーのいずれか一つの配列を含む一つまたは複数のヌクレオチドプローブおよび/またはプライマーも提供される。]
[0047] なおさらなる局面において、本発明は、本明細書に記載する抵抗性多型または応答性多型の一つまたは複数をコードする核酸配列にハイブリダイズする能力を持つ核酸配列またはそれに相補的な配列を提示している基材を含む、本発明の方法において使用するための核酸マイクロアレイを提供する。]
[0048] もう一つの局面において、本発明は、本明細書に記載する抵抗性多型または応答性多型と関連している場合にその発現がアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる遺伝子の発現産物に結合する能力を持つ抗体を提示している基材を含む、本発明の方法において使用するための抗体マイクロアレイを提供する。]
[0049] なおさらなる局面において、本発明は、血小板凝集と関連する疾患の診断的または治療的介入に関する対象の適合性を評価する方法であって、a)該対象由来の試料の一つまたは複数の遺伝子検査の結果を提供する工程、およびb)該結果を、一つもしくは複数の応答性多型の有無について、または一つもしくは複数の抵抗性多型の有無について、解析する工程を含み、該応答性多型または抵抗性多型が、CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);または前記多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型からなる群より選択され、一つまたは複数の抵抗性多型の存在が前記介入に関する対象の適合性または不適合性を示す方法を提供する。]
[0050] ある態様では、介入が、冠状動脈疾患、急性冠症候群、末梢血管疾患、症候性アテローム性動脈硬化を含むアテローム性動脈硬化、脳血管疾患、血栓塞栓症を含む、血小板凝集と関連する疾患もしくは症状に関する診断検査、またはこれらの疾患もしくは症状の一つまたは複数についての、ステントの設置、バイパス手術、弁置換などを含む外科的処置を含む処置を受けている対象、もしくはそのような処置を受けたことがある対象のための診断検査である。]
[0051] もう一つの態様では、介入が、冠状動脈疾患、急性冠症候群、末梢血管疾患、症候性アテローム性動脈硬化を含むアテローム性動脈硬化、脳血管疾患、血栓塞栓症を含む、血小板凝集と関連する疾患もしくは症状の治療、またはこれらの疾患もしくは症状の一つまたは複数についての、薬物溶出冠動脈ステントを植え込むべきかベアメタル冠動脈ステントを植え込むべきかの決定を含むステントの設置、バイパス手術、弁置換などを含む外科的処置を含む処置を受けている対象、もしくはそのような処置を受けたことがある対象のための治療であり、より好ましくは前記疾患または症状の予防的治療である。]
[0052] 好ましくは、本方法は、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数のさらなる応答性多型または抵抗性多型の有無に関する解析を含む:CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);CYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910);CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274);またはこれらの多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型。]
[0053] なおさらなる局面において、本発明は、血小板凝集と関連する疾患または症状の診断的または治療的介入に関する対象の適合性の決定における、抗血小板剤に対する対象の応答性を予測するデータの使用であって、該データは本明細書に記載する遺伝子解析の一つまたは複数から選択される少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析の結果を含むか、そのような結果からなるか、またはそのような結果を包含し、該データが前記介入に関する対象の適合性または不適合性を示す使用を提供する。]
[0054] 例えば決定は、薬物溶出冠動脈ステントを植え込むべきかベアメタル冠動脈ステントを植え込むべきかの決定である。ある態様では、データが一つまたは複数の応答性多型の存在を表すか、一つまたは複数の応答性多型の非存在を表すか、一つまたは複数の抵抗性多型の存在を表す。]
[0055] もう一つの局面において、本発明は、データを受信し、処理し、伝達するためのコンピュータプロセッサ手段と、抗血小板剤に対する応答に関するまたは血小板凝集と関連する疾患もしくは症状に関する少なくとも一つの遺伝子解析の結果のリファレンス遺伝情報データベース、および任意で血小板凝集と関連する疾患または症状に関する非遺伝的リスク因子のリファレンス非遺伝情報データベースを含むデータを記憶するための記憶手段と、リファレンス遺伝情報データベースにデータが含まれている遺伝子解析の結果からなるデータまたはそのような遺伝子解析の結果を含むデータを受信し次第、該リファレンスデータベースに照らして該データを処理し、その結果として、抗血小板剤に対する対象の応答を決定し、該結果が、分かり次第、好ましくは該データを入力したユーザーに伝達可能である、該コンピュータプロセッサ内に組み込まれたコンピュータプログラムとを含む、抗血小板剤に対する対象の応答を決定するためのシステムを提供する。]
[0056] 好ましくは、前記少なくとも一つの遺伝子解析が、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の解析である:CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);またはNR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);該一つもしくは複数の多型と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型。]
[0057] ある態様では、データが医療提供機関の代表者によって入力される。もう一つの態様では、データが対象、その医療アドバイザーまたは他の代理人によって入力される。好ましくは、前記システムは、インターネットを介して、またはパーソナルコンピュータによってアクセス可能である。]
[0058] 好ましくは、前記リファレンス遺伝情報データベースは、本明細書に記載する遺伝子解析の一つまたは複数から選択される抗血小板剤応答関連遺伝子解析の結果、好ましくは、CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);CYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910);または該一つもしくは複数の多型と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の解析の結果からなるか、そのような結果を含むか、またはそのような結果を包含する。]
[0059] より好ましくは、前記リファレンス遺伝情報データベースが、CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);またはNR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602)からなる群より選択される多型の任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ、または全部の解析の結果からなるか、そのような結果を含むか、またはそのような結果を包含する。リファレンス遺伝情報データベースは、さらに、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数のさらなる多型の解析の結果を含むか、またはそのような結果を包含することができる:CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274);またはCYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910)。より好ましくは、該リファレンス遺伝情報データベースは、本明細書に記載する全ての遺伝子解析の結果からなる、またはそのような結果を含む、またはそのような結果を包含する。]
[0060] なおさらなる局面において、本発明は、受信したデータ(少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析の結果からなるか、またはそのような結果を包含するもの)を、該少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析の結果のリファレンス遺伝情報データベースおよび任意で血小板凝集と関連する疾患または症状に関する非遺伝的リスク因子のリファレンス非遺伝情報データベースの両方に照らしてコンピュータプログラムに処理させるためのプログラムコードが組み込まれているコンピュータ使用可能媒体を含む、上に定義したシステムにおける使用に適したコンピュータプログラムを提供する。]
[0061] 好ましくは、少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析は、本明細書に記載する遺伝子解析の一つまたは複数から選択され、好ましくは、少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析は、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の解析である:CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);または該一つもしくは複数の多型と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型。好ましくは、少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析は、この群から選択される多型の任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ、または全部の解析である。]
[0062] 少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析は、さらに、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数のさらなる多型の解析も含むことができる:CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274);またはCYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910)。]
[0063] 好ましくは、少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析は、本明細書に記載する遺伝子解析の解析である。]
[0064] 血小板凝集と関連する疾患または症状の診断的または治療的介入に関する対象の適合性を決定するための、上述のコンピュータシステムおよびコンピュータプログラムも提供される。]
[0065] なおさらなる局面において、本発明は、抗血小板剤に対する対象の応答の予測または決定における、血小板凝集と関連する疾患または症状に対する対象の素因を予測するデータの使用であって、該データは本明細書に記載する遺伝子解析の一つまたは複数から選択される少なくとも一つの抗血小板剤応答関連遺伝子解析の結果を含むか、そのような結果からなるか、またはそのような結果を包含し、該データが抗血小板剤に対する対象の応答を表す使用を提供する。]
[0066] 好ましくは、データは、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の解析の結果を含むか、そのような結果からなるか、そのような結果を包含する:CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);または該一つもしくは複数の多型と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型。]
[0067] より好ましくは、データは、上記の多型の2つ以上、3つ以上、4つ以上、または全部の解析の結果を含むか、そのような結果からなるか、またはそのような結果を包含する。より好ましくは、データは、本明細書に記載する遺伝子解析の全部の結果を含むか、そのような結果からなるか、またはそのような結果を包含する。]
[0068] さらなる一局面において、本発明は、対象由来の試料を本明細書において開示する一つまたは複数の多型の有無について解析する手段を含む、抗血小板剤に対する対象の応答を評価するためのキットを提供する。]
[0069] なおさらなる局面において、本発明は、a)対象由来の試料における血小板阻害の一つまたは複数の検査の結果を提供する工程;およびb)その結果を解析する工程を含み、約10%未満の血小板阻害を示す結果が、その介入に関する対象の適合性または不適合性を示す、血小板凝集と関連する疾患のための治療的介入に関する対象の適合性を評価する方法を提供する。]
[0070] 好ましくは、治療的介入が例えばクロピドグレルによる処置である。あるいは、治療的介入がプラスグレルによる処置である。]
[0071] 好ましくは、血小板阻害の検査は、クロピドグレルの投与後の血小板阻害の検査であり、好ましくはクロピドグレルの投与の約2時間後における血小板阻害の検査である。]
[0072] 好ましくは、血小板阻害の検査は、迅速血小板機能アナライザ(rapid platelet function analyser)を使って、より好ましくはVerifyNow迅速血小板機能アナライザを使って、より好ましくはVerifyNow迅速血小板機能アナライザをP2Y12カートリッジと一緒に使って測定される。]
[0073] ある態様では、約5%未満の血小板阻害、約4%未満の血小板阻害、約3%未満の血小板阻害、または好ましくは約2%未満の血小板阻害という結果が、その治療的介入に関する対象の不適合性を示し、より好ましくはクロピドグレルによる処置に関する対象の不適合性を示す。]
[0074] もう一つの態様では、約5%未満の血小板阻害、約4%未満の血小板阻害、約3%未満の血小板阻害、または好ましくは約2%未満の血小板阻害という結果が、その治療的介入に関する対象の適合性を示し、より好ましくはプラスグレルによる処置に関する対象の適合性を示す。]
[0075] もう一つの態様では、約10%未満の血小板阻害、約5%未満の血小板阻害、約4%未満の血小板阻害、約3%未満の血小板阻害、または好ましくは約2%未満の血小板阻害という結果が、その治療的介入に関する対象の適合性を示し、より好ましくはクロピドグレルの高投与量処置レジメンに関する対象の適合性を示し、より好ましくは、約1200mgの負荷投与量および約150mgの1日維持投与量でのクロピドグレルの投与を含むクロピドグレルの高投与量処置レジメンに関する対象の適合性を示す。]
[0076] さらなる局面では、血小板凝集と関連する疾患に関する、抗血小板剤の投与を含む対象の処置レジメンの効力を予測または決定する方法であって、a)該対象由来の試料における血小板阻害の一つまたは複数の検査の結果を提供する工程;およびb)その結果を解析する工程を含み、約10%未満の血小板阻害を示す結果がその処置レジメンの低下した効力を示す方法が提供される。]
[0077] 好ましくは、効力は長期効力であり、より好ましくは、1週間の処置後、1ヶ月の処置後、または約1ヶ月〜1年の処置後の、処置レジメンの効力である。]
[0078] 好ましくは、抗血小板剤は例えばクロピドグレルである。]
[0079] 好ましくは、処置レジメンは、約600mgの負荷投与量および約75mgの1日維持投与量でのクロピドグレルの投与を含む。]
[0080] 好ましくは、血小板阻害の検査が、クロピドグレルの投与後の血小板阻害の検査、好ましくはクロピドグレルの投与の約2時間後における血小板阻害の検査である。]
[0081] 好ましくは、血小板阻害の検査は、迅速血小板機能アナライザを使って、より好ましくはVerifyNow迅速血小板機能アナライザを使って、より好ましくはVerifyNow迅速血小板機能アナライザをP2Y12カートリッジと一緒に使って測定される。]
[0082] ある態様では、約5%未満の血小板阻害、約4%未満の血小板阻害、約3%未満の血小板阻害、または好ましくは約2%未満の血小板阻害という結果が、処置レジメンの低下した効力を示し、より好ましくはクロピドグレルによる処置の低下した効力を示し、より好ましくは約600mgの負荷投与量および約75mgの1日維持投与量でのクロピドグレルによる処置の低下した効力を示す。]
[0083] なおさらなる局面において、本発明は、対象における血小板凝集と関連する疾患を処置する方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:a)処置の1日目に、600mg超から約1800mgまでの範囲にある負荷投与量のクロピドグレルを、対象に投与する工程;b)以降の処置の各日に、50mg超から約200mgまでの範囲にある維持投与量のクロピドグレルを、対象に投与する工程。]
[0084] 好ましい態様において、負荷投与量は600mg超から約1500mgまでの範囲、より好ましくは900mg超から約1500mgまでの範囲にあり、より好ましくは負荷投与量は約1200mgである。]
[0085] 好ましい態様において、維持投与量は約50mg〜約200mg、より好ましくは約75mg〜約150mgであり、より好ましくは1日維持投与量は約150mgである。]
[0086] 好ましくは、対象が、クロピドグレル非レスポンダーまたは低レスポンダーと同定された対象であり、より好ましくは、対象が、本発明の方法を使ってクロピドグレル非レスポンダーまたは低レスポンダーと同定された対象である。]
[0087] もう一つの局面において、本発明は、a)処置の1日目に、300mg超から約900mgまでの範囲にある第1負荷投与量のクロピドグレルを、対象に投与する工程;b)処置の1日目に、300mg超から約900mgまでの範囲にある第2負荷投与量のクロピドグレルを、対象に投与する工程;c)以降の処置の各日に、50mg超から約200mgまでの範囲にある維持投与量のクロピドグレルを、対象に投与する工程、を含み、第2負荷投与量が第1負荷投与量の少なくとも約30分後に投与される、対象における血小板凝集と関連する疾患を処置する方法を提供する。]
[0088] 好ましい態様では、第1負荷投与量が600mgである。もう一つの好ましい態様では、第2負荷投与量が600mgである。]
[0089] 好ましくは、第2負荷投与量が、第1負荷投与量の約30分後から約4時間後までの間、好ましくは第1負荷投与量の約45分後から3時間までの間、より好ましくは第1負荷投与量の約1時間後から約2.5時間後までの間、より好ましくは第1負荷投与量の約2時間後に投与される。]
[0090] 好ましい一態様では、維持投与量が約50mg〜約200mg、より好ましくは約75mg〜約150mgであり、より好ましくは1日維持投与量が約150mgである。]
[0091] 本発明はさらに、クロピドグレルを含む複数の剤形と、クロピドグレルが上述した本発明の処置方法に従って投与されることを規定する、血小板凝集と関連する疾患を患っている患者へのそのクロピドグレルの投与に関する指示書とを含む、製造物を提供する。]
[0092] 好ましくは、指示書は、クロピドグレルが処置の1日目に約1200mgの負荷投与量で投与された後、以降の処置の各日に約150mgの維持投与量で投与されることを規定する。]
[0093] 好ましくは、複数の剤形は、少なくとも一つの負荷投与量剤形と、少なくとも一つの維持投与量剤形とを含み、該少なくとも一つの負荷投与量剤形は、約1200mgの総投与量を与え、維持投与量剤形は約150mgを含む。]
[0094] 好ましくは、指示書は、クロピドグレルが処置の1日目に約600mgの第1負荷投与量で投与されること、およびクロピドグレルが第1負荷投与量の少なくとも約30分後に約600mgの第2負荷投与量で投与されること、および以降の処置の各日に約150mgクロピドグレルの維持投与量が投与されることを規定する。]
[0095] 好ましくは、複数の剤形が、少なくとも2つの負荷投与量剤形と少なくとも一つの維持投与量剤形とを含み、該少なくとも2つの負荷投与量剤形が約1200mgクロピドグレルの総投与量を与え、維持投与量剤形が約150mgのクロピドグレルを含む。好ましくは、該少なくとも2つの負荷投与量剤形はそれぞれに約600mgのクロピドグレルを含む。]
[0096] 好ましくは、剤形は経口剤形である。]
[0097] 上記の方法における使用に適した医薬品または剤形の製造におけるクロピドグレルの使用も提供される。]
図面の簡単な説明

[0098] 血小板活性化のアゴニストおよび抗血小板剤を表す図である。
2つの時間間隔における血小板機能応答間の関係と、クロピドグレル投薬後の早い方の時間間隔に基づく、その後の血小板活性阻害(Inhibition of Platelet Activity)の予測可能性とを示すピアソン相関マトリクスを表す図である。2時間における2パーセント未満の血小板阻害により、100%の感度および88%の特異性で、7時間における無応答(<10パーセントの阻害)が予測された。
クロピドグレル600mgの2時間後における血小板阻害を表す図である。CYP2C19*2保因者およびCYP2C19*4保因者がCYP2C19酵素の機能喪失を示すのに対し、CYP2C19*17は機能の獲得を表す。P値はクラスカル・ワリス検定を使って算出。
CYP2C19*1*1正常保因者における第2クロピドグレル負荷投与量の2時間後の血小板阻害を表す図である。*1保因者は正常なCYP2C19酵素機能を示す。P値はマン・ホイットニー検定を使って算出。
CYP2C19*2または*4機能喪失保因者における第2クロピドグレル負荷投与量の2時間後の血小板阻害を表す図である。
CYP2C19正常保因者における7日時点での血小板阻害を表す図である。
CYP2CIP*2または*4機能喪失保因者における7日時点での血小板阻害を表す図である。
投与量を問わず、全ての個体にわたって、低レスポンダー遺伝子型(CYP2C19およびCYP2C9)の相加効果を表す図である。P値はウィルコクソン検定を使って算出。
抵抗性遺伝子型の数を2時間時点における血小板阻害に対してプロットした、クロピドグレルレスポンダー状態に関する遺伝子型リスクスコアを表す図である。P値はウィルコクソン検定を使って算出。]
[0099] 好ましい態様の説明
薬理遺伝学および薬理ゲノミクスという用語ならびにそれらと文法上等価な用語は、本明細書では可換的に使用される。これらの用語は、個体の遺伝子が薬物に対するその個体の応答をどのように決定するか(例えば患者の「薬物応答表現型」または「薬物応答遺伝子型」)の研究を指す。薬理ゲノミクスは、臨床家または医師が、予防的処置または治療的処置を患者、例えばその処置から最も多くの利益を得るであろう患者に、ターゲティングすることを可能にし、あるいは毒性薬物関連副作用または低下した効力もしくは無効力を経験するであろう患者の処置を回避することを可能にする。]
[0100] 症例対照研究を使って、冠動脈介入術を受ける対象における候補遺伝子のいくつかの遺伝子変異体(多型)の頻度が比較された。これらの候補遺伝子の大半は、遺伝子発現またはタンパク質機能に対して、確認された(または可能性が高い)機能的効果を持つ。具体的には、低い薬物応答を持つ対象と良好な薬物応答を持つ対象の間で、多型の頻度が比較された。]
[0101] 本明細書に記載する一態様では、抵抗性遺伝子多型と応答性遺伝子多型の両方が同定される。それらは以下のとおりである:]
[0102] 抵抗性遺伝子多型(本明細書においては抵抗性多型ともいう)は、それが存在する場合に、抗血小板剤に対する低応答または抵抗性を示す多型である。これに対し、応答性遺伝子多型(本明細書においては応答性多型ともいう)は、それが存在する場合に、抗血小板剤に対する応答を示す多型である。]
[0103] 本明細書において使用される用語「応答」は、抗血小板剤に関連して使用される場合、抗血小板剤の効果に対する対象の感受性を意味し、該対象におけるその薬剤の効力を指す。]
[0104] したがって、「抗血小板剤に対する応答」という表現は、そのような応答を持つ対象が、抗血小板剤に応答する遺伝的性向または傾向を有すること、または該対象が抗血小板剤の効果に対して、その抗血小板剤が効力を持つように、感受性を示すことを意味する。これは、必ずしも、そのような人が、所与の抗血小板剤に対して任意の時点で常に応答するであろうことを意味するのではなく、単に、その人が、低応答もしくは抵抗性と関連する多型を有するか、または抗血小板剤に対する応答と関連する多型(本明細書においては応答性多型という)を有さない個体の母集団と比較して、応答する可能性が高いことを意味するに過ぎない。]
[0105] 同様に、「抗血小板剤に対する低応答または抵抗性」という表現は、そのような低応答または抵抗性を持つ対象が、抗血小板剤に応答しにくい遺伝的性向を持つか、抗血小板剤に応答する遺伝的傾向が低下していること、または対象が抗血小板剤の効果に対して、抗血小板剤が減少した効力を持つか、効力を持たないように、減少した感受性を示すことを意味する。したがって低応答または抵抗性は無応答を包含する。これは、必ずしも、そのような人が所与の抗血小板剤に対してどの時点でも決して応答しないであろうことを意味するのではなく、単に、その人が、低応答もしくは抵抗性と関連する多型を有さないか、または抗血小板剤に対する応答と関連する多型(本明細書においては応答性多型という)を有する個体の母集団と比較して、応答しない可能性が高いことを意味するに過ぎない。]
[0106] 抗血小板剤に対する対象の応答は、該対象由来の試料を、以下の多型からなる群より選択される多型の有無について解析することによって決定することができる:シトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA、ポリペプチド5(CYP3A5)をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーC、ポリペプチド19(CYP2C19)をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーC、ポリペプチド19(CYP2C19)をコードする遺伝子中の636G>A;CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);または上記の群の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型。]
[0107] これらの多型は、2つ以上を組み合わせて解析するか、上に列挙した残りの多型を含む、抗血小板剤に対する対象の応答を示す他の多型と組み合わせて解析することもできる。特に、これらの多型は、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型と組み合わせて解析することができる:CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーC、ポリペプチド9(CYP2C9)をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910);またはシトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーB、ポリペプチド6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)。]
[0108] 多型の組合せが関わるアッセイ(マイクロアレイを利用するものなど、高スループットに適合するアッセイを含む)は好ましい。]
[0109] したがってある局面では、抗血小板剤に対する対象の応答を予測または決定する方法であって、CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G/A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602)からなる群より選択される一つまたは複数の多型の有無について、該対象由来の試料を解析する工程を含み、前記多型の一つまたは複数の有無が抗血小板剤に対する対象の応答を示す方法が提供される。]
[0110] 前記一つまたは複数の多型は、直接検出するか、該一つまたは複数の多型と連鎖不平衡にある一つまたは複数の多型の検出によって検出することができる。]
[0111] 連鎖不平衡(LD)は、2つ以上の突然変異または多型が共遺伝するほど遺伝子近接しているという遺伝学における現象である。これは、遺伝子型解析において一方の多型の存在の検出が他方の存在を暗示することを意味する(Reich DE et al; Linkage disequilibrium in the human genome, Nature 2001, 411:199-204)。]
[0112] 本方法は、以下の多型からなる群より選択される一つまたは複数のさらなる多型の存在について、該対象由来の試料を解析する工程を、さらに含むことができる:CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーC、ポリペプチド9(CYP2C9)をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910);CYP2B6をコードする遺伝子中の516G/T(rs3745274)。ここでも、前記一つまたは複数のさらなる多型の検出は直接行うか、該一つまたは複数のさらなる多型と連鎖不平衡にある多型の検出によって行うことができる。]
[0113] CYP2C19をコードする遺伝子中の1A>G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C>T(rs12248560);CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G>A(rs4244285);CYP2C9をコードする遺伝子中の42614A>C(rs1057910);NR1I2をコードする遺伝子中の275A>G(rs1464602);CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)からなる群より選択される一つまたは複数の多型の存在は、抗血小板剤に対する低応答または抵抗性を示し得る。]
[0114] これらのSNPが薬物応答に対する抵抗性に及ぼす効果は相加的であるので、例えば、2つの抵抗性多型の存在は、一つの抵抗性多型の存在によって示されるものよりも強い抵抗性を示し、3つの抵抗性多型の存在は、2つの抵抗性多型の存在によって示されるものよりも強い抵抗性を示すということになる。同じ遺伝子内のSNPは相加的ではなく、1つのSNPによって遺伝子機能が低下する場合、同じ遺伝子中の2つ目の異なるSNPが加わっても、機能がさらに低下することはない。したがって、抵抗性多型の有無を組み合わせることで、個体を確率論的にレスポンダー状態に類別するスコアにすることができる。例えば、以下の遺伝子型には、いずれも、この例では+1という抵抗性値が割り当てられる(全ての抵抗性多型に負の値を割り当てるのであれば負の値を割り当ててもよいことは理解されるであろう):CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504)GGまたはGA遺伝子型(本明細書においてはCYP2C19*4遺伝子型またはCYP2C19*4保因者ともいう);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560)TTまたはCT遺伝子型(本明細書においてはCYP2C19*17遺伝子型またはCYP2C19*17保因者ともいう);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G/A(rs4986893)AAまたはAG遺伝子型(本明細書においてはCYP2C19*3遺伝子型またはCYP2C19*3保因者という);CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285)AAまたはGA遺伝子型(本明細書においてはCYP2C19*2遺伝子型またはCYP2C19*2保因者ともいう);CYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910)CCまたはCA遺伝子型(本明細書においてはCYP2C9*3遺伝子型またはCYP2C9*3保因者ともいう);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602)GGまたはGA遺伝子型;CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)TTまたはGT(本明細書においてはCYP2B6*9遺伝子型ともいう)。]
[0115] 次にレスポンダー状態は以下のように決定することができる。上記遺伝子型がいずれも存在しない場合(例示的スコアリングにおける総スコア0に相当)は、その対象をレスポンダーと同定する。一つの抵抗性遺伝子型の存在(例示的スコアリングにおける総スコア1に相当)は、その対象を、軽度に低下した応答を持つと同定し、一方、2つの抵抗性遺伝子型の存在(例示的スコアリングにおける総スコア2に相当)は、その対象を、中等度に低下した応答を持つと同定する。3つまたは4つの抵抗性遺伝子型の存在(例示的スコアリングにおける総スコア3または4に相当)は、その対象を、非レスポンダーと同定する。]
[0116] 対象にとって好適な処置レジームを決定するためにそのようなスコアリングシステムを使用できることは理解されるであろう。例えば0というスコアは、例えばクロピドグレルによる処置が適していることを示す。1または2というスコアは、より高投与量のクロピドグレルか、プラスグレルなどの代替抗血小板剤が考慮されるべきであることを示し、一方、≧3のスコアは、プラスグレルなどの代替抗血小板剤が考慮されるべきであることを示す。CYP2C19をコードする遺伝子中の1G/A(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の19154A>G(rs4244285); 「CYP2C19*3」ともいわれる、CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C9をコードする遺伝子中の42614C>A(rs1057910);NR1I2をコードする遺伝子中の275G>A(rs1464602);またはCYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)からなる群より選択される一つまたは複数の多型の存在は、抗血小板剤に対する応答性を示し得る。CYP2C19をコードする遺伝子中の-806T>C(rs12248560)の存在はマイナス1とスコア化することができる。]
[0117] 上述の例示的スコアリングシステムを使用する場合、上記の応答性多型に、それぞれ0という値を割り当て得ることは明白だろう。]
[0118] 統計的解析、特にこれらの多型の複合的効果の統計的解析により、本発明の遺伝子アッセイは、ある処置レジーム(好ましくは抗血小板剤による予防的または治療的処置)に対する任意の対象の適合性を決定するために、特に抗血小板剤に対して低応答または抵抗性を持つ対象を同定するために使用できることが示される。そのような複合的解析は、抵抗性多型のみの組合せ、応答性多型のみの組合せ、または両者の組合せの解析であることができる。解析は、応答性多型の有無の解析をまず最初に行い、応答性多型が存在しない場合にのみ、次に抵抗性多型の解析に移るというように、段階的であることもできる。]
[0119] したがって、本明細書に記載する明確な対象群におけるこれらの多型の頻度の体系的な解析により、一定の遺伝子およびタンパク質を抗血小板剤に対する応答に関係づけ、どの対象が抗血小板剤に対して低応答または抵抗性を持つかをより良く同定できるようにすること、および特定の処置レジームから利益を得るであろう対象を同定することが可能である。]
[0120] したがって本発明のもう一つの局面は、一つまたは複数の薬剤、好ましくは一つまたは複数の抗血小板剤による、個体の予防的処置または治療的処置を、その個体の薬物応答遺伝子型に応じてテーラリング(tailoring)するための方法を提供する。]
[0121] 抗血小板剤
本明細書において使用する用語「抗血小板剤」およびこれと文法上等価な用語は、血小板凝集を低減させまたは阻止する薬剤(薬物、化合物、生物製剤またはそれらの組合せを含む)を指す。]
[0122] 抗血小板剤はさまざまな作用機序を持つ。血小板は、トロンボキサン、アデノシン二リン酸(ADP)、トロンビン、セロトニンおよびコラーゲンなどの、いくつかの生理的アゴニストによって活性化される。血流の物理的性質であるずれ応力も重要な役割を果たす。血小板は、主にトロンビン生成によって、自らの凝集を誘導して、増幅反応をもたらす能力を持つ。]
[0123] 血小板アゴニストが広範囲にわたるにもかかわらず、市販の薬物が標的とする経路は4つしかなく、図1に示すように、それらは当技術分野では周知である。アスピリンおよび非ステロイド性抗炎症薬などのトロンボキサン経路阻害剤、チエノピリジン類であるチクロピジン、クロピドグレルおよびプラスグレルなどのP2Y12受容体アンタゴニスト、ジピリダモールおよびシロスタゾールなどのホスホジエステラーゼ阻害剤、ならびにアブシキシマブ、エプチフィバチドおよびチロフィバンを含む糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤がある。]
[0124] 一定の態様において、本発明が対象とする抗血小板剤は、CYP3A5、CYP2C19、CYP2C9、CYP2B6*9、およびNR1I2遺伝子を含む遺伝子の群の一つまたは複数がコードする遺伝子産物によって代謝されるか他の何らかの形で除去される抗血小板剤である。]
[0125] チエノピリジン類は、血小板の活性化および血小板凝集塊の安定化に関与する血小板P2Y12アデノシン二リン酸(ADP)受容体と反応してそれを不可逆的に阻害する活性代謝産物に、インビボで変換されるプロドラッグである[Savi,P, Herbert JM (2005);Sugidachi,A et al. (2000);Goto,S et al. (2006)およびCattaneo,M (2003)]。]
[0126] 例示的なチエノピリジン類には、クロピドグレルおよびプラスグレルが含まれる。クロピドグレル(しばしばアスピリンと組み合わせて処方される)は、急性冠症候群後の主要有害心血管事象の率を低下させるのに有効であることが示されており、この症候群を持つ患者の臨床管理のルーチンコンポーネントである(Steinhubl,SR et al. (2002);Yusuf,S et al. (2001);Braunwald,E et al. (2002)およびSmith SC,Jr et al. (2006))。クロピドグレルは、経皮的冠動脈介入術中に冠動脈ステントの留置を受ける個体に、早発型および遅発型ステント血栓症を防止するためにも処方される。]
[0127] クロピドグレル
PLAVIX(商標)またはISCOVER(商標)という商品名で重硫酸クロピドグレルとして販売されているクロピドグレル(IUPAC:(+)-(S)-メチル2-(2-クロロフェニル)-2-(6,7-ジヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン-5(4H)-イル)アセテート)は、血小板凝集と関連する疾患の処置に広く処方される経口抗血小板剤である。実際、クロピドグレルは、販売数世界第2位の医薬であり、最も販売数の多い抗血小板剤である。]
[0128] 重硫酸クロピドグレルは、アデノシン二リン酸(ADP)の、その血小板受容体(P2Y12プリン受容体)への結合と、それに続くADPによる糖タンパク質GPIIb/IIIa複合体の活性化を選択的かつ不可逆的に阻害することにより、血小板凝集を阻害する。この作用は不可逆的なので、血小板寿命の残存期間中は影響が及ぶ。]
[0129] この薬物の生物学的利用率はおよそ50%であり、この薬物は肝臓において短時間作用性のチオールエステルに迅速に生体内変換される。このチオールエステルがこの薬物の活性コンポーネントである。腸管吸収および肝臓における生体内変換は、この薬物の効力に最も大きな影響を及ぼす律速段階である。p-糖タンパク質薬物排出ポンプ機構(ref)は、この薬物の吸収に影響を及ぼすことが示されており、肝臓生体内変換はシトクロムP450酵素系(CYP450)の活性に依存する。生体内変換を担う主要なシトクロムP450酵素を以下に概説する。薬物の活性はこれらの律速段階に依存するので、ピーク効果は投薬の6時間後まで見られない。]
[0130] この薬物の消失半減期は7.2〜7.6時間であり、親薬物の排泄を低減させる腎機能低下の影響を受ける。腎機能低下を持つ個体または高齢である個体における負荷投与量には、通常、注意が払われる。]
[0131] 以下はFDAが承認したクロピドグレルの適応症である:
・急性冠症候群、非ST部分上昇型-血栓性障害;予防
・急性ST部分上昇型心筋梗塞-血栓性障害;予防
・動脈硬化性血管疾患-血栓性障害;予防
・脳血管発作-血栓性障害;予防
・心筋梗塞-血栓性障害;予防
・末梢動脈閉塞性疾患-血栓性障害;予防。]
[0132] 以下は、現在推奨されているクロピドグレルの投与レジメンであるが、臨床実務においては600mgの負荷投与量がしばしば処方される:
・急性冠症候群、非ST部分上昇型-血栓性障害;予防:初回量、300mg経口1回;アスピリン75mg〜325mg経口と併用。
・急性冠症候群、非ST部分上昇型-血栓性障害;予防:維持量、75mg経口1日1回を、アスピリン75mg〜325mg経口1日1回と併用。
・急性ST部分上昇型心筋梗塞-血栓性障害;予防:300mg経口負荷投与量は随意である;75mg経口1日1回をアスピリンと併用。血栓溶解剤の併用ありまたは血栓溶解剤の併用なし。
・動脈硬化性血管疾患-血栓性障害;予防:75mg経口1日1回。
・脳血管発作-血栓性障害;予防:75mg経口1日1回。
・心筋梗塞-血栓性障害;予防:75mg経口1日1回。
・末梢動脈閉塞性疾患-血栓性障害;予防:75mg経口1日1回。]
[0133] クロピドグレルの禁忌には、活動性出血(bleeding, active)(消化性潰瘍または頭蓋内出血など)、クロピドグレルまたは当該製品の任意のコンポーネントに対する過敏症が含まれる。クロピドグレルに対する使用上の注意は、最近TIAまたは脳卒中を起こした患者におけるアスピリンとクロピドグレルの併用(これは大出血を増加させることが示されている)、待機手術、重症肝疾患、外傷、手術または他の病理学的状態による(特に胃腸および眼内の)出血が増加するリスクがある患者、経皮的冠動脈介入術(PCI)患者における治療の早期中断;ステント血栓症、心筋梗塞、および死亡のリスクを増加させ得る、腎機能低下、重症血栓性血小板減少性紫斑病(時には生命にかかわるもの)が起こり得る、経気管支肺生検、出血リスクの著しい増加である。]
[0134] プラスグレル
プラスグレル、商品名EFFIENT(商標)(IUPAC:5-[2-シクロプロピル-1-(2-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]-4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン-2-イルアセテート)は、第一三共株式会社によって開発され、宇部興産が製造する、新規な第3世代チエノピリジン薬であり、現在、Eli Lilly and Companyと共同で、経皮的冠動脈介入術(PCI)が予定される急性冠症候群のための臨床開発が行われている。健常ボランティアおよび安定アテローム性動脈硬化を持つ患者においてプラスグレルをクロピドグレルと比較する研究では、プラスグレルの方が強力であり、クロピドグレルに関して承認された300mg負荷投与量/75mg維持投与量レジメンで見られるレベルよりも高いレベルの血小板凝集阻害(IPA)が達成されると報告されている(Asai,F et al. (2006);Jakubowski,JA et al. (2006);Jernberg,T et al. (2006);Matsushima,N et al. (2006)およびBrandt,JT, Payne, CD et al. (2007))。]
[0135] プラスグレルは迅速に吸収されてその活性代謝産物(R-138727)に生体内変換され、ピーク効果到達時間は約1時間である。これにはクロピドグレルと比較して利点がある。というのも、経皮的冠動脈介入術を受ける急性冠症候群患者の管理において効果発現までの時間は臨床的アウトカムと相関することが示されているからである。]
[0136] 薬物消失半減期は3.7時間であり、作用機序はクロピドグレルに似ている(すなわちアデノシン二リン酸(ADP)の、その血小板受容体(P2Y12プリン受容体)への結合を不可逆的に阻害することである)ので、作用の持続時間は血小板の寿命に近い5〜10日である。]
[0137] プラスグレルとクロピドグレルをそれぞれの活性代謝産物に変換することになると提唱されている経路は異なっている。プラスグレルはエステラーゼ類によりインビボで迅速に加水分解されてチオラクトンになり、次に、いくつかのCYP酵素(主にCYP3A4/5およびCYP2B6、またそれほどではないにせよ、CYP2C19およびCYP2C9)によって、一段階で活性代謝産物に代謝されるとされている(Rehmel et al. (2006))。これに対し、クロピドグレルをその活性代謝産物に変換するには、2つの逐次的CYP依存的酸化段階が要求される。第1段階は2-オキソ-クロピドグレルの形成をもたらし、次に、それが活性代謝産物へと代謝される。競合する代謝反応では、エステラーゼ類がクロピドグレルを不活性代謝産物に変換し、この不活化経路はクロピドグレルの投与量の推定85%を占める[28]。クロピドグレルの代謝に関与する酵素には、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19およびCYP3A4/5が含まれる[29-31]。]
[0138] プラスグレルは今のところ臨床使用については承認されていないが、新薬承認申請(NDA)の提出は既になされている。プラスグレルの安全性と効力を評価したいくつかの臨床治験が既に公表されている。これらは、主としてJUMBOTIMI-26、TRITON TIMI-38およびPRINCIPLE-44治験であり、TRILOGY-TIMI治験は進行中である。JUMBO-TIMI治験では、プラスグレルがクロピドグレルと同等な安全性プロファイルを持つことがわかった。しかし最近のTRITON TIMI-38治験において、プラスグレルは、PCIを受ける急性冠症候群集団における虚血事象を、大量出血の増加という犠牲を払って、低下させることがわかった。クロピドグレルに割り当てられた対象には、PCIの直前またはPCI中に、300mgの負荷投与量が与えられたが、現在は、600mgの方が有効であり得ることから、臨床的には600mgの方がよく使用されている。これは投与量換算の問題を生じたものの、PRINCIPLE-TIMI 44における血小板機能解析では、TRITONで使用されたプラスグレルの投与量が、高い方の負荷投与量および維持投与量のクロピドグレルよりも、大きな血小板阻害をもたらすことが示されている。TRITONのサブグループ解析により、プラスグレルは、例えば糖尿病患者などの最も高リスクな患者において、クロピドグレルを上回る最も大きい利益を持ち得ることが示唆された。あるいは、考え得る将来的なアプローチは、血小板機能検査または薬理遺伝学的プロファイリングに基づく個別化された抗血小板療法であり得る。]
[0139] 薬理遺伝学的検査は、この薬物を、最大の利益を引き出すであろう人々、すなわちクロピドグレル抵抗性である人々に投与する、費用効果の高い手段になり得る。あるいは、薬理遺伝学的検査は、患者にとっての安全性を改善させ得る。というのも、テーラード戦略を採用すれば、出血事象の総数が低下する可能性が高いからである。]
[0140] 抗血小板の他のクラスには、トロンビン受容体アンタゴニストおよび糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤が含まれる。クロピドグレルに対して非レスポンダーである個体でも、これらの薬剤は好ましいだろう。トロンビン受容体(プロテアーゼ活性化受容体-1(PAR-1)とも呼ばれている)アンタゴニストは第III相治験に入っており、近い将来、臨床使用が可能になるだろう。トロンビンは血小板活性化の最も強力なアゴニストであり、一般に行われているアスピリンおよびクロピドグレルによる抗血小板経路の遮断にもかかわらず、持続的なトロンビン生成が、血小板にかなりの継続的刺激を与える。この血小板PAR-1受容体を遮断しても、トロンビンが媒介する他のホメオスタシス機能は損なわれずに残るので、理論的には出血事象は増加しないだろう。]
[0141] 糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤は、血小板凝集の最終共通経路を阻害するので、最も強力な抗血小板剤と考えられている。しかしこれらは、高リスクPCI患者において血管作動性物質の放出をもたらす血小板活性化の上流の効果を緩和しない。臨床治験は、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤とP2Y12受容体アンタゴニストとの併用療法が、どちらか一方の薬物単独と比較して、周術期筋壊死を低下させ、長期虚血アウトカムを改善し得ることを示唆している。]
[0142] 血小板機能
血小板機能検査の伝統的な方法は実施が面倒であり、熟練した巧みな静脈切開と、注意深く管理された条件下で作業する検査員とを必要とする。検査室ベースのLTAは「ゴールドスタンダード(gold standard)」として大多数の人々によって受け入れられているが、労働集約的であり、作業者に依存し(operator-dependent)、しかも多大な費用を要することが、その臨床使用を制約してきた(Harrison P (2005))。これらの制限ゆえに研究者らは、アスピリン活性に関する血清中または尿中トロンボキサンB2や、P2Y12受容体阻害に関する血管拡張因子刺激リンタンパク質(VASP)などの生化学マーカーを含む、血小板機能の代用物を使用してきた(表1)(Eikelbroom JW et al., (2002)およびGeiger J et al., (1999))。]
[0143] (表1)例示的血小板機能アナライザおよび臨床的相関

PFA=血小板機能アナライザ、COX=シクロオキシゲナーゼ、VASP=血管拡張因子刺激リンタンパク質、他の血小板機能尺度には、CD40L、P-セレクチン、および血小板由来微粒子が含まれる。*はポイントオブケアアッセイを表す。]
[0144] 血小板機能アッセイは、解析の方法に従って分類することができる。生化学的アッセイではELISAアッセイ(トロンボキサン)またはフローサイトメトリー(VASP)を利用する。非生化学的血小板機能アナライザは、典型的には、光透過率または電気インピーダンスを使って、単離血小板または全血における血小板凝集を直接測定する(Dyszkiewicz-Korpanty AM et al., (2005))。血小板アゴニストがアッセイ間で異なり得ることが、アッセイ間比較を困難にしている。非生化学的な血小板刺激手段として、増加したずり応力を組み込んでいるアナライザは、ほとんどない(Schlammadinger A et al., (2000))。]
[0145] ポイントオブケア血小板機能装置により、検査は簡略化され、ベッドサイドでまたは心臓カテーテル検査室で結果を迅速に入手することが可能になった。最も広く評価された3つのポイントオブケア装置は、血液を小さな開口部から引き出して、血小板血栓によるその開口部の「閉塞時間(closure time)」を測定することにより、高ずり応力下で血小板機能を測定するDade-BehringのPFA-100(商標)、光に基づく全血凝集測定系を使用するAccumetricのVerifyNow(商標)アッセイ、および心臓手術を受ける患者において最も広く評価され使用されてきた凝塊引張強さを測定するThromboelastograph(TEG(商標))である。]
[0146] PFA-100は血小板機能障害の診断において臨床的に使用されてきた(Hayward CP et al. (2006))。そのカートリッジはコラーゲンとアゴニストとしてのアラキドン酸またはADPを含む。VerifyNow(商標)装置には、アスピリン、クロピドグレルおよびGpIIbIIIa阻害剤の効果について検査する3つの経路特異的カートリッジがあり、いずれも光透過率凝集測定法に対して検証済みである(van Werkum JW et al. (2006)、Coleman JL WJ and Simon DI (2004)、Wheeler GL et al. (2002))。]
[0147] これらの装置は単一の血小板活性化経路を検査する(Gurbel PA, Bliden KP, Di Chiara J et al. (2007))。患者700人の研究により、アスピリンを服用している患者における残存アラキドン酸誘発性血小板凝集は、シクロオキシゲナーゼ経路ではなくADP依存的経路によるものであることが見いだされた(Frielinger AL et al. (2006))。著者らは、アスピリンに特異的なポイントオブケア血小板機能アナライザによって測定される「アスピリン抵抗性」は、経路非特異性に起因する装置の限界であるか、単にアスピリンに服従しない尺度であると結論づけた(Frielinger AL et al. (2006))。この仮説は、最近のASPECT研究(これは一連の血小板機能アナライザの包括的査定であり、アスピリン無応答性は稀であって、PFA-100のような一部のアナライザでは過大評価されており、ADPが媒介する経路などの非COX-1経路に関係し得ると結論づけた)によって裏付けられている(Gurbel PA, Bliden KP, Di Chiara J et al. (2007))。]
[0148] したがって、(血小板阻害を含む)血小板機能に関するアッセイはいくつか存在するが、本発明における使用に、より適しているのは、迅速に実施することができるものであり、好ましくは迅速な評価のためにポイントオブケア装置の使用を伴うものであることは、明白であるだろう。]
[0149] 本明細書における血小板阻害百分率、例えば10%血小板阻害への言及は、VerifyNow装置によって測定された血小板阻害を指す。他のアッセイ方法または他のアッセイ装置によって得られた%血小板阻害を、そのような%血小板阻害に換算し、そのような%血小板阻害との比較で表し、またはそのような%血小板阻害と関係づけることができることは、明白であるだろう。血小板機能アッセイ間での換算値を決定するための方法は当技術分野において周知である。]
[0150] 急性冠症候群
急性冠症候群(「ACS」)は、さまざまな定義がなされてきた複雑な障害である。例えば米国特許第6706689号を参照されたい。該米国特許では、ACSは、急性心筋梗塞(MI)を持つ対象または急性心筋梗塞(MI)を発症するリスクが高い対象を表し、不安定狭心症(UA)、非Q波心臓壊死(NQCN)およびQ波MI(QMI)を包含する。該米国特許に記載されているように、ACSの診断は、典型的には、患者が、新しい、または既存の慢性的な安定狭心症とは明らかに異なる、急性の(すなわち突然発症する)心臓由来の胸痛を持つ場合に下される。すなわちACS胸痛は、より重症であり、より頻繁であり、安静時に起こり、または15分以上持続する。ACSと診断された後、患者は、米国特許第6706689号に記載の基準を使って、UA、NQCN、およびQMIに層別化される。該米国特許に記載されているように、Q波MI全般が冠状動脈の全閉塞に起因すると理解されるのに対して、UAは亜全閉塞によって起こる。やはり米国特許第6706689号に記載されているように、ACSの診断を助ける臨床的指標は、上昇したトロポニン1レベル、上昇したトロポニンTレベル、上昇したCK-MBレベル、ならびに上昇したLDH、LDH1およびLDH2レベルなど、いくつか公知である。MIの、より新しい定義では、心電図(ECG)のST部分解析およびトロポニンに応じて、個体がグループへと類別される。これにより、UA、NQCNおよびQMIは現在、ST部分が正常であるか下降しているのであれば、非ST上昇型(NSTE)MIとみなされる。誘導V2-3では男性で≧0.2mVまたは女性で≧0.15mVおよび/または他の誘導では≧0.1mVのカットオフポイントで、2つの連続するECG誘導において、J点でST部分が上昇している場合は、ST上昇型MIと診断される。European Heart Journal 2007で公表されたMIの新しい普遍的定義では、任意の種類のトロポニン上昇が、心筋壊死、すなわち梗塞と定義される。]
[0151] 炎症誘発性サイトカインの生成および放出、ならびに泡沫細胞、マクロファージ、リンパ球およびマスト細胞などの炎症細胞の局在化および活性化を含む、局所性および全身性炎症プロセスが、動脈炎症と関連し、ACSの病理発生に関連づけられており(MulvihillNTand FoleyJB, 2001参照)、冠動脈プラーク破綻に重要な病態生理学的役割を果たすと考えられる。プラーク破綻は、その結果として、なかんずく血小板凝集および血栓形成をもたらす。血栓形成が、アテローム性動脈硬化の大半の急性合併症の、とりわけ不安定狭心症および急性心筋梗塞の、基礎にあることは認識されている。]
[0152] したがって本明細書にいうACSには、診断可能なACSが明白になる前に明白になり得る動脈炎症およびACS関連血管機能異常が包含される。本明細書で使用する「ACS関連血管機能異常(ACS-associated impaired vascular function)」という用語は、虚血、血管収縮、冠動脈痙縮、びらん、閉塞、プラーク破裂、血小板凝集異常などを意図する。血栓形成は極限においてはACS関連血管機能異常を表すのであろうが、血栓形成そのものは、典型的には、血管機能異常ではなくACSの証拠になるとみなされる。]
[0153] 抗血小板剤に対する増加したまたは減少した応答と関連する一つまたは複数の他の多型と連鎖不平衡にある多型も、抗血小板剤に対する応答に関するバイオマーカーとして役立つことは、明白であるだろう。連鎖不平衡にあるSNPの頻度はしばしば極めて似ている。したがって、これらの遺伝学的に連鎖したSNPを、複合多型解析に利用して、元のSNPから算出されるものに匹敵するリスクのレベルを導き出すことができる。]
[0154] したがって、本明細書において特定する多型と連鎖不平衡にある一つまたは複数の多型を、例えば公開データベースを使って同定できることは、明らかであるだろう。]
[0155] また、任意の所与の多型に関してしばしばさまざまな名称が存在し得ることも、明らかであるだろう。本明細書に記載する抵抗性多型または応答性多型に言及する場合は、代替的名称も本発明によって意図される。一般に、そのような代替的名称は、特定SNPのユニークな識別子(例えばrs番号)を使って、例えばGenBankデータベースを調べることによって、容易に同定することができる。]
[0156] 多型の同定および解析
本発明に関して、「多型」という用語が、ヌクレオチド配列が相違するまたは可変的な反復ヌクレオチドユニット数を持つ染色体座の2つ以上の代替的形態(アレルまたは遺伝子マーカーなど)が、ランダム突然変異に原因を帰することができるものよりも高い(通常は1%を超える)割合で、同じ集団中に一緒に存在することを意味することは、理解されるであろう。www.ornl.gov/sci/techresources/Human_Genome/publicat/97pr/09gloss.html#pを参照されたい。したがって、本明細書において使用する「多型」という用語は、一塩基置換、ヌクレオチドの挿入および欠失、繰り返し配列(マイクロサテライトなど)、および遺伝子の完全なまたは部分的な非存在(例えばヌル突然変異)を含む遺伝子変異を意図する。本明細書において使用する「多型」という用語は、遺伝子型およびハプロタイプも包含する。遺伝子型はある特定の座または座のセットにおける遺伝子組成である。ハプロタイプは、組換えによって容易には分離され得ず、一緒に遺伝する傾向を持ち、連鎖不平衡にあり得る、一つの染色体上に存在する緊密に連鎖した遺伝子マーカーのセットである。ハプロタイプは、SNPなどの多型のパターンによって同定することができる。同様に、本発明に関して、「一塩基多型」または「SNP」という用語は、一塩基ヌクレオチド置換ならびに短い欠失および挿入多型を包含する。]
[0157] 本発明の方法は、主として、抗血小板剤、好ましくはクロピドグレルに対する応答と関連する上記多型の検出および同定に向けられる。これらの多型は典型的には一塩基多型である。一般論として、一塩基多型(SNP)は、個体間の遺伝子変異をもたらす一塩基変化または点突然変異である。SNPはヒトゲノムにはおよそ100〜300塩基に一つ存在し、コード領域または非コード領域に存在し得る。遺伝暗号の縮重ゆえに、コード領域中のSNPは、タンパク質産物のアミノ酸配列を変化させる場合も、変化させない場合もある。非コード領域中のSNPは、例えばプロモーター、転写因子結合部位、プロセシング部位、リボソーム結合部位などの制御領域を修飾することなどによって遺伝子発現を改変し、遺伝子の転写、プロセシング、および翻訳に影響を及ぼすことができる。]
[0158] SNPは大規模な関連遺伝学研究を容易にすることができ、近年、SNPの発見および検出には大きな関心が寄せられている。SNPは、例えば疾患傾向および重症度、ウェルネス(Wellness)傾向、および薬物応答性(例えば薬物有害反応に対する感受性を含む)などの、いくつかの表現型形質(潜在性の形質を含む)のマーカーとして、大いに有望である。特定のSNPと表現型形質との関連に関する知見は、ある個体が該特定SNPを持つかどうかに関する知見と連携して、診断的、予防的および治療的応用のターゲティングが、より良い疾患管理を可能にし、疾患状態の理解を強化し、最終的にはより効果的な処置(個別化された処置レジメンなど)の発見を容易にすることを可能にすることができる。]
[0159] 実際、公知のSNPおよびそのようなSNPの一部についてSNPと関連する生物学的効果のデータベースが、いくつか構築されている。例えば、NCBISNPデータベース「dbSNP」は、NCBIのEntrezシステムに組み込まれていて、PubMedやGenBankなどの他のEntrezデータベースと同じアプローチを使ってクエリすることができる。このデータベースには、ヒトゲノム配列上にマッピングされた150万を超えるSNPが記録されている。各dbSNPエントリには、多型の配列コンテンツ(すなわち周囲配列)、多型の出現頻度(集団別または個体別)、およびその変異をアッセイするために用いられた実験方法、プロトコール、および条件が含まれ、あるSNPをある特定表現型形質と関連づける情報を含み得る。]
[0160] 少なくとも一つには、健康およびウェルネスに対する潜在的影響力ゆえに、SNPを確実にかつ迅速に同定する方法を開発するために、非常に多くの努力がなされてきたし、現在も引き続いてなされている。これは、少なくとも一つには、3×109塩基対のハプロイドゲノムを持つヒトゲノムDNAの複雑さ、ならびに付随する感度および識別力要件ゆえに、取るに足らない課題ではない。]
[0161] 当技術分野において周知のSNPを検出するための遺伝子型解析アプローチには、DNAシーケンシング、プライマーまたはプローブのアレル特異的ハイブリダイゼーション、多型に近接または隣接して結合するプライマーへのヌクレオチドのアレル特異的組込み(しばしば「一塩基伸長」または「ミニシーケンシング」と呼ばれる)、オリゴヌクレオチドのアレル特異的ライゲーション(接合)(ライゲーション連鎖反応またはライゲーションパッドロックプローブ)、制限酵素(制限断片長多型解析またはRFLP)または化学薬品もしくは他の薬剤によるオリゴヌクレオチドまたはPCR産物のアレル特異的切断、電気泳動移動度またはクロマトグラフィー移動度のアレル依存的相違の分割、構造特異的酵素(侵入型構造(invasive structure)特異的酵素を含む)による、または質量分析を必要とする方法が含まれる。SNPがコード領域にあって、アミノ酸変化をもたらす場合は、アミノ酸変異の解析も可能である。]
[0162] DNAシーケンシングはSNPの直接的決定および同定を可能にする。スクリーニング目的にとっては、特異性および正確度における利益よりも、全ゲノムシーケンスに付随する困難、またはターゲティングされたサブゲノムシーケンスにさえ付随する困難の方が、一般に大きい。]
[0163] ミニシーケンシングでは、調べている試験試料上のSNP部位に隣接するDNA配列に、プライマーをハイブリダイズさせる。4つの弁別的にタグ付けされた蛍光ジデオキシヌクレオチド(A、C、G、またはT)の全てとDNAポリメラーゼとを使って、そのプライマーを1ヌクレオチド分、伸長させる。それら4つのヌクレオチドのうちの一つだけ(ホモ接合の場合)またはそれら4つのヌクレオチドのうちの2つ(ヘテロ接合の場合)が組み込まれる。組み込まれる塩基は、SNP位置にあるヌクレオチドに対して相補的である。]
[0164] SNP検出のために現在使用されているいくつかの方法は、主として、部位特異的および/またはアレル特異的ハイブリダイゼーションを伴う。これらの方法は、関心対象のSNPオリゴヌクレオチドを含有するターゲット配列へのオリゴヌクレオチドの差別的結合に頼っている。Affymetrix(カリフォルニア州サンタクララ)およびNanogen Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)の技法はとりわけよく知られており、一塩基ミスマッチを含有するDNA二重鎖が完全に塩基対合した二重鎖よりもはるかに不安定であるという事実を利用している。マッチした二重鎖の存在は蛍光によって検出される。]
[0165] 部位特異的ハイブリダイゼーションによってSNPを検出または同定するための方法の大半は、感度および特異性を増加させるためにPCRなどの方法によるターゲット増幅を必要とする(例えば米国特許第5,679,524号、PCT公開WO98/59066、PCT公開WO95/12607参照)。米国特許出願公開第20050059030号(その全てが本明細書に組み入れられる)には、ターゲット配列を選択的に濃縮するための事前の増幅または複雑性低減なしで、いかなる酵素反応の助けも借りずに、全ヒトDNA中の一塩基多型を検出するための方法が記載されている。この方法では、2つのハイブリダイゼーション事象、すなわち捕捉プローブへのターゲットの第1部分のハイブリダイゼーションと、検出プローブへの該ターゲット配列の第2部分のハイブリダイゼーションとを伴う、一段階ハイブリダイゼーションを利用する。どちらのハイブリダイゼーション事象も同じ反応中で発生し、ハイブリダイゼーションが起こる順序は決定的な問題ではない。]
[0166] 米国特許出願公開第20050042608号(その全てが本明細書に組み入れられる)には、Thorpらの核酸ハイブリダイゼーションの電気化学的検出方法(米国特許第5,871,918号)の変法が記載されている。簡単に述べると、それぞれが異なるSNP塩基とそのSNP塩基の両側にプローブ塩基の配列とを持つ、捕捉プローブが設計される。これらのプローブ塩基は、SNP部位に隣接する対応ターゲット配列に対して相補的である。各捕捉プローブは、基材の導電性作用面上に非導電性外層を持つ異なる電極に固定化される。遷移金属錯体を利用して、各電極における酸化還元反応を検出することにより、各捕捉プローブと核酸ターゲットの間のハイブリダイゼーションの程度が検出される。異なる電極における酸化速度のこれらの相違を使って、選ばれた核酸ターゲットが選ばれたSNP部位に一塩基多型を持つかどうかが決定される。]
[0167] MEGATYPE(商標)技術を使用するLynx Therapeutics(カリフォルニア州ヘイワード)の技法は、ゲノム材料の小さいまたは大きいプールから、非常に多数のSNPを同時に遺伝子型解析することができる。この技術は蛍光標識プローブを使用し、2つの集団の集められたゲノムを比較することで、事前のSNPマッピングや知見を必要とせずに、それら2つの集団を区別するSNPをまたぐDNAフラグメントの検出および回収を可能にする。]
[0168] SNPを検出し同定するための方法は他にもいくつか存在する。それらには、例えばSNPにハイブリダイズするプローブを測定するための、質量分析の使用が含まれる。この技法は、どのくらい迅速に実施できるかが、質量コードタグを使って、1日あたり数個の試料から1日あたり40,000SNPという高スループットまでと、さまざまである。好ましい例は、例えばCOX2遺伝子のプロモーターまたは相補的配列を含む、本発明の多型を含む核酸配列の質量分析的決定の使用である。そのような質量分析的方法は当業者には公知であり、本発明の遺伝子型解析法は、本発明の多型(例えば本発明のCOX2プロモーター多型)の質量分析的検出への適合に適している。]
[0169] SNPは、ライゲーション-ビット(ligation-bit)解析によって決定することもできる。この解析は、プライマー間に1ヌクレオチドのギャップを開けてターゲットにハイブリダイズする2つのプライマーを必要とする。DNAポリメラーゼ、リガーゼ、ターゲットDNAおよびプライマーを含有する別個の反応混合物に、4つのヌクレオチドのそれぞれを加える。ポリメラーゼは、SNPに相補的なヌクレオチドを第1のプライマーの3'末端に付加し、次に、リガーゼが、隣接する2つのプライマーをライゲートする。連結が起こった場合は、試料の加熱時に、大きくなったプライマーがハイブリダイズされたまま残り、シグナル(例えば蛍光)を検出することができる。これらの方法についてのさらなる議論は、米国特許第5,919,626号、同第5,945,283号、同第5,242,794号および同第5,952,174号に見いだすことができる。]
[0170] 米国特許第6,821,733号(その全てが本明細書に組み入れられる)には、2つの核酸分子の配列の相違を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法が記載されている:2つの核酸分子を4元複合体の形成と分枝点移動とが可能になるような条件下で接触させる工程;4元複合体をトレーサー分子および検出分子と、その検出分子がトレーサー分子または4元複合体を結合する能力を持つような条件下で、接触させる工程;4元複合体への曝露前および曝露後に検出分子へのトレーサー分子の結合を決定する工程。検出分子への結合に関する4元複合体とトレーサー分子との競合は、前記2つの核酸間の相違を示す。]
[0171] タンパク質またはプロテオミクスに基づくアプローチも、多型の検出と解析に適している。発現されるタンパク質の変異をもたらす多型、または発現されるタンパク質の変異と関連する多型は、該タンパク質を解析することによって直接的に検出することができる。これは、典型的には、試料内のさまざまなタンパク質を、例えばゲル電気泳動またはHPLCなどによって分離し、該タンパク質またはそのタンパク質に由来するペプチドを、例えばNMRまたはタンパク質シーケンシング、例えば化学的シーケンシング、またはより一般的には質量分析などによって同定することを必要とする。プロテオミクスの方法論は当技術分野では周知であり、自動化できる可能性が大きい。例えば、Proteome SystemsのProteomIQ(商標)などの統合型システムは、試料調製、タンパク質の分離、画像の取得と解析、タンパク質プロセシング、質量分析およびバイオインフォマティクス技術を組み合わせたプロテオーム解析用の高スループットプラットフォームになる。]
[0172] 大部分のプロテオミクス的タンパク質同定方法では、イオントラップ質量分析、液体クロマトグラフィー(LC)およびLC/MSn質量分析、ガスクロマトグラフィ(GC)質量分析、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器(FT-MS)、MALDI-TOF質量分析、ESI質量分析、およびそれらの派生法などの、質量分析を利用する。質量分析的方法は、リン酸化やグリコシル化などの、タンパク質の翻訳後修飾の決定にも役立つので、タンパク質の翻訳後修飾の変異をもたらす多型、またはタンパク質の翻訳後修飾の変異と関連する多型を決定するのに有用である。]
[0173] 関連技術も周知であり、これには例えば「ケミカル・インクジェット・プリンタ(Chemical Inkjet Printer)」(これは、選択したタンパク質スポット上に酵素または化学薬品を直接噴射することによって、2-D PAGEゲルからメンブレンにエレクトロブロットされたタンパク質試料を、インサイチューで酵素的または化学的に消化することを可能にする、圧電式印刷技術を含む)などのタンパク質加工装置が含まれる。タンパク質のインサイチューでの消化およびインキュベーションの後、メンブレンはペプチド解析のために質量分析計に直接入れることができる。]
[0174] 核酸のコンフォメーションの変動性に依拠してSNPを検出する方法が数多く開発されている。]
[0175] 例えば一本鎖コンフォメーション多型(SSCP;Orita et al., PNAS 1989 86:2766-2770)は、一定の条件において溶液中で二次構造を形成するという一本鎖核酸の能力に依拠する方法である。この二次構造は塩基組成に依存し、一塩基置換はその二次構造を変化させて、非変性条件下での電気泳動移動度に相違を生じさせることができる。さまざまな多型が、典型的には、オートラジオグラフィー(放射標識した場合)、バンドの銀染色、検出可能に標識されたプローブフラグメントを用いるハイブリダイゼーション、または蛍光PCRプライマーの使用(このプライマーは後に例えば自動DNAシーケンサーなどによって検出される)によって検出される。]
[0176] SSCPの変法は当技術分野では周知であり、これには、異なるゲル泳動条件の使用、例えば異なる温度、または添加物の添加、および異なるゲルマトリックスなどが含まれる。SSCPの変形は、他にも、RNA-SSCP、制限エンドヌクレアーゼフィンガープリンティング-SSCP、ジデオキシフィンガープリンティング(ジデオキシシーケンシングとSSCPのハイブリッド)、二方向ジデオキシフィンガープリンティング(この方法では、ジデオキシ終結反応を、対向する2つのプライマーで同時に行う)、および蛍光PCR-SSCP(この方法では、PCR産物が複数の蛍光色素で内部標識される。そのPCR産物は制限酵素で消化することができ、次にSSCPを行って、蛍光色素を検出することができる自動DNAシーケンサーで、解析することができる)を含めて、当業者に周知である。]
[0177] 異なる核酸構造のさまざまな移動度を利用する他の方法には、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)、およびヘテロデュプレックス解析(HET)が含まれる。ここでは、二本鎖DNAの解離の変動(例えば塩基対ミスマッチによるもの)が、電気泳動移動度の変化をもたらす。これらの移動度シフトを使ってヌクレオチド変異が検出される。]
[0178] 変性高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、上述した分離方法(例えばゲル電気泳動)に代わる方法として当技術分野において周知のHPLC法を使って、例えばHPLCカラムから異なる速度で溶出するホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖を検出し、それによってミスマッチヌクレオチドの、したがってSNPの検出を可能にするという、SNPを検出するために利用されるさらにもう一つの方法である。]
[0179] SNPを検出するためのさらなる方法は、化学的切断剤や核酸分解酵素を含むさまざまな薬剤による切断に対する一本鎖核酸および二本鎖核酸の異なる感受性に依拠する。RNaseAによるRNA:DNAヘテロ二重鎖内のミスマッチの切断、例えばバクテリオファージT4エンドヌクレアーゼYIIまたはT7エンドヌクレアーゼIによるヘテロ二重鎖の切断、クリベース(cleavase)Iによる一本鎖DNAと二本鎖DNAの間の接合部分にあるヘアピンループの5'端の切断、およびマクサム-ギルバートシーケンシングケミストリーでよく使用される化学的薬剤によるヘテロ二重鎖内の不対合ヌクレオチドの修飾は、いずれも当技術分野において周知である。]
[0180] さらなる例には、翻訳の時期尚早な終結およびサイズが減縮されたタンパク質産物につながる変異によって生成する停止コドンを分割するために使用されるプロテイントランスレーションテスト(Protein Translation Test:PTT)、およびミスマッチ結合タンパク質の使用が含まれる。変異は、例えば大腸菌(Escherichia coli)DNAミスマッチ修復系のコンポーネントであるMutSタンパク質、またはヒトhMSH2およびGTBPタンパク質の、ミスマッチ塩基を含有する二本鎖DNAヘテロ二重鎖への結合によって検出される。この場合、DNA二重鎖を、ミスマッチ結合タンパク質と共にインキュベートし、移動度シフトアッセイによって変異を検出する。例えば、ある簡単なアッセイは、ヘテロ二重鎖へのミスマッチ結合タンパク質の結合がそのヘテロ二重鎖をエキソヌクレアーゼ分解から保護するという事実に基づく。]
[0181] 特定のSNPが、特にそれがプロモーターなどの遺伝子の調節領域中に存在する場合には、ある遺伝子の変化した発現と関連し得ることは、当業者にはわかるだろう。遺伝子の変化した発現は、タンパク質をコードする遺伝子のコード領域にSNPが位置する場合(例えばSNPが使用頻度の異なるコドンと関連し、したがって存在量の異なるtRNAと関連する場合など)にも起こり得る。そのような変化した発現は、当技術分野で周知の方法によって決定することができるので、そのようなSNPを検出するために利用することができる。同様に、SNPが遺伝子のコード領域中に存在して、非同義アミノ酸置換をもたらす場合、そのような置換は、遺伝子産物の機能に変化をもたらし得る。同様に、遺伝子産物がRNAである場合、そのようなSNPはRNA遺伝子産物の機能の変化をもたらし得る。例えば活性アッセイまたは機能アッセイで評価されるそのような機能の変化はいずれも、そのようなSNPを検出するために使用することができる。]
[0182] SNPを検出し同定する上記の方法は本発明の方法における使用に適する。]
[0183] 当然ながら、本発明に従ってSNPを検出し同定するには、被験材料を含有する試料が、対象から取得される。試料は、ターゲットSNP(場合によってはターゲットポリペプチド)を含有する可能性がある任意の試料であることができ、任意の体液(血液、尿、唾液など)、生検試料または他の組織調製物から得ることができる。]
[0184] DNAまたはRNAは、当技術分野において周知のいくつかの方法のいずれかに従って、試料から単離することができる。例えば、核酸の精製方法は、Tijssen; Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology: Hybridization with nucleic acid probes Part1: Theory and Nucleic acid preparation, Elsevier, New York, N.Y. 1993ならびにManiatis,T., Fritsch,E.F. and Sambrook,J., Molecular Cloning Manual 1989に記載されている。]
[0185] 多型/SNPの有無の検出を補助するために、核酸プローブおよび/またはプライマーを用意することができる。そのようなプローブおよび/またはプライマーは、多型の有無を証明する染色体変化に特異的な核酸配列を持ち、好ましくは、ターゲット多型と結びついたときに検出可能なシグナルを放出する物質で標識される。]
[0186] 核酸プローブおよび/またはプライマーは、ゲノムDNAまたはcDNAまたはmRNA、または任意のRNA様もしくはDNA様物質、例えばペプチド核酸、分枝DNAなどであることができる。プローブはセンスポリヌクレオチドプローブであるか、アンチセンスポリヌクレオチドプローブであることができる。ターゲットポリヌクレオチドが二本鎖である場合、プローブはセンス鎖またはアンチセンス鎖のどちらかであることができる。ターゲットポリヌクレオチドが一本鎖である場合、プローブは相補的な一本鎖である。]
[0187] プローブおよび/またはプライマーは、当技術分野において周知のさまざまな合成的または酵素的スキームで製造することができる。プローブおよび/またはプライマーは、当技術分野において周知の化学的方法を使って、その全部または一部を合成することができる(Caruthers et al., Nucleic AcidsRes., Symp. Ser., 215-233 (1980))。あるいは、プローブの全部または一部を酵素的に生成させることもできる。]
[0188] ヌクレオチド類似体は、当技術分野において周知の方法によって、プローブおよび/またはプライマーに組み入れることができる。唯一の要件は、組み入れられたヌクレオチド類似体がターゲットポリヌクレオチド配列との塩基対形成に役立たなければならないことである。例えば一定のグアニンヌクレオチドは、シトシン残基と塩基対を形成するヒポキサンチンで置換することができる。しかしこれらの塩基対はグアニンとシトシンの間の塩基対よりも不安定である。あるいは、アデニンヌクレオチドを、アデニンとチミジンの間の塩基対よりも強い塩基対を形成することができる2,6-ジアミノプリンで置換することもできる。]
[0189] さらに、プローブおよび/またはプライマーは、化学的または酵素的に誘導体化されたヌクレオチドを含むことができる。典型的な化学修飾には、アシル基、アルキル基、アリール基、アミノ基による誘導体化が含まれる。]
[0190] プローブは基材上に固定化することができる。好ましい基材は、メンブレン、フィルター、チップ、スライド、ウェハ、繊維、磁気ビーズ、非磁気ビーズ、ゲル、管、プレート、ポリマー、微粒子および毛細管を含む、任意の適切な剛性または半剛性支持体である。基材は、ウェル、溝、ピン、チャネルおよび小孔など、さまざまな表面形状を持つことができ、そこにポリヌクレオチドプローブが結合される。好ましくは、基材は、光学的に透明である。]
[0191] さらに、プローブは基材に直接結合させる必要はなく、リンカー基を介して基材に結合させることができる。リンカー基は、取り付けられたプローブへの曝露が得られるように、典型的には、約6〜50原子長である。好ましいリンカー基には、エチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸などが含まれる。基材表面上の反応基は、リンカーの末端部分の一方と反応して、リンカーを基材に結合させる。次に、プローブを結合するために、リンカーの他方の末端部分を官能化する。]
[0192] プローブは、基材表面上にプローブ合成用の試薬を分注することによって、または前もって形成されたDNAフラグメントもしくはDNAクローンを基材表面上に分注することによって、基材表面に取り付けることができる。代表的な分注器には、基材に対するマイクロピペットの位置を制御するためのロボットシステムを備えた、溶液を基材に送達するマイクロピペットが含まれる。試薬を複数の反応領域に同時に送達することができるように、多数の分注器を設けることができる。]
[0193] 多型の有無を検出するのに適した核酸プライマーは、当技術分野において周知の方法によって、設計および合成することができる。例えば、プライマー伸長および/またはシーケンシングに適したプライマーは、伸長された時に多型部位にあるヌクレオチドの素性が決定されるように、多型部位のすぐ上流に結合するように設計することができる。そのようなプライマーは、本明細書に記載する遺伝子の多型領域をまたぐために使用することができるプライマーの典型例である。適当なプライマー配列が、各SNPについて(ユニークな識別子またはRS番号を参照することによって)ENTREZデータベースエントリーに公開されているような多型部位の上流または下流の配列に由来し得ることは、当業者には理解されるだろう。例えば、本明細書の実施例で述べるように、個体の遺伝子型解析は、質量分析を使って容易に行うことができる。これは、一般に、「コンテキスト配列(context sequence)」に由来するプライマーのプライマー伸長を利用して行われる(例えばwww.appliedbiosystems.comを参照されたい)。本発明における使用に適したプライマーを設計する際に使用するのに適した例示的コンテキスト配列には、以下の配列が含まれる:

(CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746)多型用)

(CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504)多型用);

(CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560)多型用);

(NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602)多型用);

(CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285)多型用);および

(CYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910)多型用)。

(CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893)多型用)。

(CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274)多型用)。]
[0194] 例えば、PCR法または同等の方法でCYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893)多型を検出するのに適したプライマーには、上流プライマー

または下流プライマー

が含まれる。]
[0195] 同様に、PCR法または同等の方法でCYP2B6をコードする遺伝子中のrs3745274多型を検出するのに適したプライマーには、上流プライマー

または下流プライマー

が含まれる。]
[0196] 当技術分野において周知の他の検出方法、例えばPCR、TAQMAN、RTPCRなどにおける使用に適したプライマーも考えられる。]
[0197] 核酸マイクロアレイは好ましい。そのようなマイクロアレイ(核酸チップを含む)は当技術分野において周知である(例えば米国特許第5,578,832号、同第5,861,242号、同第6,183,698号、同第6,287,850号、同第6,291,183号、同第6,297,018号、同第6,306,643号、同第6,308,170号を参照されたい。これらの特許文献は、それぞれ、参照により本明細書に組み入れられる)。当技術分野において周知の遺伝子型解析プラットフォームは米国特許第7,110,585号、同第7354389号である。]
[0198] あるいは、抗体マイクロアレイを作製することもできる。そのようなマイクロアレイの作製は、本質的に、Schweitzer & Kingsmore「Measuring protein on microarrays」Curr Opin Biotechnol 2002;13(1):14-9;Avseekno et al.「Immobilization of proteins in immunochemical microarrays fabricated by electrospray deposition」Anal Chem 2001 15;73(24):6047-52;Huang「Detection of multiple proteins in an antibody-based protein maicroarray system」Immunol Methods2001 1;255(1-2):1-13に記載されているとおりである。]
[0199] 本発明では本発明に従って使用するためのキットの製造も考えられる。適切なキットは、適切な容器または包装材料(管、バイアル、ならびに収縮包装パッケージおよびブロー成形パッケージを含む)に入った、本発明に従って使用されるさまざまな試薬を含む。]
[0200] 本発明の例示的キットに含めるのに適した材料は、以下に挙げるものの一つまたは複数を含む:関心対象の遺伝子多型に隣接するDNAまたはcDNA配列ドメインにアニールする遺伝子特異的PCRプライマー対(オリゴヌクレオチド)、PCRを実施することなく、ゲノムDNAまたはcDNAの中の特異的配列ドメインを増幅することが可能な試薬;PCR増幅または非PCR的増幅によって増幅された配列ドメイン中の考え得るさまざまなアレルを識別するのに必要な試薬(例えば制限エンドヌクレアーゼ、多型の一つのアレルに優先的にアニールするオリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドからのシグナルを増幅してアレルの識別をよりロバストにする酵素または蛍光化学基を含有するように修飾されたものを含む));さまざまなアレルに由来する産物を物理的に分離するのに必要な試薬(例えば電気泳動に使用するアガロースまたはポリアクリルアミドおよび緩衝液、HPLCカラム、SSCPゲル、ホルムアミドゲル、またはMALDI-TOF用のマトリクス支持体)。]
[0201] 本発明の方法を、抗血小板剤に対して対象が示す可能性の高い応答と関連することが知られている他の非遺伝的因子の解析と一緒に行うことができることは、理解されるだろう。そのような因子には、抗血小板剤に対する低応答または抵抗性と関連する疫学的リスク因子が含まれる。そのようなリスク因子には、例えば喫煙および/またはタバコの煙への曝露、年齢、性別、家族歴が含まれるが、これらに限るわけではない。これらのリスク因子は、抗血小板剤に対する対象の応答を評価する際に、本明細書に記載する一つまたは複数の多型の解析を補完するために使用することができる。]
[0202] 個々のSNPは、関心対象である疾患または表現型に対する感受性または防御の弱いリスクを付与し得ると認識される。個々のSNPによるこれらのあまり大きくない効果は、典型的には、1〜3程度のオッズ比として測定される。関心対象である特異的表現型は疾患、例えば血小板凝集と関連する疾患もしくは症状であるか、損なわれた薬物応答であるか、病理学的、生化学的または生理学的異常(例えば変異型ADP受容体)に基づく中間的表現型であり得る。本明細書に記載するように、2つ以上の応答性多型または制限的多型の効果を組み合わせて、抗血小板剤に対する対象の応答、または処置レジームに対する対象の適合性を、より正確に予測または決定することができる。]
[0203] 応答性または非応答性個体をその複合的遺伝子スコアに基づいて同定することに加えて、ある集団を分割して、その集団のうち、介入を受けるのに適したサブグループを明確にすることも可能である。そのような介入は、診断的介入、例えば画像検査、他のスクリーニング検査もしくは診断検査(例えば生化学的検査またはRNAに基づく検査)であるか、治療的介入、例えば化学的予防法もしくは化学的治療法、または予防的生活様式改善(例えば禁煙または運動量の増加)であることができる。そのような臨床閾値の定義にあたっては、介入のコストまたは介入のリスク(例えば画像に基づくスクリーニングもしくは高額な予防的処置のコスト、または薬物副作用のリスクもしくは放射線被曝のリスク)が最小限になるような方法で、特定の介入に優先順位をつけることができる。この閾値を決定する際には、症例の大部分が検出されるという検査の能力を最大にすること(感度を最大にすること)が目標とされるかもしれないが、関心対象である介入を必要とするか他の何らかの形でそれにふさわしいと思われる低リスクの人々の数を、最小限に抑えることが目標とされるかもしれない。]
[0204] 受信者操作特性曲線(ROC)解析は、所与の集団における単一の変量について感度と擬陽性率(すなわち1-特異性)との関係を調べることによって、検査の臨床成績を解析する。ROC解析では検査変量がいくつかの因子の組合せに由来し得る。複合的遺伝子スコアを解析するために使用される例示的なROC解析を本明細書に提示する。]
[0205] したがって、本発明は、血小板凝集と関連する疾患または症状の診断的または治療的介入に関する対象の適合性を評価する方法であって、
a)該対象由来の試料の一つまたは複数の遺伝子検査の結果を提供する工程、および
b)該結果を、一つもしくは複数の応答性多型の有無について、または一つもしくは複数の抵抗性多型の有無について、解析する工程
を含み、該応答性多型または抵抗性多型が、
CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);
CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;
CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);
CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);
CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);
NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);または
前記多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある一つもしくは複数の多型;
からなる群より選択され、
一つまたは複数の応答性多型の存在がその介入に関する対象の適合性を示し、一つもしくは複数の応答性多型の非存在または一つもしくは複数の抵抗性多型の存在がその介入に関する対象の不適合性を示す方法も提供する。]
[0206] 介入は、疾患に関する診断検査、例えばACSに関する血液検査またはCTスキャンであることができる。あるいは、介入は、化学療法または放射線療法などの疾患の治療(対象に禁煙の動機を与えることなどの疾患の予防的治療を含む)であることもできる。]
[0207] 本明細書に記載するコンピュータシステムおよびプログラムへの本発明の方法の実装、そのような方法によって作成されるデータ、および抗血小板剤に対する対象の応答の予測もしくは決定、または血小板凝集と関連する疾患または症状の診断的もしくは治療的介入に関する対象の適合性もしくは不適合性の決定における、そのようなデータの使用も、考えられる。]
[0208] 本明細書において使用する「介入に関する対象の適合性を評価する」という表現、またはそれらと文法上等価な表現は、所与の対象がある介入の候補であるかもしくはある介入の候補とすべきであるか、またはある介入の候補でないかもしくはある介入の候補とすべきでないかについての一つまたは複数の決定を意味する。好ましくは、評価は、本明細書に記載するSNPスコアの分布に関連して対象のSNPスコアを決定することを伴う。]
[0209] 本明細書で使用する「介入」という用語は、医学的な検査、解析、および処置(診断的処置、治療的処置および予防的処置を含む)ならびに心理学的および精神医学的な検査、解析および処置(カウンセリングなどを含む)を包含する。]
[0210] コンピュータ関連態様
本発明の方法が、コンピュータシステム、コンピュータソフトウェアおよびコンピュータ処理ならびにそれらによって解析された結果と共に使用するのに適していることも理解されるだろう。遺伝子多型を同定し解析するためのコンピュータシステム、コンピュータソフトウェアおよびコンピュータ処理は、当技術分野において周知である。同様に、本明細書に記載するSNPスコアを生成させるために利用されるアルゴリズムの、コンピュータシステム、コンピュータソフトウェアおよびコンピュータ処理への実装も考えられる。例えば、本明細書に記載する一つまたは複数の遺伝子解析の結果を、コンピュータシステムを使って解析し、本明細書に記載する解析のコンピュータ実行可能な例を利用するそのようなシステムによって処理することができる。]
[0211] 本発明で利用されるSNPとSNPの解析の結果はどちらも、その使用が容易になるように、さまざまな媒体で「提供」することができる。この項においていう「提供」とは、本発明のSNP情報を含有する単離された核酸分子以外の製造物を指す。そのような製造物は、当業者が、自然界に存在するまたは精製された形態にあるSNPまたはそのサブセットを調べるために直接的には適用することができない手段を使ってその製造物を調べることを可能にするような形態で、SNP情報を提供する。そのような形態で提供され得るSNP情報には、例えば多型核酸および/またはアミノ酸配列情報、観察されるSNPアレルに関する情報、代替コドン、集団、アレル頻度、SNPタイプ、および/または影響を受けるタンパク質、応答性SNPまたは抵抗性SNPという同定、重み付け(例えば本明細書に記載する複合的解析で使用するためのもの)、または本発明によって提供される他の任意の情報など、本発明によって提供されるSNP情報が、どれでも含まれる。]
[0212] この態様の応用例の一つでは、本発明において利用されるSNPおよびSNPの解析結果をコンピュータ可読媒体に記録することができる。本明細書にいう「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータによって直接的に読み取り、アクセスすることができる任意の媒体を指す。そのような媒体には、以下にあげるものが含まれるが、これらに限るわけではない:磁気記憶媒体、例えばフロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ;光学記憶媒体、例えばCD-ROM;電気記憶媒体、例えばRAMおよびROM;ならびにこれらのカテゴリーのハイブリッド、例えば磁気/光学記憶媒体。現在公知のどのコンピュータ可読媒体を使っても、本発明のSNP情報が記録されているコンピュータ可読媒体を含む製造物を作製できることを、当業者は容易に理解することができる。そのような媒体の一つは本出願と共に提供される。すなわち本出願は、詳細なSNPおよび配列情報を含有する添付の表と共に、配列表にASCIIテキストフォーマットで提供/記録された、本発明で利用されるSNPの解析に使用した核酸配列を有する、コンピュータ可読媒体(フロッピーディスク)を含有する。]
[0213] 本明細書にいう「記録」とは、コンピュータ可読媒体に情報を記憶させるためのプロセスを指す。当業者は、コンピュータ可読媒体に情報を記録するための現在公知の方法をどれでも容易に採用して、本発明のSNP情報を含む製造物を作製することができる。]
[0214] 当業者は、本発明のSNP情報が記録されているコンピュータ可読媒体を作製するために、さまざまなデータ記憶構造を利用することができる。データ記憶構造の選択は、一般に、記憶された情報にアクセスするために選択した手段に基づくであろう。また、本発明のSNP情報をコンピュータ可読媒体に記憶させるには、さまざまなデータプロセッサプログラムおよびフォーマットを使用することができる。例えば配列情報は、WordPerfectやMicrosoft Wordなどの市販ソフトウェアでフォーマットされた文書処理テキストファイルに表現し、ASCIIファイルの形式で表現し、またはOB2、Sybase、Oracleなどのデータベースアプリケーションに記憶させることができる。当業者は、本発明のSNP情報が記録されているコンピュータ可読媒体を得るために、多くのデータプロセッサ構造化フォーマット(例えばテキストファイルまたはデータベース)をどれでも容易に適合させることができる。]
[0215] 本発明で利用されるSNPおよび/またはSNP解析の結果をコンピュータ可読形式で提供することにより、当業者は、さまざまな目的でSNP情報に、日常的にアクセスすることができる。例えば、コンピュータ可読媒体に格納して提供される配列情報に当業者がアクセスすることを可能にするコンピュータソフトウェアは、公に利用可能である。公に利用可能なコンピュータソフトウェアの例には、BLAST(Altschul et al, J.Mol.Biol. 215:403-410(1990))およびBLAZE(Brutlag et al, Comp.Chem. 17:203-207(1993))検索アルゴリズムが含まれる。]
[0216] 本発明はさらに、本明細書に記載するSNP情報を含有するシステム、特にコンピュータに基づくシステムを提供する。そのようなシステムは、例えばいくつかのSNP位置に関する情報、またはいくつかの個体から得られたSNP遺伝子型に関する情報を記憶しかつ/または解析するために、設計することができる。本発明のSNP情報は貴重な情報源になる。コンピュータに基づくシステムにおいて記憶/解析される本発明のSNP情報は、ある集団におけるSNPアレル頻度の決定または解析、疾患遺伝子のマッピング、遺伝子型-表現型関連研究、SNPのハプロタイプへのグループ分け、SNPハプロタイプを特定薬物に対する応答と相関させること、または他のさまざまなバイオインフォマティクス応用、薬理ゲノミクス応用、薬物開発応用、もしくはヒト同定/法医学的応用などのコンピュータを駆使した応用例の他、抗血小板剤に対して対象が示す可能性の高い応答性を予測するなどの応用例にも使用することができる。]
[0217] 本明細書にいう「コンピュータに基づくシステム」とは、本発明のSNP情報を解析するために使用されるハードウェア、ソフトウェア、およびデータ記憶装置を指す。本発明のコンピュータに基づくシステムの最小ハードウェアは、典型的には、中央処理装置(CPU)、入力、出力、およびデータ記憶装置を含む。現在利用可能なコンピュータに基づくシステムがどれをとっても本発明における使用に適していることは、当業者には容易に理解できる。そのようなシステムは、フロッピーディスクに格納して本出願と共に提供されるようなSNP情報、またはそのサブセットを利用することにより、いかなる実験も伴わずに、本発明のシステムに変化させることができる。]
[0218] 上述のように、本発明のコンピュータに基づくシステムは、SNP情報(例えば本発明において利用されるSNPおよび/またはSNPの解析結果)を記憶させたデータ記憶装置と、一つまたは複数のプログラムまたはアルゴリズムを支援し実装するために必要なハードウェアおよびソフトウェアとを含む。本明細書にいう「データ記憶装置」とは、本発明のSNP情報を記憶しておくことができるメモリ、または本発明のSNP情報が記録されている製造物にアクセスすることができるメモリアクセス設備を指す。]
[0219] データ記憶装置内に記憶されたSNP情報を同定しまたは解析するために、一つまたは複数のプログラムまたはアルゴリズムがコンピュータに基づくシステムに実装される。例えば、そのようなプログラムまたはアルゴリズムは、ターゲット配列中の特定のSNP位置にどのヌクレオチドが存在するかを決定するために、または本明細書に記載するSNPの遺伝子解析の結果を解析するために、または本明細書に記載するSNPスコアを導き出すために、使用することができる。本明細書にいう「ターゲット配列」は、解析、検索またはクエリされるべきSNP位置を含有する任意のDNA配列であることができる。]
权利要求:

請求項1
対象由来の試料を、シトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA、ポリペプチド5(CYP3A5)をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーC、ポリペプチド19(CYP2C19)をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);核内受容体サブファミリー1、グループI、メンバー2(NR1I2)をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);または前記さらなる多型の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある、一つもしくは複数の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の有無について解析する工程を含む、抗血小板剤に対する対象の応答を予測または決定する方法であって、前記多型の一つまたは複数の有無が、抗血小板剤に対する対象の応答を示す、方法。
請求項2
前記対象由来の試料を、CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーC、ポリペプチド9(CYP2C9)をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910);シトクロムP450、ファミリー2、サブファミリーB、ポリペプチド6(CYP2B6)をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274);または前記さらなる多型の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある、一つもしくは複数の多型からなる群より選択される一つまたは複数のさらなる多型の存在について解析する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
請求項3
抗血小板剤がクロピドグレルである、請求項1または請求項2記載の方法。
請求項4
対象由来の試料の、一つまたは複数の遺伝子検査の結果を提供する工程、および該結果を、CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);またはこれらの多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある、一つもしくは複数の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の有無について解析する工程を含む、クロピドグレルに対する対象の応答を予測または決定する方法であって、前記多型の一つまたは複数の有無を示す結果が、クロピドグレルに対する対象の応答性を示す、方法。
請求項5
(a)対象由来の試料の、一つまたは複数の遺伝子検査の結果を提供する工程、および(b)該結果を、一つもしくは複数の応答性多型の有無について、または一つもしくは複数の抵抗性多型の有無について、解析する工程であって、該応答性多型または抵抗性多型が、CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);または前記多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある、一つもしくは複数の多型からなる群より選択される、工程を含む、血小板凝集と関連する疾患の診断的または治療的介入に対する対象の適合性を評価する方法であって、抵抗性多型の一つまたは複数の存在が、前記介入に対する対象の適合性または不適合性を示す、方法。
請求項6
一つまたは複数の多型の存在が、対象の、クロピドグレルによる処置に対する不適合性およびプラスグレルによる処置に対する適合性を示す、請求項5記載の方法。
請求項7
介入が、血小板凝集と関連する疾患または症状の治療である、請求項5記載の方法。
請求項8
血小板凝集と関連する疾患または症状が、冠状動脈疾患、急性冠症候群、末梢血管疾患、症候性アテローム性動脈硬化を含むアテローム性動脈硬化、脳血管疾患、または血栓塞栓症、請求項5記載の方法。
請求項9
CYP2C19をコードする遺伝子中の19154G/A(rs4244285);CYP2C9をコードする遺伝子中の42614A/C(rs1057910);CYP2B6をコードする遺伝子中の516G>T(rs3745274);またはこれらの多型の任意の一つもしくは複数と連鎖不平衡にある、一つもしくは複数の多型からなる群より選択される一つまたは複数のさらなる応答性多型または抵抗性多型の有無に関する解析を含む、請求項5記載の方法。
請求項10
(a)対象由来の試料における血小板阻害の一つまたは複数の検査の結果を提供する工程;および(b)該結果を解析する工程を含む、血小板凝集と関連する疾患のための治療的介入に対する対象の適合性を評価する方法であって、約10%未満の血小板阻害を示す結果が、該介入に対する対象の適合性または不適合性を示す、方法。
請求項11
治療的介入がクロピドグレルによる処置である、請求項10記載の方法。
請求項12
薬物投与の2時間後における約5%未満の血小板阻害という結果が、600mgを2回投与する反復負荷投与量と約150mgの1日維持投与量でのクロピドグレルの投与を含むクロピドグレルの高投与量処置レジメンに対する対象の適合性を示す、請求項11記載の方法。
請求項13
(a)処置の1日目に、600mgの反復負荷投与量で与えられる、600mg超から約1800mgまでの範囲にある負荷投与量のクロピドグレルを、対象に投与する工程;(b)以降の処置の各日に、50mg超から約200mgまでの範囲にある維持投与量のクロピドグレルを、対象に投与する工程を含む、対象における血小板凝集と関連する疾患を処置する方法。
請求項14
(a)処置の1日目に、300mg超から約900mgまでの範囲にある第1負荷投与量のクロピドグレルを、対象に投与する工程;(b)処置の1日目に、300mg超から約900mgまでの範囲にある第2負荷投与量のクロピドグレルを、該対象に投与する工程;(c)以降の処置の各日に、50mg超から約200mgまでの範囲にある維持投与量のクロピドグレルを、該対象に投与する工程を含む、対象における血小板凝集と関連する疾患を処置する方法であって、第2負荷投与量が第1負荷投与量の少なくとも約30分後に投与される、方法。
請求項15
第2負荷投与量が第1負荷投与量の約2時間後に投与される、請求項14記載の方法。
請求項16
クロピドグレルを含む複数の剤形と、血小板凝集と関連する疾患を患っている患者への該クロピドグレルの投与に関する指示書とを含む製造物であって、該指示書が、クロピドグレルが処置の1日目に約1200mgの負荷投与量で投与され、その後、以降の処置の各日に約150mgの維持投与量で投与されることを規定する、製造物品。
請求項17
指示書が、クロピドグレルが処置の1日目に約600mgの第1負荷投与量で投与されること、およびクロピドグレルが第1負荷投与量の少なくとも約30分後に約600mgの第2負荷投与量で投与されること、および以降の処置の各日に約150mgのクロピドグレルの維持投与量が投与されることを規定する、請求項16記載の物品。
請求項18
データを受信し、処理し、かつ伝達するためのコンピュータプロセッサ手段;抗血小板剤に対する応答に関する、または血小板凝集と関連する疾患もしくは症状に関する、少なくとも一つの遺伝子解析の結果のリファレンス遺伝情報データベースと、任意で、血小板凝集と関連する疾患または症状に関する非遺伝的リスク因子のリファレンス非遺伝情報データベースとを含む、データを記憶するための記憶手段;および該リファレンス遺伝情報データベースにデータが含まれている遺伝子解析の結果からなるデータ、または該リファレンス遺伝情報データベースにデータが含まれている遺伝子解析の結果を含むデータを受信し次第、該リファレンスデータベースに照らして該データを処理し、その結果として、抗血小板剤に対する対象の応答を決定し、該結果が、分かり次第、好ましくは該データを入力したユーザーに伝達可能である、該コンピュータプロセッサ内に組み込まれたコンピュータプログラムを含む、抗血小板剤に対する対象の応答を決定するためのシステム。
請求項19
少なくとも一つの遺伝子解析が、CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);または前記の一つもしくは複数の多型と連鎖不平衡にある、一つもしくは複数の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の解析である、請求項18記載のシステム。
請求項20
対象由来の試料を、CYP3A5をコードする遺伝子中の6986G/A(rs776746);CYP3A5をコードする遺伝子中の31611T/C;CYP2C19をコードする遺伝子中の1A/G(rs28399504);CYP2C19をコードする遺伝子中の636G>A(rs4986893);CYP2C19をコードする遺伝子中の-806C/T(rs12248560);NR1I2をコードする遺伝子中の275A/G(rs1464602);または前記の一つもしくは複数の多型と連鎖不平衡にある、一つもしくは複数の多型からなる群より選択される一つまたは複数の多型の有無について解析する手段を、使用に関する指示書と一緒に含む、抗血小板剤に対する対象の応答を評価するためのキット。
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