专利摘要:
要約 本発明は、式I、IaおよびIbの化合物、ならびにその薬学的に使用可能な互変異性体、塩、立体異性体およびエナンチオマー(そのすべての比率での混合物を含む)に関する。本発明はさらにまた、ウイルス性疾患および/または癌腫の予防および/または治療のための、式IIの化合物[式中、R1、R2はそれぞれ、互いに独立して、H、CHOまたはアセチルを表し、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11はそれぞれ、互いに独立して、H、A、OSO2A、Hal、NO2、OR12、N(R12)2、CN、O−COA、−[C(R12)2]nCOOR12、O−[C(R12)2]oCOOR12、SO3H、−[C(R12)2]nAr、−CO−Ar、O−[C(R12)2]nAr、−[C(R12)2]nHet、−[C(R12)2]nC≡CH、O−[C(R12)2]nC≡CH、−[C(R12)2]nCON(R12)2、−[C(R12)2]nCONR12N(R12)2、O−[C(R12)2]nCON(R12)2、O−[C(R12)2]oCO−NR12N(R12)2、NR12COA、NR12CON(R12)2、NR12SO2A、N(SO2A)2、COR12、S(O)mAr、SO2NR12またはS(O)mAを表し、R3およびR4は一緒になって、CH=CH−CH=CHも表し、R3およびR4、R7およびR8またはR8およびR9は一緒になって、3、4または5個のC原子を有するアルキレンも表し、ここで、1個または2個のCH2基は、酸素で置き換えられていてもよく、Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝もしくは分枝のアルキルを表し、1〜7個のH原子は、Fで置き換えられていてもよく、または3〜7個のC原子を有する環状アルキルを表し、Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを表し、そのそれぞれが非置換であるか、またはHal、A、OR12、N(R12)2、NO2、CN、フェニル、CON(R12)2、NR12COA、NR12CON(R12)2、NR12SO2A、COR12、SO2N(R12)2、S(O)mA、−[C(R12)2]n−COOR12および/または−O[C(R12)2]oCOOR12で一置換、二置換もしくは三置換されており、Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族の複素環を表し、この複素環は、Hal、A、OR12、N(R12)2、NO2、CN、COOR12、CON(R12)2、NR12COA、NR12SO2A、COR12、SO2NR12、S(O)mA、=S、=NR12および/または=O(カルボニル酸素)で一置換、二置換または三置換されていてもよく、R12は、HまたはAを表し、Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、mは、0、1または2を表し、nは、0、1、2または3を表し、oは、1、2または3を表す]、ならびにそれらの薬学的に使用可能な互変異性体、塩、立体異性体およびエナンチオマー(そのすべての比率での混合物を含む)に関する。
公开号:JP2011512373A
申请号:JP2010547096
申请日:2009-02-17
公开日:2011-04-21
发明作者:ロルフ ジュリッケ、;トーマス フックス、;ノルベルト ベイアー、;カール ラング、;フィリップ ラング、;フロリアン ラング、
申请人:メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングMerck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung;
IPC主号:C07C243-38
专利说明:

[0001] 本発明は、ウイルス性疾患および/または癌腫の治療上の処置のための、SGK1(血清およびグルココルチコイド依存性キナーゼ1)を阻害する化合物に関する。]
背景技術

[0002] 血清およびグルココルチコイド依存性キナーゼ1(SGK1)は、真核細胞中に遍在するタンパク質である。SGK1は、例えば、細胞収縮などの細胞のストレスならびに例えば、グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイドなどのホルモンの制御下にある。SGK1は、インスリンおよび成長因子によって、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼおよびPDK1(3−ホスホイノシチド依存性キナーゼ1)を介して活性化される。]
[0003] SGK1はもともと、ラット乳癌細胞からクローン化された(Webster MK, Goya L, Firestone GL. J. Biol. Chem. 268 (16): 11482-11485, 1993;Webster MK, Goya L, Ge Y, Maiyar AC, Firestone GL. Mol. Cell. Biol. 13 (4): 2031-2040, 1993)。ヒトキナーゼhSGKは、細胞容積調節性遺伝子として、肝細胞からクローン化された(Waldegger S, Barth P, Raber G, Lang F. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 4440-4445, 1997)。ラットキナーゼ(Chen SY, Bhargava A, Mastroberardino L, Meijer OC, Wang J, Buse P, Firestone GL, Verrey F, Pearce D. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 2514-2519, 1999;Naray-Fejes-Toth A, Canessa C, CleavelandES, Aldrich G, Fejes-Toth G. J. Biol. Chem. 274: 16973-16978, 1999)は、上皮Na+チャネル(ENaC)を刺激することが示されている。ENaCの活性が増加すると、高血圧を伴うことがさらに示されている(Warnock DG. Kidney Ind. 53 (1): 1824, 1998)。]
[0004] hSGKは、脳においても発現され(Waldegger S, Barth P, Raber G, Lang F. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 4440-4445, 1997)、脳でhSGKは電圧依存性K+チャネルKv1.3を調節する。Kv1.3タイプのこれらのK+チャネルは、神経細胞の興奮性の調節(Pongs O. Physiol. Rev. 72: 69-88, 1992)、細胞増殖の調節(Cahalan MD and Chandy KG. Cur. Opin. Biotech. 8 (6): 749-756, 1997)およびアポトーシス細胞死の調節(Szabo I, Gulbin E, Apfel H, Zhan X, Barth P, BuschAE, Schlottmann K, Pongs O, Lang F. J. Biol. Chem. 271: 20465-20469, 1999;Lang F, Szabo I, Lepple-Wienhues A, Siemen D, Gulbins E. News Physiol. Sci. 14: 194-200, 1999)に関与することが示されている。Kv1.3は、リンパ球の増殖および機能の調節においてさらに重要である(Cahalan MD and Chandy KG, Cur. Opin. Biotech. 8 (6): 749-756, 1997)。SGKファミリーのさらなる2つのメンバーであるSGK2およびSGK3がクローン化されている(Kobayashi T, Deak M, Morrice N, Cohen P. Biochem. J. 344: 189-197, 1999)。SGKは、セリン/トレオニン−タンパク質キナーゼファミリーを形成し、それらは転写調節および転写後調節され得ることがさらに示されている。同様のSGK1、SGK2およびSGK3はまた、例えば、インスリンおよびIGF1によって、PI3キナーゼ経路を介して活性化される。しかし、SGKタンパク質ファミリーは、今のところ、完全には特徴付けられていない。]
[0005] とりあえず、SGK1は、多様な治療上および診断上の適用のための標的としても知られている。]
[0006] 例えば、DE 197 08 173は、hSGK1が、細胞容積の変化によって病態生理学的に影響される多くの疾患、例えば、高ナトリウム血症、低ナトリウム血症、糖尿病、腎不全、異化亢進、肝性脳症および微生物感染またはウイルス感染などのための有意な診断上の潜在的可能性を有することを示している。]
[0007] DE 199 17 990は、細胞容積依存性疾患の治療に用いることができるキナーゼ阻害剤、例えば、スタウロスポリン、ケレリトリンまたはトランス優位的に阻害するキナーゼ(transdominantly inhibitory kinase)などを記載している。]
[0008] 加えて、WO 2004/079003 A1は、凝固障害、脈管障害、肺高血圧および動脈硬化のための、診断上および治療上の標的としてのSGK1の使用を開示している。]
[0009] DE 197 08 173
DE 199 17 990
WO 2004/079003 A1]
先行技術

[0010] Webster MK, Goya L, Firestone GL. J. Biol. Chem. 268 (16): 11482-11485, 1993
Webster MK, Goya L, Ge Y, Maiyar AC, Firestone GL. Mol. Cell. Biol. 13 (4): 2031-2040, 1993
Waldegger S, Barth P, Raber G, Lang F. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 4440-4445, 1997
Chen SY, Bhargava A, Mastroberardino L, Meijer OC, Wang J, Buse P, Firestone GL, Verrey F, Pearce D. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 2514-2519, 1999
Naray-Fejes-Toth A, Canessa C, CleavelandES, Aldrich G, Fejes-Toth G. J. Biol. Chem. 274: 16973-16978, 1999
Warnock DG. Kidney Ind. 53 (1): 1824, 1998
Pongs O. Physiol. Rev. 72: 69-88, 1992
Cahalan MD and Chandy KG. Cur. Opin. Biotech. 8 (6): 749-756, 1997
Szabo I, Gulbin E, Apfel H, Zhan X, Barth P, BuschAE, Schlottmann K, Pongs O, Lang F. J. Biol. Chem. 271: 20465-20469, 1999
Lang F, Szabo I, Lepple-Wienhues A, Siemen D, Gulbins E. News Physiol. Sci. 14: 194-200, 1999
Kobayashi T, Deak M, Morrice N, Cohen P. Biochem. J. 344: 189-197, 1999]
発明が解決しようとする課題

[0011] これとは対照的に、腫瘍の形成におけるSGK1の役割は、専門家の文献において、非常に論議を呼び、相反する議論の問題となっている。]
[0012] 本発明は現在、標的分子(標的)としてSGK1を使用する出願のさらなる新規な治療上および診断上の分野を提供する目的を有している。]
[0013] 本発明はまた、式I、Ia、IbおよびIIの化合物の光学活性の形(立体異性体)、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、不活性な溶媒分子が化合物上に付加し、それらの相互引力によって形成している付加物を意味する。溶媒和物は、例えば、一水和物もしくは二水和物またはアルコラートである。]
[0014] 本発明は、式Iの化合物ならびにその式Ia(S配置)および式Ib(R配置)のエナンチオマー:]
[0015] ]
[0016] ならびにその薬学的に使用可能な互変異性体、塩、立体異性体およびエナンチオマー(そのすべての比率での混合物を含む)に関する。]
[0017] 式Iに描かれている化合物は、N’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−アセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾヒドラジドである。この化合物は、好ましくは、薬剤として使用される。式Iによって描かれている化合物は、特に好ましくは、ウイルス性肝炎の予防および/または治療に用いられる。この理由は、驚いたことに、式Iの化合物がSGK1の阻害剤であることが見出されたからである。さらに、前記化合物はウイルス性疾患および癌性疾患の治療に適していることを示すことに成功した。式Iの化合物の調製を以下でより詳しく記載する。]
[0018] 本発明はまた、ウイルス性疾患および/または癌腫の予防および/または治療のための、式IIの化合物]
[0019] ]
[0020] [式中、
R1、R2はそれぞれ、互いに独立して、H、CHOまたはアセチルを表し、
R3、R4、R5、R6、R7、
R8、R9、R10、R11はそれぞれ、互いに独立して、
H、A、OSO2A、Hal、NO2、OR12、N(R12)2、CN、O−COA、−[C(R12)2]nCOOR12、O−[C(R12)2]0COOR12、SO3H、−[C(R12)2]nAr、−CO−Ar、O−[C(R12)2]nAr、−[C(R12)2]nHet、−[C(R12)2]nC≡CH、O−[C(R12)2]nC≡CH、−[C(R12)2]nCON(R12)2、−[C(R12)2]nCONR12N(R12)2、O−[C(R12)2]nCON(R12)2、O−[C(R12)2]0CONR12N(R12)2、NR12COA、NR12CON(R12)2、NR12SO2A、N(SO2A)2、COR12、S(O)mAr、SO2NR12またはS(O)mAを表し、
R3およびR4は一緒になって、CH=CH−CH=CHも表し、
R3およびR4、R7およびR8
またはR8およびR9は一緒になって、3、4または5個のC原子を有するアルキレンも表し、
ここで、1個または2個のCH2基は、酸素で置き換えられていてもよく、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝もしくは分枝のアルキルを表し、1〜7個のH原子は、Fで置き換えられていてもよく、
または3〜7個のC原子を有する環状アルキルを表し、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを表し、そのそれぞれが非置換であるか、またはHal、A、OR12、N(R12)2、NO2、CN、フェニル、CON(R12)2、NR12COA、NR12CON(R12)2、NR12SO2A、COR12、SO2N(R12)2、S(O)mA、−[C(R12)2]n−COOR12および/または−O[C(R12)2]o−COOR12で一置換、二置換もしくは三置換されており、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族の複素環を表し、この複素環は、Hal、A、OR12、N(R12)2、NO2、CN、COOR12、CON(R12)2、NR12COA、NR12SO2A、COR12、SO2NR12、S(O)mA、=S、=NR12および/または=O(カルボニル酸素)で一置換、二置換または三置換されていてもよく、
R12は、HまたはAを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
mは、0、1または2を表し、
nは、0、1、2または3を表し、
oは、1、2または3を表す]、
ならびにそれらの薬学的に使用可能な互変異性体、塩、立体異性体およびエナンチオマー(そのすべての比率での混合物を含む)に関する。]
[0021] 式IIの化合物はまた、それらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体(そのすべての比率での混合物を含む)であり得る。]
[0022] この類の化合物のさらなる特性および特徴ならびに代表例の調製に関しては、本出願者のWO 2007/093264 A1に言及されており、この開示内容は、明示的な参照として、本記述内容に完全に組み込まれる。]
[0023] 好ましい実施形態では、式IIの化合物は、N’−[2−ヒドロキシ−2−(3,4−ジフルオロフェニル)アセチル]−4−ヒドロキシ−2−エチル−3−メチルベンゾヒドラジドおよびN’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾヒドラジドから選択される。好ましくは、最後に言及された式Iの化合物であり、その調製は、既に言及されているが、以下にも記載される。]
[0024] ウイルス性疾患は、リンパ球性脈絡髄膜炎、ウイルス性肝炎、ウイルス性心筋炎、AIDS、ヘルペス、乳頭腫およびウイルス性肺感染症の群から選択されることが好ましい。本発明の目的のために、ヘルペスおよび乳頭腫は、ヘルペスウイルスまたは乳頭腫ウイルスによって引き起こされる感染症または感染性疾患を意味することを意図する。]
[0025] 癌腫は、結腸癌、乳癌、胃癌および肺癌の群から選択されることが好ましい。]
[0026] さらに、式IIの化合物は、医薬製剤の形で存在し得る。このタイプの医薬製剤は、任意の所望の適した経路、例えば経口、直腸、経鼻、局所、経膣または非経口経路による投与に適合させることができる。このタイプの製剤は、薬剤部門において知られている方法、例えば前記化合物を(1種もしくは複数種の)添加剤または(1種もしくは複数種の)補助剤と組み合わせることによる方法を用いて調製することができる。]
[0027] 式IIの化合物の可能な医薬製剤のさらなる特徴および詳細に関しては、同様にWO 2007/093264 A1に言及されている。]
[0028] 本発明の化合物の治療有効量は、例えば、個人または動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な状態およびその重症度、製剤の性質および投与経路を含む多くの因子によって決まり、治療を行う医師または獣医によって最終的に決定される。しかし、治療のための本発明による化合物の有効量は、一般に、1日当たりレシピエント(哺乳動物)の体重1kgにつき0.1から1000mgまでの範囲であり、特に1日当たり0.1から100mg/kg体重までの範囲であり、特に典型的には1日当たり1から10mg/kg体重までの範囲である。それ故に、体重70kgの成熟哺乳動物に対する1日当たりの実際量は、通常、70から700mgの間であり、この量は、1日当たりの単回用量として、またはより通常では、1日当たりの一連の分割用量(例えば、2、3、4、5または6回など)で、全日用量が同じになるように投与することができる。塩もしくは溶媒和物の有効量またはその生理学的に機能的な誘導体の有効量は、本発明自体による化合物の有効量の割合として決定することができる。類似の用量が、以上に言及されている他の状態の治療に適していると仮定することができる。]
[0029] 本発明はまた、ウイルス性疾患および/または癌腫の予防および/または治療を目的とした薬剤を調製するための、式IIの化合物の使用に関する。さらなる特徴および詳細に関しては、上記に言及されている。]
[0030] 最後に、本発明はまた、式IIの化合物の治療有効量を投与することを含む、ウイルス性疾患および/または癌腫の予防および/または治療のための方法に関する。「治療有効量」という表現は、本明細書では、この量を投与されていない対応患者と比較して、以下の効果、すなわち、疾患、症候群、状態、愁訴、障害もしくは副作用の、改善された治療効果、回復、予防もしくは治癒または疾患、愁訴もしくは障害の進行の軽減をも有する前記化合物の量、またはそれに基づく薬剤もしくは医薬品の量を意味する。さらなる特徴および詳細に関しては、同様に上記に言及されている。]
[0031] 本発明はさらにまた、本出願者のWO 2006/105850 A1に記載され、式Iによって描かれている、ウイルス性疾患および/または癌腫の予防および/または治療のための化合物に関する。これらの化合物のさらなる特性および特徴ならびに調製に関しては、本出願者のWO 2006/105850 A1に言及されており、この開示内容は、明示的な参照として、本記述内容に完全に組み込まれる。]
[0032] 本発明の既存の特徴およびさらなる特徴は、従属請求項および図と組み合わせて、好ましい実施形態の以下の記載から生じる。本明細書における個々の特徴は、いずれの場合にも、単独でまたは個々に互いに組み合わせて達成され得る。]
[0033] 図は以下を示す。]
図面の簡単な説明

[0034] SGK1ノックアウトマウスにおいて、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)に対するCD8+T細胞応答の高まりを示す。
SGK1ノックアウトマウスおよびSGK1野生型同胞マウスの種々の組織におけるLCMVのウイルス複製を示す。
SGK1ノックアウトマウスおよび野生型同胞マウスにおけるLCMV抗原の免疫組織化学的検査の結果を示す。
SGK1がウイルス性肝炎の経過に及ぼす影響を示す。
SGK1阻害剤がウイルス性肝炎の経過にもたらす効果を示す。
SGK1野生型マウスと比較したSGK1ノックアウトマウスにおける結腸癌の発現を示す。
SGK1阻害剤による結腸癌の抑制を示す。
SGK1阻害剤N’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾヒドラジドI(EMD638683)の合成スキームを示す。
エナンチオマーのSGK1阻害剤N’−[(S)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチル−ベンゾヒドラジド(Ia) N’−[(R)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾヒドラジド(Ib)の合成スキームを示す。]
[0035] 実施例
I.N’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾ−ヒドラジド(EMD638683)
70.0gのN’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−メトキシ−3−メチルベンゾ−ヒドラジド(A1)を、350mlのジクロロメタン中に懸濁させる。次いで、105mlの三臭化ホウ素を滴下する。反応混合物を室温で3時間撹拌する。続いて、得られた溶液を1リットルの氷水中に注意深くデカンテーションする。水相を500mlの酢酸エチルで2回抽出する。次いで、合わせた有機相を300mlの水で1回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、続いてろ過する。ろ液を真空中で濃縮する。次いで、得られた残渣を、活性炭を使用して500mlのアセトニトリルから再結晶し、32.2gの表題化合物を、融点187.4℃(MS:365(MH+)、TLC:Rf=0.29(シクロヘキサン/メチルtert−ブチルエーテル1:4、体積部)を有する無色固体として得る。
Ia.N’−[(S)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチル−ベンゾヒドラジド
a)ラセミ体のクロマトグラフ分割(図示せず):
500mgの例1(EMD638683)を、4回に分けて、5mlの2−プロパノールおよび5mlのn−ヘプタンに、いずれの場合にも高温で溶かす。続いて、この溶液を、2連続のChiralpak AD(5×20cm)クロマトグラフィーカラム(Daicel)上で、溶媒混合物n−ヘプタン/2−プロパノール(4:1、体積部;0.8ml/分)を用いてクロマトグラフィーにかける(保持時間:6.11分)。合わせた生成物画分を真空中で蒸発乾燥させ、245mgの表題化合物を、分析的および鏡像異性的に純粋な形で、融点202.3℃を有する無色固体として得る。MS:365(M+H+)、382(M+NH4+);TLC:Rf=0.29(シクロヘキサン/メチルtert−ブチルエーテル1:4、体積部);[α]20D=+30.4°(c=0.0201g/2mlのメタノール)。
b)A2から:
表題化合物は、化合物3に関して記載されているように、N’−[(S)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチルベンゾヒドラジド(A2)から同様にして調製される。
Ib.N’−[(R)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチル−ベンゾヒドラジド
a)ラセミ体のクロマトグラフ分割(図示せず):
500mgの例1(EMD638683)を、4回に分けて、5mlの2−プロパノールおよび5mlのn−ヘプタンに、いずれの場合にも高温で溶かす。続いて、この溶液を、2連続のChiralpak AD(5×20cm)クロマトグラフィーカラム(Daicel)上で、溶媒混合物n−ヘプタン/2−プロパノール(4:1、体積部;0.8ml/分)を用いてクロマトグラフィーにかける(保持時間:9.36分)。合わせた生成物画分を真空中で蒸発乾燥させ、250mgの表題化合物を、融点203.7℃を有する無色固体として得る。MS:365(M+H+);TLC:Rf=0.29(シクロヘキサン/メチルtert−ブチルエーテル1:4、体積部);[α]20D=−29.7°(c=0.0184g/2mlのメタノール)、エナンチオマー過剰率98.2%。
b)A3から:
45mgのN’−[(R)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチル−ベンゾヒドラジド(A3)を100mlのメタノールに溶かす。続いて、反応溶液をH−Cube(登録商標)(ThalesNano)中、10%Pd/C(55×4mmカートリッジ)上で水素添加する(流速:1ml/分、方式:フルH2、30℃、大気圧)。続いて、反応溶液を蒸発乾燥させ、分取用HPLC(Chromolith(登録商標)prep RP18e 100〜25mm、Merck;溶媒勾配:水/1〜50体積%のアセトニトリル)を用いて精製し、凍結乾燥後、非晶形無色の凍結乾燥物(lyophilisate)として、10mgの表題化合物を得る;MS:751.2(2M+Na+);TLC:Rf=0.31(シクロヘキサン/メチルtert−ブチルエーテル1:4、体積部)、エナンチオマー過剰率>50%。]
[0036] 中間化合物
A1.N’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−メトキシ−3−メチルベンゾヒドラジド
106.0gの3,5−ジフルオロフェニルヒドロキシアセトヒドラジド(B2)を820mlのN,N−ジメチルホルムアミドに溶かす。104.9gの2−エチル−4−メトキシ−3−メチル安息香酸(B1)、153.9gのN−3−ジメチルアミノプロピル−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(DAPECI)および42.8gのヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を続いて加える。上記に列挙した化合物を加えている間、反応混合物を氷浴中で冷却する。次いで、溶液を室温で24時間撹拌する。後処理については、反応混合物を3.5リットルの水で希釈する。得られた懸濁液を1時間撹拌し、続いてろ過分離し、追加の水で洗浄する。ろ過ケーキを2.5リットルのメタノールから再結晶し、129.0gの表題化合物を、融点197.1℃(MS:401(MNa+))を有する無色固体として得る。
A2.N’−[(S)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチルベンゾヒドラジド
表題化合物は、中間体A3に関して記載されているように、(S)−メチルオキサザボロリジン[(S)−Me−CBS]を使用し、同様にして調製される。
A3.N’−[(R)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチルベンゾヒドラジド
302mgのN’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−オキソアセチル]−4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチルベンゾ−ヒドラジド(B3)を25mlのテトラヒドロフランに溶かす。この溶液を、17mlのテトラヒドロフラン中、49μlのボラン/ジメチルスルフィド複合体および55μlの(R)−メチルオキサザボロリジン[(R)−Me−CBS、トルエン中1〜1.5M)の溶液に、(−)78℃の温度で、5分間かけて滴下する。続いて、冷却浴を除去し、溶液を6時間撹拌し、その間反応溶液を室温に温める。次いで、100mlの水を加え、混合物を各回150mlの酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を、水、0.1M HClおよび飽和NaCl溶液の各40mlで洗浄し、NaSO4で乾燥し、吸引ろ過分離し、蒸発乾燥させる。残渣を分取用HPLC(溶媒勾配:水/1〜50体積%のアセトニトリル)を用いて精製し、63mgの表題化合物を、無色非晶形固体として得る。MS:932(2M+Na+);TLC:Rf=0.56(シクロヘキサン/メチルtert−ブチルエーテル1:4、体積部)。
B1.2−エチル−4−メトキシ−3−メチル安息香酸
20.0gの4−メトキシ−2,3−ジメチル安息香酸(C1)を、乾燥窒素雰囲気中で、1リットルのテトラヒドロフランに溶かし、続いて−78℃に冷却する。次いで、300mlのsec−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.4M)を滴下して、赤色溶液を得る。赤色溶液を−78℃でさらに1時間撹拌する。次いで、34.5mlのヨウ化メチルを加え、得られた懸濁液を冷却することなく1時間撹拌する。続いて、300mlの水を加え、酢酸エチルを使用して、溶液を各回300mlの酢酸エチルで2回抽出する。続いて、水相をろ過し、ろ液を氷浴中で冷却し、塩酸(3.0M)を加えることによってpH1に調節し、さらに30分間撹拌する。次いで、懸濁液をろ過し、水で洗浄する。ろ過ケーキを真空中、110℃で乾燥し、20.9gの表題化合物を、融点180℃(MS:195.2(MH+))を有する無色固体として得る。
B2.3,5−ジフルオロフェニルヒドロキシアセトヒドラジド
5.0gのメチル3,5−ジフルオロフェニルヒドロキシアセタート(C2)を45.0mlの2−プロパノールに溶かす。次いで、1.32mlのヒドラジン水和物を滴下し、反応混合物を還流下で18時間保つ。続いて、溶液を蒸発乾燥させ、得られた残渣をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配:酢酸エチル/0〜20.0体積%のメタノール)によって精製し、3.70gの表題化合物を、融点119.3℃(MS:202.8(MH+))を有する無色固体として得る。
B3.N’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−オキソアセチル]−4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチルベンゾ−ヒドラジド
172mgのN’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチル−ベンゾヒドラジド(C3)を、乾燥窒素雰囲気下で、0.9mlのジメチルスルホキシドおよび28mlのジクロロメタンに溶かす。続いて、185mgのトリアセトキシペルヨージナン(Dess−Martin試薬)を加える。懸濁液を室温で1時間撹拌する。後処理については、100mlのジクロロメタンおよび30mlの0.5M Na2S2O3溶液を加える。続いて、有機相を50mlの飽和NaHCO3溶液で抽出し、Na2SO4で乾燥し、吸引ろ過分離し、蒸発乾燥させる。残渣をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出勾配:シクロヘキサン/0〜30体積%のメチルtert−ブチルエーテル)を用いて精製し、163mgの表題化合物を、非晶形固体として得る;MS:452.7(2M+H+);TLC:Rf=0.37(シクロヘキサン/酢酸エチル2:1、体積部)。]
[0037] C1.4−メトキシ−2,3−ジメチル安息香酸
60.0gの2,3−ジメチル−4−メトキシベンズアルデヒド(D1)を1.20lのジメチルスルホキシドに溶かす。続いて、480mlの水中、131.5gのリン酸二水素ナトリウムおよび132.2gの亜塩素酸ナトリウムの溶液を滴下し、その間反応浴の温度を40℃未満に保つ。次いで、反応混合物を室温でさらに2時間撹拌する。後処理については、懸濁液を2.0lの水で希釈し、さらに1時間撹拌する。得られた沈殿をろ過し、水で洗浄し、真空中100℃で乾燥し、65.0gの表題化合物を、融点214℃(MS:181.2(MH+))を有する無色固体として得る。]
[0038] C2.メチル3,5−ジフルオロフェニルヒドロキシアセタート
25.0gの3,5−ジフルオロフェニルヒドロキシ酢酸(D2)を325mlのメタノールに溶かす。続いて、3.9gのホウ酸を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌する。次いで、得られた溶液を蒸発乾燥させる。残渣を、100mlの酢酸エチルおよび100mlの水を使用して抽出する。続いて、水相を各回50mlの酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過する。ろ液を真空中で蒸発乾燥させ、25.5gの表題化合物を粗生成物として得る。17mlの酢酸エチルおよび170mlのシクロヘキサンから再結晶することにより、融点61.8℃(MS201.9(M+))を有する純粋な化合物C2を23.5g得る。]
[0039] C3.N’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチル−ベンゾヒドラジド
化合物C3は、4−ベンジルオキシ−2−エチル−3−メチル安息香酸および中間体B2から出発して、A1に関して記載されている調製と同様にして合成される。]
[0040] D1.2,3−ジメチル−4−メトキシベンズアルデヒド
化合物D1は、ABCR GmbH & Co.KG.から購入した。]
[0041] D2.3,5−ジフルオロフェニルヒドロキシ酢酸
化合物D2は、Sigma−Aldrich Co.から購入した。]
[0042] 生化学的アッセイ
例に記載された本発明による化合物を、以下に記載されるアッセイを用いて試験し、それらがキナーゼ阻害作用を有することを見出した。さらなるアッセイが文献から知られており、当業者によって容易に実施され得る(例えば、Dhanabal et al., Cancer Res. 59:189-197;Xin et al., J. Biol. Chem. 274:9116-9121;Sheu et al., Anticancer Res. 18:4435-4441;Ausprunk et al., Dev. Biol. 38:237-248;Gimbrone et al., J. Natl. Cancer Inst. 52:413-427;Nicosia et al., In Vitro 18:538-549を参照のこと)。]
[0043] SGK1タンパク質キナーゼの阻害は、フィルター結合法において決定することができる。]
[0044] ]
[0045] 図1は、SGK1ノックアウトマウス(SGK1-/-、右側ドットプロット)およびそれらの野生型同胞マウス(SGK1+/+、左側ドットプロット)の血液中のウイルス特異的(Tet−9P 33+)CD8+Tリンパ球のドットプロットを示す。この目的のために、SGK1ノックアウトマウスおよび野生型同胞マウスを、それぞれ2×106pfu(プラーク形成単位)のLCMV(脈絡髄膜炎ウイルス)に感染させた。感染後8日目に、ウイルス特異的CD8+T細胞のためのいわゆるテトラマー法を用いて血液を染色し、続いて、FACS解析(蛍光標識細胞分取(fluorescence activated cell sorting)、フローサイトメトリー)を用いてウイルス特異的CD8+T細胞を同定し定量した。図1に描かれているドットプロットは、SGK1ノックアウトマウスにおいて、LCMVに対する免疫防御の高まりを立証している。] 図1
[0046] 図2は、LCMVに感染したSGK1ノックアウトマウス(SGK1-/-、黒四角)およびそれらの野生型同胞マウス(WT、白四角)の、種々の組織におけるプラーク形成単位の数をグラフで再現したものである。この目的のために、SGK1ノックアウトマウスおよび野生型同胞マウスを、いずれの場合にも2×106pfu(プラーク形成単位)のLCMVに感染させた。感染後8日目に、いわゆるプラグアッセイを用いて、ウイルスの力価を種々の組織(腎臓、肺、脾臓および肝臓組織)において分析した。プラーク形成単位(pfu)の数の10を底とする対数は、いずれの場合にも、図2に描かれているグラフの縦座標にプロットされている。図2に再現されたグラフは、野生型同胞マウスに比べて、SGK1ノックアウトマウスの方が、種々の組織におけるLCMVのプラーク形成単位の数が小さいことを示している。] 図2
[0047] 図3は、SGK1ノックアウトマウス(SGK1-/-、右)および野生型同胞マウス(左)におけるLCMV抗原の免疫組織化学的検査の結果を示す。この目的のために、SGK1ノックアウトマウスおよび野生型同胞マウスを、それぞれ2×106pfuのLCMVに感染させた。感染後8日目に、SGK1ノックアウトマウスおよび野生型同胞マウスからの肝臓組織を、続いてLCMV抗原について免疫組織化学的に検査した。] 図3
[0048] 図4は、SGK1が、典型的な2種の肝炎マーカー、すなわち肝臓酵素アラニンアミノトランスフェラーゼ(左側のグラフ)およびビリルビン(右側のグラフ)に及ぼす影響を示す。両方のマーカーは、肝炎の場合に肝臓組織に出現が増加する。] 図4
[0049] アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の濃度は、組織液1リットル当たりの単位量(U/L)で表され、図4の左側のグラフの縦座標に再現されている。時間は、日で横座標に再現されている。ビリルビン濃度は、組織液1リットル当たりのμmolで表され、図4の右側のグラフの縦座標にプロットされている。時間は、日で表され、同様に横座標に再現されている。] 図4
[0050] 図4に描かれているグラフは、アラニンアミノトランスフェラーゼおよびビリルビンの濃度が、LCMV誘発肝炎において、SGK1ノックアウトマウス(SGK1-/-、黒四角)の方が、野生型同胞マウス(WT、白四角)における対応値と比較して有意に減少していることを示している。これらのデータは、「スイッチングオフ」、すなわちSGK1の阻害が、治療上の観点から、ウイルス性肝炎の経過に好ましい効果を有することを確証している。加えて、図4に描かれているグラフは、SGK3が、ウイルス性肝炎の経過に好ましい効果を有しないことを示している(この点においては、図4のグラフに描かれている黒丸を参照のこと。これがSGK3ノックアウトマウス(SGK3-/-)の対応値を示す)。全体的に、SGK1ノックアウトマウス、野生型同胞マウス(およびSGK3ノックアウトマウス)は、この場合にもそれぞれ2×106pfuのLCMVに感染させた。] 図4
[0051] SGK1阻害剤N’−[2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾヒドラジドが、アラニンアミノトランスフェラーゼおよびビリルビンの濃度に及ぼす影響を、グラフで図5に示す。タイプ10 C57BL/6のSGK1野生型マウスには、プラセボ飼料を与えた。1週間後、実験動物の1群に、SGK1阻害剤を投与した。SGK1阻害剤は、飼料に、4.46mg/g飼料の混合比率で加えられていた。これは、約600mg/kg体重の用量に相当する。他の群には、プラセボ飼料だけを投与し続けた。さらに1週間後、SGK1ノックアウトマウスを、それぞれ2×106pfuのLCMVに感染させ、このようにしてウイルス性肝炎を誘発させた。アラニンアミノトランスフェラーゼの値を感染後8日目に測定し、ビリルビンの対応値を感染後10日目に測定した。アラニンアミノトランスフェラーゼの濃度は、図5の左側のグラフの縦座標に再現されている(U/l、組織液1リットル当たりの酵素単位)。LCMV感染後8日の期間を、横座標に示す。ビリルビン濃度(μmol/l)は、図5の右側のグラフの縦座標に描かれている。横座標は、LCMV感染後10日の期間を示す。] 図5
[0052] 図5のグラフに再現されている結果は、肝炎マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼおよびビリルビンの濃度が、感染前にSGK1阻害剤を投与された実験動物(白四角)において有意に減少し、SGK1阻害剤を投与されなかった実験動物(黒四角)とは対照的であることを実証している。これらのデータは、SGK1阻害剤が、ウイルス性肝炎の経過に好ましい特性を有し、それ故に、ウイルス性肝炎の予防または治療に用いることができることを確証している。] 図5
[0053] 図6は、SGK1野生型マウス(SGK+/+マウス)と比較したSGK1ノックアウトマウス(SGK1-/-マウス)における結腸癌の発現を示す。この目的のために、結腸腫瘍を実験動物に化学的に誘発させた(WangJG, WangDF, Lv BJ, Si JM : A novel mouse model for colitis-associated colon carcinogenesis induced by 1,2-dimethylhydrazine anddextran sulfate sodium. World J Gastroenterol 2004; 10:2958-2962)。実験動物の中には、8週齢で化学的な腫瘍発生のサイクルを3回受けたものもあった。この目的のために、動物に、20mg/kgのジメチルヒドラジン(DMH;Sigma−Aldrich Corporation.St.Louis.MO.USA)を腹腔内投与した。開始1週間後、30g/lの合成デキストラン硫酸ナトリウム(DSS;分子量5000;Wako Pure Chemical Industries Ltd.Japan)を含む蒸留水を動物に7日間の3倍投与し、蒸留水をさらに14日間の3倍投与した(全持続時間は、合計で3×(1+2週)=9週)。残りの実験動物(対照動物)には、代わりに20mg/kgの0.9%塩化ナトリウム溶液を腹腔内注入した。すべてのマウスを、22週齢でエーテルで麻酔後に屠殺した。] 図6
[0054] 図6にグラフで示されている化学的に誘発された腫瘍発生の結果は、SGK1ノックアウトマウス(右に黒棒で再現されている)の化学的に誘発された結腸腫瘍に対する感受性が有意に減少し、SGK1野生型マウス(左に白棒で再現されている)とは対照的であることを明らかに示している。この結果は、専門家の文献が、種々のタイプの癌腫に関して、癌組織におけるSGK1の下方調節を報告しており、(RauhalaHE, Porkka KP, Tolonen TT, Martikainen PM, TammelaTL, VisakorpiT: Dualspecificity phosphatase 1 and serum/glucocorticoid-regulated kinase are downregulated in prostate cancer. Int J Cancer 2005;Chu S, Rushdi S, Zumpe ET, Mamers P, Healy DL, Jobling T, Burger HG, Fuller PJ:FSH-regulated gene expression profiles in ovarian tumours and normal ovaries. Mol Hum Reprod 2002; 8:426-433;Chung EJ, Sung YK, Farooq M, Kim Y, Im S, Tak WY, Hwang YJ, Kim YI, Han HS, Kim JC, Kim MK: Gene expression profile analysis in human hepatocellular carcinoma bycDNAmicroarray. Mol Cells 2002; 14:382-387)、そのため、実際には、SGK1の阻害が腫瘍増殖を促進するものと予想されていただけに、なおさら驚きである。] 図6
[0055] 図7は、SGK1阻害剤N’−[2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾヒドラジドが、結腸癌の形成にもたらす効果を、グラフで示す。最初に、化学的に誘発された腫瘍発生を、図6に関する図の説明に記載されているように実施した。投与後1週目に、プラセボまたはSGK1阻害剤のいずれか一方を20日間投与した。SGK1阻害剤は、飼料に、4.46mg/g飼料の混合比率で加えられていた。これは、約600mg/kg体重の用量に相当する。図7に示されているグラフは、SGK1阻害剤を投与された実験動物の場合には、結腸腫瘍の増殖(右側の黒棒)が、投与されていない実験動物(左側の白棒)と比較して、有意に抑制されていることを明らかにしている。] 図6 図7
权利要求:

請求項1
特に薬剤として使用するための、式I、IaおよびIbの化合物:ならびにその薬学的に使用可能な互変異性体、塩、立体異性体およびエナンチオマー(そのすべての比率での混合物を含む)。
請求項2
ウイルス性疾患および/または癌腫の予防および/または治療のための、式IIの化合物[式中、R1、R2はそれぞれ、互いに独立して、H、CHOまたはアセチルを表し、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11はそれぞれ、互いに独立して、H、A、OSO2A、Hal、NO2、OR12、N(R12)2、CN、O−COA、−[C(R12)2]nCOOR12、O−[C(R12)2]0COOR12、SO3H、−[C(R12)2]nAr、−CO−Ar、O−[C(R12)2]nAr、−[C(R12)2]nHet、−[C(R12)2]nC≡CH、O−[C(R12)2]nC≡CH、−[C(R12)2]nCON(R12)2、−[C(R12)2]nCONR12N(R12)2、O−[C(R12)2]nCON(R12)2、O−[C(R12)2]0CONR12N(R12)2、NR12COA、NR12CON(R12)2、NR12SO2A、N(SO2A)2、COR12、S(O)mAr、SO2NR12またはS(O)mAを表し、R3およびR4は一緒になって、CH=CH−CH=CHも表し、R3およびR4、R7およびR8またはR8およびR9は一緒になって、3、4または5個のC原子を有するアルキレンも表し、ここで、1個または2個のCH2基は、酸素で置き換えられていてもよく、Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝もしくは分枝のアルキルを表し、1〜7個のH原子は、Fで置き換えられていてもよく、または3〜7個のC原子を有する環状アルキルを表し、Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを表し、そのそれぞれが非置換であるか、またはHal、A、OR12、N(R12)2、NO2、CN、フェニル、CON(R12)2、NR12COA、NR12CON(R12)2、NR12SO2A、COR12、SO2N(R12)2、S(O)mA、−[C(R12)2]n−COOR12および/または−O[C(R12)2]o−COOR12で一置換、二置換もしくは三置換されており、Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族の複素環を表し、この複素環は、Hal、A、OR12、N(R12)2、NO2、CN、COOR12、CON(R12)2、NR12COA、NR12SO2A、COR12、SO2NR12、S(O)mA、=S、=NR12および/または=O(カルボニル酸素)で一置換、二置換または三置換されていてもよく、R12は、HまたはAを表し、Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、mは、0、1または2を表し、nは、0、1、2または3を表し、oは、1、2または3を表す]、ならびにそれらの薬学的に使用可能な互変異性体、塩、立体異性体およびエナンチオマー(そのすべての比率での混合物を含む)。
請求項3
N’−[2−ヒドロキシ−2−(3,4−ジフルオロフェニル)アセチル]−4−ヒドロキシ−2−エチル−3−メチルベンゾヒドラジドおよびN’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシアセチル]−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾヒドラジドから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
請求項4
ウイルス性疾患が、リンパ球性脈絡髄膜炎、ウイルス性肝炎、ウイルス性心筋炎、AIDS、ヘルペス、乳頭腫およびウイルス性肺感染症の群から選択されることを特徴とする、請求項2または3に記載の化合物。
請求項5
癌腫が、結腸癌、乳癌、胃癌および肺癌の群から選択されることを特徴とする、請求項2または3に記載の化合物。
請求項6
ウイルス性疾患および/または癌腫の予防および/または治療を目的とした薬剤を調製するための、前記請求項の一項に記載の化合物の使用。
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