专利摘要:
植物由来のジーゼル水準の燃料を製造する方法を提供する。触媒と、精製植物油の単位体積当たり少なくとも0.2の体積割合の沸点−42℃〜200℃の脂肪族炭化水素溶媒との存在下にて所要量のC1−C4アルコールにより精製植物油をエステル交換することにより植物由来のジーゼル水準燃料を製造する方法であって、副生成物の極性グリセロールを除去するためにエステル交換を停止させることなく、かつ、精製植物油/燃料の混合物がアルコール及び触媒の新規追加によるエステル交換を再開することなく、エスエル交換を95〜98%完了するまで進行させかつ逆のグリセロール分解を抑制するような均一条件下にて、精製植物油、アルコール、触媒及び溶媒を1つの反応容器内で混合する。
公开号:JP2011511122A
申请号:JP2010544774
申请日:2009-01-29
公开日:2011-04-07
发明作者:コヴァクス、アンドラス
申请人:キューエス・バイオジーゼル・リミティッド;
IPC主号:C11C3-10
专利说明:

[0001] 本発明は、植物油及び関連するトリグリセリドをエステル交換するための改良された方法に関し、特に、今日、しばしばバイオジーゼル燃料又は簡易にバイオジーゼルと称されている植物由来のジーゼル水準の燃料を製造する方法に関する。この方法では、通常、1〜4個の炭素を有する低分子量アルコールにより植物油をエステル交換する。]
背景技術

[0002] 公知のように、アルコールによるエステル交換は、植物油から製造される燃料の品質に決定的な影響を与える。その理由は、得られる燃料の粘度が燃料注入及びエンジン駆動の目的に適しているか否かが、この処理により決定されるからである。]
[0003] アルコールによる植物油のエステル交換は、以下の化学式による可逆平衡反応として進行する。]
[0004] ]
[0005] 上式中、R、R’及びR”は、植物油の脂肪酸成分の炭化水素部分であり、Alkは、炭素数が1個から4個までの(C1−C4)アルキル基である。上式に示すように、この反応では、燃料として利用可能な脂肪酸メチルエステルに加えて、グリセロールが副生成物として形成される。この平衡は、アルコール反応物の量を増すことにより、かつ/又は、副生成物のグリセロールを除去することにより、必要とされる脂肪酸アルキルエステルを形成する方へ移行する。エステル交換は、通常、触媒の存在下で行われる。通常、塩基が触媒として用いられる(ほとんどの場合、水酸化カリウム)。酸触媒は、あまり用いられない。最もよく用いられるアルコールは、メタノールである。]
[0006] 植物油をメタノールでエステル交換してバイオジーゼル燃料を製造するための古典的方法は、初期の米国特許に様々な方法が開示されている。例えば、特許文献1(Bradshawら)は、グリセリド中の遊離酸を中和しかつ溶液をアルカリ性のクレイトンイエローに維持するために、粗製グリセリドを4個以下の炭素をもつアルコールと、実質的に無水条件下でかつ十分なアルカリ金属塩基の存在下で反応させるプロセスを開示する。形成される石鹸を分解するために十分な量の酸が、アルキルエステルの混合物に追加される。グリセリンは分離され、グリセライド中に含まれる脂肪酸のモノアルキルエステルは回収され、その後、それらはけん化される。]
[0007] 特許文献2(Trent)は、脂肪族グリセリドのアルコール分解のプロセスを開示しており、脂肪族グリセリドを、低分子量一価アルコールと反応させることにより、グリセリドとアルコールから得られる脂肪酸エステルを含有する液体主要部分、グリセリン及び未反応のアルコールを生成し、その液体主要部分から未反応のアルコールを揮発させ、グリセリンからエステルを分離する。]
[0008] 特許文献3(Trent)は、非常に類似したプロセスを開示しており、脂肪族グリセリドを、一分子中に1〜約6個の炭素原子をもつ一価アルコールと、アルカリ性アルコール分解触媒の存在下で反応させることにより、グリセリドとアルコールから得られる脂肪酸エステルを含有する液体主要部分、グリセリン及び未反応のアルコールを生成し、その液体主要部分から未反応のアルコールを揮発させ、その液体主要部分の残留物を酸性化し、グリセリンからエステルを分離する。]
[0009] 現在まで、この古典的方法は、バイオジーゼル燃料の工業規模の製造のためにわずかな改変をされながら広く追随されてきた。典型的には、水酸化カリウム触媒の存在下で、メタノールの沸点(通常65℃)未満の温度にて少なくとも30分間、植物油がメタノールと反応させられる。メタノールと植物油は互いにほとんど混和性がないため、2相反応混合物を激しくかき混ぜることにより、かつ/又は、相間移動触媒を用いることにより、反応を加速させる。]
[0010] グリセロールは、副生成物として生成されるが、極性相(メタノール相)に蓄積し、この反応の平衡特性に従って、一旦生成された脂肪酸メチルエステルがグリセリドエステルに戻る傾向がある。相間移動触媒が存在する場合、この触媒もまた逆変換プロセスを支援する。従って、植物油の完全な変換は得られない。反応混合物が平衡状態に近いとき、それは約80%の変換に相当するが、この混合物は約12〜24時間の間静置させられる。その後、下側の極性相(グリセロールと過剰に使用されたメタノールの主要部分との混合物を含む)は除去され、そして、新たに追加混合されたアルコール及び触媒を用いて上側の非極性相により反応が繰り返される。この第2のステップの後、上側の非極性相(燃料相)が再び分離され、その中に含まれるメタノールの主要部分を除去するために蒸留され、水酸化カリウムを除去しかつ乳化を避けるために水溶性硫酸により洗浄され、水で再洗浄され、乾燥させられ、ろ過される。この処理の後半の連続工程は、バイオジーゼル燃料の精製を行っている。所望する場合、得られたバイオジーゼル燃料に対し、品質改良添加物、特に耐低温性を改善するための添加物を添加する。]
[0011] 米国特許第2360844号明細書
米国特許第2383632号明細書
米国特許第2383633号明細書
米国特許第5520708号明細書
米国特許第6015444号明細書
独国特許4209779号明細書
米国特許第5424467号明細書
米国特許第5219733号明細書
米国特許第6697986号明細書
米国特許第4695411号明細書
米国特許第5354878号明細書
国際公開第2007/071046号
国際公開第2003/040081号]
先行技術

[0012] "The improvement potential of biodiesel fuel production by transesterification" D. Darnoko and M. Cheryal: JAOCS 77, 1269-1272 (December, 2000)
www.bioxcorp.com. with reference to Production of a cost-competitive biodiesel fuel alternative to petroleum diesel, in Environmental Science & Engineering, May 2001
"Chemistry and technology of edible oils and fats and their high fat products", Academic Press, London; Toronto, 1989]
発明が解決しようとする課題

[0013] 上述の方法の主な欠点は、次の通りである。二相混合物であるために、この反応には長時間を要する上に、進行させるためにエネルギー消費の大きい激しい撹拌を必要とする。グリセロール副生成物を含む相の分離は、困難でありかつ極めて時間がかかる。メタノールは、必要な生成物を形成する方向へ反応を移行させるための化学量論的な量よりも著しく過剰に使用することが必要である。反応しなかったメタノールの大部分はグリセロール相に見られるが、許容できない程の処理能力を投入しない限りその中から低コストに再生することができない。]
[0014] 非特許文献1では、さらに別の欠点に言及されており、上述の方法は、大きな容積の反応容器と開始/停止サイクルの繰り返しが必要であり、この結果、資本及び労力の投資が増大し、製造効率が低下する。さらに、生成物の品質が、バッチにより変動する可能性がある。]
[0015] 特許文献4(Johnsonら)及び特許文献5(Craftら)によれば、エステル交換及び相分離に必要な時間は、静止型混合器、熱交換器、ホモジナイザー及び静置容器からなる設備内で反応を行うことにより、撹拌具を備えた汎用的な反応容器を用いるよりも低減される。この方法で用いられる静止型混合器は、全ての静止型混合器のように、反応物を混合するための運動要素を具備していない。その替わりに、撹拌流が反応物を強力に混合する役割を果たす。その撹拌流は、混合器の内部に装着された流動破砕手段(例えば、障害板、肋材、コイル等)により、又は、混合器内に充填された詰め物により形成される。植物油、アルコール(ほとんどの場合メタノール)及び触媒は、静止型混合器を通過させられ、得られた拡散流は、熱交換器内で反応温度に加熱され、その後、混合物はホモジナイザー内で高せん断力を受けることによりエマルジョンを形成し、そしてそのエマルジョンは、拡散されることのない静置容器内に送られる。ホモジナイザーで形成されたエマルジョンの持続時間は、静置容器内でエマルジョンが分離する前にエステル交換が平衡変換状態に進行可能な程度である。この方法では、必要な時間は大幅に短縮されるが、高エネルギー消費のホモジナイザーの使用が必要という欠点がある。さらに、この方法もまた、単一ステップで平衡値よりも高い変換が実現できないという欠点がある。従って、適度の粘度をもつ生成物を得るために必要な95〜98%の変換を実現するために、非極性相を極性相から分離し、再び反応させなければならない。さらに、アルコールを著しく過剰に使用することが必要であるため、この方法は工業規模の製造には適用できない。]
[0016] 特許文献6に開示された方法によれば、必要とされる約98%の変換は、複数の反応区画と複数の分離区画に分けられたカラム内でエステル交換を実行することにより実現される。各反応区画の後側には、1つの分離区画が設けられている。植物油、アルコール及び触媒が、最初の反応区画へ供給される。そして、所定時間の後、得られた混合物が最初の分離区画へ供給され、遠心分離によりグリセロールが除去される。得られたグリセロールの無い混合物は、第2の反応区画へ供給され、そして、必要な変換が実現されるまで上記の反応/分離のステップが連続的に繰り返される。この方法の重要な利点は、連続処理として実行可能なことでもある。なぜなら、時間のかかる静置ステップが、非常に高速の遠心分離により置き換えられているからである。しかしながら、この利点は、極めて高額の導入コスト及び高コストの操作及びメンテナンスのために大きく相殺され、この方法は、広く採用するには高すぎるものとなる。従って、この方法は、毎年100,000トン未満の能力のプラントには適用されない。別の欠点として、この方法は、遊離脂肪酸を2%より多く含む植物油のエステル交換には適用することができない。]
[0017] 非特許文献2により、不均一反応に関連する欠点を取り除くために、特に、反応時間及び撹拌のエネルギー需要を低減するために、均一反応条件下で植物油をアルコールとエステル交換することも提示された。この試みによれば、極性のアルコールと非極性の植物油の双方に対して良好な溶解性を有する極性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はN−メチル−2−ピロリジノンなど)が、反応媒体として用いられた。しかし、このような方法は、最終反応混合物を処理するために非常に複雑かつエネルギーを消費する分離ステップを必要とした。これは、均一混合物の利用から得られる利点を損なうものである。すなわち、相条件を変更したために、エステル交換後に、極性が強化されたバイオジーゼル相と、極性の強化されたグリセロール相の間に極性溶媒が分布するため、双方の相からこれを分離しなければならない。反応の平衡特性から生じるこの欠点は、この方法では避けることができない。なぜなら、グリセロールは、反応状態においてエステル交換のための反応混合物中に連続的に存在するからである。従って、この溶媒支援による方法は、デモンストレーション目的の工業規模で用いられるのみである。]
[0018] バイオジーゼル燃料製造に関する刊行物では、必要とされる品質を備えた生成物を得るために必須である、効率的なエステル交換は、開始物質として精製された植物油を使用することが必要であると述べられている。このことは、特に、植物油が、使用済み揚げ油等の廃棄物の場合に云える。しかしながら、バイオジーゼル燃料製造に関する刊行物には、植物油を精製する特別な方法は開示されていなかった。非特許文献3に記載の食品水準の生成物を製造する公知の技術によれば、植物油は、水和可能なリン脂質を除去するために水で処理し、水和不能なリン脂質を除去するためにリン酸又はクエン酸などの酸で処理することにより精製される。得られた精製植物油(食品工業では、"脱ガム油"と称される)は、バイオジーゼル燃料製造の開始物質として適している。不均一相中で進行するエステル交換においては、このような精製された(脱ガムされた)植物油が、幾つかの界面活性特性をもつ一連の少量成分を含むことが利点となる。上述の特許文献4及び5の方法においては、これらの植物油成分のみがエマルジョンを形成するために用いられている。同時に、グリセロール副生成物を含む極性相からエステル交換された物質を含む非極性相を分離する際の困難性は、これらの成分の存在に帰せられる。]
[0019] 特許文献7(Bamら)は、植物油と動物脂肪をエステル交換することにより得られるアルコールエステルを精製するための方法を開示している。エステル交換の平衡状態に到達した後、アルコールエステル、未反応アルコール及び触媒を含む第1の相を、副生成物のグリセロール、未反応アルコール及び触媒を含む第2の相から分離するための分離ステップが実行される。その後、グリセロールは、未反応アルコール及び触媒から分離され、そして分離されたグリセロールにより第1の相を処理することにより、所望するアルコールエステルから未反応のアルコール及び触媒をさらに除去する。]
[0020] 特許文献8(Myojoら)は、脂肪酸エステルを調製するための方法を開示している。ステロール及び14〜32個の炭素原子をもつ分岐脂肪族一級又は二級アルコールからなる群から選択された成分と、脂肪酸及び脂肪酸エステルからなる群から選択された成分とが、水性媒体又は含水有機溶媒中でリパーゼ及びコレステロールエステラーゼからなる群から選択された酵素(又は、固定化形態の選択された酵素)と反応させられることにより、ステロール又は脂肪族アルコールの脂肪酸エステルを調製する。]
[0021] 特許文献9(Haas)は、脂肪酸含有材料を直接的に自動車燃料に酵素エステル交換することによりバイオ燃料を製造する方法を開示している。]
[0022] 特許文献10(Sternら)は、ジーゼルエンジンの燃焼に適したバイオ燃料を製造するための酸触媒プロセスを開示している。このプロセスの第1のステップは、少なくとも1つのモノアルコールの存在下における酸性エステル交換ステップであり、このモノアルコールは、1〜5個の炭素原子をもつ脂肪族直鎖又は分岐モノアルコールであって、少なくとも部分的に水和エチルアルコールからなり、1〜60重量%の水を含む。この第1のステップにより、生成されたグリセロール相の除去後にエチルエステルを主に含む相が形成される。第2のステップでは、エステルを含む相中における当初からの、又は第1のステップで形成された遊離酸が、多くとも約2%となるように低減される。第3のステップは、第2のステップで得られた相の塩基性エステル交換ステップであり、少なくとも1つのモノアルコールの存在下で行われる。このモノアルコールは、1〜5個の炭素原子をもつ脂肪族直鎖又は分岐モノアルコールであり、このようにして形成されたエステル組成物を回収する。]
[0023] 特許文献11(Connemannら)の開示するプロセスは、a)反応温度にある油相、アルコール及び触媒の混合物を、反応混合物から分離されたグリセリンの沈降速度よりも遅い流速にて第1の反応カラムの上端に導入するステップと、b)その反応混合物をさらにエステル交換させるために第2の反応容器へ送るステップと、c)こうして得られた反応混合物から、短時間洗浄による第1の分離段階によりグリセリンを除去するステップと、d)この反応混合物に、さらにアルコールと触媒を追加して第1のステップと同じ流速にて第3の反応容器へ送るステップと、e)この反応混合物をさらにエステル交換させるステップと、f)第2の分離段階により、水性抽出緩衝溶液を追加した状態にて反応混合物から、残留したアルコール、グリセリン、形成された石鹸、及び触媒を除去するステップと、g)適切な抽出及び洗浄溶液による剥離及び洗浄により反応混合物から低級アルコールを除去し、乾燥するステップと、を有する。]
[0024] 特許文献12は、脂肪族アルキルエステル(バイオジーゼル)を調製するプロセスを開示している。油、脂肪又はグリースを、リチウム塩基と脂肪族モノアルコールを含む溶液とエステル交換させることにより、脂肪族アルキルエステル及びリチウムアルカリグリセリンとを生成する。次に、脂肪族アルキルエステルを、リチウムアルカリグリセリンから分離し、リチウムアルカリグリセリンを用いて脂肪族アルキル化合物をけん化し、グリセリンとリチウム石鹸を生成する。そして、任意に、グリセリン及びリチウム石鹸を分離する。]
[0025] 特許文献13(Kovacsら)は、植物由来のジーゼル水準燃料を製造するための方法を開示している。ループ状反応容器を用い、その中で精製植物油が、少なくとも精製植物油に対する体積割合0.2の沸点40〜200℃の脂肪族炭化水素溶媒の存在下において均一相中でエステル交換させられる。これにより、極性相と非極性相を有する混合物を形成する。必要であれば、すなわち、精製植物油原料と試薬混合物が約80%の交換率を得る最初の平衡状態に到達したとき、グリセロール副生成物を含む分離した極性相を除去した後に得られた、エステル交換されていない植物油、脂肪族炭化水素溶媒及びエステル交換された生成物を含む非極性相が、さらに次のステップにおいて、95〜98%のエステル交換の変換率となるまで触媒の存在下にてC1−C4アルコールと反応させられる。グリセロール副生成物を含む分離された極性相は除去され、そして、燃料を含む非極性相は精製される。所望するならば、脂肪族炭化水素溶媒の少なくとも一部を、生成物から回収してもよい。]
[0026] 本発明は、脂肪族炭化水素担体溶媒を用いて、上述の特許文献13に開示されたプロセスをさらに改良するものである。本発明による改良は、単一の反応容器内でより少ないステップによりプロセスを実行することにある。その一方、時間のかかる断続的なグリセロール分離ステップを行うことなく必要な95〜98%の変換率を達成するものである。
本発明による改良は、プラント設備への資本コスト及び化学試薬をより精密に使用することによる作業コストの双方において極めて大きな節減を実現することができ、エネルギーの需要を低減でき、反応時間も短縮できる。]
課題を解決するための手段

[0027] 驚くべきことに、反応容器と静置容器を組み合わせたシステムとして機能する単一の汎用的反応容器内において、触媒及びC1−C4アルコールの存在下における精製植物油のエステル交換反応を、95〜98%またはそれ以上の割合で完了させることができることを見出した。これは、非極性担体媒体を選択することにより反応系に付与される可溶性を利用することによる。精製植物油基材原料、所要量のアルコール、触媒、及び非極性溶媒からなる反応混合物が、所定時間、反応容器内で、制御されたせん断力条件下にて混合される。そして、この混合物は、速やかに2つの相に分離される。すなわち、グリセロール副生成物を含む下側の極性相と、所望される脂肪酸エステルを含む上側の非極性相である。予期されなかったこのプロセスの特徴は、静止状態においてさえも、反応が、通常の平衡状態の要件で与えられるよりも、脂肪酸エステルを高率生成する方向に持続させられることである。この理由は、撹拌が停止したとき、非極性相が、未反応の植物油基材をエステル交換するためのアルコール及び触媒の十分な量を保持しているためであり、同時に、グリセロール相の大きな逆方向の混合が無いためである。これは、グリセロールの可溶性が、非極性相では極めて制限されるからである。実際に、グリセロール副生成物は、所望する正方向への反応が進行する間、非極性相からは分離され続ける。]
[0028] このプロセスで用いられる非極性溶媒は、−42℃〜200℃の沸点を有する脂肪族炭化水素(この用語は、n−アルカン、i−アルカン、及び、シクロ脂肪族−脂肪族炭化水素を含む)またはこれらの炭化水素の混合物であり、当初の精製植物油の単位体積に対して少なくとも体積割合0.2の量にて用いられる。特に、硫酸を触媒として用いた場合に酸スラッジの形成を避けるために、芳香族化合物の含有量が低い(実質的に芳香族化合物が無い)ことが好ましい。]
[0029] グリセロール副生成物を含む下側の極性相は、引き出されて、さらに別の処理に供される。例えば、残留するアルコール及び触媒を回収するなどである。グリセロールもまた、後に詳述する手順により、未精製植物油の精製ステップで用いることができる。所望する燃料生成物を含む非極性相は、精製処理に供される。]
[0030] 実際、エステル交換のための混合物は、反応の全工程に亘って均一のままであり、これにより反応が速やかに進行することができる。同時に、反応が進行する間、グリセロールは、明確に区別された極性相に蓄積し、静止状態となった短時間の間に非極性相から分離する。所要量のアルコールを適切に供給することにより、少量のアルコールのみが極性相に溶解することも実現できる。従って、極性相の除去によるアルコールの損失は僅かな量のみとなる。よって、エステル交換に必要なアルコールの量を各段に低減することができる。]
[0031] 単一容器処理の別の変形態様においては、エステル交換が、単一のカウンターカレント装置内で行われ、その中で、脂肪族担体溶媒と混合された精製植物油基材が、下側の供給箇所から反応容器に導入される。一方、アルコール反応剤と触媒は、上側の1又は複数の供給箇所から反応容器に導入される。より比重の大きいグリセロール副生成物は、明確に分かれた相を形成し、そして大きな液滴を形成しつつ反応容易器の底部に沈降し、その底部から引き出される。比較的比重の小さい脂肪酸エステルは連続相を形成し、この連続相は上昇し、そして反応容器の頂部から引き出すことが可能である。]
[0032] アルコールの"所要量"とは、適切な化学量論的比率にて植物油とエステル交換を行うために寄与するアルコールの量を意味する。通常は、過剰な量のアルコールが使用される。本発明のカウンターカレント変形態様においては、アルコール所要量は、通常、下側の供給箇所にて反応容器に供給され、かつ、連続的に供給してもよい。本発明の方法の非カウンターカレント変形態様においては、アルコール所要量は、グリセロール副生成物の大部分が生成される極性相に少量のアルコールが溶解するように、所定の箇所にて反応容器に供給してもよい。故に、所要量のアルコールは、アルコールの連続的な供給流、アルコールの大部分、又は、アルコールの一部分のいずれにもなり得ることが理解されるであろう。]
[0033] いずれの方式においても、エステル交換は、アルコール/溶媒を液体状態に維持するために十分な圧力下にて60〜140℃の温度で、好適には95〜115℃の温度で行われる。エステル交換に使用可能な汎用的な触媒のいずれも、本発明の方法に適用可能である。水酸化カリウムは、特に好適な塩基性触媒である。硫酸は、特に好適な酸性触媒である。通常、圧力は1〜40bar(0.1〜4MPa)である。]
[0034] 脂肪族炭化水素溶媒の量の下限値は、臨界値である。エステル交換における均一相を形成するために必要な脂肪族炭化水素の最小量は、開始植物油の特性及びその植物油の精製方法により変動することが観察された。後述する方法により植物油が精製された場合、脂肪族炭化水素溶媒の体積割合が0.2程度でも、所定の植物油のエステル交換における均一相を形成するために十分である。これに対し、植物油が別の方法(例えば、酸性水溶液処理)で精製された場合、エステル交換における均一相を形成するために必要な脂肪族炭化水素溶媒の最小量は、より多くなる(通常、植物油の単位体積当たり0.3〜0.4の割合)。脂肪族炭化水素溶媒の必要な最小量は、経験的に容易に決定することができる。脂肪族炭化水素溶媒の量を臨界値より多くした場合、極性相と非極性相の完全分離に要する時間が短縮される。しかしながら、脂肪族炭化水素溶媒の量の上限値は、決定的要素ではなく、基本的にはコストによる。脂肪族炭化水素溶媒を、精製された開始植物油の量の2倍以上とすることに、特段の利点は見出せなかった。精製された開始植物油と脂肪族炭化水素溶媒の体積比は、開始植物油が1に対し、脂肪族炭化水素溶媒が好適には0.2〜1.5であり、さらに好適には0.3〜1であり、特に好適には0.4〜0.7である。]
[0035] 脂肪族炭化水素溶媒として、プロパンからオクタンまでのアルカンを用いることができる。好適には、沸点が60〜180℃の物質又はこれらの物質の混合物を使用可能である(混合物を使用する場合、これらの数値は沸点の範囲を表す)。芳香族含有量の少ない鉱油オイルカットであって、沸点範囲が60〜100℃、100〜140℃及び140〜180℃のものが、特に好適である。]
[0036] 精製された開始植物油とアルコール反応剤との体積比は、開始植物油が1に対し、アルコールが好適には1.05〜2.0であり、さらに好適には1.1〜1.5である。]
[0037] 未精製の植物油は、水溶性グリセロールと沸点−42℃〜200℃の脂肪族炭化水素溶媒と混合しその混合物を静置する処理により、本発明のプロセスにおける開始物質として使用に適した精製植物油に変換することができる。特に、未精製植物油の単位体積当たり少なくとも0.2(好適には0.2〜1.5、より好適には0.3〜1、特に好適には0.4〜0.7)の体積割合にて沸点−42℃〜200℃(好適には60〜200℃)の脂肪族炭化水素溶媒と、0.72〜0.2(好適には0.09〜0.15)の体積割合にて5〜40体積%(好適には10〜20体積%)の水を含む水溶性グリセロールとを加えて十分に混合する。この混合物は、下側の極性相と上側の非極性相を形成するために静置させられ、そして、脂肪族炭化水素溶媒中に精製植物油が溶解した溶液である上側の極性相が、エステル交換反応に移行する。注記すると、上側の非極性相は、実際は、エステル交換反応のために選択された脂肪族炭化水素溶媒中に精製植物油が溶解した溶液である。この精製技術の特別な利点は、植物油を溶液中で処理することにあり、まさに同じ理由がエステル交換についても云える。これにより、極性化合物は、植物油からグリセロール相へと排除される。このことは、1930年代からのKalicevskij法に遡る硫酸予備処理を凌駕する改良を意味する。]
[0038] この精製方法を用いることにより、従来の方法に比べて遙かに効率的に、エステル交換及びその後の分離を妨げる不純物及び成分を植物油から除去することができる。上述の植物油精製方法の特別な利点は、従来の酸性水溶液の方法では植物油から除去できない界面活性特性をもつ少量成分も、除去できることである。さらにこのことは、エステル交換において形成される極性相と非極性相の分離を加速することでもある。]
[0039] 別の態様では、未精製または一部精製された植物油の予備処理において、植物油と、沸点−40℃〜200℃をもつ脂肪族炭化水素溶媒とを、カウンターカレント充填カラムの少なくとも下側区画に供給し、アルコール(好適にはC1−C4アルコール)を供給し、そして任意に触媒を充填カラムの少なくとも上側区画に供給し、これらの供給流体を相互作用させる。精製された植物油は、充填カラムの頂部区画から取り出される。この予備処理の目的は、植物油基材の遊離脂肪酸及びリン脂質成分を低減することである。]
[0040] 例えば、アルコールの流れがグリセロールの流れ(グリセロールと水の比率が2:1〜1:2、好適には1.5:1〜1:1.5の混合物)である場合、幾つかのリン脂質が、それらが極性であるために除去される。遊離脂肪酸は、過剰なアルカリ度のグリセロール流と反応することによりカリウム石鹸となって分離され、極性相中に溶解することとなる。従って、ラフィネート(不溶油分)は、遊離脂肪酸中で低下し、リン脂質中でも低下することとなる。]
[0041] 別の態様では、充填カラムにおいて、固相触媒を含めてもよい。例えば、充填カラムが、Amberlist-15等のイオン交換樹脂を含み、アルコールがメタノールである場合、遊離脂肪酸は、脂肪酸メチルエステルに変換され、そして非極性脂肪族溶媒が存在するために、エステル化プロセスで形成された水が反応媒体から極性相へと移動させられ、よってエステルの逆加水分解に寄与することはできない。この場合、リン脂質の除去は重要ではない。]
[0042] さらに別の態様では、予備処理がメタノールと硫酸により行われる場合、二重の効果が観察された。遊離脂肪酸が脂肪酸メチルエステルに変換され、かつ、幾つかのリン脂質が水和した。水和リン脂質及び非水和リン脂質の双方とも、極性の硫酸により除去され、硫酸はこれらを極性相へ引き込み、精製された植物油と脂肪族炭化水素溶媒を含む非極性相から分離する。]
[0043] 上述の精製方法のさらに重要な利点は、このプロセス以外の物質が導入されないことである。なぜなら、脂肪族炭化水素溶媒は、エステル交換の反応媒体として用いられるものと同じであり、グリセロールはエステル交換で形成される副生成物だからである。]
[0044] 本発明の方法のさらに別の利点は、汎用的な植物油抽出技術のヘキサンを採用した場合、ヘキサンはエネルギー消費の大きい蒸留で分離する必要がなく、その代わりに植物油とともに共溶媒として精製及びエステル交換の段階に移行させることができる。溶媒の再利用は、エステル交換後まで延ばされるが、さらにコスト節減することが可能である。]
図面の簡単な説明

[0045] 本発明の実施例による方法を行うための簡易な撹拌反応容器の概略図である。
本発明の別の実施例による方法を行うための充填カラム構成を示すプロセス流れ図である。]
実施例

[0046] 以下、実施例としてのみ示した図面を参照しつつ、好適な方法を説明する。
第1の好適な実施例においては、撹拌手段7を備えたエステル交換反応が反応容器5内で以下の手順に沿って行われる。脂肪族炭化水素溶媒、精製植物油(又はその前段溶液、例えば、前述したような精製ステップから得られた上側の非極性相)、アルコール及び触媒(又はその前段溶液)が、矢印6で示す箇所にて反応容器に導入され、この混合物は所定の反応温度で撹拌される。反応が大気圧下で行われる場合、反応の温度はアルコールの沸点を超えてはならない。しかし、大気圧以上の圧力下では、アルコールが液体状態を維持する限り、より高い温度で反応を行うことができる。1〜40bar(0.1〜4MPa)の圧力下では60〜140℃の温度で反応を行うことができる。高圧下で高温を適用することにより、反応速度を増すことができる。エステル交換反応が安定(平衡)状態に到達したとき、加熱及び撹拌を停止し、必要であれば圧力を大気圧に低減すると、各相が分離する。安定状態には短時間(ときには10分以内)で到達し、各相の分離もまた速やかである(完全な分離がときには10分以内で生じる)ことが観察された。反応容器の内容物は、さらに所定の時間だけ撹拌することなく静置させる。その間、上側の非極性相における反応は、より多くの脂肪酸エステルとグリセロール副生成物を生成する正方向に進行し続ける。グリコール副生成物は速やかに極性相に溶け込む。この結果、グリセロールは、逆反応に利用されない。このことは、所望する正方向の反応の促進を支援する。所定期間静置(すなわち非撹拌)させた後、所望する95〜98%の変換が達成される。]
[0047] 下側の極性相は、主にグリセロールと少量のアルコールからなるが、矢印3で示す箇所から取り出され、所望する場合は、既知のグリセロール処理操作に供される。]
[0048] アルコール及び触媒は、次のように反応容器に導入してもよい。すなわち、エステル交換の初期段階においては、反応容器内の混合物が化学量論的な量以下のアルコールのみを含むようにし、そして既に比較的高変換率(好適には80%以上)に到達している時点においてのみ、化学量論的な量を超えるようにアルコールを追加する。]
[0049] 注記すると、撹拌無しで正方向に反応が持続することは、驚くべきことである。なぜなら、従来は、エステル交換反応は相分離の後には進行しない、あるいは、進行するとしても極めて遅いと信じられてきたからである。]
[0050] しかしながら、今や、相分離の後であっても相当の速度で反応が持続することが判明した。実際、本発明における混合及び静置のための全時間は、標準的工業手法における第1段階の混合ステップよりも短い。静置状態において非極性相からグリセロールが持続的に分離される結果、エステル交換反応は、必要とする脂肪酸アルキルエステルを形成する方向に移行するため、エステル交換反応を停止させ相分離をしてからさらに上側の非極性相でエステル交換反応を再開させることなく、必要とする95〜98%の変換率を達成することができる。95〜98%の変換率を達成するために、アルコールを大量に過剰に混合する必要もない。この方法のさらに重要な利点は、非常に簡易な装置で実行可能なことである。]
[0051] 所望する場合、グリセロールの一部を、必要な量の水と混合した後、植物油精製ステップに再利用することができる。さらに、上述の方法により精製された植物油をエステル交換に用いた場合、得られるグリセロール相の純度が、汎用的方法により得られるそれよりも高い。従って、それに続く処理も容易となる。これは、本発明のさらに別の利点である。]
[0052] エステル交換の完了時に得られる上側の非極性相は、必要とするバイオジーゼル燃料を含んでおり、その後、精製操作に供される。汎用的な精製ステップを適用可能である。脂肪族炭化水素溶媒もまた精製により除去可能である。しかしながら、所与の例においては、特に高沸点範囲の脂肪族鉱油オイルカットを使用した場合、バイオジーゼル燃料生成物中の少なくとも脂肪族炭化水素溶媒の一部を保有することが好ましい。なぜなら、これらの成分は燃料の品質を向上させる(すなわち、そのセタン数を増加させ、かつその要素数を減少させる)からである。]
[0053] 第2の好適な実施例においては、図2に示した充填カラム50におけるカウンターカレント処理を用いることにより、真に連続的な処理を実現できる。この充填部は、例えば、ガラス又はセラミックのラシヒリングであり、第一鉄充填部は、オイルで濡らされるが反応混合物の他の成分では濡らされない一方、イノックス(inox)充填部は存在するいずれの成分によっても濡らされない。] 図2
[0054] 変換される植物油と担体溶媒としてのヘキサンとが予め混合され、矢印10で示されるカラムの底部に供給される。この例における反応剤アルコールは、メタノールであり、この中に水酸化カリウム触媒が溶解する。メタノール触媒溶液は、矢印20で示される3つのより高い箇所からカラムへ導入される。軽い植物油/ヘキサン相は、カラムを通り上昇し、そこから所与のメタノールを取り込む。可逆のエステル交換反応は、トリグリセリド構造から遊離したグリセロールの速やかな排除により、所望する正方向へと移行する。この条件は、ヘキサンに対するグリセロールの低溶解性による、植物油相とグリセロール相の効率的な相分離により調整される。グリセロール相の大きな逆方向の混合は生じないので、脂肪酸メチルエステルのグリセロール分解によるトリグリセリドとメタノールへの逆反応は、植物油/ヘキサン相内では無視できる。]
[0055] これらの状態は、ここで説明したカウンターカレント接触方式においては明確であり、植物油相が連続相を形成し、一方、グリセロールが分散相を形成する。精製された供給基材は、反応容器内に入り、降下するグリセロールの液滴に逆らって上昇する。メタノール(反応剤)及び触媒は、供給基材の上昇流に沿って追加される。反応剤の大部分は、植物油相の中に溶解し、僅かな部分が分散している液滴の中に溶解する。植物油相の中では、正方向の反応が生じる。すなわち、反応のグリセロール副生成物は植物油相に不溶であるため、バイオジーゼル及びヘキサンの混合物から分離し、カラムに沿って降下する液滴を形成する。]
[0056] 粗製バイオジーゼルは、矢印40で示されるように、連続的なラフィネート流としてカラム頂部から出る。グリセロールは、カラムの底部から抽出可能であり、矢印30で示されている。]
[0057] ここで述べたカウンターカレント方式は、反応容器と分離装置を1つの設備に効率的に組み合わせている。]
[0058] この真に連続的な処理は、反応中の化学物質の量を著しく低減させる。より少量を取り扱うことは、汚染の事故及びリスクを低減することにも寄与し、保健及び安全の要請を容易に充足することができる。]
[0059] カラム内の滞留時間は、バッチ反応システムに比べて極めて短く、30分程度である。]
[0060] 充填カラムの使用は、バイオジーゼル製造のプロセス全体において、エステル交換以外の他の部分においても採用可能である。例えば、反応相の過剰なメタノールは、ヘキサン/バイオジーゼル相とともにエステル交換カラムの頂部から出された後、バイオジーゼルから除去される必要がある。これは、充填カラムにおいて行うことができ、その場合、バイオジーゼル相が、先ず触媒を中和するために酸と接触させられ、次にバイオジーゼルからメタノールを抽出するために水と接触させられる。充填カラムは、前述の供給基材の調製又は精製ステップのために使用することもでき、その場合、植物油/ヘキサンの供給基材が、エステル交換カラムから得たグリセロールと接触させられ、原料植物油から遊離脂肪酸及び石鹸を除去するために酸性水と接触させられる。]
[0061] ヘキサンは、蒸留カラムにおいてバイオジーゼルから除去可能である。その場合、ヘキサンは水分とともに蒸発させられ、清浄なバイオジーゼルが残される。]
[0062] 選択された特別な脂肪族担体溶媒に依っては、例えば、脂肪族担体溶媒が100℃を超える引火点のような適切な特性を有する場合、幾つかのものについては、バイオジーゼル中に残留させてもよい。なぜなら、それらは燃料の品質を向上させるからである。例えば、
セタンの数を増加させ、ヨウ素の数を減少させる。]
[0063] エステル交換カラムの頂部から取り出されたラフィネートの好適な精製方法は、以下の通りである。]
[0064] バイオジーゼル相は、希釈硫酸水溶液により洗浄された後、水で洗浄される。これらの処理により導入された水は、共沸抽出蒸留により除去される。最後に、所望する場合は、脂肪族炭化水素溶媒またはその一部が、蒸発させられる。脂肪族炭化水素溶媒の存在により、精製中の水の除去が、極めて簡素化される。メタノールは、グリセロール/水相から、蒸留により再利用される。]
[0065] 下側のグリセロール相を精製するために、混入アルコールは全て、再利用のために蒸留により除去される。そして、触媒は、触媒の特別な性質に適した方法を用いて除去される。例えば、水酸化カリウム触媒は、硫酸処理により硫酸カリウムとして除去可能である。グリセロール原液を調製しようとするときは、極性相をアニオン及びカチオンの交換樹脂に通過させる。精製中に水が導入された場合は、脂肪族炭化水素溶媒の存在下で共沸蒸留を行い、それに続いて蒸留による残留溶媒の除去を行うことにより、最も効率的に除去可能である。]
[0066] 上述のように、脂肪族炭化水素溶媒の存在により、精製も容易となる。その存在下においては、単純な大気中での蒸留によりグリセロール及び燃料相の双方を乾燥(脱水)することができるからである。アルコール及び脂肪族炭化水素溶媒は、精製処理において容易に回収でき、エステル交換ステップにおいて再利用できる。分離されたグリセロール相の部分は、上述した植物油精製ステップにおいて再利用できる。]
[0067] 本発明による方法の最も重要な利点は、次の通りである。
・エステル交換反応及び相分離が速やかに進行する。
・エステル交換に必要なアルコールの量を、著しく低減することができる。
・必要な装置が簡易である。
・エステル交換を間欠的に停止し、相分離し、再びエステル交換を繰り返すことを行わずとも、必要とされる95〜98%の変換が同様に実現される。
・最終生成物の精製が、より簡易である。
・溶媒及び未反応反応剤を、容易に回収できかつ再利用できる。
・均一な品質のバイオジーゼル燃料を製造できる。
・適切に選択された脂肪族炭化水素溶媒を用いることにより、バイオジーゼル生成物中に品質を高める添加物を同時に導入することができる。]
[0068] 本発明のさらに詳細な説明を、以下の実施例(但しこれに限定されない)により行う。]
[0069] 開始物質として、部分的に精製された植物油の供給基材が用いられる。"部分的に精製された"とは、植物油が、静置とろ過の一連のステップに供されたが、物理的又は化学的な脱ガム及び中和は行われていないこと、を意味する。従って、この開始物質は、完全に精製された植物油に比べて、遊離脂肪酸及びリン脂質の含有量が多い。以下に例示するプロセスの第1のステップは、遊離脂肪酸及びリン脂質の含有量を低減するための前処理ステップである。炭化水素溶媒として、n−ヘキサンが簡便に用いられた。なぜなら、n−ヘキサンは、生の植物原料から油を抽出する際に通常用いられる溶媒だからである。実際に、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油系エーテル及び/又は水素化ラフィネートなどの非芳香族炭化水素を使用できる。]
[0070] <実施例1>
[前処理:] 250gの部分的に精製されたヒマワリ油を、75gのn−ヘキサンと混合し、パー(Parr)型反応容器内に置いた。2.5gの市販のAmberlist−15イオン交換樹脂と、10gのメタノールとを、この系に追加した。この反応容器を、窒素を用いて15bar(1.5MPa)まで加圧した。系全体を30分間連続的に撹拌しつつ80℃に加熱した。完了後、水道水を流しつつ反応容器を速やかに室温に冷却し、減圧した。
洗浄及び蒸発の後、上記のプロセスを、分析用試料を得るために繰り返した。]
[0071] [エステル交換:]反応容器の内容物を、1リットルの容量の四つ口フラスコに移し、その上に、還流冷却器、計量滴下漏斗、温度計及び上部混合器を、四つ口フラスコの接続部を介して取り付けた。小数の沸騰石及び20gのメタノール(15%の水酸化カリウムを含む)をこの系に追加した。全内容物を沸騰条件(t=59℃)に移行させ、この温度にて10分間連続的な撹拌状態に保持し、その後撹拌を停止し、反応混合物をさらに10分間静止状態に置いた。]
[0072] [精製:]この系を40℃に冷却すると、反応混合物を別の漏斗へ移した。この中で、ほぼ瞬間的に2つの明確な相が形成された。10分間静置させた後、下側の相を排出した(ここで、"排出"とは、系から流体を除去することを意味し、そして、付加的にはそれを他の使用のために回収することを意味する)。上側の相を、40gの10%硫酸により洗浄した後、40gの蒸留水により洗浄し、これら2つの洗浄処理の間において水の相を分離した。下側の相は廃棄した。上側の相は、ヘキサン溶媒を除去するために蒸留した。ディーン・スターク(Dean Stark)蒸留装置内に水の兆候は見られなかった。カール・フィッシャー(Karl Fisher)検査により、蒸留されたバイオジーゼル中の水分量が35ppmであることを確認した。]
[0073] ]
[0074] <実施例2>
[前処理:] 250gの部分的に精製されたヒマワリ油を、75gのn−ヘキサンと混合し、パー型反応容器内に置いた。2.5gの市販のAmberlist−15イオン交換樹脂と、10gのメタノールとを、この系に追加した。この反応容器を、窒素を用いて15bar(1.5MPa)まで加圧した。系全体を30分間連続的に撹拌しつつ80℃に加熱した。完了後、水道水を流しつつ反応容器を速やかに室温に冷却し、減圧した。]
[0075] [エステル交換:]反応容器の内容物を、1リットルの容量の四つ口フラスコに移し、その上に、還流冷却器、計量滴下漏斗、温度計及び上部混合器を、四つ口フラスコの接続部を介して取り付けた。小数の沸騰石及び20gのメタノール(15%の水酸化カリウムを含む)をこの系に追加した。全内容物を沸騰条件(t=59℃)に移行させ、この温度にて10分間連続的な撹拌状態に保持し、その後撹拌を停止し、この系をさらに10分間静止状態に置いた。]
[0076] [精製:] この系を40℃に冷却すると、反応混合物を別の漏斗へ移した。この中で、ほぼ瞬間的に2つの明確な相が形成された。10分間静置させた後、下側の相を排出した。上側の相を、40gの10%硫酸により洗浄した後、40gの蒸留水により洗浄し、これら2つの洗浄処理の間において水の相を分離した。下側の相は廃棄した。]
[0077] [水素化異性化:]上側の相を、パー型反応容器に移し、0.7gのEngelhard Ni 5256触媒を追加した。この反応容器を、水素を用いて15bar(1.5MPa)まで加圧した。系全体を20分間連続的に撹拌しつつ100℃に加熱した。完了後、水道水を流しつつ反応容器を速やかに室温に冷却し、減圧した。]
[0078] [溶媒除去:]ディーン・スターク蒸留装置内で行った。]
[0079] ]
[0080] <実施例3>
[前処理:] 部分的に精製されたヒマワリ油とn−ヘキサンとを重量比4:1にて混合し、カウンターカレント抽出器内において、重量比1:10の10%水酸化カリウム水溶液とN−メチル−2−ピロリドン(BASF製)とからなる溶媒に接触させた。抽出は、室温で行った。]
[0081] [エステル交換:] 400gの前処理によるラフィネートを、1リットルの容量の四つ口フラスコに移し、その上に、還流冷却器、計量滴下漏斗、温度計及び上部混合器を、四つ口フラスコの接続部を介して取り付けた。小数の沸騰石及び35gのメタノール(15%の水酸化カリウムを含む)をこの系に追加した。全内容物を沸騰条件(t=59℃)に移行させ、この温度にて10分間連続的な撹拌状態に保持し、その後、撹拌せずにさらに10分間静止状態に置いた。]
[0082] [精製:] この系を40℃に冷却すると、反応混合物を別の漏斗へ移した。この中で、ほぼ瞬間的に2つの明確な相が形成された。10分間静置させた後、下側の相を排出した。上側の相を、40gの10%硫酸により洗浄した後、40gの蒸留水により洗浄し、これら2つの洗浄処理の間において水の相を分離した。下側の相は廃棄した。]
[0083] [水素化異性化:]上側の相を、パー型反応容器に移し、0.7gのEngelhard Ni 5256触媒を追加した。この反応容器を、水素を用いて15bar(1.5MPa)まで加圧した。系全体を20分間連続的に撹拌しつつ100℃に加熱した。完了後、水道水を流しつつ反応容器を速やかに室温に冷却し、減圧した。]
[0084] [溶媒除去:]ディーン・スターク蒸留装置内で行った。ディーン・スターク蒸留装置内に水の兆候は見られなかった。]
[0085] ]
[0086] <実施例4>
[前処理:] 250gの部分的に精製されたヒマワリ油を、75gのn−ヘキサン及び50gのグリセロール溶液(グリセロール:水=1:1)と、35℃のガラス製恒温ミキサセトラー内で混合した。グリセロールは、pH12.9の商用バイオジーゼル工場から得たものである。撹拌は30分間行い、その後、撹拌せずに15分間静置させると、上側のラフィネートと、下側の抽出相に分離した。分析用試料を得るために、この手順を繰り返した。精製剤のグリセロールは1.7%のカリウム石鹸をと、0.8%の脂肪酸メチルエステルと、0.3%のグリセリドを含んでいた。脂肪酸メチルエステル及びグリセリドは、完全にラフィネート流中に抽出された。]
[0087] [エステル交換:]ラフィネートを、1リットルの容量の四つ口フラスコに移し、その上に、還流冷却器、計量滴下漏斗、温度計及び上部混合器を、四つ口フラスコの接続部を介して取り付けた。小数の沸騰石及び35gのメタノール(15%の水酸化カリウムを含む)をこの系に追加した。全内容物を沸騰条件(t=59℃)に移行させ、この温度にて10分間連続的な撹拌状態に保持し、その後、撹拌せずにさらに15分間静止状態に置いた。]
[0088] [精製:] この系を40℃に冷却すると、反応混合物を別の漏斗へ移した。この中で、ほぼ瞬間的に2つの明確な相が形成された。10分間静置させた後、下側の相を排出した。上側の相を、40gの10%硫酸により洗浄した後、40gの蒸留水により洗浄し、これら2つの洗浄処理の間において水の相を分離した。下側の相は廃棄した。]
[0089] [水素化異性化:]上側の相を、パー型反応容器に移し、0.7gのEngelhard Ni 5256触媒を追加した。この反応容器を、水素を用いて15bar(1.5MPa)まで加圧した。系全体を20分間連続的に撹拌しつつ100℃に加熱した。完了後、水道水を流しつつ反応容器を速やかに室温に冷却し、減圧した。]
[0090] [溶媒除去:]ディーン・スターク蒸留装置内で行った。]
[0091] ]
[0092] <実施例5>
[前処理:] 部分的に精製されたヒマワリ油(5000g)とn−ヘキサン(1550g)とを重量比4:1にて混合し、ラシヒリングで充填された高さ2mのガラス製カウンターカレント抽出器である供給タンク内に移した。溶媒は、実施例4と類似のものを使用した。溶媒(S)と基材(F)の比(S:F)は、S:F=1:8.5とした。抽出は、室温(19℃)で行った。導電信号及びソレノイドバルブにより、カラムの底部にて相間を制御した。ラフィネート流は、カラムの頂部にて収集され、抽出相は底部にて収集された。エステル成分(脂肪酸メチルエステル及びグリセリド)は、完全にラフィネート流中に移動した。]
[0093] [エステル交換:]抽出カラム要素であるジャケット内に熱媒体を循環させたこと以外は、前処理と同じ装置をエステル交換に用いた。ラフィネートを、ガラス製熱交換器(凝縮器)内で熱水により55℃に予熱した。ラフィネート流は、底部からカラムに導入した。メタノール中の10%水酸化カリウムを含む反応剤/触媒は、頂部及び高さ2mのカラムの中央部から追加された。基材対反応剤の比は、化学量論的な量より15%過剰となるように選択した。]
[0094] [精製:] 2倍の精製溶媒とともに同じカウンターカレント抽出器を用いた。10%硫酸を、溶媒と基材の比S:F=15:1により中央部にて計量導入した。それに続いて、同じS:Fの比にて蒸留水を、カラムの頂部にて計量導入した。上側のラフィネート流は、変換され精製されたメチルエステルからなり、下側の相は廃棄した。]
[0095] [溶媒除去:]ディーン・スターク蒸留装置内でラフィネート溶媒からヘキサンを除去した。]
[0096] ]
[0097] <実施例6>
[前処理:] 部分的に精製されたヒマワリ油(5000g)とn−ヘキサン(1550g)とを重量比4:1にて混合し、ラシヒリングで充填された高さ2mのガラス製カウンターカレント抽出器である供給タンク内に移した。用いた溶媒は、実施例4と同様とした。溶媒と基材の比は、S:F=1:8.5とした。抽出は室温(19℃)で行った。導電信号及びソレノイドバルブにより、カラムの底部にて相間を制御した。ラフィネート流は、カラムの頂部にて収集され、抽出相は底部にて収集された。]
[0098] [エスエル交換:]エステル交換は、実施例5と同様に行った。但し、カウンターカレント装置の高さは、3.2mに増した。この実施例は、目的の変換を実現するために所定の接触時間が必要であることを示す。カラムの高さを増すことにより、接触時間が効果的に長くなる。そして、以下のエステル交換の結果の表に示されるように、目標とする99.3%の変換に到達した。実施例5で用いた、より短いカラム(2m)では、このような値は得られなかった。]
[0099] [精製:]溶媒を精製するために、実施例5と同様の高さ2mのカウンターカレント抽出機を用いた。]
[0100] [水素化異性化:] 300gの精製流をパー型反応容器に移動させ、0.8gのEngelhard Ni 5256触媒が追加された。反応容器は、水素を用いて10bar(1.0MPa)まで加圧された。連続的に10分間撹拌しつつ系全体が120℃まで加熱された。完了後、反応容器は、水道水の流れにより速やかに室温に冷却され、減圧された。]
[0101] [溶媒除去:]ディーンスターク蒸留装置内で、ラフィネート溶媒からヘキサンを除去した。]
[0102] ]
[0103] <実施例7>
[前処理:] 部分的に精製されたヒマワリ油(5000g)とn−ヘキサン(1550g)とを重量比4:1にて混合し、ラシヒリングで充填された高さ2mのガラス製カウンターカレント抽出器である供給タンク内に移した。用いた溶媒は、実施例4と同様とした。溶媒と基材の比は、S:F=1:8.5とした。抽出は室温(19℃)で行った。導電信号及びソレノイドバルブにより、カラムの底部にて相間を制御した。ラフィネート流は、カラムの頂部にて収集され、抽出相は底部にて収集された。]
[0104] [エステル交換:]抽出カラム要素であるジャケット内に熱媒体を循環させたこと以外は、前処理と同じ装置をエステル交換に用いた。ラフィネートは、ガラス熱交換器(凝縮器)内で熱水により55℃まで予熱した。ラフィネート流は、底部にてカラムに導入した。反応剤/触媒の混合物は、メタノール中の10%水酸化カリウムからなり、高さ2mのカラムの頂部及び中央部から追加した。基材と反応剤の比は、化学量論的な量より100%過剰となるように選択した。]
[0105] [精製:] 2倍の精製溶媒により、同じカウンターカレント抽出器を用いた。10%硫酸は、S:F=15:1の比で中央部にて計量導入した。続いて蒸留水は、同じ比でカラムの頂部にて計量導入した。上側のラフィネート流は、変換され精製されたメチルエステルからなり、一方、下側の相は廃棄した。]
[0106] [溶媒除去:]ディーンスターク蒸留装置内で、ラフィネート溶媒からヘキサンを除去した。]
[0107] ]
[0108] <実施例8>
[前処理:] 部分的に精製されたヒマワリ油(5000g)とn−ヘキサン(1550g)とを重量比4:1にて混合し、ラシヒリングとAmberlist−15イオン交換樹脂で充填された高さ2mのガラス製カウンターカレント抽出器である供給タンク内に移した。メタノールは、頂部にてカラムに計量導入し、一方、ラフィネート/ヘキサンの混合物は、底部にて追加した。カラムは60℃に定温保持した。溶媒(反応剤)と供給物(基材)の比は、重量にて1:8に保持した。相間は、導電信号及びソレノイドバルブにより、カラムの底部にて制御した。ラフィネート流はカラムの頂部にて収集し、抽出相は底部にて収集した。]
[0109] [エステル交換:]カウンターカレント装置は、高さ3.2mとした。エステル交換は、実施例5と同様に行った。]
[0110] [精製:] 高さ2mのカウンターカレント抽出器を用いて、実施例5と同様に溶媒を精製した。]
[0111] [水素化異性化:] 250gの精製された流体をパー型反応容器に移され、0.5gのEngelhard Ni 5256触媒を追加した。反応容器は、水素を用いて15bar(1.5MPa)に加圧した。連続的に15分間撹拌しつつ、系全体を120℃まで加熱した。完了後、反応容器を、水道水の流れにより速やかに室温に冷却し、減圧した。]
[0112] [溶媒除去:]ディーンスターク蒸留装置内で、ラフィネート溶媒からヘキサンを除去した。]
[0113] ]
[0114] <実施例9>
[前処理:] 250gの部分的に精製されたヒマワリ油を、75gのn−ヘキサンと混合し、パー型反応容器内に入れた。2.5gの市販のAmberlist−15イオン交換樹脂と、10gのメタノールをこの系に追加した。反応容器は、窒素を用いて15bar(1.5MPa)に加圧した。連続的に30分間撹拌しつつ系全体を80℃まで加熱した。完了後、反応容器を、水道水の流れにより速やかに室温まで冷却し、減圧した後、別の漏斗に移した。分析用の試料を調製するためにこの手順を繰り返した。]
[0115] [エステル交換:] 分離した混合物のうち上側の相を、パー型反応容器に戻した。アニオン交換特性を付与するために孔径の大きいゼオライトを準備し、3gの乾燥したアニオン交換樹脂を25gのメタノールとともに反応容器に追加した。この系を、15bar(1.5MPa)に加圧し、110℃に加熱した。撹拌は30分間行った。その後、この系をこの温度にて撹拌せずにさらに30分間静置させた。この系を、冷却し減圧した。]
[0116] [精製:] 30℃の反応混合物を、ペーパーフィルターを通して別の漏斗に移した。その中で、ほぼ瞬間的に2つの明確な相が形成された。30分間静置させた後、下側の相を排出した。上側の相を、50gの10%硫酸で洗浄した後、50gの蒸留水で洗浄した。これらの洗浄の間に、水の相を分離した。下側の相は廃棄した。上側の相は、ヘキサン溶媒を除去するために蒸留した。]
[0117] ]
[0118] <実施例10>
[前処理:] 部分的に精製されたヒマワリ油(5000g)とn−ヘキサン(1550g)とを重量比4:1にて混合し、ラシヒリングとAmberlist−15イオン交換樹脂で充填された高さ2mのガラス製カウンターカレント抽出器である供給タンク内に移した。5%硫酸を含むメタノールは、頂部にてカラムに計量導入し、一方、ラフィネート/ヘキサンの混合物は、底部にて追加した。カラムは60℃に定温保持した。溶媒(反応剤)と供給物(基材)の比は、重量にて1:8に保持した。相間は、導電信号及びソレノイドバルブにより、カラムの底部にて制御した。ラフィネート流はカラムの頂部にて収集し、抽出相は底部にて収集した。]
[0119] [エステル交換:]カウンターカレント装置は、高さ3.2mとした。エステル交換は、実施例5と同様に行った。]
[0120] [精製:] 実施例5と同様に、溶媒を精製するために高さ2mのカウンターカレント抽出器を用いた。]
[0121] [溶媒除去:]ディーンスターク蒸留装置内で、ラフィネート溶媒からヘキサンを除去した。]
[0122] ]
[0123] 3取出箇所
5反応容器
6導入箇所
7撹拌手段
50 充填カラム]
权利要求:

請求項1
精製された植物油を、所要量のC1−C4アルコールと前記植物油の単位体積当たり0.2の体積割合の沸点−42℃〜200℃を有する脂肪族炭化水素溶媒とにより触媒存在下でエステル交換することにより、植物由来のジーゼル水準燃料を製造する方法であって、エステル交換が95〜98%完了するまで進行させかつ逆のグリセロール分解を抑制するとともに、副生成物の極性グリセロール除去のためにエステル交換を停止させることなく、かつ、停止後に新たなアルコール及び触媒を追加して植物油と燃料の混合物のエステル交換を再開させることなく、均一条件下にて、前記精製された植物油、前記アルコール、前記触媒及び前記脂肪族炭化水素溶媒を単一の反応容器内で混合することを特徴とする植物由来のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項2
前記精製された植物油、前記アルコール、前記触媒及び前記脂肪族炭化水素を反応容器に供給し、制御されたせん断条件下にて所定時間混合し、混合を停止して混合物を撹拌することなく所定時間静置させることにより、前記混合物が2つの相に分離し、かつ、上側の非極性相において、95〜98%の変換が完了するまでエステル交換が持続することを特徴とする請求項1に記載の植物由来のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項3
前記脂肪族炭化水素溶媒と混合された前記精製された植物油を、カウンターカレント充填カラム装置における下方側の区画へ供給し、前記アルコール及び前記触媒を前記カウンターカレント充填カラム装置における少なくとも1つのより上方側の区画へ供給し、前記精製された植物油を95〜98%変換するまでエステル交換し、かつ、変換された油生成物を前記カウンターカレント充填カラム装置の頂部から取り出すことを特徴とする請求項1に記載の植物由来のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項4
前記脂肪族炭化水素溶媒は、前記精製された植物油の単位体積当たり0.3〜1の体積割合で用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の植物由来のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項5
前記脂肪族炭化水素溶媒は、前記精製された植物油の単位体積当たり0.4〜0.7の体積割合で用いられることを特徴とする請求項4に記載の植物由来のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項6
前記アルコールは、前記精製された植物油の単位体積当たり1.05〜2.0の体積割合で用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の植物由来のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項7
前記アルコールは、前記精製された植物油の単位体積当たり1.1〜1.5の体積割合で用いられることを特徴とする請求項6に記載の植物由来のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項8
前記脂肪族炭化水素溶媒は、沸点60〜80℃をもつ物質またはこれらの物質の混合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項9
前記脂肪族炭化水素溶媒は、沸点60〜100℃範囲の、芳香族含有量の少ない鉱油オイルカットであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項10
前記脂肪族炭化水素溶媒は、沸点100〜140℃範囲の、芳香族含有量の少ない鉱油オイルカットであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項11
前記脂肪族炭化水素溶媒は、沸点140〜180℃範囲の、芳香族含有量の少ない鉱油オイルカットであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項12
エステル交換は、前記C1−C4アルコールを液体状態に保持するために十分な圧力下にて60〜140℃の温度にて行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項13
前記温度が95〜115℃の範囲であることを特徴とする請求項12に記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項14
前記C1−C4アルコールは、メタノールであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項15
前記精製された植物油は、未精製植物油に対し、その単位体積当たり、少なくとも0.2の体積割合の沸点−42℃〜200℃を有する脂肪族炭化水素溶媒と、0.07〜0.2の体積割合の水を5〜40体積%含む水溶性グリセロールとを完全に混合し、その混合物を静置させて下側の極性相と上側の非極性相を形成し、かつ、前記下側の極性相を除去して、精製された植物油と脂肪族炭化水素溶媒とを残すことにより、得られることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項16
前記精製された植物油は、沸点−42℃〜200℃を有する脂肪族炭化水素溶媒と混合された、部分的に精製された植物油をカウンターカレント充填カラム装置の下方側の区画に供給するとともに、アルコールを前記カウンターカレント充填カラム装置の少なくとも1つの上方側の区画に供給し、それらの供給流を相互作用させ、かつ、前記カウンターカレント充填カラム装置の頂部にてラフィネート流を収集することにより、得られることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項17
前記カウンターカレント充填カラム装置は、イオン交換樹脂を備えていることを特徴とする請求項16に記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項18
前記アルコールの供給流は、触媒を含むことを特徴とする請求項17に記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項19
前記アルコールは、グリセロールであることを特徴とする請求項16に記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項20
精製処理の間に導入された水は、バイオ燃料の相を、前記脂肪族炭化水素溶媒の存在下にて共沸蒸留することにより除去されることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載のジーゼル水準燃料製造方法。
請求項21
実質的に各実施例に記載されたエステル交換により植物由来のジーゼル水準燃料を製造する方法。
請求項22
実質的に図面に示されたエステル交換により植物由来のジーゼル水準燃料を製造する方法。
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2012-04-03| A300| Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20120403 |
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申请号 | 申请日 | 专利标题
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