![]() 生体接着性ヒドロゲル
专利摘要:
椎間板の髄核を修復又は補完するために得られる生体接着性ヒドロゲル組成物とその形成方法であって、当該組成物は、少なくとも第一成分、第二成分、及び、第三成分を含み、第一成分、第二成分、及び、第三成分は架橋される。第一成分は好ましくは約0.1質量%〜約13.65質量%の濃度でアミン含有ポリマー成分を含む。第二成分は好ましくは約3質量%〜約35質量%の濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含む。第三成分は好ましくは約0.1質量%〜約30質量%の濃度でアルデヒド成分を含む。椎間板の髄核を修復又は補完する方法は、患者に該組成物を移植することを含む。 公开号:JP2011509713A 申请号:JP2010542401 申请日:2009-01-12 公开日:2011-03-31 发明作者:クリスティン;ビー キタ;ナイジェル;ジー スミス;ガーランド;ダブリュー ファッセル;アンソニー;エム ローマン 申请人:ジンテス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング;ドレクセル ユニヴァーシティー; IPC主号:A61L27-00
专利说明:
[0001] 発明の分野 本発明は、体内組織(椎間板を含む)を修復又は補完するための生体接着性ヒドロゲル組成物、装置及び/又は方法に関し、好ましくは生体接着性ヒドロゲル組成物を使用して椎間板の髄核を修復又は補完するための装置及び/又は方法に関する。] 背景技術 [0002] ヒト椎間板は、外側又は周囲腱構造、及び、通常中心部分に位置する内部のゲル状の髄核の二つの主要な構造から構成される。該核の退化は、一般に自然老化に関連しており、椎間板の劣化及び機能の損失につながりうる。] [0003] 椎間板の怪我又は年齢による老化によって生じる慢性腰痛は、多くの患者が経験する病気である。現在の治療は、ベッドでの療養から、脊椎固定術及び完全な椎間板の置換を含む侵襲的な外科的手術にまで及ぶ。] [0004] 髄核を置換又は補完することで、痛みを軽減すること、椎間板に健康的な生理的機能を回復させること、及び/又は、環の更なる摩耗又は損傷を防ぐことが可能となる。現在のところ、哺乳動物の選択部位に脊椎板の髄核の補完又は置換するための最低限の侵襲的な技法はほとんどない。損傷を受けた椎間板を全能力まで回復させる生理的/機械特性を提供できる技法すら少ない。] 発明が解決しようとする課題 [0005] したがって、損傷を受けた椎間板を修復するための方法を提供することが望まれている。本発明の他の目的及び利点は、以下の記載及び実施例から明らかになるであろう。] 課題を解決するための手段 [0006] 本発明の概要 本発明は、椎間板を修復又は補完するための生体接着性ヒドロゲル組成物、装置及び/又は方法に関し、好ましくは生体接着性ヒドロゲル組成物を使用して椎間板の髄核を修復又は補完するための装置及び/又は方法に関する。] [0007] 本発明の1つの好ましい態様は、椎間板の髄核を修復又は補完するための生体接着性ヒドロゲル組成物を含むことができ、当該組成物は、少なくとも第一成分、第二成分、及び、第三成分を含み、第一成分、第二成分、及び、第三成分は架橋される。第一成分は好ましくは約0.1質量%〜約13.65質量%の濃度でアミン含有ポリマー成分を含む。第二成分は好ましくは約3質量%〜約35質量%の濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含む。第三成分は好ましくは約0.1質量%〜約30質量%の濃度でアルデヒド成分を含む。] [0008] 本発明の別の好ましい態様は、少なくとも第一成分、第二成分、及び、第三成分を含む、椎間板の髄核を修復又は補完するための生体接着性ヒドロゲル組成物を含みうる。第一成分は、好ましくは、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリラート)、ポリ(エチルアミノエチルメタクリラート)、アミン-グラフトポリ(ビニルアルコール)、及び、アミン含有ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される、アミン含有ポリマー成分を含む。第二成分は、好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)、及び、ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される、親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含む。第三成分は、好ましくは、グルタルアルデヒド、ポリ(エチレングリコール)-ジアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、及び、マロンアルデヒドからなる群から選択される、アルデヒド成分を含む。] [0009] 本発明の更に好ましい態様は、少なくとも第一成分、第二成分、及び、第三成分を含む椎間板の髄核を修復又は補完するための生体接着性ヒドロゲル組成物を含むことができ、ここで、第一成分、第二成分、及び第三成分が架橋され、アミン含有ポリマー成分及びアルデヒド成分は、約1対1の反応性のアミン基対アルデヒド基のモル比を成すように組み合わされる。第一成分は約0.1質量%〜約13.65質量%の濃度でアミン含有ポリマー成分を含む。第二成分は約3質量%〜約35質量%の濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含む。第三成分は約0.1質量%〜約30質量%の濃度でアルデヒド成分を含む。] [0010] 本発明の他の好ましい態様は、生体接着性ヒドロゲル組成物を形成するためのキットであって:室温又は手術室条件下で、注入可能であるのに十分な濃度でアミン含有ポリマー成分を含む、少なくとも1つの第一容器;室温又は手術室条件下で、注入可能であるのに十分な濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含む、少なくとも1つの第二容器;及び、室温又は手術室条件下で、注入可能であるのに十分な濃度でアルデヒド成分を含む、少なくとも1つの第三容器;を含むキットを含みうる。ここで、アルデヒド成分、アミン含有ポリマー成分、及び、親水性ポリマー又はプレポリマー成分が混合されたときに、組成物は、架橋されて、約0.1質量%〜約13.65質量%のアミン含有成分、約3質量%〜約35質量%の親水性ポリマー又はプレポリマー成分、及び、約0.1質量%〜約30質量%のアルデヒド成分を含む。] [0011] 本発明の更に好ましい態様は、生体接着性ヒドロゲル組成物を形成するためのキットであって、親水性ポリマー又はプレポリマー成分に架橋されたアミン含有ポリマー成分を含む前駆体組成物を含む、少なくとも1つの第一容器;及び、室温又は手術室条件下で、注入可能であるのに十分な濃度でアルデヒド成分を充填された、少なくとも1つの第二容器を含むキットを含みうる。ここで、アルデヒド成分、アミン含有ポリマー成分、及び、親水性ポリマー又はプレポリマー成分が混合されるときに、組成物は、架橋されて、約0.1質量%〜約13.65質量%のアミン含有成分、約3質量%〜約35質量%の親水性ポリマー又はプレポリマー成分、及び、約0.1質量%〜約30質量%のアルデヒド成分を含む。] [0012] 本発明の更なる好適な態様は、少なくとも第一成分、第二成分、及び、第三成分を含む生体接着性ヒドロゲル組成物を調製すること、及び、当該組成物を患者に移植することを含む、椎間板の髄核を修復又は補完する方法を含みうる。第一成分は、約0.1質量%〜約13.65質量%の濃度でアミン含有ポリマー成分を含み、第二成分は、約3質量%〜約35質量%の濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含み、第三成分は、約0.1質量%〜約30質量%の濃度でアルデヒド成分を含み、第一成分、第二成分及び第三成分は、架橋される。] [0013] 上述の概要、及び、本出願の以下の好ましい態様の詳細な説明は、添付の図面と合わせて読まれる場合に、一層理解されるだろう。本明細書に記載された図面、実施例、及び、態様は、本発明の構造、特徴、及び、局面の解説及び実例のためのものであって、本発明の範囲を制限するものではないと、理解されるべきである。本出願は、示される正確な配置及び手段に制限されないと理解されるべきである。] 図面の簡単な説明 [0014] ヒト脊柱の一部の概略図である。 本発明の方法に従って、本発明に従った注入可能な生体接着性ヒドロゲル組成物を髄核腔の中へ移植する第一ステージを表す概略図であって、生体接着性ヒドロゲル組成物を移植するために通す二連式注入器に取り付けられたカニューレを、椎間板の線維輪を通じて挿入している。 移植の第二ステージを表す概略図であって、カニューレを通した生体接着性ヒドロゲル組成物の腔への押出しが開始されている。 浸漬前のPVA/PEI前駆体組成物のFT−IRスペクトル分析結果である(すなわち浸漬0日間)。 浸漬60日後のPVA/PEI前駆体組成物のFTIRスペクトル分析結果である。 0日でのコントロールサンプル(すなわちPEIなし)のFTIRスペクトル分析結果である。 脱イオン水で平衡化されたPVA/PEI前駆体組成物の圧縮機械的特性のグラフ表示である。 PEI水溶液で平衡化されたPVA/PEI前駆体組成物の圧縮機械的特性のグラフ表示である。 重ね接合サンプル調製と試験の概略図である。 PEI水溶液で平衡化されたPVA/PEI前駆体組成物の接着強度のグラフ表示である。 成形30分後のサンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物の圧縮機械的特性のグラフ表示である(15%歪み)。 成形16時間後のサンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物の圧縮機械的特性のグラフ表示である(15%歪み)。 サンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物の共注入可能な組織接着性強度を示す代表曲線である。 PEG-ジアルデヒドのFTIRスペクトル分析結果である。] [0015] 発明の詳細な説明 本明細書の中に記載される方法、実施例、及び、態様は、本発明の組成物、構造、特徴、及び、局面の解説及び実例のためのものであって、本発明の範囲を制限するものではないと、理解されるべきである。特定の専門用語は、以下の説明で、単に便宜上使用されるだけであり、制限はしない。用語「右側」、「左側」、「上部」、及び、「下部」は、参照される図面における向きを指定する。用語「内部」は、デバイス(device)及びそれの指定された部分の幾何学的中心に向かう方向を示し、「外部」は、デバイス及びそれの指定された部分の幾何学的中心から離れる方向を示す。用語「前方の」、「後方の」、「上位の」、「下位の」、「側部の」及び、関連する用語及び/又はフレーズは、参照されるヒトの体における好適な位置及び方向を指定するが、制限することを意図されない。全ての割合は、他に指定のない限り、質量を基準とした質量の割合(w/w)である。専門用語は、上記の用語、それらの派生語、及び、同様の重要な用語を含む。] [0016] 本発明のひとつの好ましい態様は、損傷した椎間板を修復するための生体接着性ヒドロゲル組成物を含みうる。生体接着性ヒドロゲル組成物は、個々の構成成分と、及び、周辺組織と、架橋しうる。生体接着性ヒドロゲル組成物は、髄核の置換又は増強のため働きうるだけでなく、脊椎板輪の欠陥、裂け目又は裂傷を修復することができる。] [0017] 生体接着性ヒドロゲル組成物は、少なくとも3種の成分を含むことができ、インサイチュ凝固して、組織(椎間板を含む)に注入された後にヒドロゲル移植物を形成できる注入可能な組成物を形成しうる。生体接着性ヒドロゲル組成物は、少なくとも3種の成分を含むこともでき、椎間板の中に挿入されうる固体移植物を形成できる。脊椎板を修復又は置換することは組成物のひとつの用途として記載されているが、当該組成物の他の用途も意図される。] [0018] 本発明における注入可能な生体接着性ヒドロゲル組成物の移植方法の具体例は、図1〜3に模式的に表す。] 図1 図2 図3 [0019] 図1は、腰部のヒト脊椎100の左側部の概略図を表し、脊椎骨102及び椎間板104の全体的形状を示す。本発明は、腰部の椎間板に関して記載されるが、当業者であれば、椎間板のいずれかに関して、適宜、適当な修正を施して実現できることを理解するだろう。] 図1 [0020] 本発明に従った注入可能な生体接着性ヒドロゲル組成物の移植を図2及び3に表し、手術は、図1における2−2線で示されるような典型的な椎間板の上面図で示される。] 図1 図2 [0021] 図2は、本発明に従った注入可能な生体接着性ヒドロゲル組成物の移植を示し、カニューレ202は、椎間板104の線維輪106を通って、髄核腔108の中に挿入される。示されるカニューレ202は、二連式注入器302に取り付けられている。髄核腔108は、髄核の天然の変性若しくは漏出の理由で、又は、天然の髄核の部分摘出若しくは完全摘出の後に、人工器官を必要としていてもよい。カニューレ102は、従来のカニューレの任意の種類、例えば、図示されるような鋭い先端、又は、先の丸い先端を有するカニューレであってもよく、任意の従来の手術技法によって線維輪106を通って挿入される。] 図2 [0022] 図3は、カニューレから髄核腔への注入可能な生体接着性ヒドロゲル組成物の押出が始まっている、移植の初期ステージを示す。] 図3 [0023] 例えば、PVA含有ゲルのような親水性ゲルは、一般的に体内組織に接着しない。アミン含有ポリマー成分及びアルデヒド成分を添加して、好ましくは、周辺組織と一体化する能力を高めることによりインビボでの組織接着特性を与える。結果として、生体力学的な運動及び強さにより変質しにくい一層物理的に安定した移植物が得られる。本発明の生体接着性ヒドロゲル組成物は、好ましくは、約0.065MPa(メガパスカル)〜約1.0MPa(メガパスカル)、より好ましくは、約0.85MPa(メガパスカル)〜約0.500MPa(メガパスカル)、そして、最も好ましくは、約0.100MPa(メガパスカル)〜約0.250MPa(メガパスカル)の自己接着引張強度を有する。] [0024] 本発明のほかの好ましい態様は、第一成分、第二成分、及び、第三成分を含む生体接着性ヒドロゲル組成物を含みうる;第一成分は、アミン含有ポリマー成分を含む。該アミン含有ポリマー成分は、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリラート)、ポリ(エチルアミノエチルメタクリラート)、アミン-グラフトポリ(ビニルアルコール)(アミン-グラフトPVA)、又はアミン含有ポリ(エチレングリコール)(アミン-含有PEG)を含みうる。生体接着性ヒドロゲル組成物中のアミン含有ポリマー成分の量は、約0.1%(w/w)〜約13.65%(w/w)、好ましくは約0.6%(w/w)〜約10.2%(w/w)、より好ましくは約7.0%(w/w)〜約8.0%(w/w)でありうる。] [0025] 生体接着性ヒドロゲル組成物の第二成分は、好ましくは、親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含む。該親水性ポリマー又はプレポリマー成分は、好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)又はポリ(エチレングリコール)(PEG)を含む。該親水性ポリマー又はプレポリマー成分は、ポリマーの特定の分子量に制限されない。該親水性ポリマー又はプレポリマー成分は、例えばPVAのように、天然の髄核組織及び結合組織に類似した所望の親水特性を達成するための親水性を与えうる。生体接着性ヒドロゲル組成物中の親水性ポリマー又はプレポリマー成分の量は、約3%(w/w)〜約35%(w/w)、好ましくは約11%(w/w)〜約23.3%(w/w)、より好ましくは約14.3%(w/w)〜約15%(w/w)でありうる。] [0026] 生体接着性ヒドロゲル組成物の第三成分は、好ましくは、アルデヒド成分を含み、好ましくは、多官能性又は二官能性のアルデヒドを含む。アルデヒド成分は、グルタルアルデヒド、PEG-ジアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、及び、マロンアルデヒドを含みうる。アルデヒド成分を添加して、ポリマーにおけるアミン基を架橋することによって、周辺組織に対するアミン含有ポリマーの接着を誘導すること、及び/又は、生体接着性ヒドロゲル組成物の機械的測定を向上させることが可能となる。生体接着性ヒドロゲル組成物中のアルデヒド成分の量は、約0.1%(w/w)〜約30%(w/w)、好ましくは約1.8%(w/w)〜約15%(w/w)、より好ましくは約2%(w/w)〜約10%(w/w)でありうる。生体接着性ヒドロゲル組成物の残部は、水又は他の成分及び材料でありうる。] [0027] 少なくとも3種の成分を含む生体接着性ヒドロゲル組成物は、好ましくは、改善された全安定度をもたらす。アミン基及び/又は親水性ポリマー又はプレポリマー成分とアルデヒド成分との架橋は、全ての成分(水以外)が互いに化学的に架橋されうる完全に架橋された網状組織マトリクスを作り出すことができる。] [0028] 生体接着性ヒドロゲル組成物を形成するために、アルデヒド成分を添加する前に、まずアミン含有ポリマー成分、及び、親水性ポリマー又はプレポリマー成分を混合し、ヒドロゲル前駆体組成物を形成することができる。この方法で生体接着性ヒドロゲル組成物が形成されたときに、アルデヒド成分が添加されたときに該ヒドロゲルがインサイチュである場合に、アルデヒド成分はヒドロゲル前駆体の網状組織を通じて拡散でき、ヒドロゲル及び周辺組織の間の鎖間架橋及び/又は接着を促進できる。] [0029] 代わりに、生体接着性ヒドロゲル組成物は、同時に、又は、ほぼ同時に、少なくとも3種の液状の成分を一緒に合わせる(すなわち親水性ポリマー又はプレポリマー成分、アルデヒド成分、及びアミン含有ポリマー成分を合わせる)ことで形成されうる。生体接着性ヒドロゲル組成物がこの方法で形成されるときに、アミン含有ポリマー成分のアミン基は、好ましくは、アルデヒド成分における官能基と反応し、安定した網状組織を形成する。好ましくは、アルデヒド成分を、液状の最初の2種の成分(例えばPVA/PEIの組み合わせ)に添加したときに、次いで、親水性ポリマー又はプレポリマー成分(例えばPVA)を、アミン基及びアルデヒド成分間の架橋から得られる網状組織の中に捕捉できる、生体接着特性を有する固体のヒドロゲルの塊を形成する。] [0030] 少なくとも3種の液体成分を同時、又は、ほぼ同時に合わせる本発明の好ましい態様において、アルデヒド成分は、親水性ポリマー又はプレポリマー成分と反応しても良く、以下に示すようなアセタール結合を形成できる:] [0031] 反応は、酸触媒を通して、自発的に起こりうる。pHを7.0以下に低下させることで、反応速度を高めることができる。従って、pHを制御することで反応時間を伸ばすこと又は縮めることもできる。必要であれば、成分の組合せが注入可能な状態を維持できるように、pHを増加させて、親水性ポリマー又はプレポリマー成分と、アルデヒド成分との間の当該架橋を一時的に抑えるか、又は阻害することができる。例えばマルチチャンバー注入器、又は、他の送達デバイス又は容器のようなキット形態で個々の成分をパッケージングする場合に、注入可能な状態を維持することが望ましくなりうる。] [0032] 本発明のほかの好適な態様において、生体接着性ヒドロゲル組成物は、親水性ポリマー又はプレポリマー成分とアミン含有ポリマー成分とを、第一ブレンドして、化学的結合又はコポリマー化することによって形成可能であり、アルデヒド成分の添加前の前駆体組成物を形成可能である。前駆体組成物は、液体(すなわち溶液)状態、又は、固体(すなわちヒドロゲル)形態で存在しうる。特定の相は、前駆体組成物中のアミン含有ポリマー成分とともに、親水性ポリマー又はプレポリマー成分の夫々の温度及び濃度に依存しうる。得られた前駆体組成物は、液体であっても固体であっても、次いで、アルデヒド成分と反応し、生体接着性ヒドロゲル組成物を形成できる。] [0033] 本発明のほかの好適な態様において、例えばPVAヒドロゲルのような親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含むヒドロゲル前駆体組成物は、例えば、安定性ヒドロゲルが形成されて、機械的特性の改善が見られるまで、PVA含有水溶液の凍結及び解凍を繰り返すことからなる低温ゲル化方法のような物理的架橋方法によって形成されてもよい。他の物理的架橋方法は、制限されないが、脱水法、放射線照射、又は、シータゲルのような成分の混合(すなわち、ヒドロゲル成分より高い溶媒の親和性を有する別の成分を使用して、競合的に余分な溶媒(例えば水)を除くことによる安定したゲル調合物の調製法)を含みうる。PEI又は他のアミン含有ポリマー成分は、PEI又は他のアミン含有ポリマー成分を混合又はブレンドして、低温ゲル化前にPVA溶液に溶け込ませてPVAヒドロゲルに組み込まれうる。PEI又は他のアミン含有ポリマー成分は、アルデヒド成分と遅れて反応でき、得られた生体接着性ヒドロゲル組成物の機械的強度を増加させうる。] [0034] 本発明のほかの好適な態様において、ヒドロゲル前駆体組成物は、親水性ポリマー又はプレポリマー成分、例えばPVAを、PEI又はほかのアミン含有ポリマー成分に化学的結合することで形成されうる。PVAは、PEI又は他のアミン含有ポリマー成分と、PEI又は他のアミン含有ポリマー成分におけるアミンと、PVAにおけるヒドロキシ官能基との間にNHS-エステル結合を形成することによって、結合されうる。N,N’-カルボニルジイミダゾールは、N-アルキルカルバマート結合を形成するために使用されうる。以下の化学反応は、N,N’-カルボニルジイミダゾールを使用したことによるアルコールとアミンとの結合を示す:] [0035] ] [0036] 本発明のほかの好適な態様において、二コハク酸アミジルカルボナート、他のカップリング剤は、同様の結合を形成するために使用されうる。以下の化学反応は、二コハク酸 アミジル カルボナートを使用したことによるアミンとアルコールとのカップリングを示す。] [0037] ] [0038] 本発明のほかの好適な態様において、アルコールは、2段階反応によってアミンと結合されうる。化学反応で記載されるようにジシクロヘキシルカルボジイミドとの反応によってPEIのアミン基と結合するために、無水コハク酸は、PVAにカルボン酸基を付加するのに利用されうる:] [0039] ] [0040] 上記の好適な態様において、α−NH2は、PVA鎖におけるカルボニル基と反応した場合に、PVA−PEIアミド結合を形成する、PEI分子におけるアミン基でありうる。] [0041] 少なくとも3種の上記成分の組合せを含む生体接着性ヒドロゲル組成物は、粘着性のある固体又はゲル状物質を製造することができる。高分子成分は、特定分子量のポリマーに制限されない。] [0042] 生体接着性ヒドロゲル組成物は、注入可能であってもよく、同時に、又は、段階的に成分を送達できる、例えば二連式又は複数連式の送達器及び混合注入器(例えば、Kenics静的ミキサー)によって送達されてもよい。好ましくは、生体接着性ヒドロゲル組成物は、混合された直後〜48時間注入可能な状態を維持できる。] [0043] 本発明のひとつの好ましい態様は、注入可能であって、約14.7質量%のPVA、約7.6質量%のPEI、約6.6質量%のグルタルアルデヒド、及び、約70.9%の水を含む生体接着性ヒドロゲル組成物を含みうる。] [0044] 本発明のほかの好ましい態様は、上述の少なくとも3種の成分を含む生体接着性ヒドロゲル組成物を移植することを含む、損傷した椎間板を修復及び/又は補う方法を含みうる。] [0045] 実施例及び実験 以下の実施例及び実験では、ここに記載される好適な生体接着性ヒドロゲル組成物のいくつかの特性について記載するが、生体接着性ヒドロゲル組成物の組成、構造、特徴、及び局面を説明し、解説するのに役立てることのみを意図し、かつ、記載される正確な配置、組成、特性又は特徴に本発明の範囲を限定することを意図しない。 <実施例1>PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物の調製及び安定性試験] [0046] PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物の特性を示すために、PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物サンプルに、37℃の溶液中での安定性試験を受けさせた。PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物を、様々な濃度(0.1%、0.6%、及び、0.8%)のPEIとPVAをブレンドすることによって形成し、得られた溶液に対して上述した低温ゲル化を行った。この実施例における全ポリマー(すなわち、合わされたPVA及びPEI)濃度は、10%だった。従って、0.1質量%のPEIの割合設定は、例えば、組成物が90%の水と9.9%のPVAと0.1%のPEIから構成されることを意味する。] [0047] サンプルが十分に硬化した後に、PVA-ベースのヒドロゲル中に捕捉されたPEIが、確実に長期にわたって安定性を維持するように、PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物を、脱イオン水に浸して、0、15、45及び60日の時点で除いた。次いでPVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物サンプルを移動させて、凍結乾燥させた。] [0048] 次いで、各PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物サンプルをフーリエ変換分光法(FT−IR)で、PEIの存在について分析した。FT−IRでは、化学結合変化について測定する。イミンピークの存在は、PEIが安定して存在していることを証明する。0.8%のPEIを含有するPVA/PEI前駆体組成物の代表的な結果は、図4〜6に示す。図4は、浸漬0日でのPEIのイミンピーク(図中囲まれる)を示す(1567 cm-1)。図5は、60日間浸漬した後に維持している同じイミンピーク(図中囲まれる)の存在を示し(1566 cm-1)、まる60日間の安定性である期間、ゲル中に60kDaの分子量のPEIが維持されていることを証明した。比較例としての図6は、1560 cm-1あたりの範囲において確認できるピークがない(図中囲まれる)、コントロールのPVA/ポリビニルピロリドン(PVP)サンプルのFT−IRを示す。 <実施例2>PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物の圧縮機械的試験] 図4 図5 図6 [0049] PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物の機械的強度を試験するために、様々な質量パーセント(0.1%〜0.8%の範囲)でPEIを含むサンプルのヒドロゲル前駆体組成物を上記のように調製し、17時間で硬化させることができた。また、0.1質量%のPVPを含有するコントロールのPVA/PVPヒドロゲルサンプルも調製した。この実施例における全ポリマー(すなわち、例えば、合わされたPVA及びPEI)濃度は、10%だった。従って、0.1質量%のPEIの割合設定は、例えば、組成物が90%の水と9.9%のPVAと0.1%のPEIから構成されることを意味する。] [0050] 得られるPVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物、及び、コントロールのサンプルを円柱体に形成した。直径12 mm(ミリメートル)で、高さ8 mm(ミリメートル)のサイズの全てのサンプル円柱体(コントロール及びPVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物)を、まず、脱イオン水で平衡化し、恒量を得て、次いで、機械的に試験して、サンプルが圧砕荷重下で変形し始める前にサンプルが耐えうる圧縮応力の量を測定した。圧縮モジュラスの試験による結果(10〜20%歪み)を図7に示す。図7に示されるように、0.6質量%のPEIを含有するPVA/PEI前駆体ヒドロゲル組成物の圧縮モジュラスは、140 kPa(キロパスカル)よりも大きく、コントロールのPVA/PVPサンプルよりも大きかった。一方で、夫々、0.1%のPEI及び0.8%のPEIを含有するPVA/PEI前駆体ヒドロゲル組成物は、双方ともコントロールのPVA/PVPサンプルよりも機械的強度が低いことを示した。 <実施例3>PEIの中で前調整した後のPVA/PEI前駆体ヒドロゲル組成物の圧縮機械的試験] 図7 [0051] PVA/PEI前駆体ヒドロゲル組成物、及び、コントロールのPVA/PVPヒドロゲルサンプルを、夫々実施例1及び2のような低温ゲル化で調製した。低温ゲル(cryogel)を、PEI溶液中で前調整(すなわち浸漬)し、反応に利用できるアミン基を増加させた。PEI溶液の容積対低温ゲルサンプルの容積の比は、5対1より大きかった。] [0052] 脱イオン水中で平衡化されたそれらのサンプルと比較してPEI溶液中での前調整の効果を観察するために、0.1質量%〜0.8質量%の範囲のPEIの異なる質量%を含有する、直径12 mm(ミリメートル)×高さ8 mm(ミリメートル)のサンプル円柱体(夫々の調合物につきn=7)であって、2%のPEI水溶液中で前調整されたサンプルが使用された。この実施例における全ポリマー(すなわち、例えば、合わされたPVA及びPEI)濃度は、10%だった。従って、0.1質量%のPEIの割合設定は、例えば、組成物が90%の水と9.9%のPVAと0.1%のPEIから構成されることを意味する。図8は、PEI水溶液中で前調整されたPVA/PEI前駆体組成物の圧縮機械的分析の結果を要約したものである(10〜20%歪み)。図7と図8との比較で示されるように、PEI水溶液中で前調整された全てのPVA/PEI前駆体ヒドロゲル組成物は、脱イオン水中で前調整されたPVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物よりも強い圧縮に耐えることができ、0.1%及び0.8%のPEIサンプルで見られる強度は最も有意に増加した。PEI溶液中で前調整された0.6%のPEIサンプルは、脱イオン水中で前調整された0.6%PEIサンプルと同様の圧縮強度を表した。PEI溶液中で前調整されたPVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物の圧縮強度は、コントロールのPVA/PVPヒドロゲルサンプルよりも大きかった。 <実施例4>生体接着性ヒドロゲル組成物の自己接着試験] 図7 図8 [0053] アルデヒド成分(この実施例においてはジアルデヒド)を、PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物に加えた場合における生体接着性ヒドロゲル組成物の自己接着特性を決定するために、突合せ接合箇所(すなわち軸)張力接着試験を、同じサイズの(すなわち高さ8 mm×直径12 mm) のPVA/PEI前駆体ヒドロゲル組成物、又は、コントロールのPVA/PVPヒドロゲルのサンプル円柱体を用いて、Instron機械的試験システム(モデル番号3342)で行った。PVA/PEI前駆体ヒドロゲル組成物及びコントロールPVA/PVPサンプルを、夫々、上記実施例1及び2に記載されたように低温ゲル化によって調製した。この実施例における全ポリマー(すなわち、例えば、合わされたPVA及びPEI)濃度は、10%だった。従って、0.1質量%のPEIの割合設定は、例えば、組成物が90%の水と9.9%のPVAと0.1%のPEIから構成されることを意味する。PVA/PEI前駆体ヒドロゲル組成物の夫々、7つのサンプル円柱体又はコントロールのPVA/PVPヒドロゲルのサンプル円柱体を分析した。まず、サンプル円柱体を、Instron機械的試験システムの上下の鉄プレートに、シアノアクリレートを用いて接着した。次いで、サンプル円柱体を、二分して、10%のグルタルアルデヒド溶液を、夫々のサンプル円柱体の分割表面に注入器を使用して円柱体に添加した。次いで、サンプル円柱体を、周囲温度で10分間、1N(ニュートン)で事前に荷重を加えて一緒に圧縮した。グルタルアルデヒド溶液を含むサンプル円柱体の隣接面は、アルデヒド/アミン反応を示すと、赤っぽい色に変化した。次いで、二分接合箇所で接着破壊する前の突合せ接合箇所が耐えうる強度はどの程度か測定するために、サンプル円柱体において引張強度を試験した。] [0054] 表1は、各群の7つのサンプル円柱体から得られた引張強度データを要約したものである。 表1−サンプル円柱体の自己接着データ] [0055] 表に示されるように、0.6%のPEI及び0.8%のPEIを含むサンプルは、コントロールのPVA/PVPサンプル円柱体よりも有意に高い引張強度を示した。 <実施例5>前調整された生体接着性ヒドロゲル組成物の自己接着試験] [0056] 各PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物の7つのサンプル円柱体、又は、コントロールのPVA/PVPヒドロゲルサンプル円柱体を、実施例4に記載されるように分析した。しかしながら、この実施例におけるサンプル円柱体は、10%のグルタルアルデヒド溶液を添加する前に、18.25%のPEI溶液(残りは水である)中で前調整された。] [0057] 以下の表2は、引張強度のデータを要約したものである。 表2−前調整されたサンプル円柱体の自己接着データ] [0058] 全てのサンプル円柱体は、平均の引張強度の増加を示したが、0.8%のPEIを含むPVA/PEIサンプルが、一番良い結果を示し、0.126 MPaの平均の引張強度が得られ、コントロールのPVA/PVPサンプルの引張強度のおおよそ2倍を示した。 <実施例6>組織接着試験] [0059] 生体接着性ヒドロゲル組成物の組織接着特性を測定するために、PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物を、上記の実施例1に記載したように低温ゲル化によって調製した。薄型の円柱体(すなわち、短く、幅の広い、例えばコイン様)のPVA/PEI前駆体組成物404を切断し、重ねた2枚の豚皮402の断片の間に挟んだ。サンプル円柱体にアルデヒドを添加した後に、サンプル円柱体を、100g重量下で、2時間置いて、接着させた。重ね接合サンプルを、図9で表される方法を用いて作製し、次いで、ASTMD 1002-05で提供される重ねせん断接着力試験方法に従って逆の方向に接着断片を引っ張ることで、接着強度を試験した。] 図9 [0060] 図10は、6.25%のPEI溶液(残りは水である)中で前調整された0.6質量%のPEIを含むPVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物サンプル円柱体を用いた、ピーク時の機械荷重でのせん断応力試験の代表曲線を示す。曲線の最高点(すなわち0.10 MPa)は、試験されたサンプル円柱体の接着強度を表す。サンプル円柱体が様々なPEI溶液中で前調整された場合として、PEI溶液の3種の濃度(6.35%、12.5%、及び18.25%)も評価され、組織接着の効果を測定した。18.25質量%のPEI溶液中で前調整されたサンプル円柱体が最も高い接着強度を示すことが分かった。 <実施例7>共-注入可能なPVA/PEIヒドロゲル組成物の調製] 図10 [0061] 注入可能な生体接着性ヒドロゲル組成物を、表3に示されるように、2対1の容積比のPVA及びPEI(この実施例においては成分Aとして表される)の溶液及びグルタルアルデヒド(この実施例においては成分Bとして表される)を用いて調製した(すなわち、2:1の成分A対成分Bの比)。調合物は、全てのアルデヒド及び反応性アミン官能基間で反応(これは、1:1のアルデヒド対アミンの反応)できるように選択された。1:1のアルデヒド対アミンの反応を達成する成分の好適な割合を導く計算、及び、溶液濃度の計算を、以下により詳細に記載する。 表3−生体接着性ヒドロゲル組成物 成分溶液] [0062] 成分Aを調製するために、25質量%のMowiol 28-99PVA溶液を、25グラムの顆粒を計量し、溶媒保存ボトルに入れ、続けて75グラムの水を入れることで作製した。ボトルを覆い、95℃でオーブンに入れた。いずれかの可視的分離(すなわち、ボトル中に残っている不溶解の材料)がない状態で水中に調製されうるおおよそ最高濃度であるので、25%のPVA溶液が選択された。PVAが完全に溶解してから、ボトルを、75℃の水浴に移し保持した。このシステムでは、高温にすることは必要とされないが、そのほかの状況で、非常に粘性があるために室温で注入できない成分の注入を促進するために高温にしてもよい。11.45gのPEIを計量し、容器に入れて、PVA溶液を添加することで、最終容積の100mlにした。] [0063] 成分Bを調製するために、適切な量の蒸留水を用いて、70%のグルタルアルデヒドを、20%w/vの溶液に希釈した。] [0064] 成分A及び成分Bを混合し、それらが室温に冷却されうる型に移し、PVAゲル化の自発的に生じる熱力学的プロセスによって、及び、グルタルアルデヒド/PEI架橋反応によって、凝固させた。第二の一層緩やかなPVA/グルタルアルデヒド反応は、またpHが7.0で、PVA及びグルタルアルデヒドの間で同時に生じることが観察されている。生体接着性ヒドロゲル組成物の組成の例を質量割合として表4に要約した。 表4−共-注入可能な生体接着性ヒドロゲル組成物 ≪計算≫] [0065] 高度の分枝形態で製造されるPEIは、第一級アミン対第二級アミン対第三級アミンの比が1:2:1(すなわち、各分子が25%の第一級、50%の第二級、及び25%の第三級を有する)であることが示された。典型的な反応スキームは、第一級アミン及び第二級アミンからアルデヒドへの2つの酸触媒求核付加反応である。] [0066] PEIの合成の結果として、第一級アミンは、-CH2CH2NH2の繰り返しユニットを構成し、第二級アミンの繰り返しユニットは、-CH2CH2NH-であり、第三級アミンの繰り返しユニットは、CH2CH2Nである(それぞれ、44g/mol、43g/mol、42g/molの分子量を有する)。理想の繰り返しユニット(夫々1部の第一級アミンユニット、2部の第二級アミンユニット、及び、1部の第三級アミンユニットからなる)を構成する10,000g/molの全分子量に基づくと、この繰り返し群の合計は、172グラム/molである。従って、10,000/172=58.14は、1分子あたりのこれらの複合繰り返しユニットの数である。] [0067] 1分子あたりの58.14の複合繰り返し群が存在するので、その結果として、PEIの1モルあたり、58.14モルの第一級アミン、116.28モルの第二級アミン、及び、58.14モルの第三級アミンが存在する。これは、PEIの1グラムあたり、それぞれ、5.814、11.628、5.814ミリモルの夫々第一級、第二級、及び第三級アミンに変換される。第一級及び第二級アミンのみが反応するので、第三級アミンのモルは、考慮されず、従って、PEIの1グラムあたりで17.442 mmolの反応性アミン(5.813(第一級)+11.628(第二級))が、利用可能である。] [0068] グルタルアルデヒドは、100.117 g/molである。1モルあたり2つの利用可能なアルデヒドが存在するので、1グラムあたりのアルデヒドは、2×1/(100.117×10-3 g/mmol)=19.98ミリモルである。] [0069] アルデヒドとアミン基との間の化学量論反応(1:1モル)が好ましい。成分溶液は、単位容積あたりの物質のグラムで調製され、したがって、反応物質の正確な量は、送達される容積あたりで知られている。] [0070] 製品のポリマー含有量、弾力性、及び、親水性を増加させるために、PVA溶液をPEI成分と混合した。次いで、最終溶液は、11.455+/-0.1 gのPEIに、PVA溶液を添加することによって、最終容積の100 +/-0.1 mlとした。使用されるPVA溶液の濃度は、25%に選択された。なぜなら、それが流動性液体溶液を形成するポリマーの最大量であるからである。高割合のPVAを利用することもでき、溶液の温度を上昇させた場合に、更に注入に適した流動性液体溶液を提供できる。その温度は50℃まで上昇させることができる。50℃より高い温度の溶液の注入によって周辺組織の損傷が生じうる。代わりに、温度を上昇させることなく、一層粘性のある溶液を送達しうる送達方法を使用することができる。] [0071] この実施例において、1mlのグルタルアルデヒド溶液(20%w/v; 1.0 ml, 3.996 mmol)及び2mlのPEI(10,000 g/mol)溶液(11.46% w/v; 1.0 ml, 1.998 mmol)を混合し、化学量論(1:1モル)反応を生じさせた。] [0072] 注目すべきは、調合物は、上記のひとつに制限されないことである。上記成分の任意の組合せ、好ましくは、粘着性のある固体又はゲル状の物質を製造するものが好ましい。高分子成分PEI及び/又はPVAは、使用されたものとは異なる分子量(又は異性体)でありうる。PVAは、生体接着性ヒドロゲル組成物中に望ましくは親水特性を生み出す加水分解の任意の割合(アセタートからヒドロキシル基への変換の割合)を示しうる。成分は更に送達システムに充填されうる。当該システムの非制限的例としては、注入器開口部にKenics静的ミキサー付属品を備える二連式注入器でありうる。 <実施例8>サンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物の圧縮機械的試験] [0073] 表4で調製されたようなサンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物は、Instron機械的試験システム(モデル番号3342)で35%歪みに軸圧縮して、成形した後に試験された。試験されたときに、サンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物は粘着性であり、凝固していた。サンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物の圧縮モジュラスは、成形の30分間後に試験された(15%歪み)。このデータは、図11に表される。サンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物の圧縮モジュラスは、成形の16時間後に試験された(15%歪み)。このデータは、図12に表される。この実施例で生じた値は、PVA及びPEI、又は、コントロールのPVA/PVPサンプルを含有する比較されうるヒドロゲル前駆体組成物(すなわち、グルタルアルデヒドを含有しない)より相当に高い(図7及び8のデータを比較のこと)。] 図7 [0074] 表5に詳述するようにグルタルアルデヒドを様々な濃度で含む生体接着性ヒドロゲル組成物の更なる調合物も調製され、分析された。これらの材料(15%歪み)のモジュラスは、成形の30分後及び16時間後における6.6%のグルタルアルデヒド調合物のモジュラスよりも低かった(図8及び9参照のこと)。更に、アルデヒド/アミン反応の変色表示も示された。成形の16時間後のサンプルは、30分間で成形させただけのサンプルよりも更に深い赤色だったというように、サンプルの色は時間が経つと暗かった。 表5−グルタルアルデヒドを含むPVA−PEIの例示的調合物 質量に基づく質量割合である。] 図8 [0075] 表6に詳述するように、5%のグルタルアルデヒド濃度である生体接着性ヒドロゲル組成物の別の調合物を調製した。 表6−接着試験調合物] [0076] このサンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物を、表3に記載される生体接着性ヒドロゲル組成物よりもさらに希釈したが、(ジアルデヒドにおける)アルデヒド基及びPEIにおける等しい数のアミン基の間で分子量論反応が起こるように設計もした。薄層(おおよそ0.5mm)のこのサンプルの生体接着性ヒドロゲル組成物に、ASTMF2258-05の方法で記載されたように突合せ接合箇所の形状で組織接着試験を受けさせた。組織接着強度を試験するために、ASTM F2258-05に従ったInstron機械的試験システムで、豚皮の断片を2.5cmの正方形のプレートに固定し、生体接着性ヒドロゲル組成物の層を該皮の断片の間に入れた。この場合、生体接着性ヒドロゲル組成物の120 kPaと同様の大きさの組織接着が、観察された。生体接着性ヒドロゲル組成物の組織接着試験の代表的なグラフを図13に表す。比較によると、PVA/PEIヒドロゲル前駆体組成物は、98 kPaの組織接着を示した。このことは、グルタルアルデヒド及び組織の間のアルデヒドアミン反応がポリマーと組織の間における接着を向上させることを示した。 <実施例9>ポリ(エチレングリコール)ジアルデヒドを含有する生体接着性ヒドロゲル組成物] [0077] 生体接着性ヒドロゲル組成物を、ポリ(エチレングリコール)ジアルデヒド(PEG-ジアルデヒド)を用いて、実施例7の方法で調製した。図14は、PEGポリマーにおけるアルデヒド基の存在を表すFT−IRスペクトルを示す。PEG-ジアルデヒドにおけるアルデヒド基は、例えば、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド基を含む小分子と同様の方法でアミン基と反応するであろう。PEG-ジアルデヒドがPVA/PEI混合物と合わされて、生体接着性ヒドロゲル組成物を形成する場合に、同様の赤っぽい色への変化が観察され、アルデヒド/アミン反応が生じていたことを示した。] [0078] 上述したことから明らかな態様の中で上記の態様は、効果的に達成される。なぜなら、本発明の精神と範囲から逸脱しない限りは、上記形成方法の遂行及び得られた組成物において、一定の変更を行うことができ、上記に含まれる全ての材料は、限定的な意味ではなく例示として解釈されるものとすることを意図する。] [0079] ここに表された態様は、ここに記載された組成物の全ての一般的及び特定の特徴、並びに、言語上それらの行間にあると言われるかもしれない、本発明の範囲の全記述に及ぶことが意図されることも理解すべきである。特に前記態様において、単数形で列挙される構成要素又は成分は当該構成要素の適合性のある混合物を含むことが意図されると理解されるべきである。] 実施例 [0080] 当然のことながら、本分野における当業者は、広範な本発明のそれらの概念から逸脱することなく、上記の態様に変更することができる。従って、本発明は、開示された特定の実施例に制限されることはなく、添付の請求の範囲によって定義されるような本発明の精神及び範囲の中での変更に及ぶことが意図されると理解される。]
权利要求:
請求項1 椎間板の髄核を修復又は補完するための生体接着性ヒドロゲル組成物であって、少なくとも第一成分、第二成分、及び、第三成分を含み、第一成分は約0.1質量%〜約13.65質量%の濃度でアミン含有ポリマー成分を含み、第二成分は約3質量%〜約35質量%の濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含み、第三成分は約0.1質量%〜約30質量%の濃度でアルデヒド成分を含み、第一成分、第二成分、及び、第三成分は架橋される、組成物。 請求項2 アミン含有ポリマー成分が、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリラート)、ポリ(エチルアミノエチルメタクリラート)、アミン-グラフトポリ(ビニルアルコール)、及び、アミン含有ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。 請求項3 アミン含有ポリマー成分が、ポリ(エチレンイミン)である、請求項1に記載の組成物。 請求項4 親水性ポリマー又はプレポリマー成分が、ポリ(ビニルアルコール)、及び、ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。 請求項5 親水性ポリマー又はプレポリマー成分が、ポリ(ビニルアルコール)である、請求項1に記載の組成物。 請求項6 アルデヒド成分が、グルタルアルデヒド、ポリ(エチレングリコール)-ジアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、及び、マロンアルデヒドからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。 請求項7 アルデヒド成分が、グルタルアルデヒドである、請求項1に記載の組成物。 請求項8 第一成分及び第二成分が、低温ゲル化、脱水法、放射、及び、化学物質への暴露からなる群から選択される方法によって架橋される、請求項1に記載の組成物。 請求項9 第一、第二、及び、第三成分を、混合した直後〜48時間の間に注入可能である、請求項1に記載の組成物。 請求項10 アミン含有ポリマー成分及びアルデヒド成分が、約1対1の反応性のアミン基対アルデヒド基のモル比を成すように、組合される、請求項1に記載の組成物。 請求項11 組成物が、ポリ(エチレンイミン)の水溶液で前調整される、請求項1に記載の組成物。 請求項12 アミン含有ポリマー成分が、約5質量%〜約11質量%の濃度のポリ(エチレンイミン)であり、親水性ポリマー又はプレポリマー成分が、約4質量%〜約15質量%の濃度のポリ(ビニルアルコール)であり、アルデヒド成分が、約2質量%〜約7質量%の濃度である、請求項1に記載の組成物。 請求項13 椎間板の髄核を修復又は補完するための生体接着性ヒドロゲル組成物であって、少なくとも第一成分、第二成分、及び、第三成分を含み、第一成分は約5質量%〜約11質量%の濃度でアミン含有ポリマー成分を含み、第二成分は約4質量%〜約15質量%の濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含み、第三成分は約2質量%〜約7質量%の濃度でアルデヒド成分を含み、第一成分、第二成分、及び、第三成分は架橋され、そして、アミン含有ポリマー成分及びアルデヒド成分が、約1対1の反応性のアミン基対アルデヒド基のモル比を成すように、組合される、組成物。 請求項14 生体接着性ヒドロゲル組成物を形成するためのキットであって:室温又は手術室条件下で、注入可能であるのに十分な濃度でアミン含有ポリマー成分を含む、少なくとも1つの第一容器;室温又は手術室条件下で、注入可能であるのに十分な濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含む、少なくとも1つの第二容器;及び室温又は手術室条件下で、注入可能であるのに十分な濃度でアルデヒド成分を含む、少なくとも1つの第三容器;を含み、ここで、アルデヒド成分、アミン含有ポリマー成分、及び、親水性ポリマー又はプレポリマー成分が混合されるときに、組成物は、架橋されて、約0.1質量%〜約13.65質量%のアミン含有成分、約3質量%〜約35質量%の親水性ポリマー又はプレポリマー成分、及び、約0.1質量%〜約30質量%のアルデヒド成分を含む、キット。 請求項15 生体接着性ヒドロゲル組成物を形成するためのキットであって:親水性ポリマー又はプレポリマー成分に架橋されたアミン含有ポリマー成分を含む前駆体組成物を含む、少なくとも1つの第一容器;及び室温又は手術室条件下で、注入可能であるのに十分な濃度でアルデヒド成分を充填された、少なくとも1つの第二容器;を含み、ここで、アルデヒド成分、アミン含有ポリマー成分、及び、親水性ポリマー又はプレポリマー成分が混合されるときに、組成物は、架橋されて、約0.1質量%〜約13.65質量%のアミン含有成分、約3質量%〜約35質量%の親水性ポリマー又はプレポリマー成分、及び、約0.1質量%〜約30質量%のアルデヒド成分を含む、キット。 請求項16 前駆体組成物が、ヒドロゲルである、請求項15に記載のキット。 請求項17 前駆体組成物が、室温又は手術室条件下で、注入可能である、請求項15に記載のキット。 請求項18 椎間板の髄核を修復又は補完する方法であって:少なくとも第一成分、第二成分、及び、第三成分を含む生体接着性ヒドロゲル組成物を提供し、第一成分が約0.1質量%〜約13.65質量%の濃度でアミン含有ポリマー成分を含み、第二成分が約3質量%〜約35質量%の濃度で親水性ポリマー又はプレポリマー成分を含み、第三成分が約0.1質量%〜約30質量%の濃度でアルデヒド成分を含み、ここで、第一成分、第二成分、及び、第三成分は架橋され;及び、患者に該組成物を移植すること、を含む、方法。 請求項19 生体接着性ヒドロゲル組成物が、注入によって患者に移植される、請求項18に記載の方法。 請求項20 生体接着性ヒドロゲル組成物が、インサイチュ凝固する、請求項18に記載の方法。 請求項21 凝固した組成物を患者に挿入することによって、生体接着性ヒドロゲル組成物が、患者に移植される、請求項18に記載の方法。 請求項22 組成物が、患者への移植前に、ポリ(エチレンイミン)の水溶液で前調整される、請求項18に記載の方法。 請求項23 アミン含有ポリマー成分及びアルデヒド成分が、約1対1の反応性のアミン基対アルデヒド基のモル比を成すように、組合される、請求項18に記載の方法。
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同族专利:
公开号 | 公开日 BRPI0906944A2|2015-07-14| CA2711596A1|2009-07-16| US20100286786A1|2010-11-11| ZA201004130B|2011-02-23| US8366778B2|2013-02-05| AU2009203995A1|2009-07-16| CO6290708A2|2011-06-20| WO2009089526A3|2010-05-27| KR20100123829A|2010-11-25| EP2227262A2|2010-09-15| CN101918048A|2010-12-15| WO2009089526A2|2009-07-16| EP2227262B1|2017-03-01|
引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2012-01-13| A521| Written amendment|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120112 | 2012-01-13| A621| Written request for application examination|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120112 | 2013-08-08| A131| Notification of reasons for refusal|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130807 | 2014-02-04| A02| Decision of refusal|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140203 |
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