专利摘要:
本発明は、カドヘリン−11アンタゴニストおよびカドヘリン−11アンタゴニストを含む組成物に関する。本発明はまた、哺乳動物被験体における炎症性関節障害、例えばリウマチ様関節炎を、治療有効量のカドヘリン−11アンタゴニストを投与することによって治療するための方法に関する。
公开号:JP2011509094A
申请号:JP2010542284
申请日:2009-01-09
公开日:2011-03-24
发明作者:マッカーサー,ジェームス,ジー.
申请人:シノベックス コーポレーション;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 関連出願の相互参照
本願は、2008年1月11日に出願された米国仮特許出願第61/010,734号明細書の優先権を主張する。上記出願の教示全体は、参照により本明細書中に援用される。]
背景技術

[0002] 進行した慢性関節炎症を有する患者は、骨および軟骨破壊を含む重度の関節悪化を患い、それは長期間にわたる疼痛、奇形、関節機能の低下、移動性の低下および平均寿命の低下をもたらす。関節炎症は、関節における細胞および炎症性物質の数の増加に関連し、それらは、炎症、軟骨の擦り減りおよび関節表層(joint lining)の腫脹の原因となる。いくつかの異なる自己免疫疾患は、関節において異常であるかまたは誤って誘導された(misdirected)炎症を誘発し、これらの障害を患う個体の関節において慢性炎症をもたらすことが知られている。一般的な炎症性関節障害は、リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、ライター症候群および強直性脊椎炎を含む。]
[0003] リウマチ様関節炎(RA)は、炎症性関節炎の最も一般的な形態であり、米国の人口の約1%または約210万人のアメリカ人に悪影響を及ぼすことが推定されている。RAは、関節の表層または滑膜の炎症によって特徴づけられる慢性疾患であり、長期間にわたる有意な骨および軟骨の障害をもたらしうる。RAは男性より女性において一般的であり、3%に相当する数の女性が一生涯の内にリウマチ様関節炎を発症しうる。現在、RAの原因は知られていない。]
発明が解決しようとする課題

[0004] RAは、長期間にわたる関節障害をまねき、慢性疼痛、機能の低下および身体障害をもたらしうる。さらに、最近の研究によると、RAを有する人々、特に疾患が十分に制御されていない人々は、心疾患および脳卒中に対してより高いリスクを有しうる。したがって、RAは主要な国民健康負担(national health burden)であり、リウマチ様関節炎および他の炎症性関節障害の予防および治療のための新しい作用物質を開発する差し迫った必要性がある。]
課題を解決するための手段

[0005] 本発明は、一実施形態では、哺乳動物カドヘリン−11タンパク質の細胞外1(EC1)ドメインに特異的に結合し、かつ哺乳動物カドヘリン−11を発現する細胞の凝集を阻害するカドヘリン−11アンタゴニストを包含する。特定の実施形態では、カドヘリン−11アンタゴニストは抗体または抗体断片である。別の実施形態では、カドヘリン−11アンタゴニストは、カドヘリン−11タンパク質(例えば配列番号3)のEC1ドメインを含む融合タンパク質である。]
[0006] さらなる実施形態では、本発明は、哺乳動物被験体(例えばヒト)における炎症性関節障害を治療する方法に関する。本方法は、哺乳動物被験体に、治療有効量の本発明のカドヘリン−11アンタゴニストを投与し、それにより哺乳動物において所望の治療効果もたらすステップを含む。特定の実施形態では、本発明の方法を用い、リウマチ様関節炎が治療されうる。]
[0007] 別の実施形態では、本発明は、本発明のカドヘリン−11アンタゴニストおよび薬学的に許容されうる担体を含む医薬組成物を包含する。一実施形態では、医薬組成物は、第2の作用物質、例えば疾患改善抗リウマチ薬または抗炎症剤をさらに含む。]
[0008] 特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許または公開特許公報のコピーは、要求および必要手数料の支払時に特許局によって提供されることになる。]
図面の簡単な説明

[0009] 抗Cad−11抗体23C6、13C2および27F3を使用したカドヘリン−11−EC1−5−Fc融合タンパク質の検出を示すウエスタンブロットである(黒矢印を参照)。これらの抗体は、膜上にさらに存在するカドヘリン−11−EC1−Fcおよびカドヘリン−11−EC1/2−Fc融合タンパク質を認識しなかった(ブロット上のカドヘリン−11−EC1−Fcおよびカドヘリン−11−EC1/2−Fcタンパク質の位置に対しては白矢印を参照)。
ELISAによって測定された、周知のカドヘリン−11抗体13C2、23C6および5F82と、Cad−11−EC1−Fc融合タンパク質ではないヒトCad−11−EC1−5−Fc融合タンパク質との結合を示すグラフである。それに対し、EC1抗体H1M1は、Cad−11−EC1−Fc融合タンパク質およびCad−11−EC1−5−Fc融合タンパク質の双方に結合する。
カドヘリン結合に関与するヒトCad−11(配列番号3)、MN−Cad(配列番号4)、およびCad−8(配列番号5)のEC1ドメインの最初の34個のアミノ酸のアミノ酸配列アラインメントである。カドヘリンカウンター受容体のポケットに延在するドナー配列を有する残基は、配列の左半分の下線によって示され、ポケット配列の残基は、配列番号3における配列の右半分の下線によって示される。
ELISAによって測定された、カドヘリン−11結合Fabが、ヒトCad−11 EC1ドメインペプチドおよびCad−11−EC1−Fc融合タンパク質と結合するが、Cad−8またはMN−Cad EC1ドメインペプチドと結合しないことを示すグラフである。クローン7は、Cad−11 EC1ドメインペプチドおよび融合タンパク質に有意に結合するが、MN−CadまたはCad−8 EC1ドメインペプチドに結合しないことを示した。
インビトロCad−11細胞凝集アッセイからのデータを示すグラフである。培地に添加されるCad−11アンタゴニスト、例えば抗Cad−11抗体13C2から作製されるFab、またはカドヘリン−11のEC1ドメインの最初の35個のアミノ酸に特異的な様々な濃度の抗カドヘリン−11 EC1 Fab(EC1 Fabクローン7と称される)は、Cad−11媒介性431−D−11細胞凝集を遮断する。抗カドヘリン−11 EC1 Fab(クローン7)は、0.3μg/ml〜10μg/mlの範囲内の試験されたすべての濃度で、A−431−D−11類表皮癌細胞の凝集を阻害した。それに対し、13C2抗カドヘリン−11抗体から作製されたFabは、10μg/mlの濃度でのみ細胞凝集を阻害した。
第2のインビトロCad−11細胞凝集アッセイからのデータを示すグラフである。431−D−11細胞のパーセント凝集が、SME培地(対照と称される)、ヒトIgG2ヒンジ、CH2およびCH3ドメインに融合されたCad−11のEC1ドメインを含む様々な濃度の融合タンパク質(Cad−11−EC1−Fcと称される)、カドヘリン−11のEC1ドメインの最初の35個のアミノ酸に特異的な様々な濃度の抗カドヘリン−11 EC1 Fab(Cad−11 EC1 Fabと称される)または様々な濃度の対照の抗緑色蛍光タンパク質(抗GFP)Fab(GFP fAbと称される)のいずれかの添加から40分後に示される。抗カドヘリン−11 EC1 Fab(クローン7)は、3μg/ml、1μg/mlおよび0.1μg/mlの濃度で、Cad−11発現431−D−11細胞の凝集を阻害した。EC1−Fc融合タンパク質は、3μg/mlの濃度で431−D−11細胞の凝集を阻害した。それに対し、抗GFP Fabは、試験濃度のいずれであっても、細胞凝集を有意に阻害できなかった。
インビトロ細胞凝集アッセイの使用による、Cad−11単独(EC1 fAbクローン7およびクローン4)、Cad−11およびCad−8(EC1 fAbクローン6)、またはCad−11およびMN−Cad(EC1 fAbクローン5)に対する結合特異性を有する様々な抗カドヘリン−11 EC1 FabによるCad−11媒介性細胞凝集の阻害を示すグラフである。試験されたすべてのFabが、対照(D−11 SME;左の棒)に対し、431−D−11細胞凝集を阻害した。
インビトロ細胞凝集アッセイの使用による、Cad−11単独(EC1 fAbクローン7)またはCad−11およびMN−Cad(EC1 fAbクローン8)に対する結合特異性を有する抗Cad−11 FabによるCad−11媒介性細胞凝集の阻害を示すグラフである。試験されたFabの特異性は、各Fabの記号表示の隣の括弧内に示される。両方のカドヘリンに特異的なFabが、GFPに特異的な対照Fab(左の棒)に対し、細胞凝集を阻害した(中央および右の棒)。
ヒトCad−11−EC1−hIgG2−Fc1融合タンパク質(Cad−11−EC1−Fc)のヌクレオチド(DNA)配列(配列番号6)を示す。ヒトカドヘリン−11細胞外ドメインの配列はイタリック体で示され、BglII部位には下線が引かれ、またヒトIgG2−Fc1領域をコードする配列は太字で示される。
ヒトCad−11−EC1−hIgG2−Fc1融合タンパク質(Cad−11−EC1−Fc)のアミノ酸配列(配列番号7)を示す。ヒトカドヘリン−11細胞外ドメインの配列はイタリック体で示され、BglII部位によってコードされる配列には下線が引かれ、またヒトIgG2−Fc1領域の配列は太字で示される。
クマシーブルーで染色されているSDSポリアクリルアミドゲルの画像である。プロテインAカラムを使用した細胞培地からの精製後における、精製Cad−11−EC1−hIgG2−Fc1(中央レーン)およびCad−11−EC1/2−hIgG2−Fc1(右レーン)融合タンパク質の単量体形態にそれぞれ対応する主要な強力なバンドを示す。分子量標準は左レーンに示される。
西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)に複合された抗ヒトIgG抗体の使用による、ヒトCad−11−EC1−hIgG2−Fc1(中央レーン)およびCad−11−EC1/2−hIgG2−Fc1(右レーン)融合タンパク質の検出を示すウエスタンブロットである。各レーン内での主要な観察されたバンドは、融合タンパク質の単量体形態の位置に対応する。融合タンパク質の二量体形態の位置もまた、不十分な還元条件により、視認できる(あまり強力でないより高い分子量バンドを参照)。分子量標準は左レーンに示される。
Cad−11−EC1−Fc融合タンパク質およびマウス抗Cad−11抗体13C2が、Cad−11を発現するヒト線維芽細胞様滑膜細胞の、Invasionと称される未処置細胞と比較される指定濃度でのマトリゲルプラグへの浸潤を阻害することを示すグラフである。データは、2つの独立実験からプールされる。
2つのインビトロCad−11細胞凝集アッセイからのデータを示すグラフである。Cad−11発現431−D−11細胞のパーセント凝集が、SME培地(対照と称される)またはCad−11融合タンパク質のいずれかの添加の40分後に示される。ヒトIgG2ヒンジ、CH2およびCH3ドメインに融合されたCad−11の5つの細胞外ドメインを含む様々な濃度の融合タンパク質(Cad−11−EC1−5−Fcと称される)の存在下での凝集の阻害を示す。
2つのインビトロCad−11細胞凝集アッセイからのデータを示すグラフである。Cad−11発現431−D−11細胞のパーセント凝集が、SME培地(対照と称される)またはCad−11融合タンパク質のいずれかの添加の40分後に示される。ヒトIgG2ヒンジ、CH2およびCH3ドメインに融合されたCad−11のN末端細胞外ドメイン(EC1ドメイン)を含む様々な濃度の融合タンパク質(Cad−11−EC1−Fcと称される)またはCad−11−EC1−5−Fcのいずれかの凝集の阻害を示す。
ヒトカドヘリン−11cDNA配列(配列番号1;Genbank登録番号NM001797を参照)を示す。
ヒトカドヘリン−11 cDNA配列(配列番号1;Genbank登録番号NM001797を参照)を示す。
ヒトカドヘリン−11 cDNA配列(配列番号1;Genbank登録番号NM001797を参照)を示す。
ヒトカドヘリン−11タンパク質配列(配列番号2;Genbank登録番号NP001788を参照)を示す。
ELISAによって測定された、ペプチド4ハイブリドーマ(HL)由来の培地または対照ハイブリドーマ培地(Media)中の抗体と、Cad−11、Cad−8またはMN−CadのEC1−2ドメインを有するタンパク質との結合のレベルを示すグラフである。
図17Aは、H14抗体とCad−11発現431−D−11細胞との結合の尺度としての細胞染色の強度(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。図17Bは、H14抗体とCad−11発現431−D−11細胞との結合の尺度としての細胞染色の強度(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。図17Cは、H14抗体とCad−11発現431−D−11細胞との結合の尺度としての細胞染色の強度(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。図17Dは、H14抗体とCad−11陰性細胞との結合の欠如を示す、図17A〜Cに対する431−D細胞染色の不在(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。図17Eは、H14抗体とCad−11陰性細胞との結合の欠如を示す、図17A〜Cに対する431−D細胞染色の不在(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。図17Fは、H14抗体とCad−11陰性細胞との結合の欠如を示す、図17A〜Cに対する431−D細胞染色の不在(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。図17Gは、H1M1抗体とCad−11発現431−D−11細胞との結合の尺度としての細胞染色の強度(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。図17Hは、H1M1抗体とCad−11発現431−D−11細胞との結合の尺度としての細胞染色の強度(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。図17Iは、H1M1抗体とCad−11発現431−D−11細胞との結合の尺度としての細胞染色の強度(MFI;平均蛍光強度)を示す代表的グラフである。
細胞染色の強度(MFI;平均蛍光強度)によって測定された、様々な濃度の抗体でのH14抗体とCad−11発現細胞との結合およびH14とCad−11陰性対照細胞との結合の不在を示すグラフである。
細胞染色の強度(MFI;平均蛍光強度)によって測定された、様々な濃度の抗体でのH1M1抗体とCad−11発現細胞との結合およびH1M1とCad−11陰性対照細胞との結合の不在を示すグラフである。
ELISAによって測定された、様々な抗体濃度でのH14抗Cad−11抗体とCad−11およびCad−8 EC1ドメインペプチドとの結合度を示すグラフである。
ELISAによって測定された、様々な抗体濃度でのH14抗Cad−11抗体とCad7、MNCad、Cad9、Cad18、Cad20またはCad24 EC1ドメインペプチドとの結合の不在を示すグラフである。
ELISAによって測定された、様々な抗体濃度でのH1M1抗Cad−11抗体とCad−11およびCad−8 EC1ドメインペプチドとの結合を示すグラフである。
ELISAによって測定された、H1M1抗Cad−11抗体と、様々なCad−11 EC1ドメインペプチド免疫原(PEP1、PEP2、PEP3およびPEP4)、ならびにCad−11 EC1ドメイン融合タンパク質(EFL)およびヒトIgG対照(Fcブロック)との結合度を示すグラフである。
ELISAによって測定された、H14抗Cad−11抗体と、様々なCad−11 EC1ドメインペプチド免疫原(PEP1、PEP2、PEP3およびPEP4)、ならびにCad−11 EC1ドメイン融合タンパク質(EFL)およびヒトIgG対照(Fcブロック)との結合度を示すグラフである。
ペプチド1〜4の各々によって包含される、ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインの最初の37個のアミノ酸の配列およびこの配列の一部を示す概略図である。ペプチド3の上流にあるペプチド2および4によって共有されるアミノ酸残基はボックス領域内で強調される。Cad−11とCad−11の結合に直接関与するアミノ酸には下線が引かれる。
対照アイソタイプ抗体で処置された大きな凝集Cad−11発現細胞塊を示す写真である。
図23A中で認められる、大きな塊を形成するまで至らなかった、小さいH1M1で処置されたCad−11発現細胞塊を示す写真である。
未処置の親Cad−11陰性細胞が単一または2つの細胞の集団として残存することを示す写真である。
図24Aは、大きい凝集細胞塊を有するCad−11発現細胞の培養物を示す写真である。図24Bは、H14 Cad−11 EC1ドメイン抗体での処置後での、図24A中に示されるものに比べて、細胞塊が小さく低頻度である、主に単一の細胞を伴うCad−11発現細胞の培養物を示す写真である。
未処置対照マウスに対する、増加する用量のH1M1抗Cad−11抗体で処置されたマウスにおける関節炎に随伴する関節腫脹の阻害を示すグラフである。
未処置対照マウスに対する、1日おきに0.3mgのH14またはH1M1抗Cad−11抗体のいずれかで処置されたマウスにおける関節炎に随伴する関節腫脹の阻害を示すグラフである。
0.3mgのH1M1またはH14抗体のいずれかによる処置が、未処置対照に対し、マウスモデルにおける関節炎の発症を遅延させたことを示すグラフである。
Cad−11、Cad−8、およびMN−カドヘリンのEC1−2ドメインまたはCad−11 EC1−Fc融合タンパク質に対する、ペプチド3ハイブリドーマ(HL)由来の抗体含有培地または対照ハイブリドーマ培地(Media)の結合度を示すグラフである。
ヒトCad−11タンパク質を発現する細胞(矢印を参照)およびNeoを発現した非Cad−11発現対照細胞に対するペプチド3ハイブリドーマ由来の抗Cad−11抗体の結合度を示すグラフである。] 図17A 図17B 図17C 図17D 図17E 図17F 図17G 図17H 図17I 図23A
[0010] 定義
本明細書で使用される用語「カドヘリン−11」、「Cad−11」および「OB−カドヘリン」は、天然または内因性カドヘリン−11(例えば哺乳類、例えばヒト)タンパク質、ならびに天然または内因性カドヘリン−11タンパク質の場合と同じアミノ酸配列を有するタンパク質(例えば、組換えタンパク質、合成タンパク質)を示す。したがって、用語「カドヘリン−11」、「Cad−11」および「OB−カドヘリン」は、本明細書中で同義的に使用され、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類)において天然に生じる選択的スプライシングまたは他の細胞プロセスによって生成されるカドヘリン−11タンパク質(例えば、哺乳類、ヒト)の多形性または対立遺伝子変異体および他のアイソフォームを含む。好ましくは、カドヘリン−11タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を有するヒトタンパク質である(Genbank登録番号NP001788および図15を参照)。] 図15
[0011] 本明細書で定義される「カドヘリン−11アンタゴニスト」は、カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合し、かつ細胞内での1つ以上のカドヘリン−11媒介性活性を阻害する(例えば、低下させる、阻止する)作用物質(例えば、抗体、融合タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、小分子、核酸)である。カドヘリン−11媒介性活性は、限定はされないが、カドヘリン−11タンパク質と1つ以上の他のカドヘリン−11タンパク質との同型的な結合、カドヘリン−11発現細胞の凝集、酵素(例えば、コラゲナーゼ、セリンプロテアーゼ、MMP1、MMP3、MMP13)の発現または活性の誘導、およびサイトカインまたは成長因子(例えば、IL−6、IL−8またはRANKLもしくはTRANCE)の誘導を含む。一実施形態では、カドヘリン−11アンタゴニストは、カドヘリン−11タンパク質と1つ以上の他のカドヘリン−11タンパク質との結合を、例えば、Cad−11タンパク質(例えば、細胞の表面上に発現されるCad−11タンパク質)のEC1ドメイン内のドナー配列と1つ以上の他のCad−11タンパク質(例えば、別の細胞の表面上に発現される1つ以上のCad−11タンパク質)のEC1ドメイン内のポケット配列の間での相互作用を遮断することによって阻害しうる。]
[0012] 本明細書で使用される、カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに「特異的に結合する」カドヘリン−11アンタゴニストは、(例えば生理的条件下で)カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに、カドヘリン−11アンタゴニストが別のカドヘリンタンパク質(例えば、MN−カドヘリン、カドヘリン−8)のEC1ドメインに結合する親和性より高い、少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍の親和性(例えば結合親和性)で結合するカドヘリン−11アンタゴニストを示す。特定の実施形態では、カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合するカドヘリン−11アンタゴニストは、ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインのN末端部分の配列番号3中に存在するエピトープに、カドヘリン−11アンタゴニストがヒトMN−カドヘリンのEC1ドメインのN末端部分の配列番号4中に存在するエピトープに結合する親和性、およびカドヘリン−11アンタゴニストがヒトカドヘリン−8のEC1ドメインのN末端部分の配列番号5中に存在するエピトープに結合する親和性より高い、少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍の親和性で結合する。]
[0013] 本明細書で使用される用語「抗体」は、全抗体および抗体断片(例えば、抗体の抗原結合断片、例えば、Fv、Fc、Fd、Fab、Fab’、F(ab’)、およびdAb断片)の双方を包含することが意図される。「抗体」は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の双方を示し、天然および改変抗体を含む。したがって、用語「抗体」は、例えば、ヒト、キメラ、ヒト化、霊長類化、ベニア化(veneered)、一本鎖、およびドメイン抗体(dAb)を含む(例えば、Harlowら、「Antibodies A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory、1988年)。]
[0014] 用語「エピトープ」は、免疫グロブリンVH/VL対によって従来の方法で結合される構造の単位を示す。エピトープは、抗体に対する最小結合部位を規定し、故に抗体の特異性の標的を示す。]
[0015] 用語「融合タンパク質」は、2つ以上の異種ポリペプチドの全部または一部を含む、天然、合成、半合成または組換えの単一のタンパク質分子を示す。]
[0016] 用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマーを示し、特定の長さを示さず、それ故、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質はポリペプチドの定義の範囲内に含まれる。]
[0017] 本明細書で使用される用語「ペプチド」は、1つのアミノ酸のアミノ基がペプチド結合によって別のアミノ酸のカルボキシル基に連結される、約2〜約100個のアミノ酸残基からなる化合物を示す。かかるペプチドは、典型的には約100アミノ酸残基長未満であり、好ましくは約10個、約20個、約30個、約40個または約50個の残基である。]
[0018] 本明細書で使用される用語「ペプチド模倣体」は、ペプチドまたはタンパク質でないが、それらの構造の局面を模倣する分子を示す。ペプチド模倣アンタゴニストは、従来の化学的方法によって調製されうる(例えば、Damewood J.R.、「Peptide Mimetic Design with the Aid of Computational Chemistry」、Reviews in Computational Biology、2007年、第9巻、1−80頁、John Wiley and Sons,Inc.(New York)、1996年;Kazmierski W.K.、「Methodsof Molecular Medicine:Peptidomimetic Protocols」、Humana Press(New Jersey)、1999年を参照)。]
[0019] 本明細書で定義される「治療」は、被験体(例えば、哺乳動物、ヒト)への特定の治療剤または予防剤の投与であり、被験体に所望の治療的または予防的利益をもたらす。]
[0020] 本明細書で定義される「処置レジメン」は、1つ以上の治療剤または予防剤が、哺乳動物被験体に特定の用量(例えば、レベル、量(amount)、量(quantity))および特定のスケジュールまたは特定の間隔(例えば、分、日、週、月)で投与されるレジメンである。]
[0021] 本明細書で定義される「治療有効量」は、投与の条件下での所望される治療または予防効果を得るのに十分な量、例えば関節における炎症を(例えば、カドヘリン−11を発現する細胞、例えば滑膜細胞の凝集を阻害することによって)阻害する(すなわち、低下させる、阻止する)のに十分な量である。治療の有効性(例えば、関節における炎症の低下および/または関節における炎症の阻止)は、適切な方法(例えば、イメージング法、例えばMRI、NMR、CT)によって判定されうる。]
[0022] カドヘリン
カドヘリンは、他のカドヘリンに同型的に結合することによって細胞接着を媒介するCa2+−依存性接着分子の大ファミリーに属する(M.J.WheelockおよびK.R.Johnson、Ann.Rev.Cell Dev.Biol.19:207−235頁(2003年))。古典的なカドヘリンは、5つの細胞外カドヘリン(EC)ドメイン(各々、約110アミノ酸長)、膜透過領域および保存された細胞質ドメインを有する1回膜貫通タンパク質である。カドヘリンは、ECドメイン間の相同度に基づき、I型またはII型カドヘリンのいずれかに分かれる。II型カドヘリンは、ヒトカドヘリン−5、−6、−8、−11、および−12、ならびにMN−カドヘリンを含む。細胞間結合の媒介における細胞外ドメインの各々の役割の相対的重要性は不明確である。]
[0023] 滑膜細胞内でのカドヘリン−11活性
カドヘリン−11は、関節接合部(articulated joints)の滑膜表層内での滑膜細胞と滑膜細胞との結合を媒介する(Valenciaら、J.Exp.Med.200(12):1673−1679頁(2004年);KienerおよびBrenner、Arthritis Res Ther.7(2):49−54頁(2005年))。ヒトIgG2のヒンジ−CH2−CH3ドメインに融合された、ヒトカドヘリン−11の全部で5つの細胞外カドヘリンドメインからなる融合タンパク質は、インビトロで滑膜細胞表層の形成を阻害した(Kienerら、Am.J.Pathol.168頁(2006年))。さらに、マウスIgG2aのヒンジ−CH2−CH3ドメインに融合された、アンタゴニスト抗カドヘリン−11抗体およびマウスカドヘリン−11のEC1−5からなる融合タンパク質は、リウマチ様関節炎のマウスモデルにおける炎症および関節腫脹を阻害した(Leeら、Science 315:1006−1010頁(2007年))。]
[0024] カドヘリン−11アンタゴニスト
本発明のカドヘリン−11アンタゴニストは、カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合する任意の作用物質でありえ、細胞内での1つ以上のカドヘリン−11媒介性活性を阻害する(例えば、低下させる、阻止する)。カドヘリン−11媒介性活性は、限定はされないが、細胞表面上でのカドヘリン−11を発現する細胞の凝集、および例えば、コラゲナーゼ、セリンプロテアーゼ、MMP1、MMP3、IL−6、IL−8またはRANKL/TRANCEなどの要素の発現または分泌を含む。作用物質は、特に、抗体、融合タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、小分子、または核酸でありうる。]
[0025] カドヘリン−11抗体
本明細書中に記載されるように、Cad−11(例えば配列番号3)のドナー配列およびカドヘリン結合ポケットを含む、ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインのN末端部分内のエピトープに結合する抗体は、このタンパク質の他の領域内のエピトープに結合する抗体より有効にインビトロでのカドヘリン−11活性を遮断する(実施例1および2を参照)。]
[0026] したがって、一実施形態では、本発明は、Cad−11のドナー配列およびカドヘリン結合ポケットを含むカドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインのN末端部分内に存在するエピトープに結合する(例えば特異的に結合する)抗体またはその抗原結合断片を提供する。用語「抗体」は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体のすべてのタイプ(例えば、ヒト、キメラ、ヒト化、霊長類化、ベニア化、一本鎖、ドメイン抗体(dAb))および抗体の抗原結合断片(例えば、Fv、Fc、Fd、Fab、Fab’、F(ab’)、dAb)を包含することが意図される(例えば、Harlowら、「Antibodies A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory、1988年を参照)。特定の実施形態では、Cad−11 EC1ドメイン−特異抗体はヒト抗体またはヒト化抗体である。Cad−11 EC1ドメイン−特異抗体はまた、細胞毒性剤に直接的または間接的に連結されうる。]
[0027] Cad−11タンパク質のEC1ドメインのN末端部分に特異的に結合し、かつCad−11タンパク質の活性を阻害する他の抗体または抗体断片はまた、従来の方法または他の適切な技術により、産生され、作成され、改変され、および/または単離されうる。例えば、カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに対して特異的な抗体は、適切な免疫原、例えば組換え哺乳動物(例えばヒト)カドヘリン−11のEC1ドメインペプチド(例えば配列番号3)またはその一部(合成分子、例えば、合成ペプチドを含む)に対して産生されうる。種々の方法についての記載がなされている(例えば、Kohlerら、Nature 256:495497頁(1975年)およびEur.J.Immunol.6:511−519頁(1976年);Milsteinら、Nature 266:550−552頁(1977年);Koprowskiら、米国特許第4,172,124号明細書;Harlow E.およびD.Lane、1988年、「Antibodies:A Laboratory Manual」(Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor(NY));「Current Protocols In Molecular Biology」、第2巻(付録27、1994年夏)、Ausubel F.M.ら編(John Wiley & Sons(New York,NY))、第11章(1991年)を参照)。抗体はまた、適切な宿主(例えばマウス)を、カドヘリン−11のEC1ドメインを発現する細胞(例えば癌細胞/細胞系)またはカドヘリン−11のEC1ドメインを発現するように改変された細胞(例えば形質移入細胞)で免疫することによって産生されうる(例えば、Chuntharapaiら、J.Immunol.、152:1783−1789頁(1994年);Chuntharapaiら、米国特許第5,440,021号明細書を参照)。モノクローナル抗体の産生においては、ハイブリドーマが、適切な不死化細胞系(例えばSP2/0またはP3X63Ag8.653などの骨髄腫細胞系)を抗体産生細胞と融合することによって生成されうる。抗体産生細胞は、目的の抗原で免疫されたヒトまたは他の適切な動物の末梢血、または好ましくは脾臓またはリンパ節から得られうる。融合細胞(ハイブリドーマ)は、選択的培養条件を用いて単離され、限界希釈によってクローン化されうる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、適切なアッセイ(例えばELISA)によって選択されうる。]
[0028] 抗体断片は、酵素切断または組換え技術によって産生されうる。例えば、パパインまたはペプシン切断は、それぞれFabまたはF(ab')2断片を産生しうる。また、必須の基質特異性を有する他のプロテアーゼを使用し、FabまたはF(ab')2断片が産生されうる。抗体はまた、1つ以上の停止コドンが天然停止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用し、種々の切断形態で産生されうる。例えば、F(ab')2重鎖部分をコードするキメラ遺伝子は、CH1ドメインおよび重鎖のヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計されうる。一本鎖抗体、およびヒト、キメラ、ヒト化または霊長類化(CDR移植化)、またはベニア化抗体、ならびにキメラ、CDR移植化またはベニア化一本鎖抗体(異なる種由来の一部を含む)などもまた、本発明および用語「抗体」によって包含される。これら抗体の様々な部分は、従来の技術によって化学的に共に連結されうるか、または遺伝子工学技術を用いて隣接タンパク質として調製されうる。例えば、キメラまたはヒト化鎖をコードする核酸は、発現により、隣接タンパク質が生成されうる。例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号明細書;Cabillyら、欧州特許第0,125,023B1号明細書;Bossら、米国特許第4,816,397号明細書;Bossら、欧州特許第0,120,694B1号明細書;Neuberger M.S.ら、国際公開第86/01533号パンフレット;Neuberger M.S.ら、欧州特許第0,194,276B1号明細書;Winter、米国特許第5,225,539号明細書;Winter、欧州特許第0,239,400B1号明細書;Queenら、欧州特許第0451216B1号明細書;およびPadlan E.A.ら、欧州特許第0519596A1号明細書を参照のこと。また、霊長類化抗体に関するNewman R.ら、Biotechnology、10:1455−1460頁(1992年)、ならびに一本鎖抗体に関するLadnerら、米国特許第4,946,778号明細書およびBird R.E.ら、Science、242:423−426頁(1988年)を参照のこと。]
[0029] ヒト化抗体は、標準的方法または他の適切な技術を用いる合成または組換えDNA技術を用いて産生されうる。また、ヒト化可変領域をコードする核酸(例えばcDNA)配列を、PCR突然変異誘発法を用いて作成し、ヒトまたはヒト化鎖をコードするDNA配列、例えば予めヒト化された可変領域由来のDNA鋳型が改変されうる(例えば、Kamman M.ら、Nucl.Acid Res.、17:5404頁(1989年));Sato K.、ら、Cancer Research、53:851−856頁(1993年);Daugherty B.L.ら、Nucleic AcidsRes.、19(9):2471−2476頁(1991年);ならびにLewis A.P.およびJ.S.Crowe、Gene、101:297−302頁(1991年))。変異体はまた、これらまたは他の適切な方法を用いて容易に生成されうる。一実施形態では、クローン化可変領域(例えばdAb)が突然変異され、所望の特異性を有する変異体をコードする配列が選択されうる(例えば、ファージライブラリから;例えば、Krebberら、米国特許第5,514,548号明細書;Hoogenboomら、1993年4月1日に公開された国際公開第93/06213号パンフレットを参照)。]
[0030] 例えば、ライブラリ(例えばファージディスプレイライブラリ)から組み換え抗体または抗体結合断片(例えばdAb)を選択するか、あるいはトランスジェニック動物(例えばマウス)の免疫に依存する方法を含む、必須の特異性を有する抗体を産生または単離する他の適切な方法が使用されうる。ヒト抗体のレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物は、当該技術分野で周知であり(例えば、Xenomouse(登録商標)(Abgenix(Fremont,CA)))、適切な方法を用いて産生されうる(例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:2551−2555頁(1993年);Jakobovitsら、Nature、362:255−258頁(1993年);Lonbergら、米国特許第5,545,806号明細書;Suraniら、米国特許第5,545,807号明細書;Lonbergら、国際公開第97/13852号パンフレットを参照)。]
[0031] 本発明は、一実施形態では、ヒトCad−11のEC1ドメイン(配列番号13)の最初の約37個のアミノ酸中に存在するエピトープに結合するCad−11抗体を包含する。特定の実施形態では、本発明は、配列番号10内に存在するエピトープに結合するCad−11抗体に関する。さらなる実施形態では、本発明は、配列番号11を含むエピトープに結合するCad−11抗体に関する。別の実施形態では、本発明は、配列番号12内に存在するエピトープに結合するCad−11抗体に関する。]
[0032] 一実施形態では、本発明は、American Type Culture Collection(ATCC)(私書箱1549,Manassas,Virginia20108,United States of America)で2009年1月8日に寄託されているハイブリドーマH1M1(ATCC登録番号____)によって産生されるCad−11抗体に関する。別の実施形態では、本発明は、American Type Culture Collection(ATCC)(私書箱1549,Manassas,Virginia20108,United States of America)で2009年1月8日に寄託されているハイブリドーマH14(ATCC登録番号____)によって産生されるCad−11抗体を提供する。]
[0033] 本発明はまた、ハイブリドーマH1M1によって産生されるCad−11抗体および/またはハイブリドーマH14によって産生されるCad−11抗体と、ヒトCad−11タンパク質またはEC1−ドメインを有するその一部(例えば配列番号3、10、12、13)に対する結合に対して特異的に競合する抗体を包含する。特定の実施形態では、ハイブリドーマH1M1および/またはハイブリドーマH14によって産生されるCad−11抗体と特異的に競合する抗体は、ハイブリドーマH1M1および/またはハイブリドーマH14によって産生されるCad−11抗体の、ヒトCad−11タンパク質またはEC1−ドメインを有するその一部(例えば、配列番号3、10、12、13)に対する結合を遮断する(例えば、阻害する、低減させる、阻止する)。]
[0034] さらに、本発明は、ハイブリドーマH1M1によって産生されるCad−11抗体および/またはハイブリドーマH14によって産生されるCad−11抗体の、ヒトCad−11タンパク質またはEC1−ドメインを有するその一部に対する結合親和性と少なくとも同程度に大きい、ヒトCad−11タンパク質またはEC1−ドメインを有するその一部(例えば、配列番号3、10、12、13)に対する結合親和性を有する抗体を包含する。]
[0035] カドヘリン−11融合タンパク質
さらに、ヒトCad−11のEC1ドメイン(例えば、ヒトIgGの一部に融合されるヒトCad−11のEC1ドメイン)のみを有する免疫グロブリン融合タンパク質は、すべての5ECドメインを有する、Cad−11のEC領域のより大きい部分を含む融合タンパク質より有効にインビトロでのCad−11活性を阻害した。]
[0036] カドヘリン−11アンタゴニストはまた、異種タンパク質の全部または一部に作動可能に連結されるヒトCad−11のEC1ドメイン(配列番号2)の少なくともN末端の約35個のアミノ酸を含むキメラまたは融合タンパク質を包含する。「作動可能に連結される」は、Cad−11 EC1ドメインの一部および異種タンパク質がインフレームで融合されることを示す。異種タンパク質は、タンパク質のN末端またはC末端に融合されうる。例えば、融合タンパク質は、タンパク質配列がGST配列のC末端に融合されたGST融合タンパク質でありうる。融合タンパク質の他のタイプは、限定はされないが、酵素融合タンパク質、例えば、β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質、酵母ツーハイブリッドGAL融合タンパク質、ポリ−His融合体、FLAG−タグ化融合タンパク質、GFP融合タンパク質、および免疫グロブリン(Ig)融合タンパク質を含む。かかる融合タンパク質は(例えば組換え融合タンパク質の)精製を促進しうる。特定の宿主細胞(例えば哺乳動物宿主細胞)では、タンパク質の発現および/または分泌が異種シグナル配列に使用によって増強されうる。したがって、別の実施形態では、融合タンパク質は異種シグナル配列をそのN末端に有する。]
[0037] 欧州特許出願公開第0464533A号明細書は、免疫グロブリン定常領域の様々な部分を含む融合タンパク質を開示する。Fcは、治療および診断において有用であり、それ故、例えば改善された薬物動態学的特性をもたらす(例えば、欧州特許出願公開第0232262A号明細書を参照)。薬剤発見では、例えばヒトタンパク質は、ハイスループットスクリーニングアッセイのためにFc部分と融合され、アンタゴニストが同定されている(Bennettら、Journal of Molecular Recognition 8:52−58頁(1995年);Johansonら、J.Biol.Chem.、270(16):9459−9471頁(1995年))。したがって、本発明はまた、本発明のタンパク質Cad−11アンタゴニストおよび免疫グロブリンの様々なサブクラス(例えば、IgG、IgM、IgA、IgE)の重鎖および/または軽鎖の定常領域の様々な部分を有する可溶性融合タンパク質を包含する。本発明の免疫グロブリン融合タンパク質の利点は、次のもの、すなわち、(1)得られる二量体融合タンパク質の二価性に起因する、多価リガンドにおける結合活性の増大、(2)より長い血清半減期、(3)Fcドメインを介したエフェクター細胞に対する活性化能、(4)精製の容易性(例えばプロテインAクロマトグラフィーによる)、(5)Cad−11に対する親和性、および(6)Cad−11媒介性活性に対する遮断能のうち1つ以上を含む。]
[0038] したがって、特定の実施形態では、Cad−11アンタゴニストは、哺乳動物免疫グロブリンタンパク質の全部または一部に作動可能に連結された、EC1ドメインのN末端部分(配列番号2のアミノ酸54〜90)を含む、カドヘリン−11タンパク質の細胞外領域の一部を含む融合タンパク質である。特定の実施形態では、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸1〜609内部に含まれる5つすべてのECドメインを含むカドヘリン−11の細胞外領域の一部を含まない。特定の実施形態では、ヒトカドヘリン−11細胞外領域の一部は、例えば、配列番号2のアミノ酸1〜160、アミノ酸1〜259もしくはアミノ酸1〜269を含みうる。特定の実施形態では、融合タンパク質は、ヒトカドヘリン−11のリーダーおよびプロ領域(配列番号2のアミノ酸1〜53)が欠如し、異種リーダー配列を使用する。免疫グロブリン部分は、任意の脊椎動物供給源、例えばマウス由来でありうるが、好ましくはヒト免疫グロブリンタンパク質である。一実施形態では、哺乳動物免疫グロブリンタンパク質は、ヒトIgG2タンパク質またはその一部、例えばヒトIgG2のヒンジ−CH2−CH3部分である。]
[0039] 本発明のキメラまたは融合タンパク質は、標準の組換えDNA技術によって生成されうる。例えば、異なるタンパク質配列(例えば、Cad−11 EC1ドメインペプチドおよび哺乳動物免疫グロブリン)をコードするDNA断片は共に、従来の技術に従い、インフレームでライゲートされる。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動化DNAシンセサイザーを含む従来の技術によって合成されうる。あるいは、核酸断片のPCR増幅は、2つの保存核酸断片の間で相補的なオーバーハングを生じさせる(それらはその後にアニール、再増幅され、キメラ核酸配列を生成しうる)アンカープライマーを使用して行われうる(Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、1992年)。さらに、融合部分(例えば、GST部分、Fc部分)を既にコードする多数の発現ベクターが市販されている。タンパク質Cad−11アンタゴニストをコードする核酸分子は、融合部分(例えば免疫グロブリン)がタンパク質にインフレームで連結された、かかる発現ベクターにクローン化されうる。]
[0040] 本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、単量体、二量体、四量体または他の多量体(例えばポリマー)として提供されうる。例えば、融合タンパク質の免疫グロブリン部分の可変ドメインが共に連結され、例えば、各VドメインのC末端へのヒンジ領域およびヒンジ領域内のシステイン間でのジスルフィド結合の提供;または重鎖(それぞれドメインのC末端にシステインを伴う)の提供(ここでシステインは共にジスルフィド結合される);またはV−CHおよびV−CLの生成によるFab形式の生成;またはペプチドリンカー(例えばGly4Serリンカー)の使用による二量体、三量体およびさらなる多量体の生成により、多価リガンドが形成されうる。例えば、かかるリガンドは、CH2およびCH3ドメインの一方または双方を含む抗体Fc領域、および場合によってヒンジ領域に連結されうる。例えば、単一のヌクレオチド配列としてFc領域に連結されたリガンドをコードするベクターを使用し、かかるリガンドが(例えば発現によって)調製されうる。]
[0041] 本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、限定はされないが、ポリエチレングリコール(PEG)の多量体またはその誘導体(例えばポリメチルエチレングリコール)、放射性核種、細胞毒性剤および細胞毒性薬を含む他の部分に複合され、その後にインビボ治療において使用されうる。放射性核種の例として、特に212Bi、131I、186Re、および90Yが挙げられる。放射性核種は、放射線療法の技術分野で公知のように、細胞を局所的に照射し、様々な細胞内病変をもたらすことにより、その細胞毒性効果を発揮する。融合タンパク質に複合しうる細胞毒性薬は、限定はされないが、ダウノルビシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、およびマイトマイシンCを含む。細胞毒性薬は、DNA、RNA、およびタンパク質合成を含む重要な細胞プロセスに干渉する。薬剤のこれらクラス(当該技術分野で公知)、およびそれらの作用機序のより完全な提示については、Goodman A.G.ら、「Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第8版、Macmillan Publishing Col、1990年、Katzung編、「Basic and Clinical Pharmacology」、第5版、768−769頁、808−809頁、896頁、Appleton and Lange(Norwalk,Conn.)を参照のこと。]
[0042] 本明細書で使用される用語「免疫グロブリン融合タンパク質」は、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質の断片を含む。かかる断片は、本発明の範囲内に含まれるように意図される。例えば、一旦分子が単離されると、それらはプロテアーゼで切断され、ヒトCad−11のEC1ドメインに結合可能な状態を保持する断片が生成されうる。]
[0043] ペプチドアンタゴニスト
本発明のカドヘリン−11アンタゴニストはまた、カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに結合するペプチドでありうる。ペプチドは、任意の適切なL−および/またはD−アミノ酸、例えば一般的なα−アミノ酸(例えば、アラニン、グリシン、バリン)、非α−アミノ酸(例えば、β−アラニン、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、サルコシン、スタチン))、および異常アミノ酸(例えば、シトルリン、ホモシトルリン、ホモセリン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン)を含みうる。ペプチド上のアミノ、カルボキシルおよび/または他の官能基は、遊離(例えば未修飾)状態でありうるかまたは適切な保護基で保護されうる。アミノおよびカルボキシル基における適切な保護基、および保護基を付加または除去するための方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、GreenおよびWuts、「Protecting Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons、1991年において開示されている。ペプチドの官能基はまた、当該技術分野で公知の方法を用いて誘導体化(例えばアルキル化)されうる。]
[0044] ペプチドCad−11アンタゴニストは、必要に応じて、1つ以上の修飾(例えば、アミノ酸リンカー、アシル化、アセチル化、アミド化、メチル化、末端修飾因子(例えば循環修飾))を含みうる。ペプチドはまた、化学修飾(例えば、N−メチル−α−アミノ基置換)を含みうる。さらに、ペプチドアンタゴニストは、公知および/または天然ペプチド類似体、例えば、保存的アミノ酸残基置換を有するペプチド類似体でありうる。これらの修飾は、そのカドヘリン−11アンタゴニスト活性を含むペプチドの様々な特性(例えば、溶解度、結合性)を改善しうる。]
[0045] Cad−11アンタゴニストは、線状の分岐または環状でありうるペプチド、例えばいくつかのアミド結合を含むヘテロ原子環構造を有するペプチドである。特定の実施形態では、ペプチドは環状ペプチドである。かかるペプチドは、標準的技術を用い、当業者によって生成されうる。例えば、ペプチドは、酵素的または化学的切断によって天然タンパク質から誘導または除去されうるか、あるいは適切な方法、例えば、固相ペプチド合成(例えばメリフィールド型合成)によって合成されうる(例えば、Bodanszkyら、「Peptide Synthesis」、John Wiley & Sons、第2版、1976年を参照)。カドヘリン−11アンタゴニストであるペプチドもまた、例えば組換えDNA法または他の適切な方法を用いて生成されうる(例えば、Sambrook J.およびRussell D.W.、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor(New York))、2001年を参照)。]
[0046] ペプチドは、数種から多種の別々の分子種を含むライブラリに合成され、構築されうる。かかるライブラリは、コンビナトリアル化学の方法を用いて調製され、任意の適切な方法を用いてスクリーニングされ、ライブラリが所望の生物学的活性を有するペプチドを含むか否かが判定されうる。次いで、かかるペプチドアンタゴニストは適切な方法を用いて単離されうる。]
[0047] ペプチド模倣アンタゴニスト
カドヘリン−11アンタゴニストはまた、ペプチド模倣体でありうる。例えば、多糖類はペプチドと同じ官能基を有するように調製されうる。ペプチド模倣体は、例えば、ペプチド剤の三次元構造を、それが結合されるかまたは標的分子に結合することになる環境内で確立することによって設計されうる。ペプチド模倣体は、少なくとも2つの成分、1つ以上の結合部分および骨格または支持構造を含む。]
[0048] 結合部分は、標的分子、例えばCad−11のEC1ドメイン内のアミノ酸と(例えば疎水性またはイオン性相互作用を通じて)反応するかまたは複合体を形成することになる化学原子または基である。例えば、ペプチド模倣体中の結合部分は、ペプチドまたはタンパク質アンタゴニスト中のものと同じでありうる。結合部分は、ペプチドアンタゴニスト中の結合部分と同一または類似の方法で受容体と反応する原子または化学基でありうる。例えば、コンピュータ化学を用い、例えばCad−11タンパク質のEC1ドメイン内のポケット配列に結合しうる、カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインのドナー配列のペプチド模倣体が設計されうる。ペプチド中の塩基性アミノ酸に対するペプチド模倣体の設計における使用に適した結合部分の例として、アミン、アンモニウム、グアニジンおよびアミドまたはホスホニウムなどの窒素を含有する基が挙げられる。酸性アミノ酸に対するペプチド模倣体の設計における使用に適した結合部分の例として、例えば、カルボキシル、低級アルキルカルボン酸エステル、スルホン酸、低級アルキルスルホン酸エステルまたは亜リン酸またはそのエステルが挙げられる。]
[0049] 支持構造は、1つ以上の結合部分に結合される場合に、ペプチド模倣体の三次元配置を提供する化学的実体である。支持構造は有機または無機でありうる。有機支持構造の例として、有機合成高分子の多糖類、ポリマーまたはオリゴマー(例えば、ポリビニルアルコールまたはポリラクチド)が挙げられる。支持構造がペプチド骨格または支持構造と実質的に同じサイズおよび次元を有することは好ましい。これは、ペプチドおよびペプチド模倣体の原子および結合のサイズを計算または測定することによって決定されうる。一実施形態では、ペプチド結合の窒素が酸素または硫黄と置換され、例えばポリエステル骨格を形成しうる。別の実施形態では、カルボニルがスルホニル基またはスルフィニル基と置換され、それによりポリアミド(例えばポリスルホンアミド)を形成しうる。ペプチドの逆アミドが作製されうる(例えば1つ以上の−CONH−基を−NHCO−基と置換する)。さらに別の実施形態では、ペプチド骨格はポリシラン骨格と置換されうる。]
[0050] これらの化合物は、公知の方法によって作製されうる。例えば、ポリエステルペプチド模倣体は、水酸基をアミノ酸上の対応するα−アミノ基と置換し、それにより、ヒドロキシ酸を調製し、ヒドロキシ酸を連続的にエステル化し、場合により塩基性および酸性側鎖を遮断し、副反応を最小化することによって調製されうる。適切な化学合成経路の決定は、一般に化学構造の決定時に容易に同定されうる。]
[0051] ペプチド模倣体は、合成され、数種から多種の別々の分子種を含むライブラリに構築されうる。かかるライブラリは、コンビナトリアル化学の周知の方法を用いて調製され、スクリーニングされ、ライブラリが所望の活性を有する1つ以上のペプチド模倣体を含むか否かが判定されうる。次いで、かかるペプチド模倣アンタゴニストは適切な方法によって単離されうる。]
[0052] 小分子アンタゴニスト
カドヘリン−11アンタゴニストはまた、小分子でありうる。小分子の例として、有機化合物、有機金属化合物、無機化合物、および有機、有機金属または無機化合物の塩が挙げられる。小分子中の原子は、典型的には共有および/またはイオン結合を介して共に連結される。小有機分子中の原子の配列は、鎖(例えば、炭素−炭素鎖または炭素−ヘテロ原子鎖)を示しうるか、あるいは炭素原子を有する環、例えばベンゼンまたは多環系、または炭素およびヘテロ原子の組み合わせ、すなわちピリミジンまたはキナゾリンなどのヘテロ環を示しうる。小分子は任意の分子量を有しうるが、一般に約5,000ダルトン未満の分子を含む。例えば、かかる小分子は、約1000ダルトン未満でありえ、好ましくは約750ダルトン未満であるか、またはより好ましくは約500ダルトン未満である。小分子および他の非ペプチドカドヘリン−11アンタゴニストは、天然に見出され(例えば、同定され、単離され、精製され)、および/あるいは(例えば、従来の有機合成、生物媒介性(bio−mediated)合成、またはそれらの組み合わせによって)合成的に生成されうる。例えば、Ganesan、Drug Discov.Today、7(1):47−55頁(2002年1月);Lou、Drug Discov.Today、6(24):1288−1294頁(2001年12月)を参照のこと。天然小分子の例として、限定はされないが、ホルモン、神経伝達物質、ヌクレオチド、アミノ酸、糖類、脂質、およびそれらの誘導体が挙げられる。]
[0053] 本発明に記載の小分子カドヘリン−11アンタゴニストおよびその生理学的に許容されうる塩は、(例えば、Cad−11タンパク質のEC1ドメイン内のドナー配列と、別のカドヘリン−11の結合ポケットへの結合に対して直接競合し、Cad−11タンパク質のEC1ドメイン内の結合ポケットと、別のカドヘリン−11のドナー配列への結合に対して直接競合することにより)カドヘリン−11タンパク質の同型結合を阻害しうる。]
[0054] 核酸アンタゴニスト
本発明のCad−11アンタゴニストはまた、ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインに結合する核酸分子(例えばオリゴヌクレオチド)でありうる。適切な核酸Cad−11アンタゴニストは、特定の目的の分子(例えばヒトカドヘリン−11のEC1ドメイン)に、古典的なワトソン−クリック塩基対合以外の相互作用を通じた高い親和性および特異性で結合可能なアプタマーを含む(TuerkおよびGold、Science 249:505頁(1990年);EllingtonおよびSzostak、Nature 346:818頁(1990年))。]
[0055] ファージディスプレイまたはモノクローナル抗体(MAb)によって作成されるペプチドのようなアプタマーは、選択される標的に特異的に結合可能であり、結合を通じ、それらの標的が機能する能力を遮断する。ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールからのインビトロ選択プロセスによって生成されるアプタマーは、成長因子、転写因子、酵素、免疫グロブリン、および受容体を含む100を超えるタンパク質に対して作成されている。典型的なアプタマーは、サイズが10〜15kDa(30〜45ヌクレオチド)であり、その標的にnM以下の親和性で結合し、また密接に関連した標的に対して識別する(例えば典型的には同じ遺伝子ファミリー由来の他のタンパク質に結合することがない)。一連の構造試験によると、アプタマーが、抗体−抗原複合体における親和性および特異性を駆動する同じタイプの結合相互作用(水素結合、静電的相補性、疎水性接触、立体的排除など)を使用可能であることが示されている。]
[0056] 目的の標的(例えばヒトCad−11タンパク質のEC1ドメイン)に結合するアプタマーは、例えば米国特許第5,475,096号明細書および米国特許第5,270,163号明細書に記載の「指数的濃縮によるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligandsby Exponential Enrichment)」(SELEX)として公知の標準的プロセスを使用し、作成され、同定されうる。]
[0057] カドヘリン−11アンタゴニストの同定
小分子を含む、カドヘリン−11結合特異性を有する作用物質は、スクリーニング、例えば、化合物および/またはライブラリ(例えば、化学物質、ペプチド、核酸ライブラリ)のハイスループットスクリーニングにおいて同定されうる。]
[0058] ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインに特異的に結合する抗体は、例えば市販のコンビナトリアル抗体ライブラリ(Dyax Corp.、MorphoSys AG)のスクリーニングによって同定されうる。適切なコンビナトリアル抗体ライブラリおよびこれらのライブラリをスクリーニングする標準的方法は、Hoetら、Nature Biotechnology 23(3):344−348頁(2005年)およびRauchenbergerら、J.Biol.Chem.278(40):38194−38205頁(2003年)(これらの内容は参照により本明細書中に援用される)に記載されている。分子のかかるライブラリまたは集合体はまた、周知の化学的方法を用いて調製されうる。]
[0059] あるいは、ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインに特異的に結合するマウス抗体は、例えば、マウスを、アジュバントを伴うEC1タンパク質ドメインまたはEC1ペプチドで免疫し、抗原に対する耐性を破壊することによって同定されうる。これらの抗体は、所望の特異性および活性についてスクリーニングされ、次いで公知の技術を用いてヒト化され、ヒト疾患の治療に適した作用物質が作成されうる。]
[0060] 化合物または小分子は、例えば、Chemical Repository of the National Cancer InstituteおよびMolecular Libraries Small Molecules Repository(PubChem)から入手可能な極めて多数の化合物のライブラリ、ならびにHarvard UniversityのInstitute of Chemistry and Cell Biologyのライブラリおよび商業的供給源から入手可能な他のライブラリ(例えば、Chembridge、Peakdale、CEREP、MayBridge、Bionet)から同定されうる。分子のかかるライブラリまたは集合体はまた、周知の化学的方法、例えばコンビナトリアル化学の周知の方法を用いて調製されうる。ライブラリはスクリーニングされ、カドヘリン−11に結合し、それを阻害する化合物が同定されうる。]
[0061] 同定された化合物は、周知の医薬品化学の方法を用い、さらなる多様性におけるリード化合物としての役割を果たしうる。例えば、リードの構造変異体である化合物の集合体は、調製され、カドヘリン−11結合および/または阻害活性についてスクリーニングされうる。これは、生物学的活性に対する化合物の構造に関連する構造活性相関の開発をもたらしうる。適切な結合および阻害活性を有する化合物が、インビボ使用のためにさらに開発されうる。]
[0062] カドヘリン−11に結合する作用物質は、カドヘリン−11のアンタゴニスト活性についてさらに評価されうる。例えば、カドヘリン−11タンパク質を含有する組成物をスクリーニングまたは結合アッセイに使用し、カドヘリン−11タンパク質に結合し、拮抗する作用物質が検出および/または同定されうる。使用に適した組成物として、例えば、カドヘリン−11タンパク質を天然に発現する細胞(例えば滑膜細胞)、かかる細胞の抽出物、および組換えカドヘリン−11タンパク質が挙げられる。]
[0063] カドヘリン−11タンパク質に結合する作用物質は競合的結合アッセイにおいて同定可能であり、例えばそこでは、カドヘリン−11の参照作用物質(reference agent)への結合に対する試験作用物質の阻害能が評価される。参照作用物質は、EC1ドメインを含む完全長Cad−11タンパク質またはその一部でありうる。参照作用物質は、適切な標識(例えば、ラジオアイソトープ、エピトープ標識、親和性標識(例えば、ビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン)、スピン標識、酵素、蛍光基、化学発光基、染料、金属(例えば、金、銀)、磁気ビーズ)で標識され、アッセイにおいてカドヘリン−11タンパク質を飽和させるのに必要とされる標識参照作用物質の量が測定されうる。カドヘリン−11タンパク質と試験作用物質の間での複合体の形成の特異性は、適切な対照(例えば、未標識作用物質、標識単独)を使用して測定されうる。]
[0064] 参照作用物質とカドヘリン−11タンパク質の間での複合体の形成に対する試験作用物質の阻害能は、標識参照作用物質の特異的結合の50%阻害(IC50値)に必要とされる試験作用物質の濃度として測定されうる。特異的結合は、好ましくは全結合(例えば複合体中の全標識)−非特異的結合として規定される。非特異的結合は、好ましくは過剰な未標識参照作用物質の存在下で形成される複合体中でさらに検出される標識の量として定義される。本方法における使用に適する参照作用物質は、カドヘリン−11に特異的に結合する分子および化合物、例えばカドヘリン−11に結合する抗体を含む。]
[0065] カドヘリン−11タンパク質に拮抗する作用物質は、カドヘリン−11の1つ以上の活性、例えば結合活性など(例えば同型Cad−11への結合)に対して拮抗する(低下させる、阻止する、阻害する)能力を有する作用物質のスクリーニングによって同定されうる。かかる活性は、適切なインビトロまたはインビボアッセイを使用して評価されうる。カドヘリン−11活性に対する典型的なアッセイについては、先行的に記載がなされている(Patel SDら、Cell 124:1255−1268頁(2006年);Leeら、Science 315:1006−1010頁(2007年))。]
[0066] 一旦カドヘリン−11アンタゴニストが同定されると、カドヘリン−11アンタゴニストが、細胞内でのカドヘリン−11活性に関連した1つ以上の生物学的機能または特性に対して干渉する(例えば、低下させる、阻害する、阻止する)能力は、例えば、カドヘリン−11に関連した特定の生物学的機能または特性を測定するように設計された細胞に基づくアッセイを使用し、評価されうる。カドヘリン−11の発現および/または活性に関連することが公知である生物学的機能および特性は、限定はされないが、細胞接着、細胞遊走、細胞浸潤、細胞分取、細胞凝集、細胞再編成、組織の完全性および構造の維持、細胞増殖の接触阻害、ならびに癌(例えば腫瘍)細胞の悪性形質転換を含む(KienerおよびBrenner、Arthritis Res Ther.7(2):49−54頁(2005年))。さらに、Cad−11アンタゴニストは、本明細書中で、滑膜細胞による活性MMPの生成を阻害することが示されている。カドヘリンの1つ以上の生物学的機能の評価に適したアッセイは当業者に公知であり(例えば、Patel SDら、Cell 124:1255−1268頁(2006年))、例えば本明細書中に記載の細胞凝集アッセイを含む(実施例、材料および方法の項を参照)。]
[0067] 治療の方法
いかなる1つの理論に制約されるものではないが、Cad−11のEC1ドメインの最初の約35個のアミノ酸(例えば約33〜約37個のアミノ酸)が同型カドヘリン結合にとって必要とされ、Cad−11のこの領域に特異的に結合する作用物質がCad−11分子間の結合を有効に阻害しうると考えられる。したがって、かかる作用物質は、炎症関節における滑膜細胞内および他の細胞種内でのCad−11の発現および活性に関連した炎症性関節障害(例えばリウマチ様関節炎)の治療および予防において有用である。したがって、本発明の一態様は、哺乳動物被験体における炎症性関節障害を治療するための方法であって、ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインペプチド(配列番号3)に結合する治療有効量のカドヘリン−11アンタゴニストを被験体に投与するステップを含む、方法に関する。]
[0068] 本発明の方法を用い、哺乳動物(例えばヒト)における炎症性関節障害は、本発明のカドヘリン−11アンタゴニスト(例えば、抗体、融合タンパク質、小分子、核酸、ペプチド、ペプチド模倣体)を、治療効果を提供するのに十分な量で投与し、例えば、(例えば滑膜細胞などの)関節接合部においてカドヘリン−11を発現する、細胞の凝集を阻害するか、または細胞の遊走を阻害するか、または細胞による活性プロテアーゼまたは炎症性分子の発現を阻害することによって治療されうる。]
[0069] したがって、本発明の一態様は、哺乳動物被験体における炎症性関節障害を治療するための方法であって、治療有効量の本発明のカドヘリン−11アンタゴニストを被験体に投与するステップを含む、方法に関する。炎症性関節障害は、関節接合部の細胞(例えば滑膜細胞)内でのカドヘリン−11の発現に関連するかまたはそれによって特徴づけられる任意の疾患でありうる。本発明によって治療されうる炎症性関節障害の例として、限定はされないが、リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、ライター症候群および強直性脊椎炎が挙げられる。特定の実施形態では、炎症性関節障害はリウマチ様関節炎である。]
[0070] 一態様では、治療有効量のカドヘリン−11アンタゴニストがそれを必要とする患者に投与される。投与されるべきカドヘリン−11アンタゴニストの量(例えば治療有効量)は、本明細書中で提供される指針を用いて臨床医によって決定可能であり、当該技術分野で公知の他の方法は、例えば、選択される特定の作用物質、被験体の年齢、感受性、薬剤に対する耐性および全体的な健康状態(overall well−being)を含むいくつかの要素に依存している。例えば、抗体であるCad−11アンタゴニストに適した用量は、約0.01mg/kg〜約300mg/kg体重/処置および好ましくは約0.01mg/kg〜約100mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約10mg/kg体重/処置でありうる。小分子Cad−11アンタゴニストに適した用量は、約0.001mg/kg〜約100mg/kg、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.01mg/kg〜約1mg/kg体重/処置でありうる。タンパク質またはペプチド(線状、環状、模倣体)であるカドヘリン−11アンタゴニストに適した用量は、約0.1μg/mL〜約200μg/mLのペプチドの血漿濃度をもたらすことになる。特定の作用物質、患者および癌における用量を決定することは、十分に当業者の能力の範囲内にある。好ましくは、同用量は、有害な副作用(例えば、免疫原性応答、悪心、目まい、胃の不快感、過粘稠度症候群、鬱血性心不全、脳卒中、肺水腫)を引き起こさないか、または最低限のそれらをもたらす。]
[0071] 治療有効量のカドヘリン−11アンタゴニストは、単独でかまたは1つ以上の他の治療剤(例えば抗炎症剤)と組み合わせて投与されうる。炎症性関節障害、特にRAの治療にとって有用な適切な抗炎症剤は、本発明のCad−11アンタゴニストと組み合わせて投与可能であり、限定はされないが、(i)非ステロイド抗炎症薬(NSAID;例えば、デトプロフェン(detoprofen)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリン、サリチル酸コリン、サルサラート、ならびにサリチル酸ナトリウムおよびサリチル酸マグネシウム);(ii)ステロイド(例えば、コルチソン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン);(iii)DMARD、すなわち、疾患修飾性抗リウマチ薬(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、レフルノミド、シクロホスファミド、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、D−ペニシラミン、ミノサイクリン、および金);または(iv)組換えタンパク質(例えばENBREL(登録商標)(エタネルセプト、可溶性TNF受容体)、REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ、キメラモノクローナル抗TNF抗体)、ORENCIA(登録商標)(アバタセプト、可溶性CTLA4受容体)、ACTEMRA(登録商標)(トシリズマブ、IL−6受容体に対するモノクローナル抗体)、およびRITUXAN(登録商標)(リツキシマブ、CD20に対するモノクローナル抗体)を含む。]
[0072] したがって、カドヘリン−11アンタゴニストは、併用療法(例えば1つ以上の他の治療剤を伴う)の一部として投与されうる。Cad−11アンタゴニストは、1つ以上の他の治療剤の前、後またはそれと併用的に投与されうる。一部の実施形態では、カドヘリン−11アンタゴニストおよび他の治療剤は、別々の製剤または関節製剤のいずれかとして同時に(例えば併用的に)同時投与されうる。あるいは、作用物質は、熟練した臨床医が定めた適切な期間内で(例えば治療の薬学的効果の重複(overlap)を可能にするための十分な時間)、別々の組成物として連続的に投与されうる。カドヘリン−11アンタゴニストおよび1つ以上の他の治療剤は、所望の治療効果(例えば関節炎症の低減および/または阻害)を得るのに適した順序およびスケジュールで、単回用量または複数回用量で投与されうる。投与の適した用量およびレジメンは、臨床医によって決定可能であり、選択される作用物質、薬学的調合物および投与の経路、様々な患者因子ならびに他の検討事項に依存する。]
[0073] 治療の有効性(例えば、関節炎症の低減もしくは除去および/または関節炎症の阻止もしくは阻害)は、任意の適切な方法(例えばイメージング(MRI、NMR))によって判定されうる。]
[0074] 本発明の方法によると、治療有効量のCad−11アンタゴニストが哺乳動物被験体に投与され、炎症性関節障害が治療される。用語「哺乳動物被験体」は、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウス、または他のウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、齧歯類およびマウス種などの哺乳動物を含むように本明細書中で定義される。]
[0075] Cad−11アンタゴニストである作用物質は、種々の経路により、哺乳動物被験体に投与されうる。例えば、作用物質は、例えば、局所(例えば、クリーム、軟膏)、または経鼻(例えば、溶液、懸濁液)を含む、任意の適切な非経口または非経口でない(nonparenteral)経路によって投与されうる。非経口投与は、例えば、関節内、筋肉内、静脈内、脳室内、動脈内、髄腔内、皮下、または腹腔内投与を含みうる。作用物質はまた、経口的(例えば、カプセル、懸濁液、錠剤または食事の中に)、経皮的、皮内的、局所的、吸入(例えば、気管支内、鼻腔内、経口吸入または点鼻(intranasal drop))により、経粘膜的、または経直腸的に投与されうる。投与は、必要に応じて局所性または全身性でありえ、2つ以上の経路が必要に応じて併用されうる。Cad−11アンタゴニストの局所的投与は、関節内注射によって行われうる(例えば、作用物質の関節への直接注射)。好ましい投与の形式は、選択される特定の作用物質に依存して変化しうる。しかし、全身性静脈内または皮下投与は、一般に抗体にとって好ましい。]
[0076] 送達はまた、患者の脳もしくは体腔への注射または時限放出または持続放出のマトリックス送達システムの使用、またはミセル、ゲルおよびリポソームを使用するオンサイト送達によるものでありうる。噴霧デバイス(Nebulizing device)、粉末吸入器、およびエアロゾル化溶液(aerosolized solution)は、かかる製剤を気道に投与するのに用いられうる方法を代表する。送達は、インビトロ、インビボ、またはエクスビボでありうる。]
[0077] タンパク質(例えば融合タンパク質)である作用物質は、組換えタンパク質のインビボ発現を介して投与されうる。インビボ発現は、適切な方法に従う体細胞発現によってなされうる(例えば米国特許第5,399,346号明細書を参照)。さらに、タンパク質をコードする核酸はまた、送達のためにレトロウイルス、アデノウイルスまたは他の適切なベクター(好ましくは複製欠損型感染性ベクター)に組み込まれうるか、あるいは送達のため、タンパク質を発現可能な形質移入または形質転換宿主細胞に導入されうる。後者の実施形態では、細胞は、治療有効量のタンパク質を発現するのに有効な量で、移植(単独またはバリアデバイス(barrier device)で)、注射、または別の方法での導入がなされうる。]
[0078] 核酸に基づくカドヘリン−11アンタゴニスト(例えばアプタマー)は、いくつかの方法で目的の哺乳動物被験体に導入されうる。例えば、核酸は、宿主細胞内で発現ベクターまたはPCR産物から内因性に発現されうるか、あるいは合成または改変組成物(例えば、リポソーム、ポリマー、ナノ粒子)に封入され、それは次いで哺乳動物被験体の血流に(例えば、注射、注入により)直接導入されうる。抗カドヘリン−11核酸または核酸発現ベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴および単純ヘルペスウイルスベクター、改変ベクター、非ウイルス媒介ベクター)はまた、確立された遺伝子治療の方法およびプロトコルを用いて哺乳動物被験体に直接導入されうる(例えば、Tochilin V.P. Annu Rev Biomed Eng 8:343−375頁、2006年;「Recombinant DNA and Gene Transfer」、Office of Biotechnology Activities、National Institutes of Health Guidelinesを参照)。]
[0079] カドヘリン−11アンタゴニスト(例えば小分子)である作用物質は、薬学的または生理学的組成物の一部として、例えば、カドヘリン−11アンタゴニストおよび薬学的に許容されうる担体を含む医薬組成物の一部として哺乳動物被験体に投与されうる。カドヘリン−11アンタゴニストを含む調合物または組成物あるいはカドヘリン−11アンタゴニストおよび1つ以上の他の治療剤(例えば抗炎症剤)を含む組成物は、選択される投与の経路(例えば、溶液、エマルジョンまたはカプセル)に応じて変化することになる。適切な薬学的担体は、カドヘリン−11アンタゴニストと相互作用しない不活性成分を含有しうる。例えば「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Company(Easton,PA)に記載される標準の薬学的調合技術が用いられうる。非経口投与に適した薬学的担体として、例えば、滅菌水、生理学的食塩水、静菌性生理食塩水(bacteriostatic saline)(約0.9%mg/mlのベンジルアルコールを含有する生理食塩水)、リン酸塩緩衝生理食塩水、ハンクス溶液、リンガー乳酸塩などが挙げられる。調合物はまた、活性成分の有効性を高める少量の物質(例えば、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤、浸潤剤)を含みうる。組成物の封入(硬質ゼラチンまたはシクロデキストランのコーティング中など)の方法は、当該技術分野で公知である。吸入においては、作用物質は、投与のため、可溶化され、適切なディスペンサー(例えば、アトマイザーまたはネブライザーまたは加圧エアロゾルディスペンサー)に装填されうる。]
[0080] 薬学的作用物質は、中性化合物または塩もしくはエステルとして投与されうる。薬学的に許容されうる塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸または酒石酸などに由来する遊離アミノ基で形成される塩、ならびにナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来する遊離カルボキシル基で形成される塩を含む。アミンまたは他の塩基性基を有する化合物の塩は、例えば、適切な有機または無機酸、例えば塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩素酸などとの反応によって得られうる。第四級アンモニウム基を有する化合物はまた、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、過塩素酸塩などの対アニオンを有する。カルボン酸または他の酸性官能基を有する化合物の塩は、適切な塩基、例えばヒドロキシド塩基との反応によって調製されうる。酸性官能基の塩は、ナトリウムまたはカリウムなどの対カチオンを有する。]
[0081] 本発明は、ここでは次の実施例によって例示されることになり、それらは決して限定するように意図されていない。]
[0082] 実施例1:ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインのN末端の35個のアミノ酸中のエピトープに対する結合特異性を有するFabの同定
材料および方法
ウエスタンブロッティング
タンパク質を、標準的方法を用い、SDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース(NC)膜に移した。つまり、NC膜をトリス緩衝生理食塩水−Tween(TBST)(8.8g/LのNaCl、0.2g/LのKCl、3g/Lのトリス塩基、500ul/LのTween−20、pHを7.4)ですすいだ。膜を、TBST中に溶解した4%BSAで、22℃で1時間ブロッキングした。NC膜をそれぞれTBSTで5分間にわたって3回すすいだ。マウス抗ヒトCad−11抗体をTBST中で0.5μg/mlに希釈し、NCを22℃で1時間インキュベートした。NC膜をそれぞれTBSTで5分間にわたって3回すすいだ。西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)と複合したヤギ抗マウスIg抗体をTBST中で1μg/mlに希釈し、NC膜を、二次溶液中、22℃の室温(RT)で最低時間の1時間インキュベートした。NC膜をそれぞれTBSTで5分間にわたって3回すすいだ。シグナルを、標準のHRP方法を用いて発生させた。]
[0083] ELISA
抗原(5μg/mlもしくは50μgのCad−11−EC−1−Fcまたは5μg/mlのカドヘリンペプチドのいずれか)を緩衝液中で希釈し、使用し、プレートを4℃で一晩コーティングした。プレートを洗浄し、次いで、PBS希釈緩衝液中、1.5%BSA、5%低脂肪乳粉末(PBS中、1.5%BSA、2.5%低脂肪乳粉末、0.1%Tween−20)でブロッキングした。次いで、プレートを、抗Cad−11ヒトfAbを有する細菌溶解物と共にインキュベートするか、または抗Cad−11ヒトfAbで1時間精製した。洗浄後、二次抗体(Cy5複合hu−Fab(1/100に希釈))を25分間適用した。次いで、プレートを洗浄し、得られた蛍光を読み取った。]
[0084] 結果
先行的に報告されたカドヘリン−11に特異的な3つの抗体セットを、ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインに対する結合能について試験した。これらの抗体は、カドヘリン−11ノックアウトまたは欠損マウスにおいてマウスカドヘリン−11−Fc融合タンパク質免疫原に対して産生された抗体(Leeら、Science 315:1006−1010頁(2007年))、CHO細胞内で既に生成されたヒトカドヘリン−11−Fc融合タンパク質免疫原に対する、カドヘリン−11野生型マウスにおいて産生された抗体(Valenciaら、J.Exp.Med.200(12):1673−1679頁(2004年))、および、ヒトカドヘリン−11のEC1−3ドメインを有する細菌によって生成されたタンパク質に対する、カドヘリン−11野生型マウスにおいて産生された抗体を含んだ。これらの抗体を、ウエスタン分析により、ヒトCad−11のEC1ドメインのみ(カドヘリン−11−EC1−Fc)、Cad−11のEC1およびEC2ドメイン(Cad11−EC1/2−Fc)またはCad−11の全部で5つのECドメイン(カドヘリン−11−EC1−5−Fc)を有する融合タンパク質に対する結合能について試験した。ウエスタンブロットに対し、試験した抗体の中で、EC1−FcまたはEC1−2−Fc融合タンパク質を認識するものは全くなかった(図1A)。しかし、3つの試験セットの各々に由来する抗体は、細胞外ドメイン1〜5を含むヒトCad−11−Fc融合タンパク質を認識した(図1B)。これらの結果は、試験抗体がヒトCad−11のEC1またはEC2ドメインに結合しなかったが、このタンパク質の細胞外領域内の他の部分のエピトープを認識したことを示す。] 図1A 図1B
[0085] Cad11発現細胞に結合する入手可能な公表された抗Cad11抗体13C2、23C6、5F82(Lifespan Science)および283416(R&D Systems)、ならびにCad11 EC1結合抗体H1M1、および対照抗体MOPCを、ELISAにより、ヒトCad−11のEC1ドメインのみ(カドヘリン−11−EC1−Fc)またはCad−11の全部で5つのECドメイン(カドヘリン−11−EC1−5−Fc)を有する融合タンパク質に対する結合能について試験した。入手可能な公表された、試験した抗Cad11抗体の中で、EC1−Fcを認識するものは全くなかった(図1B、白棒)(283416についてのデータはここでは示されない)。しかし、Cad11 EC1結合H1M1抗体は、カドヘリン−11−EC1−Fcおよびカドヘリン−11−EC1−5−Fcの双方に結合した(図1B、黒棒)。対照MOPC抗体は、いずれの融合タンパク質にも結合しなかった。これらの結果は、入手可能な公表された抗Cad11抗体はヒトCad−11のEC1ドメインに結合しないが、このタンパク質の細胞外領域内の他の部分のエピトープを認識したことを示す。] 図1B
[0086] ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインのN末端の35個のアミノ酸中のエピトープに特異的な抗体を産生するため、ヒトFabをコードするファージディスプレイライブラリ(MorphoSys AG)をスクリーニングした。候補Fabを、2つの選択基準−ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインの最初の35個のアミノ酸を含むペプチドに結合するための陽性選択、および2つの密接に関連し、高度に相同なカドヘリン、カドヘリン−8およびMN−カドヘリンのEC1ドメイン由来の対応するペプチドに結合するための陰性選択を使用して同定した(図2)。ELISAを使用し、結合を評価した。] 図2
[0087] 2つのスクリーニングを実施した。第1のスクリーニングでは、カドヘリン−11のEC1ペプチドに結合する96個のFabクローンをELISAによって同定した。7つの候補FabがCad−11のEC−1ペプチドに結合したが、これらのうち2つだけがEC−1ペプチドおよびEC1−2−Fc融合タンパク質の双方に結合した。これら2つのFabの一方はまたMN−Cadペプチドに結合した。したがって、7つのFabクローンのうち1つだけがEC1−Fc融合タンパク質に特異的に結合したが、MN−Cadおよびカドヘリン−8の双方のEC1ドメインペプチドに結合しなかった。第2のスクリーニングでは、カドヘリン−11のEC1ペプチドおよびEC1−2−Fc融合タンパク質に対して特異性を示す、96Fabのうち1つだけ(クローンF9)が、MN−Cadおよびカドヘリン−8のEC1ドメインペプチドに結合できなかったことから、同様の結果が認められた(図3)。試験するCad−11のEC1ドメインに結合するFabの大部分が、Cad−11のEEY CAR配列と重なるEEY CAR配列を有するMN−Cadペプチドとの交差反応を示した。] 図3
[0088] 実施例2:インビトロアッセイにおいてカドヘリン−11のEC1ドメインに結合するFabがCad−11媒介性細胞凝集を阻害する
材料および方法
インビトロカドヘリン−11凝集アッセイ
431−D細胞は、懸濁液中で成長し、通常はカドヘリンを全く発現せず、凝集しない。431−D−11細胞は、遺伝子組み換えにより、Cad−11が発現されている。431−D−11細胞を40分間にわたって培地中で単独でインキュベートし、それらが凝集し始める場合、ウェルの底に沈んだ細胞塊および懸濁液中の残りの非凝集細胞が測定され、凝集431−D−11の百分率が計算されうる。凝集アッセイにおいては、431−D−11細胞(D−11細胞)を、フラスコ内でサブコンフルエンスまで成長させ、次いで0.05%トリプシン+0.53mMEDTAを使用し、フラスコから除去した。約2×106個の431−D−11細胞を、2mlのSME培地(ダルベッコ改良イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)−高グルコース、0.1Mヘペス、pH7.4および5U/mlのDNAse)に添加し、試験作用物質(例えば、抗体、Fab、融合タンパク質)のの不在下または存在下のいずれかで、氷上で15分間プレインキュベートした。試験作用物質とのプレインキュベーション後、細胞を24ウェルプレート上の丸底ウェルに移し、ロータリーシェーカー上、30rpmで回転させながら、37℃でインキュベートした。細胞は、凝集するにつれて、ウェルの底に沈む。0分後および40分後、試料の中央から200μlをウェルから除去し、25μlの8%グルタルアルデヒドと混合し、細胞を固定した。200μlの固定した細胞の試料を9.8mlのCoulter Counter等張生理食塩溶液に添加し、Coulter Counterセットを使用し、8μm〜24μmの閾値でカウントした。3の細胞カウント/試料を記録した。40分後の細胞の減少または凝集した細胞の(0分時点での百分率に対する)百分率を計算した。]
[0089] 結果
カドヘリン−11のEC1ドメインのN末端の35個のアミノ酸中のエピトープに対して結合特異性を有する候補Fab(クローンF9)は、MN−CadまたはCad−8のEC1ドメインに結合しないものであり、インビトロでのカドヘリン−11細胞凝集アッセイを使用し、Cad−11媒介性細胞凝集に対する阻害能について試験した。候補Fabは、細胞のカドヘリン−11媒介性凝集を1μg/ml以下の濃度で有意に阻害した(図4および5)。それに対し、EC1/2ドメイン外部のCad−11の細胞外領域内のエピトープに結合する13C2抗体から作製したFabは、10μg/mlの濃度のみでカドヘリン−11の凝集を阻害し、これは、F9 FabがCad−11の細胞外ドメインの他の部分に結合する抗体より低い濃度でCad−11活性をより効果的に阻害することを示唆する。] 図4
[0090] Cad−11媒介性細胞凝集はまた、Cad−11単独、Cad−11およびCad−8、Cad−11およびMN−Cad、またはCad−11、Cad−8およびMN−Cadのいずれかに対して特異的な様々な抗カドヘリン−11−EC1ドメインFabによって阻害された(図6および7)。試験したすべてのカドヘリン−EC1−ドメインに特異的なFabは、対照試料(例えばSME培地(図6)、GFPに特異的なFab(図7))に対し、インビトロで細胞凝集を阻害した。] 図6 図7
[0091] 実施例3:ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインを有するカドヘリン−11/免疫グロブリン融合タンパク質の生成
次のオリゴヌクレオチドプライマーを使用する、標準条件下で実施されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用し、カドヘリン−11のEC1領域を、完全長ヒトカドヘリン−11cDNAをコードするベクターから調製し(ヒトCad−11をInvitrogen pCEP4(登録商標)ベクターのNot1およびKpn−1部位にクローン化し)、EcoR1およびBglII部位(それぞれフォワードおよびリバースプライマー内の下線の配列を参照)を増幅産物に導入した。
フォワードプライマー:




リバースプライマー:]
[0092] 増幅産物を制限酵素EcoR1およびBglIIで消化し、消化産物を、単離し、対応するEcoR1およびBglII部位を使用したpFUSE−hIgG2e1−Fc1ベクター(InvivoGen)にライゲートした。TOP10コンピテント細菌(Invitrogen)を、製造業者による説明に従い、ライゲーション産物で形質転換し、カドヘリン−11−EC1−Fcプラスミドを伴う細菌をゼオマイシン(zeomycin)で選択した。カドヘリン−11−EC1−Fcプラスミドを単離し、配列決定し、次いで使用し、293F細胞に一時的に形質移入した。条件培地を回収し、カドヘリン−11−EC1−Fc融合タンパク質(配列番号9)を、タンジェンシャルフローフィルトレーションを使用して精製後、20mMヘペス(pH7.4)、137mM NaCl、3mM KClおよび1mM CaCl2の中で平衡化された50/50混合のプロテインA/プロテインGカラムで単離した。精製カドヘリン−11−EC1−Fc融合タンパク質を、0.1Mグリシン(pH3)および1mM CaCl2を使用し、カラムから溶出し、200μlの1Mトリス(pH7.4)および1mM CaCl2を有するチューブに入れた。次いで、Cad−11融合タンパク質を有する溶出液を、20mMヘペス(pH7.4)、137mM NaCl、3mM KClおよび1mM CaCl2に対して透析した。タンパク質のサイズをSDS PAGEによって確認し(図10)、ヒトFc領域を認識する抗体を使用するウエスタン分析(図11)およびN末端の配列決定(図示しない)によって同一性を確認した。Cad−11−EC1−2−Fcを、上記の場合に類似の技術および条件を用いて生成した。] 図10 図11
[0093] 実施例4:Cad−11−EC1−Fc免疫グロブリン融合タンパク質はインビトロアッセイにおいてCad−11媒介性細胞凝集を阻害する
材料および方法
マトリゲルプラグへの細胞浸潤/遊走
FLS遊走活性を、マトリゲル ECMでコーティングされたトランスウェル内、FLS培地(ダルベッコ改良イーグル培地−高グルコース[Sigma#D7777]、10%ウシ胎仔血清[Benchmark#100−106]、1%ペニシリン−ストレプトマイシン[Gibco315140−122]、1% L−グルタミン[Gibco#25030]、0.5%ゲンタマイシン[Gibco#15710−064])中で評価した。1×104個の細胞を有するFLS培地中のヒトFLS細胞懸濁液を、0.750mLのFLS培地を有する24ウェルプレートのウェル内にセットした対照インサートまたはマトリゲルコーティングされたインサートに添加した。次いで、プレートを、37℃、5%の大気中CO2で加湿された組織培養インキュベーター内で22時間インキュベートした。]
[0094] 遊走した細胞の数を計算するため、非浸潤細胞を、対照インサートの膜の上部表面から綿棒で拭き取ることによって除去した。2回目の拭き取りを、FLS培地で湿らせた綿棒を使用して繰り返す。次いで、対照インサートを固定し、分別染色キットを使用して染色した[Fisher#122−911]。インサートを乾燥状態にしておき、細胞を、10倍対物レンズでの顕微鏡を使用し、4分割した対照インサート内でカウントする。3つのインサートをカウントし、合計を平均する。]
[0095] マトリゲルインサートに浸潤した細胞の数を計算するため、非浸潤細胞を、マトリゲルインサートの表面から綿棒で拭き取ることによって慎重に除去した。2回目の拭き取りを、FLS培地で湿らせた綿棒を使用して繰り返す。次いで、インサートを固定し、分別染色キットを使用して染色した[Fisher#122−911]。インサートを乾燥状態にしておき、細胞を、10倍対物レンズでの顕微鏡を使用し、4分割した対照インサート内でカウントする。3つのインサートをカウントし、合計を平均する。]
[0096] 結果
Cad−11−EC1−Fcは、3μg/mlの濃度で細胞凝集を有意に阻害した一方、ヒトCad−11の全部で5つのECドメインを有する完全長Cad−11−EC1−5−Fcタンパク質は、100μg/mlの濃度でCad−11媒介性凝集を阻害した(図13)。これらのデータは、Cad−11−EC1−Fc免疫グロブリン融合タンパク質がインビトロアッセイにおいてCad−11媒介性細胞凝集を有効に阻害することを示す。]
[0097] さらに、Cad−11−EC1−Fc免疫グロブリン融合タンパク質の、ヒト線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)のマトリゲルプラグへの浸潤に対する阻害能をインビトロで試験した。FLSのマトリゲルへの浸潤は、マトリゲルを分解するための、FLSによるMMP1、MMP−3、MMP−13、セリンプロテアーゼ、および他のタンパク質の発現、ならびにFLSのマトリゲルへの遊走を伴う複合プロセスである。別々のアッセイにおいて、発明者は、正常な線維インサートを通るFLSの遊走が全く阻害されないことを見出した。これは、EC−Fcまたは13C2 mAbの影響として、マトリゲル(関節軟骨に対する代理)の分解が阻害されることを示唆している。Cad−11−EC1−Fcとマウス抗Cad−11mAb 13C2の双方が、2つの独立実験において、FLSのマトリゲルプラグへの浸潤を阻害した。]
[0098] 実施例5:ヒトカドヘリン−11のEC1ドメインペプチドに対する抗体の作製
材料および方法
Balb/cマウスを、BSAに共有結合した、ヒトCad−11 EC1ドメインの最初の33個のアミノ酸(GWVWN QFFVI EEYTG PDPVL VGRLHSDIDSGDG(配列番号10))に対応する0.01mgのペプチドで、1か月にわたり週2回、脚パッドに9回免疫した。このペプチドは本明細書中でペプチド4と称される。免疫マウス由来の脾臓を採取し、マウス融合パートナーP3X63−Ag8.653と融合し、抗体産生ハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマを増殖させ、10、3または0.5細胞/ウェルのいずれかでサブクローン化し、ハイブリドーマ由来の抗Cad−11抗体含有培地を、細菌内で生成されるCad−11 EC1−2ドメインを含むタンパク質に対する特異的結合能について、ELISAでスクリーニングした。これらのペプチド4ハイブリドーマ由来の抗Cad−11抗体含有培地を、ヒトCad−8およびMN−カドヘリンのEC1−2ドメインを含むタンパク質への結合の不在について同時スクリーニングした。96ウェルEIAプレートを、各EC1−2 Cadタンパク質につき0.05mlの0.0〜0.3mg/mlで、4℃で一晩コーティングし、次いで生理食塩緩衝液で数回洗浄した。次いで、プレートを0.25mlのカゼイン−PBS緩衝液でブロッキングし、生理食塩緩衝液で数回洗浄した。抗Cad−11抗体を含有するハイブリドーマ培地を、各ウェル内で、22℃で1時間正確にインキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。ヤギ抗マウスIgG二次抗体の1/1000希釈物100μlを各ウェルに添加し、22℃で30分間インキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。100μl/ウェルの室温TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)試薬を各ウェルに添加し、22℃で5分間着色させておいた。反応を100μlの室温2N硫酸で停止し、プレートを、Wallac 1420マイクロプレートリーダー上、450nmで読み取った。]
[0099] H1M1およびH14抗Cad−11抗体の特異性を、Cad−11、Cad−7、Cad−8、Cad−20、Cad−24、Cad−9、Cad−18、およびMN−CadのEC1ドメインの最初の33個のアミノ酸に対し、ELISAを使用してさらに試験した。Cad−11 EC1ドメインのG1〜G33領域と重なるCad−7、Cad−8、Cad−20、Cad−24、Cad−9、Cad−18、MN−Cadの領域に対応するペプチドを合成し、ビオチンに複合した。PBS−Tween(0.05%)中の、これらの各ペプチドにつき30ng/mlの溶液100μlを、96ウェルNeutravidinプレートの各ウェル内で、4℃で2〜3時間インキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。様々な濃度の抗Cad−11抗体を、各ウェル内、22℃で1時間インキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。ヤギ抗マウスIgG二次抗体の1/1000希釈物100μlを各ウェルに添加し、22℃で30分間インキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。100μl/ウェルの室温TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)試薬を各ウェルに添加し、22℃で5分間着色させておいた。反応を100μlの室温2N硫酸で停止し、プレートを、Wallac 1420マイクロプレートリーダー上、450nmで読み取った。]
[0100] 陽性抗Cad−11抗体ハイブリドーマを含有するウェル由来の培地を、Cad−11発現細胞に対する結合能について試験した。凍結Cad−11発現431D細胞を解凍し、Ca2+を含有するハンクス緩衝生理食塩液(HBSS)(0.137M NaCl、5.4mM KCl、0.25mM Na2HPO4、0.44mM KH2PO4、1.3mM CaCl2、1.0mM MgSO4および4.2mM NaHCO)で2回洗浄し、次いでCa2+を含有するHBSSに、106細胞/mlで再懸濁した。105細胞/ウェルを、50%または16%のいずれかの抗Cad−11抗体培地で、氷上で45分間染色し、Ca2+を含有するHBSSで2回洗浄し、1%の濃度でのフィコエリトリンと複合された二次ヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson ImmunoResearch(West Grove,PA))で、氷上で45分間染色し、次いでCa2+を含有するHBSSで2回、再洗浄した。次いで、細胞をCa2+および1%ホルムアルデヒドを含有するHBSS400μlに再懸濁し、次いでPE陽性細胞について、FACScalibur(Becton Dickenson(Franklin Lakes,NJ))で分析した。]
[0101] 結果
ペプチド4ハイブリドーマ由来の抗Cad−11抗体含有培地は、Cad−11 EC1−2タンパク質(図16、HL対CAD11)に結合したが、Cad−8およびMN−CadのEC1−2ドメインを含むタンパク質(図16、それぞれHL対CAD8およびHL対MNCAD)に結合しなかった。対照ハイブリドーマ培地は、試験したカドヘリンタンパク質のいずれにも結合しなかった(図16、Media対CAD11、Media対CAD8、およびMedia対MNCAD)。これらのデータは、ハイブリドーマにおいてペプチド4に対するCad−11特異抗体が存在することを示す。] 図16
[0102] 本明細書中でH1M1およびH14と称される2つのペプチド4ハイブリドーマは、ヒトCad−11タンパク質を発現する細胞に結合したが(図17A〜Cおよび17G〜I)、非Cad−11対照431−D細胞に結合しなかった(図17D〜17F)。H1M1と称されるハイブリドーマ細胞系は、2009年1月8日に寄託されている、A.T.C.C.指定番号____を有する。H14と称されるハイブリドーマ細胞系は、2009年1月9日に寄託されている、A.T.C.C.指定番号____を有する。これらのハイブリドーマは、ペプチド4およびCad−11発現細胞の双方をインビトロで認識する抗Cad−11抗体を有する。これら抗体のCad−11発現細胞への結合は、H1M1(図18A)およびH14(図18B)の力価測定に対する平均蛍光強度(MFI)からの細胞染色の強度のプロットで示されるように、使用されるペプチド4抗体の量で力価測定することで示された。] 図18A 図18B
[0103] H1M1およびH14ペプチド4抗Cad−11抗体は、Cad−11に対し、Cad−7、Cad−8、Cad−20、Cad−24、Cad−9、Cad−18、およびMN−Cadを含む試験した他のカドヘリンのいずれよりも100倍を超える結合性を示した。ほとんどの場合、H1M1およびH14抗Cad−11抗体の他のカドヘリンに対する結合は全く認められなかった。抗Cad−11抗体H14は、Cad−11に対しては強い結合(図19A)に加え、Cad−8に対しては468倍弱い結合(図19A)を示し、また、Cad−7、MN−Cad、Cad−9、Cad−18、Cad−20またはCad−24に対しては仮想的に全く結合しなかった(図19B)。同様に、抗Cad−11抗体H1M1は、Cad−11に対しては強い結合(図20)に加え、Cad−8に対しては365倍弱い結合(図20)を示し、また、Cad−7、MN−Cad、Cad−9、Cad−18、Cad−20またはCad−24に対しては全く結合しなかった(データは示さず)。] 図19A 図19B 図20
[0104] 実施例6:抗Cad−11 EC1ドメイン抗体H1M1およびH14は、アミノ酸配列GPDPを含む、Cad−11 EC1ドメイン内のエピトープに結合する
材料および方法
ペプチド4 Cad−11 EC1抗体H1M1およびH14が結合するCad−11 EC1ドメイン内のエピトープを判定するため、EC1領域の最初の37個のアミノ酸を範囲とする4つの異なるペプチド(図22を参照)をELISAフォーマットで固定化し、4つのペプチドの各々に対するH1M1およびH14抗体の結合能を測定した。96ウェルReactibindプレートを、0.3ng/ウェルのペプチド1(Cad−11 EC1ドメインのアミノ酸G1〜P18)、0.3ng/ウェルのペプチド2(Cad−11 EC1ドメインのアミノ酸G15〜N34)、0.3ng/ウェルのペプチド3(Cad−11 EC1ドメインのアミノ酸V19〜Y37)、0.3ng/ウェルの免疫原ペプチド4(Cad−11 EC1ドメインのアミノ酸G1〜G33)、全EC1ドメイン(EFL)を含む20ngの融合タンパク質、または20ngの対照ヒトIg(Fc−ブロック)で、4℃で一晩コーティングした。ウェルを、PBS−Tween(0.05%)で2回洗浄し、dH2O中のカゼインで、22℃で3時間ブロッキングし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回、再洗浄した。異なるペプチド4CAD−11 EC1ドメイン抗体の様々な希釈物を、ペプチド−またはタンパク質−コーティングウェルに移し、22℃で45分間インキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。ヤギ抗マウスIgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch(West Grove,PA))の1/1000希釈物100μlを各ウェルに添加し、22℃で30分間インキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。100μl/ウェルの室温TMB試薬を各ウェルに添加し、22℃で5分間着色させておいた。反応を100μlの室温2N硫酸で停止し、プレートを、Wallac 1420マイクロプレートリーダー上、450nmの波長で読み取った。] 図22
[0105] 結果
1:11でのペプチド4抗Cad−11抗体H1M1(図21A)および1:23でのH14(図21B)の双方は、ELISAにおいてOD450プレート読み取り値の対照に対する増加によって示されるように、ペプチド4(PEP4)免疫原およびEC1ドメイン融合タンパク質(EFL)に結合した。これらの抗体のいずれも、ヒトIgG対照(Fcブロック)に結合しなかった。さらに、両抗体は、ELISAにおいて、ペプチド2(PEP2)に結合したが、ペプチド1(PEP1)またはペプチド3(PEP3)に結合しなかった(図21Aおよび21B)。] 図21A 図21B
[0106] これらの結果は、抗Cad−11 EC1ドメイン抗体H1M1およびH14が、重複するペプチド3中に存在しない、ペプチド2および4中の共通のエピトープに結合することを示唆する。ペプチド3の上流にあるペプチド2および4によって共有されるアミノ酸が、図22中に示されるボックス領域内で強調される。Cad−11 EC1ドメインのG15から始まるこれら4つのアミノ酸GPDP(配列番号11)は、H1M1およびH14抗体によって認識されるエピトープの一部である可能性が高い。] 図22
[0107] 実施例7:抗Cad−11 EC1ドメイン抗体H1M1およびH14はインビトロでCad−11発現細胞の凝集を阻害する
材料および方法
Cad−11抗体の、Cad−11媒介性細胞凝集に対する阻害能を評価するため、30μg/mlのH1M1ペプチド4抗体を、24ウェル丸底ポリプロピレンプレート内、0.5mlのDMEM−高グルコース、20mMヘペス(pH7.4)、10%FCSおよび10U/ml DNAse中で、75,000個のCad−11発現A−431−D類表皮癌細胞と共に培養した。24ウェルプレートを、約60rpmでの回転プラットフォーム上に配置し、5%CO2と共に37℃で一晩インキュベートした。翌日、細胞凝集を、(H1M1実験における)100倍または(H14実験における)40倍の倍率でプレートを撮影後、評価した。]
[0108] 結果
対照アイソタイプ抗体(30μg/ml)の存在下で、Cad−11発現細胞は大きな塊を形成した一方(図23A)、親Cad−11陰性細胞は単一または2つの細胞集団として残存する(図23C)。H1M1で処置されたCad−11細胞は小さな細胞塊として残存し(図23B)、それは対照抗体を使用して得られる大きな塊を形成するまで至らなかった。] 図23A 図23B 図23C
[0109] 同じアッセイを使用し、抗Cad−11抗体H14はまた、Cad−11媒介性凝集を阻害することが示された。親Cad−11発現細胞が大きい凝集細胞塊を形成した一方(図24A)、H14抗体(図24B)は、細胞塊が小さく低頻度であったことから30μg/mlの濃度で凝集を阻害した。これらの結果は、抗Cad−11抗体H1M1およびH14がインビトロでCad−11媒介性細胞凝集を阻害することを示す。] 図24A 図24B
[0110] 実施例8:抗Cad−11 EC1ドメイン抗体H1M1およびH14は、リウマチ様関節炎のマウスモデルにおいて、インビボで関節炎に随伴する関節腫脹を阻害する
材料および方法
試験1−0日目および2日目、6週齢雄C57/Bl6マウスに150μlのKBN血清を注射した。KBN血清で処置したマウスは、生理食塩水の注射を受けたか(図25、白三角形)または異なる用量のH1M1抗Cad−11 EC1抗体で処置された。処置レジメンは、0日目での0.5mgの抗体/マウスと、その後、1日おき(q2d)での0.1mgの抗体/マウス(0.5mg+0.1mg)の投与(図25、黒三角形);0日目での0.5mgの抗体/マウス(0.5mg)の投与(図25、菱形);1日おき(q2d)での0.1mgの抗体/マウス(0.1mg+0.1mg)の投与(図25、四角形);または1日おき(q2d)での0.3mgの抗体/マウス(0.3mg+0.3mg)の投与(図25、円形)を含んだ。対照群はマウス5匹からなり、処置群はマウス7匹からなった。関節炎に随伴する関節腫脹を、キャリパー測定値を1日おきにとることによって測定した。] 図25
[0111] 試験2−0日目および2日目、6週齢雄C57/Bl6マウスに150μlのKBN血清を注射し、次いでそれらを、1日おき(q2d)に生理食塩水(図26、三角形)、または、0.3mg/用量(q2d)で、抗Cad−11抗体H1M1(図26、四角形)もしくはH14(図26、円形)の一方のいずれかで処置した。対照群はマウス5匹からなり、処置群はマウス7匹からなった。関節炎に随伴する関節腫脹を、キャリパー測定値を1日おきにとることによって測定した。] 図26
[0112] 結果
試験1−H1M1抗Cad−11抗体は、対照マウスに対して関節腫脹を阻害した。KBNで処置されたマウスに0.3mgのH1M1抗体を1日おきに投与することにより、関節炎に随伴する関節腫脹の最大の阻害を認めた(図25、円形)。] 図25
[0113] 試験2−抗Cad−11抗体の双方が、対照に対し、関節腫脹を阻害した。本試験では、H14抗体は、対照動物に対し、関節炎の発症を有意に遅延させた(図27)。対照群におけるすべてのマウスが3日目までに関節炎を発症する一方、H14で処置されたマウスは、すべての動物が関節炎を発症するまで6日を要した。] 図27
[0114] これら試験は、ヒトCad−11のEC1ドメインに対する抗体がインビボで関節炎の発症および重症度を阻害しうることを示す。]
[0115] 実施例9:ヒトカドヘリン−11の別のEC1ドメインペプチドに対する抗体の作製
材料および方法
Balb/cマウスを、BSAに共有結合した、ヒトCad−11 EC1ドメインの最初の19個のアミノ酸に対応する0.01mgのペプチドV19〜Y37(VL VGRLHSDIDSGDGNI KY(配列番号12))で、1か月にわたり週2回、脚パッドに9回免疫した。このペプチドは本明細書中でペプチド3と称される。免疫マウス由来の脾臓を採取し、マウス融合パートナーP3X63−Ag8.653と融合し、抗体産生ハイブリドーマを作製した。これらのハイブリドーマを増殖させ、ハイブリドーマ由来の抗Cad−11抗体含有培地を、細菌内で生成されるCad−11のEC1−2ドメインに対応するタンパク質に対する結合能についてスクリーニングした。これらのペプチド3ハイブリドーマ由来の抗Cad−11抗体含有培地を、Cad−8およびMN−カドヘリンのEC1−2ドメインを含むタンパク質への結合の不在について同時スクリーニングした。96ウェルEIAプレートを、EC1−2 Cadタンパク質またはCHO細胞で生成されるEC1−Fc融合タンパク質の各々の1つにつき0.05mlの0〜300mg/mlで、4℃で一晩コーティングし、次いで生理食塩緩衝液で数回洗浄した。次いで、プレートを0.25mlのカゼイン−PBS緩衝液を使用してブロッキングし、次いで生理食塩緩衝液で数回洗浄した。ペプチド3の抗Cad−11抗体を含有するハイブリドーマ培地を、各ウェル内で、22℃で1時間そのままでインキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。ヤギ抗マウスIgG二次抗体の1/1000希釈物100μlを各ウェルに添加し、22℃で30分間インキュベートし、次いでPBS−Tween(0.05%)で2回洗浄した。100μl/ウェルの室温TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)試薬を各ウェルに添加し、22℃で5分間着色させておいた。反応を100μlの室温2N硫酸で停止し、プレートを、Wallac 1420マイクロプレートリーダー上、450nmで読み取った。]
[0116] また、ペプチド3ハイブリドーマ由来の培地を、細胞上に発現されるヒトCad−11タンパク質に対する結合能について試験した。凍結Cad−11発現431D細胞を解凍し、Ca2+を有するHBSSで2回洗浄し、次いでCa2+を含有するHBSSに106細胞/mlで再懸濁した。105細胞/ウェルを、50%または16%のいずれかの抗Cad−11抗体培地で、氷上で45分間染色し、Ca2+を含有するHBSSで2回洗浄し、次いで1%の濃度でのフィコエリトリンと複合された二次ヤギ抗マウスIgG抗体で、氷上で45分間染色し、次いでCa2+を含有するHBSSで2回、再洗浄した。次いで、細胞をCa2+を含有するHBSS400μlおよび1%ホルムアルデヒドに再懸濁し、次いでPE陽性細胞について、FACScaliburで分析した。]
[0117] 結果
ペプチド3ハイブリドーマ由来の抗Cad−11抗体含有培地は、Cad−11 EC1−2タンパク質およびEC1−Fc融合タンパク質(図28、それぞれHL対CAD11およびHL対Cad11−EC1)に結合したが、Cad−8およびMN−CadのEC1−2ドメインを含むタンパク質(図28、それぞれHL対CAD8およびHL対MNCAD)に結合しなかった。対照ハイブリドーマ培地は、カドヘリンタンパク質のいずれにも結合しなかった(図28、Media対CAD11、Media対CAD8、およびMedia対MNCAD)。] 図28
[0118] ペプチド3ハイブリドーマ由来の抗Cad−11抗体はまた、ヒトCad−11タンパク質を発現する細胞に結合したが(図29、矢印を参照)、Neoを発現する非Cad−11発現対照細胞に結合しなかった。この結果により、インビトロでペプチド3およびCad−11発現細胞の双方を認識するハイブリドーマにおける抗Cad−11抗体の存在が確認された。] 図29
[0119] 本明細書中に引用されるすべての特許、公開された出願および参考文献の関連の教示は、それら全体が参照により援用される。]
[0120] 本発明は、特にその例示的な実施形態を参照して示され、説明されている一方、形式および詳細における様々な変更が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく本明細書中でなされうることが当業者によって理解されるであろう。]
実施例

[0121] ]
权利要求:

請求項1
哺乳動物カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合するカドヘリン−11アンタゴニストであって、前記哺乳動物カドヘリン−11タンパク質を発現する細胞の凝集を阻害する、カドヘリン−11アンタゴニスト。
請求項2
配列番号3に結合する、請求項1に記載のカドヘリン−11アンタゴニスト。
請求項3
前記カドヘリン−11アンタゴニストは、抗体、融合タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、核酸、および小分子からなる群から選択される、請求項1に記載のカドヘリン−11アンタゴニスト。
請求項4
哺乳動物カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合する単離抗体であって、前記哺乳動物カドヘリン−11タンパク質を発現する細胞の凝集を阻害する、単離抗体。
請求項5
前記抗体は配列番号3内に存在するエピトープに結合する、請求項4に記載の単離抗体。
請求項6
前記エピトープはアミノ酸配列EEYを含まない、請求項5に記載の単離抗体。
請求項7
前記抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、および抗体断片からなる群から選択される、請求項4に記載の単離抗体。
請求項8
前記抗体は抗体断片である、請求項7に記載の単離抗体。
請求項9
前記抗体断片は、Fab、Fab’、F(ab')2およびscFvからなる群から選択される、請求項8に記載の単離抗体。
請求項10
哺乳動物免疫グロブリンタンパク質の少なくとも一部および配列番号2のアミノ酸54〜90を含むヒトカドヘリン−11細胞外領域の一部を含む融合タンパク質であって、ここで前記ヒトカドヘリン−11細胞外領域の前記一部は、配列番号2のアミノ酸1〜609からなるヒトカドヘリン−11細胞外領域全体を含まない、融合タンパク質。
請求項11
配列番号2のアミノ酸1〜150を含む、請求項10に記載の融合タンパク質。
請求項12
配列番号2のアミノ酸1〜160を含む、請求項10に記載の融合タンパク質。
請求項13
配列番号2のアミノ酸1〜259を含む、請求項10に記載の融合タンパク質。
請求項14
配列番号2のアミノ酸1〜269を含む、請求項10に記載の融合タンパク質。
請求項15
配列番号2のアミノ酸1〜53が欠如する、請求項10に記載の融合タンパク質。
請求項16
前記哺乳動物免疫グロブリンタンパク質はヒトIgG2タンパク質である、請求項10に記載の融合タンパク質。
請求項17
ヒトIgG2のヒンジ−CH2−CH3部分を含む、請求項16に記載の融合タンパク質。
請求項18
単量体、二量体または四量体である、請求項10に記載の融合タンパク質。
請求項19
処置を必要とする哺乳動物被験体における炎症性関節障害を治療する方法であって、哺乳動物カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合するカドヘリン−11アンタゴニストの治療有効量を前記被験体に投与するステップを含み、ここで前記カドヘリン−11アンタゴニストは、前記被験体の1つ以上の関節において前記哺乳動物カドヘリン−11タンパク質を発現する細胞の凝集を阻害する、方法。
請求項20
前記カドヘリン−11アンタゴニストは配列番号3に結合する、請求項19に記載の方法。
請求項21
前記炎症性関節障害は、リウマチ様関節炎、骨関節炎、乾癬性関節炎、ライター症候群および強直性脊椎炎からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
請求項22
前記炎症性関節障害はリウマチ様関節炎である、請求項19に記載の方法。
請求項23
前記カドヘリン−11アンタゴニストは単離抗体である、請求項19に記載の方法。
請求項24
前記カドヘリン−11アンタゴニストは、哺乳動物免疫グロブリンタンパク質の少なくとも一部および配列番号2のアミノ酸54〜90を含むヒトカドヘリン−11細胞外領域の一部を含む融合タンパク質であり、ここで前記ヒトカドヘリン−11細胞外領域の前記一部は、配列番号2のアミノ酸1〜609からなるヒトカドヘリン−11細胞外領域全体を含まない、請求項19に記載の方法。
請求項25
前記哺乳動物被験体はヒトである、請求項19に記載の方法。
請求項26
前記カドヘリン−11アンタゴニストは全身に投与される、請求項19に記載の方法。
請求項27
前記カドヘリン−11アンタゴニストは静脈内に投与される、請求項19に記載の方法。
請求項28
前記カドヘリン−11アンタゴニストは関節への直接注射によって投与される、請求項19に記載の方法。
請求項29
前記カドヘリン−11アンタゴニストは、前記被験体の1つ以上の関節において前記哺乳動物カドヘリン−11タンパク質を発現する細胞の遊走、接着、軟骨への浸潤、または細胞間シグナル伝達を阻害する、請求項19に記載の方法。
請求項30
前記カドヘリン−11アンタゴニストは、前記被験体の1つ以上の関節において前記哺乳動物カドヘリン−11タンパク質を発現する細胞内での、コラゲナーゼ、セリンプロテアーゼ、およびマトリックスメタロプロテイナーゼからなる群から選択される酵素の発現または活性の誘導を阻害する、請求項19に記載の方法。
請求項31
前記カドヘリン−11アンタゴニストは、前記被験体の1つ以上の関節において前記哺乳動物カドヘリン−11タンパク質を発現する細胞内での、IL−6、IL−8、RANKLおよびTRANCEからなる群から選択されるサイトカインまたは成長因子の発現または活性の誘導を阻害する、請求項19に記載の方法。
請求項32
前記カドヘリン−11アンタゴニストは、疾患改善抗リウマチ薬と併用投与される、請求項19に記載の方法。
請求項33
前記疾患改善抗リウマチ薬はメトトレキサートである、請求項32に記載の方法。
請求項34
前記カドヘリン−11アンタゴニストは抗炎症剤と併用投与される、請求項19に記載の方法。
請求項35
前記抗炎症剤はNSAIDまたはステロイドである、請求項34に記載の方法。
請求項36
前記抗炎症剤は疾患改善抗リウマチ薬または組換えタンパク質である、請求項34に記載の方法。
請求項37
哺乳動物カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合し、かつ前記哺乳動物カドヘリン−11を発現する細胞の凝集を阻害するカドヘリン−11アンタゴニスト、および薬学的に許容されうる担体を含む医薬組成物。
請求項38
前記カドヘリン−11アンタゴニストは配列番号3に結合する、請求項37に記載の医薬組成物。
請求項39
前記カドヘリン−11アンタゴニストは単離抗体である、請求項37に記載の医薬組成物。
請求項40
前記カドヘリン−11アンタゴニストは、哺乳動物免疫グロブリンタンパク質の少なくとも一部および配列番号2のアミノ酸54〜90を含むヒトカドヘリン−11細胞外領域の一部を含む融合タンパク質であり、ここで前記ヒトカドヘリン−11細胞外領域の前記一部は、配列番号2のアミノ酸1〜609からなるヒトカドヘリン−11細胞外領域全体を含まない、請求項37に記載の医薬組成物。
請求項41
疾患改善抗リウマチ薬をさらに含む、請求項37に記載の医薬組成物。
請求項42
前記疾患改善抗リウマチ薬はメトトレキサートである、請求項41に記載の医薬組成物。
請求項43
抗炎症剤をさらに含む、請求項37に記載の医薬組成物。
請求項44
前記抗炎症剤はNSAIDまたはステロイドである、請求項43に記載の医薬組成物。
請求項45
前記抗炎症剤は疾患改善抗リウマチ薬または組換えタンパク質である、請求項43に記載の医薬組成物。
請求項46
前記抗体は配列番号10内に存在するエピトープに結合する、請求項4に記載の単離抗体。
請求項47
前記抗体は配列番号11を含むエピトープに結合する、請求項4に記載の単離抗体。
請求項48
前記抗体は配列番号12内に存在するエピトープに結合する、請求項4に記載の単離抗体。
請求項49
前記単離抗体は配列番号11を含むエピトープに結合する、請求項23に記載の方法。
請求項50
前記単離抗体は、配列番号10、配列番号12、および配列番号13からなる群から選択される少なくとも1つの配列内に存在するエピトープに結合する、請求項23に記載の方法。
請求項51
前記単離抗体は配列番号11を含むエピトープに結合する、請求項39に記載の医薬組成物。
請求項52
前記単離抗体は、配列番号10、配列番号12、および配列番号13からなる群から選択される少なくとも1つの配列内に存在するエピトープに結合する、請求項39に記載の医薬組成物。
請求項53
請求項4に記載の抗体をコードする単離核酸。
請求項54
前記核酸はベクター内に存在する、請求項53に記載の単離核酸。
請求項55
請求項4に記載の抗体を発現する単離細胞。
請求項56
ハイブリドーマH1M1(ATCC登録番号____)の細胞。
請求項57
ハイブリドーマH14(ATCC登録番号____)の細胞。
請求項58
ハイブリドーマH1M1(ATCC登録番号____)によって産生される抗体。
請求項59
ハイブリドーマH14(ATCC登録番号____)によって産生される抗体。
請求項60
治療を必要とする哺乳動物被験体における炎症性関節障害を治療するための、哺乳動物カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合するカドヘリン−11アンタゴニストの使用。
請求項61
治療を必要とする哺乳動物被験体における炎症性関節障害を治療するための薬剤の製造における、哺乳動物カドヘリン−11タンパク質のEC1ドメインに特異的に結合するカドヘリン−11アンタゴニストの使用。
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