专利摘要:
本発明は、一般的には多糖シンターゼに関する。より詳細には、本発明は、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼに関する。本発明は、とりわけ、細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルに影響を及ぼす方法、ならびに(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードする核酸およびアミノ酸配列を提供する。なし
公开号:JP2011509072A
申请号:JP2010538283
申请日:2008-12-24
公开日:2011-03-24
发明作者:ジョブリング,ステファン,アラン;ダブリン,モニカ,スザンヌ;バートン,レイチェル,アニータ;フィンチャー,ジェフリー,ブルース;ベイシック,アントニー;ペットリノ,フィロメナ,アンジェラ
申请人:グレインズ リサーチ アンド ディベロップメント コーポレーション;コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション;ザ ユニバーシティ オブ メルボルン;ザ ユニバーシティー オブ アデレード;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 優先権主張
本発明は、オーストラリア仮特許出願2007907071の優先権を主張するものであり、その内容を参照により本明細書に援用する。]
[0002] 発明の分野
本発明は、一般的には多糖シンターゼに関する。より具体的には、本発明は(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼに関する。]
背景技術

[0003] 穀類の各種組織は、穀粒成長中、休眠中および発芽後において、多様な機能を有する。]
[0004] 例えば、果皮膜および種皮の組織は、発育中および休眠中に種を保護することに係わる。しかし、穀粒が成熟し、穀粒のこれらの外側組織が死んだ後、組織内残留物は、ほぼ全体が細胞壁残留物から構成される。種皮とアリューロン表面との間にある核組織は、穀粒成長のために栄養素の伝達に関与するが、成熟と同時にこの組織もまた、細胞壁断片を残すのみで崩壊する。成熟した穀粒のデンプン質の胚乳の薄い有壁細胞は死ぬが、デンプンと貯蔵タンパク質が充満する。対照的に、厚い有壁かつ有核のアリューロン細胞は、穀粒の成熟時点でも生きており、タンパク体および脂肪滴が充満している。デンプン質胚乳の接触面には胚盤があり、胚乳を発育させるための栄養素を運ぶ役割をすると共に、発芽中に胚乳の貯蔵物の消化産物を成長する胚に輸送する。]
[0005] 穀粒中の各組織の異なる構造と機能は、少なくとも1つには、これらの細胞種それぞれの細胞壁組成によって決まる。]
[0006] 非セルロース多糖類は、穀類組織の細胞壁における主要な成分であり、例えば(1,3;1,4)−β−D−グルカン、ヘテロキシラン(主にアラビノキシラン)、グルコマンナン、キシログルカン、ペクチン多糖類およびカロースなどを含む。これら非セルロース多糖類は、通常、穀粒全重量の10%未満を構成するにすぎないが、穀粒品質の重要な決定因子である。]
[0007] 個々の非セルロース多糖類とその他の壁構成成分との正確な物理的関係は述べられてこなかったが、壁中で、セルロースの微小線維は非セルロース多糖類およびタンパク質のマトリックス相に組み込まれいる。壁の完全性は、主にマトリックス相と微小線維構成素との間の広範な非共有結合相互作用、特に水素結合によって維持される。いくつかの穀粒組織の壁中に、ヘテロキシラン、リグニンおよびタンパク質の間に共有結合が存在する。各成分間の共有結合の範囲は、壁の種類および遺伝子型によっても異なる。]
[0008] 非セルロース多糖類、特にヘテロキシランおよび(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、アリューロンおよびデンプン質胚乳の壁、また恐らくは、胚盤においても、比較的高い割合を占める。これらの組織において、セルロース含量はそれに応じて低くなる。該してセルロース含有量が低い壁は、リグニンを全く含まないという事実の他、穀粒の中央部の壁の構造的な硬さに関する限定的な要件、および穀粒の発芽後に壁成分を急速に脱重合するための要件に関係すると考えられている。]
[0009] 対照的に、果皮膜の細胞壁は、胚および胚乳のための保護膜を提供し、発芽中に動員されないものであるが、同細胞壁中のセルロースおよびリグニンの含有量は非常に高く、非セルロース多糖類の濃度は、それに応じて低い。]
[0010] (1,3;1,4)−β−D−グルカンは、混合結合もしくは穀類β−グルカンとも呼ばれ、非セルロース多糖類であるが、穀類および牧草が属する単子葉植物イネ科(Poaceae)の植物、および同類のイネ目(Poales)の近縁ファミリーに天然に存在する。]
[0011] これらの非セルロース多糖類は、ほとんどの穀粒のデンプン質胚乳およびアリューロン細胞壁において重要な構成物質であり、細胞壁の最高で70重量%から90%重量までを占めることがよくある。]
[0012] オオムギ、オートムギおよびライムギは(1,3;1,4)−β−D−グルカンの豊富な供与源であるが、これらに比べ、コムギ、イネおよびトウモロコシは、この多糖類濃度が低い。(1,3;1,4)−β−D−グルカンはまた、穀類および牧草の栄養組織にある細胞壁の比較的微量な成分である。栄養組織において比較的微量な成分として現れるが、(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、例えば、動物による栄養組織の消化率の観点から、またバイオエタノール生産用に作物残滓を使用する観点からもなお重要である。]
[0013] (1,3;1,4)−β−D−グルカンは、酒造および飼料製造業者を含む大規模食品加工活動において重要である。さらには、(1,3;1,4)−β−D−グルカンなど、穀類の非デンプン質多糖類は、ヒトの栄養素として潜在的に有用な効果があることから、近年新たな関心を引き寄せている。]
[0014] しかしながら、このような関心の高さにもかかわらず、(1,3;1,4)−β−D−グルカン生合成をはじめとして、穀類中の非セルロース多糖類生合成を制御する遺伝子および酵素の知識には大きな隔たりがある。]
[0015] 穀粒中の(1,3;1,4)−β−D−グルカン濃度は、遺伝子型および環境の両者により影響を受けると考えられている。例えば、穀類中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンの濃度は、遺伝子型、穂の穀粒の位置、ならびに植え付け場所、成長中の気候条件および土壌窒素などの環境条件に左右される。]
発明が解決しようとする課題

[0016] 細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルの調節を促し、これによって穀粒または栄養組織の品質を変えられるので、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードする遺伝子の同定は望ましいと言える。そこで、細胞内の(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルの調節を可能にし、それに伴う穀類または栄養組織品質の変化を可能にするため、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードする遺伝子の特定は、是非とも必要である。]
[0017] 本明細書における従来技術の参照は、従来技術がいかなる国においても共通する一般知識の一部を形成することの同意と、またはいかなる形態の示唆と解釈されるべきではない。]
課題を解決するための手段

[0018] 本発明により、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのファミリーをコードするヌクレオチド配列及び対応のアミノ酸配列が提供される。本発明により、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼはCslH遺伝子ファミリーのメンバーによってコードされることが明らかにされた。]
[0019] (1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードするヌクレオチド配列、および対応するアミノ酸配列の同定の結果として、本発明はとりわけ、細胞中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節する、ならびに/あるいは細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを調節するための方法および組成物を提供する。]
[0020] したがって、第1の態様において、本発明は、細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを調節する方法であって、該細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節するステップを含む方法を提供する。]
[0021] いくつかの実施形態において、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性は、細胞中のCslH核酸の発現を調節することによって調節する。従って、第2の態様において、本発明は、細胞中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節する方法であって、該細胞中のCslH核酸の発現を調節するステップを含む方法を提供する。]
[0022] いくつかの実施形態において、本発明は、細胞においてCslH核酸を発現させる、過剰発現させる又は導入することにより、細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを増大させることを包含する。あるいは、別の実施形態において、本発明は、細胞におけるCslH核酸のノックアウトまたはノックダウンにより細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの発現をダウンレギュレートする方法を提供する。]
[0023] 本発明はまた、組換え発現系における(1,3;1,4)−β−D−グルカンの生成を促進する。例えば、(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、プロモーター制御下にてCslH核酸を細胞に導入することにより組換え技術によって生成することもでき、続いてこの細胞はCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼを発現し、(1,3;1,4)−β−D−グルカンを生成する。したがって、第3の態様において、本発明は、(1,3;1,4)−β−D−グルカンの生成方法であって、単離されたCslH核酸で細胞を形質転換するステップおよびその単離されたCslH核酸を細胞に発現させるステップを含む方法を提供する。]
[0024] 第4の態様において、本発明は、本発明の第3の態様の方法により生成された(1,3;1,4)−β−D−グルカンを提供する。]
[0025] 第5の態様において、本発明は、
同じ分類群の野生型細胞と比較してそのレベルおよび/または活性が調節された、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ;ならびに/あるいは
同じ分類群の野生型細胞と比較してその発現が調節されたCslH核酸
を含む細胞を提供する。]
[0026] いくつかの実施形態において、細胞は、同じ分類群の野生型細胞と比較してそのレベルが調節された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをさらに含む。]
[0027] さらに、第6の態様において、本発明は、本発明の第5の態様に係る1以上の細胞を含む多細胞構造物を提供する。]
[0028] 本発明はまた、本発明の第5の態様に係る1以上の細胞を含む穀粒を提供する。したがって、第7の態様において、本発明は、そのレベルが調節された(1,3;1,4)−β−D−グルカンを含む穀粒であって、そのレベルおよび/または活性が調節された、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ、ならびに/あるいはその発現が調節されたCslH核酸分子を含む1以上の細胞を含む、上記穀粒を提供する。]
[0029] 第8の態様において、本発明は、以下:
本発明の第7の態様に記載の穀粒を製粉することにより製造される穀粉;および
任意により、1以上の他の穀粒を製粉することにより製造されたる穀粉
を含む穀粉も提供する。]
[0030] 上記の通り、本発明は、部分的には、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードするCslHヌクレオチド配列およびCslHアミノ酸配列の同定および単離に基づく。]
[0031] したがって、第9の態様において、本発明は、単離されたCslH核酸分子、又はその相補体、逆相補体若しくは断片を提供する。]
[0032] 第10の態様において、本発明は、本発明の第9の態様に記載の単離された核酸分子を含む遺伝子構築物またはベクターを提供する。]
[0033] 第11の態様において、本発明は、本発明の第9の態様に記載の単離された核酸分子または本発明の第10の態様に記載の遺伝子構築物を含む細胞を提供する。]
[0034] 第12の態様において、本発明は、本発明の第11の態様に記載の1以上の細胞を含む多細胞構造物を提供する。]
[0035] 上記の通り、本発明は同様に、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのアミノ酸配列を提供する。]
[0036] したがって、第13の態様において、本発明は、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチド又はその断片を規定するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。]
[0037] 第14の態様において、本発明は、上記に定義の単離されたCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドまたはそのエピトープに対して生起された、抗体またはそのエピトープ結合性フラグメントを提供する。]
[0038] 本明細書を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの、その変化形は、記述された要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の包含を示唆するが、 その他任意の要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の排除を示唆するものではないと理解されよう。]
[0039] ヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、本明細書において配列識別子番号(配列番号)により示される。配列番号は、配列識別子<400>1(配列番号1)、<400>2(配列番号2)などに数値的に対応する。配列識別子の概要を表1に示す。配列のリストは、本明細書の最後に示されている。]
[0040] ]
図面の簡単な説明

[0041] (A)は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)における機能獲得実験に使用した、HvCslH1::pGBW15構築体のT−DNAの概略を示す図である。Gatewayクローニング後、3×HAタグを、全長HvCslH1 ORFのNH2末端に結合した。(B)は、ノーザンブロット分析により決定された、成熟HvCslH1トランスジェニックT1植物の葉における転写産物レベルの図である。上のパネル、X線フィルム撮影;下のパネル、対応する、臭化エチジウム染色したゲル。観察された2.5kbの転写産物のサイズは、タグ付加HvCslH1mRNAの予想されたサイズに一致する。(C)ウェスタンブロット分析により決定された、3週齢のプールされたHvCslH1トランスジェニックT2系統における3×HAタグ付加HvCslH1タンパク質レベルの図である。30マイクログラムの混合ミクロソーム膜タンパク質を各レーンに添加し、抗HA抗体でブロットをプロービングした。BおよびC;番号はトランスジェニック系統を指し、Col−0は、野生型の非形質転換系統を指す。Col−0、8および14系統は同じブロット由来であり、他の系統はすべて異なるブロット由来である。
β−グルカン特異的モノクローナル抗体を用いた、HvCslH1発現系の細胞壁におけるβ−グルカンの検出を示す透過型電子顕微鏡写真を示す(Meikle et al., Plant J 5:1-9, 1994)。(A〜C)8、16、11系統;(D)野生型Col−0対照;(E)6系統。AおよびDは維管束の細胞;BおよびCは葉肉細胞;Eは上皮細胞を示す。スケールバー=0.5μm(A〜C、E)、1μm(D)。
145日齢のシロイヌナズナ系統16−1ロゼット葉組織から調製されたアルコール不溶性画分(AIR)の(1,3;1,4)−β−D−グルカンエンドヒドロラーゼ消化により放出されたオリゴ糖のHPAECプロファイルを示す図である(青色線)。16−1を予め酵素処理し、緩衝液洗浄した(ピンク色線)。オオムギ(Barley)成葉(全葉鞘)のAIRを、陽性対照試料として使用した(黄緑色線)。G4G3GR(3−O−β−セロビオシルD−グルコース、DP3)およびG4G4G3GR(3−O−β−セロトリオシルD−グルコース、DP4)のピークを示す。
シロイヌナズナトランスジェニック系統11の高圧凍結葉の切片における、金標識抗HA抗体による3×HAタグ付加HvCslH1タンパク質の検出を示す透過型電子顕微鏡写真を示す。(AおよびB)葉肉細胞。G、ゴルジ体、cw、細胞壁、v、液胞、er、小胞体。スケールバー=0.5μm(A)、0.2μm(B)。矢印は、ゴルジ関連小胞の標識を示す。
QPCRおよびin situ PCR分析により決定された、オオムギにおけるHvCslH1の発現を示す図である。(A)さまざまなオオムギ組織中のHvCslH1の転写産物の正規化レベル(コピー/マイクロリットルcDNA)の図である。正規化のための対照遺伝子は、GAPDH、サイクロフィリンおよびα−チューブリンとした。(B)受粉後0〜24日の成長中の胚乳における、HvCslH1の転写産物の正規化レベルの図である。対照遺伝子は、GAPDH、α−チューブリンおよび伸長因子1aとした。(C)10日齢の第1葉中のHvCslH1の転写産物の正規化レベルの図である。対照遺伝子は、GAPDH、サイクロフィリンおよびHSP70とした。QPCRプロットのエラーバーは、標準偏差を示す。(D〜F)18S RNA(陽性対照、D)、HvCslH1(F)および陰性対照(E)のためのプローブを使用する、7日齢の第1葉の成熟域のin situ PCR画像である。スケールバー=100μm。
HvCslH1の構造的特徴を示す図である。(A)HvCslH1のエクソン−イントロン構造である。黒いバーがエクソンを示し、細い黒線がイントロンと5’および3’UTRを示す。四角形の上の数字はエクソンのサイズを示し、線の下の数字はイントロンのサイズを示す。イタリック体の数字は、5’および3’のUTRのサイズを指し、下線のある太字は、開始コドンの上流の公知の配列の長さを指す。数字は塩基対で表されている。太い黒いバーは、ARAMEMNON(http://aramemnon.botanik.uni-koeln.de/)により予測される、6つのコンセンサス膜貫通ドメインを示す。(B)HvCslH1のKyte−Doolittleの疎水性プロット(Kyte and Doolittle, J Mol Biol 157: 105-132, 1982)の図である。+1.6のカットオフを用いた19個のアミノ酸ウィンドウを使用した。6つの予測膜貫通ドメインを黒いバーで示す。数字はアミノ酸を示す。(C)HvCslH1の予測膜トポロジーの図である。NH2、アミノ末端;COOH、カルボキシ末端;lumen、ERの内部、ゴルジ体または小胞体;cyt、細胞質、mem、膜、D,D,D,QXXRW、CAZyGT2ファミリーの特徴的モチーフ。HvCslH1におけるQXXRWモチーフの配列は、QFKRWである。
全長のオオムギ(Hordeum vulgare)およびコメ(Oryza sativa)のCSLH配列の系統樹を示す図である。CSLBファミリーは、CSLファミリーの中でCSLHファミリーと最も密接に関係しているので、シロイヌナズナ(A. thaliana)およびポプラ(Populus trichocarpa)のCSLBタンパク質配列もまた含まれる。アライメントはClustalXを使用して作成し、近隣結合を用いる固有距離アルゴリズムを使用した。各分岐群を支持するブートストラップ反復の数(総数1,000から)を、その分岐群の節間の下に示す。アクセッション番号は、HvCslH1(FJ459581)、OsCSLH1(Os10g20090、AC119148)、OsCSLH2(Os04g35020、AL606632)、OsCSLH3(Os04g35030、AL606632)、PtCSLB1(http://genome.jgi-psf.org/Poptr1_1/Poptr1_1.home.html; ID no.572982)、PtCSLB2(ID no.684214)、AtCSLB1(At2G32610、NM_128820)、AtCSLB2(At2G32620、NM_128821)、AtCSLB3(At2G32530、NM_179859)、AtCSLB4(At2G32540、NM_128813)、AtCSLB5(At4G15290、NM_117617、AtCSLB6(At4G15320、NM_117620)である。
HvCslH1が位置する、2H染色体の短腕の部分的ゲノムマップを示す図である。HvCslH1および4つのHvCSLF遺伝子のクラスターを、セントロメア(黒丸により表示)に近接するSteptoe×Morexのビンマップ上の69.2〜71.5Mbに相当する区間にマッピングした。HvCslH1はビン8に配置され、wg996マーカーと同時分離する。Steptoe×Morexの参照マップにおいて、wg996はabc162と同時分離し、abc468の2.3cM南であり、4つのHvCSLF遺伝子と同時分離するマーカーである(Burton et al., Plant Physiol 146: 1821-1833, 2008)。鍵となるマーカーを、染色体の上部からのそれらの距離をセンチモルガン(cM)で左に示し、Hanらの麦芽β−グルカンQTL分析(Theor Appl Genet 91: 921-927, 1995)におけるLOD(塩基10に対する対数オッズ)スコアを右に示す。
(A)シロイヌナズナ系統16−2由来の145日齢の葉および茎を組み合わせた材料から調製されたAIRの(1,3;1,4)−β−D−グルカンエンドヒドロラーゼ消化により放出されたオリゴ糖のHPAECプロファイルを示す図である(青色線)。16−2を予め酵素処理し、緩衝液洗浄した(ピンク色線)。オオムギ成葉(全葉鞘)のAIRを、陽性対照試料として使用した(黄緑色線)。ラミナリビオース標準(水色線)。マルトース(Gα4G)およびセロビオース(Gβ4G)の保持時間を矢印により印を付けた。(B)Aの試料の酵素消化AIRのMALDI−TOF MSクロマトグラムを表す図である。DP2(ラミナリビオース)、DP3(3−O−β−セロビオシルD−グルコース)およびDP4(3−O−β−セロトリオシルD−グルコース)のピークを示す。
オオムギ(Hordeum vulgare)およびコメ(Oryza sativa)に由来するCslH配列の間の、ヌクレオチド配列同一性、タンパク質配列同一性およびタンパク質配列類似性を示す図である。
オオムギ(Hordeum vulgare)およびコメ(Oryza sativa)に由来するCslHアミノ酸配列のClustalWマルチプル配列アライメントを示す図である。
図11−1の続き。
オオムギ(Hordeum vulgare)、コメ(Oryza sativa)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)およびポプラ(Populus trichocarpa)に由来するCs1B、FおよびHの全長アミノ酸配列の関係を示す系統樹である。
OsCSLF2×HvCslH1トランスジェニック植物交配の親として使用された4種のトランスジェニックシロイヌナズナ植物系統の表皮細胞壁における、(1,3;1,4)−β−D−グルカン特異的モノクローナル抗体を用いた、(1,3;1,4)−β−D−グルカンの検出を例示する透過型電子顕微鏡写真である。HvCslH1系統個体15−8−3および15−11−7を、それぞれパネルAおよびBに、OsCSLF2系統個体H37−5およびH17−4−4を、それぞれパネルCおよびDに示す。
OsCSLF2×HvCslH1トランスジェニック植物交配から得られた子孫の細胞壁における、(1,3;1,4)−β−D−グルカン特異的モノクローナル抗体を用いた(1,3;1,4)−β−D−グルカンの検出を例示する透過型電子顕微鏡写真である。15−8−3×H37−5の交配による個体を(A)、15−8−3×H37−5の同胞を(B)、15−8−3×H37−7を(C)、15−8−3×H37−7の同胞を(D)、5−8−15×H37−16を(EおよびF)に、15−11−13×H37−11を(G)に、15−11−7×H17−4を(H)に示す。パネルA〜E、G〜Hは、表皮細胞を示し、パネルFは葉肉細胞を示す。
シロイヌナズナにおけるCslH遺伝子の発現に使用したpGWB15ベクターのベクターマップを示す図である。
オオムギ品種ヒマラヤ(cv. Himalaya)由来のCslH1遺伝子cDNAのDNA配列および翻訳アミノ酸配列を示す図である。DNA配列は10塩基ごとに番号を付け、単一の大文字オープンリーディングフレームの翻訳アミノ酸配列を、下に1文字で示す。
図16−1の続き。
図16−1の続き。
オオムギCslH1遺伝子cDNAおよびゲノム配列と、3種のコムギCslH1遺伝子ホモログ(TaCslH1−1、1−2および1−3)のゲノム配列との比較を示す図である。オオムギcDNA(上から、品種スクーナー(cv. Schooner)由来のHvCslH1(配列番号1)および品種ヒマラヤ由来のHvCslH1Him(配列番号69))ならびにゲノムクローン(品種モレックス(cv.Morex)由来のHvCslH1g(配列番号9)および品種ヒマラヤ由来のHvCslH1gHim(配列番号71))のDNA配列を、3種のコムギ配列(TaCslH1−1、1−2および1−3(それぞれ、配列番号78、80および81)とともに、Muscleの比較プログラムを使用してBioEditでアライメントした。アライメントの位置を配列の上に番号付けし、ダッシュはアライメントを最適化するために導入されたギャップを示す。コムギゲノム配列(TaCslH1−1)と同一のヌクレオチドは、点で表す。エクソン/イントロンの境界は、コムギゲノム配列(TaCslH1−1)において太字で示す。参照用に、CslHコード領域のATG開始コドンは、アライメント位置98において始まり、終止コドンTAAは位置3320において始まり、双方とも下線を付けてある。
図17−1の続き。
図17−1の続き。
図17−1の続き。
図17−1の続き。
図17−1の続き。
オオムギ品種ヒマラヤと、コムギのCslH1タンパク質のアミノ酸配列の比較を示す図である。オオムギ遺伝子の翻訳アミノ酸配列(最上段、HvCslH1(Him))を、3種のコムギ配列(TaCslH1−1pro、1−2proおよび1−3proとして示す)とともに、Muscleの比較プログラムを使用してBioEditでアライメントした。アライメントの位置を配列の上に番号付けし、アライメントを最適化するために導入されたオオムギ配列に単一のダッシュ(ギャップを示す)が存在する。アミノ酸は、それらの一文字形式で示し、オオムギ配列(HvCslH1(Him))と同一のアミノ酸は点で示す。
図18−1の続き。
子葉鞘の成長の間のオオムギ品種ヒマラヤのCslH1遺伝子の半定量的RT−PCRおよびQ−PCR発現分析の結果を示す図である。パネルAは、子葉鞘の成長の間ならびに若葉(L)、根(R)および中期胚乳(E)におけるオオムギCslH1遺伝子の発現パターンを示す半定量的RT−PCRの図である。構成的に発現される遺伝子(α−チューブリン)を対照として示す。パネルBは、発芽開始後のさまざまな時点(日)における、成長中の子葉鞘中のHvCslH1に関する、正規化発現レベル(Q−PCR)を示す。
葉の成長の間のオオムギのCslFおよびCslH1遺伝子の半定量的RT−PCR発現分析の結果を示す図である。オオムギCslH1遺伝子の発現パターンを示す半定量的RT−PCRを、他のオオムギCslF遺伝子と比較した。構成的に発現した遺伝子(α−チューブリン)を対照として示す。
胚乳成長の間のオオムギ品種ヒマラヤおよびコムギCslH1遺伝子の半定量的RT−PCR発現分析の結果を示す図である。半定量的RT−PCRは、コムギ品種ウェストニア(下のパネル)と比較したオオムギ品種ヒマラヤ遺伝子(上のパネル)の成長中の胚乳におけるCslH1遺伝子の発現パターンの差を示す。DPA=開花後の日数である。
胚乳成長期のオオムギ品種ヒマラヤおよびコムギCslH1遺伝子の定量的RT−PCR発現分析の結果を示す図である。定量的リアルタイムRT−PCRは、成長中の胚乳における、コムギCslH1遺伝子と比較したオオムギCslH1遺伝子の発現パターンの差を示す。Ta0 dpa試料を1に設定し、他の発現レベルはこれに対して相対的レベルである。
Bx17プロモーターの制御下におけるオオムギ品種ヒマラヤのCslH1ゲノム配列の発現に使用した、植物形質転換ベクターのプラスミドマップを示す図である。pZLBx17HvgH1と称する植物形質転換ベクターの略図である。環状プラスミド内部のボックスは、さまざまな遺伝エレメントを表す:Bxl7prom=オオムギHvCslH1ゲノム配列の発現を駆動するBx17プロモーター;Hvg9185_1=プライマー対SJ91およびSJ85を用いて単離されたHvCslH1ゲノムクローン1番;Nos3’=ノパリンシンターゼポリアデニル化配列;NPTII=細菌カナマイシン耐性遺伝子。選択された制限部位の位置は、プラスミドマップの外側に示す。
カナマイシン耐性を付与する、植物の選択可能なマーカープラスミドのプラスミドマップを示す図である。pCMSTLSneoと称する植物形質転換ベクターの略図である。環状プラスミド内部のボックスは、さまざまな遺伝要素を表す:35Sprom=植物の選択可能なマーカー遺伝子の発現を駆動するCaMV 35Sプロモーター;NPTII=植物カナマイシン耐性遺伝子;STLSイントロン=ジャガイモ(Solanum tuberosum)大型サブユニットイントロン;35S polyA=CaMV 35Sポリアデニル化配列;Amp res=細菌アンピシリン耐性遺伝子。選択された制限部位の位置は、プラスミドマップの外側に示す。
オオムギ品種ヒマラヤCslH1遺伝子を発現するT0植物系統10由来の単一コムギ穀粒のβグルカン含有量を示す図である。グラフは、T0系統10番由来の個体コムギ穀粒のβグルカン含有量を示す。βグルカンは、粉末重量のパーセントとして示す。
空ベクター対照(208)およびトランスジェニック(236)オオムギ中のCslH1遺伝子の定量的RT−PCR発現分析を示す図である。発現は、受粉7日後(7D)および受粉14日後(14D)における葉および成長中の穀粒において示す。
オオムギおよびコムギのCslH配列に関する、DNAコード配列およびアミノ酸配列の同一性/類似性の比較を示す図である。HvCslH1=オオムギ品種スクーナー由来のDNAコード配列(配列番号1)および対応するアミノ酸配列(配列番号2);HvCslH1(Him)オオムギ品種ヒマラヤ由来のDNAコード配列(配列番号69)および対応するアミノ酸配列(配列番号70);TaCslH1−1=コムギ品種チャイニーズ・スプリング(Chinese Spring)由来のDNAコード配列(配列番号72)および対応するアミノ酸配列(配列番号75);TaCslH1−2=コムギ品種チャイニーズ・スプリング由来のDNAコード配列(配列番号73)および対応するアミノ酸配列(配列番号76);TaCslH1−3=コムギ品種チャイニーズ・スプリング由来のDNAコード配列(配列番号74)および対応するアミノ酸配列(配列番号77)。]
[0042] 以下の説明は、特定の実施形態のみを説明することを目的とするが、上記の説明に関する限定であることを意図しないと理解されるべきである。]
[0043] 本発明は、部分的には、(1,3;1,4)−β−D−グルカンの生合成酵素をコードする遺伝子の同定に基づく。]
[0044] 「(1,3;1,4)−β−D−グルカン」は、β−D−グルコピラノシル単量体が(1→4)結合および(1→3)結合の両者によって重合された直鎖の非分枝状多糖類を含むと理解されるべきである。]
[0045] 天然の(1,3;1,4)−β−D−グルカンにおける(1→4)結合と(1→3)結合の比率は、一般に2.2〜2.6:1の範囲である。ただし、比率はこの範囲以外のこともある。たとえば、ソルガム胚乳の(1,3;1,4)−β−D−グルカン中、同比率は、1.15:1である。2種類の結合は、規則的な繰り返し配列にはならない。(1→3)結合単位は、2以上の(1→4)結合により分離される。2ないし3つの隣り合う(1→4)結合の領域が優勢であるが、これら単位の配置には規則性がない。結合配列は、2つのグルコース単位より、さらに前記結合への依存がなく、二次マルコフ連鎖分布に従っている。さらに、10%以下の連鎖は、5から20の隣り合う(1→4)結合の長いストレッチからなる場合がある。したがって、穀類の(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、セロトリオシル(cellotriosyl)(G4G4GRed)、セロテトラオシル(cellotetraosyl)(G4G4G4GRed)単位、およびより長い(1→4)−β−D−オリゴグルコシル単位の(1→3)−β−結合した共重合体とみなすことができる。]
[0046] 内在性(1,3;1,4)−β−D−グルカン中、三糖単位と四糖単位の比率は、穀物種によって異なる。例えば、コムギではその比率は3.0〜4.5:1であるが、オオムギでは2.9〜3.4:1、ライムギでは2.7:1およびオートムギでは1.8〜2.3:1である。さらに、実際の比率は、(1,3;1,4)−β−D−グルカン抽出の温度および条件によっても異なる可能性がある。]
[0047] 穀類の(1,3;1,4)−β−D−グルカンについて報告されている平均分子量は、穀物種、細胞壁の種類、抽出手順および分子量判定に用いた手順によるが、48,000(DP約300)から3,000,000(DP〜1850)に及ぶ。これらは、分子量に関して常に多分散であって、これはオオムギ(1,3;1,4)−β−D−グルカンに関し、数平均分子量(Mw/Mn)1.18に対する加重平均により説明される。ある種のオオムギ (1,3;1,4)−β−D−グルカンはまた、少量のタンパク質と共有結合しており、推定分子量最大40,000,000を有している。]
[0048] 穀粒壁からの(1,3;1,4)−β−D−グルカン抽出率は、自己会合、ならびに他の細胞壁多糖類およびタンパク質との会合の関数である。特に抽出率は、(1,3;1,4)−β−D−グルカン連鎖における分子量および結合分布に依存する。他のポリマーとの過剰な結合および高分子量が、(1,3;1,4)−β−D−グルカンを穀粒から抽出することをさらに困難にしている。]
[0049] 例えば、オオムギ、オートムギおよびライムギ粉の(1,3;1,4)−β−D−グルカンの一部は、pH7.0、40℃の水で抽出することができる。さらなる画分は、より高温で溶解度を高めることができる。40℃において水溶性の総(1,3;1,4)−β−D−グルカンの割合は、植物種内でも、また植物種によっても異なる。例えば、ロウ質の多い(アミロース分が高い)オオムギは、通常のオオムギよりも水溶性の(1,3;1,4)−β−D−グルカンの割合がより高い。40℃でオオムギから抽出された(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、65℃で抽出されたもの(2.0:1)より、三糖:四糖の比率がわずかに低い(1.7:1)。穀粒からの穀物(1,3;1,4)−β−D−グルカンを完全に抽出するためには、還元末端によるアルカリ性誘導の分解を防ぐために、NaBH4を含む4M NaOHまたはBa(OH)2水溶液などのアルカリ性抽出剤を使用する必要がある。アルカリで抽出されたオオムギ(1,3;1,4)−β−D−グルカン画分は、分子量が高く、(1→4):(1→3)結合の比率が高く、より多くの、連続的に結合した(1→4)結合のセグメントを有し、水による抽出物よりも三糖:四糖の比率が高い。ジメチルスルホキシド、高温の過塩素酸、トリクロロ酢酸、N−メチルモルホリノ−N−オキシドおよびジメチルアセトアミド−LiClなどの他の抽出剤も、(1,3;1,4)−β−D−グルカンの溶解度を高めるために使用してもよい。しかしこれら抽出剤は、脱重合、またはポリマーの分解を生じる可能性がある。温水またはアルカリで抽出後、(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、中性pHおよび室温でよく溶解するようになる。しかし、冷却時に、(1,3;1,4)−β−D−グルカンは会合し、沈着する可能性がある。]
[0050] 上記の通り、本発明は、1つには(1,3;1,4)−β−D−グルカンの合成を触媒する生合成酵素の同定およびそれをコードする遺伝子に基づく。かかる酵素を本明細書において「(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ」と称する。]
[0051] 本発明は、EST(expressed sequence tag)ライブラリーおよびセルロースシンターゼ(CesA)遺伝子を含む他の配列データベースの分析に、一部起因する。さらに具体的には、CesA遺伝子は、事実上、非常に大きな遺伝子スーパーファミリー(CesA遺伝子およびセルロースシンターゼ様(Csl)遺伝子ファミリーの両者を含む)のメンバーであることが、これら研究において確認された。]
[0052] しかし、ほとんどの線維束植物のCsl遺伝子ファミリーは非常に大きく、CslAからCslHと称するいくつかのグループに分類されている。シロイヌナズナでは、29のCsl遺伝子が知られており、イネにおいては37の同遺伝子が知られている。シロイヌナズナのゲノムは、細胞壁代謝に関与する700超の遺伝子を含むと概ね考えられている。しかし、基本的に、これら遺伝子の具体的な機能はあまり明らかにされていない。]
[0053] さらに、CesA遺伝子とは対照的に、Csl遺伝子の機能を特定することは困難であることが分かっている。事実、高等植物の複数のCsl遺伝子のうち、CslA及びCslFグループのみに、一定の機能が割り当てられている。]
[0054] 本発明によって、CslH遺伝子ファミリーのメンバーが(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードすることが明らかにされた。]
[0055] (1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードする、CslHヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列の同定の結果、本発明はとりわけ、細胞中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節し、ならびに/あるいは細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを調節するための方法および組成物を提供する。]
[0056] したがって、第1の態様において、本発明は、細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを調節する方法であって、該細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節するステップを含む方法を提供する。]
[0057] 「細胞」は、任意の適当な真核細胞または原核細胞とすることができる。したがって、本明細書において言及される「細胞」とは、酵母細胞もしくは菌糸真菌細胞などの真菌細胞;哺乳動物細胞などの動物細胞もしくは昆虫細胞;または植物細胞をはじめとする真核細胞とすることができる。あるいは、細胞は、大腸菌(E. coli)細胞を含む細菌細胞または古細菌細胞などの原核細胞とすることもできる。]
[0058] いくつかの実施形態において、細胞は、植物細胞、線維束植物細胞、例えば単子葉被子植物細胞もしくは双子葉被子植物細胞、または裸子植物細胞などである。いくつかの実施形態において、植物は単子葉植物細胞である。いくつかの実施形態において、植物は、イネ目のメンバーである。いくつかの実施形態において、単子葉植物細胞は、穀類植物細胞である。]
[0059] 本明細書において用いられる「穀類植物」という用語は、ヒトまたは動物の食料用の食用穀類を作出するイネ目(イネ科植物属)のメンバーを含む。イネ目穀類植物の例としては、決して本発明を限定するものではないが、コムギ、イネ、トウモロコシ、キビ、ソルガム、ライムギ、トリチカレ、オートムギ、オオムギ、テフ、野生米、スペルトコムギなどが挙げられる。しかしながら、穀類植物という用語は同様に、アマランス、ソバ、キノアなどの、食用穀類を作出しかつ偽穀類(pseudocereal)としても知られる非イネ目種のいくつかの植物を含むと理解されるべきである。]
[0060] 他の実施形態において、本発明は、他の単子葉植物、例えばロリウム種(Lolium spp)などの牧草を含むイネ目の他の非穀類植物などの使用を包含する。]
[0061] 上記の通り、本発明は、1つには、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節することに基づく。]
[0062] 「CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ」は、(1,3;1,4)−β−D−グルカンの合成を触媒し、任意により、グルコピラノシル単量体の重合を触媒することができる、CslHによりコードされる任意のタンパク質とみなされるべきである。]
[0063] いくつかの実施形態において、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼは、配列番号2に示されるアミノ酸配列又はそれに対し少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。]
[0064] いくつかの実施形態において、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼは、配列番号2に対して少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも90.5%、少なくとも91%、少なくとも91.5%、少なくとも92%、少なくとも92.5%、少なくとも93%、少なくとも93.5%、少なくとも94%、少なくとも94.5%、少なくとも95%、少なくとも95.5%、少なくとも96%、少なくとも96.5%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、少なくとも99.5%又は100%のアミノ酸配列同一性を含む。]
[0065] アミノ酸配列を比較する場合に、比較される配列は、配列番号2の少なくとも100個のアミノ酸残基、少なくとも200個のアミノ酸残基、少なくとも400個のアミノ酸残基、少なくとも800個のアミノ酸残基、又は全長にわたる比較ウィンドウと比較しうる。比較ウィンドウは、2つの配列の最適アライメントのための基準配列(付加または欠失を含まない)と比較して、約20%以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含む場合がある。比較ウィンドウをアライメントするための配列の最適アライメントは、Altschul et al.(Nucl. AcidsRes. 25: 3389-3402, 1997)が開示したプログラムのBLASTファミリーのようなアルゴリズムをコンピュータに実装して実施することができる。配列分析の詳細な検討は、Ausubel et al.のUnit 19.3に記載されている("Current Protocols in Molecular Biology" John Wiley & Sons Inc, 1994-1998, Chapter 15,1998)。]
[0066] 本発明により想定されるさらなるCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの例としては、配列番号2のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのオーソログが含まれる。]
[0067] 例えば、配列番号2のオオムギ(Hordeum vulgare)オーソログ又は対立遺伝子変異体には、例えば、配列番号70に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドがある。配列番号2のイネ(Oryza sativa)オーソログには、例えば、配列番号4、配列番号6および配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドがある。配列番号2のコムギ(Triticum aestivum)オーソログには、例えば、配列番号75、配列番号76および配列番号77に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドがある。]
[0068] 本明細書に記載の通り、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの「レベル」の調節は、細胞中のCslH転写産物および/またはCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドのレベルの調節を含むと理解されるべきである。CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの「活性」の調節は、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの総活性、比活性、半減期および/または安定性の調節を含むと理解されるべきである。]
[0069] CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性に関する「調節」によって、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を減少または増加させることを意図する。「減少させる」とは、例えば、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルまたは活性の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の低下を意図する。「増加させる」とは、例えば、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルまたは活性の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍の増加を意図する。「調節」とは同様に、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼを、この導入される酵素を通常は発現していない細胞に導入すること、またはそのような活性を通常有する細胞におけるCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの実質的に完全な阻害を含む。]
[0070] いくつかの実施形態において、細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルは、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を増加させることにより増加される。別の実施形態において、細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルは、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を減少させることにより減少される。]
[0071] 本発明の方法は、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節することができる、当技術分野において公知の任意の手段を包含する。これには、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼアゴニストもしくはアンタゴニストの適用のような、細胞中でのCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの活性を調節する薬剤の適用、細胞中でのCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ活性を模擬する薬剤の適用、細胞中でのCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードするCslH核酸の発現の調節、または比活性、半減期および/もしくは安定性の増加したもしくは減少した(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼが細胞によって発現されるような、細胞中での改変型もしくは変異型CslH核酸の発現の達成などが含まれる。]
[0072] いくつかの実施形態において、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性は、細胞中のCslH核酸の発現を調節することにより調節する。]
[0073] したがって、第2の態様において、本発明は、細胞中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節する方法であって、細胞中のCslH核酸の発現を調節するステップを含む方法を提供する。]
[0074] 本明細書において用いられる「CslH核酸」という用語は、以下:
(i)本明細書において定義されるCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードする核酸分子;および/または
(ii)配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも50%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸分子;および/または
(iii)ストリンジェントな条件下で、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の1以上を含む核酸分子にハイブリダイズする核酸分子
を含むと理解されるべきである。]
[0075] いくつかの実施形態において、CslH核酸は、配列番号1に対して少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも90.5%、少なくとも91%、少なくとも91.5%、少なくとも92%、少なくとも92.5%、少なくとも93%、少なくとも93.5%、少なくとも94%、少なくとも94.5%、少なくとも95%、少なくとも95.5%、少なくとも96%、少なくとも96.5%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、少なくとも99.5%又は100%の配列同一性を含む。]
[0076] 同一性の%を計算するために、核酸配列を配列番号1と比較する際に、比較されるヌクレオチド配列は、配列番号1の少なくとも300個のヌクレオチド残基、少なくとも600個のヌクレオチド残基、少なくとも1200個のヌクレオチド残基、少なくとも2400個のヌクレオチド残基、又は全長にわたる比較ウィンドウに対して比較されるべきである。比較ウィンドウは、2個の配列の最適アライメントのための基準配列(付加または欠失を含まない)に対して比較したときに、約20%以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含む場合がある。比較ウィンドウをアライメントするための配列の最適アライメントは、Altschul et al.(Nucl. AcidsRes. 25: 3389-3402, 1997)が開示したプログラムのBLASTファミリーのようなアルゴリズムをコンピュータに実装して実施することができる。配列分析の詳細な検討は、Ausubel et al.のユニット19.3に記載されている("Current Protocols in Molecular Biology" John Wiley & Sons Inc, 1994-1998, Chapter 15,1998)。]
[0077] 上述したように、CslH核酸は、ストリンジェントな条件下で配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子に対してハイブリダイズする核酸を含みうる。本明細書において用いられる「ストリンジェントな」ハイブリダイゼーション条件とは、塩濃度が約1.5M Naイオン未満であり、通常は約0.01から1.0M Naイオン濃度(または他の塩)、pH7.0〜8.3であって、温度は少なくとも30℃を条件とする。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても達成できる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、低ストリンジェンシー条件、中程度のストリンジェンシー条件、または高ストリンジェンシー条件であってもよい。典型的な低ストリンジェンシー条件には、37℃で30%〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液を使用するハイブリダイゼーションと、50〜55℃で1×〜2×SSC中での洗浄(20×SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)を含む。典型的な中程度のストリンジェンシー条件には、37℃で40%〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDSの緩衝溶液中でのハイブリダイゼーションと、55℃〜60℃で0.5×〜1×SSC中での洗浄を含む。典型的な高ストリンジェンシー条件には、37℃で50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝溶液中でのハイブリダイゼーションと、60℃〜65℃での0.1×SSCの洗浄を含む。任意により、洗浄緩衝溶液は、約0.1%から約1%のSDSを含む場合もある。ハイブリダイゼーションの時間は、一般に約24時間未満であり、通常は約4時間〜約12時間である。]
[0078] ハイブリダイゼーションの特異性は、ハイブリダイゼーション後の洗浄の関数でもあり、最終洗浄液のイオン強度および温度により影響を受ける。DNA−DNAハイブリッドの場合、TmはMeinkothおよびWahlの式(Anal. Biochem. 138: 267-284, 1984)から概算される。すなわち、Tm=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)−0.61(%ホルムアミド)−500/Lである。ここでMは、一価の陽イオンのモル濃度、%GCは、DNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドの割合、%ホルムアミドは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの割合であり、Lは、塩基対中のハイブリッド長さである。Tmは、相補的なターゲット配列の50%が完全にマッチするプローブに対してハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度およびpHに基づく)である。Tmは、1%のミスマッチごとに約1℃下がる。したがって、Tm、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件は、異なる度合いの相補性を有する配列に対してハイブリダイズするために調整することができる。例えば、90%以上の同一性を有する配列は、Tmを約10℃下げることによりハイブリダイズできる。一般に、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度およびpHにおける特定の配列およびその相補体の熱融解点(Tm)よりも低くなるよう選択される。例えば、高ストリンジェンシー条件では、熱融解点(Tm)よりも、例えば1、2、3、4または5℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができる。中程度のストリンジェンシー条件では、熱融解点(Tm)よりも、例えば6、7、8、9または10℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができる。低ストリンジェンシー条件では、熱融解点(Tm)よりも、例えば12、13、14、15または20℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができる。上記式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成と望ましいTmを使用することにより、当業者は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーにおけるバリエーションが本来的に記載されていることを理解するだろう。望ましい程度のミスマッチは、45℃未満(水溶性溶液)または32℃未満(ホルムアミド溶液)のTmの結果になるとすれば、より高温を利用できるようにSSC濃度を高めることができる。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範なガイドは、Tijssen(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, Pt I, Chapter 2, Elsevier, New York, 1993)、Ausubel et al.編(Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York, 1995)およびSambrook et al.(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, NY, 1989)に述べられている。]
[0079] 本発明により想定されるさらなるCslH核酸の例としては、配列番号1のオーソログであるコード領域を有する核酸が含まれる。]
[0080] 例えば、配列番号1のオオムギ(Hordeum vulgare)コード領域オーソログ又は対立遺伝子変異体には、例えば、配列番号69に示されるヌクレオチド配列を含む核酸がある。配列番号1のイネ(Oryza sativa)コード領域オーソログには、例えば、配列番号3、配列番号5および配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含む核酸がある。配列番号1のコムギ(Triticum aestivum)コード領域オーソログには、例えば、配列番号72、配列番号73および配列番号74に示されるヌクレオチド配列を含む核酸がある。]
[0081] 本発明により想定されるCslH核酸はまた、1以上の非翻訳領域、例えば3’および5’非翻訳領域、および/またはイントロンを含んでもよい。例えば、本発明により想定されるCslH核酸は、例えば、mRNA配列、cDNA配列またはゲノムヌクレオチド配列を含む。]
[0082] いくつかの特定の実施形態において、CslH核酸は、1以上の非タンパク質コード領域および/または1以上のイントロンを含んでもよい、生物由来のゲノムヌクレオチド配列を含む。CslH核酸を含むゲノムヌクレオチド配列としては、例えば以下が挙げられる:
オオムギ(Hordeum vulgare)CslHゲノムヌクレオチド配列、例えば配列番号9および/または配列番号71に示される配列;
イネ(Oryza sativ)CslHゲノムヌクレオチド配列、例えば配列番号10、配列番号11および/または配列番号12のいずれか1以上に示される配列;ならびに/あるいは
コムギ(Triticum aestivum)CslHゲノムヌクレオチド配列、例えば配列番号78、配列番号79および/または配列番号80のいずれか1以上に示される配列。]
[0083] 上記の通り、本発明は、細胞中のCslH核酸の発現を調節する方法を提供する。本発明は、細胞中のCslH核酸の発現を調節することができる任意の方法を包含する。]
[0084] CslH核酸の発現に関して「調節する」という用語は、一般的に、CslH核酸の転写および/または翻訳を増加または減少させることを指す。「減少させる」とは、例えば、CslH核酸の転写および/または翻訳の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、 91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の低下を包含している。「増加させる」とは、例えば、CslH核酸の転写および/または翻訳の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍以上の増加を包含している。調節することはまた、通常特定の細胞中では見いだされないCslH核酸の発現を導入すること、または通常当該活性を有する細胞中のCslH核酸の発現の実質的に完全な阻害(例、ノックアウト)を含む。]
[0085] 細胞中の特定の核酸分子の発現を調節する方法は、当技術分野において公知であり、本発明ではそのような任意の方法を包含する。CslH核酸の発現を調節する典型的な方法は、内在性CslH核酸の発現をアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションさせるような細胞の遺伝的改変、CslH核酸での形質転換による遺伝的改変、細胞中での内在性CslH核酸の発現を調節する核酸分子の細胞への投与などを含む。]
[0086] いくつかの実施形態において、CslH核酸の発現を、細胞の遺伝子的改変により調節する。本明細書において用いられる「遺伝的に改変された」という用語は、細胞の遺伝的に改変されていない形態に比べて、遺伝的に改変された細胞中でのCslH核酸の発現の改変に影響を及ぼす任意の遺伝的改変を含むと理解されるべきである。本明細書において包含される遺伝的改変の典型的なタイプとしては、トランスポゾン、化学物質、紫外線またはファージ突然変異誘発などのランダム突然変異誘発と、内在性CslH核酸を過剰発現または過小発現する変異体の選別;細胞中でのCslH核酸の発現および/または過剰発現を指令する1以上の核酸分子の、細胞への一過的または安定的導入;内在性CslH核酸の部位特異的突然変異誘発;細胞中での内在性CslH核酸の発現を阻害する1以上の核酸分子、例えば、コサプレッション構築物またはRNAi構築物の導入などが挙げられる。]
[0087] 1つの特定の実施形態において、遺伝的改変は対象となる細胞への核酸の導入を含む。]
[0088] 核酸は、例えば、SambrookおよびRussell(Molecular Cloning - A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2000)に述べられたものなど、使用される細胞種に適した、当技術分野において公知の任意の方法を用いて導入することができる。]
[0089] 細胞が植物細胞である本発明のいくつかの実施形態において、核酸分子の導入のための適切な方法には、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性の形質転換、マイクロプロジェクタイルボンバードメントに基づく形質転換方法および直接的DNA取り込みに基づく方法が挙げられる。Roa-Rodriguez et al.(Agrobacterium-mediated transformation of plants, 3rd Ed.CAMBIA Intellectual Property Resource, Canberra, Australia, 2003)は、広範な植物種について、適切なアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性の植物形質転換方法を総説している。マイクロプロジェクタイルボンバードメントは、植物組織を形質転換したり、植物、特に穀類植物の形質転換方法に使用されている。また、当該方法は、Casas et al.(Plant Breeding Rev. 13: 235-264, 1995)により総説されている。プロトプラスト形質転換およびエレクトロポレーションなどの直接的なDNA取り込みによる形質転換プロトコルは、Galbraith et al.(編)(Methodsin Cell Biology Vol. 50, Academic Press, San Diego, 1995)に詳しく述べられている。上記方法に加えて、さまざまな他の形質転換プロトコルを用いてもよい。例えば、浸潤、細胞および組織のエレクトロポレーション、胚のエレクトロポレーション、マイクロインジェクション、花粉管経路、炭化ケイ素およびリポソーム媒介による形質転換が挙げられる。これらのような方法は、Rakoczy-Trojanowska(Cell. Mol. Biol. Lett. 7: 849-858, 2002)により総説されている。他のさまざまな植物形質転換方法もまた、当業者にとって明らかなものである。]
[0090] 導入される核酸は、一本鎖であってもまたは二本鎖でもよい。核酸は、mRNAに転写され、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼまたは別のタンパク質に翻訳される。また核酸は、RNAi構築物、コサプレッション構築物、アンチセンスRNA,tRNA、miRNA、siRNA,ntRNAなどのような非翻訳RNAをコードしてもよく、あるいは、直接細胞中で作用してもよい。導入された核酸は、未修飾のDNAもしくはRNA、またはヌクレオチド塩基、糖もしくはリン酸骨格に対する修飾を含むが、核酸に対する機能的等価性を保持する修飾DNAもしくはRNAの場合がある。導入された核酸は、細胞中で任意により複製されてもよいし、細胞の染色体または染色体外エレメントに組み込まれてもよいし、ならびに/あるいは、細胞により転写されてもよい。導入された核酸はまた、宿主細胞に関して同種または異種のいずれかでよい。すなわち、導入された核酸は、遺伝的に改変された細胞と同じ生物種の細胞から得られるか(すなわち同種)、または導入された核酸は、異なる生物種から得られる(すなわち異種)。トランスジーンは、合成トランスジーンでもよい。]
[0091] 1つの特定の実施形態において、本発明は、CslH核酸を細胞において発現、過剰発現または細胞に導入することにより、細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを増加させることを包含する。]
[0092] (1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードするCslHヌクレオチド配列を同定することにより、さらなる実施形態において、本発明は、細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの発現をダウンレギュレーションする方法も提供する。]
[0093] 例えば、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードするCslH遺伝子の同定は、以下などの方法による細胞中でのCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのノックアウトまたはノックダウンなどの方法を容易にする:
ノックアウト構築物との相同組換えによる、細胞中のCslH核酸のノックアウトまたはノックダウンを含む、細胞中のCslH核酸の挿入突然変異(植物での標的化遺伝子破壊の例としては、Terada et al., Nat. Biotechnol. 20: 1030-1034, 2002を参照);
細胞中のCslH核酸の転写後遺伝子抑制(PTGS)またはRNAi(PTSGおよびRNAiの総説については、Sharp, Genes Dev. 15(5): 485-490, 2001、およびHannon, Nature 418: 244-51, 2002を参照);
CslH核酸を標的とするアンチセンス構築物での細胞の形質転換(植物のアンチセンス抑制の例については、van der Krol et al.、Nature 333: 866-869、van der Krol et al.、BioTechniques 6: 958-967、およびvan der Krol et al.、Gen. Genet. 220: 204-212を参照);
CslH核酸を標的とするコサプレッション構築物での細胞の形質転換(植物のコサプレッションの例については、van der Krol et al.、Plant Cell 2(4): 291-299を参照);
CslH核酸を標的とする二本鎖RNAをコードする構築物での細胞の形質転換(dsRNA介在遺伝子抑制の例については、Waterhouse et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13959-13964, 1998を参照);
CslH核酸を標的とするsiRNAまたはヘアピンRNAをコードする構築物での細胞の形質転換(siRNAまたはヘアピンRNA介在遺伝子抑制の例については、Lu et al.、Nucl. Acids Res. 32(21): e171、doi:10.1093/nar/gnh170, 2004を参照);ならびに/あるいは
CslH核酸と機能的に連結されるようなmiNRA標的配列の挿入(例えば、miRNAが媒介する遺伝子抑制の例については、Brown et al., Blood 110(13): 4144-4152, 2007参照)。]
[0094] 本発明は、細胞に投与されるCslH核酸を標的とするsiRNAまたはマイクロRNAなどの合成オリゴヌクレオチドの利用によって、細胞中のCslH核酸のダウンレギュレーションも促進するものである(合成siRNA介在抑制の例については、Caplen et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 9742-9747, 2001、Elbashir et al.、Genes Dev. 15: 188-200, 2001、Elbashir et al.、Nature 411: 494-498, 2001、Elbashir et al.、EMBO J. 20: 6877-6888, 2001、およびElbashir et al.、Methods26: 199-213, 2002を参照)。]
[0095] 上記例の他に、導入された核酸は、CslH核酸に直接関係しないヌクレオチド配列を含むこともあるが、それでも、細胞中のCslH核酸の発現を直接的または間接的に調節することがある。例としては、細胞中の内在性CslH核酸分子の発現を促進するまたは抑制する転写因子または他のタンパク質をコードする核酸分子、直接的または間接的に内在性のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの発現を促進または抑制する他の非翻訳RNAなどがある。]
[0096] 遺伝的に改変された細胞中での導入核酸の発現を達成するため、必要に応じ、導入核酸は1以上の制御配列に機能的に連結されてもよい。「制御配列」という用語は、機能的に連結された核酸またはそれによりコードされる転写産物もしくはタンパク質の転写、翻訳およびまたは翻訳後修飾に必要なまたは有利な任意のヌクレオチド配列を含むと理解されるべきである。各制御配列は、機能的に連結された核酸に対し生来的でもまたは外来性でもよい。制御配列としては、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチドをコードする配列、プロモーター、エンハンサーまたは上流の活性化配列、シグナルペプチドをコードする配列、および転写ターミネーターが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、制御配列はプロモーターを少なくとも含む。]
[0097] 本明細書において用いられる「プロモーター」という用語は、細胞中の核酸分子の発現を実現する、活性化する、または増強する任意の核酸をいう。プロモーターは、一般的に、プロモーターが制御する遺伝子の5'(上流)に位置させる。異種プロモーター/遺伝子の組み合わせである構築物において、プロモーターと遺伝子(該プロモーターが自然環境において制御する遺伝子、すなわち該プロモーターが由来する遺伝子)との間の距離にほぼ等しい遺伝子転写開始部位からの距離に、プロモーターを配置することが望ましい。当技術分野において周知の通り、この距離の変更は、プロモーター機能を失うことなく収めることができる。]
[0098] プロモーターは、物理応力、病原体または特に金属イオンなどの外部刺激に反応して、あるいは1以上の転写活性化因子に反応して発現が生じる細胞、組織、器官または発生段階に関し、構成的に、または特異的に、機能的に連結したヌクレオチドの発現を制御してもよい。つまり、本発明の方法に従って使用されるプロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、組織特異的のプロモーターまたは活性化プロモーターを含んでもよい。]
[0099] 本発明は、対象となる細胞で活性を有する任意のプロモーターを使用することを包含している。つまり、細菌、真菌、動物細胞または植物細胞のいずれかで活性を有する多様なプロモーターは、当業者であれば容易に理解するだろう。しかし、いくつかの実施形態においては、植物細胞を使用する。これらの実施形態では、植物で活性な構成的、誘導性、組織特異的または活性可能なプロモーターが典型的に使用される。]
[0100] 植物の構成的プロモーターは、通常植物のほぼ全ての組織での発現を指令し、環境および発生的要因からは、概ね独立している。本発明に従い使用することができる構成的プロモーターの例には、カリフラワーモザイクウイルス35Sおよび19S(CaMV35SおよびCaMV19S)プロモーターなどの植物ウイルス由来のプロモーター、例えばアグロバクテリウム(Agrobacterium)から得られるノパリンシンターゼ(nos)プロモーターなど、アグロバクテリウム種(Agrobacterium spp.)より得られるオパインプロモーターなどの細菌性植物病原体由来のプロモーター、およびルビスコ小サブユニット遺伝子(rbcS)プロモーター、植物ユビキチンプロモーター(Pubi)、イネアクチンプロモーター(Pact)およびオートムギグロブリンプロモーターなどの植物由来のプロモーターが含まれる。]
[0101] 「誘導性」プロモーターには、化学的に誘導可能なプロモーターおよび物理的に誘導可能なプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。化学的に誘導可能なプロモーターは、アルコール、抗生物質、ステロイド、金属イオンまたは他の化合物などの化学化合物により制御される活性を有するプロモーターを含む。化学的に誘導可能なプロモーターの例には、アルコール制御プロモーター(例、欧州特許第637339号参照)、テトラサイクリン制御プロモーター(例、米国特許第5,851,796号および米国特許第5,464,758号参照)、グルココルチコイド受容体プロモーター(例、米国特許第5,512,483号参照)、エストロゲン受容体プロモーター(例、欧州特許出願第1 232 273号参照)、エクジソン受容体プロモーター(例、米国特許第6,379,945号参照)などのステロイド反応プロモーター、メタロチオネインプロモーター(例、米国特許4,940,661号、米国特許第4,579,821号および米国特許第4,601,978号参照)などの金属応答プロモーター、ならびにキチナーゼプロモーターまたはリゾチームプロモーター(例、米国特許第5,654,414号参照)またはPRタンパク質プロモーター(例、米国特許第5,689,044号、米国特許第5,789,214号、豪州特許第708850号、米国特許第6,429,362号参照)などの病因関連プロモーターを含む。]
[0102] 誘導性プロモーターは、温度(高温、低温とも)、光などの非化学的環境要因により制御される物理的に制御されるプロモーターである場合もある。物理的に制御されるプロモーターの例には、ヒートショックプロモーター(例、米国特許第5,447858号、豪州特許第732872号、カナダ国特許出願第1324097号参照)、低温誘導性プロモーター(例、米国特許第6,479,260号、米国特許第6,084、08号、米国特許第6,184,443号および米国特許第5,847,102号)、光誘導性プロモーター(例、米国特許第5,750,385号およびカナダ国特許第1321563号参照)、光抑制性プロモーター(例、ニュージーランド特許第5081033号および米国特許第5,639,952号)を含む。]
[0103] 「組織特異的プロモーター」には、選択的にまたは特異的に、生物中の1以上の特定の細胞、組織もしくは器官、および/または生物の1以上の発生段階で発現するプロモーターが含まれる。組織特異的プロモーターは、場合によっては誘導性であってもよい。]
[0104] 植物の組織特異的プロモーターの例には、米国特許出願第2001047525号に記載された通りの根特異的プロモーター、欧州特許第316441号、米国特許第5,753,475号および欧州特許出願第973922号に記載の通りの子房特異的および花托組織特異的プロモーターをはじめとする果実特異的プロモーター、ならびに豪州特許第612326号および欧州特許出願第0781849号および豪州特許第746032号に記載の通りの種子特異的プロモーターが含まれる。]
[0105] いくつかの実施形態において、組織特異的プロモーターは、種子および/または穀粒特異的プロモーターである。種子または穀粒特異的プロモーターの例には、puroindoline−b遺伝子プロモーター(例えば、Digeon et al.、Plant Mol. Biol. 39: 1101-1112, 1999を参照)、Pbf遺伝子プロモーター(例えば、Mena et al.、Plant J. 16:53-62, 1998)、GS1−2 遺伝子プロモーター(例えば、Muhitch et al.、Plant Sci. 163:865-872, 2002)、グルテリンもしくはGt1遺伝子プロモーター(例えば、Okita et al., J. Biol. Chem. 264: 12573-12581, 1989、Zheng et al.、Plant J. 4: 357-366, 1993、Sindhu et al.、Plant Sci. 130: 189-196, 1997、 Nandi et al.、Plant Sci. 163: 713-722, 2002を参照)、Hor2−4遺伝子プロモーター(例えば、KnudsenおよびMuller, Planta 195: 330-336, 1991、Patel et al.、Mol. Breeding 6: 113-123, 2000、Wong et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99: 16325-16330, 2002を参照)、リポキシゲナーゼ1遺伝子プロモーター(例えば、Rouster et al.、Plant J. 15: 435-440, 1998を参照)、Chi26遺伝子プロモーター(例えば、Leah et al.、Plant J. 6: 579-589, 1994を参照)、Glu−D1−1遺伝子プロモーター (例えば、Lamacchia et al.、J. Exp. Bot. 52: 243-250, 2001、Zhang et al.、Theor. Appl. Genet. 106: 1139-1146, 2003を参照)、Hor3−1遺伝子プロモーター(例えば、Sorensen et al.、Mol. Gen. Genet. 250: 750-760, 1996、Horvath et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 1914-1919, 2000を参照)およびWaxy(Wx)遺伝子プロモーター(例えば、Yao et al.、Acta Phytophysiol. Sin. 22: 431-436, 1996、Terada et al.、Plant Cell Physiol. 41: 881-888, 2000、Liu et al.、Transgenic Res. 12: 71-82, 2003を参照)がある。1つの特定の実施形態において、種子特異的プロモーターは胚乳特異的プロモーターである。]
[0106] プロモーターは、本明細書において「活性化可能プロモーター」と呼ばれる、1以上の所定の転写活性化因子により活性化可能であるプロモーターでもよい。例えば、活性化可能プロモーターは、上流活性化配列(UAS)に機能的に連結された最小プロモーターを含む場合がある。これはとりわけ、1以上の転写活性化因子のDNA結合部位を含む。]
[0107] 本明細書に記載の通り、「最小プロモーター」という用語は、少なくともRNAポリメラーゼ結合部位、好ましくはTATAボックスおよび転写開始部位および/または1以上のCAATボックスを組み入れた任意のプロモーターを含むと理解されるべきである。細胞が植物細胞である場合、最小プロモーターは、例えばカリフラワーモザイクウイルス35S(CaMV 35S)プロモーターに由来することができる。CaMV 35S由来の最小プロモーターは、例えばCaMV 35Sプロモーターの(転写開始部位の)−90位から+1位(−90 CaMV 35S最小プロモーターとも称される)、CaMV 35Sプロモーターの−60位から+1位(−60 CaMV 35S最小プロモーターとも称される)またはCaMV 35Sプロモーターの−45位から+1位(−45 CaMV 35S最小プロモーターとも称される)に相当する配列を含むことができる。]
[0108] 上述した通り、活性化可能プロモーターは、上流活性化配列(UAS)に融合された最小プロモーターを含むことがある。UASは、最小プロモーターを活性化するために転写活性因子を結合することが可能な任意の配列でありうる。転写活性因子の例として、例えば、Gal4、Pdr1、Gcn4およびAce1などの酵母由来の転写活性因子、VP16、Hap1(Hach et al.、J Biol Chem 278: 248-254, 2000)、Gaf1(Hoe et al.、Gene 215(2): 319-328, 1998)、E2F(Albani et al.、J Biol Chem 275: 19258-19267, 2000)、HAND2(Dai and Cserjesi, J Biol Chem 277: 12604-12612, 2002)、NRF−1およびEWG(Herzig et al.、J Cell Sci 113: 4263-4273, 2000)、P/CAF(Itoh et al.、Nucl AcidsRes 28: 4291 - 4298, 2000)、MafA(Kataoka et al.、J Biol Chem 277: 49903-49910, 2002)、ヒト活性転写因子4(LiangおよびHai、J Biol Chem 272: 24088 - 24095, 1997)、Bcl10(Liu et al.、Biochem Biophys Res Comm 320(1): 1-6, 2004)、CREB−H(Omori et al.、Nucl Acids Res 29: 2154 - 2162, 2001)、ARR1およびARR2(Sakai et al.、Plant J 24(6): 703-711, 2000)、Fos(Szuts and Bienz, Proc Natl Acad Sci USA 97: 5351-5356, 2000)、HSF4(Tanabe et al.、J Biol Chem 274: 27845 - 27856, 1999)、MAML1(Wu et al.、Nat Genet 26: 484-489, 2000)などのウイルス由来の転写活性因子が挙げられる。]
[0109] いくつかの実施形態において、UASは、少なくともGAL4転写活性因子のDNA結合ドメインと結合可能なヌクレオチド配列を含む。UAS配列は、少なくともGAL4のDNA結合ドメインを含む転写活性因子と結合する配列であり、本明細書において、UASGと呼ぶ。特定の実施形態において、UASGは、配列5’-CGGAGTACTGTCCTCCGAG-3’またはその機能的ホモログを含む。]
[0110] 本明細書に記載の通り、UASG配列の「機能的ホモログ」は、少なくともGAL4のDNA結合ドメインと結合でき、UASGヌクレオチド配列と少なくとも50%の同一性、少なくとも65%の同一性、少なくとも80%の同一性または少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む任意のヌクレオチド配列をいうと理解されるべきである。]
[0111] 活性化可能プロモーター中のUAS配列は、DNA結合ドメイン標的配列の多数のタンデムリピートを含んでもよい。例えば、UASGはその天然の状態においては、DNA結合ドメイン標的配列の4つのタンデムリピートを含む。したがって、DNA結合ドメイン標的配列のタンデムリピートの数に関して本明細書において用いられる「多数」という用語は、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つのタンデムリピートを含むと理解されるべきである。]
[0112] 上記の通り、制御配列は、ターミネーターも含むことがある。「ターミネーター」という用語は、転写終了のシグナルを示す転写ユニットの終端にあるDNA配列をいう。ターミネーターは、一般にポリアデニル化シグナルを含む3’非翻訳DNA配列であって、一次転写産物の3’末端に対してポリアデニル化配列の付加を促進する。プロモーター配列と同様に、ターミネーターは、使用しようとする細胞、組織または器官で機能的な任意のターミネーター配列であってもよい。植物細胞中で有用でありうる適切なターミネーター配列の例には、ノパリンシンターゼ(nos)ターミネーター、CaMV 35Sターミネーター、オクトピンシンターゼ(ocs)ターミネーター、pinIIおよびpinIIIターミネーターなどのジャガイモのプロテイナーゼ阻害遺伝子(pin)ターミネーターが含まれる。]
[0113] 細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節することにより、細胞中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルを調節することは、いくつかの産業上の用途がある。]
[0114] 例えば、(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、粘性溶液を形成することで知られている。水溶性穀類(1,3;1,4)−β−D−グルカンの粘性を生じる物性は穀類加工の多くの局面において重要な決定因子である。例えば、オオムギ麦芽および穀類添加物由来の不完全に分解された(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、麦汁およびビールの粘性に寄与できるが、麦汁分離およびビールのろ過における問題を伴う(例、Bamforth、Brew. Dig. 69 (5): 12-16, 1994を参照)。したがって、例えばいくつかの実施形態において、本発明は、ビール製造への適性を高めるため、オオムギ粒の1以上の細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を減じることにより、オオムギ粒中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを減じるために適用することもできる。]
[0115] 水溶性穀類(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、ブタや家禽などの単胃動物に対して反栄養的な効果(antinutritive effect)をもたらすとも考えられている。「反栄養的」な効果は、胃内容物の粘度を高め、消化酵素の放散および酵素作用の分解産物の吸収を遅らせることである。言い換えれば、これは成長率を遅らせることにつながる。さらに、家禽の飼料配合において、高い(1,3;1,4)−β−D−グルカン濃度は、「粘性の」糞に関係しており、これは(1,3;1,4)−β−D−グルカンの消化性が低いことを示し、かつ生産者にとって主要な取扱いおよび衛生上の問題になりうる。したがって、別の実施形態において、本発明は、動物飼料としての植物の適合性を改善するため、動物飼料に使用される植物の1以上の細胞中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを低下させるのに適用することができる。]
[0116] しかしながら、穀類(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、ヒトおよび動物の食事における食物繊維の重要な構成要素である。本明細書において用いられる「食物繊維」という用語は、大腸における完全なもしくは部分的な発酵とともにヒト小腸での消化および吸収に抵抗性を示す植物の可食部または類似の炭水化物を含むと理解されるべきである。「食物繊維」は、多糖類(特に(1,3;1,4)−β−D−グルカンを含む)、オリゴ糖、リグニンおよび関連する植物物質を含む。少なくともヒトの食事において、食物繊維は、全般的な腸の調子、便通、血中コレステロールの低減、および/または血中グルコールの低減を含めた有益な生理的効果を促進する。]
[0117] ヒトおよび単胃動物は、(1,3;1,4)−β−D−グルカンを分解する酵素を作らないが、いくぶんかの脱重合が胃および小腸で発生していることが示されている。これは、片利共生微生物の活性によるものと推測される。水溶性(1,3;1,4)−β−D−グルカンと他の非デンプン質の多糖類を比較すると、腸内細菌により容易に発酵し、可消化エネルギーにわずかながら寄与する。単胃動物における反栄養的効果とは対照的に、ヒトにおける高濃度のオートムギおよびオオムギ(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、特に食事後の血糖値およびインスリン反応を抑えることにより、非インスリン依存の糖尿病にとって有益な効果をもたらす。食物中高濃度の(1,3;1,4)−β−D−グルカン(例えば20%w/v)は、食物から食物コレステロールまたは胆汁酸の吸収を抑えることにより、血清コレステロール濃度を下げることにも関連付けられている。]
[0118] したがって、別の実施形態において、本発明は、植物またはその部分中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンレベルを高めることにより、食用植物または食用植物部分の食物繊維含有量を増加させることに適用することもできる。いくつかの実施形態において、食用植物または植物の可食部分は、穀類植物またはその一部である。]
[0119] (1,3;1,4)−β−D−グルカンは、特に(1→3)−β−D−グルカンにおいて、他のいくつかの多糖類と同じく、細網内系統の細胞の受容体との結合により媒介されるプロセスにより、ヒトの免疫反応を変化させるとも考えられている。さらに、血中の抗体が産生される前に、最初の防衛線として発動するシステムである、ヒトの補体経路のタンパク質を活性化する能力を有することがある。]
[0120] 本発明は、組換え発現系における(1,3;1,4)−β−D−グルカンの生成も促進する。例えば、(1,3;1,4)−β−D−グルカンは、プロモーター制御下にてCslH核酸を細胞に導入することにより組換え技術によって生成することもでき、続いて細胞はCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼを発現し、(1,3;1,4)−β−D−グルカンを生成する。]
[0121] CslH核酸を発現させるために使用することができる多様な組換え発現系は当技術分野において周知である。組換え発現系の例は、大腸菌発現系などの細菌発現系(Baneyx, Curr. Opin. Biotechnol. 10: 411-421, 1999 おいて総説されている。例:Gene expression in recombinant microorganisms, Smith (編), Marcel Dekker, Inc. New York, 1994、およびProtein Expression Technologies: Current Status and Future Trends, Baneyx (編), Chapters 2 and 3, Horizon Bioscience, Norwich, UK, 2004も参照)、バシラスspp.発現系(例:Protein Expression Technologies: Current Status and Future Trends, 前記, chapter 4を参照)、およびストレプトミセスspp.発現系(例:Practical Streptomyces Genetics, Kieser et al.(編), Chapter 17, John Innes Foundation, Norwich, UK, 2000を参照)、サッカロミセスspp.、シゾサッカロミセス・ポンベ、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)およびピチアspp.の発現系、ならびに糸状菌発現系などの酵母発現系を含む真菌発現系(例:Protein Expression Technologies: Current Status and Future Trends, 前記, chapters 5, 6および7、Buckholz and Gleeson, Bio/Technology 9(11): 1067-1072, 1991、Cregg et al.Mol. Biotechnol. 16(1): 23-52, 2000、CereghinoおよびCregg, FEMS Microbiology Reviews 24: 45-66, 2000、Cregg et al.、Bio/Technology 11: 905 - 910, 1993を参照)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に基づく発現系(例:Protein Expression Technologies: Current Status and Future Trends, 前記, chapter 9を参照)、バキュロウイルス発現系を含む昆虫細胞培養(例:Protein Expression Technologies: Current Status and Future Trends, 前記, chapter 8、KostおよびCondreay, Curr. Opin. Biotechnol. 10: 428-433, 1999、Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual WH Freeman & Co., New York, 1992、およびThe Baculovirus Expression System: A Laboratory Manual, Chapman & Hall, London, 1992を参照)、タバコ、ダイズ、イネおよびトマト細胞発現系などの植物細胞発現系(例:Hellwig et al.、Nat Biotechnol 22: 1415-1422, 2004の概説を参照)などを含む。]
[0122] したがって、第3の態様において、本発明は、(1,3;1,4)−β−D−グルカンの生成方法であって、単離されたCslH核酸で細胞を形質転換するステップおよびその単離されたCslH核酸を細胞に発現させるステップを含む方法を提供する。]
[0123] いくつかの実施形態において、細胞は、先に定義された通りの組換え発現系から得られる細胞である。]
[0124] 第4の態様において、本発明は、本発明の第3の態様の方法により生成された(1,3;1,4)−β−D−グルカンも提供する。]
[0125] 第5の態様において、本発明は、
同じ分類群の野生型細胞と比較してそのレベルおよび/または活性が調節された、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ;ならびに/あるいは
同じ分類群の野生型細胞と比較してその発現が調節されたCslH核酸
を含む細胞を提供する。]
[0126] いくつかの実施形態において、細胞は、同じ分類群の野生型細胞と比較してそのレベルが調節された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをさらに含む。]
[0127] いくつかの実施形態において、本発明の第5の態様の細胞は、本明細書に記載された本発明の第1または第2の態様の方法で作製される。別の実施形態において、細胞は植物細胞、単子葉植物細胞、イネ目植物細胞および/または穀類植物細胞である。]
[0128] さらに、第6の態様において、本発明は、本発明の第5の態様に係る1以上の細胞を含む多細胞構造物を提供する。]
[0129] 本明細書では、「多細胞構造物」は、1以上の細胞の任意の凝集物を含む。したがって、「多細胞構造物」という用語は特に組織、器官、生物全体およびその一部を包含する。さらに、多細胞構造物は同様に、コロニー、植物カルス(plant calli)、懸濁培養物などの培養細胞の多細胞凝集物を包含すると理解されるべきである。]
[0130] 上記の通り、本発明のいくつかの実施形態において、細胞は植物細胞であり、したがって本発明は、本発明の第6の態様に係る1以上の植物細胞を含む植物全体、植物組織、植物器官、植物部分、植物繁殖材料または培養植物組織を含む。]
[0131] 別の実施形態において、本発明は、本発明の第5の態様に係る1以上の細胞を含む穀類植物を提供する。]
[0132] 特定の実施形態において、本発明は、本発明の第5の態様に係る1以上の細胞を含む穀粒を提供する。]
[0133] したがって、第7の態様において、本発明は、そのレベルが調節された(1,3;1,4)−β−D−グルカンを含む穀粒であって、そのレベルおよび/または活性が調節された、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ、ならびに/あるいはその発現が調節されたCslH核酸分子を含む1以上の細胞を含む、上記穀粒を提供する。]
[0134] いくつかの実施形態において、穀粒は、同種と野生型穀粒を比較した場合に、(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルが高くてもよい。別の実施形態において、穀粒は、同種由来の野生型穀粒と比較した場合に、(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルが低くてもよい。]
[0135] 穀粒がコムギ粒であるいくつかの実施形態において、コムギ粒は、風乾全粒の生体重基準で少なくとも1%、少なくとも1.1%、少なくとも1.2%、少なくとも1.3%、少なくとも1.4%、少なくとも1.5%、少なくとも1.6%、少なくとも1.7%、少なくとも1.8%または1.9%の(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを含む。]
[0136] 第8の態様において、本発明は、以下:
本発明の第7の態様に記載の穀粒を製粉することにより製造される穀粉;および
任意により、1以上の他の穀粒を製粉することにより製造されたる穀粉
を含む穀粉も提供する。]
[0137] したがって、本発明の第7の態様である穀粒を製粉して生産される穀粉は、例えば、本発明の第9の態様の穀粉の約10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%または100重量%から構成されてもよい。]
[0138] 本明細書に述べるように、「製粉」は、Brennan et al.(Manual of Flour and Husk Milling, Brennan et al.(編)、 AgriMedia, ISBN: 3-86037-277-7)に述べられた製粉などの、穀粒を製粉する当技術分野において周知の任意の方法を包含する。]
[0139] いくつかの実施形態において、穀粉に使用される本発明の第7の態様である穀粒を製粉して製造される穀粉は、野生型粉と比較した場合により高いレベルの(1,3;1,4)−β−D−グルカンを含む。]
[0140] 「1以上の他の穀粒を製粉して製造される穀粉」は、先に定義された任意の穀類植物から得られる穀粒を製粉して製造される穀粉である。本発明の第8の態様である穀粉の成分は、例えば0重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%または90重量%を構成してもよい。]
[0141] いくつかの実施形態において、1以上の他の穀粒を製粉して製造される穀粉は、小麦粉である。また、これにより本発明の第8の態様の穀粉は、パン、ケーキ、ビスケットなどを調理するのに特に適している。]
[0142] 上記の通り、本発明は、部分的には、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼをコードするCslHヌクレオチド配列およびCslHアミノ酸配列の同定および単離に基づく。]
[0143] したがって、第9の態様において、本発明は、本明細書において上で定義した単離されたCslH核酸分子、又はその相補体、逆相補体若しくは断片を提供する。]
[0144] 本発明において、「単離された」とは、元の環境(例えば、それが天然に存在するならば天然の環境)から取り出された物質をいい、したがって、「人の手によって」その天然の状態から改変されている。例えば、単離されたポリヌクレオチドは、ベクターもしくは組成物の一部とすることができ、又は細胞内に含まれてもよく、そのベクター、組成物、または特定の細胞は該ポリヌクレオチドの元の環境ではないので、依然として単離されている。「単離された」核酸分子は同様に、当技術分野において公知の方法を用いた化学合成によりまたはインビトロでの増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応など)により作製されるものを含めて、合成核酸分子を含むと理解されるべきである。]
[0145] 本発明の単離された核酸分子は、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを含む。これは、未修飾のRNAもしくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAでもよい。例えば、本発明の単離された核酸分子は、一本鎖および二本鎖のDNA、一本鎖および二本鎖領域の混合であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および/もしくは二本鎖領域の混合であるRNA、一本鎖、またはより典型的には二本鎖、もしくは一本鎖および二本鎖領域の混合でよいDNAとRNAを含むハイブリッド分子を含んでもよい。さらに、単離された核酸分子は、RNAもしくはDNA、またはRNAおよびDNAの両者を含む三本鎖領域から構成されてもよい。単離された核酸分子は、安定性または他の理由により修飾された1以上の塩基、またはDNAもしくはRNA骨格を含んでよい。「修飾」塩基は、例えば、イノシンなどのトリチル塩基および通常のものでない塩基を含む。さまざまな修飾をDNAおよびRNAに対して実施することができることから、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的または代謝的に修飾された形態を含む。]
[0146] 上記の通り、本発明は、ヌクレオチド配列の断片を提供する。ヌクレオチド配列の「断片」とは、少なくとも15、20、30、40、50、100、150、200、250、300、325、350、375、400、450、500、550または600ヌクレオチド(nt)長とすべきである。これらの断片には、以下に限定されないが、診断用プローブおよびプライマーを含む多数の用途がある。もちろん、601〜3000nt長のものなどのより大きな断片も、全てではないが、CslH核酸の大部分に対応する断片と同様、本発明において有用である。]
[0147] いくつかの実施形態において、断片は、CslH核酸の機能的断片を含みうる。すなわち、本発明のポリヌクレオチド断片は、本明細書に定義される通りの(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの機能的活性を有するポリペプチドをコードしうる。]
[0148] 第10の態様において、本発明は、本発明の第9の態様の単離された核酸分子を含む遺伝子構築物またはベクターを提供する。]
[0149] ベクターまたは構築物は、さらに1以上の宿主の複製起点、1以上の宿主中で活性である選択可能なマーカー遺伝子、または細胞中で単離された核酸分子の転写を可能にする1以上の制御配列のうちの1以上を含んでもよい。]
[0150] 「選択可能なマーカー遺伝子」は、細胞により発現される場合に、これら形質転換された細胞の同定および/または選択を促進する表現型を細胞に与える任意のヌクレオチド配列を含む。適切な選択マーカーをコードするヌクレオチド配列の範囲は、当技術分野において周知である。選択マーカーをコードするヌクレオチド配列の例は、抗生物質耐性遺伝子、例えばアンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、抗生物質オーレオバシジンAに対する耐性を与えるAURI−C遺伝子、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(例:nptIおよびnptII)およびハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(例:hpt)など、除草剤耐性遺伝子、例えばグルホシネート(glufosinate)、ホスフィノトリシンまたはビアラホス耐性遺伝子、例えばホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼコード遺伝子(例:bar)、3−エノイルピルビルシキミ酸(shikimate)5−リン酸塩シンターゼをコードする遺伝子をはじめとするグリホサート耐性遺伝子(例:aroA)、ブロミキシニル(bromyxnil)ニトリラーゼをコードする遺伝子をはじめとするブロミキシニル(bromyxnil)耐性遺伝子、ジヒドロプテレート(dihydropterate)シンターゼをコードする遺伝子をはじめとするスルホンアミド(salfonamide)耐性遺伝子(例:sul)およびアセトラクテートシンターゼをコードする遺伝子をはじめとするスルホニル尿素耐性遺伝子、GUSおよびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)をコードする遺伝子などの酵素コードレポーター遺伝子、緑色蛍光タンパク質コード遺伝子などの蛍光レポーター遺伝子、ならびに、とりわけルシフェラーゼ遺伝子などの発光に基づくレポーター遺伝子を含む。]
[0151] さらに、選択可能なマーカー遺伝子は、構築物中の個々のオープンリーディングフレームであるか、あるいはCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドとの融合タンパク質として発現する場合もあることに注目すべきである。]
[0152] 本発明の第10の態様は、本明細書に記載の通り、原核生物または真核生物中の遺伝子構築物の維持および/または複製、ならびに/あるいは遺伝子構築物またはその一部を原核生物または真核生物細胞のゲノムに組み込ませることを意図した、ヌクレオチド配列をさらに含む、本質的に全ての遺伝子構築物に及ぶ。]
[0153] いくつかの実施形態において、ベクターまたは構築物は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換により植物細胞に少なくとも一部移入されるようにつくられる。したがって、ベクターまたは構築物は、左および/または右T−DNA境界配列を含む。]
[0154] 適切なT−DNA境界配列は、当業者によって容易に確認されよう。しかしながら、「T−DNA境界配列」という用語は、アグロバクテリウム属の種(Agrobacterium sp)の細胞からアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性の形質転換を受けやすい植物細胞に移入される核酸分子の範囲を定める、実質的に相同のおよび実質的に直接反復性のヌクレオチド配列を含む。例えば、PeraltaおよびReamによる論文(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82(15): 5112-5116, 1985)およびGelvinの概説(Microbiology and Molecular Biology Reviews, 67(1): 16-37, 2003)を参照されたい。]
[0155] いくつかの実施形態において、ベクターまたは構築物は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換を介して植物に移入するためにつくられているが、本発明は、例えばBroothaerts et al.(Nature 433: 629-633, 2005)に記載されているようなアグロバクテリウム属の種(Agrobacterium sp.)以外の細菌を介して、細菌媒介による植物細胞への導入を促進する遺伝子構築物に対する任意の適切な改変も包含している。]
[0156] 当業者は、所望であれば、本明細書に記載された構築物をどのように作製するか、また、所望の条件下で特定の細胞または細胞種でその発現を得るための必要条件を知るであろう。特に、本発明を実施するために必要な遺伝子操作は、大腸菌細胞などの原核細胞または植物細胞もしくは動物細胞での、本明細書に記載の遺伝子構築物またはその誘導体の増殖を必要とすることが、当業者に公知であろう。核酸分子をクローニングするための方法例は、Sambrook et al.(2000, 前記)に述べられている。]
[0157] 第11の態様において、本発明は、本発明の第9の態様の単離された核酸分子または本発明の第10の態様の遺伝子構築物を含む細胞を提供する。]
[0158] 本発明の第10もしくは第11の態様の単離された核酸分子、または本発明の第12の態様の遺伝子構築物は、当技術分野において周知の任意の手段を介して細胞中に導入することができる。]
[0159] 上記に言及される単離された核酸分子または構築物は、エピソーム(例:プラスミド、コスミド、人工染色体または同様のもの)の一部分として、DNA分子として細胞中に維持されてもよいし、あるいは細胞のゲノムDNAに組み込まれてもよい。]
[0160] 本明細書において用いられる「ゲノムDNA」という用語は、その最も広義な背景において、細胞の遺伝子相補体を構成するあらゆるDNAを含むと理解されるべきである。したがって、細胞のゲノムDNAは、染色体、ミトコンドリアDNA、色素体DNA 、葉緑体DNA、内在性プラスミドDNAなどを含むと理解されるべきである。したがって、「ゲノムに組み込まれた」という用語は、染色体への組み込み、ミトコンドリアDNAへの組み込み、色素体DNAへの組み込み、葉緑体DNAへの組み込み、内在性プラスミドへの組み込みなどを包含する。]
[0161] 単離された核酸分子は、とりわけ、細胞が単離された核酸分子を発現するように、制御配列および/またはプロモーターに機能的に連結することができる。]
[0162] 細胞は、原核細胞または真核細胞でありうる。したがって、細胞は大腸菌細胞もしくはアグロバクテリウム属の種(Agrobacterium spp.)の細胞を含む細菌細胞、または古細菌細胞などの原核細胞とすることができる。細胞は、酵母細胞または菌糸真菌細胞などの真菌細胞、哺乳類細胞または昆虫細胞などの動物細胞、または植物細胞を含む真核細胞であってもよい。特定の実施形態において、細胞は植物細胞である。いくつかの実施形態において、植物細胞は、単子葉植物細胞、イネ目植物細胞または穀物植物細胞である。]
[0163] 第12の態様において、本発明は、本発明の第11の態様の1以上の細胞を含む、本明細書において上で定義した多細胞構造物を提供する。]
[0164] 上記の通り、いくつかの実施形態において、細胞は植物細胞であり、したがって本発明は、本発明の第11の態様の1以上の細胞を含む植物全体、植物組織、植物器官、植物部分、植物繁殖材料または培養植物組織を特に含むと理解されるべきである。]
[0165] 別の実施形態において、本発明は、本発明の第11の態様の1以上の細胞を含む、単子葉植物、イネ目植物もしくは穀類植物またはその部分を提供する。]
[0166] いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の第11の態様の1以上の細胞を含む穀粒を提供する。]
[0167] 上記の通り、本発明は、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのアミノ酸配列も提供する。したがって、第13の態様において、本発明は、本明細書において上で定義した、CslHによりコードされる単離された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ、またはその断片を提供する。]
[0168] 単離されたポリペプチドは、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、すなわちペプチドイソスター(isostere)によって互いに連結されたアミノ酸を含み、20種の遺伝子コードアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよい。本発明の単離されたポリペプチドは、翻訳後プロセシングなどの天然のプロセス、または当技術分野において周知である化学的修飾技術により修飾されてもよい。]
[0169] 修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖および/または末端を含めて、単離されたポリペプチドのどこで行われてもよい。同じ種類の修飾は、所定の単離されたポリペプチドの複数部位で同程度または種々の程度で存在してもよいことが理解されるだろう。また、本発明の単離されたポリペプチドは、多数の種類の修飾を含んでもよい。]
[0170] ポリペプチドは、例えばユビキチン化の結果として分岐しても、および/または、分岐の有無にかかわらず環状でもよい。環状の、分岐した、および分岐した環状ポリペプチドは、翻訳後自然プロセスの結果であっても、あるいは合成方法により作製されてもよい。]
[0171] 修飾には、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、ビオチン化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル反応、共有結合性架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グルコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ポリエチレングリコール(PEG)付加、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノル化、硫酸化、アルギニル化およびユビキンチン化などのトランスファーRNA媒介によるタンパク質へのアミノ酸付加が含まれる(例としては、Proteins--Structure And Molecular Properties 2nd Ed., Creighton (編), W. H. Freeman and Company, New York, 1993、Posttranslational Covalent Modification Of Proteins, Johnson (編), Academic Press, New York, 1983、Seifter et al., Meth Enzymol 182: 626-646, 1990、Rattan et al., Ann NY Acad Sci 663: 48-62,1992を参照)。]
[0172] 上記の通り、本発明は、単離されたポリペプチドの断片も提供する。ポリペプチド断片は、該断片が「自立」するかまたは一部もしくは領域を形成する大きなポリペプチド内に含まれてもよい。]
[0173] ポリペプチド断片は、少なくとも3、4、5、6、8、9、10、11、12、13、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸長でありうる。]
[0174] いくつかの実施形態において、断片は、機能的断片であり、従って、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの機能的活性を含む。しかしながら、該断片は、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの1以上の生物学的機能を保有しないにもかかわらず、他の機能的活性は依然として保有されてもよい。例えば、該断片はCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼの機能的活性を欠くが、CslHによりコードされる単離された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドの完全形態または成熟形態を認識する抗体に対して導入および/または結合する能力を保有する。CslHによりコードされる単離された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドの完全形態または成熟形態を認識する抗体を誘導するおよび/またはそれに結合する能力を有するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質断片は、本明細書において「CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープ」と呼ぶ。]
[0175] CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープは、3〜4個の少ないアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、例えば少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも50個、少なくとも100個または少なくとも200個のアミノ酸残基を含んでもよい。CslHによりコードされる単離された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドの特定のエピトープが当該免疫学的活性を保有しているかどうかは、当技術分野で周知の方法により容易に判定することができる。したがって、1つのCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチド断片は、1以上の、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープを含むポリペプチドである。]
[0176] 1以上の、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープを含むポリペプチドは、当技術分野で周知の合成および組換え方法を含むポリペプチドを生成する慣用的な手段により作製することができる。いくつかの実施形態において、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープを持つポリペプチドは、化学合成の周知の方法を用いて合成されてもよい。例えば、Houghtenは、多数のペプチドを合成する単純な方法を述べている(Houghten, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 5131-5135, 1985)。]
[0177] CslHによりコードされる単離された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチド、およびCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープを有するポリペプチドは、例えば、本発明のCslHによりコードされる単離された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドと結合する抗体の生成において有用である。]
[0178] 当該抗体は、とりわけ(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドの検出および局在決定において、また、(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドのアフィニティ精製において有用である。抗体は、当技術分野において周知の方法を用いて、多様な定性的または定量的イムノアッセイにおいて、慣用的に使用することができる。例えば、Harlow et al.、Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press 2nd Ed., 1988)を参照されたい。]
[0179] したがって、第14の態様において、本発明は、上記に定義の、CslHによりコードされる単離された(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドまたはそのエピトープに対して生起された、抗体またはそのエピトープ結合性フラグメントを提供する。]
[0180] 本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーにより産生されるフラグメントおよび上記のいずれかのエピトープ結合性フラグメントを含むが、これらに限定されない。]
[0181] 本明細書において用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、抗原に対して免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の種類(例、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4,IgA1およびIgA2)またはサブクラスでありうる。]
[0182] 本発明の抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより多重特異性でもよい。多重特異性抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であってもよいし、あるいは異種ポリペプチドまたは固相担体材料などの異種エピトープと本発明のポリペプチドとの両者に対して特異的であってもよい。例えば、PCT公開WO93/17715号、WO92/08802号、WO91/00360号、WO92/05793号、Tutt et al.、J. Immunol. 147: 60-69, 1991、米国特許第4,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5,573,920号、同第5,601,819号、およびKostelny et al.、J. Immunol. 148: 1547-1553, 1992を参照されたい。]
[0183] いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用してもよい。別の実施形態において、本発明の抗体は、例えばインビトロおよびインビボ診断および治療方法の両者をはじめとする本発明のポリペプチドの精製、検出および標的化のために使用してもよい。例えば、抗体は、生体サンプル中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルを定性的にかつ定量的に測定するためのイムノアッセイにおいて使用しうる。例として、Harlow et al.、Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988)を参照されたい。]
[0184] 本明細書において用いられる「抗体」という用語は、例えば、共有結合によって抗体がCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼまたはそのエピトープと結合するのを妨げないような任意のタイプの分子の抗体への共有結合により、修飾されている誘導体を包含すると理解されるべきである。例えば、抗体の誘導体は、例えばグルコシル化、アセチル化、PEG付加、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質との結合などにより修飾されている抗体を含む。さらに、多くの化学的修飾のいずれを公知の技術によって行ってもよい。これらは特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む。さらに、誘導体は1以上の非古典的アミノ酸を含んでもよい。]
[0185] 抗体は、当技術分野で公知の方法を用いて生成することができる。]
[0186] 例えば、インビボ免疫法を使用する場合、動物を遊離ペプチドで免疫してもよいが、抗ペプチド抗体力価は、キーホールリンペットヘモシアニンまたは破傷風トキソイドなどの、高分子キャリアにペプチドを結合することにより、増強させることができる。例えば、システイン残基を含むペプチドは、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)法などのリンカーを用いてキャリアに結合させてもよく、一方、他のペプチドは、グルタルアルデヒドなどのより一般的な架橋剤を用いてキャリアに結合させてもよい。]
[0187] ウサギ、ラット、マウスなどの動物は、例えば遊離ペプチドまたはキャリアを結合したペプチドを用いて、約100マイクログラムのペプチドまたはキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントを含むエマルジョンを腹腔内および/または皮内注射することにより、免疫することができる。例えば固体表面に吸着する遊離ペプチドを用いるELISAアッセイにより、約2週間隔で、検出可能な抗ペプチド抗体の有用な力価を提供するために、何回かの追加免疫注射が必要となることもある。免疫された動物の血清中の抗ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選別により、例えば、当技術分野で周知の方法により固相支持体上へのペプチドの吸着と、選択された抗体の溶出により、高めてもよい。]
[0188] CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドまたは1以上の、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープを含むポリペプチドに対するポリクローナル抗体は、当技術分野で周知の様々な手法により作製することができる。例えば、本発明のポリペプチドは、抗原に対し特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘発するため、限定するものではないが、ウサギ、マウス、ラット等の様々な宿主動物に投与することができる。例えばフロイントアジュバント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、およびBCG(カルメットゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルバムなど潜在的に有用なヒトのアジュバントなど、様々なアジュバントを、宿主動物種に応じて免疫反応を高めるために使用してもよい。当該アジュバントもまた、当技術分野において周知である。]
[0189] 別の例として、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、遺伝子組換えおよびファージディスプレイ技術、またはその組み合わせの利用をはじめとする当技術分野で周知の多様な技術を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で周知であって、例えば、Harlow et al.、Antibodies: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed., 1988)およびHammerling et al.、Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas (Elsecier, NY, 1981)などに教示されているものを含むハイブリドーマ技術を用いて作製することができる。本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術により産生される抗体に限定されるものではない。「モノクローナル抗体」は、真核生物、原核生物およびファージクローンを含む任意の単一クローンから誘導され、また抗体が生成される方法以外に由来する抗体をいう。]
[0190] ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を生成し、スクリーニングする方法は、慣用的に行われ、当技術分野で周知である。例えば、マウスは、本発明のポリペプチドまたは当該ペプチドを発現する細胞により免疫することができる。免疫応答が検出されると、例えば、抗原に特異的な抗体がマウスの血清中で検出された後、マウスの脾臓を摘出し、脾細胞を単離する。脾細胞は、周知の技術により、例えばATCCから入手可能な細胞株SP20由来の細胞などの適切な骨髄腫細胞に融合させる。ハイブリドーマを選択し、限界希釈によりクローニングする。ハイブリドーマクローンは、本発明のポリペプチドと結合することのできる抗体を分泌する細胞について、当技術分野で周知の方法によりアッセイする。一般に高レベルの抗体を含む腹水は、陽性ハイブリドーマクローンを有するマウスを免疫することにより生成することができる。]
[0191] 1以上の、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって作製することができる。例えば、FabおよびF(ab’)2フラグメントは、(Fabフラグメントを生成するため)パパインなどの酵素、またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを生成するため)を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質分解性切断により生成することができる。F(ab’)2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。]
[0192] 本発明の抗体は、当技術分野において周知の種々のファージディスプレイ法を用いて生成することもできる。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保持するファージ粒子の表面に提示(ディスプレイ)される。特定の実施形態において、当該ファージはレパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例:ヒトまたはマウス)から発現される抗原結合ドメインを提示するために使用することができる。対象とする抗原と結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、例えば標識化された抗原、または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原などを使用し、選択または同定することができる。これら方法に使用されるファージは、典型的には、該ファージにより発現されるfdおよびM13結合ドメインを、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換え技術によって融合したFab、Fvまたはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインと共に含む、線状ファージである。]
[0193] ファージディスプレイ法の例としては、Brinkman et al.(J. Immunol. Methods182: 41-50, 1995)、Ames et al.(J. Immunol. Methods 184: 177-186, 1995)、Kettleborough et al.(Eur. J. Immunol. 24: 952-958, 1994)、Persic et al.(Gene 187: 9-18, 1997)、Burton et al.(Advances in Immunology 57: 191-280, 1994)、PCT公開WO90/02809号、WO91/10737号、WO92/01047号、WO92/18619号、WO93/11236号、WO95/15982号、WO95/20401号および米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号および同第5,969,108号により開示された方法が挙げられる。]
[0194] ファージ選択後、ファージ由来の抗体コード領域を単離し、全抗体または任意の望ましい他の抗原結合性フラグメントを生成するために使用することができ、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母菌および細菌を含む、任意の望ましい宿主で発現させることができる。例えば、組換え技術によりFab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを生産するための技術はまた、PCT公開WO92/22324、Mullinax et al.(BioTechniques 12(6): 864-869, 1992)およびSawai et al.(AJRI34:26-34, 1995)およびBetter et al.(Science 240: 1041-1043, 1988)に開示された方法など当技術分野で周知の方法を用いて、使用することも可能である。]
[0195] 一本鎖Fvおよび抗体を生産するために使用可能な技術の例は、米国特許第4,946,778号および同第5,258,498号、Huston et al.(Methodsin Enzymology 203: 46-88, 1991)、Shu et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 7995-7999, 1993)およびSkerra et al.(Science 240: 1038-1040, 1988)に記載されている。]
[0196] 本発明をさらに、以下の非限定的な実施例により説明する。]
[0197] オオムギはCSLH遺伝子を1種だけ有する
オオムギ中の候補CSLH遺伝子を、コメCSLH配列とともに、中止になったStanford cell wall website、NCBI、HarvEST、GrainGenes、Barley Gene IndexおよびBarley BaseなどのオンラインESTデータベースに照会することによりまず同定する。オオムギ由来の全CSLH関連ESTは、全長3’非翻訳領域(UTR)およびタンパク質のCOOH末端の488個の(予測では約750の)アミノ酸残基をコードする領域に含まれる約1,500bpの単一の連続配列にアライメントできた(表2)。この遺伝子をHvCslH1と名付けた。HvCslH1由来プローブを用いたオオムギBACライブラリのスクリーニングにより、すべてがHvCslH1を含むいくつかのゲノムクローンが同定され、これにより、欠落した5’末端が得られた(データ非掲載)。単一の2,256bpORFを含み、推定分子量82.6kDaおよびpI7.0であるタンパク質をコードする、2,430bpのHvCslH1cDNA断片をPCR増幅した(図6A)。ARAMEMNONを用いたこの配列の概念上の翻訳の分析により、5つから9つの膜貫通ドメイン(TMD)が見出され、さまざまなプログラムの間のコンセンサスは、2つのNH2末端および4つのCOOH末端のTMD(図6B)であり、成熟タンパク質の両末端は、細胞質性であることが予測される。このトポロジーもまた、細胞質内にD,D,D,QFKRWモチーフを含む大型の中心ドメインを配置している(図6C)。ヌクレオチドレベルでは、HvCslH1は、3種のコメCSLH遺伝子と、68〜74%の同一性(62〜69%のアミノ酸同一性)を有している(実施例6を参照されたい)(Hazen et al., Plant Physiol 128: 336-340, 2002)。系統発生学的再構成は、HvCslH1が、おそらくOsCSLH1のオオムギオーソログであることを示している(図7)。Sloop×Halcyonの倍加半数体集団を使用するHvCslH1の遺伝子マッピング(Read et al., Aust J Agr Res 54: 1145-1153, 2003)は、HvCslH1は染色体2Hの短腕上にあり、Burtonらにより報告された(Plant Physiol 146: 1821-1833, 2008)4種のHvCSLF遺伝子(HvCSLF3、4、8、10)のクラスターからおよそ1.5cMであり、非発芽オオムギ穀粒中のβ−グルカン含有量を調節する主要QTL内にあった(Han et al., Theor Appl Genet 91: 921-927, 1995;図8)ことを示している。] 図6A 図6B 図6C 図7 図8
[0198] 支援情報
BACライブラリのスクリーニングを用い、全長HvCslHファミリーメンバーの完全なセットを得た。オオムギゲノム(品種モレックス)の6.5等価体を含むBACフィルターをスクリーニングし、3種の明らかに陽性のクローンを同定した(データ非掲載)。HindIIIを用いて消化したこれらのクローン由来のBAC DNAのブロットを検出した場合、同じ3種のクローンである3−5−10、3−7−3および3−7−8が陽性であると検証された。BAC 3−5−10および3−7−8の消化パターンは同一であると思われ、多くのバンドはBAC 3−7−3と共通であり、このことは、3種のBACはすべて、オオムギゲノムの同一の領域または非常に類似した領域を含むことを示している。ゲノムDNAのブロットを同じプローブとハイブリダイズさせた場合、単一のバンドが、HindIII、EcoRIまたはEcoRVを用いて消化したレーンに観察され、BAC消化の結果を裏付けた。すべてのHvCslHESTもまた単一の遺伝子に由来するので(表2)、これらのデータは、オオムギゲノム中にはCSLH遺伝子が1種だけ存在することを強く示唆している。]
[0199] アダプタープライマーPCR法(Siebert et al., Nucl AcidsRes 23: 1087-1088, 1995)を使用して、HvCslH1の5’末端を同定した。DNAを、BAC3−5−10および3−7−3から単離し、アダプターが連結された平滑末端DNA断片を作製するさまざまな制限酵素を用いて消化した。次いで、遺伝子の5’末端を含有する断片を増幅するために、アダプター特異的プライマーおよびHvCslH1特異的プライマー(表3)を用いて、ネステッドPCRを実施した。プライマーAP2およびH1R6を使用する、NruIにより消化されたBAC 3−7−3 DNAの増幅により、N末端配列の約20個のアミノ酸以外をすべて含む1.3kbpの断片を増幅することに成功した。H1R10プライマー、すなわち1.3kb断片の5’末端近くにアニーリングするために設計されたアンチセンスプライマーを用いたBAC 3−7−3DNAの直接配列決定は、オープンリーディングフレームの残り+配列の上流の748bpの同定を可能にした。先に得られた結果から予測されたように、BAC 3−5−10から得られた配列はBAC 3−7−3と同一であり、オオムギゲノム内にCSLH遺伝子が1種だけ存在することが確認された。]
[0200] ]
[0201] ]
[0202] シロイヌナズナにおけるHvCslH1の発現は、(1,3;1,4)−β−D−グルカンの堆積をもたらす
シロイヌナズナにおける異種発現のために、HvCslH1 ORFを、Gatewayを可能にするバイナリーベクターのpGWB15にクローニングし(Nakagawa et al., J Biosci Bioeng 104: 34-41, 2007;図15)、HvCslH1をCaMV 35Sプロモーターの制御下に置き、3×HAエピトープタグをコードされるタンパク質のNH2末端に付加した(図1A)。形質転換シロイヌナズナ種子の初期選択により、PCRでHvCslH1の含有が確認されたいくつかの推定トランスジェニック実生を同定した。これらのT1植物のRNAブロット分析により、ロゼット葉中におよそ90%のHvCslH1転写産物が蓄積したことが示された(図1B)。抗HAタグ抗体を使用するウェスタンブロッティングを使用して、これらの系統におけるHvCslH1タンパク質を検出した(図1C)。混合したミクロソーム膜の分画(50,000〜100,000×gのペレット)を、プールされた3週齢のカナマイシン耐性T2実生から調製した。抗HA抗体を用いたウェスタンブロッティングは、HvCslH1転写産物を含有する28の系統のうちわずか4系統だけが予想サイズ(約90kDa)のポリペプチドを蓄積したことを示した(図1C)。分子量がより大きいタンパク質およびより小さいタンパク質が検出されることもあった(例えば、レーン11)。90kDaのタンパク質は、総タンパク質抽出物(データ非掲載)または非形質転換シロイヌナズナ植物から調製された混合膜分画(図1C、Col−0レーン)中には観察されなかった。HAタグ付加HvCslH1が、HvCslH1mRNAを発現する植物系統の一部だけに蓄積する理由、あるいは、HvCslH1のタンパク質レベルと、HvCslH1の転写産物のレベル(図1BおよびCを比較されたい)または植物中に存在するHvCslH1トランスジーンの数(データ非掲載)のいずれかとの間に相関がない理由は知られていないが、このことは以前から観察されていた(Burton et al., Science 311: 1940-1742, 2006)。HAタグ付加HvCslH1を発現する8、11、16および24系統と検出可能なレベルのタンパク質を発現しない6系統(対照)を、次の実験のために選択した。] 図15 図1A 図1B 図1C
[0203] 免疫EMを使用して、トランスジェニックシロイヌナズナ植物の細胞壁が検出可能なレベルのβ−グルカンを蓄積するかどうかを決定した。8、11、16、24および6系統の自家受粉子孫(T2世代)由来の成葉片の切片を、β−グルカンに特異的なモノクローナル抗体で検出し(Meikle et al., Plant J 5: 1-9, 1994)、その後18nmの金粒子と結合した二次抗体を使用して検出した。金粒子は、HAタグ付加HvCslH1陽性の8、11および16系統(それぞれ、図2A、C、B)の細胞壁中に明らかであるが、HvCslH1を発現した(データ非掲載)24系統または検出可能なHvCslH1タンパク質を有さなかった6系統(図2E)のいずれにおいても細胞壁中に明らかではなかった。各陽性トランスジェニック系統は、組織標識の異なるパターンを示した。8系統において、表皮細胞壁、時として木部壁にまばらな標識が観察されるが(図2A)、一方11系統では、表皮壁および維管束組織壁はわずかに標識されただけであるが、より強い(よりまばらではあるが)標識が葉肉壁において観察された(図2C)。広範囲に分布する明るい標識が、16系統の成葉の細胞壁すべてに存在した(図2B)。「構成的に」発現される35Sプロモーターにより駆動される遺伝子を発現するトランスジェニックシロイヌナズナ系統による異所性多糖類産生の不規則かつ非一貫性のパターンは、以前から観察されている(Burton et al., 2006,上記)。非形質転換シロイヌナズナの葉の切片においては、標識は見られなかった(図2D)。標識レベルの低下は、このβ−グルカンを特異的に加水分解する枯草菌(Bacillus subtilis)のエンドヒドロラーゼとともにプレインキュベートを行ったトランスジェニック植物の葉切片に見られた(Burton et al., 2006,上記、データ非掲載)。] 図2A 図2B 図2C 図2D 図2E
权利要求:

請求項1
細胞により生成される(1,3;1,4)−β−D−グルカンのレベルを調節する方法であって、該細胞中のCslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節するステップを含む方法。
請求項2
細胞中の(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼのレベルおよび/または活性を調節する方法であって、該細胞中のCslH核酸の発現を調節するステップを含む方法。
請求項3
(1,3;1,4)−β−D−グルカンの生成方法であって、単離されたCslH核酸で細胞を形質転換するステップ、および該細胞に該単離されたCslH核酸を発現させるステップを含む方法。
請求項4
前記細胞が植物細胞である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
請求項5
前記細胞が単子葉植物細胞である、請求項4に記載の方法。
請求項6
前記細胞が穀類植物細胞である、請求項4または5に記載の方法。
請求項7
請求項3に記載の方法により生成された(1,3;1,4)−β−D−グルカン。
請求項8
以下:同じ分類群の野生型細胞と比較してそのレベルおよび/または活性が調節された、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ;ならびに/あるいは同じ分類群の野生型細胞と比較してその発現が調節されたCslH核酸のいずれか1以上を含む細胞。
請求項9
同じ分類群の野生型細胞と比較してそのレベルが調節された(1,3;1,4)−β−D−グルカンをさらに含む、請求項8に記載の細胞。
請求項10
請求項1または2に記載の方法により作製された、請求項8または9に記載の細胞。
請求項11
植物細胞である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の細胞。
請求項12
単子葉植物細胞である、請求項11に記載の細胞。
請求項13
穀類植物細胞である、請求項11または12に記載の細胞。
請求項14
請求項8〜13のいずれか1項に記載の1以上の細胞を含む多細胞構造物。
請求項15
植物全体、植物組織、植物器官、植物部分、植物繁殖材料、または培養植物組織からなるリストより選択される、請求項14に記載の多細胞構造物。
請求項16
穀類植物、またはその組織、器官もしくは部分を含む、請求項14または15に記載の多細胞構造物。
請求項17
穀粒を含む、請求項16に記載の多細胞構造物。
請求項18
そのレベルが調節された(1,3;1,4)−β−D−グルカンを含む穀粒であって、そのレベルおよび/または活性が調節された、CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼ、ならびに/あるいはその発現が調節されたCslH核酸を含む1以上の細胞を含む、上記穀粒。
請求項19
以下:請求項17または18に記載の穀粒を製粉することにより製造される穀粉;および任意により、1以上の他の穀粒を製粉することにより製造される穀粉を含む穀粉。
請求項20
単離されたCslH核酸、又はその相補体、逆相補体もしくは断片。
請求項21
請求項20に記載の単離された核酸分子を含む遺伝子構築物またはベクター。
請求項22
請求項20に記載の単離された核酸分子または請求項21に記載の遺伝子構築物を含む細胞。
請求項23
植物細胞である、請求項22に記載の細胞。
請求項24
単子葉植物細胞である、請求項23に記載の細胞。
請求項25
穀類植物細胞である、請求項23または24に記載の細胞。
請求項26
請求項22〜25のいずれか1項に記載の1以上の細胞を含む多細胞構造物。
請求項27
植物全体、植物組織、植物器官、植物部分、植物繁殖材料、または培養植物組織からなるリストより選択される、請求項26に記載の多細胞構造物。
請求項28
穀類植物、またはその組織、器官もしくは部分を含む、請求項26または27に記載の多細胞構造物。
請求項29
穀粒を含む、請求項28に記載の多細胞構造物。
請求項30
CslHによりコードされる(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼポリペプチドまたはその断片を規定するアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
請求項31
ポリペプチドまたはその断片が、CslHによりコードされる1以上の(1,3;1,4)−β−D−グルカンシンターゼエピトープを含む、請求項31に記載の単離されたポリペプチド。
請求項32
請求項30または31に記載の単離されたポリペプチドまたはその断片に対して生起された抗体またはそのエプトープ結合性フラグメント。
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