专利摘要:
本発明は、炎症性腸疾患の病理状態に対する遺伝子発現プロファイリングの方法であって、哺乳動物被検者からの試験試料中における一又は複数のIBDマーカーのコントロールに対する発現差を決定し、試験試料中における発現差が、試験試料が得られた哺乳動物被検者におけるIBDを示す方法に関する。
公开号:JP2011509071A
申请号:JP2010536200
申请日:2008-11-26
公开日:2011-03-24
发明作者:アレクサンダー,;アール. アッバス,;ヒラリー クラーク,;ジャック サトサンギ,;ローリ ディール,;コリン,;エル. ノーブル,;チャールズ リーズ,
申请人:ザ ユニヴァーシティ コート オブ ザ ユニヴァーシティ オブ エディンバラ オブ オールド カレッジ;ジェネンテック, インコーポレイテッド;
IPC主号:C12Q1-00
专利说明:

[0001] (発明の背景)
(関連出願とのクロスリファレンス)
この出願は、全開示を出典明示によりここに援用する2007年11月29日出願の米国仮出願第60/991203号、2008年9月17日出願の米国仮出願第61/192268号、及び2008年5月22日出願の国際特許出願第PCT/US08/64562号の利益と米国特許法第119条第(e)項の優先権を主張する。]
[0002] (発明の分野)
本発明は、炎症性腸疾患の検出及び診断における使用を含む、炎症性腸疾患病理発生における遺伝子発現プロファイルに関する。]
[0003] (関連技術の記載)
免疫関連及び炎症疾患は、正常な生理機能では、発作又は傷害に反応して、発作又は傷害からの修復を開始し、外来生物体に対する生得的及び後天的防御を開始するのに重要な、かなり複雑で、多くの場合は多重に相互関連した生物学的経路の現れ又は結果である。疾患又は病理は、これらの正常な生理学的経路が、反応の強さに直接関連してか、異常な調節又は過度な刺激の結果として、自己に対する反応として、又はこれらの組合せとして、更なる発作又は傷害を引き起こすときに生じる。
これらの疾患の発生は、多くの場合、多段階経路及びしばしば多数の異なった生物学的システム/経路に関与しているが、一又は複数のこれら経路の重要な点における介在により改善又は治療効果を有し得る。治療的介在は有害なプロセス/経路の拮抗作用又は有益なプロセス/経路の刺激のいずれかにより生じる。
多くの免疫関連疾患が知られており、広範囲にわたって研究されている。このような疾患には、免疫媒介炎症疾患、非免疫媒介炎症疾患、感染疾患、免疫欠損症、異常増殖等が含まれる。]
[0004] 炎症性腸疾患(「IBD」)という用語は、腸管(腸)に炎症を起こし、時に反復性の腹痛又は下痢を起こす原因不明の慢性炎症性障害の一群を意味する。米国におけるIBDの罹患率は、人口10万人あたり約200人と推定されている。IBD患者は、潰瘍性大腸炎(「UC」)を伴うグループ、及びクローン病(「CD」)を伴うグループの、2つの主要グループに分けられる。UC及びCD共、慢性の再発性疾患であり、まだはっきり分かっていない環境的刺激にさらされている遺伝的に影響されやすい個人で生じる複雑な臨床的実体である。(Bonen及びCho, Gastroenterology. 2003; 124:521-536;Gaya等 Lancet. 2006;367:1271-1284)。]
[0005] IBDの原因は依然として不明であるが、遺伝、感染、及び免疫的感受性等の複数の要因が関係していると思われている。IBDは白人に多く、特にユダヤ系の白人に多い。症状が慢性的炎症性の性質であることにより、感染的原因の可能性に対する熱心な調査が急ぎ行われた。急性炎症を刺激する薬剤が見つかったものの、IBDに関連して慢性的炎症の原因となるものは見つかっていない。IBDが自己免疫性疾患であるという仮説は、関節炎など前述したようにIBDが腸以外に症状を有すること、並びに、免疫反応を抑制することが知られている副腎性グルココルチコイド、シクロスポリン及びアザチオプリン等の治療薬によりIBDにポジティブな反応が見られることが既知であることにより支持されている。加えて、胃腸管は、身体の他のどの器官よりも、連続的に食物由来のタンパク質、細菌性副産物(LPS)等の抗原性物質の可能性に曝されている。
しばしば所定の患者がどちらの病気に罹っているのか言うのが難しいほど、UCとCDの診断基準には十分なオーバーラップがある;しかしながら、局在性のように、典型的に見られる病変のタイプは異なっている。UCは殆どは直腸に近位の結腸中に見られ、特徴的な病変は粘膜の表在性潰瘍であり;CDは腸の何処にでも見られ、胃、食道及び十二指腸にも時折関与し、病変は通常は広汎な直線状の裂溝として記述される。]
[0006] IBDの現在の治療法は、通常は、抗炎症剤又は免疫抑制剤、例えばスルファサラジン、コルチコステロイド、6−ルカプトプリン/アザチオプリン、又はシクロスポリンの投与を含み、これは通常は部分的な結果をもたらすだけである。抗炎症/免疫抑制療法が失敗すると、結腸切除術が最後の防御ラインである。直腸に関連しないCDに対する典型的な手術は切除術(腸の疾患セグメントの除去)及び造瘻術なしの吻合術(再結合)である。小腸又は大腸の部分は取り除くことができる。CD患者の約30%が診断後最初の年の内に手術を必要とする。次の年では、割合は一年当たり約5%である。不幸にも、CDは高い再発率を特徴とする;患者の約5%が最初の手術後、毎年二回目の手術を必要とする。]
[0007] 炎症性腸疾患の診断の精密化は、標準的な分類基準を使用して進行状態を評価することを含む。IBDにおいて使用される分類システムは、大腸炎を軽度、中程度、又は重篤として分類するTruelove及びWittsインデクス(Truelove S.C.及びWitts, L.J. Br Med J. 1955;2:1041-1048)を含み、並びにLennard-Jones(Lennard-Jones JE. Scand J Gastroenterol Suppl 1989;170:2-6)及び単純な臨床大腸炎活性指数(SCCAI)(Walmsley等 Gut. 1998;43:29-32)である。これらのシステムは、毎日の便通、直腸出血、体温、心拍数、ヘモグロビン値、赤血球沈降速度、体重、ヘマトクリットスコア、及び血清アルブミン値のような変量を追跡する。]
[0008] 症例のおよそ10−15%において、潰瘍性大腸炎又はクローン病の確定診断は行うことはできず、かかる症例はしばしば「未定の大腸炎」と称される。診断を補助し得、それぞれが血液中の抗体をアッセイする二つの抗体検出試験が利用できる。抗体は「核周辺型抗好中球抗体」(pANCA)と「抗出芽酵母抗体」(ASCA)である。潰瘍性大腸炎の殆どの患者はpANCA抗体を持っているがASCA抗体を持っておらず、クローン病の殆どの患者は抗体を持っているがpANCA抗体を持っていない。しかしながら、これらの二つの試験は、ある患者は何れの抗体も持っておらず、あるクローン病患者はpANCA抗体のみを持っている場合があるので、難がある。臨床実務では、多数の変量の測定よりも分子マーカーに基づきIBDの存在及び/又は進行を示しうる信頼性ある試験は、IBDの患者を同定し及び/又は治療するために有用であろう。無仮説の連鎖・連関研究では、UCに関連している遺伝子座、特に染色体6上のMHC領域(Rioux等Am J Hum Genet. 2000;66:1863-1870;Stokkers等Gut. 1999; 45:395-401;Van Heel等Hum Mol Genet. 2004;13:763-770)、染色体12上のIBD2遺伝子座(Parkes等Am J Hum Genet. 2000;67:1605-1610;Satsangi等Nat Genet. 1996;14:199-202)及び染色体5上のIBD5遺伝子座(Giallourakis 等 Am J. Hum Genet. 2003;73:205-211;Palmieri等 Aliment Pharmacol Ther. 2006;23:497-506;Russell等 Gut. 2006;55:1114-1123;Waller等 Gut. 2006;55:809-814)が同定されている。染色体7q上にUCに対する連関の推定遺伝子座を同定するUK規模の連鎖スキャンの後、更なる研究で、UCの細胞性解毒に関与するABCB1(MDR1)遺伝子の変異体を結びつけた(Satsangi等 Nat Genet. 1996;14:199-202;Brant等 Am J Hum Genet. 2003;73:1282-1292;Ho 等 Gastroenterology. 2005;128:288-296)]
[0009] 炎症性腸疾患(IBD)において観察される慢性的小腸炎を生じる複雑な遺伝子−遺伝子及び遺伝子−環境関係の同定と理解に向けての補完的アプローチは、マイクロアレイ遺伝子発現解析である。マイクロアレイは、組織及び細胞レベルでの遺伝子発現の包括的な像を明らかにし、根底にある病態生理学的過程の理解を助ける(Stoughton等 Annu Rev Biochem. 2005;74:53-82)。マイクロアレイ解析は最初は1997年にIBDの患者に応用され、CDの患者の手術切除中の96遺伝子の発現を、関節リウマチの患者の滑液組織と比較した(Heller 等 Proc Natl Acad Sci U S A. 1997;94:2150-2155)。IBD患者からの手術標本を調べるためにマイクロアレイプラットホームを使用する更なる研究により、疾患試料をコントロールと比較した場合に差次的に調節された多くの新規遺伝子が同定された(Dieckgraefe等 Physiol Genomics. 2000;4:1-11;Lawrance等 Hum Mol Genet. 2001;10:445-456)。
炎症性腸疾患(IBD)において観察される慢性的小腸炎を生じる複雑な遺伝子−遺伝子及び遺伝子−環境関係の同定と理解に向けての補完的アプローチは、マイクロアレイ遺伝子発現解析である。マイクロアレイは、組織及び細胞レベルでの遺伝子発現の包括的な像を明らかにし、根底にある病態生理学的過程の理解を助ける(Stoughton等 Annu Rev Biochem. 2005;74:53-82)。マイクロアレイ解析は最初は1997年にIBDの患者に応用され、CDの患者の手術切除中の96遺伝子の発現を、関節リウマチの患者の滑液組織と比較した(Heller 等 Proc Natl Acad Sci U S A. 1997;94:2150-2155)。IBD患者からの手術標本を調べるためにマイクロアレイプラットホームを使用する更なる研究により、疾患試料をコントロールと比較した場合に差次的に調節された多くの新規遺伝子が同定された(Dieckgraefe等 Physiol Genomics. 2000;4:1-11;Lawrance等 Hum Mol Genet. 2001;10:445-456)。]
[0010] 内視鏡で採取した粘膜生検は、重篤ではない疾患の患者を包含する大きな範囲の患者由来の組織をマイクロアレイすることを可能にした。Langmann等はマイクロアレイを使用し、結腸及び回腸末端の巨視的に非罹患の領域からの生検標本中の22283の遺伝子を分析した(Langmann 等 Gastroenterology. 2004;127:26-40)。細胞解毒及び生体内分解に関与した遺伝子(プレグナンXレセプター及びMDR1)はUCの患者の大腸において有意にダウンレギュレートされたが、CDの患者からの生検中におけるこれら遺伝子の発現には差がなかった。Costelloと同僚達(Costello 等PLoS Med. 2005;2:e199)は、健常なコントロール、CD及びUCの患者由来の内視鏡S状結腸生検中における33792配列の発現を調べた。新規なタンパク質を表す多くの配列が差次的に調節されており、インシリコ解析では、これらのタンパク質が疾患病理−転写因子、シグナル伝達分子及び細胞接着に関する推定機能を有していたことが示唆された。]
[0011] UCの患者の研究において、Okahara等 (Aliment Pharmacol Ther. 2005;21:1091-1097)は、非炎症生検と比較した場合、炎症生検において、遊走阻止因子関連タンパク質14(MRP14)、増殖関連癌遺伝子ガンマ(GROγ)及び血清アミロイドA1(SAA1)がアップレギュレートされる一方、TIMP1及びelfinがダウンレギュレートされていることを観察した。41のケモカインと21のケモカインレセプターを観察し、Puleston等は、ケモカインCXCLs1−3及び8及びCCL20がアクティブな大腸CD及びUCにおいてアップレギュレートされていたことを証明した(Aliment Pharmacol Ther. 2005;21:109-120)。総括してこれらの研究は、初期のマイクロアレイプラットホーム及び組織収集の異質性を例証している。しかしながら、これらの問題にかかわらず、多くの遺伝子の差次的発現が一貫して観察された。]
[0012] IBDの研究における上記の進歩にもかかわらず、哺乳動物においてIBDを検出することができ、この疾患を効果的に治療するための更なる診断及び治療剤に対して大なる需要が存在している。従って、本発明は、正常な組織と比較してIBD中において過剰発現されるポリヌクレオチド及びポリペプチド、及びその哺乳動物被検者におけるIBDの存在を検出又は診断し、IBDが適切なIBD治療剤で検出される被検者を続いて治療するために、ポリペプチド及びそのコード核酸を使用する方法を提供する。]
[0013] 本発明は、潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)を含む炎症性腸疾患(IBD)の存在を検出し、その進行を決定する方法を提供する。
ここに開示した発明は、哺乳動物組織又は細胞試料中の一又は複数の遺伝子発現マーカーの発現を検査する方法及びアッセイを提供し、ここで、一又は複数のかかるバイオマーカーの発現が、組織又は細胞試料が採取された哺乳動物被検者がIBDに罹っている可能性が高いかどうかを予測する。本発明の様々な実施態様では、該方法及びアッセイは、表1、2、及び3に列挙されたもののような遺伝子発現マーカーの発現を検査し、発現がコントロール試料よりも高いか又は低いかを決定する。
本発明のこれらの及び更なる実施態様は当業者には明らかであろう。]
[0014] 一態様では、本発明は、哺乳動物被検者における炎症性腸疾患(IBD)を検出又は診断する方法であって、被検者から得られた生物学的試料において、(i)表1、2、又は3から選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸、又は(ii)表1、2、又は3から選択された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の、発現レベルが、コントロールにおける発現レベルに対して異なっていることを決定し、発現の差が、被検者がIBDである可能性が高いことを示している方法に関する。
一実施態様では、哺乳動物被検者におけるIBDを診断又は検出する方法は、被検者から得られた試験試料において、(i)表1A、2、又は3Aから選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸;又は(ii)表1A、2、又は3Aから選択された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の発現レベルが、コントロールにおける発現レベルに対して高いことを決定することを含み、発現の高いレベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示している方法に関する。
他の実施態様では、哺乳動物被検者におけるIBDを診断又は検出する方法は、被検者から得られた試験試料において、(i)表1B又は3Bから選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸;又は(ii)表1B又は3Aから選択された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の発現レベルが、コントロールにおける発現レベルに対して低いことを決定することを含み、発現の低いレベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示している方法に関する。]
[0015] 一態様では、該方法は、過去においてIBDと診断され現在は寛解している哺乳動物被検者におけるIBDの突然の再発を診断又は検出することに関する。被検者はIBDに対する治療を完了していてもよいし、又はIBDの治療を現在受けていてもよい。一実施態様では、該方法は、哺乳動物被検者から得られた生物学的試料中において、(i)表1、2、又は3から選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸;又は(ii)表1、2、又は3から選択された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の、発現レベルが、コントロールにおける発現レベルに対して異なっていることを決定することを含み、発現の差が、被検者がIBDの突然の再発の可能性が高いことを示している。あるいは、試験試料は、利用できるならば、最初のIBD診断の診断前、診断後又は診断時に得られた哺乳動物被検者の前の試験試料と比較することができる。]
[0016] 全ての態様において、哺乳動物被検者は好ましくはヒト患者であり、例えばIBDになっているかIBDを発症するリスクがあると診断されたヒト患者である。被検者はまたIBDの治療を以前に受けたがIBDの再発のリスクがあるIBD患者である。
本発明の方法の全ての態様に対して、ここに記載の一又は複数の遺伝子(あるいはかかる遺伝子の一又は複数によって発現されるポリペプチドをコードする一又は複数の核酸)の発現レベルの決定は、例えば遺伝し発現プロファイリングによって得ることができる。遺伝子発現プロファイリングの方法は、例えば、PCRベースの方法でありうる。]
[0017] 様々な実施態様では、診断は、例えば免疫組織化学的検査(IHC)及び/又は蛍光インサイツハイブリダイゼーションによる、(i)表1、2、又は3から選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸;又は(ii)表1、2、又は3から選択された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の、発現レベルの定量を含む。
本発明の全態様に対して、遺伝子の発現レベルは、一又は複数の参照遺伝子、又はその発現産物の発現レベルに対して正規化されうる。
本発明の全態様に対して、該方法は、上記遺伝子の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20、又はその発現産物の発現レベルのエビデンスを決定することを更に含みうる。]
[0018] 他の態様では、本発明の方法はまたその発現レベルのエビデンスに基づいてそのような遺伝子(つまり、ここに開示されたIBDマーカー)の「パネル」の使用を考える。ある実施態様では、IBDマーカーのパネルは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20のIBDマーカーを含む。該パネルは、コントロールに対してIBD中において過剰発現されるIBDマーカー、コントロールに対してIBD中において過小発現されるIBDマーカー、又はコントロールに対してIBD中において過剰発現されまた過小発現されるIBDマーカーを含みうる。かかるパネルは、IBDが被検者に存在しているかどうかについて決定をするために一又は複数のIBDマーカーの発現差異について哺乳動物被検者をスクリーニングするために使用することができる。]
[0019] 一実施態様では、パネルを構成するIBDマーカーは表1、2、及び3から選択される。好ましい実施態様では、哺乳動物被検者におけるIBDの存在を診断又は検出する方法は、被検者から得られた試験試料中におけるコントロールにおける発現レベルに対するIBDマーカーのパネルからRNA転写物又はその発現産物の発現レベル差を決定することを含み、ここで、発現レベル差が、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示す。試験試料における発現差異は、ここで検討されるコントロールに対して高いか、及び/又は低い場合がある。
本発明の全態様に対して、該方法は上記予想をまとめるレポートを作成する工程を更に含みうる。]
[0020] 全態様に対して、本発明の方法に従って診断され又は検出されるIBDはクローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、又はCD及びUCの双方である。
本発明の全態様に対して、哺乳動物被検者から得られる試験試料は、結腸組織生検由来でありうる。好ましい実施態様では、生検は、回腸末端、上行結腸、下行結腸、及びS状結腸からなる群から選択される組織である。他の好ましい実施態様では、生検は炎症結腸領域又は非炎症結腸領域由来である。炎症結腸領域は急性的に炎症状態となっているか又は慢性的な炎症状態でありうる。
全態様に対して、発現レベルの決定は一回を越えて生じうる。本発明の全態様に対して、発現レベルの決定は、患者が手術前及び/又は手術後に何らかの治療を患者が受ける前になされうる。ある実施態様では、決定工程は、手術後の哺乳動物被検者におけるIBDの再発を示し、又は上記哺乳動物被検者における上記IBDの突然の再発を示している。好ましい実施態様では、IBDはクローン病である。
他の態様では、本発明は、IBDの存在がここに記載された方法によって検出されている哺乳動物被検者を治療する方法に関する。例えば、哺乳動物被検者から得られた試験試料がここに記載されたIBDマーカーのRNA転写物又は対応する遺伝子産物の一又は複数のコントロールに対する発現差異を示していることが決定された後、哺乳動物被検者にIBD治療剤が投与されうる。]
[0021] 一実施態様では、治療を必要とする哺乳動物被検者においてIBDを治療する方法は、(a)上記被検者から得られた試験試料において、(i)表1、2、又は3から選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸;又は(ii)表1、2、又は3から選択された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の、コントロールにおける発現レベルに対する発現レベル差を決定し、ここで上記発現の差が、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示し;(b)上記被検者に有効量のIBD治療剤を投与することを含む。好ましい実施態様では、IBDを治療する方法は、(a)被検者から得られた試験試料において、(i)表1A、2、又は3Aから選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸;又は(ii)表1A、2、又は3Aから選択された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の発現レベルが、コントロールにおける発現レベルに対して高いことを決定し、ここで発現の高いレベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示し;(b)上記被検者に有効量のIBD治療剤を投与することを含む。他の好ましい実施態様では、IBDの治療方法は、(a)被検者から得られた試験試料において、(i)表1B又は3Bから選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸;又は(ii)表1B又は3Bから選択された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の発現レベルが、コントロールにおける発現レベルに対して低いことを決定することを含み、ここで発現の低いレベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示する。ある好ましい実施態様では、IBD治療剤は、アミノサリチル酸、副腎皮質ステロイド、及び免疫抑制剤の一又は複数である。]
[0022] 一態様では、上で検討したIBDマーカーのパネルは、哺乳動物被検者におけるIBDを治療する方法において有用である。一実施態様では、哺乳動物被検者はマーカーのパネルに対してスクリーニングされ、IBDの存在が決定された場合、IBD治療剤が上で検討されたように投与されうる。
異なった態様では、本発明は、(1)抽出バッファー/試薬及びプロトコル;(2)逆転写バッファー/試薬及びプロトコル;及び(3)qPCRバッファー/試薬及びプロトコルで本発明の方法を実施するのに適したものの一又は複数を含むキットに関する。該キットは、データ検索及び解析ソフトウェアを含みうる。
一実施態様では、発現差異がIBDを示す遺伝子はGLI1である。他の実施態様では、GLI1遺伝子はGLI1変異体である。好ましい実施態様では、GLI1変異体は実施例4に記載したようなrs2228226C→G(Q1100E)である。]
[0023] ここで述べた全ての刊行物は、その刊行物が引用されているものに関連した方法及び/又は材料を開示し記述するために出典明示によりここに援用される。ここに引用された刊行物は本出願の出願日前の開示に対して引用している。本発明のより早い優先日又は先の日付が刊行物に先立つことができないことを発明者が自認していると見なされるべきではない。更に、実際の公開日は示されたものとは異なる場合があり、個々に立証を要する。]
図面の簡単な説明

[0024] 目的変数なしの階層的クラスタリングによって解析されたコントロール患者からの組織学的に正常な生検を示す。
潰瘍性大腸炎患者及びコントロールにおけるデフェンシンα5及び6の発現を示す。
潰瘍性大腸炎及びコントロールにおけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)3及び7の発現を示す。
コントロール及び潰瘍性大腸炎の炎症及び非炎症S状結腸生検中におけるSAA1、IL−8、デフェンシンα5、及びデフェンシンα6のリアルタイムPCR発現を示す。
コントロール及び潰瘍性大腸炎の炎症及び非炎症S状結腸生検中におけるMMP3、MMP7、S100A8、及びTLR4のリアルタイムPCR発現を示す。
潰瘍性大腸炎の患者及びコントロールの回腸末端及び結腸におけるデフェンシンα5のインサイツハイブリダイゼーションを示す。
潰瘍性大腸炎の患者及びコントロールの回腸末端及び結腸におけるデフェンシンα6のインサイツハイブリダイゼーションを示す。
図8A及び8Bは、ヒトDEFA6ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:1)及びヒトDEFA6ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
図9A及び9Bは、ヒトDEFA5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:3)及びヒトDEFA5ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:4)を示す。図9C及び9Dは、ヒトDEFB14ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:210)及びヒトDEFB14ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:211)を示す。
図10A及び10Bは、ヒトIL3RAポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:5)及びヒトIL3RAポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。
図11A及び11Bは、ヒトIL2RAポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:7)及びヒトIL2RAポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:8)を示す。
図12A及び12Bは、ヒトREG3Gポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:9)及びヒトREG3Gポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:10)を示す。
図13A及び13Bは、ヒトREG1Gポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:11)及びヒトREG1Gポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:12)を示す。
図14Aは、ヒトKCND3ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:13)を示す。
図14Bは、ヒトKCND3ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:14)を示す。
図15A及び15Bは、ヒトMIP−3aポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:15)及びヒトMIP−3aポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:16)を示す。
図16A及び16Bは、ヒトECGF1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:17)及びヒトECGF1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:18)を示す。
図17A及び17Bは、ヒトIL1Bポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:19)及びヒトIL1Bポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:20)を示す。
図18A及び18Bは、ヒトMIP2BGRO−gポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:21)及びヒトMIP2BGRO−gポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:22)を示す。
図19A及び19Bは、ヒトCXCL1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:23)及びヒトCXCL1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:24)を示す。
図20Aは、ヒトIAP1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:25)を示す。
図20Aは、ヒトIAP1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:25)を示す。
図20Bは、ヒトIAP1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:26)を示す。
図21A及び21Bは、ヒトCASP5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:27)及びヒトCASP5ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:28)を示す。
図22Aは、ヒトDMBT1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:29)を示す。
図22Aは、ヒトDMBT1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:29)を示す。
図22Bは、ヒトDMBT1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:30)を示す。
図22Aは、ヒトPCDH17ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:31)を示す。
図22Aは、ヒトPCDH17ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:31)を示す。
図22Bは、ヒトPCDH17ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。
図24A及び24Bは、ヒトIFITM1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:33)及びヒトIFITM1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。
図25A及び25Bは、ヒトPDZK1IP1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:35)及びヒトPDZK1IP1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:36)を示す。
図26Aは、ヒトIRTA2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:37)を示す。
図26Aは、ヒトIRTA2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:37)を示す。
図26Bは、ヒトIRTA2ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:38)を示す。
図27Aは、ヒトSLC40A1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:39)を示す。
図27Aは、ヒトSLC40A1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:39)を示す。
図27Bは、ヒトSLC40A1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:40)を示す。
図28Aは、ヒトIGHV4−4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:41)を示す。
図28Bは、ヒトIGHV4−4ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:42)を示す。
図29A及び29Bは、ヒトREG3Gポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:43)及びヒトREG3Gポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:44)を示す。
図30A及び30Bは、ヒトAQP9ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:45)及びヒトAQP9ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:46)を示す。
図31Aは、ヒトOLFM4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:47)を示す。
図31Bは、ヒトOLFM4ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:48)を示す。
図32A及び32Bは、ヒトS100A9ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:49)及びヒトS100A9ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:50)を示す。
図33Aは、ヒトUNC5CLポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:51)を示す。
図33Bは、ヒトUNC5CLポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:52)を示す。
図34A及び34Bは、ヒトGPR110ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:53)及びヒトGPR110ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:54)を示す。
図35A及び35Bは、ヒトHLA−Gポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:55)及びヒトHLA−Gポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:56)を示す。
図36Aは、ヒトTAP1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:57)を示す。
図36Bは、ヒトTAP1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:58)を示す。
図37Aは、ヒトMAP3K8ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:59)を示す。
図37Bは、ヒトMAP3K8ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:60)を示す。
図38Aは、ヒトUBD|GABBR1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:61)を示す。
図38Aは、ヒトUBD|GABBR1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:61)を示す。
図38Bは、ヒトUBD|GABBR1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:62)を示す。
図39A及び39Bは、ヒトDHX57ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:63)及びヒトDHX57ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:64)を示す。
図40A及び40Bは、ヒトMAポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:65)及びヒトMAポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:66)を示す。
図41Aは、ヒトIGLJCOR18ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:66)を示す。
図41Aは、ヒトIGLJCOR18ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:66)を示す。
図41Bは、ヒトIGLJCOR18ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:67)を示す。
図42A及び42Bは、ヒトHLA−Gポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:69)及びヒトHLA−Gポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:70)を示す。
図43A及び43Bは、ヒトSAA1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:71)及びヒトSAA1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:72)を示す。
図44A及び44Bは、ヒトTAP2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:73)及びヒトTAP2ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:74)を示す。
図45Aは、ヒトPCAA17448ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:75)を示す。
図45Aは、ヒトPCAA17448ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:75)を示す。
図45Bは、ヒトPCAA17448ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:76)を示す。
図46A及び46Bは、ヒトLCN2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:77)及びヒトLCN2ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:78)を示す。
図47A及び47Bは、ヒトZBP1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:79)及びヒトZBP1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:80)を示す。
図48A及び48Bは、ヒトTNIP3ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:81)及びヒトTNIP3ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:82)を示す。
図49Aは、ヒトZC3H12Aポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:83)を示す。
図49Bは、ヒトZC3H12Aポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:84)を示す。
図50A及び50Bは、ヒトCHI3L1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:85)及びヒトCHI3L1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:86)を示す。
図51Aは、ヒトFCGR3Aポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:87)を示す。
図51Bは、ヒトFCGR3Aポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:88)を示す。
図52Aは、ヒトSAMD9Lポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:89)を示す。
図52Aは、ヒトSAMD9Lポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:89)を示す。
図52Aは、ヒトSAMD9Lポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:89)を示す。
図52Bは、ヒトSAMD9Lポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:90)を示す。
図53Aは、ヒトMMP9ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:91)を示す。
図53Bは、ヒトMMP9ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:92)を示す。
図54A及び54Bは、ヒトMMP7ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:93)及びヒトMMP7ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:94)を示す。
図55Aは、ヒトBFポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:95)を示す。
図55Bは、ヒトBFポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:96)を示す。
図56A及び56Bは、ヒトS100Pポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:97)及びヒトS100Pポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:98)を示す。
図57A及び57Bは、ヒトGROポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:99)及びヒトGROポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:100)を示す。
図58A及び58Bは、ヒトINDOポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:101)及びヒトINDOポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:102)を示す。
図59Aは、ヒトTRIM22ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:103)を示す。
図59Bは、ヒトTRIM22ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:104)を示す。
図60A及び60Bは、ヒトSAA2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:105)及びヒトSAA2ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:106)を示す。
図61A及び61Bは、ヒトNEU4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:107)及びヒトNEU4ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:108)を示す。
図62Aは、IRTA2/FCRH5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:109)を示す。
図62Aは、IRTA2/FCRH5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:109)を示す。
図62Bは、IRTA2/FCRH5ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:110)を示す。
図63Aは、IGLJCOR18ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:111)を示す。
図63Aは、IGLJCOR18ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:111)を示す。
図63Bは、IGLJCOR18ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:112)を示す。
図64Aは、ヒトIGHV4−4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:113)を示す。
図64Bは、ヒトIGHV4−4ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:114)を示す。
図65Aは、ヒトMMP9ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:115)を示す。
図65Bは、ヒトMMP9ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:116)を示す。
図66A及び66Bは、ヒトGROポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:117)及びヒトGROポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:118)を示す。
図67A及び67Bは、ヒトMIP2BGRO−gポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:119)及びヒトMIP2BGRO−gポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:120)を示す。
図68A及び68Bは、ヒトIL1Bポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:121)及びヒトGROポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:122)を示す。
図69A及び69Bは、ヒトIL3RAポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:123)及びヒトIL3RAポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:124)を示す。
図70A及び70Bは、ヒトCASP1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:125)及びヒトCASP1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:126)を示す。
図71A及び71Bは、ヒトBV8ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:127)及びヒトBV8ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:128)を示す。
図72Aは、HDAC7Aポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:129)を示す。
図72Aは、HDAC7Aポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:129)を示す。
図72Bは、HDAC7Aポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:130)を示す。
図73Aは、ヒトACVRL1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:131)を示す。
図73Bは、ヒトACVRL1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:132)を示す。
図74Aは、ヒトNR4A1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:133)を示す。
図74Bは、ヒトNR4A1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:134)を示す。
図75Aは、ヒトK5Bポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:135)を示す。
図75Bは、ヒトK5Bポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:136)を示す。
図76Aは、ヒトSILVポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:137)を示す。
図76Bは、ヒトSILVポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:138)を示す。
図77Aは、IRAK3ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:139)を示す。
図77Aは、IRAK3ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:139)を示す。
図77Bは、IRAK3ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:140)を示す。
図78A及び78Bは、ヒトIL−4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:141)及びヒトIL−4ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:142)を示す。
図79Aは、ヒトIL−13ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:143)を示す。
図79Bは、ヒトIL−13ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:144)を示す。
図80Aは、RAD50ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:145)を示す。
図80Aは、RAD50ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:145)を示す。
図80Bは、RAD50ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:146)を示す。
図81A及び81Bは、ヒトIL−5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:147)及びヒトIL−5ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:148)を示す。
図82A及び82Bは、ヒトIRF1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:149)及びヒトIRF1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:150)を示す。
図83A及び83Bは、ヒトPDLIM4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:151)及びヒトPDLIM4ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:152)を示す。
図84Aは、ヒトCSF2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:153)を示す。
図84Bは、ヒトCSF2ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:154)を示す。
図85A及び85Bは、ヒトIL−3ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:155)及びヒトIL−3ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:156)を示す。
図86A及び86Bは、ヒトMMP3ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:157)及びヒトMMP3ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:158)を示す。
図87A及び87Bは、ヒトIL−8ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:159)及びヒトIL−8ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:160)を示す。
図88Aは、TLR4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:161)を示す。
図88Aは、TLR4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:161)を示す。
図88Bは、TLR4ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:162)を示す。
図89A及び89Bは、ヒトHLA−DRB1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:163)及びヒトHLA−DRB1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:164)を示す。
図90A及び90Bは、ヒトMMP19ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:165)及びヒトMMP19ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:166)を示す。
図91A及び91Bは、ヒトTIMP1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:167)及びヒトTIMP1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:168)を示す。
図92A及び92Bは、ヒトElfinポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:169)及びヒトElfinポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:170)を示す。
図93A及び93Bは、ヒトCXCL1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:171)及びヒトCXCL1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:172)を示す。
図94A及び94Bは、ヒトDFKZP586A0522ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:173)及びヒトDFKZP586A0522ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:174)を示す。
図95Aは、SLC39A5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:175)を示す。
図95Aは、SLC39A5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:175)を示す。
図95Aは、SLC39A5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:175)を示す。
図95Bは、SLC39A5ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:176)を示す。
図96Aは、GLI−1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:177)を示す。
図96Aは、GLI−1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:177)を示す。
図96Bは、GLI−1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:178)を示す。
図97Aは、HMGA2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:179)を示す。
図97Aは、HMGA2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:179)を示す。
図97Bは、HMGA2ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:180)を示す。
図98Aは、SLC22A5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:181)を示す。
図98Aは、SLC22A5ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:181)を示す。
図98Bは、SLC22A5ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:182)を示す。
図99A及び99Bは、ヒトSLC22A4ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:183)及びヒトSLC22A4ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:184)を示す。
図100A及び100Bは、ヒトP4HA2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:185)及びヒトP4HA2ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:186)を示す。
図101A及び101Bは、ヒトTSLPポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:187)及びヒトTSLPポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:188)を示す。
図102A及び102Bは、ヒトチューブリンα5/α3ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:189)及びヒトチューブリンα5/α3ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:190)を示す。
図103Aは、ヒトチューブリンα6ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号:191)を、103Bは、ヒトチューブリンα6ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:192)を示す。
Mantel−Haenszel法を使用するスコットランド、ケンブリッジ及びスウェーデンにおける非同義GLI1 SNP rs2228226のメタアナリシスを示す。
Q1100EがGLI1タンパク質の保存領域を乱し、GLI1転写活性を低減させることを示す。
Q1100EがGLI1タンパク質の保存領域を乱し、GLI1転写活性を低減させることを示す。
健常なヒト成人結腸(HC)及び潰瘍性大腸炎(UC)におけるヘッジホッグ(HH)シグナル伝達成分の発現を示す。
健常なヒト成人結腸(HC)及び潰瘍性大腸炎(UC)におけるヘッジホッグ(HH)シグナル伝達成分の発現を示す。
健常なヒト成人結腸(HC)及び潰瘍性大腸炎(UC)におけるヘッジホッグ(HH)シグナル伝達成分の発現を示す。
Gli1+/−動物がDSS処置後に死亡率、重篤な臨床症状、及び重度の体重減少を示す結果を示す。
Gli1+/−動物がDSS処置に応答してWT同腹仔よりも深刻な小腸炎を示すことを示す。
Gli1+/−動物がDSS処置に応答してWT同腹仔よりも深刻な小腸炎を示すことを示す。
DSS処置後のGli1+/−及びWTマウスが強い炎症誘発性サイトカイン活性化を示すというサイトカイン分析を示す。
図110Aは、(A) ヒトアレスチンドメイン含有5(ARRDC5)(LOC342959)をコードする核酸配列を、図110Bは、(B)ヒトARRDC5ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
ヒトアタキシン3−様(ATXN3L)に対応する核酸配列を示す。
図112Aは、(A)ヒト卵胞刺激ホルモンレセプター(FSHR)(LOC92552)をコードする核酸配列を示す。
図112Bは、(B)ヒトFSHRポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図113Aは、(A)ヒト血小板由来増殖因子レセプター,αポリペプチド(PDGFRA)をコードする核酸配列を示す。
図113Aは、(A)ヒト血小板由来増殖因子レセプター,αポリペプチド(PDGFRA)をコードする核酸配列を示す。
図113Bは、(B)ヒトPDGFRAポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図114Aは、(A)ヒトトランスフォーミング増殖因子β3(TGFB3)をコードする核酸配列を示す。
図114Bは、(B)ヒトTGFB3ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図115Aは、(A)ヒトカリウムチャンネル四量体化ドメイン含有8(KCTD8)をコードする核酸配列を示す。
図115Bは、(B)ヒトKCTD8ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図116Aは、(A)ヒトトランスグルタミナーゼ4(TGM4)をコードする核酸配列を示す。
図116Bは、(B)ヒトTGM4ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図117Aは、(A)ヒトTPD52L3腫瘍タンパク質D52−様3(NYD−SP25)をコードする核酸配列を、図117Bは、(B)ヒトNYD−SP25ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
misc_RNA(C3orf53),FLJ33651に対応する核酸配列を示す。
染色体10上のEMX2 逆ストランド(非タンパク質コード化)(EMX2OS)に対応する核酸配列を示す。
図120Aは、(A)ヒト無翅型MMTV組み込み部位ファミリー,メンバー16(WNT16)をコードする核酸配列を示す。
図120Bは、(B)ヒトWNT16ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図121Aは、(A−B)ヒトsprouty関連,EVH1ドメインドメイン含有2(SPRED2)をコードする核酸配列を示す。
図121Aは、(A−B)ヒトsprouty関連,EVH1ドメインドメイン含有2(SPRED2)をコードする核酸配列を示す。
図121Bは、(A−B)ヒトsprouty関連,EVH1ドメインドメイン含有2(SPRED2)をコードする核酸配列を示す。
図121Cは、(C)ヒトSPRED2のアミノ酸配列を示す。
図122A−Cは、(A−B)ヒト染色体16オープンリーディングフレーム65(C16orf65)をコードする核酸配列と(C)ヒト染色体16オープンリーディングフレーム65(C16orf65)のアミノ酸配列を示す。
図123A−Bは、(A)ヒト染色体12オープンリーディングフレーム2(C12orf2)をコードする核酸配列と(B)ヒト染色体12オープンリーディングフレーム2(C12orf2)のアミノ酸配列を示す。
図124Aは、ヒトマルチプルPDZドメインタンパク質(MPDZ)をコードする核酸配列を示す。
図124Aは、ヒトマルチプルPDZドメインタンパク質(MPDZ)をコードする核酸配列を示す。
図124Aは、ヒトマルチプルPDZドメインタンパク質(MPDZ)をコードする核酸配列を示す。
図124Bは、(B)ヒトMPDZのアミノ酸配列を示す。
図125A−Bは、(A)ヒトフェニルアラニン−tRNAシンテターゼ2(FARS2)をコードする核酸配列と(B)ヒトFARS2のアミノ酸配列を示す。
図126A−Bは、(A)ヒトカスパーゼ8,アポトーシス関連システインプロテアーゼ(CASP8)をコードする核酸配列と(B)ヒトCASP8のアミノ酸配列を示す。
図127Aは、ヒト5’−ヌクレオチダーゼ,エクト(CD73) (NT5E)をコードする核酸配列を示す。
図127Bは、(B)ヒトNT5Eのアミノ酸配列を示す。
図128はヒト奇形癌腫誘導増殖因子3(TDGF3)に対応する核酸配列を示す。
図129A−Bは、(A)ヒトブチロフィリン−様3(BTNL3)をコードする核酸配列と(B)ヒトBTNL3のアミノ酸配列を示す。
図130A−Bは、(A)ヒトS100A8をコードする核酸配列と(B)ヒトS100A8のアミノ酸配列を示す。
図131A−Bは、(A)ヒトCCL20をコードする核酸配列と(B)ヒトCCL20のアミノ酸配列を示す。] 図100A 図101A 図102A 図103A 図10A 図110A 図110B 図112A 図112B 図113B
[0025] A.定義
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は全て、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。Singleton 等, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2版, J. Wiley & Sons (New York, N.Y. 1994)、及びMarch, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 4版, John Wiley & Sons (New York, N.Y. 1992)により当業者は本出願に使用した多くの用語の一般的な理解が得られる。
当業者は、本発明の実施に使用することができるであろう、ここに記載のものと同様もしくは等価な多くの方法及び材料が分かるであろう。実際、本発明は記載された方法及び材料に決して限定されるものではない。本発明の目的のために、次の用語を以下に定義する。]
[0026] 「炎症性腸疾患」又は「IBD」なる用語は、潰瘍性大腸炎及びクローン病に対する集合的な用語として使用される。該二種の疾患は一般には二つの異なった実体と考えられているが、表面上皮の斑状壊死、腺性陰窩に隣接した白血球の局所性蓄積、及び増加した数の上皮内リンパ球(IEL)及びある種のマクロファージサブセットのようなその共通する特性は単一の疾患群としてのその治療を正当なものにする。
「クローン病」又は「CD」なる用語は、ここでは胃腸管の慢性的な炎症を含む症状を意味するために使用される。クローン関連炎症は通常は腸管を冒すが口から肛門までの至る所で発生しうる。CDは、腸管壁の全層にわたって広がり、腸間膜並びにリンパ節を含む点でUCとは異なる。該疾病はしばしば非連続的であり、つまり、腸の重篤に罹患しているセグメントが明らかに疾患がない領域から分離している。CDでは、腸壁がまた厚くなり、これが閉塞を生じ得、瘻孔及び裂溝の発生が珍しくはない。ここで使用される場合、CDは、限定するものではないが、(回腸及び大腸を冒す)回結腸炎;(回腸を冒す)回腸炎;胃十二指腸CD(胃及び十二指腸の炎症);空回腸炎(空腸における炎症の斑状パッチ);及びクローン(肉芽腫性)大腸炎(大腸のみを冒す)を含むCDの幾つかのタイプの一又は複数でありうる。]
[0027] 「潰瘍性大腸炎」又は「UC」なる用語は、ここでは大腸及び直腸の炎症を含む症状を意味するために使用される。UCの患者では、結腸粘膜を主として含む炎症反応がある。炎症は典型的には一様で連続的であり、正常な粘膜が介在する領域はない。表面粘膜細胞並びに陰窩上皮及び粘膜下層が好中球浸潤を伴う炎症反応に関与する。最終的には、この反応は典型的には上皮損傷及び上皮細胞の消失まで進行し、多発性潰瘍、線維症、異形成及び結腸の縦方向の退縮を生じる。
「非活動的」IBDなる用語は、ここでは、個体において過去に診断されたが現在は寛解しているIBDを意味するために使用される。これは、個体が診断されたが治療を受けていない活動的IBDと対照的なものである。加えて、活動的IBDは、 寛解(つまり、不活動的IBDになる)になった過去に診断され治療されたIBDの再発でありうる。かかる再発はここではIBDの「突然の再発」とも称されうる。IBDのような活動的な自己免疫疾患を有する哺乳動物被検者は、高まった疾患活動の期間又は対応する徴候の戻りである突然の再発を被りうる。突然の再発は、深刻な感染、アレルギー反応、肉体的ストレス、情動性トラウマ、手術、又は環境因子に応答して生じうる。]
[0028] 「調節する」なる用語は、ここでは、遺伝子の発現、又は一又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットをコードするRNA分子又は等価なRNA分子のレベル、又は一又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットの活性が、発現、レベル又は活性がモジュレーターの不存在下で観察されたものより大きいか又は少ないように、アップレギュレートされ又はダウンレギュレートされることを意味するために使用される。
「阻害する」、「ダウンレギュレートする」、「過小発現する」及び「減少する」なる用語は、交換可能に使用され、遺伝子の発現、又は一又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットをコードするRNA分子又は等価なRNA分子のレベル、又は一又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットの活性が、一又は複数のコントロール、例えば一又は複数のポジティブ及び/又はネガティブコントロールに対して減少することを意味する。
「アップレギュレートする」又は「過剰発現する」なる用語は、遺伝子の発現、又は一又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットをコードするRNA分子又は等価なRNA分子のレベル、又は一又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットの活性が、一又は複数のコントロール、例えば一又は複数のポジティブ及び/又はネガティブコントロールに対して上昇されることを意味する。]
[0029] 「診断」なる用語は、ここでは、分子又は病理学的状態、疾患又は症状の同定、例えばIBDの同定を意味するために使用される。
「予後」なる用語は、ここでは、自己免疫の突然の再発及び手術後の再発を含むIBDの発生又は進行の可能性の予測を意味する。予後因子は、IBDをひとたび発症したら患者の再発率及び結果に影響を及ぼすIBDの自然経過に関連した変量である。悪い予後に関連しうる臨床的パラメータは、例えば、腹部腫瘤又は圧痛、皮疹、関節腫脹、口腔内潰瘍、及び腹鳴(腸にわたる腹鳴又は振とう音)を含む。予後因子は、異なったベースライン再発リスクを持つサブグループに患者を分類するために使用することができる。]
[0030] IBDの「病理」は、患者の良好な状態を危うくさせる全ての現象を含む。IBDの病理は、主として、任意の既知の外来抗原の不在下での慢性又は急性炎症と続いての潰瘍を生じうる腸内の免疫系の異常な活性化に起因する。臨床的には、IBDは、しばしば慢性的な予測できない経過を生じる多様な徴候によって特徴付けられる。血性下痢及び腹痛はしばしば熱及び体重減少を伴う。貧血は重度の疲労のように、希ではない。関節痛から急性関節炎にわたる関節の症状並びに肝機能の異常が通常IBDに伴う。IBDの急性の「攻撃」の間、仕事や他の正常な活動は通常不可能であり、患者はしばしば入院させられる。
これらの疾患の病因論は知られておらず、初期の病変ははっきりとは定まっていない;しかし、表面上皮の斑状壊死、腺性陰窩に隣接する白血球の局所性蓄積、及び増加した数の上皮内リンパ球及びある種のマクロファージサブセットが、特にクローン病における推定される初期の変化として記述されている。]
[0031] 「治療」なる用語は、目的が標的の病理症状又は疾患を防止し又は遅延させ(低減させ)ることである治癒的処置と予防又は防止的処置の双方を意味する。治療を必要とする者は、既にIBDである者並びにIBDになる傾向がある者又はIBDが防止されなければならない者を含む。IBDの診断がここに開示された方法によってひとたびなされたら、治療の目標は寛解を誘導し維持することである。]
[0032] 「IBD治療剤」としての使用に適した様々な薬剤は当業者に知られている。ここに記載しているように、かかる薬剤には、限定なしに、アミノサリチル酸類、副腎皮質ステロイド、及び免疫抑制剤が含まれる。
「試験試料」なる用語は、IBDになっていることが疑われ、IBDであることが知られ、又はIBDからの寛解にあることが知られている哺乳動物被検者からの試料を意味する。試験試料は、限定しないが、血液、精液、血清、尿、骨髄、粘膜、組織等を含む哺乳動物被検者における様々な供給源から由来しうる。]
[0033] 「コントロール」又は「コントロール試料」なる用語は、ネガティブな結果が試験試料におけるポジティブな結果を相関付けるのに役立つことが期待されるネガティブコントロールを意味する。本発明に適したコントロールには、限定しないが、正常なレベルの遺伝子発現を有していることが知られている試料、IBDとなっていないことが知られている哺乳動物被検者から得られた試料、及び正常であることが知られている哺乳動物被検者から得られた試料が含まれる。コントロールはまた過去にIBDと診断され治療され現在は寛解にある被検者から得られた試料であり得;かかるコントロールは寛解にある被検者におけるIBDの再発を決定するのに有用である。また、コントロールは、試験試料に含まれる細胞と同じ由来の正常細胞を含む試料でありうる。当業者であれば本発明での使用に適した他のコントロールが分かるであろう。
「マイクロアレイ」は、基質上の、ハイブリダイズ可能なアレイ要素、好ましくはポリヌクレオチドプローブの秩序だった配置を意味する。]
[0034] 単数又は複数で使用される場合、「ポリヌクレオチド」なる用語は、一般に任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを意味し、これは未修飾RNA又はDNA又は修飾RNA又はDNAでもよい。よって、例えば、ここで定義されるポリヌクレオチドには、限定するものではないが、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、及び一本鎖及び二本鎖領域を含むRNA、一本鎖であってもよく、又はより典型的には二本鎖であっても又は一本鎖又は二本鎖領域を含んでもよいDNA及びRNAを含む混成分子が含まれる。またここで使用される「ポリヌクレオチド」なる用語はRNA又はDNA又はRNAとDNAの双方を含む三本鎖領域を意味する。そのような領域のストランドは同じ分子由来でも又は異なった分子由来でもよい。その領域は一又は複数の分子の全てを含みうるが、より典型的には幾らかの分子の領域のみを含む。三本ヘリックス領域の分子の一つがしばしばオリゴヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」なる用語は特にcDNAsを含む。その用語には、一又は複数の修飾塩基を含むDNA(cDNAを含む)及びRNAが含まれる。よって、安定性又は他の理由のために修飾された骨格を持つDNA又はRNAは、その用語がここで意図するところの「ポリヌクレオチド」である。更に、イノシンのような希な塩基又はトリチウム化塩基のような修飾された塩基を含むDNA又はRNAはここで定義される「ポリヌクレオチド」という用語内に含まれる。一般に、「ポリヌクレオチド」という用語は未修飾のポリヌクレオチドの全ての化学的、酵素的及び/又は代謝的に修飾された形態並びに単純細胞及び複雑細胞を含む細胞及びウイルスに特徴的なDNA及びRNAの化学的形態を包含する。]
[0035] 「オリゴヌクレオチド」という用語は、限定するものではないが、一本鎖デオキシリボヌクレオチド、一本鎖又は二本鎖リボヌクレオチド、RNA:DNAハイブリッド及び二本鎖DNAを含む比較的短いポリヌクレオチドを意味する。一本鎖DNAプローブオリゴヌクレオチドのようなオリゴヌクレオチドは、例えば市販されている自動オリゴヌクレオチド合成機を使用して、化学的方法によってしばしば合成される。しかしながら、オリゴヌクレオチドは、インビトロ組換えDNA媒介法を含む様々な他の方法によって、及び細胞及び生物中でのDNAの発現によって、作製することができる。]
[0036] 「差次的に発現された遺伝子」、「差次的遺伝子発現」という用語及びその同義語は、交換可能に使用され、正常な又はコントロール患者でのその発現と比較して、疾患、特にUC又はCDのようなIBDに罹患している患者においてより高いか又はより低いレベルまで発現が活性化される遺伝子を意味する。その用語はまた発現が同じ疾患の異なった段階でより高いか又はより低いレベルまで活性化される遺伝子を含む。差次的に発現された遺伝子は核酸レベル又はタンパク質レベルで活性化されるか又は阻害されうるか、あるいは選択的スプライシングを受けて異なったポリペプチド産物になりうることがまた理解される。そのような差異は、例えばmRNAレベル、ポリペプチドの表面発現、分泌又は他の分割の変化によって裏付けられうる。差次的遺伝子発現は、正常な被験者と疾患、特にIBDに罹患している患者との間で、あるいは同じ疾患の様々な段階の間で異なる、二又はそれ以上の遺伝子又はその遺伝子産物間での発現の比較、又は二又はそれ以上の遺伝子又はその遺伝子産物間での発現の比の比較、又は更には同じ遺伝子の二つの異なってプロセシングされた産物の比較を含む。差次的発現は、例えば正常細胞及び疾患細胞の間、又は異なった疾患事象又は疾患段階を被った細胞間で、遺伝子又はその発現産物における時間的又は細胞性発現パターンの定量的な差異並びに定性的な差異の双方を含む。本発明の目的に対して、「差次的遺伝子発現」は、正常な被験者と疾患の患者における、又は疾患の患者の疾患の進行の様々な段階における所与の遺伝子の発現において少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約4倍、より好ましくは少なくとも約6倍、最も好ましくは少なくとも約10倍の差があるときに、存在すると考えられる。]
[0037] RNA転写物に関する「過剰発現」なる用語は、mRNAの検体又は特定の参照セットにおいて検出される全ての転写物であるかもしれない、参照mRNAのレベルに対する正規化によって決定される転写物のレベルを意味するために使用される。
「遺伝子増幅」なる語句は、遺伝子又は遺伝子断片の複数コピーが特定の細胞又は細胞株中で形成されるプロセスを意味する。複製領域(増幅DNAの伸展)はしばしば「増幅産物」と称される。通常、生産されたメッセンジャーRNA(mRNA)の量、つまり遺伝子発現のレベルは、発現した特定の遺伝子から作製されたコピー数の割合でまた増加する。
一般に、「マーカー」又は「バイオマーカー」なる用語は、その遺伝がモニターできる制限酵素認識部位又は遺伝子のような染色体上の同定可能な物理的位置を意味する。該マーカーは「遺伝子発現マーカー」と称される遺伝子の発現領域、又は既知のコード化機能のないDNAのあるセグメントでありうる。ここで使用される「IBDマーカー」は表1、2、及び3に列挙された遺伝子を意味する。]
[0038] ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングのための温度が高くなり、プローブが短くなると温度は低くなる。ハイブリダイゼーションは、一般的に相補鎖がその融点より低い環境で存在する場合における変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリダイズ可能な配列との間の所望のホモロジーの度合いが高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をよりストリンジェントにするが、低い温度はストリンジェンシーを低下させる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの更なる詳細及び説明は、Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。]
[0039] ここに定義される「ストリンジェントな条件」又は「高いストリンジェントな条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度、例えば、50℃で0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いる;(2)ハイブリダイゼーションの間にホルムアミド等の変性剤、例えば、42℃で750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含むpH6.5の0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMのリン酸ナトリウムバッファーによる50%(v/v)ホルムアミドを用いる;又は(3)0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)、50%ホルムアミド中での42℃での洗浄とその後の55℃でのEDTAを含む0.1×SSCからなる高いストリンジェンシーの洗浄を伴う、42℃での50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハード液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸を用いる。]
[0040] 「中程度のストリンジェントな条件」は、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Press, 1989に記載されているようにして同定され、上述のものよりストリンジェンシーが低い洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度のストリンジェントな条件の一例は、37℃で、20%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハード液、10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液での終夜にわたるインキュベーションと、それに続く37−50℃で1×SSCでのフィルターの洗浄である。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかが分かるであろう。
本発明の文脈において、任意の特定の遺伝子セットに列挙された遺伝子の「少なくとも一つ」、「少なくとも二つ」、「少なくとも5つ」等の標記は、列挙された遺伝子の何れか一つ又は任意のかつ全ての組合せを意味する。]
[0041] 「スプライシング」及び「RNAスプライシング」なる用語は交換可能に使用され、イントロンを除去し、エキソンを結合させて、真核生物細胞の細胞質中に移動する連続したコード化配列を有する成熟mRNAを生産するRNAプロセシングを意味する。
理論的には、「エキソン」なる用語は、成熟RNA産物に提示される介在遺伝子の任意のセグメントを意味する(B. Lewin. Genes IV Cell Press, Cambridge Mass. 1990)。理論的には、「イントロン」なる用語は、転写されているがその何れかの側のエキソンを共にスプライシングすることによって転写物内から除去されるDNAの任意のセグメントを意味する。作用的には、エキソン配列は参照配列番号によって定義される遺伝子のmRNA配列で生じる。作用的には、イントロン配列は、エキソン配列によって一括されその5’及び3’境界にGT及びAGスプライスコンセンサス配列を有する遺伝子のゲノムDNA内の介在配列である。]
[0042] 「干渉RNA」又は「低分子干渉RNA(siRNA)」は、標的遺伝子の発現を低減させる通常は約30ヌクレオチド長未満の二本鎖RNA分子である。干渉RNAは既知の方法を使用して同定し合成することができ(Shi Y., Trendsin Genetics 19(1):9-12 (2003)、国際公開第2003056012号及び国際公開第2003064621号)、siRNAライブラリーは例えば Dharmacon, Lafayette, Coloradoから商業的に入手できる。
「天然配列」ポリペプチドは、天然に生じる又は対立遺伝子変異体を含む天然由来のポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するものである。かかる天然配列ポリペプチドは天然から単離することができ、又は組換え又は合成手段によって生産されうる。よって、天然配列ポリペプチドは、天然に生じるヒトポリペプチド、マウスポリペプチド、又は任意の他の哺乳動物種由来のポリペプチドのアミノ酸配列を有しうる。]
[0043] ここでの「抗体」なる用語は最も広義に使用され、特にモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及びそれらが所望の生物活性を示す限り抗体断片を包含する。本発明はここに開示されたIBDマーカーの一又は複数に対する抗体を特に考慮する。かかる抗体は「抗IBDマーカー抗体」と称されうる。
ここで使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、その集団を構成する個々の抗体が、モノクローナル抗体の生産中に生じ得、一般には少量で存在しうる可能な変異体を除いて、同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。かかるモノクローナル抗体には典型的には標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体が含まれ、ここで、標的結合ポリペプチド配列は複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含む方法によって得られた。]
[0044] ここに記載のモノクローナル抗体は、特に、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種から由来するか、特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一か相同である一方、鎖の残りが、他の種から由来するか、他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一か相同である「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物活性を示す限りはその抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。ここで興味のあるキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば旧世界ザル、類人猿等)由来の可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「プリマタイズ」抗体、並びに「ヒト化」抗体を含む。
非ヒト(例えば齧歯類)抗体の「ヒト化」型とは、非ヒト免疫グロブリンから誘導された最小配列を含むキメラ抗体である。大部分では、ヒト化抗体はレシピエントの高頻度可変領域由来の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域由来の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。]
[0045] ここでの「インタクトな抗体」は二つの抗原結合領域とFc領域を含むものである。好ましくは、インタクトな抗体は機能性Fc領域を有する。
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、インタクトな抗体の一部を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。]
[0046] 「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変化する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋を有している。各重鎖は、多くの定常ドメインが続く可変ドメイン(VH)を一端に有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、他端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。]
[0047] 「可変」なる用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の高頻度可変領域と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループ結合を形成する、3つの高頻度可変領域により連結されたβシート配置を主にとる4つのFRをそれぞれ含んでいる。各鎖の高頻度可変領域は、FR領域に近接して結合され、他の鎖の高頻度可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, Sequence of Proteins ofImmunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, BEthesda, MD(1991)を参照)。]
[0048] ここで使用される場合の「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般に、抗体は6つのHVRを含む;つまり、VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。天然の抗体では、H3及びL3は6つのHVRの最大の多様性を示し、特にH3は抗体に微細な特異性を付与するのに独特の役割を果たすと考えられている。例えばXu等, Immunity 13:37-45 (2000);Johnson及びWu, Methodsin Molecular Biology 248:1-25 (Lo編, Human Press, Totowa, NJ, 2003)を参照。確かに、重鎖のみからなる天然に生じるラクダ抗体は軽鎖の不存在下で機能的で安定である。例えば、Hamers-Casterman等, Nature 363:446-448 (1993)及びSheriff等, Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照。]
[0049] 多数の高頻度可変領域の描写が使用され、ここに包含される。カバット相補性決定領域(CDR)は配列変化に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia及びLesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。カバット番号付け法を使用して番号付けした場合Chothia CDR−H1ループは、ループの長さに応じてH32とH34の間(以下参照)で変化する(これは、カバット番号付けスキームはH35A及びH35Bに挿入を置き;35Aも35Bも存在しないならば、ループは32で終わり;35Aだけが存在するならば、ループが33で終わり;35Aと33Bが両方とも存在するならば、ループは34で終わるためである)。AbM高頻度可変領域は、カバットCDRとChothia構造的ループの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」高頻度可変領域は、利用できる複合体結晶構造の分析に基づく。これらの高頻度可変領域のそれぞれからの残基を以下に示す。
ループ カバット AbM Chothia 接触
−−−−−− −−− −−−− −−−−
L1 L24-L34 L24-L34 L24-L34 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L56 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L89-L97 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32,33又は34 H30-H35B (Kabat番号付け)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35 (Chothia番号付け)
H2 H50-H65 H50-H58 H52-H56 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H95-H102 H93-H101]
[0050] 高頻度可変領域は次の通り「伸展高頻度可変領域」を含みうる:VL中にの24−36又は24−34(L1)、46−56又は50−56(L2)及び89−97(L3)と、VH中の26−35B(H1)、50−65、47−65又は49−65(H2)及び93−102、94−102又は95−102(H3)。これらの伸展高頻度可変領域は典型的にはカバットの定義とChothiaの定義の組合せであり、場合によっては接触の定義を使用して同定される残基を更に含んでいてもよい。これらの定義の各々に対して上掲のKabat等に従って、可変ドメイン残基を番号付けした。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、各々が単一の抗原結合部位と、名前が容易に結晶化するその能力を反映する残留「Fc」断片を有する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を持ち、抗原になお架橋できるF(ab')2断片を生じる。]
[0051] 「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、強固な非共有結合の一つの重鎖と一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つの高頻度可変領域が相互作用してVH−VL二量体の表面に抗原結合部位を形成するのはこの構造においてである。集団的には、6つの高頻度可変領域が抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つの高頻度可変領域だけを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性でではあるが、抗原を認識しそれに結合する能力を有している。
Fab断片は軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常ドメイン(CH1)をまた含んでいる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に2,3の残基が付加される点でFab断片とは異なる。Fab’−SHは、ここでは、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも一つの遊離チオール基を担持しているFab’についての標記である。F(ab’)2抗体断片は、その間にヒンジシステインを有するFab’断片対として元々は生産された。抗体断片の他の化学的カップリングもまた知られている。]
[0052] 任意の脊椎動物種由来の抗体の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる二つの明確に区別される型を割り当てることができる。
ここでの「Fc領域」なる用語は、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化するかも知れないが、通常、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226の位置又はPro230からそのカルボキシル末端までの位置のアミノ酸残基から伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによれば残基447)は、例えば抗体の産生又は精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え的に操作することによって、取り除かれてもよい。従って、インタクトな抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体群、K447残基が除去されていない抗体群、及びK447残基を有する抗体と有さない抗体の混合を含む抗体群を含みうる。]
[0053] 別の定義が示されていないならば、ここでは、免疫グロブリン重鎖における残基の番号付けは、出典明示によりここに明示的に援用されるKabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)におけるようなEUインデクスのものである。「カバットにおけるようなEUインデクス」はヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを意味する。
「天然配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列のヒトFc領域には、天然配列のヒトIgG1Fc領域(非A-及びA-アロタイプ);天然配列のヒトIgG2 Fc領域;天然配列のヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列のヒトIgG4 Fc領域;並びにその自然に生じる変異体が含まれる。]
[0054] 「変異体Fc領域」は、少なくとも一のアミノ酸修飾、好ましくは一又は複数のアミノ酸置換により、天然配列のFc領域とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列のFc領域もしくは親ポリペプチドのFc領域と比較した場合、少なくとも一のアミノ酸置換、例えば、天然配列のFc領域又は親のポリペプチドのFC領域に約1から約10のアミノ酸置換、好ましくは約1から約5のアミノ酸置換を有する。ここでの変異体Fc領域は、天然配列のFc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と好ましくは少なくとも約80%の相同性を有し、最も好ましくは少なくとも約90%の相同性を、より好ましくは少なくとも約95%の相同性を有するであろう。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、インタクトな抗体は異なる「クラス」に分類できる。インタクトな抗体の五つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、それらの幾つかは更に「サブクラス」(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3,IgG4、IgA及びIgA2に分類される。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び3次元構造はよく知られている。]
[0055] 「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、Fvポリペプチドは、scFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーをVH及びVLドメイン間に更に含む。scFvの概説については、Pluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持ち、その断片が同一のポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体断片を指す。非常に短いために同一鎖上で二つのドメイン間での対形成を可能にするリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を創製する。ダイアボディは、例えば欧州特許出願公開第404097号;国際公開第93/11161号;及びHudson等, Nat. Med. 9:129-134 (2003);及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)に更に十分に記載されている。]
[0056] 「ネイキッド抗体」は、小分子又は放射標識等の異種分子にコンジュゲートされていない抗体である。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、その抗体の研究、診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれうる。好ましい実施態様では、抗体は、(1)ローリー法で測定して95重量%抗体を越えるまで、最も好ましくは99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端又は内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、あるいは、(3)クーマシーブルー又は好ましくは銀染色を用いた還元又は非還元条件下でのSDS−PAGEにより均一になるまで、精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。]
[0057] 「親和性成熟」抗体とは、その変更を有しない親抗体と比較し、抗原に対する抗体の親和性に改善を生じせしめる抗体の一又は複数の高頻度可変領域における一又は複数の変更を伴っている抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルさえの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該分野において知られている手順を使用して生産される。Marks等 Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91: 3809-3813(1994);Schier 等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol., 155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol., 154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol., 226:889-896(1992)に記載されている。]
[0058] ここでの「アミノ酸配列変異体」抗体は、主な種抗体と異なるアミノ酸配列を有する抗体である。通常、アミノ酸配列変異体は、主な種抗体と少なくとも約70%の相同性を有し、好ましくは、それらは主な種抗体と少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%の相同性である。アミノ酸配列変異体は、主な種抗体のアミノ酸配列内の、又は主な種抗体のアミノ酸配列に隣接した、所定の位置で置換、欠失及び/又は付加を有する。ここでのアミノ酸配列変異体の例には、酸性変異体(例えば脱アミド化された抗体変異体)、塩基性変異体、抗体の一又は二の軽鎖上にアミノ末端リーダー伸展(例えばVHS-)を有する抗体、抗体の一又は二の重鎖上にC末端リジン残基を有する抗体などが含まれ、重鎖及び/又は軽鎖のアミノ酸配列に対する変異体の組合せが含まれる。ここで特に興味のある抗体変異体は、抗体の一又は二の軽鎖上にアミノ末端リーダー伸展を含み、場合によっては主な種抗体に対して他のアミノ酸配列及び/又はグリコシル化の相違を更に含んでなる抗体である。]
[0059] ここでの「グリコシル化変異体」抗体は、主な種抗体に結合した一又は複数の炭水化物部分と異なる一又は複数のそれに結合した炭水化物部分を有する抗体である。ここでのグリコシル化変異体の例には、そのFc領域に接着した、G0オリゴ糖構造の代わりにG1又はG2オリゴ糖構造を有する抗体、その一又は二の軽鎖に結合した一又は二の炭水化物部分を有する抗体、抗体の一又は二の重鎖に結合した炭水化物がない抗体等、及びグリコシル化変異の組合せを有する抗体が含まれる。
抗体がFc領域を有する場合、オリゴ糖構造は、例えば残基299(残基のEu番号付けでは298)で、抗体の一又は二の重鎖に結合していてもよい。パーツズマブでは、G0が主要なオリゴ糖構造で、例えばG0−F、G−1、Man5、Man6、G1−1、G1(1−6)、G1(1−3)及びG2のような他のオリゴ糖構造はパーツズマブ組成物中により少量で見出される。
特に明記しない限り、ここでの「G1オリゴ糖構造」にはG−1、G1−1、G1(1−6)及びG1(1−3)構造が含まれる。]
[0060] ここでの「アミノ末端リーダー伸展」は、抗体の何れか一又は複数の重鎖又は軽鎖のアミノ末端に存在するアミノ末端リーダー配列の一又は複数のアミノ酸残基を指す。例示的なアミノ末端リーダー伸展は、抗体変異体の一方又は両方の軽鎖に存在する3つのアミノ酸残基、VHSを含むか又はこれらからなる。
「脱アミド化」抗体は、その一又は複数のアスパラギン残基が、例えばアスパラギン酸、スクシンイミド又はイソ-アスパラギン酸に誘導体化されているものである。]
[0061] B.1 発明の一般的記載
本発明の実施には、別段の記載がない限り、当業者の技量の範囲内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の一般的な技術を使用する。かかる技術は、例えば“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 2版 (Sambrook等, 1989);“Oligonucleotide Synthesis” (M. J. Gait編, 1984);“Animal Cell Culture” (R. I. Freshney編, 1987);“Methodsin Enzymology” (Academic Press, Inc.);“Handbook of Experimental Immunology”, 4版(D.M. Weir及びC.C. Blackwell編, Blackwell Science Inc., 1987);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(J.M. Miller及びM.P. Calos編, 1987);“Current Protocols in Molecular Biology”(F. M. Ausubel等編, 1987);及び“PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis等編, 1994)のような文献に十分に説明されている。]
[0062] 上で検討されたように、IBDの検出又は診断は、患者に観察される多くの変量に依存する様々な分類システムによって現在は達成されている。本発明は、IBDに関連する遺伝子の同定に基づく。従って、かかる遺伝子の発現レベルは、IBDの患者を同定するための診断マーカーとなりうる。実施例に記載されているように、IBD患者における多くの遺伝子の発現差異が観察されている。よって、本発明によれば、表1A−B、2、及び3A−Bに列挙された遺伝子はIBDで差次的に発現されるものとして同定されている。]
[0063] 表1AはIBDにおいてアップレギュレートされている遺伝子リストを提供する。]
[0064] 表1BはIBDにおいてダウンレギュレートされている遺伝子リストを提供する。]
[0065] 表2はIBDにおいてアップレギュレートされている遺伝子リストを提供する。これらの遺伝子は遺伝子の免疫応答インシリコ(IRIS)コレクションから同定された(その全体を出典明示によりここに援用するAbbas, A.等Genes and Immunity, 6:319-331 (2005))。]
[0066] 表3AはIBDにおいてアップレギュレートされており、実施例2に記載した実験に基づいて同定された遺伝子リストを提供する。幾つかの例では、遺伝子の遺伝子座/染色体が与えられている。]
[0067] 表3BはIBDにおいてダウンレギュレートされており、実施例2に記載した実験に基づいて同定された遺伝子リストを提供する。幾つかの例では、遺伝子の遺伝子座/染色体が与えられている。]
[0068] a.発明のバイオマーカー
本発明は表1A、1B、2、3A、及び3Bに列挙されたIBDに対する数多くの遺伝子発現マーカー又はバイオマーカーを提供する。本発明の一実施態様では、バイオマーカーは(ここに記載の)マーカーパネルでの使用に適している。かかるパネルは、表1Aからの一又は複数のマーカー;表1Bからの一又は複数のマーカーl表2からのマーカー;表3Aからの一又は複数のマーカー;及び表3Bからの一又は複数のマーカーを含みうる。加えて、本発明はまた表1A、1B、2、3A、及び3Bの二以上から選択されたマーカーのパネルを考慮する。例えば、パネルは、表1Aからの一又は複数のマーカーと表1Bからの一又は複数のマーカー; 又は表1Aからの一又は複数のマーカーと表2からのマーカー;又は表1Bからの一又は複数のマーカーと表2からのマーカー;又は表1Aからの一又は複数のマーカーと表3Aからの一又は複数のマーカー等々を含むかもしれない。当業者であれば、ここに記載のパネルで使用するのに適した表1−3からのバイオマーカーの様々な組合せが分かるであろう。]
[0069] 本発明の一実施態様では、マイクロアレイ解析によって同定されるIBDマーカーの好ましいセットは、IBDにおいてアップレギュレートされるマーカーを含む。好ましくは、アップレギュレートされるマーカーのセットは、表1AにおけるDEFA5(配列番号:3−4)、DEFA6(配列番号:1−2)、TNIP3(配列番号:81−82)、REG3−γ(配列番号:9−10)、MMP7(配列番号:93−94)、及びSAA1(配列番号:71−72);及び表3AにおけるIL−8(配列番号:159−160)、Keratin 5B(K5B)(配列番号:135−136)、SLC22A4(配列番号:183−184)、SLC22A5(配列番号:181−182)、MMP3(配列番号:157−158)、及びMMP19(配列番号:165−166)を含む。好ましいダウンレギュレートされるマーカーは、表3B中のGLI−1(配列番号:175−176)である。ここに記載のバイオマーカーのパネルは、これらのマーカーの一つ、二以上、又は全てを含む。あるいは、マーカーセットは、表1Aからの表示マーカーの1、2、3、4、5、6、及び/又は表3Aからの表示マーカーの1、2、3、4、5、6及び/又は表3Bの表示マーカーの1又は2を含む。]
[0070] 上に提供されたリストのメンバーは、単一のマーカーとして又は任意の組合せで、本発明の予後及び診断アッセイに使用するのに好ましい。本発明のIBDマーカーは差次的に発現された遺伝子又は遺伝子の領域である。哺乳動物被検者からの試験試料中のコントロールに対する一又は複数のマーカーの発現のレベル差は、以下に更に詳細に記載する方法の一又は複数によって検出されるRNA転写物又は発現産物のレベルから決定することができる。
正常細胞及びIBDの哺乳動物被検者からの細胞におけるRNA転写物の発現差異のエビデンスに基づいて、本発明はIBDのための遺伝子マーカーを提供する。本発明によってもたらされるIBDマーカーと関連した情報によって、医師はより賢明な処置の決定をなし、個々の患者の必要性に対してIBDの治療をあつらえ、それによって治療の恩恵を最大にし、有意な恩恵を提供せず毒性の副作用による深刻な危険性をしばしばもたらす不要な治療に患者を暴露することを最小にする。]
[0071] 多重分析物遺伝子発現試験は、幾つかの関連する生理プロセス又は成分細胞性特性の各々に関与する一又は複数の遺伝子の発現レベルを測定することができる。ある例では、試験の予測力と従ってその有用性は、個々の遺伝子の発現値よりも結果に高度に相関するスコアを計算するために個々の遺伝子に対して得られた発現値を使用することによって改善できる。例えば、エストロゲン受容体陽性でリンパ節陰性の乳癌の再発の可能性を予測する定量スコア(再発スコア)の計算は米国特許出願公開第20050048542号に記載されている。そのような再発スコアを計算するために使用される等式は再発スコアの予測値を最大にするために遺伝子をグループ化する場合がある。遺伝子のグループ化は、上で検討されたような生理機能又は成分細胞性特性へのその寄与の知識に少なくとも部分的に基づいて実施されうる。グループの形成はまた様々な発現値の再発スコアに対する寄与の数学的重み付けを容易にしうる。生理学的プロセス又は成分細胞性特性を表す遺伝子群の重み付けは、IBDの病理及び臨床的結果に対するそのプロセス又は特性の寄与を反映しうる。従って、重要な態様では、本発明はまた併せて個々の遺伝子又は同定された遺伝子のランダムな組合せよりも更に信頼性があり強力な結果の予測指標であるここで同定される遺伝子の特定の群を提供する。]
[0072] また、再発スコアの決定に基づいて、再発スコアの特定の値で患者をサブグループに分割するよう選択することができ、ここで、与えられた範囲に値を有する全ての患者を特定のリスクグループに属するものとして分類できる。よって、選択される値がそれぞれより大なる又は小なるリスクを持つ患者のサブグループを定めるであろう。
IBDの発症又は進行の予測における遺伝子マーカーの有用性はそのマーカーに独特なものでなくともよい。特定の試験マーカーと非常に類似した発現パターンを有する代替マーカーを試験マーカーに置換するか又は試験マーカーに加えて使用することができ、試験の全体的な予測上の有用性に影響は殆どない。二つの遺伝子の非常に類似した発現パターンは、特定のプロセスにあり、及び/又は共通の調節コントロール下にある双方の遺伝子の関連から生じうる。本発明は、本発明の方法でのそのような代替遺伝子又は遺伝子セットの使用を含み、また考える。
IBDの発症及び/又は進行を予測する本発明によって提供されるマーカー及び関連情報はまたIBDの患者の治療のための薬剤化合物の効能を試験する臨床治験に含める患者をスクリーニングする際に有用性を有している。]
[0073] IBDの存在、発症及び/又は進行を予測する本発明によって提供されるマーカー及び関連情報は、IBD治療が適切かどうかを決定するための基準として有用である。例えば、試験の結果が、IBDマーカーがコントロール試料に対して個体からの試験試料で差次的に発現されることを示している場合、IBD治療が適切でありうる。個体は、IBDであることが知られていない個体、IBDであることが知られている個体、IBDであると過去に診断されIBDの治療を受けている個体、又はIBDであると過去に診断されIBDに立ち向かうために手術をした個体でありうる。また、本発明はIBDを治療する方法を考える。以下に記載のように、本発明の診断方法は、一又は複数のIBDマーカーの発現差異がコントロールに対して観察された試験試料を提供した哺乳動物被検者にIBD治療剤を投与する工程を更に含みうる。かかる治療方法はよって(a)哺乳動物被検者におけるIBDの存在を決定し、(b)哺乳動物被検者にIBD治療剤を投与することを含む。
他の実施態様では、IBDマーカー及び関連する情報は、遺伝子の転写物又はその発現産物のレベル又は活性を調節する試薬を設計し又は製造するために使用される。上記試薬には、限定しないが、アンチセンスRNA、低分子阻害性RNA(siRNA)、リボザイム、モノクローナル又はポリクローナル抗体が含まれうる。更なる実施態様では、上記遺伝子又はその転写物、又はより特定的には上記転写物の発現産物は薬剤化合物を同定する(スクリーニング)アッセイにおいて使用され、ここで、上記薬剤化合物はIBDを治療するための薬剤の開発において使用される。
本発明の様々な実施態様では、以下に記載される様々な技術的アプローチ法が、開示された遺伝子の発現レベルの決定に利用できる。特定の実施態様では、各遺伝子の発現レベルは、エキソン、イントロン、タンパク質エピトープ及びタンパク質活性を含む遺伝子の発現産物の様々な特徴に関して決定されうる。他の実施態様では、遺伝子の発現レベルは、遺伝子の構造の解析から、例えば遺伝子のプロモーターのメチル化パターンの解析から推量されうる。]
[0074] b.発明の診断方法
本発明はIBDマーカーの発現差異に基づき哺乳動物被検者におけるIBDを検出又は診断する方法を提供する。一実施態様では、該方法は上で検討されたIBDマーカーのパネルの使用を含む。パネルは表1−3から選択される一又は複数のIBDマーカーを含みうる。
ある実施態様では、IBDマーカーのパネルは、少なくとも1のIBDマーカー、少なくとも2のIBDマーカー、少なくとも3のIBDマーカー、少なくとも4のIBDマーカー、少なくとも5のIBDマーカー、少なくとも6のIBDマーカー、少なくとも7のIBDマーカー、少なくとも8のIBDマーカー、少なくとも9のIBDマーカー、少なくとも10のIBDマーカー、少なくとも11のIBDマーカー、少なくとも12のIBDマーカー、少なくとも13のIBDマーカー、少なくとも14のIBDマーカー、少なくとも15のIBDマーカー、少なくとも16のIBDマーカー、少なくとも17のIBDマーカー、少なくとも18のIBDマーカー、少なくとも19のIBDマーカー、又は少なくとも20のIBDマーカーを含むであろう。一実施態様では、パネルは5の増分でマーカーを含む。他の実施態様では、パネルは10の増分でマーカーを含む。該パネルは、コントロールに対してIBDにおいて過剰発現されるIBDマーカー、コントロールに対してIBDにおいて過小発現されるIBDマーカー、又はコントロールに対してIBDにおいて過剰発現及び過小発現の双方が生じるIBDマーカーを含みうる。好ましい実施態様では、該パネルは、CDにおいてアップレギュレートされた一又は複数のマーカーと、CDにおいてダウンレギュレートされた一又は複数のマーカーを含む。他の好ましい実施態様では、該パネルは、UCにおいてアップレギュレートされた一又は複数のマーカーと、UCにおいてダウンレギュレートされた一又は複数のマーカーを含む。]
[0075] 他の実施態様では、本発明のパネルは、コントロールに対して活動的IBDにおいて過剰発現されるIBDマーカー、コントロールに対して活動的IBDにおいて過小発現されるIBDマーカー、又はコントロールに対して活動的IBDにおいて過剰発現及び過小発現の双方が生じるIBDマーカーを含みうる。他の実施態様では、本発明のパネルは、本発明のパネルは、コントロールに対して非活動的IBDにおいて過剰発現されるIBDマーカー、コントロールに対して非活動的IBDにおいて過小発現されるIBDマーカー、又はコントロールに対して非活動的IBDにおいて過剰発現及び過小発現の双方が生じるIBDマーカーを含みうる。好ましい実施態様では、活動的IBDはCDである。他の好ましい実施態様では、非活動的IBDはCDである。
好ましい実施態様では、哺乳動物被検者においてIBDの存在を診断又は検出する方法は、被検者から得られた試験試料中のIBDマーカーのパネルからのRNA転写物又はその発現産物の、コントロールにおける発現レベルに対する発現レベル差を決定することを含み、ここで、発現レベルの差が、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示している。試験試料中の発現差異は、ここで検討されたようにコントロールに対して高い及び/又は低いものでありうる。]
[0076] コントロールに対して、患者から得られた生物学的試料中の上記リストに提供された遺伝子の一又は複数の発現又は活性の差が患者におけるIBDの存在を示している。コントロールは、例えば、IBD患者においてアップレギュレート(又はダウンレギュレート)されることが知られている同じ細胞中に存在する遺伝子(ポジティブコントロール)でありうる。あるいは、又は加えて、コントロールは、同じ細胞型の正常細胞中の同じ遺伝子(ネガティブコントロール)の発現レベルでありうる。発現レベルは、例えばグリセルアルデヒド-3-ホスフェート-デヒドロゲナーゼ(GAPDH)及び/又はβ-アクチンのようなハウスキーピング遺伝子の発現レベルに、あるいは試験された試料中の全ての遺伝子の発現レベルに正規化することがまたできる。一実施態様では、上述の遺伝子の一又は複数の発現は、それが例えば同じ型の他の試料と比較して中央値以上ならばポジティブな発現と見なされる。中央値発現レベルは遺伝子発現の測定と本質的に同時に決定することができるか、又はこれまでのようにして決定されうる。これら及び他の方法は当該分野でよく知られており、当業者には明らかである。
IBD患者を同定するための方法がここに提供される。この患者集団のうち、IBDの患者は、患者から得られた細胞を含む生物学的試料中における遺伝子、対応するRNA分子又はコード化タンパク質の一又は複数の発現レベルを決定することによって同定することができる。生物学的試料は、例えばここに記載された組織生検でありうる。]
[0077] 本発明の方法は、IBD診断アッセイ及びイメージング方法に関する。一実施態様では、アッセイは、ここに記載された抗体を使用して実施される。本発明はまたタンパク質の検出及び定量のために有用な様々な免疫学的アッセイを提供する。これらのアッセイは、限定しないが、様々なタイプのラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、酵素結合免疫蛍光アッセイ(ELIFA)等を含む当該分野でよく知られた様々な免疫学的アッセイ様式で実施される。また、限定しないが、標識された抗体を使用する放射シンチグラフィーイメージング法を含むここに記載された分子の発現によって特徴付けられるIBDを検出可能な免疫学的なイメージング法がまた本発明によって提供される。かかるアッセイは、ここに記載された一又は複数の分子の発現によって特徴付けられるIBDの検出、モニター、診断及び予後に臨床的に有用である。
本発明の他の態様は、ここに記載された分子を発現する細胞を同定するための方法に関する。ここに記載の分子の発現プロファイルは、それをIBDに対する診断マーカーにする。従って、分子の発現の状態は、疾患の進行段階の罹患率、進行速度、及び/又は活動的IBD又は非活動的IBDにおける徴候の突然で深刻な発症、つまり突然の再発を含む様々な因子を予測するのに有用な情報を提供する。]
[0078] 一実施態様では、本発明はIBDを検出する方法を提供する。哺乳動物被検者からの試験試料と既知の正常な哺乳動物からのコントロール試料がそれぞれ抗IBDマーカー抗体又はその断片に接触させられる。IBDマーカーの発現レベルが測定され、コントロール試料に対する試験試料中の発現レベルの差が、試験試料が得られた哺乳動物被検者におけるIBDを示すものである。ある実施態様では、試験試料中におけるIBDマーカー発現のレベルは、コントロールにおける発現のレベルよりも高いことが決定され、高い発現レベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示す。他の実施態様では、試験試料中におけるIBDマーカー発現のレベルは、コントロールにおける発現のレベルよりも低いことが決定され、低い発現レベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示す。
他の実施態様では、本発明の方法によって検出されるIBDは、哺乳動物被検者におけるIBDの再発又は突然の再発である。]
[0079] 好ましい実施態様では、該方法は、薬剤療法又は外科手術ようなIBDの治療を受けたIBDと過去に決定された哺乳動物被検者においてIBDの突然の再発又はIBDの再発を検出するために用いられる。IBDの最初の検出後に、更なる試験試料を、IBDとなっていることが見出された哺乳動物被検者から得てもよい。更なる試料は、最初の試料が取られた後、数時間後、数日後、数週間後、又は数ヶ月後に得ることができる。当業者であれば、第二、第三、第四、第五、第六等の試験試料を含みうるかかる更なる試料を得るために適切なスケジュールは分かるであろう。最初の試験試料と更なる試料(及び代わりにここに記載されたコントロール試料)が抗IBDマーカー抗体と接触させられる。IBDマーカーの発現レベルを測定し、最初の試験試料と比較した更なる試験試料中の発現レベルの差が、試験試料が得られた哺乳動物被検者におけるIBDの突然の再発又は再発を示すものである。]
[0080] 一態様では、本発明の方法は決定工程に関する。一実施態様では、決定工程は、コントロールに対しての試験試料中の一又は複数のIBDマーカーの発現レベルを測定することを含む。典型的には、ここに記載されたように、IBDマーカーの発現レベルの測定は、ここに記載された技術の一又は複数を実施することにより、コントロールに対してIBDマーカーの発現差異について試験試料を分析することを含む。試験試料とコントロールから得られた発現レベルデータを、発現レベル差について比較する。他の実施態様では、決定工程は、試験試料が得られた被検者にIBDが存在しているかどうかを評価するための試験試料及びコントロール発現データの検査を更に含む。
ある実施態様では、決定工程は、(i)試験試料及びコントロールにおけるIBDマーカーの発現レベル差を測定し; 及び/又は(ii) 試験試料及びコントロールにおけるIBDマーカーの発現レベル差の測定から得られるデータを分析する目的で、適切なプロセッサーによって実行されるソフトウェアプログラムの使用を含む。適切なソフトウェア及びプロセッサーはよく知られており、商業的に入手できる。該プログラムは、有形媒体、例えばCD−ROM、フロッピーディスク、ハードドライブ、DVD、又はプロセッサーに伴うメモリーに保存したソフトウェアで具体化できるが、当業者ならば、プログラム全体又はその一部をプロセッサー以外の装置で実行し、及び/又はよく知られた形でファームウェア及び/又は専用のハードウェアで具現化できることを直ぐに理解するであろう。]
[0081] 決定工程後、測定結果、所見、診断、予想及び/又は推奨治療が典型的には記録され、例えば技師、医師及び/又は患者に伝えられる。ある実施態様では、コンピュータを使用して、患者及び/又は担当医師のような関係者にそのような情報を伝える。ある実施態様では、結果又は診断が伝えられる国又は管轄区域とは異なる国又は管轄区域で、アッセイが実施され又はアッセイ結果が解析される。
好ましい実施態様では、ここでのIBDマーカーの一又は複数を有する被検者において測定されたここに開示された一又は複数のIBDマーカーの発現レベルに基づく診断、予測及び/又は推奨治療は、アッセイが完了し、診断及び/又は予測が作成された後に出来るだけ早く被検者に伝えられうる。結果及び/又は関連情報は、被検者を治療する医師によって被検者に伝えられうる。あるいは、結果は、書面、伝達の電子形態、例えば電子メール、又は電話を含む任意の伝達手段によって被検者に直接伝えることができる。伝達は、電子メール通信の場合におけるように、コンピュータの使用により容易にすることができる。ある実施態様では、診断試験の結果及び/又は導かれた結論及び/又は試験に基づく治療の推奨を含む伝達が作成され、テレコミュニケーションの熟練した技術者にはよく知られているコンピュータハードウェア及びソフトウェアの組合せを使用して被検者に自動的に配信されうる。ヘルスケア向けのコミュニケーションシステムの一例は米国特許第6283761号に記載されている;しかしながら、本発明はこの特定のコミュニケーションシステムを利用する方法に限られるものではない。本発明の方法のある実施態様では、試料のアッセイ、疾患の診断、及びアッセイ結果又は診断の伝達を含む方法工程の全て又は一部が異なった(例えば外国の)管轄区域で実施されうる。]
[0082] 本発明は、限定しないが、上行結腸組織、下行結腸組織、S状結腸組織、及び回腸末端組織を含む胃腸管に関連した組織におけるIBDマーカーの発現差異と血清、精液、骨、前立腺、尿、細胞調製物等のような他の生物学的試料における発現も検出するためのアッセイを提供する。IBDマーカーの発現差異を検出するための方法はまたよく知られており、例えば免疫沈降、免疫組織化学分析、ウェスタンブロット分析、分子結合アッセイ、ELISA、ELIFA等を含む。例えば、生物学的試料中のIBDマーカーの発現差異を検出する方法は、最初に試料を抗IBDマーカー抗体、そのIBDマーカー反応性断片、又は抗IBDマーカー抗体の抗原結合領域を含む組換えタンパク質に接触させ;ついで試料中のIBDマーカータンパク質の結合を検出することを含む。
本発明の様々な実施態様では、限定しないが、RT−PCR、マイクロアレイ、遺伝子発現の連続解析(SAGE)及びMassively Parallel Signature Sequencing(MPSS)による遺伝子発現解析(以下に詳細に検討する)を含む様々な技術的アプローチ法が、開示された遺伝子の発現レベルの決定に利用できる。特定の実施態様では、各遺伝子の発現レベルは、エキソン、イントロン、タンパク質エピトープ及びタンパク質活性を含む遺伝子の発現産物の様々な特徴に関連して決定れうる。他の実施態様では、遺伝子の発現レベルは、遺伝子の構造解析から、例えば遺伝子プロモータのメチル化パターンの解析から推定されうる。]
[0083] c.発明の治療方法
本発明は、ここに記載の診断方法によって哺乳動物被検者におけるIBDの存在を検出し、ついで該哺乳動物被検者にIBD治療剤を投与することを含む治療を必要とする被検者においてIBDを治療する方法を提供する。当業者であれば、本発明での使用に適しているであろう様々なIBD治療剤を把握できる(その全体を出典明示によりここに援用するSt Clair Jones, Hospital Pharmacist, May 2006, Vol. 13; pages 161-166を参照)。本発明は治療を必要とする被検者に一又は複数のIBD治療剤が投与されるIBDの治療方法を考慮する。一実施態様では、IBD治療剤は、アミノサリチル酸、副腎皮質ステロイド、及び免疫抑制剤の一又は複数である。好ましい実施態様では、アミノサリチル酸は、スルファサラジン、オルサラジン、メサラミン、バルサラジド、及びアサコールの一つである。他の好ましい実施態様では、例えばスルファサラジンとオルサラジンの組合せのような複数のアミノサリチル酸類が同時投与される。他の好ましい実施態様では、副腎皮質ステロイドは、ブデソニド、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、6−メルカプトプリン(6−MP)、アザチオプリン、メトトレキセート、及びシクロスポリンでありうる。他の好ましい実施態様では、IBD治療剤は抗生物質、例えばシプロフロキサシン及び/又はメトロニダゾール;又は抗体ベースの薬剤、例えばインフリキシマブ(レミケード(登録商標))でありうる。]
[0084] 患者が典型的に治療される毒性が最小のIBD治療剤はアミノサリチル酸類である。典型的には一日4回投与されるスルファサラジン(アザルフィジン)は、スルファピリジンにアゾ結合によって結合されるアミノサリチル酸(5−ASA)の活性分子からなる。結腸中の嫌気性菌がアゾ結合を分裂させて活性な5−ASAを放出する。しかしながら、少なくとも20%の患者は、可逆性精子異常、胃腸障害又はスルファ成分に対するアレルギー反応のような顕著な副作用が伴うため、スルファピリジンに耐えることができない。これらの副作用はオルサラジンを摂る患者では低減される。しかしながら、スルファサラジンもオルサラジンも何れも小腸炎症の治療に効果的ではない。小腸に放出される5−ASAの他の製剤(例えばメサラミン及びアサコール)が開発されている。通常は、5−ASA治療法が十分な効能を示すのに6−8週かかる。5−ASA治療法に応答しない患者又はより重篤な疾患を持つ患者には、副腎皮質ステロイド類が処方される。しかしながら、これは、短期の治療法であり、維持療法として使用することはできない。臨床的寛解が副腎皮質ステロイドを用いて2−4週内で達成されるが、副作用が顕著であり、クッシングゴールドフェース(Cushing goldface)、顔ひげ、深刻な気分変動及び不眠を含む。スルファサラジン及び5-アミノサリチル酸調製物への応答はCDでは乏しく、初期の潰瘍性大腸炎ではまずまずから中程度で、重篤なUCでは乏しい。これらの薬剤が失敗した場合、強力な免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、プレドニゾン、6−メルカプトプリン又はアザチオプリン(肝臓において6−メルカプトプリンに転換)が典型的には試される。CDの患者に対しては、副腎皮質ステロイド類及び他の免疫抑制剤の使用は、この疾患にありふれた瘻孔及び膿瘍に由来する腹部内敗血症の高いリスクのため、注意深くモニターされなければならない。およそ25%のIBD患者が疾患の過程で手術(結腸切除術)を必要とする。]
[0085] IBDの治療は、限定しないが、腸切除術、吻合術、結腸切除術、直腸結腸切除術、及び造瘻術、又はその任意の組合せを含む外科手技を含みうる。
薬学的医薬及び手術に加えて、栄養療法のようなIBDに対する非常套的な治療法もまた試みられている。例えば、Flexical(登録商標)という半成分的処方物が、ステロイドのプレドニゾロンと同じ効果を有することが示されている。Sanderson等、Arch. Dis. Child. 51:123-7 (1987)。しかしながら、半成分的処方物は比較的高価であり、通常は好まれず、その使用は制限されている。タンパク質全体を導入する栄養療法はまたIBDの症状を軽減するために試みられてきた。Giafer等、Lancet 335:816-9 (1990)。米国特許第5461033号には、牛乳から単離された酸性カゼイン及びTGF−2の使用が開示されている。Beattie等, Aliment. Pharmacol. Ther. 8:1-6 (1994)には、IBDの子供の幼児期の処方にカゼインを使用する方法が開示されている。米国特許第5952295号には、IBDの治療用の腸溶性製剤にカゼインを使用する方法が開示されている。しかしながら、栄養療法は、非毒性ではあるが対症療法に過ぎず、疾病の根源にある原因を治療することはできない。]
[0086] 本発明は、例えばインビトロ、エキソビボ及びインビボ治療法を含むIBD治療方法を考慮している。本発明は、増加した及び/又は減少したIBDマーカーの発現のようなここに開示された一又は複数のIBDマーカーの発現を伴う被検者においてIBD疾患状態を検出した際に、治療を必要とする被検者におけるIBDを治療するための有用な方法を提供する。好ましい一実施態様では、該方法は、(a)該被検者から得られた試験試料において、(i)表1、2、又は3から選択された一又は複数のポリペプチドをコードする一又は複数の核酸;又は(ii)表1、2、又は3に列挙された一又は複数の遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の、発現レベルが、コントロールにおける発現レベルに対して高い、及び/又は低いことを決定し、上記発現の高い及び/又は低いレベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示しており;(b)上記被検者に有効量のIBD治療剤を投与することを含む。決定工程(a)は多重IBDマーカーの発現の測定を含みうる。]
[0087] 該治療方法はIBDを検出し、かかる治療を必要とする被検者に有効量のIBD治療剤を投与することを含む。ある実施態様では、IBD疾患状態には、一又は複数のIBDマーカーの発現の増加及び/又は減少が伴う。
一態様では、本発明は、IBDを治療又は予防するための方法を提供し、該方法は、被検者におけるIBDの存在を検出し、被検者に有効量のIBD治療剤を投与することを含む。ここで検討されるようにアミノサリチル酸類、副腎皮質ステロイド類、及び免疫抑制剤を含む任意の適切なIBD治療剤を治療方法において使用することができる。]
[0088] ここでの方法の何れにおいても、ここで検討された単一のIBD治療剤と共に、被検者又は患者に、治療を必要とする被検者の症状を治療することができる他の活性剤である有効量の第二の医薬(ここでの単一のIBD治療剤が第一の医薬である)を投与することができる。例えば、アミノサリチル酸は、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤、又は他のアミノサリチル酸と同時投与されうる。かかる第二医薬のタイプは、IBDのタイプ、その重篤度、患者の状態及び年齢、用いた第一医薬のタイプと用量等を含む様々な因子に依存する。
第一医薬と第二医薬を使用するかかる治療は、併用投与(二以上の薬剤が同じ又は別個の製剤に含まれる)、及び第一医薬の投与が第二医薬の投与の前、及び/又は次に生じうる別個の投与を含む。一般に、かかる第二医薬は、第一医薬が投与された後、48時間以内に、又は24時間以内に、又は12時間以内に、又は第一医薬後3−12時間以内に投与され得、あるいは、好ましくは約1から2日、約2から3日、約3から4日、約4から5日、約5から6日、又は6から7日である予め選択された時間にわたって投与されうる。]
[0089] 第一及び第二医薬は、同時に、連続的に、又は第一及び第二医薬を交互に、又は他の治療法で応答性がない場合に投与することができる。よって、第二医薬の併用投与は、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用する同時投与(同時的投与)と、好ましくは双方の(又は全ての)医薬が同時にその生物学的活性を作用させる間には時間間隔がある何れかの順の連続投与を含む。これらの第二医薬は全て第一医薬と互いに又はそれら自体と併用されて使用され得、よって、ここで使用される「第二医薬」という表現はそれが第一医薬とは別の唯一の医薬であることは意味していない。従って、第二医薬は一つの医薬である必要はなく、一を越えるかかる医薬を構成し又は含みうる。ここで記載するこれら第二医薬は、一般に第一医薬と同じ投薬量及び投与経路で、又は第一医薬の投薬量のおよそ1から99%で使用される。かかる第二医薬が仮に使用される場合、好ましくは、それらは、それらによって引き起こされる副作用を除去し又は減少させるため、第一医薬が存在していない場合よりも低い量で、特に第一医薬での初期投薬量を越えた続く投薬量で使用される。]
[0090] 本発明の方法がIBDを治療又は予防するために一又は複数のIBD治療剤を投与することを含む場合、IBDを治療又は予防するためにまた実施される外科手技と投与工程を結合することが特に望ましい場合がある。本発明によって考えられるIBD外科手技は、限定しないが、腸切除術,吻合術、結腸切除術、直腸結腸切除術、及び造瘻術、又はその任意の組合せを含む。例えば、ここに記載されたIBD治療剤は、例えばIBDの治療における治療スキームにおいて結腸切除術と組み合わせることができる。かかる併用療法は、IBD治療剤の投与が外科手技の前、及び/又は後に生じうる別個の投与を含む。
一又は複数のIBD治療剤の組合せ、又は一又は複数の治療剤とここに記載の外科手技の組合せでの治療は、好ましくはIBDの徴候又は症状の改善を生じる。例えば、かかる治療法は、IBDの病理の重篤性の減少によって裏付けられるように、IBD治療剤治療計画と外科手技を受ける被検者に改善を生じうる。]
[0091] IBD治療剤は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含む任意の適切な手段によって投与され、局所治療が望まれるならば、病巣内投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。投薬は、投与が短期か慢性的かどうかに部分的に依存して、任意の適した経路、例えば静脈内又は皮下注射のような注射によってなされうる。
本発明の方法に従って投与されるIBD治療剤は、良好な医療実務に一致した態様で製剤され、用量決定され、投与される。この点において考慮される因子には、治療されている特定の疾患、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療実務者に知られている他の因子が含まれる。第一医薬はその必要はないが、場合によってはここに記載された一又は複数の更なる医薬(例えば第二、第三、第四等の医薬)と共に製剤化される。かかる更なる医薬の有効量は、製剤中に存在する第一医薬の量、疾患又は治療のタイプ、及び上で検討した他の因子に依存する。これらは一般にこれまで使用したものと同じ投薬量及び投薬経路で使用され、又はこれまで用いられた投薬量のおよそ1から99%で用いられる。]
[0092] IBDの予防又は治療のために、(単独で又は他の薬剤との併用で使用される場合)IBD治療剤の適切な投薬量は、治療される疾患のタイプ、IBD治療剤のタイプ、疾患の重篤度及び経過、IBD治療剤が予防目的で投与されるか治療目的で投与されるか、患者の臨床病歴及びIBD治療剤に対する応答性、及び担当医師の裁量に依存する。IBD治療剤は一度に又は一連の治療にわたって適切に患者に投与される。疾患のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1mg/kg〜10mg/kg)のIBD治療剤が、例えば一又は複数の分割投与でも又は連続注入でも、患者投与の初期候補用量である。ある典型的な1日投薬量は、上記の要因に応じて、約1μg/kg〜約100mg/kg以上の範囲であるかもしれない。症状に応じて、数日間以上にわたる繰り返し投与は、疾患症状の所望の抑制が得られるまで持続される。IBD治療剤の例示的な一投薬量は、約0.05mg/kgから約10mg/kgの範囲であろう。よって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kg(又は任意のその組合せ)を患者に投与することができる。このような用量は、間欠的、例えば毎週又は3週ごとに投与されうる(例えば患者に約2から約20、例えば約6用量のIBD治療剤が投与されるように)。初期のより高い負荷投与量の後、一又は複数のより低い用量が投与されうる。例示的用量療法は、約4mg/kgの初期負荷投与量の後、約2mg/kgのIBD治療剤の毎週の維持用量を投与することを含む。しかしながら、他の投与計画も有用であり得る。この治療法の進行は、常套的な技術及びアッセイによって容易にモニターされる。]
[0093] B.2.遺伝子発現プロファイリング
一般に、遺伝子発現プロファイリングの方法は、二つの大きなグループに分けることができる:ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション解析に基づく方法と、生化学的検出又はポリヌクレオチドの配列決定に基づく他の方法である。試料中のmRNA発現を定量化するために当該分野で最も広く用いられている方法には、ノーザンブロット及びインサイツハイブリダイゼーション(Parker及びBarnes, Methodsin Molecular Biology 106: 247-283(1999);RNAse保護アッセイ(Hod, Biotechniques 13: 852-854(1992);及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)(Weis等, Trends in Genetics 8: 263-264(1992))が含まれる。あるいは、DNA二重鎖、RNA二重鎖、及びDNA-RNAハイブリッド二重鎖又はDNA-タンパク質二重鎖を含む特定の二重鎖を認識できる抗体を用いてもよい。mRNA又はタンパク質の発現を決定するための様々な方法には、限定されないが、遺伝子発現プロファイリング、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、例えばアフィメトリックス・ジーンチップ技術を用いるなど、製造者のプロトコルに従って市販の装置によって実施することができるマイクロアレイ解析、連続遺伝子発現解析(SAGE)(Velculescu等, Science 270:484-487 (1995);及びVelculescu等, Cell 88:243-51 (1997))、MassARRAY,Massively Parallel Signature Sequencing (MPSS)による遺伝子発現解析(Brenner等, Nature Biotechnology 18:630-634 (2000))、プロテオミクス、免疫組織化学的検査(IHC)等が含まれる。好ましくは、mRNAが定量される。かかるmRNA解析は、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の技術を使用して、又はマイクロアレイ解析によって実施される。PCRが用いられる場合、PCRの好ましい形態は定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)である。]
[0094] a.逆転写PCR(RT−PCR)
上に列挙した技術のうち、最も感度が良く最も柔軟性がある定量法はRT−PCRであり、これは、正常及び試験試料中の異なった試料集団におけるmRNAレベルを比較し、遺伝子発現のパターンを特徴付けし、密接に関連したmRNA間を識別し、RNA構造を解析するために使用することができる。
第一工程は標的試料からのmRNAの単離である。出発材料は典型的には結腸組織生検から単離された全RNAである。よって、RNAは、限定されないが、回腸末端、上行結腸、下行結腸、及びS状結腸を含む様々な組織から単離することができる。また、生検が得られる結腸組織は、炎症及び/又は非炎症結腸領域由来でありうる。]
[0095] 一実施態様では、mRNAは、左結腸又は右結腸から得られた生検である上で定義された生検から得られる。ここで使用される場合、「左結腸」はS状結腸及び直腸S状結腸を意味し、「右結腸」は盲腸を意味する。
mRNA抽出に関する一般的方法は当該分野で良く知られており、Ausubel等, Current Protocols of Molecular Biology, John Wiley and Sons (1997)を含む分子生物学の標準的教科書に開示されている。特に、RNAの単離は、Qiagen等の商業的製造者の精製キット、バッファーセット及びプロテアーゼを、製造者の指示書に従って使用することで実施することができる。組織試料からの全RNAは、RNA Stat−60(Tel−Test)を使用して単離できる。生検から調製したRNAは、例えば、塩化セシウム密度勾配遠心分離によって単離できる。]
[0096] RNAはPCRのテンプレートとならないので、RT-PCRによる遺伝子発現プロファイリングの最初のステップはRNAテンプレートのcDNAへの逆転写と、それに続くPCR反応でのそれの指数関数的な増幅である。2つの最も広く用いられている逆転写酵素はトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV-RT)及びモロニーマウス白血球ウイルス逆転写酵素(MMLV-RT)である。逆転写段階は、典型的には、発現プロファイリングの環境及び目的に依存し、特異的プライマー、ランダムヘキサマー、又はオリゴ-dTプライマーを使用してプライムされる。例えば、製造者指示書に従い、GeneAmp RNA PCRキット(Perkin Elmer, CA, USA)を使用して抽出RNAを逆転写することができる。誘導したcDNAは、ついで、後のPCR反応のテンプレートとして使用できる。
PCR工程では、様々な熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼを使用することができるが、典型的には、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するが3’−5’プルーフリーディングエンドヌクレアーゼ活性を欠くTaq DNAポリメラーゼを用いる。よって、TaqMan(登録商標)PCRでは、典型的には、Taq又はTthポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性を用いて、その標的アンプリコンに結合したハイブリダイゼーションプローブを加水分解するが、5’ヌクレアーゼ活性と同等の任意の酵素を用いることができる。PCR反応にとって典型的なアンプリコンを生成するために2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。三番目のオリゴヌクレオチド、又はプローブを、2つのPCRプライマーの間に位置するヌクレオチド配列を検出するために設計する。該プローブは、Taq DNAポリメラーゼ酵素によって伸長せず、レポーター蛍光色素及び消光蛍光色素で標識される。このレポーター色素のどんなレーザー誘導放射も、プローブ上でこの2つの色素が近接して位置している場合には、消光色素によって消光する。増幅反応の間、Taq DNAポリメラーゼ酵素は、テンプレートに依存する形でプローブを切断する。生じたプローブ断片は溶液中で解離し、放出されたレポーター色素からのシグナルは、二番目のフルオロフォアの消光効果とは無関係である。新しい分子が合成される度にレポーター色素の1分子が遊離させられ、消光しないレポーター色素の検出がデータの定量的な解釈の基礎を提供する。]
[0097] TaqMan(登録商標)RT−PCRは、例えば、ABIPRIZM7700(商品名)Sequence Detection System(商品名)(Perkin-Elmer-Applied Biosystems, FosterCity, CA, USA)、又はLightcycler(Roche Molecular Biochemicals, Mannheim, Germany)等の商業的に入手可能な装置を使用しておこなうことができる。好ましい実施態様では、5'ヌクレアーゼ手法は、ABI PRIZM 7700(商品名)Sequence Detection System(商品名)等のリアルタイム定量PCR装置ですすめられる。該システムは、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラ及びコンピューターからなる。該システムでは、サーモサイクラー上の96−ウェルフォーマットで試料を増幅する。増幅の間、96ウェル全てに関する光ファイバーケーブルを通してレーザー励起した蛍光シグナルがリアルタイムで収集され、CCDカメラで検出される。該システムは、装置を作動し、データを分析するソフトウェアを含む。]
[0098] 5'-ヌクレアーゼアッセイのデータは、Ct又は閾値サイクルとして最初に表される。上で検討したように、蛍光値は毎サイクルの間に記録され、増幅反応においてそのポイントまでに増幅した産物の量を表す。蛍光シグナルが統計的に有意であるとして最初に記録されたポイントが閾値サイクル(Ct)である。
エラー及び試料と試料間の変化による効果を最小限にするために、通常は内部標準を使用してRT-PCRを実施する。理想的な内部標準は、異なる組織間では一定のレベルで発現し、実験上の処理によって影響を受けない。遺伝子発現のパターンを正規化するために最も頻繁に使用されているRNAは、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド-3-リン酸-デヒドロゲナーゼ(GAPDH)及びβ-アクチンのmRNAである。]
[0099] RT-PCR技術のより最近の変形例は、二重標識蛍光発生プローブ(つまり、TaqMan(登録商標)プローブ)によってPCR産物の蓄積を測定するリアルタイム定量的PCRである。リアルタイムPCRは、各標的配列に対する内部競合体が正規化のために使用される定量的競合PCRと、試料内に含まれる正規化遺伝子、又はRT−PCRのためのハウスキーピング遺伝子を使用する定量的比較PCRの双方に匹敵する。更なる詳細については、例えばHeld等, Genome Research 6:986-994 (1996)を参照のこと。]
[0100] 本発明の一態様によれば、増幅される遺伝子中に存在するイントロン配列に基づいてPCRプライマー及びプローブが設計される。この実施態様では、プライマー/プローブ設計の第一工程は遺伝子内のイントロン配列の描写である。これは、公に入手可能なソフトウェア、例えばKent, W.J., Genome Res. 12(4):656-64 (2002)によって開発されたDNABLATソフトウェア、あるいはその変形形を含むBLASTソフトウェアによって行うことができる。PCRプライマー及びプローブ設計の十分に確立された方法が次の工程として続く。
非特異的シグナルを避けるために、プライマーとプローブを設計する場合、イントロン内において反復配列をマスクすることが重要である。これは、反復エレメントのライブラリーに対してDNA配列をスクリーニングし、反復エレメントがマスクされる問い合わせ配列を返すベイラー医科大学からオンラインで入手可能なRepeat Maskerプログラムを使用して容易に達成することができる。ついで、マスクされたイントロン配列を使用し、例えばPrimer Express(Applied Biosystems);MGBアッセイ−バイ−デザイン(Applied Biosystems);プライマー3(Steve Rozen及びHelen J. Skaletsky (2000) Primer3 on the WWW for general users and for biologist programmers. In: Krawetz S, Misener S編 Bioinformatics Methodsand Protocols: Methods in Molecular Biology. Humana Press, Totowa, NJ, pp 365-386)のような任意の商業的に又は他の好適に入手できるプライマー/プローブ設計パッケージを使用して、プライマー及びプローブ配列を設計することができる。]
[0101] PCRプライマー設計で考慮される最も重要な因子は、プライマー長、融解温度(Tm)、及びG/C含有量、特異性、相補的プライマー配列、及び3’末端配列を含む。一般に、最適なPCRプライマーは、一般に17−30塩基長であり、約20−80%、例えば約50−60%のG+C塩基を含む。50から80℃の間、例えば約50から70℃のTmが典型的には好ましい。
PCRプライマー及びプローブ設計のための更なる指針については、その開示全体が出典明示によりここに明示的に援用される例えばDieffenbach, C.W.等, “General Concepts forPCRPrimer Design” in: PCR Primer, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1995, pp. 133-155;Innis 及びGelfand, “Optimization of PCRs” in: PCR Protocols, A Guide to Methodsand Applications,CRCPress, London, 1994, pp. 5-11;及びPlasterer, T.N. Primerselect: Primer and probe design. Methods Mol. Biol. 70:520-527 (1997)を参照のこと。]
[0102] 更なるPCRベース技術は、例えば、ディファレンシャルディスプレイ(Liang及びPardee, Science 257:967-971 (1992));増幅断片長多型(iAFLP)(Kawamoto 等, Genome Res. 12:1305-1312 (1999));BeadArray(登録商標)技術 (Illumina, San Diego, CA; Oliphant 等, Discovery of Markers for Disease (Supplement to Biotechniques), June 2002;Ferguson等, Analytical Chemistry 72:5618 (2000));遺伝子発現のための迅速なアッセイで市販のLuminex100 LabMAPシステム及び多重カラーコードミクロスフィアを使用する遺伝子発現の検出のためのBeadsArray(BADGE)(Luminex Corp., Austin, TX)(Yang等, Genome Res. 11:1888-1898 (2001));及び高適用範囲の発現プロファイリング(HiCEP)解析(Fukumura等, Nucl. Acids. Res. 31(16) e94 (2003))を含む。]
[0103] b.マイクロアレイ
ディファレンシャル遺伝子発現も、マイクロアレイ技術を用いて同定し、又は確かめることができる。よって、IBD関連遺伝子の発現プロファイルを、マイクロアレイ技術を使用して新鮮組織又はパラフィン包埋組織の何れかで測定することができる。この方法では、興味あるポリヌクレオチド配列(cDNA及びオリゴヌクレオチドを含む)をマイクロチップ基板上にプレートし、整列させる。ついで、この整列させた配列を、興味ある細胞又は組織からの特異的DNAプローブでハイブリダイズする。丁度RT-PCR法のように、mRNAのソースは、典型的にはIBDの患者から得られた細胞由来の生検組織又は細胞株、及び対応する正常な組織又は細胞株からの全RNAである。よって、様々な結腸組織又は結腸組織由来細胞株からRNAを単離することができる。]
[0104] マイクロアレイ技術の特定の実施態様では、cDNAクローンのPCR増幅挿入部分を高密度アレイの基板へ塗布する。好ましくは、少なくとも10000のヌクレオチド配列を基板へ塗布する。それぞれ10000エレメントがマイクロチップ上に固定化された、マイクロアレイ遺伝子は、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションに適している。蛍光標識cDNAプローブは、興味ある組織から抽出したRNAの逆転写によって蛍光ヌクレオチドを取り込むことで作製できる。チップへ塗布した標識cDNAプローブは、アレイ上の各スポットのDNAと特異性をもってハイブリダイズする。非特異的に結合したプローブを除くためにストリンジェントに洗浄した後、チップを共焦点レーザー顕微鏡によって又はCCDカメラのような他の検出法によってスキャンする。各整列したエレメントのハイブリダイゼーションの定量化によって、対応するmRNA発生量の評価が可能となる。二色蛍光によって、2つのソースのRNAから作製した別々の標識cDNAプローブを2つ1組でアレイへハイブリダイズする。従って、各特定の遺伝子に対応する2つのソースからの転写物の相対発生量が、同時に決定される。小型化したハイブリダイゼーションのスケールによって、非常に多くの遺伝子に関する発現パターンの簡便で迅速な評価が可能となる。このような方法が、細胞当たり少しのコピーが発現する希な転写物の検出するため、また発現レベルにおける少なくともおよそ2倍の違いを再現可能に検出するために必要とされる感度を有していることが示されている(Schena等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(20): 106-49(1996))。マイクロアレイ解析は、製造者のプロトコルに従って、例えばAffymetrix GenChip技術、又はIncyteのマイクロアレイ技術、又はAgilentの全ヒトゲノムマイクロアレイ技術を使用することによって、市販の装置によって実施することができる。]
[0105] c.遺伝子発現連続解析(SAGE)
遺伝子発現連続解析(SAGE)は、各転写物に対して個々のハイブリダイゼーションプローブを提供することを要せず、多数の遺伝子転写物の同時の定量解析を可能にせしめる方法である。先ず、タグが各転写物内の独特の位置から得られるとの前提で、転写物をユニークに同定するのに十分な情報を含む短い配列タグ(約10−14bp)が生成される。ついで、多くの転写物を互いに結合させて長い連続の分子を形成し、これを配列決定して、複数タグの同一性を同時に明らかにすることができる。転写物の任意の集団の発現パターンは、個々のタグの存在量を決定し、各タグに対応する遺伝子を同定することによって定量的に評価することができる。更なる詳細については、例えばVelculescu等, Science 270:484-487 (1995);及びVelculescu等, Cell 88:243-51 (1997)を参照のこと。]
[0106] d.MassARRAY技術
RNAの単離及び逆転写の後に、Sequenom社(San Diego, CA)によって開発されたMassARRAYベースの遺伝子発現プロファイリング法では、得られたcDNAに、単一の塩基を除く全ての位置で標的cDNA領域に一致し内部標準となる合成DNA分子(競合体)が添加される。cDNA/競合体混合物をPCR増幅し、これにPCR後エビアルカリホスファターゼ(SAP)酵素処理を施し、残りのヌクレオチドの脱リン酸化を生じせしめる。アルカリホスファターゼの不活化後、競合体及びcDNAからのPCR産物にプライマー伸長を施し、これが競合体及びcDNA駆動PCR産物の区別される質量シグナルを生成する。精製後、これらの産物をチップアレイ上に分配し、これを、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−TOF MS)での解析に必要なコンポーネントと共に前負荷する。ついで、反応物中に存在するcDNAを、生成された質量スペクトルにおけるピーク面積の比を解析することによって定量する。更なる詳細については、例えばDing及びCantor, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:3059-3064 (2003)を参照のこと。]
[0107] e.Massively Parallel Signature Sequencing(MPSS)による遺伝子発現解析
Brenner 等, Nature Biotechnology 18:630-634 (2000)によって記載されたこの方法は、非ゲルベースのサイン配列決定を、別個の5mm径のマイクロビーズでの何百万のテンプレートのインビトロクローニングと組み合わせる配列決定アプローチである。先ず、DNAテンプレートのマイクロビーズライブラリーがインビトロクローニングによって構築される。これに、高密度(典型的には3×106マイクロビーズ/cm2より多い)でのフローセル中のテンプレート含有マイクロビーズの平面状アレイのアセンブリが続く。各マイクロビーズ上のクローン化テンプレートの遊離端を、DNA断片分離を必要としない蛍光ベースのサイン配列決定法を使用して、同時に分析する。この方法は、酵母cDNAライブラリーから何十万ものサイン配列を単一の操作で同時にかつ精確に提供することが示されている。]
[0108] mRNA単離、精製、プライマー伸長及び増幅を含むRNA源として固定したパラフィン包埋組織を使用する遺伝子発現をプロファイリングするための代表的なプロトコルの工程は、様々な刊行されたジャーナル記事(例えば、Godfrey等 J. Molec. Diagnostics 2: 84-91 (2000);Specht等, Am. J. Pathol. 158: 419-29 (2001))に与えられている。簡単に述べると、代表的な方法は、パラフィン包埋組織試料の約10ミリグラム厚の切片を切り取ることで始まる。ついで、mRNAが抽出され、タンパク質とDNAが取り除かれる。mRNA抽出に関する一般的方法は当該分野でよく知られており、Ausubel等, Current Protocols of Molecular Biology, John Wiley and Sons (1997)を含む分子生物学の標準的な教科書に開示されている。パラフィン包埋組織からのRNA抽出法は、例えば、Rupp及びLocker, Lab Invest. 56:A67 (1987)、及びDe Andres等, BioTechniques 18:42044 (1995)に開示されている。特に、RNAの単離は、Qiagen等の商業的製造者の精製キット、バッファーセット及びプロテアーゼを、製造者の指示書に従って使用することで実施することができる。例えば、培養している細胞からの全RNAは、Qiagen RNeasyミニカラムを使用して単離することができる。他の市販のRNA単離キットは、MasterPurea Complete DNA及びRNA精製キット(EPICENTREO, Madison, WI)、及びパラフィンブロックRNA単離キット(Ambion, Inc.)を含む。組織試料からの全RNAは、RNA Stat−60(Tel−Test)を使用して単離できる。組織から調製したRNAは、例えば、塩化セシウム密度勾配遠心分離によって単離できる。RNA濃度の分析後、必要ならば、RNA修復及び/又は増幅工程を含めることができ、RNAは、PCRの前に、遺伝子特異的プロモーターを使用して逆転写される。好ましくは、各標的配列に対する内部競合体が正規化のために使用される定量的競合PCRと、試料内に含まれる正規化遺伝子、又はRT−PCRのためのハウスキーピング遺伝子を使用する定量的比較PCRの双方に匹敵するリアルタイムPCRが使用される。 更なる詳細については、例えば“PCR: The Polymerase Chain Reaction”, Mullis等編, 1994;及びHeld等, Genome Research 6:986-994 (1996)を参照のこと。最後に、データを解析して、検査した試料中に同定された特徴的な遺伝子発現パターンに基づいて患者が利用できる最善の治療選択肢を同定する。]
权利要求:

請求項1
哺乳動物被検者における炎症性腸疾患(IBD)の存在を診断する方法であって、上記被検者から得られた試験試料における配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、194、197、199、201、203、205、207、及び230の何れか一に示されたポリペプチドをコードする核酸の発現レベルがコントロールの発現レベルに対して高いことを決定し、上記高い発現レベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示す方法。
請求項2
哺乳動物被検者における炎症性腸疾患(IBD)の存在を診断する方法であって、上記被検者から得られた試験試料における配列番号:108、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、211、213、215、217、219、221、223、225、及び228のの何れか一に示されたポリペプチドをコードする核酸の発現レベルがコントロールの発現レベルに対して低いことを決定し、上記低い発現レベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示す方法。
請求項3
上記哺乳動物被検者がヒト患者である請求項1又は2に記載の方法。
請求項4
上記発現レベルのエビデンスが遺伝子発現プロファイリング法によって得られる請求項3に記載の方法。
請求項5
上記方法がPCRベースの方法である請求項3に記載の方法。
請求項6
上記発現レベルが一又は複数の参照遺伝子又はその発現産物の発現レベルに対して正規化される請求項4に記載の方法。
請求項7
上記遺伝子又はその発現産物の少なくとも二の発現レベルのエビデンスを決定することを含む請求項1又は2に記載の方法。
請求項8
上記遺伝子又はその発現産物の少なくとも三の発現レベルのエビデンスを決定することを含む請求項1又は2に記載の方法。
請求項9
上記遺伝子又はその発現産物の少なくとも四の発現レベルのエビデンスを決定することを含む請求項1又は2に記載の方法。
請求項10
上記遺伝子又はその発現産物の少なくとも五の発現レベルのエビデンスを決定することを含む請求項1又は2に記載の方法。
請求項11
上記IBD検出をまとめるレポートを作成する工程を更に含む請求項1又は2に記載の方法。
請求項12
上記IBDが潰瘍性大腸炎である請求項1又は2に記載の方法。
請求項13
上記IBDがクローン病である請求項1又は2に記載の方法。
請求項14
上記IBDが潰瘍性大腸炎及びクローン病である請求項1又は2に記載の方法。
請求項15
上記試験試料が結腸組織生検由来である請求項1又は2に記載の方法。
請求項16
上記生検が、回腸末端、上行結腸、下行結腸、及びS状結腸からなる群から選択される組織由来である請求項15に記載の方法。
請求項17
上記生検が炎症結腸領域由来である請求項15に記載の方法。
請求項18
上記生検が非炎症結腸領域由来である請求項15に記載の方法。
請求項19
上記決定工程が、上記哺乳動物被検者におけるIBDの再発を示し、上記哺乳動物被検者が過去にIBDと診断され、該過去に診断されたIBDに対して治療されている請求項1又は2に記載の方法。
請求項20
上記治療が手術からなる請求項19に記載の方法。
請求項21
上記決定工程が、上記哺乳動物被検者における上記IBDの突然の再発を示す請求項1又は2に記載の方法。
請求項22
治療を必要とする哺乳動物被検者における炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、(a)上記被検者から得られた試験試料における配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、194、197、199、201、203、205、207、及び230の何れか一に示されたポリペプチドをコードする核酸の発現レベルがコントロールの発現レベルに対して高いことを決定する工程であって、上記高い発現レベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示す工程と;(b)有効量のIBD治療剤を上記被検者に投与する工程を含む方法。
請求項23
治療を必要とする哺乳動物被検者における炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、(a)上記被検者から得られた試験試料における配列番号:108、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、211、213、215、217、219、221、223、225、及び228のの何れか一に示されたポリペプチドをコードする核酸の発現レベルがコントロールの発現レベルに対して低いことを決定する工程であって、上記低い発現レベルが、試験試料が得られた被検者におけるIBDの存在を示す工程と;(b)有効量のIBD治療剤を上記被検者に投与する工程を含む方法。
請求項24
上記哺乳動物被検者がヒト患者である請求項22又は23に記載の方法。
請求項25
上記発現レベルのエビデンスが遺伝子発現プロファイリング法によって得られる請求項24に記載の方法。
請求項26
上記方法がPCRベースの方法である請求項24に記載の方法。
請求項27
上記発現レベルが一又は複数の参照遺伝子又はその発現産物の発現レベルに対して正規化される請求項25に記載の方法。
請求項28
上記遺伝子又はその発現産物の少なくとも二の発現レベルのエビデンスを決定することを含む請求項22又は23に記載の方法。
請求項29
上記遺伝子又はその発現産物の少なくとも三の発現レベルのエビデンスを決定することを含む請求項22又は23に記載の方法。
請求項30
上記遺伝子又はその発現産物の少なくとも四の発現レベルのエビデンスを決定することを含む請求項22又は23に記載の方法。
請求項31
上記遺伝子又はその発現産物の少なくとも五の発現レベルのエビデンスを決定することを含む請求項22又は23に記載の方法。
請求項32
上記IBD検出をまとめるレポートを作成する工程を更に含む請求項22又は23に記載の方法。
請求項33
上記IBDが潰瘍性大腸炎である請求項22又は23に記載の方法。
請求項34
上記IBDがクローン病である請求項22又は23に記載の方法。
請求項35
上記IBDが潰瘍性大腸炎及びクローン病である請求項22又は23に記載の方法。
請求項36
上記試験試料が結腸組織生検由来である請求項22又は23に記載の方法。
請求項37
上記生検が、回腸末端、上行結腸、下行結腸、及びS状結腸からなる群から選択される組織由来である請求項36に記載の方法。
請求項38
上記生検が炎症結腸領域由来である請求項36に記載の方法。
請求項39
上記生検が非炎症結腸領域由来である請求項36に記載の方法。
請求項40
上記決定工程が、上記哺乳動物被検者におけるIBDの再発を示し、上記哺乳動物被検者が過去にIBDと診断され、該過去に診断されたIBDに対して治療されている請求項22又は23に記載の方法。
請求項41
上記治療が手術からなる請求項40に記載の方法。
請求項42
上記決定工程が、上記哺乳動物被検者における上記IBDの突然の再発を示す請求項22又は23に記載の方法。
請求項43
上記IBD治療剤がアミノサリチル酸である請求項22又は23に記載の方法。
請求項44
上記IBD治療剤がコルチコステロイドである請求項22又は23に記載の方法。
請求項45
上記IBD治療剤が免疫抑制剤である請求項22又は23に記載の方法。
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