专利摘要:
磁気共鳴シグナルをインビボで測定するための核磁気共鳴システム、およびこのような核磁気共鳴システムを用いた種々の方法を提供する。本発明の核磁気共鳴システムは、RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象に部分的または完全に埋め込み可能であるプローブヘッド;埋め込み対象の体外に配置され、RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成する外部コイル;および埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニット;を備える。磁場生成用の磁石または磁場生成手段はプローブヘッドと共に埋め込まれるか、または埋め込み対象の外部に配置される。RFコイルに形成されたサンプル領域は、センサ粒子を収容している。制御ユニットはRF共鳴回路の制御を行い、磁気共鳴シグナルが取得・処理される。A
公开号:JP2011508213A
申请号:JP2010539497
申请日:2008-12-19
公开日:2011-03-10
发明作者:プラド・パブロ・ジェイ;ローリー・トーマス・ジェイ
申请人:ティツー・バイオシステムズ・インコーポレーテッドT2 Biosystems,Inc.;
IPC主号:G01R33-00
专利说明:

[0001] 本願は、2007年12月21日出願の米国特許仮出願第61/008,646号の優先権および利益、2007年12月21日出願の米国特許仮出願第61/008,669号の優先権および利益、ならびに2008年5月14日出願の米国特許仮出願第61/127,514号の優先権および利益を主張する。これら先行する特許出願の全内容は、参照により本明細書に組み込んだものとする。]
技術分野

[0002] 本発明は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナル(特に、磁気共鳴緩和シグナル)をインビボで測定する、埋め込み可能な構成品を備えた核磁気共鳴システム、およびこのような核磁気共鳴システムに基づく種々の方法(例えば、核磁気共鳴システムを使用する方法、磁気共鳴緩和パラメータを埋め込み対象においてインビボで測定する方法、埋め込み対象の体内の分析物をモニタリングする方法、臓器移植の拒絶または受容を判断する方法など)に関する。]
背景技術

[0003] 現在の診断システムには、例えば、マイクロアレイ法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、インサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション、抗体ベースのイムノアッセイ(例えば、ELISA法など)、ケミルミネッセンス(化学発光分析法)、ネフェロメトリー(比濁分析法)や測光法を用いるものが含まれる。全般的に、これらのシステムでは、様々な種類のアッセイを、核磁気共鳴ベースのナノセンサシステムで実現可能な高感度で実施することはできない。]
[0004] 核磁気共鳴(NMR)システムは、サンプルに含まれる原子核の核磁気共鳴を利用するものであり、サンプルおよびサンプル成分に関する多種多様な情報を提供できるシステムとして知られている。このようなシステムには、例えば、磁気共鳴画像(MRI)装置、磁気共鳴分光計、磁気共鳴緩和計などが含まれる。核磁気共鳴現象を発生させるには、磁場の存在下でのRF電磁波による励起が必要である。したがって、核磁気共鳴(NMR)システムは、磁石とRFコイルを一般的に備える。磁石とRFコイルは、システムにおける別々の構成品とされるか、またはプローブヘッド内で組み合わせて使用される。]
発明が解決しようとする課題

[0005] 磁気共鳴システムにおいて一般に好ましい磁石とは、磁場均一性および磁場強度がともに優れた磁石である。このような要件を満たす公知の磁石は、典型的に、大型および/または高価である。よって、このような磁石は、持ち運び型の装置および/または埋め込み型の装置に適しておらず、および/または使い捨てプローブヘッドの一部分として適していない。これらの理由から、持ち運びおよび/または埋め込みおよび/または一回きり(使い捨て)の使用が可能な、小型かつ安価な磁気共鳴システム用のプローブヘッドが望まれている。]
[0006] 磁性ナノセンサまたはナノ粒子は、目的とする分子標的の存在または濃度に応じてクラスター(凝集体)またはナノ集合体(nanoassembly)を形成するように修飾された、超常磁性のナノ粒子である。超常磁性のナノ粒子は、それが集合してクラスター化することで実効断面積が増加すると考えられている。このようにして生じたナノ集合体は、それを取り囲む水分子(または他の溶媒)の水素原子(プロトン)のスピンをより効率的にディフェーズさせることにより、測定可能な緩和率(1/T2)の変化を引き起こすと考えられる。磁性ナノセンサの例は、例えば、Perezらの「磁性ナノ粒子の、分子相互作用を調べるためのナノセンサとしての使用」Chem Bio Chem, 2004, 5, 261-264ならびに米国特許出願公開第2003/0092029号(Josephsonおよびその他)に記載されている。]
課題を解決するための手段

[0007] 本発明にかかる磁気共鳴システムおよび方法は、当該技術分野において見出された課題に対処するためのものである。他種類の測定と比較して緩和測定は磁場均一性の要件が厳しくないので、本発明にかかる埋め込み可能なシステムおよび方法は、磁気緩和測定に特に適しているが、これに限定されない。]
[0008] 本発明の一実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは:磁気共鳴シグナルを測定するのに適した磁場を、サンプル領域に生成するように位置決めされる磁石または磁場生成手段と;RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと;前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと;前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと;を備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には磁性粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記磁性粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にする。]
[0009] 本発明の別の実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは:磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体外であってサンプル領域の近傍に配置される、磁場形成面が一面である永久磁石または磁場生成手段と;RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと;前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと;前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと;を備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にする。]
[0010] 本発明のさらに別の実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは:埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッド;を備え、前記プローブヘッドは、キャパシタと、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれたRFコイルとを有するRF回路、ならびに磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、前記RFコイルの近傍もしくは周辺に配置された永久磁石を具備している。前記システムは、さらに:前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと;前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと;を備えており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にする。]
[0011] 本発明のさらに別の実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは:磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体外であってサンプル領域の近傍に配置される、磁場形成面が一面である永久磁石または磁場生成手段と;RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと;前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと;前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと;を備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には少なくとも1つのセンサ粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記センサ粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にする。]
[0012] 本発明のさらに別の実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは:埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと;前記埋め込み対象の体外に配置される外部コイルと;前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと;を備えており、前記プローブヘッドは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれたRFコイルとキャパシタとを有するRF回路、ならびに磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、前記RFコイルの近傍もしくは周辺に配置された永久磁石を具備しおり、前記外部コイルは、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適しており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には少なくとも1つのセンサ粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記センサ粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にする。]
[0013] さらに別の実施態様には、核磁気共鳴システムを用いて、サンプル領域に含まれるサンプルに関連する磁気共鳴緩和パラメータを、埋め込み対象においてインビボで測定する方法が含まれる。ある実施態様において、この方法は:磁気共鳴シグナルの測定に適した磁場をサンプルに対して生成するように、核磁気共鳴システムの磁石または磁場生成手段を、前記サンプルの近傍または周辺に位置決めするステップと;RFコイルを有するRF回路を具備した、前記核磁気共鳴システムのプローブヘッドを、埋め込み対象の体内に部分的にまたは完全に埋め込むステップと;外部コイルを、前記埋め込み対象の体外に位置決めするステップと;前記埋め込み対象の体外に位置決めされた制御ユニットにより、前記RF回路を制御して前記磁場の存在下で前記サンプル領域にRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)するステップと;磁気共鳴緩和パラメータの測定のために、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルから前記RF回路によって感知された磁気共鳴シグナルの一部または実質上全部を、取得および処理するステップと;を備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、前記サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には少なくとも1つのセンサ粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入ることを許可し、前記少なくとも1つのセンサ粒子が前記サンプル領域から出ることを部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記センサ粒子のうちの少なくとも一部が、分析物の存在下で凝集し、サンプルの磁気共鳴シグナルに変化を引き起こし、前記外部コイルは、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成する。]
[0014] さらに別の実施態様には、患者の体内の分析物をモニタリングする方法が含まれる。ある実施態様において、この方法は、露出した処置部位に対し、埋め込み可能な診断装置を埋め込むこと;ならびに磁気共鳴測定を用いて、少なくとも1種の分析物の存在および/または濃度を検出または測定すること;を備える。]
[0015] 本発明は、さらに別の実施態様において、患者の臓器移植の拒絶または受容を判断する方法を提供する。この方法は、臓器移植手術の術中または術後の患者に対し、少なくとも1種の分析物の存在および/または濃度を検出または測定する埋め込み可能な磁気共鳴診断装置を埋め込むことと;前記臓器移植に関して前記診断装置の応答出力を用いて、前記少なくとも1種の分析物をモニタリングすることと;を備えており、前記装置の出力は、前記患者中で移植された臓器が拒絶されているかまたは受容されているかを示す情報を提供する。]
図面の簡単な説明

[0016] 磁場形成面が二面である磁石を具備したプローブヘッドを、哺乳類の体に埋め込んだ核磁気共鳴システム(システムA)を示す概略図である。
磁場形成面が一面である磁石を外部に備え、それ自体は磁石を具備していないプローブヘッドを、哺乳類の体に埋め込んだ核磁気共鳴システム(システムB)を示す概略図である。
磁場形成面が二面である磁石を具備したプローブヘッドを、マウスの体に埋め込んだ核磁気共鳴システム(システムA)を示す概略図である。
磁場形成面が一面である磁石を外部に備え、それ自体は磁石を具備していないプローブヘッドを、マウスの体に埋め込んだ核磁気共鳴システム(システムB)を示す概略図である。
磁場形成面が二面である磁石によって囲まれたRFコイルを具備した、本発明にかかるシステムに適したプローブヘッドを示す概略平面図である。
磁場形成面が二面である磁石によって囲まれたRFコイルを具備した、本発明にかかるシステムに適したプローブヘッドを示す概略側面図である。
磁石に隣接した平面型のRFコイルを具備した、本発明にかかるシステムに適したプローブヘッドを示す概略側面図である。
磁石に隣接した平面型のRFコイルを具備した、本発明にかかるシステムに適したプローブヘッドを示す概略平面図である。
分光計に接続されるピックアップアセンブリの形態のプローブヘッドを示す図である。
分光計に接続されるピックアップアセンブリの形態のプローブヘッドを示す図である。
図5Aおよび図5Bの装置で得られた振幅スペクトルを示すグラフである。
図5Aおよび図5Bの装置で得られたT2緩和曲線を示すグラフである。] 図5A 図5B
[0017] 前述の内容は、添付の図面に示した本発明の例示的な実施態様についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図面における同一の符合は、異なる図をとおして同一の箇所(構成要素)を表すものとする。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、むしろ、本発明の実施態様を示すことに重点を置いている。]
[0018] 本発明の一構成は、生体磁気共鳴(インビボ(in vivo)でのMR)センシングに用いられる埋め込み(植え込み)可能装置である。この装置は、動物の体内の選択領域から、磁気共鳴シグナルを測定することができる。この装置のセンシングは、埋め込み対象(例えば、動物)の体内に埋め込まれた共鳴RF(ラジオ周波数)回路(図1Bを参照)を構成品として備えた装置形態によって実行されるか、または埋め込み対象(例えば、動物)の体内に埋め込まれた共鳴RF回路および小型の磁石(図1Aを参照)を構成品として備えた装置形態によって実行される。いずれの埋め込み可能装置の場合も、RF分光計は埋め込み可能な構成品としては含まれていない。磁気共鳴でセンシングを行うのに必要な静磁場は、埋め込まれた小型の永久磁石(例えば、埋め込まれたRFコイルの近傍または周辺に埋め込まれた磁石)(図1A)、または外部磁石(図1B)によって生成される。磁場の生成のために、外部磁石(例えば、持ち運び可能なオープン型の永久磁石)を、埋め込まれた装置の近傍であって埋め込み対象の外部に配置してもよい。埋め込まれたRFコイルは、RF共鳴回路の一部をなす場合、外部コイルに電磁結合(非接触の誘導性結合)されている。磁気共鳴測定は、その外部コイルに接続された外部の分光計によって制御される。本発明にかかる構成により、体内の特定の箇所からのシグナルを測定することができ、また、磁気共鳴装置と共に対象内に入れられる生物学的または化学的な微小センサ粒子(例えば、磁性粒子)と体液および/または組織との相互作用により、体液および/または組織の特性をモニタリングすることも可能である。] 図1A 図1B
[0019] 本発明の別の構成は、埋め込まれたラジオ周波数(RF)検出コイルから磁気共鳴緩和測定値を得る手段であり、この手段は、埋め込み対象の外部に存在するRFコイル(ラジオ周波数の外部コイル)と、前記検出コイルに物理的に取り付けられていない機器とを含み、例えば、RFコイルと外部ピックアップコイルとは、これらの間で誘導性結合(誘導性カップリング)をする。埋め込まれるコイルには、電源または追加の電子装置を搭載させる必要がない。本発明は、埋め込まれた装置(例えば、磁気緩和スイッチ(MRSw))から緩和シグナルを検出するのに極めて有用である。]
[0020] 埋め込み可能な診断装置を埋め込むことにより、対象となる少なくとも1種の分析物のリアルタイムのモニタリング、断続的なモニタリングまたは連続的なモニタリングが可能になる。本発明にかかる方法に用いるのに適した埋め込み可能な診断装置を本明細書で説明する。本発明にかかる埋め込み方法の利点の1つとして、術中に埋め込み対象の処置部位が露出するような手術と組み合わせて行えることが挙げられる。つまり、詳細な実施態様として、任意の種類の手術(例えば、内視鏡下手術、腹腔鏡下手術、または切開を伴う手術)の術前、術後または術中に、埋め込み可能な診断装置を埋め込む方法を提供することができる。ある実施態様において、手術の目的は、埋め込み可能な診断装置を埋め込む目的とは異なる場合がある。]
[0021] 本明細書における「埋め込み対象」および「患者」という用語は、同じ意味で交換可能に用いられる。ある実施態様において、「埋め込み対象」および「患者」は哺乳類である。「埋め込み対象」および「患者」という用語は、動物(例えば、鶏、鶉、七面鳥などの鳥類や、哺乳類)を指す。ある実施態様において、埋め込み対象は、非霊長類(例えば、牛、豚、馬、羊、兎、モルモット、ラット、猫、犬、マウスなど)、および霊長類(例えば、猿、チンパンジー、ヒトなど)を含む哺乳類を指す。一実施態様において、埋め込み対象は、畜産または水産動物(例えば、馬、牛、豚、羊、魚類)、または伴侶動物(例えば、犬、猫、モルモット、兎)などの非ヒト動物を指す。特定の実施態様において、埋め込み対象はヒトを指す。]
[0022] 磁気共鳴エンコーディングおよび検出は、トランシーバ(送信機および検波機)に接続された遠隔のRFコイルを介して、インダクタとキャパシタとで構成される検出コイル内で行うことは当業界で公知である。誘導性結合は、RF回路を形成する検出コイル[一般的に、インダクタ(「コイル」)とキャパシタとで構成される]と、ピックアップコイル[RF送信機および受信機(トランシーバとしても知られる)に接続されたインダクタで構成される]と、磁場とを必要とする。検出コイルが磁場の存在下にあるとき、検出コイルの検出領域内の水素原子を、結合されたピックアップコイルで検出することができる。この検出が可能なのは、ピックアップコイルと検出コイルとが電磁結合されて共鳴回路を形成するからである。]
[0023] また、本発明は、磁気共鳴緩和ベースの埋め込み可能なバイオセンサのための安価な手段を提供することができる。本発明にかかる核磁気共鳴システムは、磁気共鳴情報を得るに当って、従来の埋め込み型の磁気共鳴装置で求められるような高い磁場均一性を必要としないので、必要とされる機器およびハードウェアと柔軟に選択できる。例えば、埋め込まれたコイルに対する磁場は、同じく埋め込まれる小型の磁石、外部の永久磁石(例えば、磁場形成面が一面の磁石)、ハルバッハアレイ、U字形磁石、またはトロイド磁石(ドーナツ型磁石)、さらには超伝導磁石で生成することができる。埋め込まれたコイルの位置において所望のレベルの磁場強度が得られるように、専用の磁石アレイを設計(製作)してもよい。磁場強度は、0.1テスラ(Tesla)から2テスラとしてもよく、最も一般的には、0.2テスラから0.7テスラである。外部の磁石で磁場を生成する場合、その磁石の形態は閉鎖形態であっても、または開放形態(オープン型)であってもよい。閉鎖形態の磁石は、一般的に、より均一な磁場分布を実現できるので、埋め込まれたコイルとその磁石との相対的な位置関係による影響を小さくすることができる。開いた形態の磁石は、閉じた形態の磁石よりも磁場均一性が劣るものの、磁気共鳴および磁気共鳴測定に十分使用可能であることが立証されている(PJ. Pradoの「一面の磁場形成面を用いた撮像センサ」Magn. Reson. Imaging, 2003, 21, 397-400、米国特許第6,977,503号の「一面の磁場形成面を用いた磁気共鳴撮像のシステムおよび方法」、ならびにBluemich B、Bluemler P、Eidmann G、 Guthausen A、Haken R、Schmitz U、Saito K、Zimmer Gの「NMR−mouse:製作、励起および応用」Magn Reson Imaging 1998; 16:479)。今日の埋め込み用途の対象領域は、従来の核磁気共鳴画像(MRI)診断での対象領域よりも遥かに小さいので、小型の磁石を用いて磁場を生成するようにしてもよい。オープン型の磁石は、低コスト、小型かつ堅牢な形態で製作することができる。一例として、一定の磁場平面を外部に生成する双極型の磁石(米国特許第6,977,503号)が挙げられる。埋め込まれたコイルと永久磁石アレイとの間の距離が分かっていれば、共鳴周波数を知ることができるので、磁気共鳴シグナルを生成させ、これを誘導性結合(カップリング)装置でピックアップすることができる。]
[0024] 一実施態様において、本発明は、磁気緩和スイッチ式のナノ粒子が収容されたチャンバ(例えば、サンプル領域)を備える埋め込み可能装置で構成される。チャンバは、周辺の細胞間質からの分析物および溶液は透過させるが、ナノ粒子は外部に拡散させない。チャンバは、RFコイル(例えば、ソレノイドコイル、ヘルムホルツコイルなど)の検出領域内に位置する。ある実施態様において、RFコイルはソレノイドコイルである。通常、RFコイルは独立した回路である。ある実施態様において、チャンバは、少なくとも1つの埋め込み可能な磁石の磁場内に配置されている。別の実施態様において、チャンバは、磁場内に恒久的に配置されるのではなく、埋め込み対象の外部に位置決めされる、外部磁石から磁場を印加される。当該技術で知られているように、チャンバを取り囲むRFコイルからのシグナルは、埋め込まれたコイルと誘導性結合(inductively coupled)するように適切にチューニングされた外部のRFコイル(ラジオ周波数の外部コイル)(例えば、ピックアップコイル)によって検出される。この回路の特性のチューニングおよびマッチング(整合)は、上述の2種類のコイル間の距離に応じて行われる。また、シグナルを適切に取得できるか否かは、磁場の影響を受ける。上記のような回路を適切にチューニングおよびマッチングするために使用する外部の磁石は当該技術分野で知られており、本発明にかかるシステムおよび方法に応用することができる。Rollwitz WLがAgricultural Engineering 1985; 66: 12に掲載した記事、P.J. Pradoの「一面の磁場形成面を用いた撮像センサ」Magn. Reson. Imaging, 2003, 21, 397-400、PJ. Pradoの「核磁気共鳴を用いた手持ち式の水分センサ」Magn. Reson. Imaging, 2001, 19, 506-508、PJ. Prado, B. BlumichおよびU. Schmitzの「掌サイズのプローブを用いた一次元撮像」J. Magn. Reson. 2000, 144, 200-206、米国特許第6,977,503号の「一面の磁場形成面を用いた磁気共鳴撮像のシステムおよび方法」、米国特許第6,489,767号の「一面の磁場形成面に基づく、掌サイズのプローブを用いた磁気共鳴画像装置および方法」、Bluemich B, Bluemler P, Eidmann G, Guthausen A, Haken R, Schmitz U, Saito K, Zimmer Gの「NMR−mouse:製作、励起および応用」Magn Reson Imaging 1998; 16:479、ならびにMacDonald PJ.の「漏洩磁場を利用した磁気共鳴画像法(STRAFI)」Progress in NMR 1997; 30:69 -99を参照されたい。]
[0025] 本明細書で用いる「ナノ粒子」という用語は、磁気緩和スイッチ式のナノ粒子(例えば、以下で説明する「磁性粒子」)のことを指す。]
[0026] 本発明にかかる装置および方法は、埋め込み型の磁気共鳴バイオセンサを含む。この磁気共鳴バイオセンサを用いると、可逆的な磁気共鳴スイッチ(MRSw)アッセイにより、分析物のレベルのリアルタイムのセンシングを行うことができる。磁気共鳴スイッチアッセイでは、分析物としての分子、細胞、ウイルスなどの存在でクラスター状態と分散状態が切り替わるので、これを、磁気共鳴緩和率の変化によって読み取ることができる。磁気共鳴スイッチアッセイおよびセンサ(例えば、本発明にかかる装置)は、可逆的に機能するように構成できる。]
[0027] 従来の装置および方法のようにRFプローブ全体またはRF分光計全体を埋め込む必要はなく、本発明ではRFコイルを具備したチャンバを埋め込むだけでよい。また、埋め込み型のチャンバを有する従来の装置および方法では、高価かつ不便な高磁場の磁気共鳴画像(MRI)スキャナを使用するか、または複数の磁気共鳴分光計を組み合わせて埋め込む必要がある。一方、本発明にかかる誘導性結合のコイルを用いることにより、持ち運び式の(ポータブルな)読取装置を用いることができる。したがって、これにより、安価で使い捨て可能な埋め込み可能装置を提供することができる。持ち運び式の読取装置は、従来の超伝導磁石よりも遥かにシンプルかつ低コストな、専用の小型の磁石アレイを具備している。磁場を、埋め込まれたRFコイルの傍に埋め込まれた永久磁石によって生成するのであれば、前記磁石アレイはさらに小型化することができる。]
[0028] 本発明にかかる装置および方法は、様々な用途に利用することができる。関連用途には後述のものが含まれるが、これらに限定されない。透過性または浸透性のサンプル領域(チャンバ)は、埋め込み可能な装置(例えば、バイオセンサ)のセンシング領域を有していてもよく、このセンシング領域が埋め込まれたRFコイルの感受領域内に存在するように構成されてもよい。様々なパルスシーケンスを用いて緩和率(例えば、T2、T1など)を測定することで、バイオセンサの状態を推測することができる。バイオセンサは、後述する方法のうちの任意の方法により、分析物の存在および/または量(例えば、標的レベル、生理学的状態、生体分子レベルなど)と磁気共鳴パラメータとの相関性を形成するように構成することができる。]
[0029] 例えば、バイオセンサにスマートポリマー(または応答性ポリマー)を封入する方法を用いることができる。封入されたスマートポリマーは、pH、イオン強度、特定の分析物(分子や生体分子)に対する感受性が高いことが示されている。このようなポリマーの場合、動物内の変化に応じて、ポリマーの水和レベル、架橋密度または他の特性が変化する。ポリマーの状態の変化は、埋め込まれたRFコイルによって検出される。]
[0030] 本発明にかかる装置および方法のリアルタイムでのセンシング能力を使うと、例えば、小型の動物またはヒトにおける薬剤または治療に対する経時的な応答(反応)をモニタリングするに当って、体液を取り出したり、1つ以上の標本を準備したり、動物を犠牲にする必要なく、適切なバイオマーカーのレベルを監視するだけでこれを実行することを可能にする。このような用途の例には、例えば、薬剤送達および投薬効率性の監視[新薬開発や治療(例えば、ケモセラピー(化学療法)を受けている患者の治療)のため]、新薬開発研究、循環中の活性物質(例えば、インスリン)または他のバイオマーカーのレベルの非侵襲的なモニタリング、埋め込み対象(被験体)内の異物(薬剤、生物由来の毒素、毒物)のリアルタイムのモニタリングなどが含まれる。また、埋め込み対象(被験体)の組織、器官、臓器、血管または他の身体部位の緩和測定を行うこともできる。]
[0031] 本明細書で用いられる「磁石」という用語は、周辺における少なくともある程度の体積空間に磁場を生成する、任意の材料または材料の任意の組合せを指す。一般的に、この磁石は永久磁石である。適切な材料には、NdFeB、FeCoなどが含まれるが、これらに限定されない。複数の磁石を用いて、新たな磁石、すなわち、磁石アレイを形成するように構成してもよい。この磁石アレイとして、例えば、C字形状ヨークを備えた永久磁石、ハルバッハ磁石(円筒形状やその他の形状)、U字形磁石、トロイド磁石(ドーナツ型磁石)などが挙げられる。]
[0032] 本発明にかかるシステムの磁石、磁石形態および磁場生成手段は、その磁気(磁場強度)が弱くてもよく、および/または不均一な磁場を生成してもよい。典型的には、本発明にかかる磁石および/または磁石形態が生成する最大の磁場強度は、約0.2テスラ(T)から約2テスラである。より典型的には、約0.3テスラから約1.5テスラである。さらに典型的には、約0.4テスラから約1.1テスラである。最も典型的には、約0.45テスラから約0.8テスラである。ある実施態様において、前記磁場強度は約2テスラ未満である。別の実施態様では、前記磁場強度は約1.1テスラ未満である。さらに別の実施態様では、前記磁場強度は約0.8テスラ未満である。]
[0033] 本明細書で用いる「不均一な磁場」という用語は、分光法において必要とされる磁場よりも均一性の低い磁場に対する表現である。均一性は、測定対象となる空間によって変化する。磁場均一性は約10,000ppm〜約10ppmであってもよい。ある実施態様では、磁場均一性は約50ppm〜5,000ppmであってもよい。詳細な実施態様では、磁場均一性は約100ppm〜約1,000ppmであってもよい。]
[0034] また、一般的に、本発明にかかるシステムで用いる磁場は実質的な静磁場であり、すなわち、時間が経っても実質上変化しない。温度変動等による磁場の変化は、この実質上の変化に達するものでないか、さらなる磁場による制御および/または共鳴周波数のシフトによって補正されるか、またはそのような変化は磁気共鳴測定時に考慮に入れられる。]
[0035] 本発明にかかるシステムで用いられる磁石は、埋め込み対象の体内および/または埋め込み対象の体外に位置決めすることができる。埋め込み対象の体外に配置される磁石と対比して、埋め込み対象の体内に完全に埋め込まれる磁石は、埋め込み対象への侵襲性を軽減するために小型であるのが好ましい。典型的には、埋め込み用の磁石は全方向の寸法が約2インチ(inch)(約5.08センチメートル)未満である。より典型的には、埋め込み用の磁石は全方向の寸法が約1インチ(inch)(約2.54センチメートル)未満である。最も典型的には、埋め込み用の磁石は全方向の寸法が約0.5インチ(inch)(約1.27センチメートル)未満である。磁石の各方向の寸法が、互いに独立してこれらの要件を満たすものであってもよい。]
[0036] 本発明で用いる「磁場生成手段」という用語は、周辺における少なくともある程度の体積空間に磁場を生成する手段(装置)を指す。一般的に、磁場生成手段は電源を必要とし、電源が入った状態のときに、目標の磁場を生成する。磁場生成手段には、一例として、金属棒を備えた電磁石や金属棒を備えていない電磁石などが含まれるが、これらに限定されない(1994年の雑誌「Sensors and Actuators」に掲載されたCardotらの記事を参照のこと)。ある実施態様において、本発明にかかるシステムに用いられる磁場生成手段は、埋め込み対象の体内において位置決めされてもよい。別の実施態様では、本発明にかかるシステムに用いられる磁場生成手段は、埋め込み対象の体外において位置決めされてもよい。磁場生成手段は大型で複雑なものが多いので(例えば、電源を必要とするものなど)、典型的な形態では、磁場生成手段は埋め込み対象の体外に配置されて使用される。]
[0037] 本発明にかかるシステムに用いられる少なくとも1つの磁石および磁場生成手段は、サンプル領域に十分な磁場強度を持つ磁場が生成されて磁気共鳴シグナルの測定(例えば、緩和測定)が可能となるように、その組合せおよび位置を選択される。]
[0038] 所与の体積空間(例えば、サンプル領域)における磁石または磁場生成手段の磁場強度は、当該技術分野で知られている方法を用いて算出および/または近似することができる。一般的に、磁場強度は、磁石または磁場生成手段の性質、およびサンプル領域に対する磁石または磁場生成手段の位置によって変化する。また、サンプル領域における磁石または磁場生成手段の磁場強度は、当該技術分野で知られている方法や装置(例えば、ガウスメータ、テスラメータ、ホール効果プローブなど)によって測定することができる。ある実施態様では、サンプル領域内の磁場強度が約0.2テスラから約2テスラの範囲内であれば、磁気共鳴シグナルを測定するのに十分である。ある実施態様では、サンプル領域内の磁場強度が約0.3テスラから約1.5テスラの範囲内であれば、磁気共鳴シグナルを測定するのに十分である。別の実施態様では、サンプル領域内の磁場強度が約0.45テスラから約1.5テスラの範囲内であれば、磁気共鳴シグナルを測定するのに十分である。さらに別の実施態様では、サンプル領域内の磁場強度が約0.45テスラから約1.1テスラの範囲内であれば、磁気共鳴シグナルを測定するのに十分である。]
[0039] 本明細書で用いる「プローブヘッド」という用語は、核磁気共鳴システムにおいて、埋め込み対象の体内に部分的にまたは完全に埋め込まれる部分(構成品)のことを指す。少なくとも、プローブヘッドは、RFコイルを有するRF回路を具備しており、前記RFコイルは、サンプル領域が収まり得る空間を形成するように巻かれ、この空間には、サンプルを入れることができる。一実施態様において、プローブヘッドは、サンプル領域および/またはポートが収まり得る空間を具備している。ある実施態様では、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を、RFコイル(RF回路の一部)としてもよい。この場合、RFコイルは、例えば、開口部(すなわち、サンプル領域が収まり得る空間)を形成しながらサンプル領域を取り囲むように巻かれ、その開口部内にサンプル領域を配置できるようにする。別の実施態様では、サンプル領域および/またはポートが収まり得る空間を、RFコイルの開口部とは異なるが、例えば、検出領域を部分的にまたは全体的に取り囲むように形成されたRFコイルに適合(合致)させてもよい。例えば、サンプル領域を包含するキャピラリーを、RFコイル内に配置してもよい。]
[0040] ある実施態様では、RFコイルが、約1マイクロリットル(μl)から約10ミリリットル(ml)の体積空間を取り囲むように巻かれ、ある実施態様では、約1ミリリットルの体積空間を取り囲むように巻かれ、ある実施態様では、約500マイクロリットルの体積空間を取り囲むように巻かれている。ある実施態様では、RFコイルが、約100マイクロリットル未満の体積空間を取り囲むように巻かれている。さらに別の実施態様では、RFコイルが、約10マイクロリットル未満の体積空間を取り囲むように巻かれている。さらに別の実施態様では、RFコイルが、約5マイクロリットル未満の体積空間を取り囲むように巻かれている。特定の実施態様では、RFコイルが、約1.6マイクロリットル未満の体積空間を取り囲むように巻かれている。さらに別の実施態様では、RFコイルが、約1マイクロリットル未満の体積空間を取り囲むように巻かれている。]
[0041] また、一般的に、サンプル領域を形成する部分の材質(特に、生体サンプルまたは生体組織と接し得るあらゆる部分の材質)は、生体適合性を有する。すなわち、前記材質は、装置が適切に動作できることおよび埋め込み対象となる動物が生物学的に機能することの双方を保証する材料で構成されている。本発明にかかる磁気共鳴システムの構成品において、埋め込み時に組織と直接接する表面部分は、生物汚染および/または免疫反応を部分的にまたは完全に防ぐための生体適合性材料で構成または被覆されていてもよい。また、本発明にかかるシステムにおける埋め込み可能な部分は、その一部または全部が、生体分解性材料で構成されていてもよい。ある実施態様において、装置は、その全体または少なくとも1つ以上の部分(構成品)が、必要に応じて、その埋め込み可能装置に生体不活性、生体模倣性または生体活性を付与するための、当該技術分野で知られている生理学的に許容可能なコーティング剤で被覆されていてもよい。適切な材料には、チタン、不活性シリコーンエラストマー、セラミクス、ガラス、高分子材料、ポリ−β−ヒドロキシブチレート(PHB)などが含まれる。少なくとも1つのサンプル領域および対応するポートを、当該技術分野で知られている方法を用いて形成してもよい。適切な方法には、型成形法または射出成形法や、2光子3次元リソグラフィ(two-photon three-dimensional lithography)などの微細加工方法(例えば、数ミリメートル未満のサイズのサンプル用容器を形成するための方法)が含まれる。]
[0042] プローブヘッドは、その構成品(例えば、RFコイルおよび磁石など)を取り囲む「ハウジング」を具備していてもよい。ある実施態様では、前記ハウジングに、プローブヘッドの少なくとも1つの構成品(例えば、磁石、磁場生成手段、RFコイルなど)が取り付けられる。]
[0043] 本発明にかかるプローブヘッドは、一般的に、患者内に埋め込まれるように構成されている(例えば、哺乳類の組織および/または器官および/または骨への埋め込み(植え込み))。哺乳類の体内に対し、何らかの物体を恒久的または一時的に埋め込む方法は当該技術分野で知られており、このような方法は、本発明にかかる装置(例えば、プローブヘッド、磁気共鳴システムなど)の埋め込みにも適用可能である。適切なプローブヘッドが、2008年11月6日出願の国際出願第PCT/US08/12592号パンフレット「磁気共鳴緩和測定用の小型の磁石およびRFコイル」(代理人管理番号No. 1014-002)に開示されているが、これらに限定されない。この国際出願の全内容は、参照により本明細書に組み込んだものとする。]
[0044] 本明細書で用いる「ポート」という用語は、最も単純な意味では、上述したような開口部を指すが、サンプル領域への少なくとも1種の分析物の送入および/または排出を可能にする構造または装置を指す用語としても用いられ得る。また、ポートは、分析物以外の他のサンプル成分がサンプル領域に入るのを防ぐように構成されてもよい。ポートは、例えば、プローブヘッドの構造、構造部分もしくは構成品(例えば、RFコイル)、またはプローブヘッドに取り付けられた別個の構造もしくはプローブヘッド内に含まれる別個の構造であってもよい。また、ポートは、例えば、少なくとも1つの開口部を有する構造、少なくとも1つの半透膜を有する構造などであってもよい。ある実施態様において、ポートは、サンプル領域内での磁性粒子の凝集を引き起こす分析物がサンプル領域に入るのは許可し、その凝集過程を妨げるようなサンプル成分が前記サンプル領域に入るのは許可しない。また、ポートは、アッセイ成分(例えば、磁性粒子)が装置から出るのを防止するように構成されている。]
[0045] ある実施態様において、プローブヘッドは少なくとも1つの分離したサンプル領域を具備している。ある実施態様では、プローブヘッドは約1から約100個のサンプル領域を具備している。ある実施態様では、プローブヘッドは約1から約10個のサンプル領域を具備している。ある実施態様では、プローブヘッドは2個のサンプル領域を具備している。ある実施態様では、プローブヘッドは1個のサンプル領域を具備している。]
[0046] プローブヘッドが2個以上のサンプル領域を具備している場合、そのプローブヘッドを、対応する検出領域を有するRFコイルを具備するものとしてもよく、この検出領域は、各サンプル領域の少なくとも一部を包含するように構成されてもよい。あるいは、プローブヘッドは、複数のRFコイルおよび/またはRF回路を具備していてもよく、それらは各サンプル領域につき1つ、または複数のサンプル領域からなる各サブグループにつき1つの割合で具備されていてもよい。ある実施態様において、プローブヘッドは少なくとも2つのRFコイルを具備している。]
[0047] プローブヘッドが、複数の分離したサンプル領域と、これらのサンプル領域を同時に精査するためのRFコイルを1つしか具備していない場合には、分離したサンプルチャンバ(分離領域)からの磁気共鳴シグナルまたは情報を区別するために、多重化方法(multiplexing method)を用いてもよい。例えば、利用可能な多重化方法の1つとして、多指数関数の緩和曲線(multi-exponential relaxation curve)から減衰定数の数値(例えば、スピン−スピン緩和定数T2の数値)を抽出する方法(T.J. LoweryらのAnal. Chem. (2008), 80, 1118-1123を参照されたい)が挙げられる。本発明にかかるプローブヘッドを用いて得られた緩和データは、次の等式で表される減衰指数関数曲線にフィッティングすることができる:]
[0048] ]
[0049] 式中、f(t)は時間tに対するシグナル強度を表し、Aiはi番目の成分の振幅係数を表し、(T)iはi番目の成分の減衰定数(例えば、T2)を表す。上述の緩和現象において検出されるシグナルは、個々の成分(i=1,2,3,4…n)の合計であり、それぞれ、単指数関数、二重指数関数、三重指数関数、四重指数関数…多重指数関数と称される。科学や工学の分野では多重指数関数的プロセス(multi-exponential process)を解析する必要性が普遍的に存在するため、各係数についてのAiおよび(T)iの推測値を迅速に得るための数学的手法が幾つか確立されている(Istratov, A. A. & Vyvenko, O. F. 1999.「指数関数を用いた物理的現象の解析」Rev. Sci. Inst. 70(2): 1233-1257)。]
[0050] また、プローブヘッドが磁石を具備したものである場合、この磁石は、磁場形成面が一面、二面または多面のものであってもよい。ある実施態様では、磁石の磁場形成面は二面である。一般的に、埋め込み対象の体外に配置される磁石を備えたシステムでは、当該磁石の磁場形成面は一面である。]
[0051] また、プローブヘッドが、複数の分離したサンプル領域を具備し、各サンプル領域ごとに別々のRFコイルを具備している場合、各RFコイルは、ワイヤレスに電源をオンまたはオフすることを可能にするスイッチおよび対応する回路に接続されていてもよい。これにより、スイッチオン(電源オン)されたRFコイルを有するサンプル領域内のサンプルの磁気共鳴シグナルを、選択的に測定することができる。]
[0052] 代替案として、プローブヘッドのサンプル領域の磁場の一部または全部を生成する磁石または磁場生成手段を、当該プローブヘッドとは別に埋め込むようにしてもよい。]
[0053] 複数の分離したサンプル領域を有する実施態様では、分離した各サンプル領域を、同一寸法に、寸法は異なるが同一体積に、または寸法も体積も異なるように構成してもよい。一般的には、分離した各サンプル領域は約1フェムトリットル(fl)から約10ミリリットルである。より一般的には、分離した各サンプル領域は約1ピコリットル(pl)から約1ミリリットルである。最も一般的には、分離した各サンプル領域は約1マイクロリットルから約200マイクロリットルである。]
[0054] 本発明にかかる埋め込み可能装置は、磁気共鳴システムの一部として磁気共鳴シグナルを感知および/または測定するに当って、その埋め込み可能装置の中に1種以上の検知用試薬(検知剤)を収容したものであってもよい。詳細には、本発明にかかる少なくとも1つのサンプル領域に、1種以上の検知剤が収容されていてもよい。一般的に、各サンプル領域には1種の検知剤が収容されている。]
[0055] 本明細書で用いる「検知剤」という用語は、サンプル特性を検知するか、サンプル特性に反応(応答)するか、またはサンプル特性に影響される物質であって、これにより、サンプル特性の存在および/または程度を、サンプルに関連する磁気共鳴シグナルの存在、変化または大きさと相関させる(結び付ける)物質のことを指す。本明細書で用いる「サンプル特性」という用語は、所与のサンプルにおける任意の化学的特性および/または物理的特性を指す。適切なサンプル特性として、分析物の濃度(すなわち、サンプルに含まれるターゲットの分子、イオンや遊離基の濃度)、pH値、イオン強度、含水状態(例えば、組織の含水状態、すなわち、組織に含まれる水の濃度)、温度などが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0056] 適切な検知剤として、乾燥試薬組成物、磁性粒子、応答性ポリマー、磁気共鳴造影剤などが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0057] 適切な乾燥試薬組成物には、例えば、ビオチン被覆乾燥ナノ粒子(dried biotinylated coated nanoparticle)(T.J. LoweryらのAnal. Chem. (2008), 80, 1118-1123を参照されたい)が含まれる。ビオチン被覆乾燥ナノ粒子は、例えば、0.083mMのFe液、10mMのリン酸緩衝生理食塩水、および20mg/mlのデキストランで構成されるpH7.4の216μLのナノ粒子組成物として配合され得る。乾燥試薬組成物は、磁性粒子溶液(例えば、ビオチン被覆ナノ粒子溶液)を容器(例えば、ガラス製チューブ)に入れて、この容器を凍結乾燥装置(例えば、米国ニューヨーク州ガーディナーのVirTis社製の凍結乾燥装置)で凍結乾燥させる(例えば、−80℃で24時間)ことによって調製できる。この乾燥試薬組成物をサンプル用容器の分離領域内に充填する際には、その少なくとも1つの各分離領域に対し、凍結時に使用した容器から当該乾燥試薬組成物を移しかえるようにしてもよい。]
[0058] 本発明で用いる「磁性粒子」という用語は、サンプル特性に反応(応答)するか、またはサンプル特性に影響される粒子であって、これにより、サンプル特性の存在および/または程度を、そのサンプルに関連する磁気共鳴シグナルの存在、変化または大きさと相関させる(結び付ける)粒子のことを指す。一般的に、磁性粒子は凝集または分散することで応答する。よって、本発明にかかる方法では、「順方向」(クラスター化もしくは凝集)型のアッセイまたは「逆方向」(クラスター分解もしくは分散)型のアッセイを用いることができる。また、「順方向」型のアッセイまたは「逆方向」型のアッセイによって特定の分析物を検出できるように、ナノ集合体を、例えば、温度シフト、化学的切断、pHシフトなどによって、可逆的であるように構成してもよい。順方向(クラスター化)型のアッセイおよび逆方向(クラスター分解)型のアッセイは、多種多様な生体関連物質(材料)を検出することができる。さらに、スピン−格子緩和時間(T1)はナノ集合体の形成とは無関係であると考えられているので、これを用いることにより、ナノ集合状態と分散状態のいずれの場合であっても、同一溶液内の濃度を測定することができる。]
[0059] また、典型的には、磁性粒子の平均粒径は1nm〜5μm程度である。磁性粒子は、常磁性または超常磁性を有するものであってもよい。磁性粒子は、その表面に結合部位を有していてもよい。好ましくは、前記結合部位は、分析物の存在またはその濃度に応じて、磁性粒子の凝集度を変化させるものである。磁性粒子は、Fe、Si、Sn、An、Ti、Bi、ZrおよびZnのうちの少なくとも1つの酸化物および/または水酸化物を含んでいてもよい。ある実施態様において、磁性粒子は超常磁性であり、かつ、約1nm〜約100nmの結晶子サイズを有している。ある実施態様において、ナノスケールの磁性粒子(磁性ナノ粒子)は、金属酸化物のコアを有しており、かつ、コアの直径が、約1nm〜約25nm、約3nm〜約10nm、または約5nmである。前記結合部位は、次の1つ以上の種類、例えば、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルス、および細菌、に結合し得る。例えば、一実施態様において、前記結合部位は、1種、2種、またはそれ以上の種類のオリゴヌクレオチドおよび/または1種、2種またはそれ以上の種類のタンパク質に結合し得る。前記結合部位を有しているのは、1つ以上の磁性粒子と結合しているか、もしくは1つ以上の磁性粒子に関連付けられた(つまり、磁性粒子に対して親和性を示している)ポリマーまたはポリマーの一部であってもよい。ある実施態様において、前記結合部位は官能性基を含んでおり、例えば、前記結合部位は、次の1つ以上の種類、例えば、アミノ基、カルボキシ基、スルフヒドリル基、アミン基、イミン基、エポキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、アクリレート基、およびイソシアノ基、を含んでいてもよい。分析物は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、微生物、ウイルス、細菌、炭水化物、多糖体、およびグルコースからなる群の一種以上を含んでいてもよい。分析物は、また、例えば、脂質、気体(例えば、酸素、二酸化炭素など)、電解質(例えば、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、グルコース、マグネシウム、リン酸塩、リン酸エステル、カルシウム、アンモニア、乳酸塩、乳酸エステル)、リポタンパク質、コレステロール、脂肪酸、糖タンパク質、プロテオグリカン、およびリポ多糖体からなる群の一種以上を含んでいてもよい。]
[0060] 例えば、磁性粒子は、糖化ヘモグロビンに応答するものである。例えば、アミノCLIOナノ粒子(すなわち、アミノ基修飾された架橋デキストランで被覆された酸化鉄ナノ粒子)を、一般的な液相化学下でボロン酸化合物で修飾したものであってもよい。ボロン酸化合物(例えば、ボロン酸、フェニルボロン酸、ホウ酸、ボロネート(ボロン酸塩およびボロン酸エステル)など)は、HbA1cと称される、他の種類の糖化ヘモグロビンとの違いに基づいて命名された特定の種類の糖化ヘモグロビンに対して親和性を有する。ヘモグロビンは、4つのサブユニット、すなわち、2本のα鎖と2本のβ鎖で構成されており、HbA1cは2箇所の結合部位を有する。これにより、HbA1cは、ボロン酸修飾された超常磁性酸化鉄粒子の凝集を促進する。ボロン酸化合物は、ヘモグロビンに結合したグルコースのシス−ジオール部位を介してサンプル中のHbA1cと反応し、五員環構造を形成する。ボロネート基は、様々な化学的性質により、固相体と共有結合し得るか、または固相体に静電的に結び付き得る。アミノCLIOナノ粒子などの固相体は、一般的な液相化学反応を用いてボロン酸化合物で修飾することができる。アミノCLIOナノ粒子は、アミノ基修飾された架橋デキストランで被覆された酸化鉄ナノ粒子である。デキストランポリマー被覆が付与する可溶性によって、このナノ粒子の液相化学反応が可能となる。適切なボロン酸化合物には、4−カルボキシフェニルボロン酸、3−ニトロ−5−カルボキシフェニルボロン酸、m−アミノフェニルボロン酸(APBA)が含まれるが、これらに限定されない。]
[0061] 本明細書で用いる「ナノセンサ」という用語は、常磁性の粒子または超常磁性の粒子であって、一般的には、ナノメートルスケールの粒子であり、磁性のコアとその周囲のポリマーマトリクス層とで構成されるか、かつ/または標的化合物もしくは分析物に対する結合部位または親和性基を、誘導体としてまたは官能基として有している。適切なナノセンサには、応答性ポリマーで被覆された磁性ナノ粒子が含まれる。これらナノセンサは、磁性ナノ粒子の能力を利用して、核磁気共鳴(NMR)で検出可能な核スピン(以降、その一例である「水分子の水素原子(プロトン)」を代表例として用いる)をディフェーズして、ナノ粒子の凝集を利用せずに検出を行う。各ナノ粒子のポリマーマトリクス層は、検出対象の分析物および/または条件に曝されると膨張または収縮する。この結果生じるナノ粒子の粒径の変化は、ナノ粒子の近傍で自由拡散する水分子のディフェーズに影響を及ぼし、これにより、核磁気共鳴(NMR)で検出可能な1つ以上の特性に影響を与える。公知の基準サンプルを用いて、核磁気共鳴(NMR)で検出される特性を較正することにより、本発明にかかるプローブヘッドを用いた核磁気共鳴(NMR)法で、検出対象の条件および/または分析物が試験サンプル中に存在するか否かを検出することができる。]
[0062] 検出対象の核が水分子の水素原子である場合、好ましくは、前記ポリマーマトリクスは、ポリマー「メッシュ」を備えた刺激応答性ヒドロゲルまたは分子応答性ヒドロゲルの形態を取る。この「メッシュ」は結合部位によって架橋結合しているので、対象の分析物の物理的もしくは化学的刺激または物理的パラメータの変化に応じて、ポリマーマトリクスの体積、透過性および水素原子含有量が変化する。これは、ポリマーマトリクスを、親水性のポリマーネットワーク(ポリマー網目構造体)として構成することによって実現できる。この親水性のポリマーネットワークは、結合部位をペンダント基またはポリマー主鎖の一部として含んでおり、その結合部位は、分析物の成分と1つ以上の共有結合もしくは水素結合を形成するか、分析物の成分とのファンデルワールス相互作用によるか、または分析物の成分との物理的絡み合いにより、水の透過性(および/または環境中の他の分子の透過性)に変化を引き起こす。分析物の存在によってポリマーの架橋密度に変化が生じ、これが溶液中のポリマーの体積分率(体積パーセント)を変化させる。架橋密度が変化すると、さらに、ナノ粒子の粒径が変化し、これにより、ナノ粒子の拡散時間が変化する。以下の比例関係式から分かるように、拡散時間および比体積は、溶液について測定されるT2緩和度(1/T2)と比例する。]
[0063] ]
[0064] 式中、Vpは溶液中の粒子の比体積であり、Rは粒子半径であり、Dは水の拡散定数である。R2/Dは拡散時間τdに等しい。水の拡散時間とは、ある粒子を超える場所まで水分子が拡散するのに必要な時間のことを指し、発生するT2緩和の大きさに比例する。]
[0065] 前記結合部位は、次の1つ以上の種類:ケミカルバインダ(化学結合剤)、電気活性メディエータ、電子対供与体および電子対受容体、であってもよい。結合部位は、アミノ基、カルボキシ基、スルフヒドリル基、アミン基、イミン基、エポキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、アクリレート基およびイソシアノ基のうち少なくとも1種以上であってもよい。例えば、結合部位は、pHを検知する酢酸部分(例えば、ポリ(アクリル酸)における酢酸部分)、またはジオールの存在(例えば、グルコースのジオール部分)を検知するフェニルボロン酸であってもよい。あるいは、結合部位は、結合対(binding pair)または結合性ペンダント(binding pendant)であり、例えば、同種抗原の存在下でクロスリンカーとして作用する抗体、または同種抗体の存在下でクロスリンカーとして作用する抗原などが挙げられ、これらは競合的なアフィニティ(親和性)反応により、マトリクスに出入りする水分子の水素原子の量および比体積の変化を調節する。これは、一般的に、分析対象の物理的パラメータの変化に応じてマトリクスポリマーの架橋度が調節されることで達成され、それにより、水の透過性(磁性粒子近傍のマトリクスに出入りする水およびマトリクス領域内における水の並進拡散の量および速度を含む)が制御される。例えば、結合対は、低親和性リガンド(例えば、炭水化物)に結合したリガンド結合タンパク質(例えば、コンカナバリンA)であってもよい。この系にグルコースを投入することにより、低親和性リガンドがグルコースに置換され、マトリクスの架橋が変化する。別の例として、マトリクス固定化抗原またはマトリクス固定化標的と結合することでマトリクスを架橋する、マトリクス固定化抗体、マトリクス固定化抗体断片またはマトリクス固定化ペプチドが挙げられる。この結合よりも親和性の高い分析物の存在により、その架橋マトリクスが乱され、マトリクスが膨張する。]
[0066] 上記のような応答性を有するマトリクスは、1種以上のモノマーおよび/またはポリマーを含む材質のマトリクスであってもよい。この1種以上のモノマーおよび/またはポリマーの官能基は、前記結合部位をナノ粒子に結び付けるか、または前記結合部位とナノ粒子とを安定な親和性状態に保持することによって(可逆的な)複合体を形成させる。前記ポリマーとして、天然ポリマー、合成ポリマー、天然ポリマーと合成ポリマーの組合せ、形状記憶ポリマー、ブロックコポリマー(PEO(ポリエチレンオキシド)、PPO(ポリプロピレンオキシド))、またはこれら各種類の誘導体が挙げられる。例えば、前記マトリクスポリマーとして、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)が挙げられる。前記マトリクスポリマーは、例えば、他にも、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIAAm)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)(PDEAAm)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−ブチルメタクリレート)コポリマー(P(NIAAm−co−BMA))、PEO−PPO−PEO(例えば、プルロニック(登録商標))、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリ−(メタクリル酸−エチレングリコール)グラフトコポリマー、ポリ(2−グルコシルオキシエチルメタクリレート)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン−3(アクリルアミド)フェニルボロン酸)コポリマー、およびN−(S)−sec−ブチルアクリルアミドからなる群のうちの少なくとも1種以上であってもよい(あるいは、前記マトリクスポリマーは、この群のうちの少なくとも1種以上を含むものであってもよい)。前記官能基は、適切な化学官能基であれば何でもよく、例えば、カルボキシ基、アミノ基やスルフヒドリル基などである。また、1種以上の特定の部位は、前記官能基との(可逆的な)複合体化によって、物理的吸着および/もしくは水素結合によって、またはファンデルワールス相互作用によって、ナノ粒子に対して取り付けられてもよい。上記のような応答性を有するポリマー(応答性ポリマー)からなるマトリクスは、物理的刺激および/または化学的刺激を受けることによって、ポリマー層の比体積に影響を及ぼし、核磁気共鳴(NMR)測定可能な特性(例えば、T2緩和度)の検出可能な変化を引き起こす。]
[0067] 「応答性ポリマー」(本明細書において「スマートポリマー」とも称す)という用語は、例えば、pHおよび/またはイオン強度および/または特定の分析物(分子や生体分子)などに対する感受性が高いポリマーのことを指す。応答性ポリマーが利用される場合、サンプル(例えば、生体液)中の変化に応じて、ポリマーの水和レベル、架橋密度や他の関連する特性が変化する。ポリマーの状態/特性が変化することにより、磁気共鳴シグナルにも変化が生じ、これを、埋め込まれたRFコイルによって検出することができる。適切なスマートポリマーは、例えば、Gemeinhart, RA, Chen J, Park, H, Park, Kによる2000年の「高速応答性を有する超多孔質ヒドロゲルのpH感度」J. Biomater. Sci. Polym. Ed.11: 1371-1380;Murakami Y, Maeda, Mによる2005年の「収縮/膨張可能なDNA応答性ヒドロゲル」Biomacromolecules, 6: 2927-2929;Miyata, T, Uragami, T, Nakamae, Kらによる2002年の「生体分子応答性ヒドロゲル」Adv Drug Deliv Rev, 54: 79-98;Zhang, R, Bowyer, A, Eisenthal, R, Hubble, Jらによる2006年の「抗原応答性ヒドロゲルに基づくスマート膜」Biotechnol Bioeng;などに記載されており、当該技術分野で知られている。]
[0068] 本発明にかかるシステムは、互いに同一または異なる複数のプローブヘッドを備えるものであってもよい。例えば、2つ以上のプローブヘッドは、構造的および/または機能的に互いに異なっていてもよい。しかし、各プローブヘッドは、外部コイル(本明細書では「ピックアップコイル」とも称す)とRF共鳴回路を形成するように構成されており、かつ、制御ユニットによって制御可能であるように構成されている。少なくとも1つの周波数でチューニングされる複数のプローブヘッドを、所与の埋め込み対象および/または複数の埋め込み対象に埋め込むようにしてもよい。プローブヘッドは、長期的に、すなわち、長期間(例えば、数年、数ヶ月もしくは数週間)埋め込まれるものであってもよいし、または一時的に、すなわち、短期間(例えば、数日間、数時間もしくは数分間)埋め込まれるものであってもよい。]
[0069] 本明細書で用いる「RF回路」という用語は、RFコイルを有する回路のことを指し、かつ、チューニング用の少なくとも1つのキャパシタを有していてもよい。]
[0070] 数多くの様々な種類のRFコイルが当該技術分野で知られている。適切なRFコイルには、平面コイルおよび「立体型(whole volume)」コイルが含まれ、この「立体型」コイルとして、対向式サドルコイル、ソレノイドコイル、ヘルムホルツコイルなどが挙げられる。詳細な実施態様において、本発明にかかるシステムで用いられるRFコイルには、ソレノイドコイルが含まれる。RFコイルは、対応する検出領域における磁気共鳴シグナルを感知および/または検出するために使用することができる。任意で、RFコイルは、さらに、検出・励起可能領域内に位置する分析対象のサンプルに対してRFシグナル(例えば、当該サンプルに対応する長さのRFパルス)を適用(印加)および/または発生させることができる。この場合、検出・励起可能領域は、磁気共鳴システムの一部としての所与のRFコイル設計(構造)に対応している。ある実施態様において、検出領域と励起可能領域は同一の体積空間である。]
[0071] 本明細書で用いる「検出領域」という用語は、所与の磁気共鳴システムの一部である所与のRFコイルに関連した体積空間であって、そのRFコイルによって磁気共鳴シグナルを原則的に検出することができる体積空間を指す。本明細書で用いる「検出可能」または「検出することができる」という用語は、バックグラウンドのノイズレベルから識別可能または識別することができる、という意味を指し、すなわち、所与の磁気共鳴システムの一部である所与のRFコイルにより、バックグラウンドのノイズレベルからシグナルを識別できた場合、磁気共鳴シグナルを「検出可能」または「検出することができる」といえる。所与のRFコイル−磁気共鳴システムの組合せにおける検出領域は、当該技術分野で知られている方法を用いて算出および/または近似および/または測定することができる。しかしながら、一般的には、検出領域を近似すれば十分である。例えば、ソレノイドコイルの場合、一般的に、検出領域は実質上コイルで取り囲まれた領域であり、典型的には、この領域は略円筒形状である。ある実施態様において、RFコイルは円筒形状である。つまり、ソレノイドコイルの場合、検出領域のだいたいの近似は、閉じた円筒形状の体積空間であり、極めて簡単に計算することができる。他の種類のRFコイルについても、同様の近似計算手法が当該技術分野で知られている(例えば、Mispelter, J., Lupu, M., Briquet, A.の「生物物理学実験および生物医学実験用のNMRプローブヘッド」2006 Imperial College Press, Londonを参照されたい)。別の実施態様では、RFコイルは、略円筒形状のコイル領域(コイルの内部空間)を取り囲むように巻かれており、かつ、その対応する検出領域は、実質上、この円筒形状の領域である。さらに別の実施態様では、RFコイルは、そのコイル領域が励起可能領域の約80パーセントから約100パーセントに相当するように位置決めされている。さらに別の実施態様では、RFコイルは、そのコイル領域が励起可能領域の実質上全体に相当するように位置決めされている。]
[0072] 本明細書で用いる「励起可能領域」という用語は、磁石および/または磁場生成手段が生成する磁場の存在下で、所与の長さのRFパルスの適用により高エネルギー状態に遷移する、サンプル領域内の水素核が占める体積空間のことを指す。例えば、サンプルに含まれた水素核のうち、励起可能領域の外部に存在する水素核は、直接励起することができない。]
[0073] 本明細書で用いる「外部コイル」という用語は、所与のRF回路のRFコイルと電磁結合(例えば、誘導性結合)してRF共鳴回路を形成するのに適したコイルのことを指す。一般的に、外部コイルは、受信回路(分光計の一部をなす)の一部として、制御ユニットに接続されている。]
[0074] RFコイルと外部コイルとの適切な組合せ(すなわち、適切なコイルアセンブリ)には、ソレノイドコイルと一巻きコイルとの組合せ、ソレノイドコイルとソレノイドコイルとの組合せ、表面コイル(平面コイル)と表面コイルとの組合せ、表面コイルと一巻きコイルとの組合せ、ヘルムホルツコイルとソレノイドコイルとの組合せなどが含まれるが、これらに限定されない。詳細な実施態様では、RFコイルと外部コイルとの組合せは、2つのソレノイドコイルである。]
[0075] 外部コイルと埋め込まれたRFコイルとを誘導性結合(カップリング)させることにより、外部コイルと埋め込まれたRFコイルとを直接接続させることなく、当該埋め込まれたRFコイルを制御することができる。また、これにより、埋め込まれたRF回路に対し、外部電源から誘導性結合によって電力を供給することができるので、埋め込み対象に電源を埋め込む必要がない。しかしながら、ある実施態様において、埋め込み式の電源を、例えば、プローブヘッドの構成品に含めてもよい。例えば、内部電源を具備した自律型の装置を埋め込むようにしてもよく、この装置が起動している間、パッシブ型の外部の受信機がシグナルを検出する。]
[0076] ある実施態様において、本発明にかかるシステムは、当該技術分野で知られている方法に従いコイルアセンブリのチューニングおよびマッチング(整合)を行ってRF共鳴回路を形成するための構成品を備えており、例えば、RF回路に少なくとも1つのキャパシタを備え、および/または受信回路に少なくとも1つのキャパシタを備えている。別の実施態様において、コイルアセンブリは予めチューニングがなされている。]
[0077] 本発明にかかるシステムの動作時において、外部コイルは、埋め込まれたRFコイルに誘導性結合している。これにより、埋め込まれたRFコイルによって感知された磁気共鳴シグナルが、外部コイルへと有効に供給される。同様に、結合された外部コイルを制御ユニットによって制御し、RFコイルの励起可能領域にRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)することで、埋め込まれたRFコイルを誘導性制御(インダクタ制御)することができる。一般的に、励起可能領域は、サンプル領域の少なくとも一部を包含している。]
[0078] 本明細書で用いる「RFパルスシーケンス」という用語は、サンプル領域の一部または全部に適用(印加)することにより、サンプル領域に含まれる少なくとも1種のサンプルに関連した磁気共鳴シグナルが得られるようにそのパルス特性(RFパルスの周波数を含む)が選択された、RFパルスのシーケンスを指す。これにより生データが得られ、例えば、この生データを処理することで、サンプルに関連する少なくとも1つの核磁気共鳴パラメータを取得することができる。データまたは核磁気共鳴シグナルの取得は、RFパルスシーケンスの適用前および/または適用中および/または適用後に少なくとも1回開始することができる。一般的に、データまたは核磁気共鳴シグナルの取得は、RFパルスシーケンスのパルス間に開始される。緩和定数T2を測定する場合、一般的なRFパルスシーケンスの中でも、適切なRFパルスシーケンス(例えば、カー−パーセル−マイブーム−ギル(CPMG))が当該技術分野で知られている。RFパルスシーケンスの最適化(シーケンスに含まれるRFパルスの周波数の選択を含む)は、当該技術分野で知られている方法により、分析対象の系に応じて実行される。本発明にかかるRFパルスシーケンスは、少なくとも1つの別のサンプルが存在するなかで特定のサンプルの核磁気共鳴パラメータを測定できるように、例えば、当該技術分野で知られているパルスシーケンスと、少なくとも1つのフィルター(選別)RFパルスシーケンスとが組み合わされたものであってもよい。]
[0079] 本明細書で用いる「フィルターベースの方法(filter-based method)」とは、フィルターRFパルスシーケンスをサンプルに適用(印加)するステップを含む方法のことを指す。この適用ステップは、一般的に、データ取得に先行する「サンプルエンコーディング」段階において、パルスプログラムの一部として行われる。サンプルエンコーディングとは、分析学に基づく磁気共鳴における基本的なステップであり、複数のRFパルスおよび複数のディレイ(間隔)に関する情報を、サンプルに入力する手順で構成される。サンプルエンコーディングを調節することで、サンプルから所望の情報を抽出するというコンセプトは、磁気共鳴画像法および分光法の分野で用いられる、一般的にパルスシーケンスと称されるコンセプトと類似している。]
[0080] 例えば、単一のコイル内の複数のサンプルを区別するための方法の1つとして、フィルターを適用(印加)することで1つのサンプルからのシグナルを抑える一方、別のサンプルからのシグナルは検出可能とする方法が挙げられる。T1ベースのフィルターは、粒子を用いた診断方法の1つの可能性を示唆している。他の利用可能なフィルターには、T2ベースのフィルター、T1rhoベースのフィルター、およびパルス磁場勾配法ベースのフィルターが含まれる。超常磁性ナノ粒子溶液の1/T1、例えば、単結晶酸化鉄を含む超常磁性ナノ粒子溶液の1/T1は、溶液の鉄含有量に線形依存し、すなわち、T2とは異なって、分析物がない場合と分析物にナノ粒子が結合した場合とで大きな変化は起こらないので、T1フィルターベースの方法は、磁気緩和スイッチアッセイに特に適している。したがって、シグナル取得に先立って、鉄含有量の高いサンプルは短いT1値を有するので、鉄含有量が低いために高いT1値を有するサンプルと区別することができる。これは、例えば、フィルターラジオ周波数(RF)パルスシーケンスとカー−パーセル−マイブーム−ギル(CPMG)シーケンスとの組合せによる、以下に示すパルスシーケンスを用いることで達成できる:]
[0081] ]
[0082] 式中、180°と90°は、それぞれ、180°のティップ角(フリップ角)を有するRFパルス、90°のティップ角を有するRFパルスを指し、τ1は反転回復ディレイを指し、τcpはCPMGのインターエコーディレイを指し、(acq)はシグナル取得を示し、τrdはスキャン(走査)間のリサイクルディレイを指す。τcp、τrdおよびパルスの長さの最適化は、一般的なCPMGシーケンスの場合と同様に行われるが、τ1は、CPMGの読出しを開始するための90°パルスの際に少なくとも1つのサンプルの縦磁化がヌル値となるように調整(チューニング)される。この時点でCPMGシーケンスを用いてRFコイル内からシグナルを収集することにより、第2サンプルからのシグナルのみがエコートレインに現れる。同様に、T2の測定を228ミリ秒の時点で開始することにより、第1サンプルからのシグナルのみを収集することができる。つまり、コンセプトは、双方のチャンバにおけるシグナルを、元来のシグナル特性に基づいて操作するか、またはその元来のシグナル特性に手を加えることで操作するというものである。このようにして、第2サンプルの検出時点において、別のサンプルのシグナルが実質上ゼロとなるようにすることができる。本発明にかかる装置および方法において、単一のフィルターまたは複数の種類のフィルターによる組合せを用いることができる。以上を踏まえると、RFパルスシーケンスは、粒子アッセイの調節された性質(tailorednature)および一次元パルスシーケンスを利用することにより、個別のNMR緩和情報の検出を可能とする。]
[0083] フィルターベースの方法およびシグナル処理ベースの方法の両方を利用することにより、どのサンプルチャンバから、どのシグナルが生じるかという割当てを行うことができる。このような割当てが不必要な場合もあるが、多くの場合、このような割当てにより、ユーザが得る最終結果の品質が向上する。1つの方法として、サンプルの体積とフィッティングアルゴリズムの振幅係数との相関性を利用するものがある。各サンプルの体積を互いに異ならせることにより、これに対応する振幅・T2係数を、各サンプルに対して適宜割り当てることができる。]
[0084] 補正を施した緩和率を適切なサンプルに割り当てる別の方法として、各サンプルのT1緩和率を調節する方法が挙げられる。磁性粒子溶液のT1緩和率は、磁性粒子の濃度に反比例する。したがって、2つの異なる磁性粒子溶液を、前述のT1フィルターベースの方法によって別々に割り当てることができ、かつ、各チャンバからのシグナルをヌル値にする各ディレイに基づいて検出することができる。この方法のさらなる利点として、磁性粒子アッセイの濃度が互いに異なると、互いに異なるダイナミックレンジを得られる(抽出できる)ことが挙げられる。というのも、アッセイのダイナミックレンジの中央値は、磁性粒子の濃度におおよそ比例しているからである。]
[0085] フィルターベースの方法およびシグナル処理ベースの方法は、3つ以上のサンプルチャンバ、例えば、4つのチャンバからのシグナルを検出できるように組み合わせることもできる。T1フィルターベースの方法とシグナル処理ベースの方法の組合せによる、実施可能な用途の1つとして、2つの異なる磁性粒子濃度について、サンプルと参考アッセイ(reference assay)との両方を測定する方法が挙げられる。]
[0086] 所与の磁石または磁石アレイについて、前述したように磁場強度を測定することで、一次元、二次元または三次元の磁場マップ、すなわち、選択された一次元空間、二次元空間または三次元空間の磁場強度の関数的依存性(functional dependence)を決定することができる。当該技術分野で知られているように、磁場マップにより、磁石または磁石アレイの内側または周辺における体積空間の、磁場強度および磁場均一性を分析することができる。一般的に、前述のように測定された所与の適切な磁場強度に加えて、例えば、少なくとも、適切なまたは所望のサンプル領域に対応する体積空間において、少なくとも若干の磁場均一性があれば望ましい。このようにして、あるプローブヘッド構成[例えば、磁石、コイル構成(例えば、単一の外部の磁石構成、埋め込み可能な磁石構成など)]について適切とされる励起周波数および帯域幅に基づき、磁石・コイルの設計およびプローブヘッドの構造設計が行われる。]
[0087] ある実施態様において、プローブヘッドは、少なくとも1つの磁石を具備しており、前記少なくとも1つの磁石は、(任意の他の領域に比べて)適度な磁場強度および良好な磁場均一性を有する領域がRFコイルの感受領域によって包含されるように、RF回路のRFコイルに対して一定位置および一定方向に位置決めされている。本明細書で用いる「感受領域」という用語は、励起可能領域と検出領域との重複する領域であって、RFコイルを用いて磁気共鳴シグナルを検出することができる領域のことを指す。感受領域は、充填率(すなわち、RFコイルの検出領域がサンプル領域内を占める割合)によって決まる。埋め込まれる磁石を具備したプローブヘッドを備えるシステムの利点として、磁石とRFコイルとの相対的な位置関係および相対的な向きを予め最適化し、これを固定できる点、すなわち、埋め込み対象の体にプローブヘッドを埋め込む前にサンプル領域を予め決定かつ一定にできる点が挙げられる。]
[0088] ある実施態様において、システムは、埋め込み対象の体外に配置されてサンプル領域に磁場を生成する少なくとも1つの磁石を備えており、前記少なくとも1つの磁石は、(任意の他の領域に比べて)適度な磁場強度および良好な磁場均一性を有する磁場領域がRFコイルの感受領域によって包含されるように、RF回路の埋め込まれたRFコイルに対して位置および方向を決められる。このようなシステムにおける磁石の位置決めは、所与のプローブヘッドの埋め込み(植え込み)の後に行われる。したがって、ある実施態様において、本発明にかかるシステムは、プローブヘッドに対する少なくとも1つの磁石の位置が最適になるように、埋め込み対象の体内における当該プローブヘッドの位置および/または向きを決定する手段を備えている。あるいは、例えば、少なくとも1つの磁石および/または埋め込み対象の体の位置および/または向きを、磁気共鳴シグナルが検出されるまで、および/または磁気共鳴シグナルの強度が最大になるまで、段階的に調節するようにしてもよい。上述に加えて、または代替的な実施態様として、プローブヘッドは、サンプル領域内またはサンプル領域の近傍における磁場強度を検出する磁場検出手段と、前記磁場強度を示す信号を制御ユニットに送信する送信機とを具備していてもよい。この場合、制御ユニットは、前記磁場強度を示す信号を受信するRF受信機を含む。これにより、磁石の位置および/または向きを、サンプル領域内の磁場強度が増加するように調節することができる。]
[0089] 別の実施態様では、本発明にかかるシステムに、埋め込まれるプローブヘッドの、埋め込み対象の体内における位置を決定する装置、例えば、X線を用いた遠隔測定法による位置決定に基づく装置、近赤外線を用いた遠隔測定法による位置決定に基づく装置、超音波を用いた遠隔測定法による位置決定に基づく装置、磁気共鳴を用いた遠隔測定法による位置決定に基づく装置などが含まれる。]
[0090] 本発明で用いられる「制御ユニット」という用語は、外部コイルに接続され、RF共鳴回路を制御する論理回路を含み、RF共鳴回路によって感知されて前記外部コイル(RF共鳴回路の一部をなす)によって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にする、あらゆる装置を指す。制御ユニットは、特注製造のものであってもよいし、または既存の磁気共鳴装置の制御ユニット(例えば、対応するソフトウェアを備えたMagritek社製のKEA分光装置などの分光計)を利用し、これを本発明にかかる磁気共鳴システムに用いてもおよび/または適合させてもよい。]
[0091] ある実施態様において、本発明にかかるシステムおよび方法で用いられる磁性粒子は常磁性である。詳細な実施態様において、前記磁性粒子は超常磁性である。ある実施態様において、前記磁性粒子はポリマーマトリクスのコーティング(例えば、デキストランコーティングが挙げられるが、これに限定されない)で被覆されている。さらに別の実施態様において、前記磁性粒子は、少なくとも1種の標的分析物に結合する少なくとも1種の結合部位を官能基として有している。適切な結合部位には、アミノ基、カルボキシ基、スルフヒドリル基、アミン基、イミン基、エポキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、アクリレート基およびイソシアノ基のうちの少なくとも1種が含まれる。さらなる適切な結合部位には、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、抗体、ウイルスおよび細菌のうちの少なくとも1種が含まれる。]
[0092] 本発明にかかるシステムは、磁気共鳴シグナルを測定する。制御ユニットの論理回路は、感知されて取得された磁気共鳴シグナルを処理して磁気共鳴緩和パラメータ(例えば、T1、T2、T1rhoなど)および他のパラメータ(例えば、シグナル強度、シグナル寿命、シグナル線幅、シグナル積分値など)を測定できるように、当該技術分野で知られている方法によって構成されてもよい。一般的に、論理回路は、磁気共鳴緩和パラメータの測定を可能にする。最も一般的には、論理回路は、T2の測定を可能にする。]
[0093] 本発明にかかるシステムは、さらに、薬剤送達ユニットを備えていてもよく、前記薬剤送達ユニットは、埋め込み対象に投与するのに適切な少なくとも1種の薬剤(薬効剤)を含み、前記制御ユニットは、さらに、前記薬剤送達ユニットを制御する論理回路を含む。この場合、本発明にかかる方法は、感知された磁気共鳴シグナル(特に、測定された少なくとも1種の磁気緩和パラメータ)に応じて前記薬剤送達ユニットから薬剤を前記埋め込み対象の体に送達するように、前記制御ユニットによって前記薬剤送達ユニットを制御するステップを含んでいてもよい。]
[0094] 本発明にかかるシステムの一部の構成品または全ての構成品を、衣類の一部となるように構成してもよい。この構成は、磁石を具備したプローブヘッドを備えたシステムの場合に、特に適している。例えば、ヒトの胸部における特定の埋め込み部位に埋め込まれるプローブヘッドの場合、外部コイルが埋め込み部位の近傍(ある実施態様では、埋め込み部位のちょうど上側)に位置決めされるように、衣類(例えば、ジャケット)を構成してもよい(衣類に工夫を施してもよい)。]
[0095] 本発明の一実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)静磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体外であってサンプル領域の近傍に配置される永久磁石と、(b)RFコイルを有し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したRF回路と、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RFコイルは、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にするように構成されている。]
[0096] 本発明の一関連実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)静磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体外であってサンプル領域の近傍に配置される永久磁石と、(b)RFコイルを有し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したRF回路と、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RFコイルは、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、磁気共鳴緩和パラメータの測定のために、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にするように構成されている。]
[0097] 本発明のさらなる関連実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)静磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体外であってサンプル領域の近傍に配置される永久磁石と、(b)RFコイルを有し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したRF回路と、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RFコイルは、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、T2の測定のために、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にするように構成されている。]
[0098] 本発明の別の実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)静磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体外であってサンプル領域の近傍に配置される永久磁石と、(b1)RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、かつ、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記サンプル領域には超常磁性の磁性粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記磁性粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記磁性粒子のうちの一部または実質上全部が、分析物の存在下で凝集し、前記RF回路によって感知される磁気共鳴シグナルに変化を引き起こし、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、T2の測定のために、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にするように構成されている。]
[0099] 本発明のさらに別の実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)静磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体内であってサンプル領域の近傍に部分的にまたは完全に埋め込まれる永久磁石と、(b)RFコイルを有し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したRF回路と、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RFコイルは、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にするように構成されている。]
[0100] 本発明の一関連実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)静磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体内であってサンプル領域の近傍に部分的にまたは完全に埋め込まれる永久磁石と、(b)RFコイルを有し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したRF回路と、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RFコイルは、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、磁気共鳴緩和パラメータの測定のために、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にするように構成されている。]
[0101] 本発明のさらなる関連実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)静磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体内であってサンプル領域の近傍に部分的にまたは完全に埋め込まれる永久磁石と、(b)RFコイルを有し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したRF回路と、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RFコイルは、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、T2の測定のために、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にするように構成されている。]
[0102] 本発明の別の実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)静磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体内であってサンプル領域の近傍に部分的にまたは完全に埋め込まれる永久磁石と、(b1)RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RF回路は、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適しており、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記サンプル領域には超常磁性の磁性粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記磁性粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記磁性粒子のうちの一部または実質上全部が、分析物の存在下で凝集し、前記RF回路によって感知される磁気共鳴シグナルに変化を引き起こし、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、T2の測定のために、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にするように構成されている。]
[0103] 本発明のさらに別の実施態様は、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムである。このシステムは、(a)永久磁石とRFコイルとキャパシタとを有するRF回路とを具備し、埋め込み対象の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと、(b)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と電磁結合(非接触)してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットとを備えており、前記RF回路は、前記永久磁石が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)し、サンプル領域に含まれる前記サンプルからの磁気共鳴シグナルを感知するように構成されており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、前記サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記永久磁石は、磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、前記RFコイルの近傍または周辺に位置決めされており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含み、前記RF回路によって感知されて且つ前記RF共鳴回路の一部をなす前記外部コイルによって受け取られる磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にするように構成されており、前記サンプル領域には磁性粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記磁性粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記磁性粒子のうちの一部または実質上全部が、分析物の存在下で凝集し、前記RF回路によって感知される磁気共鳴シグナルに変化を引き起こす。]
[0104] 本発明のさらに別の実施態様は、前述の段落に記載したシステムであって、前記サンプル領域と検出領域との重複する領域をサンプル−検出領域とし、前記サンプル−検出領域内に最小磁場強度が存在するとともに、前記サンプル−検出領域内の磁場強度の変動が、最小磁場強度に対し、約0.5%超、約0.75%超、約1%超、約1.25%超、約1.5%超、約1.75%超、約2%超、約2.25%超、約2.5%超、約2.75%超または3%超である。]
[0105] また、本発明のさらに別の実施態様は、前述の段落に記載したシステムであって、前記サンプル領域と検出領域との重複する領域をサンプル−検出領域とし、前記サンプル−検出領域内の磁場は、最小磁場強度が約0.1テスラから約0.8テスラであり、かつ、最大磁場強度が約0.5テスラから約1.1テスラであり、かつ、前記サンプル−検出領域内の磁場強度の変動が、最小磁場強度に対し、約0.5%超、約0.75%超、約1%超、約1.25%超、約1.5%超、約1.75%超、約2%超、約2.25%超、約2.5%超、約2.75%超または3%超である。]
[0106] 本発明のさらなる実施態様は、少なくとも1つのプローブヘッドを少なくとも1つの埋め込み対象に埋め込む前述の磁気共鳴システムについて、そのうちの任意の磁気共鳴システムを使用する方法に関する。一般的に、これらの方法は、医学的診断情報をインビボで得るために用いられる。より一般的に、これらの方法は、磁気共鳴緩和情報(例えば、前述の核共鳴緩和パラメータなど)を得るために用いられる。]
[0107] 本発明にかかる磁気共鳴システムを使用する方法において、プローブヘッド内に磁石または磁場生成手段が含まれたプローブヘッドを利用する場合、RFコイルおよびサンプル領域の埋め込み(植え込み)と同時に、磁石または磁場生成手段の位置決めがなされる。というのも、このようなプローブヘッドでは、磁気共鳴シグナルの測定に適した磁場をサンプル領域に生成するように当該サンプル領域の近傍または周辺に位置決めされる磁石または磁場生成手段をその中に具備しているからである。すなわち、磁石または磁場生成手段を具備したプローブヘッドを埋め込み対象の体に埋め込むことで、サンプルの近傍または周辺への当該磁石または磁場生成手段の位置決めが自動的になされる。]
[0108] 本発明にかかる磁気共鳴システムを使用する方法において、磁石または磁場生成手段を具備していないプローブヘッドを利用する場合、磁石または磁場生成手段の位置決めが別に必要となる。このようなシステムは、例えば、プローブヘッドに含まれないかまたはRFコイルと別体である、内部の磁石または外部の磁石を用い得る。一般的に、このようなシステムの使用方法は、RFコイルまたはプローブヘッドを埋め込んだ後に、磁石または磁場生成手段を外部に位置決めすることを必要とする。]
[0109] 外部コイルの位置決めには、外部コイルの位置の調整のみ、埋め込み対象の体の位置の調整(すなわち、埋め込まれたプローブヘッドの調整)、またはこれらの組合せが含まれ得る。]
[0110] 本発明の一構成は、核磁気共鳴システムを用いて、サンプル領域に含まれるサンプルに関連する磁気共鳴緩和パラメータを、埋め込み対象においてインビボで測定する方法を提供することである。一実施態様において、この方法は:磁気共鳴シグナルの測定に適した磁場をサンプルに対して生成するように、核磁気共鳴システムの磁石または磁場生成手段を、前記サンプルの近傍または周辺に位置決めするステップと;RFコイルを有するRF回路を具備した、前記核磁気共鳴システムのプローブヘッドを、埋め込み対象の体内に部分的にまたは完全に埋め込むステップと;外部コイルを、前記埋め込み対象の体外に位置決めするステップと;前記埋め込み対象の体外に位置決めされた制御ユニットにより、前記RF回路を制御して前記磁場の存在下で前記サンプル領域にRFパルスまたはRFパルスシーケンスを適用(印加)するステップと;磁気共鳴緩和パラメータの測定のために、前記サンプル領域に含まれる前記サンプルから前記RF回路によって感知された磁気共鳴シグナルの一部または実質上全部を、取得および処理するステップと;を備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、前記サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には磁性粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記磁性粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記磁性粒子のうちの少なくとも一部が、分析物の存在下で凝集し、サンプルの磁気共鳴シグナルに変化を引き起こし、前記外部コイルは、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成する。]
[0111] ある実施態様において、制御ユニットは磁気共鳴シグナルを処理する論理回路を含んでおり、前記制御ユニットは、シグナル強度、シグナル寿命、シグナル線幅、シグナル積分値、またはこれらの組合せを測定するように構成されている。]
[0112] ある実施態様において、前記方法は、磁気共鳴緩和パラメータT1および/またはT2および/またはT1rhoを検出することを含む。ある実施態様において、検出される磁気共鳴緩和パラメータはT2である。]
[0113] ある実施態様において、前記方法は、CPMG法のRFパルスを利用することを含む。]
[0114] ある実施態様において、方法は、磁性粒子を具備した装置の使用を含み、この磁性粒子は常磁性である。ある実施態様において、前記磁性粒子は超常磁性である。ある実施態様において、前記磁性粒子のうちの少なくとも1つの粒子が、ポリマーマトリクスのコーティングを有している。ある実施態様において、前記磁性粒子の平均粒径が約1ナノメートルから約5マイクロメートルである。]
[0115] ある実施態様において、前記磁性粒子は、少なくとも1種の分析物に結合する少なくとも1種の結合部位を官能基として有している。ある実施態様において、前記少なくとも1種の結合部位は、アミノ基、カルボキシ基、スルフヒドリル基、アミン基、イミン基、エポキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、アクリレート基およびイソシアノ基のうちの少なくとも1種を含む。特定の実施態様において、前記少なくとも1種の結合部位は、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルスおよび細菌のうちの少なくとも1種を含む。]
[0116] 特定の実施態様において、検知剤が応答性ポリマーであり、サンプル特性は、pH値、イオン強度、分析物の濃度、または分析物の存在であり、前記応答性ポリマーの特性が前記サンプル特性の変化に応じて変化することにより、RF回路によって感知される磁気共鳴シグナルに変化が生じる。]
[0117] 一実施態様において、サンプルは含水状態で水分子を含み、検出されるサンプル特性は、サンプルの含水状態である。]
[0118] 特定の方法において、本発明にかかる少なくとも1つのステップ(過程や工程)は、少なくとも1つの磁気共鳴緩和パラメータを測定するために、少なくとも1回繰り返される。詳細な実施態様において、所与の磁気共鳴パラメータは、サンプル特性を経時的にモニタリングするために2回以上測定される。]
[0119] 特定の方法のステップには、さらに、埋め込み対象に薬剤を投与することが含まれ、前記薬剤またはその治療効果(治療反応)により、サンプル特性に変化が生じる。]
[0120] 特定の実施態様において、埋め込み対象の体は異物を含み、前記異物は、薬剤、生物由来の毒素(toxin)、毒物(poison)またはこれらの組合せであり、当該異物または当該異物に対する埋め込み対象の体の反応が、サンプル特性に変化を引き起こす。]
[0121] さらに別の実施態様において、核磁気共鳴システムは、さらに、薬剤送達ユニットを備えていてもよく、前記薬剤送達ユニットは、前記埋め込み対象に投与するのに適切な薬剤を含み、前記制御ユニットは、さらに、前記薬剤送達ユニットを制御する論理回路を含んでおり、前記方法は、測定された磁気共鳴緩和パラメータに応じて前記薬剤送達ユニットから薬剤を前記埋め込み対象の体に送達するように、前記制御ユニットによって前記薬剤送達ユニットを制御するステップを含む。]
[0122] 特定の実施態様において、プローブヘッドは、生物汚染または免疫反応を部分的にまたは完全に防ぐのに適したコーティング剤で被覆されている。ある実施態様において、方法は、生体分解性材料で一部または全体が構成されたプローブヘッドを使用することを含む。]
[0123] 特定の実施態様において、磁石または磁場生成手段は、埋め込み対象の体外に位置し、核磁気共鳴システムは、さらに、前記埋め込み対象の体において互いに異なる部位に埋め込まれる少なくとも1つのプローブヘッドを備えている。ある実施態様において、装置を使用する方法は、その方法が備えるステップを、各プローブヘッドごとに少なくとも1回実行する。]
[0124] さらに別の実施態様において、磁石または磁場生成手段および/もしくは外部コイルおよび/もしくは制御ユニットは、互いに独立してまたは集合的に、埋め込み対象が着用する衣類の一部をなし、および/または埋め込み対象の体に取り付けられる。]
[0125] ある実施態様において、RFコイルは、対応する検出領域を有しており、サンプル領域がその検出領域と完全に重複している。ある実施態様において、RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間の全体を形成している。]
[0126] ある実施態様において、磁石または磁場生成手段の磁場形成面は一面である。別の実施態様において、磁石または磁場生成手段の磁場形成面は二面である。]
[0127] ある実施態様において、磁石または磁場生成手段は埋め込み対象の体外に位置決めされる。]
[0128] ある実施態様において、プローブヘッドは、RFコイルと並列キャパシタと磁石とを具備しており、前記磁石は、サンプルチャンバの位置に対して一定の位置に配置される永久磁石である。ある実施態様において、プローブヘッドは、RFコイルと並列キャパシタと永久磁石とを具備しており、前記永久磁石は、前記RFコイルの近傍または周辺に配置される。ある実施態様において、プローブヘッドは、さらに、サンプル領域から検知剤を除去および/またはサンプル領域に検知剤を充填することを可能にする手段を具備しており、前記ポートは、前記検知剤が前記サンプル領域から出るのを部分的にまたは完全に防止するように構成されている。特定の実施態様において、装置を利用(使用)する方法は、さらに、サンプル領域に検知剤を充填するステップを備えている。]
[0129] ある実施態様において、プローブヘッドは、さらに、サンプル領域内またはサンプル領域の近傍における磁場強度を検出する磁場検出手段と、前記磁場強度を示す信号を送信する送信機とを具備しており、制御ユニットが、さらに、前記磁場強度を示す前記信号を受信する受信機を含んでいる。]
[0130] さらに別の実施態様において、核磁気共鳴システムは、さらに、埋め込み対象の体内におけるプローブヘッドの位置を決定する手段(装置)を備えている。ある実施態様において、プローブヘッドの位置を決定する前記手段(装置)は、X線を用いた遠隔測定法による位置決定、近赤外線を用いた遠隔測定法による位置決定、超音波を用いた遠隔測定法による位置決定、または磁気共鳴を用いた遠隔測定法による位置決定に基づく手段(装置)である。特定の実施態様において、プローブヘッドは、さらに、RFシグナルを生成するラジオ周波数認識(RFID)生成手段を具備しており、プローブヘッドの位置を決定する前記手段(装置)は、(i)生成されたRF信号を受け取るRF受信機と、(ii)前記受け取られたRF信号から、サンプル領域の位置を決定する論理回路とを含んでいる。]
[0131] ある実施態様において、装置を使用する方法は、共鳴RF回路の存在が検出されるまで外部コイルの位置を変化させることにより、外部コイルの位置決めを行うことを含む。特定の実施態様において、外部コイルはワンド(探知棒)の一部をなしている。]
[0132] ある実施態様において、プローブヘッドは、複数の分離したサンプル領域とRFコイルとを具備しており、前記RFコイルは、対応する励起可能領域および検出領域を有しており、かつ、前記複数のサンプル領域の各サンプル領域は、前記励起可能領域および前記検出領域と少なくとも部分的に重複している。]
[0133] ある実施態様において、プローブヘッドは、2つのサンプル領域を具備しており、装置を使用する方法は、さらに、埋め込み対象の体外に位置決めされた制御ユニットにより、磁場の存在下で、前記2つのサンプル領域に別々に含まれる合計2つのサンプルに対して同時に読出シーケンスを適用(印加)するようにRF回路を制御することを含み、前記読出シーケンスを適用(印加)することは、生データを得るためにRFシグナルを取得すること;および前記2つのサンプルのうちの少なくとも一方にかかる磁気共鳴緩和パラメータを測定するために、RF回路によって感知された、サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルの一部または実質上全部を、制御ユニットにより処理すること;を含む。]
[0134] 詳細な実施態様において、方法は、読出シーケンスを適用(印加)する前に、さらに、前記2つのサンプルの一方を標的サンプルとして選択し、他方をフィルターサンプルとして選択すること;および埋め込み対象の体外に位置決めされた制御ユニットにより、磁場の存在下で、前記2つのサンプル領域に別々に含まれる合計2つのサンプルに対して同時にフィルターRFパルスシーケンスを適用(印加)するようにRF回路を制御すること;を含み、前記フィルターRFパルスシーケンスは、シグナルを取得するステップ時に、前記フィルターサンプルに関連するRFシグナルの部分的な減衰または完全な除去を引き起こすように構成(設定)されている。]
[0135] ある実施態様において、核磁気共鳴パラメータはスピン−スピン緩和定数T2である。詳細な実施態様において、読出シーケンスはカー−パーセル−マイブーム−ギル(CPMG)シーケンスである。より詳細な実施態様において、フィルターRFパルスシーケンスは、約180°のティップ角(フリップ角)を有するRFパルスを含む。ある実施態様において、フィルターRFパルスシーケンスは、さらに、RFパルスの後に続く反転回復ディレイを含んでおり、前記反転回復ディレイは、標的サンプル以外の少なくとも2つのサンプルの縦磁化に関し、CPMGシーケンスが適用された際にほぼヌル値となるように選択されている。]
[0136] さらに別の実施態様において、プローブヘッドは、複数の分離したサンプル領域を具備するとともに、各サンプル領域ごとに別々のRFコイルを具備しており、各RFコイルは、ワイヤレスに電源をオンまたはオフされることを可能にするスイッチおよび対応する回路に接続されており、かつ、各RFコイルは、対応する励起可能領域および検出領域を備えており、前記励起可能領域および検出領域は、そのRFコイルに対応する各サンプル領域と少なくとも部分的に重複している。]
[0137] 別の実施態様では、RF回路が、RFコイルとレポータコイル(介在コイル)とを有しており、前記RF回路と外部コイルとの誘導性結合が、実質上、前記レポータコイルを介して行われる。]
[0138] 多くの手術では、相当な量のフォローアップ検査が必要になる。例えば、臓器移植後は、臓器の受容または拒絶を評価するために、患者を集中的にモニタリングする必要がある。数種類のバイオマーカーおよび数種類の治療剤を、モニタリング対象とすることができる。一般的に、バイオマーカーのレベルおよび治療剤のレベルは、間質液および/または血液および/または組織および/または手術部位において測定可能である。バイオマーカーのレベルまたは治療剤のレベルをリアルタイムで知らせる少なくとも1つの診断モニタリング装置を埋め込むことにより、術後の非侵襲的モニタリングを行うことができる。]
[0139] 場合によっては、埋め込まれたセンサと通信可能な装置を、患者が装着する必要が有り得る。この装置は、データの取得、データロギング(時間を追ってデータを記録すること)、および適切な医療従事者または医療センターへのデータ送信に使用されてもよい。]
[0140] 装置の機能的寿命は、短期または長期である。装置は完全に生体分解性であってもよいし、または一定期間が経つと単に生体不活性になるものであってもよい。あるいは、限られた場合において、装置は取り外されるか、または機能を停止される必要がある。]
[0141] 装置は、リアルタイムで治療を調整できるように、薬剤送達システムに接続されていてもよい。また、装置は、患者のケアの向上のために、早期反応(早期応答)システムまたは他の種類のデータ管理システムに接続されていてもよい。]
[0142] 前述したように、本発明にかかる方法には、埋め込み対象の体における少なくとも1種の分析物をインビボで監視する方法が含まれる。一実施態様において、方法は、(a)術中において、前記患者の処置部位を露出させること;(b)露出した処置部位を治療処置または外科処置すること;および(c)前記露出した処置部位に埋め込み可能な診断装置を埋め込むこと;を備え、前記埋め込まれた診断装置は、少なくとも1種の分析物の存在および/または濃度を検出または測定する。少なくとも1種の分析物は、手術の結果を評価するために、術後にモニタリングされてもよい。少なくとも1種の分析物は、互いに独立してバイオマーカーまたは治療薬剤であってもよい。少なくとも1種の分析物は、手術部位のまたは手術部位周辺の間質液および/または血液および/または組織および/または器官および/または臓器に存在する分子であってもよい。ある実施態様において、行われる手術は、内視鏡下手術、キーホール手術、腹腔鏡下手術、または切開を伴う手術であってもよい。ある実施態様において、手術は臓器移植手術である(例えば、腎臓移植、肝臓移植、移植皮膚片など)。]
[0143] 本発明で用いられる「内視鏡下手術」という用語は、体内にチューブを挿入することにより、器官または臓器の内部表面を調べる一種の最小侵襲性の医学的診断法を指す。使用される器具は、硬質チューブまたは可撓性のチューブであってもよく、目視用の画像や写真を提供できるだけでなく、生検や異物の採取を行うこともできる。]
[0144] 本発明で用いられる「キーホール手術」という用語は、従来の手術に比べて、切開が極めて小さく、患者にとって痛みが少なく且つ外傷を低減できる手術のことを指す。執刀医は、端部にライトが付いた細いチューブ(ファイバー光源として知られている)を介して対象部位を視ることができ、そのチューブに挿入された特殊な器具を用いて処置を行う。適切なキーホール手術として、胆嚢や胆石の除去や取出し、前立腺や関節に対する処置などが挙げられる。処置は麻酔下で行われる。]
[0145] 本発明で用いられる「腹腔鏡下手術」という用語は、キーホール手術に似た手術であるが、特に、腹部の内部、腹膜(腹部の内膜)、腹膜の内部などに対して行われる手術のことを指す。]
[0146] 本発明で用いられる「切開を伴う手術」という用語は、執刀医が皮膚や組織を切り、その内部の構造、器官または臓器に対して直接何らかの処置を行う手術のことを指す。切開を伴う手術の例には、器官や臓器(例えば、胆嚢、腎臓など)の除去や取出しが含まれる。]
[0147] 別の実施態様において、手術は「最小侵襲性」のものである。「最小侵襲性」とは、大きい切開を必要としない手術に関して使用する表現である。最小侵襲性の手術では、患者は快復が早く、痛みも少ない。]
[0148] 様々な実施態様において、手術は、診断的手術、予防的手術、治癒期待手術、または緩和手術である。]
[0149] 本明細書で用いられる「診断的手術」という用語は、診断を確定するために行われる手術を指す。診断的手術の例には、生検が含まれる。]
[0150] 本明細書で用いられる「予防的手術」という用語は、病変組織(例えば、ガン細胞)は含んでいないが、将来的に病変し得る(例えば、ガンになり得る)組織を、執刀医が除去する手術のことを指す。]
[0151] 本明細書で用いられる「治癒期待手術」という用語は、治療的過程を伴う手術のことを指す。例には、虫垂切除、乳房切除など、義肢の植え込み、心臓弁の移植など、および血管修復、損傷靭帯の修復などが含まれる。]
[0152] 本明細書で用いられる「緩和手術」という用語は、病気または障害の原因の解消にはならないが、患者のクオリティオブライフ(生活の質)を一時的に向上させることのできる手術を指す。例えば、手術は、疼痛を引き起こす原発腫瘍または転移性腫瘍(例えば、孤立性転移した脊椎腫瘍)の除去を伴う。]
[0153] 一実施態様において、手術は、「マイクロサージェリー」(顕微鏡下手術)であってもよい。「マイクロサージェリー」という用語は、執刀医が小型組織(例えば、小動脈、神経、中耳の骨、眼の内部など)に何らかの処置を施せるように、拡大装置を用いて行われる手術のことを指す。]
[0154] ある実施態様は、患者における臓器移植の拒絶または受容を判断する方法を含む。この方法は、埋め込み対象に、埋め込み可能な診断装置を埋め込むことを含み、当該埋め込まれる診断装置は、少なくとも1種の分析物の存在および/または濃度を検出可能または測定可能なものである。装置は、実際の臓器移植前、臓器移植中または臓器移植後に、その臓器移植部位に埋め込まれてよい。方法は、診断装置の埋め込み後に、当該埋め込まれた診断装置の出力を用いて少なくとも1種の分析物をモニタリングすることを含む。]
[0155] ある実施態様において、検出される少なくとも1種の分析物は、炎症マーカー(例えば、サイトカイン(例えば、インターロイキン、TNF−α(腫瘍壊死因子−α))、COX−2(シクロオキシゲナーゼ−2)、CRP(C反応性蛋白));糖尿病マーカー(例えば、インスリン、グルコース、糖化ヘモグロビン、Foxp3(フォークヘッドボックスp3)、KIM−1(腎障害分子−1)、NGAL(ヒト好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン));代謝マーカー(例えば、コレステロール、トリグリセリド、TSG(腫瘍抑制遺伝子))、電解質(例えば、カリウム、カルシウム));心臓マーカー(例えば、トロポニン、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)、CK−Mb(クレアチンキナーゼ−MB)、D−ダイマー);ウイルスマーカー(例えば、CMV(サイトメガロウイルス)、EBV(エプスタインバールウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、VZV(水痘帯状疱疹ウイルス)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス−6)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス−8));病原体(例えば、肺炎球菌、抗酸菌)、治療剤(例えば、ラパマイシン、ミコフェノール酸類、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、クーマディン、ワルファリン);およびホルモン(例えば、エストラジオール、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、T3(トリヨードサイロニン)、T4(サイロキシン))から選択される。ある実施態様において、検出される少なくとも1種の分析物は、サイトカイン(例えば、IL1(インターロイキン−1)、IL2(インターロイキン−2)、IL6(インターロイキン−6)、IL8(インターロイキン−8)、TNF(腫瘍壊死因子))および/またはカルシニューリンおよび/またはクレアチニンおよび/または免疫抑制治療剤(例えば、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス)から選択される。一実施態様において、モニタリングされる少なくとも1種の分析物は、免疫抑制治療剤である。詳細な実施態様において、前記少なくとも1種の分析物は、シクロスポリンAおよび/またはタクロリムス(FK506)である。別の実施態様において、前記モニタリングされる少なくとも1種の分析物は、サイトカイン(例えば、IL1、IL2、IL6、IL8、TNFなど)である。]
[0156] 大半の移植対象(移植レシピエント)は、拒絶発症を防ぐために、移植後の生涯のあいだは免疫抑制剤を投与されることになる。患者の日和見感染や薬剤の毒性作用につながりかねない過剰投薬、または拒絶発症による移植片生着の短期化を引き起こしかねない投薬不足を防ぐために、免疫抑制治療剤の投与量コントロールが必要となる。]
[0157] シクロスポリンA(CsA)およびタクロリムス(FK506)は、移植患者に投与される免疫抑制剤の中でも、今日最も使用されている薬剤である。これらの化合物は、移植手術において、手術の成功率および患者のクオリティオブライフに大きな変化をもたらした。これら2つの化合物の作用機序は、よく解明かつ広範囲にわたって検討されている:Scottらの「タクロリムス」Drugs 2003; 63(12):1247-97、G. Wiederrecht, E. Lam, S. Hung, M. Martin and N. Sigalの「FK−506およびシクロスポリンAの作用機序」Annals of the New York Academy of Sciences, VoI 696, Issue 1 9-19, 1993、Clipstone NA, Crabtree GRの「カルシニューリンの、Tリンパ球活性における重要なシグナル伝達酵素としての同定」Nature 1992; 357:695-697、Schreiber SL, Crabtree GRの「シクロスポリンAおよびFK506の作用機序」Immunol Today 1992; 13:136-142を参照されたい。]
[0158] これらの免疫抑制剤が、カルシニューリンの活性を抑えることによって作用することは周知である。カルシニューリンは、サイトカインの転写に関連する数多くの転写因子を活性化させるフォスファターゼであり、例えば、IL2のmRNAの転写亢進を行う:Wiederrecht G, Lam E, Hung S, Martin M, Sigal Nの「FK−506およびシクロスポリンAの作用機序」Ann NY Acad Sci USAl 993; 696:9-19を参照されたい。これらの免疫抑制剤は、カルシニューリンを阻害することによって、IL−2の産生およびIL−2受容体の発現を妨げることにより、結果的にT細胞の活性化を阻害する:Brabletz T, Pfeuffer I, Schorr E, Siebelt F, Wirth T, Serfling Eの「トランスフォーミング成長因子βおよびシクロスポリンAは、非典型的なオクタマー結合部位を介して、T細胞のインターロイキン−2遺伝子の誘導活性を阻害する」MoI Cell Biol. 1993; 13: 1155-1162を参照されたい。この阻害により、液性免疫反応および細胞性免疫反応が消失されるので、移植受容が上手くいく。]
[0159] さらに、サイトカインのモニタリングは、移植患者の管理において有用な手法となる可能性が有る。重大な拒絶の発生を予測するためのサイトカインのモニタリングの実用性が、文献で報告されている。炎症および免疫活性化に関係するサイトカイン(IL−1、IL−2、IL−6、IL−8およびTNF)の血中レベル(血中濃度)と臨床成績との間に相関性が見出されている。実際、選択されたサイトカインのレベルを追跡することは、移植片対宿主拒絶反応の制御に役立ち、移植片拒絶の早期検出のメカニズムとなり得ることが報告されている:Visentainerらの「HLA(ヒト白血球型抗原一致造血幹細胞移植後の血清サイトカインおよび急性移植片対宿主病」Experimental Hematology, Volume 31, Issue 1 1, Pages 1044 - 1050 J、Soichiらの「腎移植患者からの末梢血におけるIL−2受容体の遺伝子発現の検出」Surgery Today 2001 Volume 31, Number 12, p. 1058-1064、およびP.A. Corris and J. A. Kirbyの「肺移植後の免疫抑制薬剤の治療モニタリングにおける、サイトカイン測定の役割」Clinical and Experimental Immunology 2005, 139: 176-178を参照されたい。]
[0160] 免疫抑制剤は、例えば、抗体抗原相互作用を検出する古典的なイムノアッセイ系でモニタリングすることができる。シクロスポリンA(CsA)およびタクロリムス(FK506)の場合、これらの化合物をナノ粒子に結合させる。治療剤のレベルの検出および定量化は、競合アッセイ形式で行われる:患者サンプルが生体内素子(in vivo device)を通過する際に、抗CsA抗体または抗タクロリムス抗体が、ナノ粒子に結合した治療剤と当該患者サンプル中に存在する治療剤との間のいずれに結合するかを競合する。結合部位について、ナノ粒子結合化合物・抗体と埋め込み対象サンプル中の遊離化合物・抗体との間の競合関係が生じる。]
[0161] サイトカインのレベルは、イムノアッセイでモニタリングしてもよい。この場合、モニタリング対象のサイトカインに対して特異的な抗体を、ナノ粒子に結合させると、標本が生体装置を通過する際の、埋め込み対象サンプルからのサイトカインと抗体結合ナノ粒子との結合を検出する。結合部位は、モニタリング対象のサイトカインに特異的な抗体としてもよい。検出される結合相互作用は、分析物(例えば、モニタリング対象のサイトカイン)が、ナノ粒子に結合した特異的な抗体に対して結合する場合の相互作用である。]
[0162] 本発明にかかる方法では、モニタリング対象の少なくとも1種の分析物に対する多種多様な抗原の中から、いずれの抗原も利用することができる。例えば、United States Biological社から販売されている抗FK506抗体(カタログ番号F4150−15)を利用することができる。別の実施態様では、英国ケンブリッジのAbcam社から販売されている抗CsA抗体(カタログ番号ab8312)を利用できる。抗体と磁性粒子とを複合体化させる方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Sun, Eらの「バイオセンシング用のナノ粒子ライブラリの開発」Bioconjugate Chem. 2006, 17, 109-113、Sun, Eらの「標的化イメージング用の「クリックケミストリー」的なナノ粒子」Molecular Imaging 2006, 5, 122-128を参照されたい。また、Hermanson, G. Tが著者の「Bioconjugate Techniques」San Diego: Academic Press, 1996およびWong, S. Sが著者の「Chemistry of Protein Conjugation and Cross-Linking」CRCPress, 1991も参照されたい。他の試薬(抗サイトカイン抗体および他の種類の治療剤結合部位を含む)も入手可能であり、これらを当該技術分野で知られている一般的な方法で生成してもよいし、および/または購入してもよい。]
[0163] 本発明の別の構成には、患者の体内の分析物をモニタリングする方法が含まれる。ある実施態様において、この方法は、露出した処置部位に対し、埋め込み可能な磁気共鳴診断装置を埋め込むこと;ならびに磁気共鳴測定を用いて、少なくとも1種の分析物の存在および/または濃度を検出または測定すること;を備える。]
[0164] ある実施態様において、前記方法は、手術の結果を評価するために、少なくとも1種の分析物を検出することを含む。ある実施態様において、少なくとも1種の分析物は、手術前、手術中または手術後にモニタリングされる。ある実施態様において、モニタリングされる前記少なくとも1種の分析物は、互いに独立してバイオマーカーまたは治療剤である。ある実施態様において、少なくとも1種の分析物は、手術部位の間質液、血液または組織に存在する分子である。]
[0165] ある実施態様において、患者の体内の分析物をモニタリングする方法は、内視鏡下手術、キーホール手術、腹腔鏡下手術、または切開を伴う手術から選択される手術と併行して埋め込みを行うことを含む。詳細な実施態様において、手術は最小侵襲性である。]
[0166] ある実施態様において、手術は、診断的手術、予防的手術、治癒期待手術および緩和手術からなる群から選択される。詳細な実施態様において、手術は臓器移植手術である。]
[0167] ある実施態様において、方法は、埋め込み可能診断装置を使用することを含み、前記埋め込み可能診断装置は、患者の体内への部分的なまたは完全な埋め込みに適したセンサ;前記患者の体外に配置される読取装置;磁石または磁場生成手段;および前記埋め込み対象の体内における前記センサの位置を決定する手段を備えており、前記センサは、埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドを有し、前記プローブヘッドは、RFコイルを有するRF回路を具備し、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、かつ、前記磁石または磁場生成手段が生成する磁場の存在下で前記サンプル領域に対してRFパルスシーケンスを適用(印加)するように構成されており、前記サンプル領域には磁性粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記磁性粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記磁性粒子の凝集の程度が、前記サンプル領域に含まれる前記分析物の存在または濃度を示し、前記読取装置は、前記サンプル領域に含まれる前記分析物の存在または濃度を示すセンサの情報に基づいて結果を生成する。]
权利要求:

請求項1
サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムであって、(a)磁気共鳴シグナルを測定するのに適した磁場を、サンプル領域に生成するように位置決めされる磁石または磁場生成手段と、(b)RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと、を備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には磁性粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記磁性粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴シグナルの取得および処理を可能にする、核磁気共鳴システム。
請求項2
サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムであって、(a)磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体外であってサンプル領域の近傍に配置される永久磁石または磁場生成手段と、(b)RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと、を備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にする、核磁気共鳴システム。
請求項3
サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムであって、(a)埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッド、を備え、前記プローブヘッドは、(a1)キャパシタと、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれたRFコイルとを有するRF回路、ならびに(a2)磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、前記RFコイルの近傍もしくは周辺に配置された永久磁石を具備しており、さらに、(b)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと、を備えており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にする、核磁気共鳴システム。
請求項4
サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムであって、(a)磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、埋め込み対象の体外であってサンプル領域の近傍に配置される永久磁石または磁場生成手段と、(b)RFコイルを有するRF回路を具備し、埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適した外部コイルと、(d)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと、を備えており、前記RFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には少なくとも1つのセンサ粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入ることを許可し、前記少なくとも1つのセンサ粒子が前記サンプル領域から出ることを部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にする、核磁気共鳴システム。
請求項5
サンプル領域に含まれるサンプルからの磁気共鳴緩和シグナルをインビボで測定する核磁気共鳴システムであって、(a)埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適したプローブヘッドと、(b)前記埋め込み対象の体外に配置される外部コイルと、(c)前記埋め込み対象の体外に配置され、かつ、前記外部コイルに接続された制御ユニットと、を備えており、前記プローブヘッドは、(a1)キャパシタと、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれたRFコイルとを有するRF回路と、(a2)磁気共鳴緩和シグナルを測定するのに適した磁場をサンプル領域に生成するように、前記RFコイルの近傍もしくは周辺に配置された永久磁石と、を具備しており、前記外部コイルは、前記RF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するのに適しており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には少なくとも1つのセンサ粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入ることを許可し、前記少なくとも1つのセンサ粒子が前記サンプル領域から出ることを部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記制御ユニットは前記RF共鳴回路を制御する論理回路を含んでおり、前記RF共鳴回路が受け取る磁気共鳴緩和シグナルの取得および処理を可能にする、核磁気共鳴システム。
請求項6
請求項1から5のいずれか一項において、前記磁場が実質的な静磁場である、核磁気共鳴システム。
請求項7
請求項1から5のいずれか一項において、磁気共鳴緩和を測定する核磁気共鳴システム。
請求項8
請求項1から5のいずれか一項において、前記RF回路がRFコイルとキャパシタとを有する、核磁気共鳴システム。
請求項9
請求項1から5のいずれか一項において、前記RFコイルが、対応する検出領域を有しており、前記サンプル領域がその検出領域と完全に重複する、核磁気共鳴システム。
請求項10
請求項1から5のいずれか一項において、前記RFコイルが、サンプル領域およびポートを部分的にまたは実質上全体的に取り囲んでいる、核磁気共鳴システム。
請求項11
請求項1から5のいずれか一項において、前記磁石または磁場生成手段の磁場形成面が一面である、核磁気共鳴システム。
請求項12
請求項1から5のいずれか一項において、前記磁石または磁場生成手段の磁場形成面が少なくとも二面である、核磁気共鳴システム。
請求項13
請求項1、2または4において、前記磁石または磁場生成手段が、前記埋め込み対象の体外に配置されるように構成された、核磁気共鳴システム。
請求項14
請求項1から5のいずれか一項において、前記RF回路の動作用電力が、前記RF回路と前記外部コイルとの電磁結合によって供給される、核磁気共鳴システム。
請求項15
請求項14において、結合された外部電源が前記RF回路の唯一の電源である、核磁気共鳴システム。
請求項16
請求項1から5のいずれか一項において、磁気共鳴緩和を測定可能な核磁気共鳴システム。
請求項17
請求項1から5のいずれか一項において、前記磁気共鳴シグナルを処理する前記論理回路が、磁気共鳴緩和パラメータを測定するように構成されている、核磁気共鳴システム。
請求項18
請求項17において、前記磁気共鳴緩和パラメータがT1、T2およびT1rhoからなる群から選択された少なくとも1つである、核磁気共鳴システム。
請求項19
請求項1から5のいずれか一項において、前記磁気共鳴シグナルを処理する前記論理回路が、シグナル強度、シグナル寿命、シグナル線幅およびシグナル積分値のうちの少なくとも1つを測定するように構成されている、核磁気共鳴システム。
請求項20
請求項1から5のいずれか一項において、前記RF回路が、さらに、レポータコイルを有しており、前記RF回路と前記外部コイルとの誘導性結合が、実質上、前記レポータコイルを介して行われる、核磁気共鳴システム。
請求項21
請求項1において、前記プローブヘッドが、前記磁石または磁場生成手段を具備している、核磁気共鳴システム。
請求項22
請求項1において、前記RF回路は、RFコイルとキャパシタとを有しており、前記プローブヘッドは前記磁石を具備しており、当該磁石は、前記サンプル領域の位置に対して一定の位置に配置された永久磁石である、核磁気共鳴システム。
請求項23
請求項22において、さらに、(e)前記埋め込み対象の体内における前記プローブヘッドの位置を決定する検出装置、を備える、核磁気共鳴システム。
請求項24
請求項1において、前記RF回路が、RFコイルとキャパシタとを有しており、前記プローブヘッドは、前記RFコイルの近傍または周辺に永久磁石を具備している、核磁気共鳴システム。
請求項25
請求項1、4または5において、バイオセンサ粒子が磁性粒子であり、前記磁性粒子のうちの少なくとも一部が分析物の存在下で凝集し、サンプルの磁気共鳴シグナルに変化を引き起こす、核磁気共鳴システム。
請求項26
請求項1、4または5において、前記粒子が常磁性である、核磁気共鳴システム。
請求項27
請求項1、4または5において、前記粒子が超常磁性である、核磁気共鳴システム。
請求項28
請求項1、4または5において、前記粒子のうちの少なくとも1つの粒子が、ポリマーマトリクスのコーティングを有している、核磁気共鳴システム。
請求項29
請求項1、4または5において、前記磁性粒子の平均粒径が約1ナノメートルから約5マイクロメートルである、核磁気共鳴システム。
請求項30
請求項1、4または5において、前記磁性粒子が、少なくとも1種の標的分析物に結合する少なくとも1種の結合部位を官能基として有している、核磁気共鳴システム。
請求項31
請求項30において、前記少なくとも1種の結合部位のうちの少なくとも1つが、アミノ基、カルボキシ基、スルフヒドリル基、アミン基、イミン基、エポキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、アクリレート基およびイソシアノ基のうちの少なくとも1つを含む、核磁気共鳴システム。
請求項32
請求項30において、前記少なくとも1種の結合部位のうちの少なくとも1つが、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルスおよび細菌のうちの少なくとも1つを含む、核磁気共鳴システム。
請求項33
請求項1から5のいずれか一項において、前記プローブヘッドが、さらに、サンプル領域からセンサ粒子を除去および/またはサンプル領域にセンサ粒子を充填することを可能にする手段を具備しており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記少なくとも1つの粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されている、核磁気共鳴システム。
請求項34
請求項1から5のいずれか一項において、前記プローブヘッドが、さらに、前記サンプル領域内または前記サンプル領域の近傍における磁場強度を検出する磁場検出手段と、前記磁場強度を示す信号を送信する送信機とを具備しており、前記制御ユニットが、さらに、前記磁場強度を示す前記信号を受信する受信機を含んでいる、核磁気共鳴システム。
請求項35
請求項1から5のいずれか一項において、さらに、(e)前記埋め込み対象の体内における前記プローブヘッドの位置を決定する装置、を備えている、核磁気共鳴システム。
請求項36
請求項35において、前記装置(e)が、X線を用いた遠隔測定法による位置決定、近赤外線を用いた遠隔測定法による位置決定、超音波を用いた遠隔測定法による位置決定、または磁気共鳴を用いた遠隔測定法による位置決定に基づく装置である、核磁気共鳴システム。
請求項37
請求項35において、前記プローブヘッドが、さらに、RF信号を生成するラジオ周波数認識(RFID)生成手段を具備しており、前記手段(e)が、(i)生成されたRF信号を受け取るRF受信機と、(ii)前記受け取られたRF信号から前記サンプル領域の位置を決定する論理回路とを含んでいる、核磁気共鳴システム。
請求項38
請求項1から5のいずれか一項において、前記プローブヘッドが、複数の分離したサンプル領域を具備しており、前記RF回路が、各サンプル領域に対応する励起可能領域および検出領域を備える少なくとも1つのRFコイルを有しており、かつ、各サンプル領域が、それぞれ前記励起可能領域および前記検出領域と少なくとも部分的に重複している、核磁気共鳴システム。
請求項39
請求項1から5のいずれか一項において、前記プローブヘッドが、複数の分離したサンプル領域を具備しており、前記RF回路が、各サンプル領域ごとに別々のRFコイルを有しており、各RFコイルは、ワイヤレスに電源をオンまたはオフされることを可能にするスイッチおよび対応する回路に、互いに独立して接続されており、かつ、各RFコイルは、対応する励起可能領域および検出領域を備えており、前記励起可能領域および検出領域は、そのRFコイルに対応する各サンプル領域と少なくとも部分的に重複している、核磁気共鳴システム。
請求項40
請求項1から5のいずれか一項において、さらに、埋め込み対象への部分的なまたは完全な埋め込みに適した少なくとも1つのさらなるプローブヘッド、を備えており、前記さらなるプローブヘッドは、RFコイルを有するRF回路を具備しており、このRFコイルは、サンプル領域およびポートが収まり得る空間を形成するように巻かれており、前記ポートは、サンプルが前記サンプル領域に入るように構成されており、前記サンプル領域には磁性粒子が収容されており、前記ポートは、分析物が前記サンプル領域に入るのは許可し、前記磁性粒子が前記サンプル領域から出るのは部分的にまたは完全に防止するように構成されており、前記磁性粒子のうちの少なくとも一部が分析物の存在下で凝集し、サンプルの磁気共鳴シグナルに変化を引き起こし、前記外部コイルは、さらに、所与のプローブヘッドのRF回路と誘導性結合してRF共鳴回路を形成するように構成されており、このRF共鳴回路は、前記所与のプローブヘッドの制御ユニットによって制御可能である、核磁気共鳴システム。
請求項41
請求項1から5のいずれか一項において、前記サンプル領域と検出領域との重複する領域をサンプル−検出領域とし、前記サンプル−検出領域内の磁場が不均一である、核磁気共鳴システム。
請求項42
請求項1から5のいずれか一項において、前記サンプル領域と検出領域との重複する領域をサンプル−検出領域とし、前記サンプル−検出領域内に最小磁場強度が存在するとともに、前記サンプル−検出領域内の磁場強度の変動が、前記サンプル−検出領域内の最小磁場強度に対し、0.5%超、1%超、2%超および3%超からなる群から選択される少なくとも一種の変動を生じる、核磁気共鳴システム。
請求項43
請求項1から5のいずれか一項において、前記RFコイルの検出領域が励起可能領域と少なくとも部分的に重複するように、前記磁石または磁場生成手段が当該RFコイルに対して位置決めされる、核磁気共鳴システム。
請求項44
請求項1から5のいずれか一項において、前記サンプル領域と検出領域との重複する領域をサンプル−検出領域とし、前記サンプル−検出領域内の磁場の最大の変動が、約1ppmから約10000ppm、約1ppmから約2000ppmおよび約10ppmから約1000ppmからのいずれか選択される、核磁気共鳴システム。
請求項45
請求項1から44のいずれか一項において、前記プローブヘッドが、埋め込み対象に対して部分的にまたは完全に埋め込まれるように構成されており、かつ、手術の結果の判断のために、分析物をモニタリングできるように構成されている、核磁気共鳴システム。
請求項46
請求項1から45のいずれか一項において、少なくとも1種の分析物が、互いに独立して治療剤またはバイオマーカーである、核磁気共鳴システム。
請求項47
請求項1から46のいずれか一項において、前記プローブヘッドが、生体分解性であるか、または一定期間が経つと生体不活性になる、核磁気共鳴システム。
請求項48
請求項1から46のいずれか一項において、前記プローブヘッドが、当該プローブヘッドに対する生物汚染または免疫反応を部分的にまたは完全に防ぐのに適したコーティング剤で被覆されており、および/または、前記プローブヘッドは、生体分解性材料で一部または全体が構成されている、核磁気共鳴システム。
請求項49
請求項1から48のいずれか一項において、さらに、薬剤送達ユニット、を備えており、前記薬剤送達ユニットは、前記埋め込み対象に投与するのに適切な薬剤を含み、前記制御ユニットは、さらに、前記薬剤送達ユニットを制御する論理回路を含んでおり、前記薬剤は、前記受け取られて測定された磁気共鳴シグナルに応じて前記埋め込み対象に送達される、核磁気共鳴システム。
請求項50
請求項2または3において、前記センサ粒子が応答性ポリマーを有しており、サンプル特性は、pH値、イオン強度、分析物の濃度、または分析物の存在を含み、前記応答性ポリマーの特性が前記サンプル特性の変化に応じて変化することにより、当該核磁気共鳴システムが感知する磁気共鳴シグナルに変化が生じる、核磁気共鳴システム。
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